在外公館医務官情報

カンボジア

2010年8月

1.国名

 カンボジア王国(プノンペン,シアムリアップ)(国際電話国番号855)

2.公館の住所・電話番号

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

 気候は大きく雨季(6月〜11月)と乾季(12月〜5月)に分かれ、気温は年間を通じて高い熱帯性気候です。雨季は1日に数時間雨が激しく降り,町のあちこちに水たまりができます。乾季の12月から3月中旬は湿度が低く比較的過ごしやすくなりますが、3月後半から5月にかけては非常に暑さが厳しくなります。

 カンボジアは70年代のポルポト政権時代に医師を含めた多くの知識層が殺害されたため、医療制度が崩壊し現在再構築している状態です。従ってカンボジアの医療施設・医療レベルは、アジアでもかなり遅れています。現在、民衆に衛生知識の普及を行っているところです。入院した場合は、介護から食事の世話まで家族がする必要があります。病院食はありません。入院や手術、精密検査が必要となった場合はバンコクやシンガポール(症状によっては日本)に行く必要があります。プノンペン市内やシアムリアップ市内には外国人向けのクリニックがあり初期治療が可能です。専門医(眼科・耳鼻科・皮膚科・循環器などほとんど全ての診療科目)による診察が必要となる場合はバンコクに行くことをお勧めします。また、当地のクリニックを通してバンコク等へ緊急移送される場合は必ず支払保証の確認(専用飛行機での輸送費、約3-4万ドル)が行われますので、十分な額の海外旅行傷害保険に加入する必要があります。プノンペンやシアムリアップ以外の地域では外国人向けのクリニックはありません。医師を含め英語での意思疎通は困難です。むしろフランス語を解する医療関係者のほうが多くみられます。

5.かかり易い病気・怪我

(1)急性胃腸炎

 細菌・ウイルスによるものが多く、腹痛・下痢(時により発熱や嘔吐)といった症状が起こります。原因となる細菌・ウイルスによっても飲食後発生する時間や症状が異なります。脱水にならないようにココナツジュース・スポーツドリンク・お茶などで水分補給をすることにより数日で回復することが多いですが、血便、下痢の続く場合や幼児や体力のない人は、点滴・抗生剤治療・検査が必要な場合もあり、医療機関を受診してください。

(2)デング熱

 蚊(ネッタイシマカ。日中に活動する)に媒介されるウイルス性感染症です。都市部でも多く発生しており、蚊が発生しやすい雨季には患者が増加します。通常蚊にさされて5日前後で高熱・頭痛(眼の奥が痛むことがある)・関節痛・筋肉痛・食欲の減退といった症状が突発します。治療薬・ワクチンがないため、安静と対症療法になります。時に、デング出血熱に移行し死亡する人もいます。発熱3日目に血液検査を受けて、診断の確定と出血傾向の有無を確認するのがよいでしょう。網戸、長袖、長ズボン、虫除けスプレー、蚊取り線香などを使い、蚊にさされないように防御する事が一番重要です。

(3)寄生虫

 アメーバー赤痢、ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)等が存在します。これら寄生虫が混入している水・飲食物を飲食することで感染します。発熱は少なくて、血便・下痢・腹痛、腹部の不快感が主な症状ですが、下痢・軟便だけが続く場合もあります。これらの症状が続く場合は便の検査で寄生虫の有無・種類を確認し、抗寄生虫薬(メトロニダゾールなど)の内服が必要です。もちろんそれ以外の寄生虫も存在していますので、水・氷や生野菜には十分注意してください。

(4)交通事故

 バイクに乗っている人の90%が無免許と言われており、交通ルールを知らないのでみんな自由に運転しています。最近、ヘルメット着用・ミラー装着に対する取り締まりは開始されましたが、無免許運転は放置されたままです。運転免許取得手続きが希望者の増加に対応できないため、現状は当分続くと思います。道路を渡るときはもちろん、道路を歩くときも常に前後左右を注意しないと事故に巻き込まれます。

(5)マラリア

 マラリア原虫を持つ蚊(ハマダラカ)に刺されることで感染します。主として森林地帯、タイ、ベトナムとの国境周辺部で発生しており、プノンペン・シアムリアップ市内で感染することはほとんどありません。多少の増減はありますが1年を通じ発生しています。カンボジアでみられるマラリアの約90%が熱帯熱マラリアで、残り10%が三日熱マラリアです。熱帯熱マラリアは治療が遅れると命にかかわる怖い病気です。潜伏期間(感染しているが症状がまだ出ていない期間)が約1〜2週間(ほとんどが1ヶ月以内に症状が出ます)あり、突然の高熱がおこり、熱の上がり下がりは不規則です。三日熱マラリアはほぼ48時間ごとに高熱→発汗多量→解熱といった規則性があります。治療はメフロキン、アーテスネイトの抗マラリア薬を使用しますが、必ず医療機関を受診してください。

(6)その他の感染症

(7)その他

 地雷・不発弾:観光地や町中で事故に会うことは、まずありません。北西部の州(バッタンバン、バンティエイ・ミエンチェイ、オッドー・ミエンチェイ)で発生しています。

6.健康上心がける事

(1)水・飲食について

 水道水を含め生水は飲まない、氷は入れない、加熱した料理を食べる、といった基本的なことを守ってください。飲料水にはペットボトル入りのミネラルウォーターを利用して下さい。プノンペン市内の上水道の浄化施設は日本の支援により改善されましたが、配管や施設の浄化槽の管理が未だ十分とはいえません。外食する際は高級レストランや清潔そうな店を選び、到着後1ヶ月以内は体が慣れるまで生ものを避け必ず火を通したものを食べるようにしてください。屋台での飲食は、食材・食器・調理後の管理・調理人の衛生意識等に問題があります。道路脇でバケツにためた水でお皿を洗っているのをよく見かけます。たとえ火を通した料理であっても注意してください。また氷は水道水で作られている場合もあるので、入れない方がよいでしょう。何にでも氷を入れる(ビールなど)傾向があり、事前にいらないと言う必要があります。魚介類は寄生虫感染の危険があり、生で食べるのは避けましょう。表通り以外ではゴミが積まれているのを見かけます。ネズミ・ゴキブリ等の害虫も数多く発生しています。また手洗い・うがいも日頃から習慣としておくことが大事です。

(2) 熱中症

 気温が高く、日差しも強いため熱中症や脱水になりやすいので、十分な水分補給に努めてください。また発汗とともに電解質(塩分)も失われるので、梅干し・味噌汁・スポーツドリンクなどもとったほうがよいでしょう。ココナツジュースは,スポーツドリンクと同じ効果があります。

(3) 蚊に刺されないように

 デング熱・マラリアは蚊に刺されることで感染します。長そで長ズボンの着用や、虫除けスプレーを使用するなどの注意が必要です。

(4) 無理のない計画を

 短期旅行の場合は、特に休憩時間を入れ予定を詰めすぎないことです。アンコールワットを観光する際、敷地が広大で、木陰も少ないので、熱中症・脱水になる人が多く出ています。高齢者の方は特に症状が出にくいので、日中は休む(昼寝)、休憩をとるなど注意してください。

(5) 必要な薬は持参

 日本製の薬はありません。薬局で薬の購入は可能ですが、保管状態が悪く偽薬が多くあり、信用のある店を利用してください。慢性疾患や常用している薬のある人は十分な量の薬を日本から持って来てください。

(6) 海外旅行傷害保険の利用

 設備の整った私立病院・クリニックでは支払い能力のない人は診察してくれません。治療費は高額(外来診察:約100ドル/回、入院:約1000ドル/日)ですので、海外旅行傷害保険に加入しておく事を勧めます。

(7) 妊娠・出産について

 乳幼児の死亡率は日本の10倍近くあります。出産時の緊急事態に対応できませんので、日本で出産されることを勧めます。また妊娠後期は搭乗に制限がありますので、バンコク等での出産を考えている場合は早く出国することが必要です。

(8) 帰国後の注意

 帰国後に発熱・下痢等の症状があり医療機関を受診する際は、感染症専門の病院外来を受診し必ずカンボジアへの渡航歴を伝えてください。マラリア・デング熱・アメーバー赤痢などの病気は日本で見かけることがありませんので、海外旅行に行っていたことを伝えることで早期診断・治療につながります。

(9) その他

 覚醒剤・大麻等の使用は当地でも違法です。様々な精神症状のため治療が必要となる場合がありますので、絶対に使用してはいけません。未成年者売春で、6年以上の刑を受けている例があります。

7.予防接種(現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)PDF

(1)赴任者に必要な予防接種〜成人・小児〜

 入国に際して必要とされる予防接種はありません。

 推奨の度合い: ◎ 強く ○ できれば △ 感染危険地帯・医療過疎地旅行時

成人:
◎破傷風、◎A型肝炎、◎B型肝炎、○日本脳炎、○腸チフス、△狂犬病
○MMR(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、30才前後で免疫の低下した人が多い)

小児:
日本の定期接種
◎DPT[ジフテリア・百日せき・破傷風]、◎ポリオ、◎ 麻疹[はしか]
◎風疹、◎日本脳炎、◎BCG

日本の任意接種:
◎A型肝炎(米国では1才から、日本では16才から)、◎B型肝炎、◎水痘
○HIb ○流行性耳下腺炎、○インフルエンザ、○腸チフス、△狂犬病、
△肺炎球菌

<注>日本脳炎ワクチンは外国では高額です。その他のワクチンは現地の方が概ね安い。

(2) 現地の小児定期予防接種一覧

  初回 2回目 3回目 4回目
BCG 出生直後      
ポリオ(経口) 生後6週 生後10週 生後14週  
DTP、Hib 生後6週 生後10週 生後14週  
MMR 9ヶ月      
B型肝炎 出生直後 生後6週 生後10週 生後14週

<注>Hib:インフルエンザ菌b型、MMR:麻疹、流行性耳下腺炎、風疹

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 特に必要とされる予防接種はありません。

 インターナショナルスクールでは、親が記載する予防接種記録の提出が必要です。未実施のものがあった場合には接種を勧められます。

8.乳児検診

 日本で行われているような乳児健診のシステムはありません。

9.病気になった場合(医療機関等)

 邦人が安心して受診できる医療機関は限られています。また入院・手術・専門医による診察が必要な場合は医療先進国であるタイ・シンガポール等に行く必要があります。医療費は高額になることもあるので(特に緊急に国外へ移送が必要な場合など)、是非とも海外旅行傷害保険に加入してください。

 歯科については傷害保険がきかないことが多いことと、クリニックの設備だけでは歯科医の技量判定が難しいこともあり、可能であれば当地に来られる前に処置を済ませておくことをお勧めします。

◎プノンペン市

(1)International SOS clinic (インターナショナル・SOS・クリニック)

所在地:No.161, Street 51, Phnom Penh

電話番号:023-216-911

ファックス:023-215-811

邦人担当:012-838283

診療時間:(月曜日〜金曜日)08時00分〜12時00分 14時00分〜17時30分 要予約 (土曜日) 08時00〜12時00 (日曜日)休み 救急24時間受付可

支払方法:現金及び主要なクレジットカード(保険会社によりキャッシュレス・サービス可)

概要:欧米人医師・看護師を中心とした緊急対応のSOS系列のクリニック。邦人担当の職員(日本人)が常駐。主な予防接種可能(要予約)

(2)Somary Raffles Medical Services(ソマリ・ラッフルズ・メディカル・サービス)

所在地:Villa No30, Street 360, Phnom Penh

電話:023-223-322

ファックス:023-991-166

邦人担当:012-908-088

診療時間:(月曜日〜金曜日)08時30分〜17時00分 (土曜日)08時00分〜12時00分 (日曜日)休み 救急24時間受付可

支払方法:現金及び主要なクレジットカード(保険会社によりキャッシュレス・サービス可)

概要:日本人内科医師1名が、毎月11又は12日より月末まで勤務。邦人担当の職員(日本語を話せるカンボジア人)が常駐、主な予防接種可能(要予約)

http://www.somaryraffles.com他のサイトヘ

(3)Royal Rattanak Hospital (ロイヤル・ラタナック・ホスピタル)

所在地:No.11, Street 592 Phnom Penh

電話番号:023-365555, 991000

ファックス:023-986-992

診療時間:(月曜日〜日曜日)08時00分〜17時00分  救急24時間受付可

支払方法:現金および主要なクレジットカード可(保険会社によりキャッシュレス・サービス可)

概要:日本人産婦人科医が勤務。タイのバンコク・ジェネラル病院系列。レントゲン、超音波検査、CT検査可能。日本人通訳(シュムリアップ勤務)と電話連絡可能。主な予防接種可能(要予約)

http://www.royalrattanakhospital.com/index_main_menu.php他のサイトヘ

(4)Ken Clinic (ケン・クリニック)

所在地:No.17A Street 178 Phnom Penh

電話:023-223843

ファックス:023-223-844

時間外専用:012-865-039

診療時間:(月曜日〜土曜日) 09時00分〜13時00分 15時00分〜19時00分 (日曜日)休み 

概要:日本人外科医:奥澤医師が、カンボジアで初めて個人開業。主な予防接種可能(要予約)

支払方法:現金(保険会社によりキャッシュレス・サービス可)

(5)IMI International Dental Clinic (歯科)(IMI インターナショナル・デンタル・クリニック)

所在地:No.193,street 208 Phnom Penh

電話:023-212-909 016-553-366 

診療時間:(月曜日〜土曜日) 08時00分〜19時00分 (日曜日)09時00分〜12時00分 (要予約)

概要:中村医師の診察は、(月曜日〜木曜日) 09時00分〜17時00分(この時間以外も予約相談)
一般歯科・小児歯科・審美歯科

支払方法:現金及び主要なクレジットカード

http://www.imiclinic.com/他のサイトヘ

(6) International SOS Clinic 歯科

所在地:No.161, Street 51 (1)のSOSクリニック内

電話:023-216-911

概要:ニュージーランド人医師が診察、(日本人通訳有り、要予約) 

○シアムリアップ市

(1)Royal Angkor International Hospital (ロイヤル・アンコール・インターナショナル・病院)

所在地:National Route #6 Phum Kasekam, Khum Sra Ngea, Siem Reap

電話番号:063-761888、399111

ファックス:063-761739

診療時間:(月曜日〜日曜日)08時00分〜17時00分  24時間緊急対応可

支払方法:現金および主要なクレジットカード可(保険会社によりキャッシュレス・サービス可)

概要:タイ、バンコク・ジェネラル病院の系列。ヘリポート設備あり。各種検査。入院施設有り。医師は主にタイ人。日本人(通訳)職員1名が勤務。

http://www.royalangkorhospital.com/en/default.asp他のサイトヘ

 

10. その他の詳細情報入手先

在カンボジア日本国大使館ホームページ:http://www.kh.emb-japan.go.jp/ 他のサイトヘ

11.現地語一口メモ

:以下の発音の日本語標記は便宜上のものであり、実際の発音とは異なることがあります。

医師:ロッ・クルー・ペーッ(男性)、ネアッ・クルー・ペーッ(女性)

薬:タァナム

注射:チャッ・タァナム

頭痛:チュー・クバール

胸痛:チュー・トゥルン(ク)゙

腹痛:チュー・プオッ

下痢:リアッ

発熱:クダウ・クルォン

吐き気:ミエン・アロム・チョン・ク・ウオッ(ト)

傷 :ロブオッ

マラリア:クロン・チャン

デング熱:クロン・チ−ム

具合が悪い:オッ・スルオル・クルォン

ここが痛い:チュー・ニィ(痛む場所を指で指す)

病院へ連れて行ってください:ソーム・チューン・クニョム・タウ・ムンティーペーッ

日本大使館に連絡してください:ソーム・テアットーン・サターントゥ・チャポン

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