記者会見
川村外務報道官会見記録
(平成27年2月4日(水曜日)16時23分 於:本省会見室)
冒頭発言-第2回日米開発対話の開催について
我が方からは,大菅岳史外務省国際協力局参事官のほか,外務省,国際協力機構JICAから関係者が出席いたします。米国側からは,カート・トング国務省経済商務局筆頭次官補代理,パトリシア・レーダー国際開発庁上級長官補代理等が出席をいたします。
会議での議題ですけれども,エボラ出血熱対策を含む国際保健,女性のエンパワーメント,ポスト2015年開発アジェンダ,防災等の開発課題に関する連携や,アジア大洋州地域及びアフリカ地域における連携について協議が行われる予定です。
本件対話の背景としましては,日米開発対話については2013年12月にバイデン副大統領が訪日した際に合意をされておりますが,協力の焦点として日米間で人道支援,災害救援,開発援助等をあげております。こういう形で日米開発対話が立ち上がりまして,昨年,2014年2月に第1回開発対話をアメリカのワシントンD.C.で開催しております。また,昨年4月のオバマ大統領の訪日の際に発出された「日米共同声明」においても,日米両国が開発対話を通じて開発協力を拡大している点に言及があります。
シリアにおける邦人人質殺害事件
【フリーランス 安積記者】人質問題についてお伺いいたします。邦人拉致の2名も殺され,またヨルダンの中尉も殺され,また,リシャーウィ死刑囚も処刑されたという報道がありました。この中で,そもそもヨルダンにどうして対策本部を置かれたか。リシャーウィ死刑囚とモアーズ中尉の交換の件は,それ以前におそらく分かっていた話であって,ここに邦人を絡ませるというと1対2という交換条件になってくる。そうなると,すなわちヨルダンの方の国民世論も,やはり納得できないのではないかというような筋書き,展開は予想できたと思うのですが,わざわざヨルダンに対策本部を選ばれたという理由についてお伺いしたいと思います。
【川村外務報道官】今回の事案がシリアで発生したということではありますけれども,ご案内のとおり,在シリア日本大使館がシリア現地での治安情勢の悪化状況をふまえまして,一時閉鎖中であった,という事情がまずあります。そういったこともありまして,在ヨルダン大使館の中に臨時事務所を設置しました。
また,ヨルダンの政府から情勢について緊密な協力を得られるということも考えられたことから,現地対策の拠点をヨルダンに置くということを決めたわけです。このような事情を総合して勘案しますと,現地対策本部をヨルダンに設置するということは自然なことであったというように思います。
現地対策本部をヨルダンに置きましたが,我が政府としましては,ヨルダンに限らずその他の関係各国と緊密に連携を取ってあらゆるルート,チャンネルを活用してきたということです。その一例として,トルコということが出来ます。トルコについても事件発生後,安倍総理からエルドアン大統領に電話をするなどということがありました。これは一例ですが,関係各国と緊密に協力して対策に当たってきたということでございます。
【テレビ朝日 藤川記者】関連なのですけれども,昨日,海外の邦人の安全対策について検討チームの初会合が行われたかと思うのですが,その中で主な論点というものはどういうものがあったかということと,今後の会議のペースですとか大臣に答申を出すようなスケジュール感などがあれば教えてください。
【川村外務報道官】昨日,第1回の会合が開かれたわけですけれども,会合の議題としましては,今後の必要な施策です。海外における邦人の安全対策というものが大きな課題でございますので,その点に関する今後の必要な施策。そして,その実現に向けた方策について検討するということになっております。
今後の会議の開催のペースですけれども,具体的には調整中ではございますが,スピード感を持って,余り時間をかけずに開催していくということを考えております。
【時事通信 水谷記者】昨日,日本時間で言えば本日の未明に,先ほども話題に出ましたが,パイロットの方を殺害したとする映像が「イスラム国」から公開されて,また,それに対して,報復と明言しているかどうか,私もわからないのですが,死刑囚をヨルダン側が刑を執行する。そういう応酬になっているわけですが,日本も一応,ヨルダンと協力してやっていたわけで,イスラム国側が更に日本側に敵意を向けるとか,そういう可能性があるか。どのように見られていますか。
【川村外務報道官】まず,ヨルダンのパイロットの方があのような形で焼殺されたということにつきましては,日本としましても大きな憤りを覚えているわけであります。ご家族のご心境を考え,あるいはその他の国民の状況を考えますと,まずは衷心より哀悼の意を申し上げたい。また,お悔やみも申し上げたいと思います。そして,ヨルダンの政府と国民の皆さんに対して心からの連帯を表明したいと思います。
テロに対しましては,強い怒りを覚えつつ,断固非難をするということでございますけれども,日本としましては国際社会と連携をして,人道支援を更に拡充して,テロとの戦いを進める国際社会でその責任を果たしていきたいというように思っております。
【フリーランス 安積記者】関連して質問します。身代金の件なのですけれども,事件が発生した後に米国のほうでサキ報道官が非公式に日本に対して,身代金を払うなと言ったというように会見で言明しました。これは今までも日本人が拉致されたとか,また,行方不明になったとか,そういったときがあったのですが,身代金を払うなという圧力といいますか,言明は米国からこれまであったのでしょうか。
【川村外務報道官】まさにご案内のとおり,米国とも本件の邦人殺害事案に関しましては緊密に協力をしてきたということがまずございます。それで,ご質問の身代金についての払う,払わないといった米側からの発言についてですけれども,具体的な日米間のやりとりの内容に関しましては,詳細なお答えは控えさせていただきたいと思います。
【毎日新聞 鈴木記者】ヨルダンのパイロット殺害の件でお伺いします。ヨルダン側の方から1月に殺害されていたという情報が漏れているようですけれども,ヨルダン政府,日本政府がこうした情報を事前につかんでいたかということと,もしこうした情報をつかんでいたとすれば,いつごろつかんでいたのか。それぞれの国の情報の把握状況について,もしわかれば教えてください。
【川村外務報道官】ご質問の確認ですが,ヨルダン,日本,それぞれの政府がいつの時点でこの情報を確認していたかということでしょうか。
【毎日新聞 鈴木記者】はい。
【川村外務報道官】ヨルダン政府の情報の把握状況等につきましては,日本政府としてコメントをするという立場にはございませんので,具体的な解釈といいますか,判断というものは控えさせていただきたいと思います。
日本政府に関して言いますと,いずれにしても,以前からいろいろな情報に接していたということは確かですけれども,具体的には,今朝官房長官が言われたとおり,今朝の報道を見て知ったということです。