記者会見
佐藤外務報道官会見記録
(平成26年8月27日(水曜日)16時38分 於:本省会見室)
シリアにおける邦人拘束疑い事案
【共同通信 岡村記者】シリアの邦人の拘束の関係なのですけれども,今どのような現状を把握されていて,どのような体制で対処するのかというのをお聞かせください。
【外務報道官】現状については,これは行方不明の事案ということで外務省は事実関係の確認を領事局を中心として関係局あるいは政府の中の関係のところとも随時連携しながら,もともと事案が発生したときに本部を立ち上げて体制もしっかり整えた上で取り組んでいる状況です。
そして,さまざまな報道には接しているところなのですけれども,この事案の性格上いちいちについてコメントすることは差し控えてきているという状況でございます。
南アジア外交
【国際開発ジャーナル 竹内記者】私は現在『国際開発ジャーナル』というODA専門誌に勤めております。以前新聞社に勤めておりましたもので霞クラブは久しぶりに参りました。外部からの参加なのですがよろしくお願いします。
1点お聞きしたいと思います。南アジアについての外交に注目しております。今度今週末にインドのナレンドラ・モディ首相が来て,またその次の週には安倍総理自身南アジアにまた出かけていくというバングラデシュスリランカ訪問があり,こういう一連の南アジア外交ということで9月は南アジア・マンスだななどと思ったりするのです。
日本としては一国,個別個別はいろいろな話はあると思うのですが,インド洋戦略外交上も安全保障上も非常に重要性を帯びてきていると思うのです。外務省としてこういう南アジア3カ国の外交で一つの外交政策の方向性みたいなものをやはり明確にされていかれるのだろうと思うのですけれどもその辺についてのお考えをお聞きしたいです。ちょっと抽象的なところなのですがお願いいたします。
【外務報道官】南アジアということで幾つか個別のお国柄,それからモディ首相についても言及がございました。地球儀を俯瞰する外交ということで安倍政権発足以来岸田外務大臣も一緒になって推進してまいりました。基本的な考え方というのは,アジアも含めまして地球儀を見て,そして全体として日本の価値,これは民主主義であったり経済の活性化であったり取り組んでいる価値,あるいは中長期的な国益,そういうものをよりよく実現していくためにいろいろな,特に価値を共有する国々との間で連携を強めていこうと(いうことです)。そういう中にあって,南アジアはやはり重要な地域で,インドは先般も総理みずから訪問されましたし,今度は来られるということで,これは引き続き大切に培っていかなければいけない二国間関係です。
それから,二国間関係といっても地域を見ながらあるいはもっと言えば世界を見ながら,インドの場合でしたら安保理の改革の話もずっと前からありますし,民主主義ということでともに歩んでいくというグローバルな面ももちろん欠かせないということで,やっていく必要があるということかと思います。
そして,ほかにもおっしゃったバングラデシュですとかスリランカがございますし,それから先般国王が来られたブータンですとか,南アジアは日本として重視してきていますし,これからも大切であると考えてバイもそれから地域や世界における関係も培っていかなければいけない,そういうことではないかと思います。
ちょっと抽象的なご質問であったので抽象的な答えになってしまいました。
【国際開発ジャーナル 竹内記者】この地域,特に例えばスリランカとかバングラデシュを見れば,中国の経済協力が非常に急増していまして,俗に言う真珠の首飾り戦略等という言葉もあるわけですけれども,特にスリランカですと,この数年,中国の支援が急増していまして,日本が中国,インド,日本という経済協力の金額においては3番目になってしまったという中で,やはり,日本が改めてここで総理訪問によって日本のプレゼンスをしっかり示しておくという,しかもODAも一つこういう国々で競争になっているわけですが,その狙いも非常に強かろうなと思っておるのですが,このあたりいかがでしょうか。
【外務報道官】南アジアも含めまして,これは南アジアに限らず,先般は中南米でしたし,それから,アフリカにも中東にも行かれましたが,中国という国自体が成長しているということから,各地で中国を感ずることが多いわけだと思うのです。
例えば,中南米におきましては,総理が行かれる前に,中国の方でやはり政府の長が行かれましたから,そこでも,中国との関係で,日本がどういう中南米外交を展開するのかというような発信にも意を用いたわけです。
今後も中国との関連で,日本が何をするのかということを聞かれることが多いと思いますけれども,基本は,日本は経済開発の面で言えば,共に繁栄したいと,それから持続する成長を促すような手を差しのべたいと,そういう哲学でもってODAについてやってきているし,これからもやっていくということかと思います。
そこのところは戦後70年間,日本も一所懸命努力をしてきて,そして,経済成長のパートナーとして,相手国も裨益する形で,ひいては地域の安定にも資する形で,それが日本の国益であるということでやっていくということかと思います。
中国による支援については,透明な,ガバナンスを重視する形で共にやっていけたら一番いい,というのが基本的な考え方だと思います。