記者会見
川村外務報道官会見記録
(平成27年3月11日(水曜日)16時41分 於:本省会見室)
冒頭発言-第7回世界水フォーラム
【川村外務報道官】4月12日から17日まで韓国において第7回世界水フォーラムが開催されます。世界水フォーラムは,1997年の第1回会合以来,3年に一度開催されているもので,世界中の水問題関係者が一堂に会し,地球規模の課題である水問題の解決に向けた議論や展示などが行われる水問題に関する世界最大級の国際会議です。主催は世界水会議であり,毎回ホスト国をかえて開催されてきております。今年の第7回フォーラムは韓国がホスト国となって,大邱(テグ)市及び慶尚北道(キョンサンプクド)にて開催されることになっています。
このフォーラムに際しまして,皇太子殿下におかれましては,4月14日に同フォーラムの大邱会場で開催される「水と災害ハイレベルパネル」セッションにおいてビデオメッセージを発出されることとなりました。
皇太子殿下は,この世界水フォーラムで過去,2003年京都,滋賀,大阪で開催された第3回会合,2006年メキシコシティで開催された第4回会合,2009年トルコ,イースタンブールで開催された第5回フォーラムにご出席をされ,2012年フランスのマルセイユで開催された第6回,前回フォーラムではビデオメッセージを発出されておられます。
バーナビー市における慰安婦像建設問題
【フリーランス 安積氏】慰安婦の像の建設についてお伺い致します。カナダのバーナビ-市,これが韓国の京畿道華城(ファソン)市と姉妹都市提携をしているらしいのですが,この京畿道華城市の方にバーナビ-市の方から慰安婦の像の建設についての土地提供があったというようなことが韓国のメディアで報道がありました。
日本の方では,釧路市がバーナビ-市と提携していまして,今年で50年目になります。慰安婦の像の建設というのは,極めて日本に対して威嚇的な意味を含みますので,これに対して外務省の方はどういうように対応されているのか,それと釧路市の方が情報収集をしている最中だというんですけれども,釧路市の方から何か外務省の方に問い合わせ,ないしはそれに類似したものがあったのかどうか教えてください。
【川村外務報道官】今ご指摘がありました件ですが,韓国の方で報道が出ているということは承知しておりまして,我が方としてはこの報道をふまえまして,情報を収集しているところであります。その上で我が国の基本的な立場ということで申し上げれば,北米における慰安婦像,あるいは碑の設置等は我が国の政府の立場やこれまでの取り組みと相容れない極めて残念なことと受け止めております。
このような動きが慰安婦問題を政治問題,外交問題化して状況を複雑化させるものであると考えております。慰安婦問題の解決に資するかと言えば,このような動きはそういうことではなく,元慰安婦の1人1人の幸せのためになっていない,また多様な民族,あるいは文化的なバックグラウンドを持つ住民から成る北米の地域社会を分断させるということに繋がりかねないということを憂慮しています。
このような個別の事案への対応ということを具体的に詳らかにすることは差し控えたいと思いますが,我が国としましては現地の総領事館等を通じて慰安婦問題についての我が国政府の考え方やこれまでの取り組みを様々な形で説明しているところであり,これを続けていきたいと思います。
第3回国連防災世界会議
【共同通信 市ノ瀬記者】国連防災会議なのですけれども,非常に多くの国から閣僚が来られると伺っています。岸田外務大臣のバイ会談なのですが,どのような国と会談されるご予定になっているのかをお願いします。
【川村外務報道官】国連防災会議の方ですけれども,国連側からは潘基文事務総長ほか10名程度の首脳級,または100名を超える閣僚級が出席予定と承知をしています。国連の方で現在,調整・準備を進めておりますので,どういった閣僚の方が出席されるかということについては,国連側が取りまとめて,いずれ発表すると考えております。このような発表を踏まえて,どのように二国間会談に対応するかということを検討してまいりたいと思います。
第7回世界水フォーラム
【時事通信 松本記者】冒頭,報道官がおっしゃられた水フォーラムの件でお伺いします。皇太子殿下は水問題には非常にご関心がお強いかと思いますけれども,今回,出席されずにビデオメッセージという形でのご参加になった理由をまず教えてください。また当初,皇太子殿下はご出席のご検討をされていたかと思うのですが,それがなくなった理由も教えていただけますでしょうか。
【川村外務報道官】今回は,ご日程上のご都合によりご出席されないことになりました。皇太子殿下におかれましては,主催者側のほうから招待状というものが来ていたわけですけれども,今,申しましたように,ご日程上のご都合によって殿下はご出席されないことになりました。これは韓国側にも回答済みです。
鳩山元総理のクリミア訪問
【フリーランス 安積氏】今,クリミアに行っている鳩山元首相についてお伺いいたします。最初の報道によりましたら,5日の段階でロシア課長が鳩山さんの秘書を通じて渡航中止を要請したとあるのですけれども,それ以降,今日までどのくらい接触をして,渡航の中止といいますか,クリミアに行くことを中止要請されたのか。その経緯についてお伺いしたいと思います。
【川村外務報道官】外務省としましても,東京におきまして鳩山氏本人への面会を申し入れましたけれども,鳩山氏側からはスケジュール上の都合を理由に応じていただけなかったということがあります。モスクワの大使館で鳩山氏にも接触を試みたということもありました。鳩山氏側からは滞在日程あるいは場所などについての情報提供も全くない状況でありまして,現時点まで接触ができていない状況です。
中国の航路新設
【台湾テレビ 宣記者】この間,台湾と中国が台湾海峡の上にM503の航路を中国側が一方的に設置したという話がありまして,その後,台湾と中国双方の話し合いがありまして,調整措置が合意されました。中国がしばらく延期するという発表をしまして,今後もし正式に実施するなら,双方の話し合いがあってからそれを発表する。この点について,日本政府のコメントとか何かはございますでしょうか。
【川村外務報道官】本件に係る両岸間の合意は承知しています。我が国は従来から民間航空機の安全な航行の確保が何より重要であって,当事者間で適切な対応がとられることによって本件が平和的に解決されることが大切という立場をとってきています。従いまして,今回,当事者間で合意に至ったことは喜ばしいと考えております。
鳩山元総理のクリミア訪問
【フリーランス 安積氏】先ほどの鳩山氏の件についてお伺いいたします。今回,12日までクリミアにいて,それで帰国する予定なのですが,もしクリミアがこのままの状況で,鳩山さんが再度行きたいということがありましたら,外務省としてはどういうような手だてをお考えになりますか。
【川村外務報道官】外務省から繰り返し働きかけをしたにもかかわらず,鳩山氏がクリミアを訪問して,政府の立場に著しく反する言動を行っていることは遺憾であり,これ以上のコメントをすることはないわけですけれども,その上で今後どう対応していくかということについて検討しているところであります。