在外公館医務官情報

キューバ

2012年3月

1.国名・都市名

 キューバ共和国(ハバナ、バラデロ)(国際電話国番号53)

2.公館の住所・電話番号

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

(1)はじめに:キューバは共産党一党のみの社会主義国家で、国民は食糧、生活物資の配給制度、医療、教育は基本的に無料で受けられます。

(2)衛生事情:カリブ海最大の島国で、面積は日本の本州の半分にあたる約110,922平方キロメートル、人口は1,124万人です。言語はスペイン語。

 亜熱帯性海洋気候で、年間平均気温は26度前後、湿度は80%と一年中かなり高く、6月から9月までは紫外線も強く、日中は日陰でも30度を越します。季節は、雨季(5月から10月)と乾季(11月から4月)に分かれ、雨季の雷雨は短時間でも激しく、9月、10月はハリケーン・シーズンです。

 ハバナを中心とした都市部での衛生状態は比較的良好ですが、降水量に対応する排水設備や水道管の老朽化により、水の汚染が深刻化しています。地域により断水、給水車による補給さらには、物資不足が続く中でミネラルウオーターも不足することがあります。水道水は石灰成分が高度に含まれ、ランブル鞭毛虫やアメーバの混入情報も新聞などで公開され、沸騰した水道水を使用する指導も行われています。生鮮食料品購入は難しく、栄養バランスの確保に注意が必要です。ハバナ市内でも食卓や食物周囲のハエが目立ちます。

(3)医療水準:1959年の革命以降、予防医療に積極的に取り組み、母子保健や高齢者事業およびワクチン接種による疾病予防を徹底し、乳幼児死亡率 4.8 、平均寿命77歳、医学校24、医師数74,880名、歯科医師数11,572、病院219、ポリクリニック498、ファミリードクター診療所12,068、薬局2,117、血液銀行26など中南米諸国の中では医療先進国に位置づけられます。キューバ国民の医療費は無料ですが、外国人は有料かつ受診可能な医療施設(ハバナ2施設、バラデロ1施設など)も限られています。受診可能医療機関では、英語は通じますが、医師以外の医療従事者は困難なことがあります。日本語は不可です。歯科診療も受診可能ですが、治療に必要な材料不足で常時希望の治療は望めません。

 医療団の海外勤務(輸出)が増加していることから、国内の医師不足および熟練した専門医不足の傾向があり、希望した専門医の診察を受けることが困難なこともあります。医薬品は、ワクチンをはじめジェネリック薬品の独自の開発・生産を活発に行い、アフリカや中南米、アジアの途上国へ輸出しています。キューバ国民は注射器や注射針を含め安価で購入できますが、外国人は、一般的には外国製医薬品(ヨーロッパ製が主)を販売している薬局で購入します。医療機材の不足や治療方法の限界などで、海外へ移送される場合もありますので、海外傷害保険の加入は必須です。ただし米国の保険会社やクレジットカードによる保険は使用できないので注意が必要です。

5.かかり易い病気・怪我

(1)急性下痢症、食中毒、肝炎:水道水の汚染や食品衛生、温度管理に原因があり、ジアルジア症は頻度の高い疾患です。赤痢や腸チフスよる感染もみられます。生水や生ものは避け、十分加熱された物を摂るように日々心掛け、手洗いの習慣も必要です。

(2)虫刺され:ハバナの都心部でも海岸に近いところでは、蚊以外にJejen虫(ブヨの一種)に刺されることが多く、強い皮膚反応と痒みを伴い、数週間症状が続きます。皮膚の露出を避けても、袖口から入り込んだりするので、徹底した虫除け対策が必要です。

(3)性感染症: AIDS患者の隔離政策や性病対策キャンペーンを行っていますが、増加傾向にあり2009年度に保健省に報告された症例は434人ですが、感染者はさらに多いと推測されています。淋病、梅毒は届出感染症の中でも1位、2位と上位を占めています。

(4)デング熱:予防接種、特効薬はありませんので、蚊に刺されない努力は必須です。2006年にハバナ市内でも死者や多数の入院患者が出ましたが、それ以降は地域ごとの車による殺虫剤の散布や防虫対策のアナウンスなどの予防に力をいれている結果、ハバナ市内での感染例や地方都市での爆発的な流行報告はありません。

(5)熱射病・日光皮膚炎:1年中強い紫外線を浴びるため、日焼けによる皮膚障害や脱水症に罹りやすく、サングラスによる目の保護や日焼け止めクリームの使用、こまめな水分補給が必要です。

(6)上気道感染症:キューバ国民のかかりやすい疾患一位ですが、アレルギー性など喘息様気管支炎が多いようです。空調システムの老朽化や冷房の温度調節不良で喉を痛めることがあります。うがいの励行をお勧めします。

(7)その他:狂犬病は、2006年に1例報告されていますが、空腹の野良犬が市内や観光地をうろつき、人を襲う事件が報告されています。飼い犬でも噛みつくことがありますので、むやみに近づいたり、餌を与えるなどの無謀な行為は厳禁です。狂犬病ワクチンの購入は困難です。一般のキューバ人は車を購入することができないので、交通渋滞はほとんどありません。しかし修理・改造を重ねた1950年代の車が突然停止したり、脱輪するなどの接触事故や、交通表示が不完全で道路事情が悪いことなどから予期せぬ交通事故に遭遇することがあります。

6.健康上心がける事

(1)生鮮食料品、特に野菜は種類が少なく変化に乏しいので、ビタミンや繊維質の摂取不足になりがちです。外食は、塩分、油、砂糖が多く入った調理方法が一般的です。健康維持のためには、常に栄養バランスを考え、確保できる材料で食生活を充実させるなど調理にも工夫が必要です。

(2)水道水は汚染されているので、飲用には不適です。必ず沸騰させて使用して下さい。国産のミネラルウオーターも硬度が高く、長期飲用には問題があります。

(3)高温多湿のため戸外では体力消耗感が強く、また冷房機器の温度調節が不安定で、室内では冷房が強過ぎるなど冷房病対策も必要です。 

(4)ゴルフやテニスなど屋外スポーツを行う場合、直射日光に対する防衛策(帽子、サングラス、日焼け止めクリーム)や脱水症予防が必要です。できるだけ涼しい早朝かまたは夕方にプレーするのが良いでしょう。

7.予防接種(現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)PDF

(1)赴任者に必要な予防接種

入国時に必須の予防接種はありませんが、成人・小児ともにA型肝炎、B型肝炎、破傷風できれば狂犬病の予防接種を推奨します。

(2)キューバの小児定期予防接種一覧

 すべて無料で施行され、ワクチンはキューバ製です。

キューバの小児定期予防接種一覧
ワクチンの種類 1回目 2回目 3回目 4回目・追加
BCG 出生時      
ポリオ(経口) 生直後 3歳 9歳  
HB(母体が陽性) 生後12時間~24時間 1ヶ月 2ヶ月 12ヶ月
HB(母体が陰性) 生後12時間~24時間      
D.P.T.+HB
(母体が陰性)
2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月  
D.P.T.       18ヶ月
Hib. 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 18ヶ月
MeningococoByC 3ヶ月 5ヶ月    
P.R.S. 12ヶ月 6歳    
D.T.       6歳
A.T. 9歳~10歳   12歳~13歳 15歳~16歳
T.T.       13歳~14歳

*HB(B型肝炎)、DPT(ジフテリア+破傷風+百日咳)、Hib(インフルエンザb)
  P.R.S.(麻疹・風疹・耳下腺炎)、D.T.(ジフテリア+破傷風)
  A.T.(腸チフス)、T.T.(破傷風)       

すべて母子手帳(ユニセフ提供)に、記載されます。

(3)当地の学校に入学・入園する際には、外国人専用病院で健康診断を受ける必要があります(費用は約3千円から5千円)。血液型検査も必要です。予防接種に関しては、日本での接種記録を持参し相談することをお勧めします。

8.乳児健診

 生後12ヶ月まで1ヶ月おきに健診を受けられます。予防接種記録紙に各月の発育状態が記載されています。受診機関は、出産病院から最寄のポリクリニックあるいは地元のファミリードクターです。費用は無料です。

 妊娠が判明してから最低12回の妊産婦健診が行われます。糖尿病妊婦や心疾患を有する妊婦には特別検診も施行されます。

 現在まで、キューバ人男性と結婚した日本女性(キューバ人と同様の医療が受けられますが、心付けの習慣があるようです)の出産症例はありますが、すべて有料になる外交団関係者の出産例は確認されていません。

9.病気になった場合(医療機関等)

 キューバ国民に対する医療は一応無料ですが、外国人が受診できる医療機関は限られています。以下の2病院で先ず診察を受け、場合により専門病院を紹介されます。専門病院を直接受診するのは緊急時か特別の紹介状を持参した場合に限られます。その他、首都ハバナ以外ではその限りではありませんが、最終的には以下の医療機関に移送されます。

◎ハバナ市内

(1)Clinica Central CIRA GARCIA(シーラ・ガルシア)

所在地:Calle 20 No.4101 esq.41 Playa Ciudad de La Habana, Cuba.
日本大使館公邸から1ブロック先。道路をはさんで対面にインターナショナルドラッグストアーあり。

電話:(7)-204-2811~14

ファックス:(7)-204-2640

概要:外交団が最も多く利用する医療機関。24時間体制。I.C.U.完備のベッド数39の総合病院(産婦人科はありますが、分娩は行われません)。

医療機材は、不足傾向ですが最新型の検査機器を有する診療科もあります。日本人の腹腔鏡下虫垂切除術の実績はありますが、医師の技量は個人差があります。短時間の待ち時間や特定の診療科を希望する場合は、電話予約が望ましいです。診療担当医は、近隣諸国への海外出張など不在することもあり、専門医紹介まで時間を要することがあります。日本語は不可。外国人料金が設定されていますが、以下のCIMEQ病院とほぼ同額です。現金支払いの場合は、兌換ペソ(CUC)のみ使用可能で米ドルやユーロは使えません。またクレジットカードは使用可能ですが、米国発行・決済のクレジットカードは使用できません。外交団関係者の入院には保証金は要求されませんが、一般旅行者は要求されることがあります。

(2)CIMEQ (Centro de investigaciones Medico Quirurgicas)(シーメック)

所在地:Call 216 esq.13.Siboney,Playa Ciudad de La Habana, Cuba.
パベスポ展示場付近。道路標示があります。

電話:(7)273-6548, (7)858-1000 (Emergency)

ファックス:(7)271-7668

概要:キューバ政府や軍関係者が主に利用している総合病院。24時間体制。外国人の受診も可能ですが、緊急時以外の受け入れは積極的ではありません。循環器科・脳神経科専門医が常時勤務しているので、心臓発作や脳血管障害の場合には、迅速な診療が可能です。外国人専用入院ベッド数は16。日本語不可。支払い方法は、上記と同様で米国発行・決済のクレジットカードは使用できないので注意が必要です。

○バラデロ ハバナ市内から車で2時間のキューバ最大の観光地です。

(1)Varadero Clinica internacional(バラデロインターナショナルクリニック)

所在地:Call 61 No.60 esq.a 1ra Ave,Varadero,Matansas,Cuba.
バラデロの繁華街に位置し、24時間営業のインターナショナルドラッグストアーも併設されています。

電話:(45)66-7710/66-7711/66-7712

http://www.servimedcuba.com他のサイトヘ

概要:医師200名が所属する24時間体制のクリニック。緊急入院の施設はありますが、手術や長期の入院が必要な場合は、救急車でハバナの病院まで移送されます。バラデロの5星ホテルには、医師1名と看護師1名が常駐し、薬局もあります。上記医療機関と同様に、米国発行・決済のクレジットカードは使用できません。日本語不可。

10.その他の詳細情報入手先

Ministry of Public Health(キューバ保健省):http://www.sld.cu他のサイトヘ

Instituto de Medicina Tropical "Pedro Kouri"(熱帯医学研究所):http://www.ipk.sld.cu他のサイトヘ

11.現地語一口メモ

 主要言語―スペイン語をご参照下さい。

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