記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年12月19日(金曜日)9時55分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言-日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表
【岸田外務大臣】本日,日米間で一致した「2+2」共同発表について一言申し上げます。ガイドライン見直しについては,本年中の作業完了を指示し,進展をみてきたところですが,この今回の共同発表におきましては,ガイドライン見直しと日本の法制作業との整合性の確保,そして,見直し後のガイドラインをしっかりとした内容とすること,この2つの重要性について一致をいたしました。
その上で,この観点から,法制作業の進展を考慮しつつ,明年前半における見直し完了に向けて取り組むため,議論を更に深めることを決定いたしました。
この決定は,日米同盟を強化し抑止力を強化する強い決意とともに,ガイドラインの見直しにより,日本の平和と安全,さらに広い地域への前向きな貢献を果たしていく,こうした考え方に立って,日米間で一致をみたものです。
私(大臣)から,事務方に対し,この共同発表に従い日米間の見直し作業を更に精力的に進めていくよう,指示をしたところです。本件の詳細については,事務方から説明させて頂きたいと存じます。
日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表
【日本テレビ 有田記者】ガイドラインの見直し時期なんですけれども,明年前半ということですが,一部報道で法制作業との整合性等もありまして春頃まで完了を目指すというのがあるんですけれども,いかがでしょうか。
【岸田外務大臣】今回の共同発表において一致したのは,あくまでも明年前半ということです。先ほど申し上げたように今回の共同発表においては,このガイドライン見直しと日本の法制作業との整合性の確保,この重要性についても一致をしたということですが,安倍総理も安保法制・整備に関連する法律につきましては,来年の通常国会に提出すると表明されておられますので,そういったことも勘案した上での明年前半という時期を確認したということであります。
日中韓外相会議の開催見通し
【日本テレビ 有田記者】一部報道なんですけれども,日中韓の調整状況についてなんですけれども,中国側からまずは次官級協議をという提案があったという話があったんですけれども,そのことについてはどうですか。
【岸田外務大臣】日中韓の3国の外相会談・首脳会談の話だと思いますが,今やり取りは行っておりますが,今の段階でやり取りの詳細については控えたいと存じます。いずれにしましても,日中韓の首脳会談あるいは外相会談につきましては,我が国としましてはこの3国の関係を未来志向で強化する,こういった観点から従来から重視してきたところですので議長国韓国を中心にこうした日程の確認についても前向きに進めていくことを期待したいと思っています。
【日本テレビ 有田記者】日中韓の外相会談なんですけれども,年内といってもあと2週間もないわけで,実際これは年内を目指すというところから変わりはないですか。
【岸田外務大臣】我々は3国間のこうした会談につきましては,従来から重視してきましたし,対話のドアは絶えずオープンであると言い続けてきた我が国の立場から考えましても,こうした会談は前向きに行うべきであるという姿勢,これは全く従来とは変わってはおりません。是非,議長国韓国を中心にこうした会談実現に向けて努力が進んでいくことを強く期待したいと思っています。
日朝関係
【日本テレビ 有田記者】日朝関係についてお伺いいたします。年内にも常識的には報告があったらと官房長官がおっしゃっておりましたけれども,繰り返しますが年内と言ってももう時間が無いわけで,報告の状況等ありましたらお願いします。
【岸田外務大臣】まず,北朝鮮との間においては引き続き大使館ルート等を通じまして働きかけを行っています。ただ,現状においては具体的なものは何も決まっていないというところです。引き続き,我が国としましてはこの調査につきまして迅速に正直に通報を行うよう,しっかり働きかけを続けていきたいと考えています。
日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表
【時事通信 松本記者】ガイドラインに関してお伺いします。ガイドラインの取りまとめ時期等を判断する際に,来年4月に予定されている統一地方選挙,これは何か判断決定の時期に影響はあるのでしょうか。
【岸田外務大臣】いえ,あくまでも時期については明年前半ということで一致をしていますが,それについては先ほど申し上げましたこの2点の重要な点,あるいは我が国においてこの安保法制の議論が行われ,そして具体的な法律が明年の通常国会に提出される,こうしたことを安倍総理も表明しておりますので,そういった点を勘案したものであると認識をしております。
北朝鮮人権状況決議の第69回国連総会本会議での採択
【共同通信 蒔田記者】国連総会の本会議で北朝鮮の人権を非難する決議が採択されましたが,そのご感想と,そのことにより逆に北朝鮮が固くなってしまって拉致の問題ですとかそういったことに影響を与える懸念についてはどうでしょうか。
【岸田外務大臣】ご指摘の決議ですが,日本時間で12月19日,現地時間18日ですがニューヨークで開催中の国連総会本会議において我が国およびEUが共同提出した北朝鮮人権状況決議が賛成多数にて採択されたということですが,この件につきましては,まず共同提案国が過去最多62ヵ国であったということ,そしてその上で賛成多数で採択されたということ,このことについては高く評価をしたいと思います。
この決議が国連総会本会議において採択されたということにつきましては,拉致問題をはじめとした北朝鮮の人権侵害について国際社会が懸念をしている,こうしたことの表れであると受け止めています。我が国としましては,引き続き国際社会と連携し,拉致問題を含めた北朝鮮の人権状況の改善に向けて引き続き努力をしていきたいと考えます。
従来から我が国は北朝鮮との関係において,対話と圧力,この方針の下に臨んでいます。引き続き,調査については迅速に,そして正直な通報を求めていきたいと思っておりますし,この人権問題につきましては今申しましたように,国際社会と引き続き連携しながら改善を求めていきたい,そのように考えます。
日露関係
【NHK 栗原記者】ロシアについてなんですけれど,ウクライナ情勢をめぐる欧米の制裁ですとか,あるいは原油価格の下落に伴ってルーブルが急落しています。この影響ですとか,あるいは日本として出来る今後の対応についてはどのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】ロシアとの関係については,まずウクライナ問題等を通じましてG7との連携をしっかり重視しながら,取り組んでいるというのが現状ではあります。一方で,東アジアの状況を考えます時にロシアとの間の政治対話は継続していかなければならない,このように考えています。そうした状況の中にありますが,今ご指摘のようなルーブルの下落等ですね,様々な変化・動きが生じています。こうした動きについては注視しておりますし,今後これが様々な課題にどのような影響が生じるのか,これについてもしっかりと注視していかなければならないと思います。現状はそういったところです。
米映画「ザ・インタビュー」の公開中止
【NHK 栗原記者】北朝鮮の金正恩氏を暗殺するということがテーマの映画が,アメリカの配給元がですね当面上映を延期すると決めました。この決定についての受け止めと,その影響についてはどのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】ご指摘の点については,報道等で承知はしております。ただ,その問題について日本政府としてコメントする立場には無いのではないかと思います。引き続き,注視をしていきたいと思っています。