記者会見
中山外務副大臣会見記録
(平成27年6月11日(木曜日)15時19分 於:本省会見室)
冒頭発言-韓国でのMERS感染症発生に対する政府の対応
【中山外務副大臣】韓国における中東呼吸器症候群(MERS)の流行に関しまして,外務省では,これまで様々な情報提供と感染予防に関する注意喚起を行っております。
感染者が発生している地域においては,6月5日には在韓国大使館に別所大使を本部長とする現地対策本部を、8日には釜山で初の感染者が確認されたことを踏まえまして釜山総領事館にも松井総領事を本部長とする現地対策本部を立ち上げました。さらに,現時点におきまして済州(チェジュ)では感染者は確認されておりませんが,在済州総領事館においても寺澤総領事を本部長とし現地対策本部が既に立ち上がっております。
9日から韓国政府とWHOが合同で調査・分析を行っておりますけれども,その調査結果が13日に発表されると承知しております。外務省としましては,同発表を踏まえて更なる対応を検討してまいりたいと考えております。引き続き,在外邦人の安全確保に対して万全を期す考えでございます。
日韓局長協議
【NHK 小嶋記者】先ほど,日韓の外務省の局長協議が東京の外務省で開かれまして,そこで韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の6月22日の国交正常化50年の行事出席を含む協議も行われたようなのですけれども,副大臣のほうで何か把握しているものがありましたら,特に尹外相の訪日についてお願いします。
【中山外務副大臣】まず,11日午前でありますけれども,伊原純一アジア大洋州局長におきましては,李相徳(イ・サンドク)韓国外交部東北アジア局長との間で日韓間の諸課題に関し,幅広く協議を行わせていただきました。両者間では様々な諸課題において,引き続き議論を続けることといたしております。
また,当然日程はという話も出てくると思いますけれども,次回の協議日程に関しては今後調整していくこととなっております。
様々なやりとりと申し上げましたけれども,その中で日韓関係全般を初めとして,韓国政府による日本のいわゆる日本産の水産物の輸入規制強化の話,それから,慰安婦問題等について議論を行わせていただきました。
尹炳世長官の訪日に向けた調整に関してでございますけれども,尹炳世長官の訪日を含めまして,これは両国の祝賀行事に誰が出席するかについては,引き続き外交当局間で協議をしていくこととなりました。現時点で確定的に何か決まっているといった事実はありませんということであります。
世界遺産
【共同通信 蒔田記者】今の局長級協議で,世界遺産の件は話題になったのかという点と,本日の協議とは関係なく,この世界遺産登録について全会一致で採択を目指していくのか,あるいは日本としての主張は譲らずに,採決による採択も辞さない構えなのか,どういった方針で臨むのかをお聞かせください。
【中山外務副大臣】まず,この局長級協議においては,今のご関心の部分の議論は行いました。ただし,これ以上の詳細に関しては差し控えさせていただきたいと思います。
それから,世界遺産の申請案件,特に明治日本の産業革命遺産についてでありますけれども,ご存じのとおり6月9日に日韓文化担当事務レベルの会合が開催されたということでございます。我が国が推薦しております明治日本の産業革命遺産,製鉄,鉄鋼,造船,石炭産業の世界遺産登録について9日,担当者間で行いました。
この会合におきまして,日本側から新美外務省国際文化交流審議官,韓国側から崔(チェ)外交部長官特別補佐官兼ユネスコ協力代表を初めとする,両国の関係省庁の代表が出席をしました。
この会合では,日韓双方がそれぞれの立場につきまして説明を行い,相手国側の理解を求め,率直かつ有意義な意見交換を行わせていただいたと認識いたしております。我が方といたしましては,このような意見交換を通じまして,お互いの立場をより一層理解することは重要なことであると考えております。
同時に,本件遺産の価値につきましても,韓国も含む世界遺産委員国の理解を引き続き求めていきたい。そのように考えるということであります。
【共同通信 蒔田記者】すると,各委員国の理解を求めて全会一致を目指すというのが基本姿勢だということですか。
【中山外務副大臣】我が方といたしましては,当初からイコモス勧告を受けて,しっかりと世界に対して我々の主張というものをご理解いただくという姿勢,これに関しては当初から一貫したものであると考えておりますので,引き続きその流れに沿った形でご理解をしっかり求めていきたいと考えますし,必要があればしっかりと説明も行っていきたいと思っています。
尹炳世長官の訪日
【NHK 小嶋記者】先ほどの尹長官の件で補足的に伺いたいのですけれども,尹長官の訪日については,岸田大臣から今年3月の日韓外相会談でお願いをしているという経緯があると思うのですけれども,副大臣としては国交正常化から50年というある意味節目のときに,長官の訪日も含めてご検討を韓国のほうでしているようですので,そういうことの実現がなされる場合の期待感というか,何かそういうものがございましたら所見を伺いたいと思います。
【中山外務副大臣】尹長官とは一度,ハーグのサイバーテロに関する国際会議でご一緒させていただきました。逆にハーグでお会いするぐらい尹長官も韓国政府の外交部の代表として世界中を歩んでいらっしゃると思います。大変ご多忙なことであろうと推察いたします。
50周年のある意味,国交正常化の節目というのは,非常に両国間において歓迎すべきことではあると思いますけれども,同時にそれだけお忙しくしていらっしゃる外交部の長官でもおありになられると思いますので,しっかりと日程等々を協議していただいた上で,まずは現場レベルの詳細な打ち合わせでしっかりと協議を行っていただいた上で,行事が円滑に,かつ,両国間にとって非常に実りのある,また,今後の発展を期する形で行われるというのが理想的ではないかと考えます。
韓国でのMERS感染症発生に対する政府の対応
【共同通信 蒔田記者】細かい点で恐縮ですが,冒頭ご紹介があった済州での対策本部なのですけれども,これは何日付で立ち上げたのでしょうか。既に立ち上げたとおっしゃいましたけれども。
【中山外務副大臣】現時点で私の解釈,理解としては,現地対策本部は8日に釜山で確認されたことを踏まえて,在釜山総領事館にもその後,立ち上げたということで,私の手元に詳細な日付というのが今ないものですから,お答えを差し控えさせていただいて,また後ほど調べてご案内をさせていただきたいと思います。
(補足説明)
5日,在済州日本総領事館に寺澤総領事を本部長とする現地対策本部を設置した。