記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年4月11日(金曜日)8時40分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言-NPDI広島外相会合
【岸田外務大臣】本11日午後から明12日にかけて,第8回軍縮・不拡散イニシアティブ,NPDI外相会合関連行事を実施いたします。
NPDI外相会合は日本で初めて開催されることになります。また被爆地広島でも,当然のことながら初めての開催となります。各国の代表には,市民社会との交流や平和記念資料館等もご視察いただき被爆の実相に触れていただきたいと考えております。
また,NPDIメンバー国の若者によるユース非核交流プログラムの実施も予定しております。核兵器の非人道性を,世代を越えて広めてきたいと考えています。
NPDI外相会合では,各国代表に被爆の実相に触れていただいた上で議論を行い,4月下旬から開催されるNPT運用検討会議第3回準備委員会に対しまして有益な提言を行っていきたいと考えております。また,核兵器のない世界に向けた力強い政治的メッセージを込めた広島宣言を発出する予定にしております。
日朝関係
【テレビ朝日 藤川記者】日朝関係についてお尋ねしたいのですが,今月の5日と6日に中国の瀋陽で日朝が非公式な協議を行ったという報道がありますが,事実関係はいかがでしょうか。
【岸田外務大臣】報道は承知しておりますが,報道は正確ではありませんし,そういった事実はありません。
【テレビ朝日 藤川記者】非公式協議を行ったという事実はあるのでしょうか。
【岸田外務大臣】ありません。
【テレビ朝日 藤川記者】北朝鮮は従来,拉致問題は解決済みという立場をとっていますが,日本が求めている再調査について前向きな対応というのはございますか。
【岸田外務大臣】先月,30日と31日に行われました日朝の政府間協議において,我が国としましては,当然のことながら拉致問題は我が国の重大な関心事として取り上げました。それに対して北朝鮮側から議論を拒否するといったような対応はありませんでした。そして,引き続き協議は継続するということで一致をしております。是非,我が国としまして引き続き粘り強く対応していきたいと考えています。
【テレビ朝日 藤川記者】席を立たない,対話を拒否しない,議論を拒否しないという態度をもって日本政府としましては前向きな姿勢というように評価をしていらっしゃるのでしょうか。
【岸田外務大臣】協議は今後も続きますので,現時点で具体的な発言について公にすることは控えたいとは思いますが,この拉致問題についても議論は継続されていくということで一致したと受け止めています。
ウクライナ情勢
【テレビ朝日 藤川記者】ウクライナの情勢ですが,東部でデモが発生したり,公の庁舎も占拠などが続いておりますけれども,一方で,大臣が訪露を約束されています4月が月も半ばとなってまいりました,現状についてどのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】ウクライナ情勢につきましては,引き続き我が国として懸念を持ち,注視をしています。あらゆる当事者に対しまして自制と責任のある慎重な対応を求めております。ウクライナの領土の一体性,そして,主権が尊重されなければならないと考えておりますし,力による現状変更は許してはならない,こうした考え方をしっかりと表明し続けています。
こういった思いでウクライナ情勢,注視をしておりますが,私(大臣)自身の訪露につきましては,現時点でまだ具体的なものは何も決まっておりません。こうしたウクライナ情勢,またG7をはじめとする関連各国の動き等を総合的に判断した上で最終的な判断をしたいと考えています。
【テレビ朝日 藤川記者】4月という月についてなのですけれども,これは東部ウクライナのそういった騒乱と言いますか,そういった情勢が完全に鎮圧されなくても,4月という期限は変わらないというお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】一応,露との間においては4月訪露するということを,過去確認してはおりますが,ウクライナ情勢は流動的です。情勢をしっかりと見た上で判断しなければならない課題だと思っています。
オバマ大統領の来日日程
【テレビ朝日 藤川記者】日米関係ですが,到着日時がまだ決まっていなかったオバマ大統領の訪日の件ですが,その後,調整状況はどうなりましたでしょうか。
【岸田外務大臣】調整は続いており,到着日時,具体的な時間等につきましては,まだ最終調整中だと承知をしております。
【テレビ朝日 藤川記者】一部報道で23日に決定したという話がありますが,そういった事実は。
【岸田外務大臣】調整は続けています,そして,最終調整の段階ですが,まだ正式に時間まで確定したというようには承知していません。
NPDI外相会合
【日本テレビ 中村記者】NPDIですけれども,唯一の戦争被爆国であることは確かなのですが,その一方で核の傘に依存しながら,という日本の立場もあって,そういった立場を踏まえてどういった形で議論をリードしていきたいというように思っていますか。
【岸田外務大臣】世界各国には様々な立場の国があります。核兵器を保有している国もあれば核兵器を保有していない国もあります。また,様々な安全保障環境の中にそれぞれの国がいるわけです。そうした様々な国がありますが,米国をはじめ多くの国々が核兵器のない世界を目指すという大きな目標においては共有していると思っています。そして,この大きな目標に向けてアプローチの仕方はそれぞれの立場によって様々でありますが,大きな目標に向けて前進する,こうした思いを結束させる触媒として,近年国際社会においては核兵器の非人道性に対する認識という議論が行われてきています。
この認識を国境や世代を越えて広げていく,そして科学的な見地から深めていく,こうした議論を深めていくことによって様々な立場にある国々を結束させる,こうした世論を作っていかなければならないと思っていますし,NPDI外相会談においても,また今後の国際的な議論においても,是非,日本はそういった認識を中心に議論をリードしていきたいと考えています。
ウクライナ情勢
【NHK 渡辺記者】ウクライナのロシアの関連のところですが,大臣のロシア訪問に際しては,ロシアのシュワロフ第一副首相との間で,貿易経済に関する日露政府間委員会というものがセットで開かれることになっていたと思うのですけれども,そちらの方の準備状況,そちら側とのすり合わせというのは現状ではどうなっているのでしょうか。
【岸田外務大臣】現状では何もまだ決まっていません。これも様々な状況を総合的に判断して決める課題であると思っています。
【毎日新聞 鈴木記者】日露で積み上げてきた,もちろん国家間の関係性というのはあると思う一方,G7との連携もとらなければいけないという,日本は難しい立場におかれていますけれども,その辺り,ロシア側にどのような説明をされているのかという,現時点ではいかがでしょうか。
【岸田外務大臣】我が国としましては,G7の連携結束を重視し,特に力による現状変更,これは認めることはできない,こうした思いは二度にわたるG7共同声明,あるいは先日のハーグ宣言においてもしっかりと明らかにしているところです。
こうしたG7との連携を重視しながらも昨年来積み重ねてきた日露間の協力関係があります。こうした二国間関係に基づいて,露に対してしっかりものを言っていく,責任ある行動を促していく,こうした働きかけを行っていく,これが我が国の立場であります。こうした基本的な考え方については,様々なルート,レベルを通じまして露側には伝えてきております。
ハーグ宣言におきましても,露に状況を緩和させるための外交的な努力を促す,こういった内容が盛り込まれています。
日本としましても,露に責任ある行動を取るよう,しっかり促していきたいと考えています。