2010年10月
パキスタン・イスラム共和国(カラチ市)(国際電話国番号92)
カラチは、一年を通して非常に暑い日が多く、5月、6月には40℃を超えることがあり、熱射病や脱水には留意する必要があります。また、いったん雨が降ると道路は容易に冠水し、停電や自動車、電話回線のトラブルが頻発し、衛生状態も悪化します。テロや爆弾事件頻発しており、夜間だけでなく日中も単独の外出は控えましょう。交通事故も多発し、集まってきた周囲の人間が暴徒化することがあります。上・下水道のインフラは劣悪で、冠水などで下水が上水道に混入しやすい構造となっており、大腸菌群を始め、肝炎ウイルスや寄生虫が高率で混入しています。このため、たとえホテルの食事でも水道水が混入しているような物の摂取は控えてください。すなわち、加熱されていない生もの(氷、アイスクリーム、生野菜など)には注意が必要です。水道水はそのままでは絶対に飲まないようにしてください。外食の際はよく熱が通されたものを口にするようにしましょう。パキスタン料理は香辛料と油が多く、それだけで消化不良や旅行者下痢症(いわゆるパキ腹と呼ばれる状態)に陥りやすくなります。
外国人が受診できる水準の病院は限られており、後述の病院・クリニックには英語で受診できます。病院受診時はまず、ReceptionでIDカードを作成し、次にカルテを作成し、受診手続きをとります。Consultationで問診、診察を受け、必要な場合にはX-rayでレントゲン写真を撮り、Laboratoryで採血をし、データを持って再度医師と話をするなど自分でいろいろ移動しなければならず、初めての受診の場合、日本とのシステムの違いに戸惑います。医師より次回の受診の日時の指定があっても、自動的に予約が成立している訳ではなく、受付で予約を取り予約票をもらう必要があります。
(1)旅行者下痢症: 水様の下痢で発症します。狭義には香辛料や油などの刺激で起こりますが、広義には感染を伴い腹痛、発熱などがあります。現地の薬剤は安価で、抗生剤なども薬局で容易に購入できますが、偽薬も多いとされており服用には注意が必要です。日本から持参した薬で症状が改善しない場合には、信頼できる病院を受診する方がよいでしょう。
(2)A型肝炎: 経口感染後、2~4週の潜伏期間で発症します。非常にだるく、食欲不振を訴え、黄疸と褐色尿を伴います。通常入院しての治療が必要となります。
(3)腸チフス・パラチフス: 1~2週の潜伏後、発熱があり4週で解熱しますが、一部重症化します。腸管感染症というより熱性疾患です。日本国内でも一部の施設で輸入ワクチンの接種が受けられますが、現地でも可能です。
(4)その他:カラチ市内もマラリアの流行地ですが、在留邦人からは発生しておらず、環境のよい市内中心部の滞在に限れば予防薬服用は不要と考えます。 しかし、デング熱同様、蚊に刺されないように十分な注意が必要です。日本脳炎もパキスタンの一部地域では発生しています。また世界でも数少ないポリオの流行地ですので、ポリオワクチンの追加接種も検討する必要があります。特に昭和50~52年生まれの方はポリオの抗体価が低いことがわかっていますので十分な注意が必要です。他には赤痢、ジアルジア、コレラ、その他の肝炎、結核(多剤耐性化が進んでいる)、蟯虫症、狂犬病(世界第3位の発生者数)、破傷風、クリミア・コンゴ出血熱などが存在します。
当地の日差しは極めて強く、充分な紫外線対策が必要です。また、脱水を伴う熱中症になり易いので、水分の摂取を心掛けて下さい。きちんと尿量が出ているか、また、尿の濃さが目安となります。砂塵がひどく、粘膜が乾燥し出血し易いのでマスク・サングラスの着用が必要なこともあります。交通事故にはくれぐれも注意して下さい。逆走してくる車も存在します。また、怪しげなものは口にしないほうがよいでしょう。
A・B型肝炎、破傷風が必要です。狂犬病は、咬まれた後は必ず必要になりますが(暴露後接種)医療アクセスが悪い場所や動物に関わる場合には、できれば事前にも接種しておいてください(暴露前接種)。小児ではDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)I期の追加(計4回)とBCG、ポリオ(2回)を終了しておいたほうがよいでしょう。赴任が決定したらはじめに記した4種を1ヶ月間隔で2回同時接種します。日本国内の接種基準がありますので、詳細は各医療機関で確認して下さい。農村部に行く予定がある場合には日本脳炎を追加接種します。腸チフスワクチンは当地でも接種可能です。インフルエンザ桿菌(b)は、当地にて接種可能です。またカラチでは抗生剤の耐性菌が増えていますので、予防接種で防げる病気はなるべくワクチン接種を受けておくようお勧めします。医療機関で事前に計画を立てて、渡航前に効率よく接種を済ませるようにして下さい。
現地の予防接種は基本的ににEPI(expanded Programme on Immunization)に準じて行われています。
| ワクチンの種類 | 年齢 | 回数 |
|---|---|---|
| BCG+経口ポリオ | 0~6週 | 1回 |
| DPT+経口ポリオ | 6週 | 3回(4~6週間隔) |
| 麻疹(はしか) | 9ヶ月 | 1回 |
| MMR | 15ヶ月 | 1回 |
| DPT/DT+経口ポリオ(初回ブースター) | 18ヶ月 | 1回 |
| DPT/DT+経口ポリオ(2回目ブースター) | 4.5歳 | 1回 |
その他、必要に応じて風疹、チフス、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、B型肝炎を随時単独で行う。
| ワクチンの種類 | 接種方法 |
|---|---|
| DPT+経口ポリオ | 4~8週あけて3回 |
| DT+経口ポリオ(初回ブースター) | 上記から1年後 |
| MMR | 初回DPT+経口ポリオと同時に |
| ワクチンの種類 | 接種方法 |
|---|---|
| DT+経口ポリオ | 4~8週あけて3回 |
| DT+経口ポリオ(初回ブースター) | 上記から1年後 |
| MMR | 初回DT+経口ポリオと同時に |
上記BCG、DPT/DT、ポリオ、MMR(麻疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)、風疹)の接種日の証明を要求される場合があるので、あらかじめ医師の接種証明(英訳)を準備しましょう。ツベルクリンの反応の結果も同様に記載した方がよいと思われます。赴任前に渡航前接種をされる方は、その時に母子手帳を持参しすべて英訳したものをもらうとよいでしょう。
出産時にワクチンの予定や成長に関する冊子を貰うようです。年齢で受診するのではなく、保護者が判断して受診する形のようです。ワクチン接種等は、日本で済ませてこられる事をお勧めします。低所得者向けの病院では無料のところもあるようですが、衛生面や診断面で不安があるため、有料の医療機関での受診を強くお勧めします。政府や州の援助は期待できず、料金は医療機関によりまちまちのようです。
所在地:Behind Indus Valley School of Art and Architecture, Off Shara-e-Saadi, Street 11, Block2, Scheme5, Clifton, Karachi
電話番号:(92-21)-3925-0051, (92-21)-3582-2801
概要:2階建ての比較的新しい建物です。1階には総合診療部、2階には眼科、歯科、耳鼻科があります。午前9時から午後9時はMain Entranceから入り、ReceptionでIDカードを作ります。時間外は向かって右手のEmergencyより入ります。横浜労災病院附設のJOHACや他の先進国で研修してきた医師、看護師、検査技師がおり医療水準は高いです。他の病院と比べて、衛生的であり、多くの邦人が受診しています。英語のみ、日本語不可。入院施設なし、外来のみ。クレジットカード支払い可。
所在地:Stadium Road, Karachi
電話番号:(92-21)-3493-0051
ファックス: (92-21)-3493-4294
概要:前述のCMSの本院でCT、MRI、血管造影、胃透視、内視鏡検査などの精密検査が必要な場合は指示に従い、こちらを受診します。ただ、市街地より離れているうえ、1日に1,000人以上の外来患者が受診し、混雑しています。軽症の場合、受診は勧められません。全科、24時間受け入れ可能です。英語のみ、日本語不可。入院施設あり。
医務官電子メールアドレス:cgjapan-medical@cyber.net.pk
総領事館医務室電話: (92-21)-3522-0800(代表)
カラチ市内での医療に関する相談がある場合には、電子メールや電話でご連絡ください。受診に付き添うことが可能な場合もあります。
現地語(ウルドゥー語等)がありますが、英語で十分です。