記者会見
岸田外務大臣 会見記録(於:官邸会見室)
(平成26年9月3日(水曜日)21時18分 於:官邸会見室)
冒頭発言-留任の挨拶
【岸田外務大臣】外務大臣の岸田文雄でございます。
私(大臣)は今日まで1年8か月,外務大臣を務めて参りましたが,本日再任をされました。
今日まで,私(大臣)自身,33か国の国・地域を訪問し,合わせて77の国・地域の大臣等と会談を積み重ね,その間,様々なネットワークの構築,あるいは日本の外交の存在感を高めていく,こういった点を考えながら外交を進めて参りました。
そして,その間,日米同盟の強化,更には経済外交の推進,更には積極的平和主義の具体化,こういった点において成果を挙げることができたと考えております。
しかしながら,我が国の外交課題,難問山積であります。引き続きまして,私(大臣自身掲げて参りました日本外交の3本柱,日米同盟の強化,そして,近隣諸国との関係推進,そして,経済外交の推進,この3本柱を中心に国益の確保,あるいは増進に務めていきたいと思っておりますし,合わせて,様々なグローバルな課題についてもしっかり取り組み,日本の存在感を高めていきたいと考えております。
しかし,それに加えて,今後は以下の3点に特に力を入れていきたいと考えております。まず一点は,近隣諸国との関係であります。我が国と,基本的な価値,利益を共有する大切な隣国である韓国との間において対話を強化していきたいと考えておりますし,また,同じく大切な隣国であります中国との間においても戦略的互恵関係をしっかり進めていきたいと考えております。
中国,韓国,両国の外相とは先月ミャンマーにおきまして,外相会談を行うことができましたが,有意義な意見交換ができたと感じております。是非,引き続きまして,こうした取り組みを積み重ねていきたいと考えております。
また,北朝鮮との間におきましては,拉致問題,核,あるいはミサイル開発等の諸懸案を包括的に解決するべく全力で取り組んでいきたいと考えております。もちろん,ASEANですとか,インド,豪州こういった国々との関係につきましてもしっかり取り組んでいきたいと考えています。
そして,二点目としまして,来年は,国連創設70周年,戦後70周年,更には広島,長崎への原爆投下から70周年,こういった節目の年となります。
核軍縮ですとか,防災,あるいは気候変動,更には開発の分野,国連の安保理改革,こうしたグローバルな課題におきましても節目の年になります。
我が国の外交としまして,この節目の大切な年をどう過ごすか,どう対応していくのか,これが重要であると考えております。私(大臣)自身,広島出身の外務大臣として取り組んできた核兵器のない世界を目指す,軍縮不拡散の取り組み,もちろんでありますが,それ以外にも,ウクライナ問題につきましては,私(大臣)自身1年8ヶ月で2度ウクライナを訪問させていただきました。また,イランの核問題につきましても,関係各国に先がけて私(大臣)自身イランを訪問させていただきまして建設的な取り組みを促す,こういった働きかけを行わさせていただきました。
是非今後とも,積極的平和主義の考えに基づいて,ウクライナ情勢ですとか,イランの核問題ですとか,こうした世界規模の課題にもしっかり取り組んでいきたと考えております。
3点目として,力を入れていきたいこととしまして,戦略的な対外発信であります。
先日提出させていただきました概算要求につきましても,外務省としまして対外発信予算の約500億円増を要求させていただきました。是非,対外発信予算の大幅増を実現いたしまして,対外発信を抜本的に強化したいと考えております。
以上,特に今申しあげました3点につき力を入れていきたいと考えておりますが,その際に米国を始め関係各国との連携が不可欠であるということは言うまでもありません。是非,これまで築き上げてきました様々なネットワークを活用させていただいて地球儀を俯瞰する外交をしっかり進めていきたいと考えております。
沖縄の負担軽減策,普天間飛行場移設
【琉球新報記者】返還前の米軍基地の立ち入りを求める新協定など,米側と,沖縄の負担軽減策について今後どのように取り組んでいきたいかという点と,普天間飛行場移設問題についてどう進めていくべきかという点についてお考えをお聞かせください。
【岸田外務大臣】まず,沖縄の負担軽減に関する沖縄仲井眞知事からの要請を昨年末,政府として受け止めさせていただいた訳ですが,この要請につきましては,政府としては出来ることは全てやる,こういった方針で取り組むという指示が総理から出されております。安倍内閣の閣僚の一人としまして,この負担軽減につきまして,しっかりと取り組んでいきたいと考えております。そして,その中にあって,特に外務省が所管する事項として,日米地位協定の環境補足協定の問題があります。この問題につきまして,今まで米国との間で6回協議を重ねておりますが,是非,具体的な結果を出すべく,しっかりと協議を促進させていきたいと考えております。そして,普天間飛行場の移設の問題についてですが,まず,普天間飛行場の固定化,これは絶対にあってはならない,この点については,沖縄の地元の皆様方も,そして我が安倍内閣もしっかりと考えを共有していると考えております。
是非,こうした考え方に基づいてこの問題に取り組んでいかなくはいけないと考えますが,やはり,その際に地元の皆様方の理解をしっかり得るべく丁寧に,この物事を進めていかなくてはならない,こういった点はしっかり念頭においておかなくてはならないと考えています。是非,多くの関係者の理解を得ながら,丁寧に作業を進めていきたいと考えております。
日中関係
【ニコニコ動画・七尾記者】日中関係について,直近では11月に北京で開催されるAPECがありますが,その場での習近平国家主席との首脳会談の実現可能性についてどう考えますか。
【岸田外務大臣】先般,安倍総理自身,11月のAPECにおきまして,日中の首脳会談を行うことについて意欲を示される発言をされておられます。日本と中国,この二つの国の関係が安定するということは,両国の国民にとって大変重要な利益であるということのみならず,この二つの大国の関係が安定しているということは,国際社会,あるいは地域の平和や安定や繁栄に大きな影響があると考えています。
この二つの国は,それだけ大きな責任を担っていると考えています。両国の間においては,様々な分野,そして様々なレベルにおいて,様々な交流や対話が存在するわけではありますが,是非こうした対話や交流を今後ともしっかり積み上げていくことによって,結果として政治の高いレベルでの対話に繋げていかなければならないと考えております。
先般,先ほどもちょっと触れさせていただきましたが,日中の外相会談,ミャンマーで行わさせていただきました。有意義な意見交換が出来たと思っておりますが,是非,今後ともこうした対話を積み重ねながら,高い政治のレベルでの対話にしっかり繋げていきたいと考えております。