在外公館医務官情報

ジンバブエ

2012年3月

1.国名・都市名

 ジンバブエ共和国(ハラレ)(国際電話国番号263)

2.公館の住所・電話番号

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

 当国はアフリカ南部、東経約30度、南緯20度付近に位置する、面積約39万平方キロメートルの内陸国です。ジンバブエは大部分が熱帯性気候に属しますが、首都ハラレは標高1,500メートルの高地にあり、亜熱帯性のサバンナ気候となっております。気候は乾季と雨季に分かれ、年間を通じて比較的温暖な気候ですが、5~7月の冬期には10度以下に低下します。逆に最も暑いのは雨季(11~4月)入り前の10月で、最高気温は30度前後です。

 まず、当国の衛生状態は、平均寿命、乳児死亡率などの指標が示すように非常に悪い状態が続いております。都市部においてもインフラの老朽化や整備の遅れ、上水道、下水道、電気などの供給が十分でなく、井戸水を利用し、自家発電を必要とする地域が多数みられます。

 次に医療制度ですが、病院は公立と私立に分かれ、公立医療の制度は、地域の診療所(看護師のみ駐在の所も)から、順に郡病院・州病院、そしてハラレ市の国立パリレンヤトワ病院等の総合病院を頂点とするリファラル制度です。必ず地元のクリニックを受診し、必要に応じて上位病院へ紹介されていく仕組みですから、例えばいきなりパリレンヤトワ病院に出かけても通常は診療が受けられません。他方、当国には私立病院の制度もあり、都市部には個人開業の医院や大規模な私立病院があります。富裕層、外国人を中心に利用されているところには、一部設備の整ったところもあります。ただし、私立病院では、外来受診時、諸検査時、入院時などにその都度、保証金や前払いが求められるため十分額の現金を持参する必要があります。

 医療レベルにつきましては、ハイパーインフレ以前の2000年頃まではアフリカの中でも施設・スタッフ共に比較的整った国ではありましたが、このところ保健医療レベルは低下の一途であり、公立病院ばかりでなく首都にある有力私立病院でもスタッフ・医療衛生材料が不足する状態です。ただ、医薬品の供給数は2年前に比べれば少し改善傾向にはあります。一般に処置に関しては、例えば全身麻酔を要するような手術や複雑な処置、輸血(分娩時の大量出血で必要)は危険ですので、救急外来で済むような簡単な処置を除いてなるべく移送を考え、当地での医療機関の利用は最低限に留めるほうがよいと考えます。また、検査に関しても一般的な血液検査やX線撮影は概ね何時でも可能ですが、CTやMRIは台数が少ない上に故障していることが多いようです。概ね近隣の南ア、欧州などでの治療、検査をお勧めいたします。

5.かかり易い病気・怪我

(1)経口感染症(下痢性疾患)

 当地で罹りやすい感染症では、コレラ、腸チフス、赤痢、アメーバー赤痢、A型肝炎などがあります。日本人の間では旅行者下痢症をはじめとする経口感染症はまだ珍しいのですが、一般にジンバブエ国内ではここ数年コレラの大発生が続き、赤痢の報告数が急増しており、十分な注意が必要です。クリプトスポリジウムによる下痢も在留邦人に複数発生しています。2008年にはハラレ郊外で日本人旅行者にA型肝炎の集団発生が起きていますから、A型肝炎のワクチン接種は必須と考えています。

(2)マラリア

 高地に位置するハラレ市内ではマラリアに感染する可能性はほとんどありませんが、ビクトリア瀑布など標高の低い地域へ出かける場合は、蚊除け対策や場合によっては予防内服が必要になります。日本人では過去に地方で活動していた青年海外協力隊の隊員が何名かマラリアを発症したことがあります。

(3)HIV感染症、結核、性感染症

 HIV感染率は軽度低下傾向にありますが、2007年の保健省発表でも国民の7人に1人は感染者という報告があります。通常日常生活で感染することはありませんが、怪我人を手当てする際等、血液などによる接触には注意が必要です。またハラレは人口150万人に対し、年間6,000人程の結核患者が報告されています。運転手やメイドを雇う際には結核に罹患していないことを確認する必要がありそうです。

(4)花粉症、アレルギー

 当地にはスギ並木が多く花粉症が多く見られます。毎年4月頃から花粉症の季節に入りますので、その時期を過ごされる方は花粉症の薬を持参するなどの準備が必要です。当地を代表する樹木であるジャカランダに対するアレルギーも日本人の間で珍しくありません。

 また、南京虫、ダニなどのアレルギーも見られます。

(5)交通事故と路上強盗

 車両の走行スピードが速く、整備不良車両も多く見られます。路面陥没が多く、交通信号機の故障が目立ちます。また、信号待ちの車の窓を割って金品を奪う、スマッシュアンドグラブが多数発生しております。さらにそれを避けるために赤信号でも止まらない車両も珍しくありません。日本人の運転する乗用車が事故に巻き込まれる事例があり、思いがけない「貰い事故」にも注意が必要です。

(6)住血吸虫症

 隣国マラウイ等に比べればそのリスクは少ないですが、ジンバブエ国内の湖沼・河川でも住血吸虫症に感染することがあります。淡水には、「入らない・触れない」のが無難です。

6.健康上心がける事

 当地に長期滞在をされるかたは、私立病院の医療費をカバーする医療保険に入られることをお勧めします。また、滞在期間の長短にかかわらず、国外への緊急移送に備えて当地の緊急移送会社(MARSなど)のサービスを受けられる海外旅行傷害保険に加入されることをお勧めします。

(1)飲料水、飲食(経口感染症に対する注意)

 飲み水につきましては、水道水は沸騰か濾過を行い、生水を飲まないようにしてください。ハラレの上水道は設備の老朽化・水質処理用試薬の不足から水質悪化が進んでおります。
市中の一般的な食品衛生は今のところ比較的良好で、旅行者下痢症や食中毒のリスクは東南アジア諸国と比べれば小さいのですが、屋台等を利用した後に急性胃腸炎を発症した日本人の例もあり、外食する際は信頼できるレストランを利用するなどの注意は必要です。肉、魚、卵の調理の際には十分熱を通し、調理直後に食べ、保存をしっかりするなどの基本をお守りください。当地では、停電頻発によりコールドチェーン(冷蔵運搬、冷蔵保管)は必ずしも維持されておりませんし、保健衛生当局による食品衛生監視を受けない食材(肉、鶏卵等)がそのまま店頭に出回っていますので、食材を買い求める際に鮮度や生産元を確かめる必要があります。

(2)日射病・日焼け

 当地は標高が高いため、一年を通じて日差しの有無で気温が大きく変わります。湿度が低く汗がすぐ蒸発するために水分補給を怠り、屋外活動中に脱水状態になったケースがあります。日差しが強く、冬季でも屋外に出る場合は、帽子・日焼け止め・サングラスを使うなどして、日射病・日焼け対策を講じて下さい。

(3)有害昆虫、蚊・ハエ(ハエ蛆症)・ノミ・クモ・蜂などに対する注意

 当地の住宅には窓ネットが張られていないためハエや蚊が入り込み易いようです。ペットを飼う場合には蚤やダニ対策も必要です。学童では蜂に刺されることも珍しくありませんので、蜂アレルギーのある場合はアナフィラキシーショックに対する備えが必要でしょう。外出時には皮膚露出面を少なくし、虫除け(DEET)を用いると良いでしょう。さらに当地では、ハエが洗濯物に卵を産みつけ、その幼虫が皮膚内に入り込むハエ蛆症がありますから、特に戸外に干した洗濯物は着用前にアイロンや乾燥機にかけることをお勧めします。

(4)寒さ対策・加湿

 当地では6月~8月は気温が低く最低気温は10℃以下になりますので暖かい衣類や、場合によっては暖房器具が必要です。また、雨季入りするまでは湿度が低く経過し、時には20%程度と極端に下がりますので、特に寝室は加湿に留意して下さい。

7.予防接種(現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)PDF

(1)赴任者、長期滞在者に必要な予防接種

 成人では、 A型肝炎 B型肝炎 破傷風の予防注射は必須です。釣りや登山などアウトドアスポーツを予定される方は狂犬病も接種することをお勧めします。

 小児では、可能な限り日本国内で小児定期予防接種スケジュールに従って接種して下さい。さらに成人と同様にA型肝炎、B型肝炎、狂犬病も接種していると安心です。

 Trauma Centreなどハラレ市内には接種を行うクリニックが複数ありますが、停電によりワクチンの温度管理が難しい状況にあり、少し改善されたとはいえ在庫状況は不安定です。

(2)小児定期予防接種

 上記(1)で述べましたように、小児の定期予防接種につきましては、可能な限り日本国内で受けられることをお勧めします。当地での接種は回数、時期など日本とは違っております。

当地の小児定期予防接種
ワクチン 初回 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 出生時        
5価ワクチンDPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)+B型肝炎、インフルエンザB 3ヶ月
Pentavalent
4ヶ月
Pentavalent
5ヶ月
Pentavalent
18ヶ月
DPT
preschool
DT
ポリオ(OPV) 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 18ヶ月 preschool
麻疹 9月        

2008年1月から5価ワクチンPentavalentが導入されています。

(3)インターナショナルスクールでは、予防接種証明書は必要ありませんが、過去に接種済みの予防接種を自己申告で書類に記載します。入学には3種混合と麻疹は必須とのことです。

8.乳児健診

 保健省が定める健診スケジュールは、生後10日、6週、2ヶ月から7ヶ月まで毎月、9・12・15・18・24ヶ月で、体重測定・栄養指導だけでなくワクチン接種も行います。「Child Health Card」という母子手帳を持参します。地元の公立のクリニックを利用すれば、登録料のみで利用出来るようです。

9.病気になった場合(医療機関等)

 私立病院を中心にお知らせいたします。ただ、連絡先は通信会社の関係で、頻繁に変わります。ご注意ください。(電話番号は2010年8月時点)

◎ハラレ (大病院はハラレ中心地にあります)

(1)Avenues Clinic(私立総合病院、救急外来あり)

所在地:Mazowe Street, Harare

電話:04-251180~90,/99

ファックス:04-252497/705872
概要:救急外来を備えた私立の総合病院。外国人患者も多く、日本人の緊急入院や出産事例があります。小児救急の受け入れも可能ですが、専門医が常時待機している訳ではありません。

(2)Baines Avenue 24 Hour Emergency Rooms(私立病院、救急外来あり)

所在地:52 Baines Avenue, Harare

電話:04-705434, 705464

概要:メディカルビルの中にある救急専門の外来診療所で、喘息など小児科の利用が多いようです。経過観察用のベッドがあり数泊までは入院も可能です。

(3)Trauma Centre(私立病院、救急、ワクチン接種あり)

所在地:15 Lanark Road, Belgravia, Harare

電話:04-707072

ファックス:04-700666/7

概要:24時間オープンの救急外来診療所です。黄熱病とB型肝炎の予防接種も可能です。

(4)Dr. Ismail Noormohamed(内科、小児科)

所在地:3F Medical Chambers, 60 Baines Avenue, Harare

電話:04-705733

概要:インド人医師の内科小児科診療所。週日の昼間のみ診療。予約必要

(5)Dr. Farayi S. Moyana(歯科)

所在地:First Floor Medical Chambers, 60 Baines Avenue, Harare

電話:04-762338/735213/

携帯電話0912848051 0912431882

概要:日本人の利用実績があります。

10.その他の詳細情報入手先

日本大使館ホームページ:http://www.zw.emb-japan.go.jp/home/ 他のサイトヘ

11.現地語等一口メモ

 当地の医療機関では英語による予約、診察、説明が受けられます。

 詳しくは主要言語の英語をご参考にしてください。

 治療費については、以前はジンバブエドルによる支払いがなされておりましたが、現在は米ドルによりなされております。クレジットカード払いはまず不可能です。検査前、入院前に現金でデポジットを請求されることがよくあります。

 本稿は2010年8月現在の状況ですが、当地の社会情勢の混乱より医療衛生事情が短期間で大きく変化する可能性があります。また従来マラリアが無かった地域で突然流行が発生したり、狂犬病が急増する恐れなどがあります。常に最新の情報を入手してください。

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