在外公館医務官情報

アンゴラ

2010年10月

1.国名・都市名

 アンゴラ共和国(ルアンダ)(国際電話国番号244)

2.公館の住所・電話番号

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

 一般に衛生状態は非常に悪く、医療のレベルは最低水準である。UNICEFによると1990年の乳幼児死亡率(1000人当たり)は260と非常に高値であったが、2008年では220と改善しているものの未だに高値である。2001年に発生した細菌性髄膜炎で332人中30人死亡、2005年にはマールブルグ熱にて63名の死亡がWHOにより報告されている。(以下報告例を(WHO)と表記)2005年にはポリオの発生件数は7件であったが、2008年では29件、2009年も29件発生している。2010年7月現在ですでに15件の発生を認めており(WHO)、現在大規模な予防接種キャンペーンが行われている。また2006年2月にルアンダで発生したコレラはアンゴラ全土に広がり、罹患者数46,758名、死者1,893名に上った(WHO)。28年続き8年前に終結した内戦の間は国内でコレラの発生は確認されていなかったが、戦後の復興と共に未整備なインフラ(殺菌されていない水の輸送による汚染)や300万人を超えるルアンダ市内への難民流入による劣悪な住環境などの複合要因で2008年はアンゴラ全土で10,511名がコレラに罹患し(WHO)、2010年現在も引き続きコレラの発生を認めている。保健省の発表では2010年上半期のコレラの患者数は少なくとも1,467名にのぼり、以前に比べて下火になっているものの昨年の同時期と比較して200名以上の増加を認めている。これらは当国の医療衛生水準の低さを如実に示すものであるが、一方で急激な経済成長によって諸外国人は勿論、自国民の流動人員が急増かつ地方へも急拡大しているところであり、今後、地方の風土病が何時アウトブレークしてもおかしくはない状況が数年は持続するといわれている。当地は、石油開発、ダイヤモンド、レアメタル等の開発の端緒についたところでありその活動性によって他の如何なる風土病が存在するアフリカ地域よりも風土病の大発生の危険度は非常に高い。一方、現在までの政府の医療福祉政策には限界があり、人員・施設共に圧倒的に不足している。NGOによる資金、資源の投入は散発的であって公衆衛生をコントロールすることにはほど遠い状況である。アンゴラの医療機関は病院内であっても衛生管理状態が極めて悪いため、通院、特に入院せざるを得ない場合には院内感染の危険性も危惧される。当地の病院では最も症例の多いマラリアですら正確な判断ができない程検査技術が低いとしている(WHO)。また、看護師の水準は低く、薬剤その他備品の不足のため、検査、治療が適切に行える状況にない場合が多々見られる。

 日本からの出張者、外交団等が利用する私立病院には小規模ながら設備としてCT、MRI迄を備えた比較的清潔な病院(クリニカ・サクラダ・エスペランサ病院)があり、同院長によれば、胃癌や大腸癌程度の治療までは可能であるとのことだが、大使館医務官および、2007年5月、当地を視察に来られた戦争医学、救急専門で、イラク、アフガニスタン、スマトラ島津波などの経験もある日本人緊急医学の教授によれば緊急医療が必要な際は速やかに当地を離れ、南アでの治療が望ましいという意見で一致している。

 最悪の場合で、輸血などが当国で必要な際は、HIV、肝炎、トリパノソーマ、マラリアその他あらゆる輸血後感染症の危険性があることを前述のサクラダエスペランサ病院長より指摘されている。また医師のほとんどが英語を話さず、ポルトガル語での意思疎通を強いられるため、最も良いとされる私立病院でさえ充分な医療を受けられる保証はない。市内のいくつかの病院では、訪れた邦人は度々不快・不安な思いをさせられている。非常時には最低限南アフリカへの緊急医療移送が必須である。

5.かかり易い病気・怪我

(1)感染のおそれがある伝染病・風土病(マラリアを除く)

(イ)吸血昆虫による感染症:黄熱病、デング熱、チクングンヤ熱、フィラリア症:象皮病(以上蚊によるもの)、トリパノソーマ症(ツェツェ蝿)、オコンセルカ症(ブラックフライ:ブユ)、アフリカ熱(ダニ)その他、多数。

(ロ)経口感染症:ポリオ、コレラ、細菌性赤痢、サルモネラ症、アメーバー赤痢、細菌性・ウイルス性下痢症、A型肝炎、肺吸虫症など。

(ハ)その他の感染症:狂犬病、結核(多剤耐性の菌も存在しうる)、住血吸虫症、ブルセラ症、リーシュマニア症、マールブルグ出血熱、ペスト、回帰熱、発疹チフス、蟯虫、回虫症など。

 (以上出典は、P329-332 International Travel Health Guide 13th edition 2006-2007

 またWHOによればアンゴラはシャーガス病(中南米で発生しているトリパノソーマ感染症)を除くすべての感染症があり(但し、シャーガス病は、当地では睡眠病:トリパノソーマ症として存在するので全ての病気がある)、「感染症の宝庫」との由であり、上述以外のその全てをここで列挙するのは困難。マールブルグ出血熱(致死率92%)コレラ(当地の死亡率4%)が長期にわたり蔓延している可能性が否定出来ない状況下である。アンゴラ北部に位置するZaire州では2008年10月以降300名以上の方が血吸虫症と診断され、少なくとも9名の死者が出ていると同年11月にNzeto地区の保健局より報告があった。2010年5月の保健省の報告では5月11日から5月17日の1週間の間にアンゴラ国内で狂犬病により11名が亡くなり、2010年1月からの死亡数は78名に達している。また2010年9月の地方保険局からKwanza Norte州において今年1月から6月までに20名が新たなアフリカ睡眠病と診断されたと報告があった。このようにマラリアは当然のこととして、各種致死的感染症に罹患する危険性が高く、十分な注意と事態発生後の体制に関し事前の準備を出来うる限り手配することが必要である。

(2)マラリア:国内全域が熱帯熱マラリア汚染地域に属する。WHO、CDCの予防推奨レベルはともに同国滞在期間中のマラリア予防薬の「常時服用が必要」とされる地域に属するため入国前に、旅行医学、熱帯医学専門医の指導を必ず受けることと、適切な予防法を学習後、入国後は蚊に刺されないようにすることが何よりも大切。

(3)2006年のコレラの大発生にも関わらず、国内の行政的衛生状況の改善は見られない。2008年の報告では良質な飲料水源を持っているのが全人口の50%であり、良好な公衆衛生施設を使用可能な割合は全人口の57%といった状況である(WHO)。また当地の水の安全性は有機物や細菌に対しては煮沸で対処できうるが、無機物(工場排水や鉛)の混入の程度は確認できていない。水は一日一人あたり平均5~6リットルの消費があるが、歯磨き洗顔なども出来れば衛生度の高い水を使うべきである。ミネラルウォーターは当地では現地人でも飲料水との認識であるが、物価高のため月に相当の経費がかかる。

(4)市内の車両の増加が著しく交通事故による外傷が増えている。2007年の当国の交通事故による死者は6425人であった。10万人当たりの交通事故死者数は37.7と世界でも有数の高さである(WHO)。

(5)ルアンダ市内では停電の発生が頻繁で、それによる給水の停止、冷蔵・冷凍品の劣化などが起こる状況であるため、保存食品の品質についても、消費期限だけでなく、自らの五感を持って衛生度を確認するなどのことも必要となりうる。

(6)蝿蛆症(ハエウジ症):下着や靴を洗って外に干した時、蝿が卵を洗濯物に産み付け、その洗濯物が乾いて人が身につけたときに卵が孵って蛆となり、人の皮膚に浸入して赤く腫れたおできを作る。洗濯物には必ずアイロンをかけることが一般的予防法。

(7)性行為感染症(STD):エイズ、クラミジア、梅毒、淋病

(8)髄膜炎や結核、ハンセン病にも注意が必要。

(9)黄熱病、ウイルス性出血熱が風土病的に存在。

(10)内戦中に広がった安価な銃器による強盗で、市内で撃たれるといった事例が発生している。

6.健康上心がける事

(1)飲水を含め衛生には常時気を付けるようにする。手洗い、うがいなどの励行。

(2)生水は飲まない、生卵は食べない、肉類はよく火の通ったものを食し、果物は清潔に取り扱い食す。地方などでは不衛生と少しでも感じたものを無理に食さないこと。

(3)蚊に刺されないように十分注意する。長期滞在予定の場合は、マラリア予防内服法やマラリア簡易検査キットの使用法について事前に専門医を受診、相談することが強く勧められる。殺虫薬の浸潤した蚊帳の持参、マラリア罹患時のスタンバイ治療薬の持参なども検討しておくことが望ましい(年齢や体質によって使用すべき量や薬の種類が異なる為、自己判断は禁物である)。

(4)皮膚を通して感染する寄生虫、ウイルスなどを抱えた吸血虫(ダニなど)がいる可能性があるので、むやみに湖や川、茂みなどに入らない。

(5)上記のように、多様な感染症、致死的傷病や事故の際の救命施設の不備などといった不安要因によって、精神的に追い詰められることも多いため、事前に対処すべき方策を持って入国すべきである。安易な入国によって、気づかぬうちに環境負荷が強くなりすぎて心の病を患う危険が高いと事前に了承し、自己の精神の健康および周囲のバックアップの確保といった具体的に心を落ち着かせる対策をたてておくことが大切。

7.予防接種

(1)赴任者に必要な予防接種

当国ではワクチンの保存が安定しないため、入国前に品質の安全な地域での接種を済ませておくことが望ましい。

(2)自主的に医師に相談し検診や予防接種を受ける。(安全性{接種後のショック状態緊急救命など}は当地での実施において保証出来ない)

(3)学校により接種した予防接種の一覧の提出が必要な場合があるので、英文の予防接種証明書を持参することが望ましい。

8.病気になった場合(医療機関等)

◎ルアンダ市

(1)Clinica Sagrada Esperanca Ilha de Luanda(サグラダエスペランサ病院)

所在地:Ilha de Luanda C.P. 484 / 13, Luanda Angola

電話 : (244) 222 309 360 / 309 688, 救急:(244) 222 309 204 / 222 006 878

概要:1991年、当地で小児科医を開業後、現総合病院の事務局長となったドクター・ルイ氏(ジョセ・ピント)、(Dr. Rui Jose Veiga Pinto)が運営する私立病院。当地のダイヤモンド会社などの寄付もあり設備は現在も拡充中であるが、技術の伴った医師とその教育の不足がこの病院の安全性に影を落としているものの、他の病院に比べると医師の充足状況は良好である。しかし来院患者は、2時間から5時間待たされることも日常的で、勤務医は数件の病院を掛け持っているため、各専門医が常時在院していないという危惧もある。診療科目はほぼすべての診療科があるが、邦人はここでの治療は期待すべきではないし、国外移送の中継的な病院として理解しておく必要がある。多くの医師はポルトガル語かスペイン語を話し、英語での会話は成り立たないことが多いため、受診時には通訳を同行することが勧められる。安全性に多くの問題があるが、現在のところ諸外国の保険会社の中継病院であることを含め、当地の先進国の外国人が受診・治療に訪れることのできる体裁を整えた総合病院である。

(2)International SOS Clinic(インターナショナルSOS診療所)

所在地:Ilha de Luanda C.P. 484 / 13, Luanda Angola (1)病院内

電話 : (244) 222 309 034 / 222 309 352 (月曜-金曜 08時00分-16時30分), (244) 923 330 845 (時間外)

概要:緊急移送会社インターナショナルSOSと契約している個人または団体、および、直接、ルアンダでの契約により、英語を話せる非常勤医師が24時間対応してくれる。専門科はサクラダエスペランサ病院内の医師に紹介となり、決して医療の質が高いわけではないが、診察までの時間が短いことと医師が英語を話せることで、諸外国の企業は個別に契約していることが多い。

(3)Clinica Girassol(ジラソール病院)

所在地:Rua Comandante Gika no225, Maianga, Luanda, Angola

電話:(244) 222 698 000 / 222 698 416

概要:2008年9月に開院したSonangol石油会社系列の総合病院。ルアンダ空港近くに位置する。施設は新しく、清潔である。また医療器具も最新のものが導入されており、日本の総合病院と比べてもハード面においては遜色ない。しかしこの病院にはアンゴラにおける医師不足の影響が顕著にあらわれている。2010年9月にようやく透析センターや心臓カテーテル検査が稼働を始めたが、まだ軌道にのった状態とは言い難い。他、病院内には核医学検査室や放射線治療室など数々のブースを作っているもののその多くが稼働していない状況である。将来的に医師が充足してくれば状況が変わると思われるが、現状では邦人が受診するには病院内での稼働状況を確認する必要があり、設備と同様のレベルの治療を期待すべきではない。多くの医師はキューバ人やブラジル人医師であるが、ポルトガル語-英語の通訳可能な担当者が24時間常駐している。

(4)Climed Clinic(クリメド診療所)

所在地:Alameda do Principe Real 65, Miramar, Luanda, Angola

電話番号:(244) 222 443 514 / 222 443 586, 救急 (244) 923 602 425

概要:ブラジル人である院長ドクター・カルモ氏(Dr. Calenoario do Carmo Filho)が25年前に石油会社のプロジェクトのためアンゴラに赴任し、プロジェクト終了後この医院を15年前に開業。当診療所は、入院施設はなく、外来診療および後方支援病院への転院までの待機ベッドが用意されているのみである。医師はやはり非常勤医師がほとんどで、家庭医、小児科医、産婦人科医、内科医は毎日外来を行っている。通常の外来診療および一時救急に関しての受け入れ能力はあると思われる。Generalの医師が1人24時間待機しており、診療所ではあるものの24時間診察可能である。マラリアが疑われた時等には迅速な検査施行が可能と思われる。サクラダエスペランサ病院等への中継的な診療所といえる。当診療所所有の救急車が3台ある。場所は日本大使館より歩いて数分の所に位置している。

(5)Hospital Josina Machel(ジョシナ・マシェル病院)

所在地:Rua 1゜Congresso do MPLA, Luanda, Angola

電話番号:(244) 923 369 700

概要:1860年代に建設された修道院を1977年より病院として使用。アンゴラにおいては由緒ある総合病院であり、3次病院としての機能を持つ。そのため救急外来はいつもアンゴラ人でごった返している。施設、機材とも最新式とはいえず、清潔とも言い難い。そのため邦人が受診することは考えるべき病院ではない。しかし集中治療室、心臓カテーテル検査室、手術室のみはブラジルのITCという民間企業との共同運営を2008年11月より行っている。それにより現在、心臓外科手術を行っている。この集中治療室や心臓カテーテル室などは他の部署と比較して同じ病院とは思えない程、設備は充実しており、清潔である。この共同運営されている部門の医師の多くはブラジル人である。心臓外科手術は開設以来200例を超え、心臓カテーテル検査は年間300例、経皮的冠動脈インターベンションを年間50例と比較的多くの症例数をこなしている。急性心筋梗塞に対しては24時間対応で行っており、急性心筋梗塞を発症し南アフリカへの搬送が困難な状況となった場合は、ここでの治療を考慮する必要がある。
1996年より日本は無償資金協力によりこの病院の建物を改修、機材供与等を行っている。

9.その他の詳細情報入手先

1)米国疾病管理センター(CDC)の旅行医学のアンゴラのホームページ(英語)。
http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/angola.aspx他のサイトヘ

2)世界保険機構(WHO)のアンゴラのホームページ(英語)。
http://www.who.int/countries/ago/en/他のサイトヘ

3)国際連合児童基金(UNICEF)のアンゴラのホームページ(英語)
http://www.who.int/countries/ago/en/他のサイトヘ

10.現地語等一口メモ

(1)緊急を要する傷病発生の際は可能であれば、前もって加入していればその保険会 社へ第一報を、また現在向かっている病院および大使館など支援要請が必要と思われる関係筋に速やかに電話を入れることが勧められる。救急車(各病院が保有)はあるが、基本的には到着の如何が不明な為、自走にて病院へ向かう必要がある。(来ないことの方が多い)

(2)当地ではもっとも大きな病院でも主治医は数件の病院を掛け持ちをしており、常時病院にいる医師はほとんどいない。また交通渋滞の激しさから、移動中の医師が遅れてくるという事態となり外来で数時間待たされることはしばしば見受けられる。またホームドクター制度や往診の習慣はない。

(3)病院受診時はシステムダウンや停電などによりクレジットカードが使えないこともあり、ある程度の現金を持参する必要がある。緊急移送など高額な治療費が必要となることもあり(2008年5月の例では南アフリカまで420万円)、海外旅行傷害保険等は事前に十分に加入しておくことが強く勧められる。

(4)入国審査の際イエローカード(黄熱の予防接種証明)の提示が必要。

(5)公用語のポルトガル語については,モザンビークの11.現地語をご参考下さい。

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