世界の医療事情
チェコ
1 国名・都市名(国際電話番号)
チェコ共和国(国際電話番号420)
2 公館の住所・電話番号
- 在チェコ日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:Maltezske namnesti 6, P.O.BOX 91, 118 01 Praha 1, Czech Republic
- 電話:+420-257-533-546
- ホームページ:在チェコ共和国日本国大使館
(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。
3 医務官駐在公館ではありません
在フランス日本国大使館医務官が担当
4 衛生・医療事情一般
内陸国で1年の半分は寒冷期で10月から4月の平均気温は10度以下です。夏は、日差しは強いのですが平均気温は20度ぐらいで湿度も少なく過ごしやすい気候です。冬季には寒さが厳しく12月から3月にかけては、街は雪で覆われます。(近年の温暖化で夏の最高気温は上がる傾向にあります。)
病院の衛生環境、医療水準、設備等は、一般的な診療を受ける分には一応問題はないレベルです。公立病院の場合、院内の案内板等に英語の併記が無く、医師以外に英語が通じない場合が多いので受診に際しては、ある程度チェコ語が出来ないと苦労します。通訳の出来る方に、同行してもらった方が安心です。料金は高くなりますが、外国人を対象とした私立のクリニックを利用することも出来ます。高度に専門的な治療が必要な場合は、西ヨーロッパや日本への移送を要する事も有ります。移送には高額な費用がかかるため、海外旅行傷害保険などで十分に医療費用をカバーしておくことをお勧めします。
5 かかり易い病気・怪我
(1)気候による病気(風邪、皮膚炎など)
年間を通じて空気が乾燥しているため上気道感染症にかかりやすく、皮膚の乾燥による皮膚炎にも悩まされることがよくあります。春先から秋にかけては花粉症(Senná rýma)もよく見られる病気です。
(2)転倒による怪我
プラハの街中は石畳の道路が多く、特に冬季は凍結し滑り易いので転倒による怪我も要注意です。
(3)経口感染症
サルモネラ菌やウイルス感染による下痢(感染性腸炎)が散発的に見られます。牛肉・鶏肉は良く火を通して調理後長時間保存しないようにし、食事前の手洗いも忘れないようにしてください。少数ながらA型肝炎の発生(2022年70人、2023年66人)が報告され、2024年春にはオストラバ市で42人の集団感染が起きています。
(4)ダニ媒介性脳炎・ライム病
春から夏にかけ、森林、草地でマダニ(Klíšťatovci)が媒介する感染症があります。ダニ媒介性脳炎(Klíšťová encefalitida)はウイルスが原因の脳炎で、主に中央ヨーロッパから北欧、旧ソ連地域に広がる風土病です。1週間から2週間程度の潜伏期の後に、夏風邪のような症状が数日続きます。続いて1週間程度の間隔を開けて、頭痛、意識障害、麻痺、感覚障害等の症状が出てきます。発症した場合は、致死率が1から5%程度あり、頚部から上腕の麻痺等の後遺症が残りやすい厄介な病気です。チェコでは毎年500人強の感染者が報告されています。マダニが媒介する感染症を防ぐためには、マダニが活動する時期に森林などに近寄らないのが賢明ですが、やむなく草原や森林で野外活動を行う場合には、マダニに刺されないように、虫除けを用い、長袖、長ズボン、帽子を被るなど肌を露出しない服装を心掛ける必要があります。また、予防のためのワクチンがあり、通常3回の接種で3から5年有効です。野外活動愛好家や長期滞在者には、ダニ脳炎の予防接種をお勧めします。現地でも接種できますし、日本ではトラベルクリニック等で接種を受けることが出来ます。
マダニはライム病(Lymská borelióza)という病気も媒介します。こちらは細菌感染症で、予防接種はありません。感冒様症状や発赤などの皮膚症状ではじまり、ついで心血管系、中枢神経系の病変がみられ、その後関節、皮膚などに慢性病変がみられるようになります。感染した場合、抗生物質での治療が必要です。
6 健康上心がけること
冬季は寒さが厳しく、外出の際には防寒性の高いコート、帽子、マフラー、手袋、滑り止めのある底の厚い靴等の防寒具が必要です。また道路が凍結し滑り易いので、注意が必要です。日本と比べて空気が乾燥しており、風邪やインフルエンザなど上気道感染症にかかりやすいです。予防策として、外出から戻った際は手洗いとうがいを励行しましょう。空気の乾燥は皮膚にも大敵です。入浴後にクリームやローションで保湿するなどスキンケアに心掛けましょう。特に冬季の室内は暖房が入ると、かなり乾燥するので加湿器の使用も有効です。
チェコ料理は、味が濃くボリュームがある(塩分過多、カロリー大)ので、生活習慣病を予防するためにも、バランスの良い食事を心掛けてください。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者に必要な予防接種
入国に際して必要な予防接種は特にありませんが、次のものをお勧めします。
- 成人:A型肝炎。麻疹、破傷風トキソイドの追加接種
- 小児:基本的に日本での定期予防接種を受けてきてください。日本の定期予防接種で不足する、チェコで推奨されている予防接種については、現地の小児科医と個別に相談してください。
(2)現地の小児定期予防接種一覧(Státní zdravotní ústav(チェコ語)
)
現地の定期予防接種一覧 | |||||
---|---|---|---|---|---|
初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
BCG(結核)(注) | 生後4日から6週 | ||||
DPT(ジフテリア、破傷風、百日咳) | 生後9週(2か月)から | 2か月後 | 生後11から13か月 | 5から6歳 (Tdap) |
10から11歳 |
IPV(ポリオ) | 10から11歳(Tdap-IPV) | ||||
Hib(ヘモフィルス・インフルエンザb菌) | |||||
B型肝炎 | |||||
MMR(麻疹、おたふく風邪、風疹) | 13から18か月 | 5から6歳 |
(注)ハイリルクグループのみ。
接種を推奨されているワクチン(任意接種)
初回 | 2回目 | 3回目 | |
---|---|---|---|
ロタ | 生後6週から | 1か月間隔 | 1か月間隔 |
髄膜炎B | 生後2から3か月 | 生後4から6か月 | 生後12から15か月 |
肺炎球菌 | 生後2から3か月 | 2か月間隔 | 生後12から15か月 |
髄膜炎ACWY | 生後12から15か月 | ||
HPV(男女共) | 11から15歳 | 間隔5から13か月 |
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
チェコでは法律によって2007年1月から、すべての小児に予防接種が義務づけられています。現地校に入学するためには予防接種を受けていることが条件となります。
8 病気になった場合(医療機関等)
外国人用に医療サービスを提供している医療機関もあり、日本語通訳を紹介してくれる病院もあります。救急車を依頼する時の電話番号は「155」です。病院によっては海外保険の番号が必要となります。保険番号を確認し、証書等を病院へお持ちいただくことをお勧めします。
(首都)プラハ
- (1)Unicare Medical Center
- 所在地:Na Dlouhém lánu 563/11, 160 00 Praha 6
- 電話(代表):235-356-553、608-103-050(24時間)
- 概要:私立の無床診療所。診療科は一般内科、小児科、歯科。X線撮影の機材はありませんが、同じ建物の2階に放射線科クリニックがあり連携がとれています。皮膚科、眼科等は一般医による診療となります。重症の場合は専門医を紹介されます。日本人スタッフがシフト制で働いており、日本語通訳の依頼が可能です。往診あり。
- (2)Canadian Medical
- 所在地:複数あり
- 電話(総合受付):222-300-300
- 概要:私立総合病院(外来のみ)。内科、外科、整形外科、小児科、眼科、精神科、婦人科、皮膚科、耳鼻科、歯科。常勤医は少なく、大学病院勤務医らが時間契約でこの病院で勤務しています。施設は専門分野で分かれて立地しているため、受診時は、上記総合受付に電話し、症状に応じて施設を紹介してもらうことをお勧めします。重症の場合は公立病院を紹介されます。
- (3)モトール大学病院(Facultni Nemocnice Motol)
- 所在地:V Uvalu 84, 150 06 Praha 5
- 電話:224-438-590(成人緊急用)、224-433-681、224-433-682、224-433-674(外国人成人用)、224-433-690、224-433-691(外国人小児用)。
- 概要:プラハ南側が管轄地域です。外国人専用外来があり、他の大規模病院より小児科が充実しているため、邦人はこの病院をよく利用しています。
- (4)陸軍中央病院(Vojenslka Nemocnice)
- 所在地:U Vojenske Nemocnice 1200, 169 02 Praha 6-Stresovice
- 電話:973-208-333
- 概要:管轄地域はプラハ北及び西側になります。
ブルノ
- (1)ブルノ大学病院(Fakultní nemocnice Brno)
- 所在地:Jihlavská 340/20, Brno
- 電話:532 233 569、532 232 435(24時間)
- 概要:地域最大の総合病院で小児科も充実している。
- (2)Canadian Medical -Dům u červeného raka
- 所在地:Janská 444, Brno
- 電話:222 300 300
- 概要:プラハにあるCanadian Medicalの分院。婦人科、神経科、整形外科、眼科、歯科、理学療法科がある。
- (3)陸軍中央病院 Vojenská nemocnice Brno
- 所在地:Zábrdovická 3, Brno
- 電話:973 445 517、973 445 510
9 その他の詳細情報入手先
10 一口メモ
- 医師:lekar(レーカーシュ)
(もしくはdoktor(ドクトル)) - 飲み薬:lek(レーク)
- 座薬:cipek(チーペック)
- 注射:injekce(インイェクツェ)
- 頭痛:bolest hlavy(ボレスト フラヴィ)
- 胸痛:bolest hrudniku(ボレスト フルドゥニーク)
- 腹痛:bolest bricha(ボレスト ブジハ)
- 下痢:prujem(プルーイェム)
- 発熱:horecka(ホレチュカ)
- 吐き気:zvedani zaludku(ズヴェダニー ジャルドゥク)
- 傷:zraneni(ズラニェニー)
- 気分が悪い:Je mi spatne.(イエ ミ シュパット二ェ)
- 病院へ連れて行ってください。:Vezmete me do nemocnice?(ヴェズメテ ムニェ ド ネモツニッツェ?)
- 風邪をひいた。:Jsem nachlazeny.(イセム ナフラゼニー)
- 下痢をした。:Mam prujem.(マーム プルーイェム)
- めまいがする。:Toci se mi hlava.(トチー セ ミ フラヴァ)
- ここが痛い。:Tady me boli.(タディ ム二ェ ボリー)