記者会見
川村外務報道官会見記録
(平成27年3月18日(水曜日)17時04分 於:本省会見室)
冒頭発言-バヌアツにおけるサイクロン「パム」の被害
【川村外務報道官】まず最初に私の方から,バヌアツにおけるサイクロン・パムの被害及び我が国の対応についてお話しいたします。
13日から14日にかけてサイクロン「パム」がバヌアツを通過し,同国に甚大な被害をもたらしております。
我が国としましては,14日に第3回国連防災世界会議に際して行われた日バヌアツ首脳会談において,安倍総理よりロンズデール大統領に対しまして,お悔やみとお見舞いの気持ちを伝えるとともに,可能な限りの支援を行う旨伝達をしました。
バヌアツ政府より,バヌアツを管轄する我が方在フィジー大使館に対しまして,支援要請がなされたのを受けまして,15日,2,000万円相当の緊急援助物資を提供することを決定するとともに,16日に調査チームを,また,昨17日に国際緊急援助隊・医療チームをバヌアツに派遣しました。調査チームは17日,昨日現地に到着し,活動を開始,また医療チームも,現地時間の本18日夜,現地に到着する予定です。これらに加えまして,防衛省の調査チーム(4名)が,昨17日,現地に向け出発をしています。
我が国としましては,これら人員の派遣を通じて,被災地におけるニーズを調査するとともに,バヌアツ政府,国連機関等との協議を踏まえて,同国に対して最大限の支援を行っていきたいと考えています。
なお,バヌアツには在留届ベースで約80名の在留邦人がおられますけれども,全員の無事が確認できています。
第13回日中安保対話の開催
【共同通信 斎藤記者】明日の日中安保対話に絡めてお伺いしたいと思います。ご案内の通り,中国の国防費はほぼ毎年の2桁の勢いで伸びているわけですが,また同時にこの国防費の透明性について国際社会から懸念を受けています。この問題について政府はどう考え,明日の安保対話でどういうようにこの問題を取り上げていくのか,この点についてお伺いしたいと思います。
【川村外務報道官】中国の国防費は,27年連続で前年比ほぼ2桁の伸びを示しております。ちなみに,過去10年間で3.6倍,過去27年間で約41倍の伸びということです。日本政府としましても,こうした動向を注視して参りたいと考えています。
国防費を含む中国の国防政策や軍事力につきましては,その透明性を一層高めていくことが望まれています。我が国としましては,引き続き中国に対して国防政策の透明性向上を働きかけていこうと考えております。これらが我が国の基本方針,姿勢であるわけですけれども,明日19日に行われます日中の安保対話は,2011年1月以来,約4年ぶりで開かれるというものです。この対話を通じまして安全保障分野での日中間の相互信頼向上といったことにつながるものとして,我が国としては大変重視をしております。その対話を通じて,安全保障政策,防衛政策,地域情勢等について率直に意見交換を行うことを予定しています。これらを通じ両国間の信頼醸成に資するということを期待しているわけです。
明日の日中の安保対話においても今申し上げたことをふまえて日中両国の安全保障政策,防衛政策,地域情勢等について意見交換をして参りたいと思っております。
【共同通信 斎藤記者】今の点について,もう一点お伺いしたいのですが,日中間では安全保障関係において,1つが尖閣周辺を含む東シナ海上空に設定された,中国が言うところの「防空識別区」の問題。そして,これは軍事といいますか,国家海洋局の問題ですが,尖閣周辺での日本領海への公船による侵入という問題があります。こうした日中間の問題についても,明日,議題にするおつもりかどうか。そして,現時点でのご認識をお伺いしたいと思います。
【川村外務報道官】先ほどのご質問にも共通するのですが,日中の安保対話では,安全保障政策等について忌憚のない意見交換が行われることを予定しております。ただ,事前にどのような議題を取り上げるということを具体的に申し上げることは差し控えたいと思っております。
それを申し上げた上で,今,ご質問がありました尖閣諸島周辺での「防空識別区」の話ですが,尖閣諸島が歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であって,現に我が国はこれを有効に支配しています。したがいまして,尖閣諸島をめぐって解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないというのが我が国の立場です。
尖閣諸島沖において,昨年11月の日中首脳会談の際にも中国の公船が領海に侵入し,これを継続したということですけれども,こういった事態が起こるたびに,その都度,我が国からは中国側に対して厳正に抗議をしています。中国側がこのような領海侵入等を継続していることは極めて遺憾です。我が国としましては,我が国の領土・領海・領空は断固として守り抜くという決意で,毅然かつ冷静に対処していく所存であります。
【共同通信 斎藤記者】何度もすみません。これが最後になります。
今度,中国は日本のいわゆる安保法制見直し,それから日米同盟強化について非常に強い関心を示している。このように伝えられているわけですが,明日取り上げるかは置いて,日本政府はそうした中国側の見方に対してどのように今後,一般的な意味で説明していくのか,あるいは説明しているのか,この点について教えてください。
【川村外務報道官】日本の安全保障政策につきましては,これまでも中国に対して,国際協調主義に基づく積極的平和主義のもとで,世界の平和と安定に一層貢献していくという我が国の決意について随時説明を行ってきているわけです。そういったことを申し上げつつ,今般の日中安保対話においても,昨年7月の閣議決定等についても説明を行う予定でおります。日本の安全保障政策への理解を促すよい機会になるのではないかと考えております。
日本の安全保障政策における取り組みというのは,国民の命と平和な暮らしを守って,もって国際社会の平和と安定にこれまで以上に貢献するためのものです。もとより,特定の国を対象としたものではありません。日本の安全保障政策について各国の理解を得る努力は重要なので,今後とも中国を含む関係諸国に対して引き続き丁寧に説明をしていくという基本方針でいます。
中国作成の尖閣諸島地図
【産経新聞 楠城記者】先日,外務省のホームページで尖閣の地図,1969年発行の中国側の地図をアップされた,更新されたと思いますが,そのことについて中国側は,歴史的事実は1枚,2枚の地図では変わらない,100枚でも1,000枚でも中国側の領土だと証明するような地図は出せるということを言っていますが,このことについて反論があればお願いします。
【川村外務報道官】我が国,外務省のホームページに尖閣に関する地図を掲載したということにつきましては,先ほど申しましたとおり,歴史的,そして国際法上も,尖閣諸島が我が国の固有の領土であることは間違いない事実ですので,そういった観点から,中国側の主張が説明をなしていないということで掲載したわけです。
中国側からの,我が外務省のホームページへの掲載について,どういった反応が出てきたということについては個々にお答えすることは控えさせていただきたいと思いますけれども,我が国の,また,外務省の姿勢としては,今,申し上げたことを明確にしているということです。