世界の医療事情

キューバ

平成28年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 キューバ共和国(ハバナ, バラデロ)(国際電話国番号53)

2 公館の住所・電話番号

在キューバ日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Embajada del Japon en Cuba, Centro de Negocios Miramar, Edificio No1, 5to. Piso, Ave. 3ra, Esq, a 80, Miramar, Playa, Habana, Cuba (Apartado No. 752)
電話:(7)-204-3355,Fax:(7)-204-8902
ホームページ:http://www.cu.emb-japan.go.jp/別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)はじめに

 キューバは共産党一党のみの社会主義国家で,国民には食糧,生活物資の配給制度があり,医療,教育は基本的に無料で受けられます。

(2)衛生事情

 カリブ海最大の島国で,面積は日本の本州の半分にあたる約110,922平方キロメートル,人口は1,123万人です。言語はスペイン語。亜熱帯性海洋気候で,年間平均気温は26度前後,湿度は80%と一年中かなり高く,6月から9月までは紫外線も強く,日中は日陰でも30度を越します。季節は,雨季(5月から10月)と乾季(11月から4月)に分かれ,雨季の雷雨は短時間でも激しく,9月,10月はハリケーン・シーズンです。ハバナを中心とした都市部での衛生状態は比較的良好ですが,降水量に対応する排水設備や水道管の老朽化により,上水の汚染が常態化しています。地域により断水,給水車による補給さらには,物資不足が続く中でミネラルウオーターも不足することがあります。水道水は石灰成分が高度に含まれ,ランブル鞭毛虫やアメーバの混入情報も新聞などで公開され,沸騰した水道水を使用する指導も行われています。生鮮食料品購入は難しく,栄養バランスの確保に注意が必要です。ハバナ市内でも食卓や食物周囲のハエが目立ちます。

(3)医療水準

 1959年の革命以降,予防医療に積極的に取り組み,母子保健や高齢者事業およびワクチン接種による疾病予防を徹底し,乳幼児死亡率 4.3,平均寿命78.45歳,医学校17,医師87,982名(医師1人当たり住民127人),歯科医師数17,542名(歯科医師1人当たり住民640人),病院151,ポリクリニック451,ファミリードクター診療所10,741,血液銀行28など中南米諸国の中では医療先進国に位置づけられます。キューバ国民の医療費は無料ですが,外国人は有料かつ受診可能な医療施設(ハバナ2施設,バラデロ1施設など)も限られています。受診可能医療機関では,英語は通じますが,医師以外の医療従事者はスペイン語以外での意思疎通は困難です。日本語は不可です。歯科診療も受診可能ですが,治療に必要な材料の不足のため常時希望の治療は望めません。外貨獲得のために医療団の海外派遣が増加していることから、国内は医師不足です。熟練した専門医が減少しているため,希望した専門医の診察を受けることが困難なこともあります。診療の際の説明は不十分なため,いたずらに不安があおられる場合もあります。医薬品は,ワクチンをはじめジェネリック薬品の独自の開発・生産を活発に行い,アフリカや中南米,アジアの途上国へ輸出しています。キューバ国民は注射器や注射針を含め安価で購入できますが,外国人は,一般的には外国製医薬品(ヨーロッパ製が主)を販売している薬局で購入します。 医療機材の不足や治療方法の限界などで, 海外へ移送される場合もありますので,海外旅行傷害保険の加入は必須です。米国の保険会社やクレジットカードの保険は,使用出来るかどうか,旅行前に確認することが必要です。なお,外国人旅行者は海外旅行傷害保険への加入は入国時の必須要件となっています。

5 かかり易い病気・怪我

(1)急性下痢症,食中毒,肝炎

 水道水の汚染や食品衛生,温度管理に問題があり,ジアルジア症は頻度の高い疾患です。赤痢や腸チフスよる感染もみられます。また2011年以降は,毎年コレラが散発しており,ハバナも汚染地域です。生水や生ものは避け,十分加熱された物を摂るように日々心掛け,手洗いの習慣も必要です。レストラン等で出される氷も安全とはいえません。

(2)虫刺され

 ハバナの都心部でも海岸に近いところでは,蚊以外にJejen虫(ブヨの一種)に刺されることが多く,強い皮膚反応と痒みを伴い,数週間症状が続きます。皮膚の露出を避けても,袖口から入り込んだりするので,徹底した虫除け対策が必要です。

(3)性感染症

 AIDS患者の隔離政策や性病対策キャンペーンを行っていますが,増加傾向にあり2015年に保健省から報告された患者数は398人ですが,感染者はさらに多いと推測されています。淋病,梅毒は届出感染症の中でも1位,2位と上位を占めています。

(4)デング熱

 予防接種,特効薬はありませんので,蚊に刺されない努力は必須です。2006年にハバナ市内でも死者や多数の入院患者が出ましたが,それ以降は地域ごとの殺虫剤の散布や防虫対策のアナウンスなど予防に力をいれている結果,爆発的な流行報告はありませんが,ハバナでも常時流行しています。

(5)熱射病・日光皮膚炎

 1年中強い紫外線を浴びるため,日焼けによる皮膚障害や脱水症に罹りやすく,サングラスによる目の保護や日焼け止めクリームの使用,こまめな水分補給が必要です。

(6)上気道感染症

 キューバ国民のかかりやすい疾患一位ですが,アレルギー性など喘息様気管支炎が多いようです。 空調システムの老朽化や冷房の温度調節不良で喉を痛めることがあります。うがいの励行をお勧めします。

(7)ジカウイルス感染症

 中南米諸国では多数の患者が報告されていますが,キューバでも2015年3月に初めて報告されました。現在のところキューバでは32例の報告があり,そのうち国内での感染は3例といわれております。ほとんどが国外からも輸入症例と報告され,患者数も少なくキューバ政府はうまくコントロールしているとの論評もありますが,報告が少ない=流行していないとは言い切れないため,蚊の対策は必要と思われます。

(8)その他

 狂犬病は,2006年に1例報告されていますが,空腹の野良犬が市内や観光地をうろつき,人を襲う事件が報告されています。飼い犬でも噛みつくことがありますので,むやみに近づくことや,餌を与えるなどの無謀な行為は厳禁です。狂犬病ワクチンはClinica Internacional Siboney等にて在庫があれば接種可能ですが,常時在庫があるとは限りません。一般のキューバ人は車を購入することができないので,交通渋滞はほとんどありません。しかし修理・改造を重ねた1950年代の車の突然の停止,脱輪,また交通表示が不完全で道路事情が悪いことなどから予期せぬ交通事故に遭遇することがあります。マラリアの汚染地域ではありません。

6 健康上心がける事

(1)生鮮食料品,特に野菜は種類が少なく変化に乏しいので,ビタミンや繊維質の摂取不足になりがちです。外食は,塩分,油,砂糖が多く入った調理方法が一般的です。健康維持のためには,常に栄養バランスを考え,確保できる材料で食生活を充実させるために,調理にも工夫が必要です。

(2)水道水は汚染されているので,飲用には不適です。必ず沸騰させて使用してください。水道水も国産のミネラルウオーターも硬度が高く,煮沸しても下痢になる方がいます。賢い使用法(炊飯に不向き,肉料理には良い等)を考える必要があります。上水については,ほかに,有害性金属汚染があるため,無防備の長期使用は避けるべきです。

(3)高温多湿のため戸外では体力消耗感が強く,また冷房機器の温度調節が不安定で,室内では冷房が強過ぎるなど冷房病対策も必要です。

(4)ゴルフやテニスなど屋外スポーツを行う場合,直射日光に対する防衛策(帽子,サングラス,日焼け止めクリーム)や脱水症予防が必要です。できるだけ涼しい早朝か,夕方にプレーするのが良いでしょう。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

 入国時に必須の予防接種はありませんが,成人・小児ともA型肝炎,B型肝炎,破傷風できれば狂犬病の予防接種を推奨します。

(2)キューバの小児定期予防接種一覧

 すべて無料で施行され,ワクチンはキューバ製です。

キューバの小児定期予防接種一覧
ワクチンの種類 1回目 2回目 3回目 4回目・追加
BCG 出生時      
ポリオ(経口) ~6ヶ月 1歳 3歳 9歳
PENTAVALENTE 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月  
MeningococoByC 3ヶ月 5ヶ月    
P.R.S. 12ヶ月 6歳    
DPT+Hib       18ヶ月
A.T. 10歳 11歳 14歳  

(注)PENTAVALENTE (ジフテリア+破傷風+百日咳+B型肝炎+Hib),HB(B型肝炎),
DPT(ジフテリア+破傷風+百日咳) ,Hib(インフルエンザ菌b型),
P.R.S.(麻疹・風疹・流行性耳下腺炎),A.T.(腸チフス)

  • すべて母子手帳(ユニセフ提供)に記載されます。
  • 当地の学校に入学・入園する際には,外国人専用病院で健康診断を受ける必要があります(費用は約3千円から5千円)。血液型検査も必要です。予防接種に関しては,日本での接種記録を持参し相談することをお勧めします。
  • 黄熱ワクチンは接種できる病院は決まっておりハバナではClinica Internacional Siboney等があります。

付記)乳児検診

 生後12ヶ月まで1ヶ月おきに検診を受けられます。予防接種記録紙に各月の発育状態が記載されています。受診機関は,出産病院から最寄りのポリクリニックあるいは地元のファミリードクターです。費用は無料です。

 妊娠が判明してから最低12回の妊産婦検診が行われます。糖尿病妊婦や心疾患を有する妊婦には特別検診も施行されます。35歳以上の妊婦には全員羊水検査を実施することが義務づけられています。

 現在まで,キューバ人男性と結婚した日本女性(キューバ人と同様の医療が受けられますが,心付けの習慣があるようです)の出産症例はあります。ハバナでは産婦人科の病院としてRamon Gonxalez Coro病院が有名ですが,実際同所で分娩した人の話によると医療器具も旧式であまり衛生的な印象ではなかったとのことです。

8 病気になった場合(医療機関等)

 外国人が受診できる医療機関は限られています。ハバナ市内では,以下の2病院で先ず診察を受け,病状によっては専門病院を紹介されます。専門病院を直接受診するのは緊急時か特別の紹介状を持参した場合に限られます。その他,遠隔地ではその限りではありませんが,最終的には以下の医療機関に移送されます。

ハバナ市内

(1)Clinica Central CIRA GARCIA(シーラ・ガルシア)
所在地:Calle 20 No. 4101 esq. 41 Playa. La Habana, Cuba.
日本大使公邸から直近内陸側。道路をはさんで対面にインターナショナルドラッグストアーあり。
電話:(7)-204-2811~14,緊急:(7)-204-2402,Fax:(7)-204-2640
概要:外交団が最も多く利用する医療機関。24時間体制。ICU完備,ベッド数43床の総合病院(心臓カテーテルが必要な循環器疾患、熱傷、出産以外は診療)。医療機材は,不足傾向ですが最新型の検査機器を有する診療科もあります。手術が必要となった場合,科によっては専門病院に紹介されることもあります。短時間の待ち時間や特定の診療科を希望する場合は,電話予約が望ましいです。診療担当医は,近隣諸国への海外出張など不在することもあり,専門医紹介まで時間を要することがあります。日本語は不可。 外国人料金が設定されていますが,下記のCIMEQ病院とほぼ同額です。現金支払いの場合は,兌換ペソ(CUC)のみ使用可能で米ドルやユーロは使えません。またクレジットカードは使用可能ですが,米国発行・決済のクレジットカードは個別に病院およびカード会社への事前確認が必要です。外交団関係者の入院には保証金は要求されませんが,一般旅行者は要求されることがあります。
(2)CIMEQ(Centro de investigaciones Medico Quirurgicas)(シーメック)
所在地:Call 216 esq.13 Siboney, Playa Ciudad de La Habana, Cuba.
パベスポ展示場付近。道路標示があります。
電話:(7)-858-1000,外国人用インフォメーション:(7)-858-1128,Fax:(7)-271-7668
概要:キューバ政府や軍関係者が主に利用している内務省の総合病院。24時間体制。外国人の受診も可能ですが,緊急時以外の受け入れは積極的ではありません。循環器科・脳神経科専門医が常時勤務しているので,心臓発作や脳血管障害の場合には,迅速な診療が可能です。病床数は134床で,外国人専用入院ベッド数は24~26床。日本語不可。支払い方法は,上記と同様で米国発行・決済のクレジットカードは個別に事前確認が必要です。
(3)Clinica Internacional Siboney
所在地:Calle 17 entre 200 y 202, Siboney
電話:(7)-271-8645,緊急:(7)-271-3497
概要: 黄熱ワクチンの接種が可能な施設で,イエローカード(接種証明書)の発行も行っています。狂犬病ワクチンも在庫があれば接種可能。ワクチン接種希望の場合,事前に在庫の問い合わせが必要です。

バラデロ

 ハバナ市内から車で2時間のキューバ最大の観光地です。

(1)Varadero Clinica internacional(バラデロインターナショナルクリニック)
所在地:Calle 61 y 1ra Ave, Varadero, Matansas, Cuba.
バラデロの繁華街に位置し,24時間営業のインターナショナルドラッグストアーも併設されています。
電話:(45)-66-7710/66-7711/66-7704,緊急:(45)-66-8611
概要:医師200名が所属する24時間体制のクリニック。緊急入院の施設はありますが,手術や長期の入院が必要な場合は,救急車でハバナの病院まで移送されます。バラデロの5つ星ホテルには,医師1名と看護師1名が常駐し,薬局もあります。上記医療機関と同様に,米国発行・決済のクレジットカードは個別に事前確認が必要です。日本語不可。

9 その他の詳細情報入手先

(1)Informed, Portal de Salud de Cuba(キューバの医療情報一般):http://www.sld.cu別ウィンドウで開く

(2)Instituto de Medicina Tropical“Pedro Kouri”(熱帯医学研究所):http://instituciones.sld.cu/ipk/別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

  • 医師 (女医): Doctor (ドクトール) (Doctora ドクトーラ)
  • 飲み薬: Medicamento (メディカメント)
  • 注射: Inyeccion (インジェクシオン)
  • 頭痛: Dolor de cabeza (ドロール・デ・カベッサ)
  • 胸痛: Dolor en el pecho (ドロール・エン・エル・ペチョ)
  • 腹痛: Dolor de estomago(ドロール・デ・エストマゴ)
  • 下痢: Diarrea (ディアレア)
  • 発熱: Fiebre (フィエブレ)
  • 吐き気: Nausea (ナウセア)
  • 傷: Herida (エリーダ)
  • 具合が悪い。: Me siento mal (メ・シエント・マル)
  • 病院へ連れて行って欲しい。: Me puede llevar a un hospital (メ・プエデ・ジェバール・ア・ウン・オスピタル)

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