在外公館医務官情報

ジブチ

2010年10月

1.国名

 ジブチ共和国(ジブチ)(国際電話国番号253)

2.公館の住所・電話番号

 休館日:金・土曜日

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

 ジブチ共和国は、東は紅海、アデン湾に面し、北はエリトリア、西はエチオピア、南はソマリアに接しています。総面積は23200平方キロメートルで四国の約1.2倍の大きさです。海沿いは平野、西部は高原です。気候は熱帯乾燥気候帯に属し、国土の半分は砂漠で乾燥が厳しく、地球上で最も暑い土地のひとつと言われています。6-9月の気温には最高50℃近くになります。年間平均雨量は100-170ミリメートルととても少なく干ばつに見舞われやすい一方、地震もおこります。時としてインド洋からのサイクロンにより大雨と洪水が起こることがあります。

 ジブチの人口は81万人(2009年国勢調査)、平均余命は54歳 (ジブチ保険省)です。イスラム教94%、キリスト教6%です。公用語はフランス語とアラビア語ですが、ソマリア語とアファール語も使われています。食糧自給率はとても低く、専らフランスやエチオピアの輸入に依存しており、日用品も中東、中国、インドからの輸入品がほとんどです

 衛生水準は低くインフラ整備が不十分なため、感染性腸炎、消化管寄生虫症、呼吸器感染症等が常在しています。乳幼児死亡率は1000分の95出生あたり、結核感染率は100000分の670人あたり(2008年推定) です。死因の8割は下痢、肺炎、栄養失調などです。生水、生野菜、生肉、生魚などの摂取は控えてください。水道水は飲水としては不適です。また塩分が強いため洗顔や歯磨きの際も眼や口に入らないように注意してください。

 ジブチ市内の国立病院は衛生環境も劣悪で邦人の入院治療には適しません。比較的清潔な私立クリニックは受診や治療をうけることは可能ですが入院施設はありません。一般人には開放されていませんが緊急時や重症症例はフランス軍病院が対応してくれることがあります。
医薬品は医薬分業で、ほとんどの医薬品がフランスから輸入されています。

5.かかり易い病気・怪我

(1)感染性腸炎(≒)食中毒 Acute Enterocolitis

原因
細菌などに汚染された食べ物や水から経口的に感染します。
診断
食品と摂食から発症までの時間的関連性が重要です。確定診断は便培養での病原体検出、血液や生検材料からの病原菌遺伝子検出ですが、当地では便を顕微鏡で観察する程度です。
予防
手洗いの励行・特に調理者の手洗いが重要です。必ず加熱し、調理後時間が経ったものは食べないで下さい。生卵もサルモネラ感染の危険がありますので食べない方が無難です。飲み水には、生水は絶対に避け、ミネラルウォーターを使用して下さい。飲食店のコップや食器についた水や氷なども危険です。飲み物は氷抜きで注文して下さい。
治療
1日5回以下の下痢で、発熱などの全身症状を伴わない場合は整腸剤の内服、脱水症状はスポーツ飲料などで軽快することもあります。むやみに下痢止めを多用することは勧められません。1日6回以上の下痢で、38℃以上の発熱、腹痛、血便を伴う場合は必ず医療機関での診察を受けてください。経口補水液や粉末のスポーツ飲料などを日本などから持参することをお勧めします。

(2)消化管寄生虫症 (Intestinal Parasitosis):

 アメーバ赤痢(Amoebic Dysentery)とランブル鞭毛虫症(ジアルジア,Giardiasis)など。

原因
アメーバ赤痢Entamoeba histolytica、ランブル鞭毛虫症ではGiardia lambuliaという原虫が、経口的に摂取されることによって感染します。
潜伏期
数日~数ヶ月と感染性腸炎よりも長いです。
症状
下痢、腹部不快感などの消化器症状です。アメーバ赤痢ではイチゴゼリー様の粘血便など激しい症状がみられることもありますが、慢性に経過することもあり、下痢が続く場合は医療機関を受診し検査を受けて下さい。
診断
検便で診断がつきますが、新鮮な便を検査してもらうことが必要です。
予防
手洗い、加熱したものを食べることなど、感染性腸炎と同じです。
治療
原虫ですので通常の抗生剤の効果はなく、metronidazoleの7~10日の内服が必要です。この薬で治療している間は飲酒してはいけません。

(3)マラリア (Malaria):

 ここ数年、発症例は少ないですが皆無ではありません。

時期
涼しくなる9~10月頃に蚊が多くなり流行しますが、年間を通じて感染の可能性があると考えて常に気をつけて下さい。
症状
初期は発熱、倦怠感、消化器症状ですが、熱帯熱マラリアでは脳症、肺水腫、急性腎不全、出血傾向、肝障害などの合併症が起き早期に治療開始しなかった場合は死亡する例が多いです。
予防
長袖長ズボン、虫除け・殺虫剤・蚊取り線香・蚊帳の使用、蚊が活動する夕方以降は出歩かないなどの防蚊対策が重要です。長期滞在者は予防内服が必要なこともあります。尚、軍関係者は基本的に予防内服をしています。治療薬、予防薬は市内薬局で入手できますが、必ず医療機関で相談してください。
治療
感染した場合には早期に開始する必要があります。流行地から戻って発熱した場合には必ず医療機関で検査してもらいましょう。

(4)HIV/AIDS:

 HIV/AIDSの感染率 は3.1%、HIV/AIDS感染者 は16000人、HIV/AIDS 死亡者は1100人 (2007年推定)です。http://hivinsite.ucsf.edu/global?page=cr09-dj-00他のサイトヘ

(5)そのほかの疾病:

 破傷風、狂犬病、A型肝炎、B型肝炎、E型肝炎、コレラ、腸チフス、 結核など多彩な風土病や伝染病が常在します。

 病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が2006年に1例の発生報告があります。http://www.who.int/csr/don/2006_05_12/en/index.html他のサイトヘ

(6)交通事故:

 ジブチ市内の通勤時には交通渋滞になります。地方ではスピードを出す車が多く必ずシートベルトを着用してください。

6.健康上心がける事

(1)脱水対策・紫外線対策:

 短時間の外出でも汗がふきだし、不感蒸泄(目には見えない汗や呼気での蒸発)で脱水症状になることがあります。十分な水分と電解質の補給が必要です。日差しが強く日陰が少ないことから帽子、サングラス、日焼け止めなどの紫外線対策も行ってください。

(2)健康管理:

 当地では成人病や癌などの検査が困難です。年一回は、必ず日本での総合健康診断や人間ドックを受ける事をお勧めします。暑さのため、野外での運動は難しく、近場でも車での移動となることが多いので運動不足にも注意が必要です。

(3)医薬品の入手:

 フランス製の医薬品が入手可能です。医薬品の説明書はフランス語です。インド製、UAE(アラブ首長国連邦)製のgeneric薬品もあります。ただし自己判断での使用は危険ですので医療機関を受診して、よく説明を受け、処方箋を受け取って入手してください。

(4)メンタルヘルス:

 他のアフリカ諸国と比べると、一見、治安は良いのですが、国が小さく娯楽が余りありません。停電になると暑さで何もできない、生鮮食品、日用品のほとんどがフランスやエチオピアからの輸入品であるなど日常生活は快適とはいえません。 普段から食生活に気を着け、精神的・肉体的ストレスを溜めないように心がけてください。長期間滞在される方は、定期的に休暇を取りリフレッシュをしてください。

(5)妊娠出産:

 異常分娩への対応が十分とはいえませんので、日本での出産をお勧めします。

7.予防接種

(1)赴任や旅行に当たっては、以下のような予防接種が必要です。

赴任者等に必要な予防接種

黄熱: 黄熱に感染する危険のある国ではありませんが、黄熱に感染する危険のある国から来る、1歳を超える渡航者は黄熱予防接種証明書が必要です。http://www.forth.go.jp/03_carefull/yellowfever_vaccine.html他のサイトヘ

破傷風: 必須

A型肝炎: 強くお勧め

ジフテリア: 必須

腸チフス: お勧め

B型肝炎: 強くお勧め

ポリオ: 必須

狂犬病: お勧め

 衛生状態が悪いため上記予防接種は日本で済ませてから来られることをお勧めいたします。当地でもフランス製の予防接種は可能ですが高額です。

乳幼児
3種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風)、ポリオ、BCG、MR(麻疹、風疹)など定期予防接種はもちろんのこと、そのほかの水痘、流行性耳下腺炎、狂犬病、A型B型肝炎、肺炎球菌などの一通りの予防接種種を医師と相談し出来るだけ日本で接種後に連れて来られる方が安全です。

(2)小児定期予防接種:

ジブチ共和国の小児定期予防接種スケジュール
    初回 2回目 3回目 4回~
BCG 結核 出生時      
DTC ジフテリア
破傷風トキソイド
百日咳
6週 10週 14週  
  A型肝炎
B型肝炎、
12月 13月 18月  
Measles 麻疹 9月      
OPV 経口ポリオ 6週 10週 14週 9月、12月、15月
DT(P) ジフテリア
破傷風トキソイド
(ポリオ)
6週 10週 14週 15月
MMR 麻疹
風疹
流行性耳下腺炎
6歳      

8.病気になった場合(医療機関等)

 当地には先進国と同様の医療はフランス軍病院で受けることは可能ですが、一般人には開放されていません。以下に示す医療機関は日本人が安心して利用できる医療機関で比較的清潔です。ただし、フランス語(公用)、アラビア語(公用)、ソマリア語、アファール語などで英語が通じないこともあります。

 重症の場合は、国外への緊急移送を常に考慮する必要があります。その場合、高額の移送費用が必要ですので海外旅行傷害保険の加入を強くお勧めします。

 ジブチ市以外の地方では、さらに医療事情は悪く、体調を崩した時には、早急に首都に戻ることをお勧めします。

 救急車(消防暑Tel 18 )は現場到着に時間がかかり、フランス語しか通じません。

◎ジブチ市

(1)Groupement Mdedico-chirurgical Bouffard 仏軍ブファール病院

所在地:ジブチ空港から市内中心部への主要道路沿い。ヘリポートあり。

電話: 45 30 32、 ファックス: 35 25 56

概要:基本的にはフランス軍関係者の診療のみ。そのほかは予約・紹介状が必要。
脳外科、心臓血管外科以外の総合病院。産婦人科、小児科、泌尿器科、病理、精神科、放射線科専門医は常勤なし。救急病棟、手術棟、ICU、検査室、CT、心エコー、消化管内視鏡あり。歯科あり。スタッフは主にフランス人。
救急は24時間対応。原則、現金前払い。

(2)Centro Medical  フランス人医師クリニック

所在地:ジブチ市内中心部にある。 午前8時~12時, 午後4時~7時 金曜、土曜休

電話:35 27 24、 ファックス: 35 00 71

概要:Dr. Guillard Patric(仏) Dr. Bruno dell' Aquila(伊)
一般内科、眼科、産婦人科、耳鼻科、泌尿器科、皮膚科。入院施設はない。
X線検査、超音波検査、眼底検査、心電図検査、血液、尿検査など可。
同じ建物内にある小児科と歯科クリニックがある。

(3) ギリシャ人医師クリニック

所在地:ジブチ市内中央広場。カナダ大使館近く。午前8時~12時, 午後4時~8時 金曜休

電話:35 38 59   ファックス: 35 00 14

概要:Dr. Nicolas Georgalis(ギリシャ人)
一般内科、眼科、耳鼻科、泌尿器科、皮膚科、整形外科、外科、小手術可能。
1名用個室が6部屋あり数日の入院可能。看護師5名で24時間交替。
酸素ボンベあり、X線、超音波、眼底、心電図検査、血液、尿検査など可。

上記個人クリニック(2)(3)は、30年間近くジブチ市内で開業しており、医師やスタッフは英語も通じ、清潔で対応も良く、軽症疾患の診療は可能。

(4)Hospital General Peltier ペルティエ総合病院(国立)

所在地:フランス大使館近く

電話:35 07 50  ファックス: 35 75 14

概要:ジブチ国内で最古の国立総合病院(産婦人科、循環器外科、脳外科なし)。
救急外来、歯科、感染病棟、手術棟、ICUあり。キューバ人医師や中国人医師が多い。医療水準や衛生面から、邦人の受診や入院は困難。

9.その他の詳細情報入手先

在ジブチ日本国大使館・総領事館 http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/zaigai/list/africa/jibuty.html他のサイトヘ

WHO世界保健機構 http://www.who.int/countries/他のサイトヘ

厚生労働省検疫所 感染症情報 http://www.forth.go.jp/他のサイトヘ

国立感染症研究所 疾患別情報 http://idsc.nih.go.jp/disease.html他のサイトヘ

ジブチ保健省 http://www.ministere-sante.dj他のサイトヘ

CDC Travelers' Health http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/djibouti.aspx#vaccines他のサイトヘ

CIA The World Factbook http://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/dj/html他のサイトヘ

10.現地語一口メモ

 主要言語の仏語をご参照下さい。

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