2010年10月
バングラデシュ人民共和国(ダッカ市、チッタゴン市)(国際電話国番号880)
医師や医療スタッフの数が絶対的に不足しています。医師の数は人口5,000人に一人である一方、看護師は医師の半数にすぎません。近年、日本、欧米等に留学し、最新の医学を研修してきたベンガル人医師の常駐する病院が開かれ、邦人も利用可能となっています。CT、MR等の最新の医療機器を有する臨床検査センターもいくつかあります。しかし不十分な病院設備、安全な血液製剤や特殊薬剤の入手が困難、病院スタッフのサービス感覚の違い等の問題から、当地で邦人が安全で効果的な満足のできる医療を受けるのは難しく、専門的な治療や入院を要する場合は国外(日本、バンコク、シンガポール)へ出て治療を受けているのが現状です。 欧米の先進技術を取り入れて、ダッカのいくつかの病院では連日多数の開心手術やバイパス術が比較的安全に行われています。他の分野でも、先進的治療が施行されている病院がありますが、当地には保険制度がないため一般庶民がこれらの高度な医療を受けることは極めて困難です。
医薬品は市中の薬局で購入できますが、高温多湿の中で保管されたまま販売されており、有効期限切れの薬品も少なくありません。信頼性、安全性には疑問がありますので、医薬品・衛生用品などは可能な限り自分で調達してくることをお薦めします。
当国内の医療費は、外国人向けにはかなり高額です。国外移送先での医療費は一般に高額ですし、国外への緊急輸送にも多大な経費が必要です。したがって緊急時の移送を付帯した海外旅行傷害保険に加入しておくことが是非とも望まれます。また健康診断、歯の治療はできるだけ日本で済ませ、持病がある人は日本で主治医から英語の紹介状をもらって来るようにするのが良いと思います。
(1)高温多湿の気候に加え劣悪な衛生環境のため、熱帯感染症が多く、腸チフス、コレラ、赤痢、アメーバ赤痢、ジアルジア(ランブル鞭毛虫)他の原虫症、回虫症、鞭虫症などの消化器疾患が頻発しています。最近では邦人の間にも腸チフス・パラチフス・デング熱発症例が増加しています。特に雨季(6月から10月)には衛生状態が悪化するので注意が必要です。
腸チフス: 原因不明の高熱が続くときはチフスの可能性を考える必要があります。消化器症状は必ずしも顕著ではありません。適切な治療を受けないと腸穿孔、大量下血をおこして致命的となることもあります。
アメーバ赤痢: 当地ではごく一般的疾患で、必ずしも急性の赤痢様症状を呈するとは限りません。慢性的な粘血便が続くときは必ず便検査を受けて下さい。放置すると肝膿瘍や腸穿孔といった重篤な合併症を生じる危険があります。
(2)肝炎:A型とE型は汚染された生野菜、魚介、牛乳などから経口感染します。E型の方がA型より重症となりやすく、特にE型は妊婦が発症すると死亡率が高いので注意が必要です。B型とC型は輸血、針、手術器具などによって感染します。一般に当地の医療機関の感染防御体制は不完全であり、医療行為を受けざるを得ない場合は安全性の確認が必要です。
(3)雨期の後半にはデング熱が流行します。鉢植えや空き缶の貯まり水等、生活圏の水たまりに発生した蚊から伝染しますので、環境の整備にも注意が必要です。初回感染では一般に重症化することは余りありませんが、特に再感染者ではデング出血熱という重篤な病態となることがあるので安心できません。解熱剤としてアスピリンは禁忌です。
(4)チッタゴン丘陵はマラリア流行地域であり、このほかコックスバザール近郊、北部国境地域、シレット周辺にもマラリアの発生が見られます。クロロキン耐性の熱帯熱マラリアが多いので、これらの地方では蚊の防御に細心の注意が必要です。治療の遅れは致命的となりますから原因不明の発熱があった場合は早急に医師の診察と血液検査を受けて下さい。また、流行地域に長期滞在する場合は、予防薬投与の是非について事前に医師と相談して下さい。
(5)地方では蛇咬傷の危険性もあります。万一咬まれた場合は創部を安静にして速やかに病院を受診して下さい。咬まれた傷の中枢部を強く緊縛することは禁忌です。
(6)交通事故:交通ルールは全く守られていませんし、歩行者保護の概念もありません。邦人の被害者が増えています。緊急車両や適切な救急病院はほとんど期待できません。道路の横断はかなりのリスクを伴います。市外の幹線道路では対向車が猛スピードで反対車線を走行して来ます。地方を移動するときは携帯電話を持参した方がよいでしょう。
(7)狂犬病の流行地域です。犬、ネコ等に咬まれたら傷口を石けんと流水で十分洗い、なるべく早く狂犬病ワクチンの注射を受けることが必要です。
(8)エイズ: 検査体制が整備されていないことから実態は不明です。しかし、近年患者の増加が報じられており、輸血の70%が売血であることもあり、相当数の感染者が存在していると推測されます。
一般に衛生観念が著しく異なることから、次のような点にご注意ください。
(1)予防接種はできるだけ赴任前に受けてください。現地の医療機関でも可能ですが、保管の面で必ずしも信頼できません。
(2)生水は飲まないでください。近年の停電の多発、小雨により水質が悪くなってきています。ミネラルウォーターか20分以上沸騰した湯冷ましを飲用してください。レストランで出される水、氷、不潔な入れ物(グラスなど)にも注意してください。
(3)生ものは避けてください。野菜、肉、魚、卵は充分に加熱したものを食べるようにしてください。
(4)日頃から栄養、休養、睡眠に留意すると共に、適度な運動をするようにしてください。
(5)昼寝と入浴(シャワー)を励行してください。疲れたときの昼寝は短時間でも有効です。汗ばむことが多いので皮膚、身体を常に清潔に保つように心がけてください。
(6)蚊に刺されないようにできるだけ皮膚を露出しないようにしてください。忌避剤を塗布したり殺虫剤を使用し、睡眠中は蚊帳をかけてください。
(7)動物(野犬、野良猫、鼠等)に近づかないでください。
(8)池や沼の水に直接接触したり、裸足で歩いたりしないでください。蛇、寄生虫からの危険を避けてください。
(9)使用人には定期的に寄生虫、結核などの健診を受けさせ、日頃から手洗いを薦めてください。
(1)赴任のために受けておきたい予防接種としては、大人では破傷風、A型肝炎、B型肝炎、日本脳炎、狂犬病、腸チフス(赴任後)の6種類で、小児の場合は以上(A型肝炎は除く)の他に三種混合DPT(百日咳、ジフテリア、破傷風)、麻疹、BCG、ポリオ、風疹などの定期の予防接種を完了しておく必要があります。狂犬病ワクチンは通常の生活圏にいることが確実な場合は咬まれてからの曝露後免疫でも構いません。
(2)バングラデシュにおける小児の一般予防接種
| 初回 | 2回目以降 | |
|---|---|---|
| BCG | 生直後〜3ヶ月 | 追加接種せず |
| ポリオ(経口) | 出生直後 | 6週、10週、総計3回 |
| DPT | 1.5〜3ヶ月 | 1ヶ月おき2回追加 |
| MMR | 1年3ヶ月 | 追加接種せず |
| B型肝炎 | 実施していない | |
| インフルエンザ | 実施していない |
(3)現地校の入学に際しては予防接種証明書の要求はありません。日本人学校では入学時に日本国内と同じ基準でBCG, ポリオ、DPT, 麻疹、風疹、日本脳炎の接種を受けていることを原則としております。アメリカンスクールではポリオ、DPT、MMR、ツベルクリン反応(あるいはBCG)の接種歴フォームの提出が要求されます。
バングラデシュでも公立の機関で日本と同様の発達健診は行われていますが、日本人の乳児が受診することはできません。プライベートの病院(Aichi Hospitalなど)で日本の医学部を卒業した小児科医にチェックしてもらうことは可能です。
邦人にとって満足できる施設は限られています。邦人がよく利用していて比較的安心して受診できる医療機関は次の通りです。リストに記載の医師については予約なしでも混んでいなければすぐに診察を受けることが可能です。
在留邦人の多くが利用しているクリニックや私立病院での医療費は下記の通りです。
診察料(Doctor Fee) Tk250〜1,000, X線検査料 TK200〜300, 血液検査(例GOT,GPT) TK 150〜800, 尿検査 TK 50〜200, 虫垂炎手術 TK 15,000〜25,000, 正常分娩 15,000〜25,000 (1US$ = TK 70前後)
所在地:6/7 Block-A Lalmatia, Dhaka
電話:02-912-9354、811-1924、0189-218902
概要:整形外科、歯科、内科、外科、呼吸器内科、小児内科、婦人科、(耳鼻咽喉科、皮膚科、脳外科、眼科も対応可)、Dr. Ekhlasur Rahmanは日本語が堪能。親切。日本人には臨機応変に対応してもらえる。緊急時は常時対応可能。在留邦人が利用することが多い。
所在地:House No.2, Road No.34, Sector-7, Uttara, Dhaka
電話:02-891-6290、0171-528105
概要:院長は小児科・一般外科、産婦人科、整形外科。Dr. Moazzem Hossainは日本語が堪能で24時間救急対応可。救急車あり。(9時00分〜12時00分 17時00分〜20時00分 金曜休診)
所在地:82 Outer Circular Road, Bara, Moghbazar, Dhaka
電話:02-831 2127, 01711 041263
概要:Dr. Masudur Rahman内科、日本人学校医、日本語可。(8時00分〜12時00分 16時00分〜20時00分)
所在地:House No.55, Road No.3/A Dhanmondi Satmasjid Rd, Dhaka
電話:02-9622277、9664028, 9664029
概要:外科、内科、産婦人科、小児科、整形外科、ペインクリニック、耳鼻科。診療時間15時00分〜21時00分。救急は24時間対応可。Dr. Nayeem(外科)、Dr. Faisal(外科)、Dr. Shafiq(ペイン)は日本語可。
所在地:House No.3 ,Road No,12, Baridhara, Dhaka
電話:02-882-7553、885-5953
概要:内科。当地で欧米人からも信頼されている医師の1人。英語、独語。X線撮影。予防接種可。(8時00分〜12時00分 16時00分〜20時00分)
所在地:Plot #81, Block -E, Bashundhara R/A Dhaka
電話:02 9891661- 2
救急ホットライン: 10678, 救急室: 01911555555、
概要:インドのApollo Hospital系の総合病院。病院の規模も大きく対応も比較的しっかりしている。日本語対応不可。循環器科のDr. A.H.M Waliul Islam は日本語堪能。24時間救急対応可。救急車あり(01714090000)
所在地:Plot #15, Rd.# 71, Gulshan -2, Dhaka
電話:02 -8866444, 8866000
救急サービス: 02-8836000 - 10, 8836434-44, 01914001234
概要:グルシャン地区にありバリダラ、グルシャンからは一番近い。日本語のできる医師はいないが簡単な手術や検査は問題なし。24時間救急対応可。救急車あり(01914001234, 01914001326)
所在地:68 Shaheed Tajuddin Ahmed Sarani Mohakali Dhaka
電話: 02 -989 9620, 01730019695
概要:Dr. Dawn Reese (9時00分〜12時00分 14時00分〜17時00分 金曜日、土曜日 休診)。日本語不可。
感染症の専門機関であるICDDR,B(International Center for Diarhoeal Disease Research, Bangladesh)内に併設されたクリニック。
所在地:House No.15, Road No.11, Banani, Dhaka
電話:02-882-7878
概要:歯科、日本語可。
所在地:House No. 52, Road No. 11, Banani
電話:02-882-7553、885-5953
概要:歯科、ダッカ在住20年の米国人歯科医、衛生面でしっかりしている。高額だが明朗会計。
所在地:500/A, Zakir Hossain Road, Khulshi, Chittagong
電話:031-616001-4、630194
概要:チッタゴン在住日本人が通常利用する総合病院。専門医は常勤ではないので注意が必要。
在バングラデシュ日本国大使館ホームページ:http://www.bd.emb-japan.go.jp/![]()
| 日本語 | ベンガル語読み |
|---|---|
| 医師 | ドクトル |
| 飲み薬 | カワル オシュッド |
| 注射薬 | インジェクション |
| 注射する | インジェクション コリ |
| 頭痛 | マタ ベタ |
| 胸痛 | ブッケ ベタ |
| 下痢 | パットラ バイカナ、ダエリア |
| 発熱 | ジョール ジョール パーボ |
| 吐き気 | ボミ ボミ ラゲ、ボミール パーボ |
| 傷 | コト、ガー、カタスタン |
| 蛇咬創 | シャプ カムラエチェ ガー |
| 倦怠感 | ジム ジム ラゲ |
| めまい | マタ グライ |
| 具合が悪い | ショリレル オブスタ カラップ アチェ |
| 病院へ連れて行ってほしい | ホシュパタレ アマケ ニエ ジャベン |