2010年10月
ネパール連邦民主共和国(カトマンズ市、ポカラ市)(国際電話国番号977)
ネパールの気候は亜熱帯性気候で、雨季(モンスーン:6月から9月)と乾季(10月から5月)に分かれています。地理学的変化に富み、北のヒマラヤ山岳地帯、中部の丘陵地帯、インドとの国境を接するタライ平野地帯に分けられます。首都カトマンズは海抜1,300mに位置します。夏の最高気温は30度、冬の最低気温は2度です。昼夜の気温差は約18度です。
ネパールの上水道は不完全であり、また、下水システムは存在せず、トイレの普及率は20%と不衛生な環境にあります。水を介する感染症(腸チフス、赤痢、A型・E型肝炎ほか)が雨期を中心に多発し、これによる死亡例は、貧困層を中心に年間360例以上と報告されています。乾季には大気汚染も深刻です。
ネパールでは、医師はカトマンズに集中していて、地方では医師が不足しています。病院には私立と公立があります。在留外国人、旅行者は清潔度、看護のあり方、支払い方法などの点から私立医療施設を利用しています。医師とは英語の会話になります。重症である場合には、日本、シンガポールあるいはバンコックで医療を受けることになります。高山病に罹った場合はヘリコプター移送となります。不慮の病気、トレッキング中の事故、病気に備えて、当地に旅行する前に緊急移送特約を含んだ海外旅行傷害保険への加入をお薦めします。
(1)感染性胃腸炎(下痢症):最もよく罹る病気です。下痢のみの場合には、しっかり水分を補いましょう。紅茶に砂糖を入れて飲む、ソフトドリンクを清潔な水で薄めて飲みます。濃い色の尿が通常の色に変わるまで水分を補給してください。下痢止めを服用しないのか通常です。しかし、下痢に血液、粘液が混ざっている、熱がある、吐き気がある、腹痛がひどい、胃痙攣を伴う、便が臭う、これらの場合には医師を受診してください。雨季の腸チフスも注意が必要です。
(2)ウイルス性肝炎:ネパールで注意を要するウイルス性肝炎には経口的に感染するA型肝炎、E型肝炎と、血液等を介して感染するB型肝炎、C型肝炎があります。A型、E型肝炎は年間を通して発生していますが、特に雨季に患者の増加がみられます。一般に感染してから約1ヶ月以上の潜伏期間を経て、38℃前後の発熱、食欲不振、倦怠感、黄疸などの症状が現れます。A型肝炎・B型肝炎の予防としてワクチン接種が勧められます。
(3)狂犬病:ネパールでは近年、人と犬に対するワクチン接種が行われるようになり減少しつつあります。主な感染源は犬、猿、猫、ジャッカルなどですが、犬による咬傷が殆どです。野犬や野生動物等に噛まれないように注意することが必要で、特に野犬が活動的になる夜間の徒歩での外出を控えることが大切です。また野犬や野生動物に咬まれた場合には、直ちに傷口を石けんと流水で十分洗い、エタノールなどで消毒し、医療機関を受診して暴露後免疫のスケジュールに従ったワクチン接種を受けることが必要です。ただし噛んだ動物が10日間健康であることが確認された場合はその後の処置を中止できます。
(4)マラリア:ネパールの75郡のうち65郡でマラリアは風土病となっており年間約4-6千人が発症しています。多くはモンスーン時期の発症です。 約70%が三日熱マラリアで、約30%が熱帯熱マラリアです。マラリア予防薬としてネパールではクロロキンとプログアニールの併用が薦められています。入手は当地医療機関で可能ですが、流行地滞在期間、副作用、発病後に近くに治療を受けられる医療機関があるか否か等を考慮して服用を判断することになりますので、希望される方は医療機関に相談されることを勧めます(下記クリニックで可能)。マラリア流行地域を旅行する際は、蚊に刺されないように、虫よけスプレー、蚊取り線香や蚊帳の使用、夜間外出時は長袖、長ズボンを心掛ける必要があります。
(5)日本脳炎:タライ地域で夏に流行がみられます。蚊によって媒介されるウイルス性疾患で、感染から脳炎の発症までの潜伏期間は5-15日です。一般に頭痛を伴った突然の高熱で始まり、倦怠感や食欲不振、悪心、嘔吐を伴います。この感染症は感染しても発病しない“不顕性感染"が多いとされていますが、発病すると高い確率で後遺症を残し、死に至るケースもあります。流行地に滞在される方は事前の予防接種が勧められます。
(6)高山病:高山病は、高所における低い大気圧の酸素濃度に身体が順応できないことによって発症します。高度に対する感受性は人によって個人差がありますが、2,500m位から注意が必要です。対策として(イ)ゆっくり登ること。(ロ)3,600m、4,300m地点で最低1日の高度順応日を設ける。(ハ)十分な水分補給(1日3L以上)。(二)高山病の症状である頭痛、不眠、食欲不振、吐き気、手足や顔のむくみ、めまいが生じたら、それ以上は高度を上げない。そして症状が軽快しない場合は一晩待つことなく、高度を下げる必要があります。(ホ)ヘリコプター移送となる場合もあります。事前に海外障害保険に加入しておくことが重要です。
人気のあるトレッキングコースでは、期間中のみ欧米医師がペリチェとマナンの診療所に常駐しています。予防薬としてダイアモックスがあります。事前に医師に相談して、服用方法、副作用について理解しておく必要があります。
(1)手洗い、うがい:感染症予防の基本です。
(2)食事に注意:飲み水、氷、サラダ、生もの、牛乳、ヨーグルト、古い油で揚げた食品は気を付けてください。
(3)野犬に注意:カトマンズでは野犬が多く日中でも注意が必要です。路上で寝ている犬に手を出さないこと、踏んづけないこと。夜間は野犬の活動が活発になりますので、徒歩での外出時は更に注意が必要です。
(4)南部タライ地域では昆虫・毒蛇に注意:蚊対策をしてマラリア、日本脳炎を予防しましょう。毒蛇による被害の4分の3は日暮れから夜明けまでの時間帯に生じています。
(5)高山病対策:トレッカーは十分な高山病の予備知識をつけておいてください。
(1)赴任者に必要な予防接種:日本からネパールへの入国に際して義務づけられている予防接種はありませんが、健康管理の点から、A型肝炎・B型肝炎・破傷風・日本脳炎の予防接種が薦められます。小児は日本の定期予防接種に加えて、B型肝炎・ポリオの追加の予防接種が勧められます。
(2)当地の小児定期予防接種一覧
| 1回目 | 2回目 | 3回目 | |
|---|---|---|---|
| BCG | 出生時 | ||
| DPT | 6週 | 10週 | 14週 |
| ポリオ(経口) | 6週 | 10週 | 14週 |
| 麻疹 | 9ヶ月 |
| 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 追加接種 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| DPT | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | 15ヶ月 | 4〜6才 | 14〜16才 TDのみ |
| ポリオ(経口) | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | 15ヶ月 | ||
| MMR | 15ヶ月 | |||||
| インフルエンザb菌 | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | 15ヶ月 | ||
| B型肝炎 | 出生時 | 1〜2ヶ月 | 6〜18ヶ月 |
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
当地では入学に際し、予防接種証明を求めている学校もあります。
(例)Lincoln school:ジフテリア、破傷風、麻疹、ポリオの接種証明及びツベルクリン反応の結果。
乳児検診は行なわれていません。
所在地:British Embassy road lainchaur、英国大使館の前
電話:01-4424111
概要:居住外国人がよく利用し、海外保険契約クリニックでもあるため、対処が迅速正確です。24時間受け入れ可能ですが、17時以降はオンコールとなります。小児救急受け入れ可能。各種ワクチン接種も出来ます。初診料は$50。他に検査・治療費が掛かります。
ホームページ:http://ciwec-clinic.com![]()
所在地:Lal Durbar, Kathmandu、王宮南門(South Gate)の向かいの路地を入った所にあります。タメルから徒歩で行けます。
電話:01-4434642、4435357
概要:9:00-15:00日−金、土曜日はオンコール。内科、皮膚科、高山病の専門家がいます。会話は英語となります。各種ワクチン接種も可能です。風邪・下痢・小さな怪我などでは、受診し易いクリニックです。
所在地:Thapathali, Kathmandu、パタンへ行く道のタパタリ橋の手前を左に曲がった所にあります。
電話:01-4258554
概要:心臓内科を専門にしている私立病院です。24時間受け入れ可能。小児救急受け入れ可能。
所在地:Balaju Ring Road Chowk、Lekhanath Margを北西に行き、Ring Roadとの交差点近くです。
電話:01-4366301~5
概要:医療検査機器が揃っています。
所在地:Gwarko, Lalitpur, Kathmandu、パタンの南東リングロード沿いにあります。
電話:01-5531930、5531933
概要:外科、整形外科、泌尿器外科を専門としています。24時間受け入れ可能。
ホームページ:http://www.bbhospital.com![]()
所在地:Chabahil, Kathmandu、カトマンズの東リングロード沿いにあります。リングロードをMaharajgunjから空港の方へ行き、Dhobi Khola川を越えた右側にあります。
電話:01-4476225、4466178、4466179
概要:産婦人科が有名な病院です。多くの医師は非常勤であり、診療時間は医師により異なります。24時間受け入れ可能。
所在地:Lazimpat, Kathmandu、日本大使館の前の道と王宮北側の道の交差点角にあります。
電話:01-4420800
概要:10時30分-18時00分 日曜日−金曜日。カトマンズでは清潔で衛生的な歯科医院です。会話は英語で行われます。
ホームページ:http://smilenepal.com![]()
所在地:Natole, Pulchowk, Lalitpur-21、プルチョウクのウエスタン・アショカ・ストゥーパからマンゴル・バザルへ抜ける道の左サイド。パタン広場の少し南に位置します。
電話:01-5534677, 5551465
概要:8時00分-12時00分, 14時00分-20時00分。歯科・口腔外科のドクターは日本語OK。
以下の病院がありますが、応急処置を受けた後はカトマンズの病院にて治療を受けられることを勧めます。
所在地:Ramghat, Pokhara
電話:061-520066、520067
概要:ポカラ地方の大きな公立病院です。
所在地:Phulbari, Pokhara
電話:061-526416、526417
概要:私立の大学病院です。CT検査装置や放射線治療装置があり設備は整っています。
所在地:Srijana Chowk
電話:061-532686、532685
概要:私立病院です。
| 医師名 | 連絡先 | 所属・専門 |
|---|---|---|
| Dr. Gajendra Baniya Chhetri | 98510-23338 | トリブバン大学教育病院・心臓内科医 |
| Dr. Ansari Mukhtar Alam | 98510-60170 | トリブバン大学教育病院・放射線科医 |
| Dr. Rohit Kumar Pokharel | 98510-76024 | トリブバン大学教育病院・整形外科医 |
| Dr. Rameshwar Pd. Pokharel | 98510-64927 | カンティ小児病院・小児外科医 |
| Dr. Y.P.Singh | 98510-53644 | トリブバン大学教育病院・消化器外科医 |
| Dr. Pradeep Vaidya | 98510-41119 | トリブバン大学教育病院・消化器外科医 |
| Dr. Prakash Sayami | 98510-56383 | トリブバン大学教育病院・胸部外科医 |
| Dr. Ranjeet S. Baral | 98510-53577 | ガンガラ国立心臓病院、循環器内科医 |
| Dr. Basant Pant | 98511-00445 | カトマンズモデルホスピタル・脳外科医 |
| Dr. Basu Dev Pandey | 98510-65451 | 国立感染症病院・感染症専門医 |
| Dr. Shakti C. Shakya | 01-5534677 | Family Health Clinic、歯科・口腔外科 |
在ネパール大使館ホームページ:http://www.np.emb-japan.go.jp/jp/index.html![]()
医師・・・ドクタ
薬・・・アウサディ
注射・・・スーイ
下痢・・・パカーラ、ディサ
傷・・・ガウ
吐き気がする・・・ワクワク ラグネ
頭が痛いです・・・タウコ ドゥクチャ
胸が痛いです・・・チャティ ドゥクチャ
お腹が痛いです・・・ペト ドゥクチャ
熱がある・・・ゾロチャ
具合が悪い・・・サンチョ サイナ、
病院へ連れて行って下さい・・・アスパタ リエラ ザムス
高山病(高山でやられた)・・・レク ラゲコ
凍傷(雪でやられた)・・・ヒウンレ カエコ
蛇に噛まれた・・・サルパレ トケコ
犬に咬まれた・・・ククルレ トケコ
下痢をしている・・・ディサ ラゲコチャ
注射してください・・・スーイ ラガイ ディヌス