2012年3月
エクアドル(キト市)(国際電話国番号593)
首都キト市は赤道直下に位置しているにもかかわらず標高2,850メートルの高地にありますので、気候は温暖ですが、一日の寒暖の格差は大きく、朝晩は肌寒く(最低気温5℃)、昼間は暖かくなります(最高気温25℃)。6月から10月は乾期、11月から5月までは雨期で、乾期は雨期よりも一日の寒暖の格差が大きくなります。
次に当地の医療水準ですが、当地の医療水準は一般的に高くありません。確かに一部の病院では医療設備が比較的整い、欧米先進国で医学教育を受けた医師もいますが、救急でやむを得ない場合を除き、難治性の病気の治療は日本等で行う必要があります。また、エクアドルは国民保険制度を取っています。国民健康保険加入者は指定の病院で無料にて医療が受けられることになっていますが、それらの施設では設備や医薬品も不十分で医療水準が低いので、受診をお勧めできません。
医師の診察や往診を受ける際には予約を必要とします。
(1)マラリア: キトには蚊がいないため発生しませんが標高の低い地域では発生することがあります。マラリアの原虫には4種類があり、良性のものが3種類(3日熱マラリア、4日熱マラリア、卵形マラリア)と悪性のものが1種類(熱帯熱マラリア)あります。生命の危険有るのは殆どが熱帯熱マラリアの場合です。2007年度はマラリアの発症件数は7,979件で、その内熱帯熱マラリアは1,044件、3日熱マラリアは6,935件でした。まだワクチンは開発されていませんので、蚊に刺されないのが一番の予防策になります(予防薬はあります)。
(2)デング熱: マラリア同様キトには蚊がいないため発生しませんが標高の低い地域では発生することがあります。デング熱はネッタイシマカにより媒介されるデングウイルスによって起こる疾患です。発熱を主な症状とする古典的なタイプと重篤な出血熱タイプのものがあります。潜伏期間は1週間前後、通常40度前後の高熱で発症し、その後麻疹のような発疹が体幹から始まり四肢に広がることがあります。血小板が減少し出血を伴う傾向を伴うようになったタイプが出血熱タイプです。デング熱の特効薬はありません。また、ワクチンは無いため何よりも蚊に刺されないことが重要です。2007年度はデング熱の発症件数は10,587件、その内古典的なタイプは10,253件、出血熱タイプは334件でした。特に2010年に入り中南米ではデング熱は大流行の兆しがありますので注意が必要です。
(3)黄熱病: 2007年度には黄熱病が6,381件発生しています。黄熱病は致死的な疾患ですが、ワクチンによって予防することが出来ます。ワクチンの接種をお勧めします。
(4)海岸部を中心にコレラが発生したこともありますので、食品衛生には十分注意を要します。生水を避ける、肉類中心の食事を改める、非衛生的な食品を摂らない、などの注意が必要です。
(5)その他の熱帯病: リーシュマニア症、シャーガス病の流行地域はその多くが都会から離れた地域です。リーシュマニア症はサンショウバエという蚊、シャーガス病はサシガメによって感染します。宿泊施設はしっかりしたホテルを選んでください。
(6)高山病:高山病とは低地から高地に上がった時、その低気圧、低酸素状態に身体が順応出来ないことが原因で起こる一連の症状を言います。キトは2,800メートルの高地にありますので、何らかの高山病の症状が出現する可能性があります。軽度の頭痛、めまい、不眠を主とした「山酔い」から個人の体質によっては重篤な高山病を起こすこともあります。高山病の発症はその日の体調などにも左右されるため無理な日程は避ける事が必要です。また、低酸素状態は心臓や肺に大きな負担をかけるため、心臓疾患や肺疾患のある方は事前に医師に相談することをお勧めします。
(7)一般的な病気:消化不良や下痢を起こすこともあります。生水を避ける、肉類中心の食事を改める、非衛生的な食品を摂らない、などの注意が必要です。
(8)交通事故に要注意:交通は右側通行で、車は左ハンドルです。キト市内の道路はほとんど舗装されていますが、道路に穴が多く状態は良くありません。また、側溝やマンホールの蓋がなかったりしますので、特に夜間や雨天での運転には注意を要します。当地の運転マナーは極めて悪く、急に車線を変更したり、方向指示器をつけずに急に曲がったりするので、注意が必要です。特にトラック、バス、タクシーに対しては車間距離を十分に取るなどの注意が必要です。歩行者の急な飛び出し、週末前夜の飲酒運転にも注意してください。
特に感染症に罹らないようにすることが重要です。野菜は生を避け、できるだけ加熱するのが望ましく、生で食べるときはできるだけよく洗い、野菜専用の消毒液につけてください。キトは高地にあるため、魚介類の鮮度は余り良くありません。魚介類を生で食べる場合は鮮度をよく確認してください。ハム・ソーセージ類や豚肉も鮮度が落ちている場合がありますので、注意を要します。生水は飲用に適していません。ミネラルウォーターを買うことができますので、これを飲用するか、水道水を飲む場合は15分間沸騰させてから用いるか、浄水器を使ってください。破傷風が存在するので、むやみに土を触ったりしないようにしましょう。低地ではマラリアやデング熱を媒介する蚊がいますので、場合に応じて蚊取り線香や虫除けローションなどを使用することが望ましいです。キトは高地にあり、酸素が低地の70%しかないことから、頭痛や不眠、消化不良など高山病の症状を起こす人もいます。高地に体が慣れるまで人によって異なりますが、数日から2~3カ月かかることもあります。その間、血液中の酸素を運ぶヘモグロビンの量が増えるため、水分を多めに摂取することや、急激な運動を避けることが必要です。
(1)日本からの入国に際して必要な予防接種はありませんが、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、黄熱病などの予防接種を受けておくことが望ましく、幼小児はBCG、ポリオ、三種混合ワクチンなど定期予防接種を完了して入国する方がよいでしょう。
(2)エクアドルの小児定期予防接種
| 初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
|---|---|---|---|---|---|
| BCG | 出生時 | ||||
| DPT三種混合 | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | 18ヶ月 | |
| OPV経口ポリオ | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | 1歳 | 5歳 |
| B型肝炎 | 出生時 | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | |
| MMR三種混合 | 12-23ヶ月 | ||||
| 黄熱病 | 1歳 | ||||
| DT二種混合 | 7歳 | 11歳 | |||
| インフルエンザb菌 | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | ||
| ロタウイスル | 2ヶ月 | 4ヶ月 | |||
| 水痘症 | 6歳 | 11歳 |
(2009年度WHO調べ)
(3)公立学校の場合は入学の際特に必要となる予防接種及びその証明書はありません。入学時必要なものは戸籍謄本と顔写真2枚のみです。
1歳までは毎月健診があります。体重、身長の測定、及び予防接種を実施します。1歳以降は医師の指示(各ワクチンの接種間隔に基づき日時を決定)により、次回健診日が決まります。ちなみにエクアドル国民は5歳児まで診察、薬、予防接種、全て無料です。妊娠中及び授乳期は、母親も無料で受診可です。
所在地:Av. Mariana de Jesus y Calle B, Quito, Ecuador
電話:(+593-2)3998-000、ファックス:(+593-2)2269-247
概要:丘の上に立つ当地最大手の総合病院で、米国大使館の利用件数も多い施設です。救急車を保有し、急患には24時間対応可能です。病室は綺麗な個室があり、手術室も清潔感があります。
所在地:Villalengua Oe2-37 Casilla 17-17-691, Quito, Equador
電話:(+593-2)2269-142、ファックス:(593-2)2269-234
概要:有名な「アンデスの声」放送局(HCJB、病院正面にあり)附属の総合病院です。前述のHospital Metropolitanoよりも小規模な病院ですが、病室は綺麗で、設備も比較的整っています。臨床検査室は米国標準の評価を得ています。また各種予防接種も可能です。
海外保健医療情報(エクアドル)
http://www.forth.go.jp/destinations/country/peru_bolivia_ecuador.html![]()
在日エクアドル大使館
http://www.ecuador-embassy.or.jp/j/index.html![]()
エクアドル国家統計調査局(INEC、Instituto Nacional de Estadistica y Censos)
http://www.inec.gov.ec/ ![]()
主要言語―スペイン語をご参照下さい。