記者会見
中山外務副大臣会見記録
(平成26年10月16日(木曜日)16時05分 於:本省会見室)
冒頭発言-(1)中山副大臣のガザ復興支援会合出席
10月12日,エジプトのカイロにて開催されたガザ復興支援会合に日本政府を代表して出席した。会合は,ノルウェー及びエジプトが主催を致しました。世界中から90以上の国や国際機関等が参加をいたしました。
スピーチにおきましては,先般のガザ紛争に関し,停戦を確実に定着させ,紛争の再発を防止し,パレスチナ自治政府による統治を通じたガザ再建の必要性を強調を致しました。また,復興を着実に実行していくため,国際社会が関与する支援メカニズムの構築を提唱するとともに,当事者に対し中東和平交渉の再開に向けた協議の継続を呼びかけた次第であります。
日本のパレスチナに対する支援としては,3月にすでに2億ドルの支援を表明しております。その一環として,今後,がれき除去や食糧分野,社会・経済分野での開発支援など,2千万ドル以上の支援を行う予定である旨表明致しております。
なお,本会合に先立つ11日に,シュクリ・エジプト外相と会談を行い,さらに12日にアッバース・パレスチナ自治政府大統領,また,マサンエス・ポルトガル外務副大臣等と会談を行ったほか,会合のマージンで,ケリー米国務長官,潘基文・国連事務総長,ブレア・カルテット代表等と立ち話を致しました。
日中韓サイバー協議
【共同通信 斎藤記者】アジア関係ですけれども,先ほど外務省が,日本,中国,韓国,3カ国のサイバー対話,サイバー協議を北京で行う運びとなったと発表しました。それで,我が国としてはこの日中韓サイバー対話で何を取り上げ,何を主張し,どのような共通認識を目指したいと考えているのか。副大臣のご所見をお伺いしたいと思います。
【中山外務副大臣】10月21日に,北京において日中韓のサイバー協議を開催するという張り出しを記者クラブのほうにさせていただいたと思います。既に外務省から発表しておりまして,日本側からは河野章サイバー政策担当大使を団長とする代表団が参加をし,サイバー分野における各国の施策や戦略,国際的な規範,地域及び国際的なプロセス,サイバー政策に関する日中韓協力の将来の方向性などについて協議を行う予定であります。
サイバー空間の安定的利用に対するリスクが新たな安全保障上の課題となる中で,サイバー空間の安全性などを高めるための国際社会の協力は重要であると認識をいたしております。我が国といたしましても,このような協力に引き続き積極的に取り組んでいくところであります。
慰安婦問題
【共同通信 斎藤記者】話題が変わりますけれども,慰安婦の関係で,クマラスワミ報告書に関して,政府がその内容の一部について修正を求めたと。このように報じられました。この点について,副大臣は今後,日本の名誉,そしてイメージ回復に向けて,このクマラスワミ報告書の問題点を含む慰安婦問題について,どのように対外発信をしていくのか。 例えば外務省として,インターネットなどを通じてさらに発信強化に取り組む考えがあるのか,ないのか。また,ほかに何かいい知恵をお持ちかどうか。副大臣のご見解をお伺いしたいと思います。
【中山外務副大臣】まず,ご指摘の報告書に関しましては,クマラスワミ特別報告者が国連人権委員会に提出した,いわゆる女性に対する暴力に関する報告書の第1附属文書の中で,いわゆる慰安婦問題について言及した報告書であるということで事実関係を承知しております。
本件報告書に関する立場に関しては,政府はこれまでも人権委員会等,国連の場で説明を申し上げている次第です。今般,朝日新聞の報道撤回といった最近の進展があったことから,クマラスワミ氏本人に対してこれらをしっかりと説明をし,何らかの形で報告書に示された同氏の見解を修正することを促すことが適当であると考えた次第であります。このため,政府関係者が14日に同氏に直接会って説明をするとともに,同報告書作成後に実施されたアジア女性基金事業及び女性の人権の促進に向けて日本の取り組み状況を説明したということであります。
また具体的には,対外情報発信というのは特に今回,安倍政権は力を入れております。総理からも,党と相談をしながら,我々,対外情報発信,原田義昭委員長を中心として,自民党議員有志のメンバーによる会も発足をいたしておりましたし,私自身も委員長代理として原田義昭委員長にお仕えをしていた立場から今の外務副大臣になっておりますので,担当といたしましては城内外務副大臣が中心になると思いますけれども,この対外情報発信に対する強化というものをしっかりと準備をした上で,効果的な手法をとって,しっかりと,誤った認識というものを正していきたいというように思います。
同時に,私もずっと日本の前途と歴史教育を考える議員の会にいたとき,当時,中山成彬代議士が会長をなさっておられましたけれども,当時,戸井田とおる先生が南京問題小委員会,私自身が慰安婦問題小委員会の委員長という形でこの問題にずっと携わってまいりました。このときも思いましたけれども,しっかりとエビデンス,客観的な事実に基づいて,また客観的な史実に基づいて,おのずからご判断・ご理解がいただけるような形で,時代が時とともにそういった証左を風化させない間にしっかりとした証拠というものを私どもでリサーチをして,それをちゃんと残して,そして正しい方向へ導いていくというのが私は大事ではないかなというように思います。
日中関係
【時事通信 松本記者】日中関係について2点お伺いします。
昨日,中国の程永華大使が都内で講演された際に,11月のAPECに合わせた首脳会談について,領土問題・歴史問題での日本の誠意ある,また具体的な行動を求めるというような趣旨の発言をされました。これに対する日本側のまず受けとめをお伺いしたい。
2点目は,具体的に尖閣諸島をめぐる問題で,日本政府としては首脳会談実現に当たって,尖閣諸島をめぐって対話なり議論,交渉,そういったテーブルに着く用意,構え,余地というものはあり得るのでしょうか。
その2点をお伺いします。
【中山外務副大臣】程永華大使は,都内で講演をし,日中間の諸問題・課題等について言及しつつ,中国側としても日中関係を正常な軌道に戻すことを希望しているということなどを述べたと承知いたしております。日本側としましても,日中関係を改善したいという点については同じでありまして,程大使から中国側も同様の希望を有している旨の表明があったことに留意をしております。
日中関係が安定することは,両国国民にとって重要な利益であるのみならず,国際社会,地域の平和と繁栄にも大きな影響があるというように思います。安定的な友好関係を築いていくため,首脳会談を早期に実現をし,対話を通じて戦略的互恵関係をさらに発展させていきたいというように考えております。
同時に,問題があるからこそ対話というものは積極的に行われるべきものであるというように考えておりますし,尖閣の問題にしましても同じことであるというように考えておりますので,よろしくお願いしたいと思います。
【共同通信 斎藤記者】たびたびすみません。今の副大臣の発言で1カ所確認したいのです。
今,尖閣についても対話が行われるべきだという話ですが,これは従来の日本の立場では,尖閣は歴史的にも国際法上も日本固有の領土であって,そもそも領有権問題は存在しないという立場ですから,領土問題について対話をするという立場はこれまでとってこなかったと思うのですが,その点について確認させていただけますでしょうか。
【中山外務副大臣】かえってご指摘いただいてありがたいと思っています。
時事通信の松本さんからは,領土という言葉と尖閣という言葉に分けて,あえてご発言をなさったので,私は答えのときに分けて申し上げた次第でありますけれども,私は今,共同通信の斎藤さんがおっしゃったような形で,今までも日本の政府の方針,これは,尖閣は我が国固有の領土であって,歴史的にもそれを疑う事実というのはないという立場には一切変わりはありませんので,分けて質問をいただいたので,分けて答えたけれども,どうも答えの文章が日本語としてリエゾンして聞こえたら,それは間違いであるということでありますので,今,斎藤さんがご質問いただいたように,今までの政府の方針と,今,私が申し上げたことは一切狂いはないということでご理解をいただければというように思います。
産経新聞前ソウル支局長の出国禁止措置の延長
【中山外務副大臣】 私のほうから一言だけ,産経新聞の前ソウル支局長のことについて申し上げたいと思います。
産経新聞の前ソウル支局長の起訴に関しましては,報道・表現の自由及び日韓関係の観点から極めて遺憾であり,事態を深く憂慮している旨,韓国側に厳重に申し入れた。政府としては,今般の出国禁止措置の件を含めて,種々の機会・レベルで引き続き韓国側に適切な対応を求めていきたいということであります。