記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成26年2月14日(金曜日)8時40分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言-核兵器の人道的影響に関する会議

【岸田外務大臣】昨日13日からメキシコで,核兵器使用の影響について科学的見地から議論を行う専門家レベルの国際会議が開催されております。
 我が国からは,政府関係者のほかに,医療専門家,被爆者,被爆三世の方々が参加しておられます。
 昨日は,「ユース非核特使」にも委嘱している高校生が被爆三世として「核兵器のない世界」への切実な思いを発言したと報告を受けております。
 核兵器の人道上の影響に対する正確な認識を持つことが核軍縮・不拡散を進めていくための出発点であると考えます。その上で,我が国として,「核兵器のない世界」に向けて現実的かつ実践的な取組を積極的に進めていきたいと考えております。

オバマ大統領の訪日

【NHK 徳橋記者】米国のオバマ大統領が日本訪問を発表されましたけれども,日本が最初の訪問国ということで,この受け止めと,どのような日米首脳会談になることを期待されますか。

【岸田外務大臣】12日に米国側から4月下旬にオバマ大統領が日本,韓国,マレーシア,そしてフィリピンを訪問する,こういった発表があったと承知をしております。日本としましては,今後また具体的な日程も確認しなければなりませんが,しっかり準備をしたいと考えております。そして,その際に先ずは,オバマ大統領が訪日されましたならば日米間で日米同盟が強固なものであるということを改めて確認をし,そして,安全保障,経済といった二国間関係はもちろんですが,我が国が積極的平和主義に基づいて,米国と協力しながら国際的な貢献を行っていく,こうした方針についてもしっかり確認をする,こういった首脳会談が行われることを期待しております。

【NHK 徳橋記者】オバマ大統領の日程は今調整中ということですが,一泊二日になるのではないかと予想されまして,日本政府としては,やはりオバマ大統領には国賓としてお迎えしたいという方針には変わりはないのでしょうか。

【岸田外務大臣】日程については,米国の報道官の発表は4月下旬ということだけで,全体の日程も何も発表されておりません。ですから,日本に何日なのか,こういった細かい日程はまだ発表されていないと承知をしております。ただ,我が国としては,従来からオバマ大統領を国賓としてお迎えしたいという,こういった招請をさせていただいてはおります。

日米地位協定の環境補足協定交渉

【NHK 徳橋記者】本日の閣議の前に,沖縄関連の閣僚の方々でお集まりになったようですが,そこでどのような話をされたのでしょうか。

【岸田外務大臣】沖縄を巡る最近の動き,例えば11日に日米地位協定の環境補足協定に関する第一回目の交渉が行われました。こうしたこと等報告し,意見交換を行うこういった会議でありました。

【NHK 徳橋記者】今,お話の補足協定ですが,協定の交渉が始まったということで,今後の見通しについては,どのようにご覧になっていらっしゃいますか。

【岸田外務大臣】まだ,その交渉が始まったばかりですので,具体的な見通しを申し上げるまでには至っておりませんが,できる限り成果を上げ,そして早い妥結をみる,こういった交渉にしたいと思っています。

オバマ大統領の訪日

【朝日新聞 菊地記者】オバマ大統領のアジア訪問ですけれども,当初示されていた訪問国に韓国も追加されましたけれども,日米韓の連携強化に与える韓国の訪問について,大臣はどのようにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】当初発表されたというか,12日まで具体的な国名の発表はなかったと思います。12日初めて具体的な国名が発表されたと承知をしております。ですから,加わったかどうかというようなことは,そもそもないと思います。そして,発表した結果につきましては,是非,アジア地域の平和や安定に資するようなご訪問になればと期待をしております。

ケリー国務長官の訪韓

【朝日新聞 菊地記者】訪韓中のケリー国務長官が,朴槿恵大統領,尹炳世外相と会談されましたけれども,日韓の関係改善を促したのと同時に歴史問題もありますけれども,前に進んで欲しいという,ケリー国務長官からのお話しがありましたけれども,大臣は,このケリー国務長官の言葉をどう受け止められていらっしゃいますか。

【岸田外務大臣】ケリー国務長官は13日から韓国を訪問され,米韓外相会談等を行われ,米韓同盟とか北朝鮮情勢について議論されたということを承知しております。
 ケリー国務長官とは,それに先だって7日にワシントンで会談をさせていただきまして,日米同盟が揺るぎないものであるということ,あるいは地域や国際社会に対しても,引き続き我が国は積極的平和主義に基づいて貢献し,米国も協力しながら,こうした地域や国際社会の平和や安定に貢献していく,こういったことを確認してきました。そして,その際に日米韓の連携,北朝鮮問題等を考えても大変重要であると,こういったことで一致をしております。
 今回,こうしてケリー国務長官が韓国を訪問したということは,北朝鮮問題等における日米韓の連携ということを考えても意義あることではないかと考えています。

【日経新聞 秋山記者】米国は日韓の対話というのを促すように働きかけていますけれども,例えば,3月にある核セキュリティサミットでの首脳会談ですとか,大臣がどこかのタイミングで日韓外相会談を行うとか,そういう計画というのはどうなのでしょうか。

【岸田外務大臣】具体的な日程は何も決まっておりませんが,日本と韓国の関係,これは大切な隣国関係であり,従来から我が国は大局的な見地から,この二国間関係を進めていきたいと申し上げてきました。是非,今後とも,具体的な協力関係を積み上げる形で二国間関係を進めていきたいと考えています。

米国内での日本海呼称問題

【共同通信 鳥成記者】日本海の呼称問題ですが,米国の州議会で教科書に「東海」を併記するように義務づけるような法案が出る動きが拡大をしているようなところがありますけれども,これに対して日本政府として,具体的にどのような対応を取られるのか教えていただけますでしょうか。

【岸田外務大臣】先ず日本海の呼称については,国連においても2004年3月に日本海の単独使用ということを明確に確認しております。そして,米国政府自身も日本海単独使用を明らかにしております。こういった中で米国の州議会の中で,ご指摘の動きがあるということについては,大変残念なことだと思っております。
 これまでも,我が国としましては,在米大使,あるいはロビイスト等を通じて我が国の立場,考え方を説明をしてきましたが,引き続きまして,こうした我が国の立場や考え方は丁寧にしっかりと説明をしていかなければならない,引き続き努力をしていきたいと考えています。

【共同通信 鳥成記者】韓国側,あるいは米国の州議会関係者に対して懸念をお伝えしたり,あるいは抗議をされたり,そのような考えというのはどうでしょうか。

【岸田外務大臣】いずれにせよ日本海については,国連においても米国政府においても日本海という呼称が単独使用されることが確認されているわけですから,こうした国際的な状況もしっかり説明しながら,この問題についてどうあるべきなのか,しっかりと働きかけを行いたいと思っています。

核兵器の人道的影響に関する会議

【中国新聞 藤村記者】メキシコの会議のことですけれども,ここで核兵器の非人道性の議論が4月のNPDIの外相会合にどんな影響を与えると考えですか。

【岸田外務大臣】今回のメキシコの会議は核兵器の非人道性に関して科学的な見地から専門家が知見を深めるという会議であります。是非,こうした議論が深まることは,核兵器のない世界にむけて,こうした大きな目標に向けて議論が進む際に,これは一つの手がかりになるものだと考えます。この会議においての成果には期待したいと考えています。

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