2010年10月
アルゼンチン共和国(ブエノスアイレス)(国際電話国番号54)
アルゼンチンは南緯22度~55度にまたがる南北に長い国で、北部のサバンナ気候~温暖湿潤気候、中部の乾燥したステップ気候、南部パタゴニアの砂漠気候~寒冷気候、また西部アンデス山脈の高山気候とバラエティに富んでいます。
首都ブエノスアイレスは地球上で京都のほぼ真裏に位置し、四季は日本と逆転していますが、気候は概しておだやかで過ごしやすい都市です。夏期(1~3月)の平均気温は24℃、冬期(6~8月)の平均気温は10℃です。ただし日内の温度差が激しく、夏期でも日没後に肌寒くなることがしばしば見られます。また、季節の変わり目には突然の雷雨がくることもあります。冬期には非常にまれに雪が降りますが積雪はありません。
ブエノスアイレス首都圏での衛生状態は比較的良く保たれ、医療水準も一部私立病院を中心に欧米先進国に匹敵するレベルが見られます。ただし、首都圏外の地方や国立・州立の公的医療施設では医療水準は低く設備も不十分なものが多いのが現状です。国民向けに健康保険制度はありますが、日本のような皆保険にはなっておらず、日本人が利用する事は困難です。旅行者・出張者は海外旅行傷害保険に加入しておいた方がよいでしょう。
首都内の上水道は完備していますが、ラプラタ川の泥水を浄化しているので、病原菌は検出されないものの微細な砂が混じっています。飲用できますが浄水器で濾過する方がよく、飲用には市販のミネラルウォーターをお勧めします。
農業国のため、野菜・果物・乳製品・肉・卵・ワインなどは豊富で、食品の衛生管理はよく、市内のスーパーマーケットや一般食料品店、肉屋、八百屋で購入する分には問題ありません。レストランも通常レベルの店であれば、問題なく食事できます。中華街では日本食品も売られていますが、インスタントラーメン、漬け物、調味料などには賞味期限を過ぎた物もまま見られます。
ブエノスアイレス市内は極めて交通量が多く、特にディーゼル車が普及しているため、大気汚染が進んでいます。春先(9~10月)や秋口(3~4月)には花粉症に悩む方もあります。
一般的な家庭薬や慢性疾患に対する薬でも、たいていのものは処方箋がなくとも薬局で購入できますので、自分に合った薬を長期服用している方は、薬の一般名を英語かスペイン語でメモして持っておくとよいでしょう。
首都圏内の自動車の運転はとても乱暴で、車間距離をとらず、また車線を守らない車も多いため連日事故が絶えません。「歩行者優先」という概念はまったくなく、横断歩行者用の信号が青でも、右折・左折の車が歩行者に向かってかまわず突っ込んできます。ブエノスアイレスの大通りは皆広く、高齢者や子供連れでは1回で渡りきれないこともあり、無理せず途中の「分離帯」で待つ方が安全です。
バスの運転も手荒で、乗客が乗車しきらないうちに発車したり、停車する前からドアを開いたりすることもまれではありません。バスから振り落とされないような注意も必要です。
自分で運転をする際には、中央線を越えて追い越しをする対向車や急に直前に割り込む車との衝突、ラッシュアワーでの追突などにも注意が必要です。
常在菌の種類が日本とは異なるため、また水質の違いから短期滞在者では疲労時などにしばしば下痢を催すことがあります。コレラや赤痢のような重篤なものではありませんが、十分な水分摂取と休養にも気を配ってください。特に発泡性のミネラルウォーターは硬水であるため、多く摂り過ぎると下痢を起こしやすくなります。
また、路上や屋台で売っている食品では衛生管理が十分でないことも多く、購入を避けた方が無難です。上下水道が十分に完備していない農村地帯や貧困層の住む地域では、A型肝炎・細菌性赤痢・腸チフスなどの発生も見られています。
ブエノスアイレスでは、日内の気温差が激しく、また空気が乾燥し排気ガスによる大気汚染もあるため、喉の違和感から始まってカゼをひくことが多いです。日没後の気温低下に備えて夏でも上着を1着準備しておく方が無難です。旅行や出張でこられる方は、市販のカゼ薬やのど飴なども持参しておく方がよいでしょう。
外出から戻ったときや食事の前には流水で手を洗う、うがいをするなどの予防にも心がけてください。毎年5月~8月の冬の時期はインフルエンザが流行します。2009年は日本同様アルゼンチンでも新型インフルエンザが大流行し、約600人が死亡しました。
毎年秋~冬にかけて、学齢期の小児の間で髄膜炎菌やインフルエンザ菌bによる細菌性髄膜炎の散発が見られます。ブエノスアイレス市内でも年に50件前後の発生があり、このうち治療開始が遅れて死亡する学童が10例ほどに達します。初期症状はカゼと変わりませんが、乳幼児や学童で発熱とともに頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害の傾向などが見られたら、すぐに病院を受診することをお勧めします。
夏場に日中(特に明け方と夕方)、蚊に刺されることによりおこるウィルス感染症です。2008年末~2009年6月にかけて、北部およびパラグアイ国境地域で大きな流行が見られました。蚊に刺された後、3~15日(通常5~6日)の潜伏期間を経て、突然の発熱が起こります。38~40度の高熱が5~7日間続き、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛を伴い、薄いピンク色の発疹が出ることもあります。通常、症状が現れてから自然軽快するまでの期間は7日間前後です。
まれに「デング出血熱」と呼ばれる重篤な状態になることがあります。口や鼻、消化管などの粘膜からの出血を伴い、通常でも10%前後、適切な手当がなされない場合には40~50%が死亡するといわれています。
デング熱には有効な予防接種や予防薬がないため、北部の亜熱帯地域に旅行される場合には、長袖シャツ・長ズボンを着用し、肌の露出部分には虫除けスプレー等を2~3時間おきに塗布するなど、蚊に刺されないための予防が必要です。
突然の高熱や頭痛、関節痛や筋肉痛、発疹等が現れた場合には、デング熱を疑って直ちに病院を受診してください。
年によって流行状況が異なりますので、事前の情報入手に努めてください。
2008年3月、ブラジル、パラグアイとの3国国境地帯であるミシオネス州において、アルゼンチンでは42年ぶりに黄熱病の発生が確認されました。この地域にある「イグアスの滝」は観光名所として有名で、多くの日本人旅行者も訪れる場所です。
潜伏期間は3~6日で、軽症から重症まで様々な症状(発熱、頭痛、嘔吐等)を起こしますが特効薬などはなく、対症療法が主となります。予防法は、予防接種を受けること、予防接種を受けていない場合は蚊に刺されないようにすることです。
現在、アルゼンチン保健省では、入国に際して「黄熱病予防接種証明書(イエローカード)」の携行を義務付けたり予防接種の推奨等特段の措置はとっていませんが、特に蚊の多い夏場にミシオネス州へ渡航を予定されている方は、念のため黄熱病予防接種を受けることをお勧めします。
アルゼンチン北部に散発する風土病で、トリパノソーマという原虫による感染症です。発熱・浮腫・リンパ腺炎などの症状が出ます。サシガメという昆虫に夜間刺されることにより感染しますので、粗末な家で就眠する場合などは、殺虫剤・蚊帳など用いて防虫対策を十分に行ってください。サシガメは石壁の割れ目などに日中棲み、夜間吸血活動をします。通常のホテルで宿泊する場合には感染の機会は少ないと思われます。
野生ネズミの糞尿中に排泄されたウィルスによる感染症で、汚染された土ぼこりを吸い込むことによって感染します。突然の発熱・頭痛・悪寒の後、呼吸困難を生じます。致死率が高いので、罹患したら早期に入院治療が必要です。非常にまれですが、感染して咳き込んでいる人と長時間接触した場合に、人から人へも伝染することがあります。
通常は、野外テントで暮らすか貧民街で生活するなどしない限り、一般の旅行者が罹患する可能性は少ないと思われます。
WHOの統計によれば、2007年の15歳以上のHIV感染者数は、人口10万人当たり約500人で、感染者は依然として首都を中心に増え続けています。感染経路は、性行為55%、薬物注射40%となっています。
アルゼンチン保健省では輸血用血液のHIVスクリーニングを100%行っているとのことですが、輸血血液による感染率のデータはありません。日本と比較した検査の厳密性は不明のため、輸血を受けるような事態(事件・事故による大きな外傷など)に陥らないように注意することも必要です。B型肝炎に対しても同様の注意が必要です。
狂犬病ウィルスを持った野生動物に咬まれることにより感染します。咬まれてから発症するまでの期間はまちまちで、数日から数ヶ月にわたります。いったん発症すると有効な治療法はなく、ほぼ100%近い致死率になります。
サルタ州、フフイ州など北部の州において年に数例発生しています。2008年4月、ブエノスアイレスで27年ぶりの発生がありました。国内での犬の件数は、2008年26件、2009年6件、2010年1件(8月現在)と減少傾向です。
動物に咬まれた場合には、直ちに最寄りの病院を受診し、暴露後免疫の注射を受けることをお勧めします。
北部のコルドバ州では年40件余のサソリ被害が出ています。
北東部の森林地帯や、南部パタゴニアの荒野に入るときには、他にもムカデなどの節足動物や蛇などの爬虫類に対する注意も怠らないようにしてください。
紫外線:最近の調査では、南極のオゾンホールが拡大して、ブエノスアイレス近くまで強い紫外線に曝されることもおきるようになりました。夏場の旅行では特に日差しが強いため、紫外線対策が必要です。南部パタゴニア~南極への旅行を計画する場合には必須です。
糞害:ブエノスアイレス市内では犬を飼う人が多く、これらの犬が散歩中に糞をまき散らします。9割以上のアルゼンチン人は後始末をしないため、糞はそのまま放置されます。道路歩行に際しては糞を踏まないよう注意が必要です。糞を踏んだ靴はその後室内のカーペット等でダニ、カビの発生母地を提供することにもなり極めて非衛生的です。乾期には路上の糞が粉塵となり、風の強いときなど空中に舞うこともあるため、外出後は必ず手洗い・うがいを励行する習慣をつけましょう。
入国時に必須の予防接種はありませんが、成人・小児ともにA型肝炎、B型肝炎、破傷風の予防接種は受けてくることをお勧めします。
| 初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
|---|---|---|---|---|---|
| BCG | 生直後 | ||||
| B型肝炎 | 生直後 | ||||
| ポリオ(OPV) | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | 18ヶ月 | 6歳 |
| 5種混合(DTP+Hib+HB) | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | ||
| A型肝炎 | 12ヶ月 | ||||
| Triple Viral(SRP) | 12ヶ月 | 6歳 | |||
| 4種混合(DTP+Hib) | 18ヶ月 | ||||
| 3種混合(DTP) | 6歳 | ||||
| 2種混合(DT) | 11歳 |
※5種混合(ジフテリア+破傷風+百日咳+インフルエンザ菌b+ B型肝炎)、
4種混合(ジフテリア+破傷風+百日咳+インフルエンザ菌b)、
3種混合(ジフテリア+破傷風+百日咳)、
2種混合(ジフテリア+破傷風)
Triple Viral(ムンプス+麻疹+風疹)
基本的には、入学時点の年齢までに済ませておくべき上記の定期予防接種が終了しているという証明が必要であり、不足分は追加接種が要求されます。しかし、学校のチェック体制が不徹底のため、いくつか不足していてもそれを指摘されないことも多いです。
日本のように月齢、年齢を指定しての健診は行われていません。
所在地:Avenida Pueyrredón 1640
電話:(011)-4827-7000
概要:全220床、医師数380人の全科対応の総合病院。設備、医療水準とも日本の一流病院並みです。契約している人の診療が基本のため、契約者以外の緊急受診の際には支払い能力を証明する物(クレジットカード、海外旅行傷害保険の証書など)の提示を求められるか、検査のつど検査料金の先払いを要求されます。一部の医師・技師は英語・ドイツ語を話しますが、殆どの職員はスペイン語のみです。土日の一般診療は休みですが、救急外来は全日24時間オープンです。
所在地:Avenida Independencia 734
電話:(011)-4300-2904/2026、 ファックス:(011)-4300-3180
概要: 日系人医師によって運営されている外来診療専門のクリニック。内科・外科・産婦人科・小児科・消化器科・皮膚科・腎臓科などがありますが、各科診察は曜日により異なるため電話で確認が必要です。だいたい日本語が通じます。月曜~金曜の9時から13時が診療時間で、土曜、日曜は休みです。邦人・日系人の緊急の場合は、ここの前田ヒデヤス医師(携帯電話番号:市内から15-4449-2450、市外から011-4449-2450、日本語可)に連絡すると、病院の手配などをしてくれます。
所在地:Avenida Pueyrredón 1461(ドイツ病院の筋向かい)
電話:(011)-5239-6000
概要:産科を中心とした会員制私立総合病院。入院はすべて個室。産科の開業医から出産時に入院紹介されることが多いようです。
所在地:Mansilla 3451, Piso 1,"10"
電話:(011)-4825-1891
概要:日本に留学経験のある女性内科医。日本語での受診可。受付は日本語不可。
所在地:Tte.Gral. Juan D.Peron 1730, Piso 7,"78"
電話:(011)-4373-0809
概要:日本語での受診可。受付は日本語不可。
所在地:Montevideo 979, Piso 4
電話:(011)-4812-8935
概要:日本人学校の校医を勤める女性小児科医。日本語での受診可。
診察日:月曜、水曜、金曜の午後。
所在地:Enrique Martinez 2246, 1-C
電話:(011)-4541-0597
概要:日本語は堪能で、必要に応じて往診可。
所在地:Avenida Puyrredón 768, Piso 2
電話:(011)-4961-6191
概要:邦人の診察経験のある医師。英語可。お産に際しては総合病院入院先を紹介。
診察日:月曜~金曜の午後
所在地:Avenida Cabildo 1708, Piso 3"D"
電話:(011)-4783-1655
概要:日本留学経験のある女性歯科医師。カタコトですが日本語可。
診察日:月曜、火曜、木曜、金曜。
所在地:Manuel Ugarte 3893, Piso 1"F"
電話:(011)-4543-6589
概要:日本で小児期を過ごし、広島大学留学経験もある女性歯科医。日本語可。
在アルゼンチン日本国大使館:http://www.ar.emb-japan.go.jp/index_j.htm ![]()
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