記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成27年2月13日(金曜日)10時20分 於:官邸エントランスホール)

ノルマンディー・フォーマットでの首脳会談

【NHK 栗原記者】ウクライナ情勢をめぐり,昨日行われた4ヶ国の首脳会談で親ロシア側とウクライナ側の停戦が再び合意されました。この受け止めについてお願いします。

【岸田外務大臣】11日から12日にかけて,ドイツ・フランス・ロシア・ウクライナ,4ヶ国の首脳によって会談が16時間にわたって行われ,結果として15日から停戦をするということで合意されたと承知をしています。まず,こうした停戦合意がなされたことについては歓迎したいと思います。是非,停戦がしっかりと実行されて事態が落ち着くことを期待したいと思います。
 そして,我が国としましては引き続き,全ての関係者に対しまして平和的な解決に向けて努力を促していきたいと考えます。

【NHK 栗原記者】日本のロシア政策への影響,特に岸田大臣が去年から予定されておりましたロシアへの訪問や,あるいはプーチン大統領の訪日,こういったことにどのような影響があるとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】まずは,停戦合意の実施等をしっかり注視していきたいと存じます。そして,プーチン大統領の訪日については,両国の首脳間で今年の適切な時期に行うということで合意はされているわけですが,このことについては停戦合意の実施状況等,様々な要素を総合的に勘案して,これから考えていかなければならないと思っています。

【NHK 栗原記者】これから考えるということですけれども,こうしたやり取りというのは昨日行われた外務次官級協議でも同じということでしょうか。

【岸田外務大臣】次官級協議については,昨年11月に北京で行われました日露首脳会談において,今年の適切な時期にプーチン大統領が訪日するということで合意をしています。そのフォローアップの意味も含めて,次官級協議を行い,そして二国間関係あるいは国際情勢について意見をあわせたということであります。
 こうしたウクライナ情勢等についても,国際情勢についてを議論する中でこの議論が行われたと承知をしております。

北朝鮮の拉致調査

【NHK 栗原記者】話題は変わるのですが,北朝鮮の拉致問題をめぐって,一部報道で北朝鮮側から来月にも公式の協議を再開してほしいという声があるという報道があるのですけれども,この事実関係についてお答え頂けますでしょうか。

【岸田外務大臣】昨日あたりから色々なところで様々な報道がなされていますが,報道1つ1つについてコメントすることは控えたいと思います。いずれにしましても,我が国としましては北朝鮮に対しまして特別調査委員会での調査において正直に,迅速に報告するよう引き続きしっかりと求めていきたいと思います。

【NHK 栗原記者】拉致問題をめぐる公式協議というのは去年からずっと行われていない状況ですけれども,これについては日本の政府のスタンスとしてはどのようにお考えですか。

【岸田外務大臣】様々な形で北朝鮮に迅速な通報を働きかけてきています。そして引き続き,大使館ルート等を通じまして働きかけは続けていきたいと考えています。

安倍総理の訪米

【時事通信 松本記者】先月,米国のライス補佐官が安倍総理の公式訪米を招請したことを明らかにしました。日本側として,安倍総理の訪米が実現した場合,その意義付けですとか,日本側として期待することは何でしょうか。また,具体的な訪米時期の調整状況が現在どうなっているのか教えてください。

【岸田外務大臣】総理の訪米につきましては,具体的な日程等これはまだ調整中であります。決まってはおりませんが,ただ戦後70年という大きな節目に当たって,そして昨今のアジア太平洋地域の安全保障環境ですとか,あるいは日米間の様々な経済関係ですとか,それを考えます時に,今年総理が訪米するということ,これは大変大きな意義ある訪米になるのではないかと考えていますし,期待はしています。

日米安全保障協議委員会(2+2)の開催

【毎日新聞 鈴木記者】それに関連して質問いたします。日米首脳会談の前に,ガイドラインの協議も進んでいますが,2+2を行うべきだというように,望ましい形はどのように考えておりますでしょうか。

【岸田外務大臣】日米の間においては2+2の枠組み,従来から存在いたします。日程等については,まだ決まってはおりませんが今ガイドラインの見直しについても,今年前半ということで議論を進めるということになっております。そういった議論等も睨みながら2+2の開催の在り方についても考えていくのではないかと思っています。

シリア渡航を表明する邦人に対する旅券返納命令

【TBS 金平記者】フリージャーナリストの杉本さんに対する旅券返納の件についてお伺いしたいのですが,官房長官も会見では,今回は例外的な措置であると明言されていますが,これはどこが例外的なのですか。

【岸田外務大臣】これは再三申し上げておりますように,こうした旅券返納命令につきましては,憲法の渡航の自由,あるいは報道の自由にも関わる問題ですので,慎重に検討しなければなりません。
 そして,今回のケースにおいては,まず状況としまして2人の日本人の方が殺害されるという事件の直後でありました。加えて,ISILが日本人を殺害するという予告が行われている。こういった状況の中でありました。そして,ご本人がシリアに入国するということを公の場で明らかにされていた,公言されておられた。こういった状況でもありました。
 こうした様々な点を検討した上で,今回こうした対応を取ったわけですが,今後ともこれは1つ1つ個別・具体的に判断していかなければならない課題です。それぞれの状況について判断をしていきたいと考えています。

【TBS 金平記者】返納命令書というのが大臣の名前で発出されているわけですよね。それを伝える際に,杉本さんご本人の言によれば,警察官がそこに立ち会っていたということなのですが,これは外務省の職員以外に警察官が立ち会っていた理由というのはどういうことがあるのでしょうか。

【岸田外務大臣】その場の状況を具体的に承知はしておりませんが,ご本人に対しましては先ずもってシリアに渡航するということを公言されておられたということで様々な関係者が今の状況を考えます時に渡航を控えるようにということで様々な働きかけを行っていたと承知をしております。その関係ではないかと想像はいたしますが,いずれにしましても具体的にその場でどなたが立ち会ったか,私(大臣)は承知しておりません。

【TBS 金平記者】渡航の自由,それから移動の自由を保障した憲法22条と旅券法の19条で,これはどちらが上位の法規なんですか。

【岸田外務大臣】法規自体を上,下ということであれば,それは憲法はこの法体系の中で最も尊重しなければならないものだと思います。ただ,全体の法体系の中で具体的に判断していくものだと思っています。

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