記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成27年7月10日(金曜日)8時32分 於:官邸エントランスホール)
「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録について
【フジテレビ 藤田記者】世界遺産登録について質問があるのですけれど,一度は日韓外相会談でお互いの世界遺産登録に向けて協力し合うということで確認を取ったと思うのですれけれども,ぎりぎりの段階でこのように交渉が難航したという最大の原因はどこにあったとお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】おっしゃるように日韓外相会談で協力していくことで一致をしました。そして世界遺産に関して勧告の中で歴史全体がわかるように説明をする,こうした勧告がなされています。これに誠実に応じるために日本側,韓国側が発言するということになりました。その発言について調整が行われたわけですが,登録を確実にするために,日韓間の調整ももちろんありますが,日韓以外にも19の理事国が参加をしています。こういった国々にも丁寧に説明をしなければなりませんし,登録を確実にするため丁寧に作業を行った,こうした結果であると認識をしております。
【フジテレビ 藤田記者】その世界遺産登録を確実なものにするということでされた発言によって韓国国内では日本が強制労働を認めたとするような報道が多く出ていまして,韓国国内でもそういった認識が広がっている,誤解が広がっているようなのですけれども,それは日本政府として放置していいものなのか,なにかしら対応というものはお考えなのでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,申し上げなければならないのは今回の日本の発言につきましては、当時国民徴用令によって,朝鮮半島の方々も徴用されていた,こういったことを述べたものであり,なんら新しいことを述べたものではありません。
国民徴用令ですが強制労働に関する条約があります。この条約において強制労働というものが禁止されているわけですが,戦時中の徴用などは含まれない,こうした規定が存在いたします。
よって国民徴用令に基づく対応を述べた日本側のこの声明文中の文言につきましては強制労働には当たらないと考えます。こうした条約との関係もありますが,いずれにしましてもこの1965年の日韓請求権・経済協力協定において,日本と韓国との間との財産及び請求権の問題はこの朝鮮半島出身の徴用者を含めて,完全かつ最終的に解決済みである,我が国の立場は全く変わっていないということであります。
そして,このことにつきましては韓国側に明確に伝えてありますし,そしてその外交のやり取りを通じて韓国政府は今回の我が国の代表の発言を日韓間の請求権の文脈において利用する意図はない,このように理解しており,その旨ハイレベルに確認をしているわけです。このことにつきましては,是非これからもしっかりと対外的に説明はしていきたいと考えております。
シリアにおける邦人ジャーナリストの拘束疑い事案
【フジテレビ 藤田記者】フリージャーナリストで安田純平さんという方がシリアで今連絡が取れなくなっている状態にあるということなのですけれども,彼に関する情報などは外務省の方に入っているのでしょうか。
【岸田外務大臣】少なくとも今現在邦人が拘束されたという情報には接してはおりません。平素から様々な情報収集に努めてはおりますが,今申し上げたような情報には接してはおりません。
【テレビ東京 鵜飼記者】その安田さんのことなのですけれども,今シリアに入っているというのは外務省としては把握されているのでしょうか。
【岸田外務大臣】そのことも含めて私(大臣)は確認はしてはおりません。