記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年6月20日(金曜日)9時08分 於:本省会見室)
冒頭発言-岸田大臣の沖縄訪問
【岸田外務大臣】私(大臣)は,昨年に続き,23日月曜日に行われる沖縄全戦没者追悼式に参列する予定にしております。慰霊の日に際し,戦争による惨禍が再び起こることがないよう,恒久平和を希求する思いを込めて,戦没者の御霊に対し哀悼の意を捧げたいと考えております。
竹島周辺海域における韓国軍による射撃訓練
【NHK 渡辺記者】まず,日韓関係でお伺いしたいと思います。 竹島のある,日本の領海を含む海域で韓国側が射撃訓練を行う旨,意向を示しておりますけれども,仮にこれは訓練が行われた場合の日本政府の対応についてお聞かせください。
【岸田外務大臣】ご指摘の訓練の実施ですが,竹島の領有権に関する我が国の立場に照らし,受け入れることはできず,極めて遺憾であると考えます。我が国としては,韓国政府に対してその旨を伝え,本件訓練の中止を強く求めております。
イラク情勢
【フリーランス 上出氏】イラク情勢に関連して質問させていただきます。
テロ対策ということで,米国が空爆の準備をしているという報道もあります。イラク絡みで言いますと,過去の10年前のイラク戦争の時の検証というのがオランダとかイギリスで行われて,日本では不十分だという指摘があります。大臣が就任されて早々にそういう質問も出たかと思うのですけれども,そういうイラク戦争の教訓とかも踏まえた形で何か対応されているものなのか。それと,基本的な外務省あるいは政府としての,今,情勢をどう見ていて,その辺の方針を。
ちょっと補足しますと,現地のジャーナリストたちの報道では,かなり政府軍の一般市民の殺りくなんかもあるということで,そういう批判もあるようなのです。ですから,単純ではない複雑な情勢の中で,どのように日本政府として,今,立ち位置をとっておられるのかということをお願いいたします。
【岸田外務大臣】まず,我が国はイラク情勢の悪化について憂慮しております。このイラクにおきましては,宗派を超えた全ての国民の権利を尊重し,そして,新政府の形成を通じて国家統一を実現する。こういったことを求めてきております。昨日,米国のケリー国務長官と電話会談をさせていただきましたが,今,申し上げたような考え方を伝え,そして,ケリー長官とも考え方を共有いたしました。我が国としましては,まずは引き続き,こうしたテロ組織に対するイラク政府及びイラク国民の戦いは支持したいと考えます。
一方で,今,イラクの情勢を見ますと,多くの国内避難民の発生等が伝えられています。こうしたイラクの国内避難民に対する,国際機関を通じた人道支援の実施については,我が国としましてもしっかりと対応を検討しなければならないと考え,検討しております。そして,何よりも我が国の邦人保護については万全を期さなければならない。このように考えます。
そして,米国による空爆ですとか,過去の教訓についてご質問がありました。本20日未明に,オバマ大統領も記者会見を行ったと承知をしております。その中において,最大300名の米軍事アドバイザーを派遣する準備がある,あるいはもし現地の情勢から必要と判断された場合には,対象を絞った正確な軍事行動をとる準備が整っている。さらにはケリー国務長官を今週末,中東及び欧州での会合に出席するため派遣する。こういった発言があったということは承知をしております。
空爆の話等については,引き続き注視はしていきたいと思いますが,今の段階で仮定の質問に私(大臣)の立場からお答えするのは控えなければならないのではないか。このように考えます。
河野談話の検証
【NHK 渡辺記者】もう一回,日韓関係についてお伺いしたいと思います。
本日,河野談話の検証結果が発表になりますけれども,この発表を受けた上で,日本政府として韓国側に対してどういった形で説明を行うことを考えていらっしゃるのでしょうか。
【岸田外務大臣】河野談話の作成過程等に関する検討ですが,本日の衆議院予算委員会の理事会に報告することになっているというように承知をしております。
こうした報告が行われたならば,韓国側にも丁寧に説明をしていかなければならないとは考えております。さまざまなルートを通じて,韓国にはこの問題についてもしっかりと説明をしていきたいと考えます。
【産経新聞 山本記者】河野談話の関連で,まだ検証結果の中身が出ていない段階ですが,この検証結果が日韓関係に及ぼす影響について,大臣はどう思われますか。
【岸田外務大臣】今回の河野談話の作成過程の検証というのは,予算委員会で議論になり,国民に対する説明責任を果たすという観点から河野談話の作成過程を検証することになった。事実を確認するということが行われることになったというわけです。
まず,基本的に確認しておかなければいけないのは,こうした作成過程の事実を確認するということですから,河野談話そのものの見直し,これは政府として全く考えていないということであります。こういった点を,しっかりと韓国側にも丁寧に説明をし,そして,今回の検証の意味や理由をしっかりご理解いただかなければならないと思っています。
いずれにせよ,今回の検証というものが日韓関係において,前向きな方向でとらえられるようにしっかり努力をしていきたいと考えています。
【NHK 渡辺記者】そうしますと,日韓の局長級協議も,おそらく調整されていると思いますが,その見通しと,その局長級協議の場において,この河野談話の検証結果についても,何らかの日本側からの説明というのも行われるということを考えていらっしゃるのでしょうか。
【岸田外務大臣】日韓の局長級協議については,引き続き議論を続けることとになっていると承知をしておいりますし,次回の協議については日程を調整している最中だと承知しております。
この協議も引き続き議論を続けるということになっておりますので,対話をしっかり積み重ねていきたいと考えていますが,それとは別に今回の河野談話の作成過程の検証については,様々なルートで韓国側に丁寧な説明は行いたいと考えています。
日朝政府間協議
【産経新聞 山本記者】日朝関係でお伺いします。次回の協議の時期と場所については決まったのでしょうか。あと,前回の合意の発表から三週間を目処に特別調査委員会が立ち上がるということですが,既に三週間を過ぎました。次の協議が見えているということではあるのですが,これは遅れてはいないのでしょうか,二点お願いします。
【岸田外務大臣】日朝間で合意を得てから特別調査委員会立ち上げまで三週間程度ということを申し上げてきました。この点につきましては,日朝間で確認をしてきたわけですが,三週間程度ということですので,それを念頭に調整を行っております。そして,特別調査委員会が調査を開始するまでに北朝鮮側から,特別調査委員会の組織ですとか,構成,更には責任者,こういったものを通報するということになっておりました。その通報の仕方について形について調整をし,そして,日朝間で政府間協議を行った上で通報を受ける,こういったことまでは確認し明らかにしたところであります。
この協議自体,いつ,どこで開催するのか,今現在引き続き調整中でありますが,是非,調整をし,確定をしたいと考えております。
【NHK 渡辺記者】今のお話の中で,まず,日朝間で協議を行った上で通報を受けるとおっしゃったのですけれども。
【岸田外務大臣】協議を開催し通報を受ける。
河野談話の検証
【NHK 渡辺記者】わかりました。先ほどの河野談話の検証についてですけれども,そうしますと,次回の局長級協議でも議題になるという理解でよろしいのでしょうか。
【岸田外務大臣】まだ具体的な次回の政府間協議の開催も日時も決まっていないわけですから,具体的な議題等について決まっているとは聞いておりません。
日韓の局長級協議,これは両国が真摯な対話を行うために大変重要な場であると考えております。