記者会見
岸田外務大臣会見記録

(平成25年12月26日(木曜日)10時28分 於:省内記者会見室)

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冒頭発言-過去1年の外交の成果

【岸田外務大臣】おはようございます。
 ちょうど1年前,昨年の12月26日,143代目の外務大臣に私(大臣)は就任をさせていただきました。これまでの1年間を振り返りまして,冒頭申し上げさせていただきたいと存じます。
 これまで1年間,日米同盟の強化,近隣諸国との関係重視,そして,経済外交, この三本柱に基づいて外交を展開してきました。1年間で26カ国の国・地域を訪問させていただき,あわせて約250の外国要人との会談を行ってきました。
 その結果ですが,まず日米関係につきましては,今年2月に総理とともに訪米をし,日米の絆を取り戻させていただきました。10月には史上初の,東京での4閣僚による日米2プラス2を実施いたしました。また昨日,日米地位協定を環境面で補足する政府間協定交渉開始で合意をいたしました。
 また,近隣外交ということにつきましては,日露間においては既に今年4度の首脳会談を重ね,秋には史上初の2+2を実施いたしました。この関連で,この平和条約締結交渉につきましては,次官級協議を来年1月31日に東京で行うことをここに発表させていただきたいと存じます。これを初めて明らかにさせていただきます。
 そして,ASEANとは,先日,日ASEAN特別首脳会議を成功裏に開催することができました。中国,韓国とはいまだ首脳会談ができておりませんが,我々の対話のドアは常にオープンです。こうした日本の立場に国際的理解は広がったと感じています。
 経済外交につきましては,7月からのTPP交渉参加を初め,新たな経済連携協定交渉を複数開始いたしました。また,トップセールスを積極的に展開いたしました。
 以上の三本柱に加えまして,グローバルな課題にも積極的に取り組みました。私(大臣)の重視する核軍縮不拡散では,核兵器の人道的影響ステートメントへの参加を実現したのが印象深く残っています。
 この1年間で,日本の国際的存在感や日本への期待感は高まったと感じています。オリンピック・パラリンピックの東京誘致の成功は,この期待感のあらわれだと感じています。一方で,日本を取り巻く安全保障環境は,引き続き厳しいものがあります。国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から,世界の平和,安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に貢献していきたいと考えています。
 こうした観点から,新年は早速1月7日から10日までスペインとフランスを訪問いたします。スペインでは外相会談を,そしてフランスでは初めての2+2に臨む予定です。我が国の積極的平和主義に基づく取り組みを直接説明し,国際社会の平和と安定にともに貢献していくことを改めて確認したいと思っています。

安倍総理の靖国神社参拝

【朝日新聞 菊池記者】1年の成果を振り返る前に確認させていただきたいのですけれども,今,近隣諸国との関係もありましたが,本日午前中に安倍総理が靖国神社に参拝されるという情報もあります。この確認と,あと,岸副大臣が靖国神社に参拝されたという情報もあるのですが,これについて確認されているかどうかと,その場合の影響についてお伺いします。

【岸田外務大臣】ご指摘の点については,私(大臣)は承知しておりません。

【日本テレビ 中村記者】仮定の話で恐縮ですけれども,仮に靖国神社に総理が参拝された場合,近隣諸国,日韓ですとか,日中ですとか,米国とか,仮に参拝された場合にどういう影響があるかを教えてください。

【岸田外務大臣】それこそ仮定の話ですので,お答えするのは控えなければならないと思っております。

【テレビ朝日 藤川記者】安倍政権発足時には,安倍総理というのは保守的な,一部では,米国などでは「右翼的な」という表現もされていたかと思うのですが,この1年間,外交ルートを通じてさまざまな懸念払拭に努めてこられたと思うのですけれども,現時点でそういう努力を重ねてこられて,日米関係ですとか対外的な安倍総理に対するイメージというのは現在どうなっているとお考えになっていますか。

【岸田外務大臣】安倍政権につきましては,さまざまな議論があった,見方があったとは承知していますが,実際の発言,国会対応等においては,歴代内閣のこうした歴史認識等を引き継ぐ,そして,積極的平和主義に基づいて,よりしっかりと国際貢献を行う,こうした態度・対応につきましては,重ねて,たびたび表明もし,そうした考え方につきましては,国際社会から理解をされていると感じています。
 ぜひ,今後ともこの外交,安全保障政策においては,国際協調主義に基づく積極的平和主義の考え方に基づいて,今まで以上に国際貢献に努めていく,こうした我が国の外交姿勢をしっかり理解してもらうように努力をしていきたいと考えます。

【テレビ朝日 藤川記者】総理の右寄りだというイメージというのは既に払拭されたとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】安倍内閣の考え方は,さまざまな国際会議の場,あるいは国会答弁等において,総理自身,そして関係閣僚も,それぞれ考え方をしっかりと表明させていただいています。こういった考え方については理解が進んだと考えております。引き続き,この努力は続けていきたいと思っています。

南スーダン(韓国隊への弾薬の譲渡),日中,日韓関係

【フリーランス 上出氏】簡単に2つ質問させていただきます。  まず身近な問題から,南スーダンの問題で,結局,PKO自体を撤退するという方向が出ているようです。そこで,弾薬を韓国に渡したという問題で,これは武器禁輸の三原則に違反するのではないかという論議が起きています。結局,PKO自体が撤退するような状況の中でこういうやりとりが行われたということは,やはり検証をきちんとしないと国民の理解が得られないと思いますので,まずこれをどうお考えかということが1点です。
 もう一つ,全体の問題では,中国,韓国に対して残念ながら首脳会議などが行われていないということで,これは最近の動きでは残念ながら外国の報道なんかも含めて,特に防空識別圏ですけれども,中国のほうが日本よりは少しまさってしまったといいますか,評価できないでしょうが,アメリカと日本の食い違いとか,ASEANでの食い違いとかも含めて,日本外交が中国や韓国に比べていろいろな面で押されているのではないかと。そういう指摘もあるのですが,いかがでしょうか。
 この2点をお願いいたします。

【岸田外務大臣】まず1点ですが,南スーダン情勢につきましては,政府として現在,UNMISSからの撤収を検討しているという事実は全くありません。南スーダン情勢は,予断は許されない状況であるとは認識していますが,我が国の自衛隊が宿営している首都ジュバは表面上平穏であるという報告を受けております。
 そして,韓国軍への弾薬譲渡の話ですが,これは韓国宿営地に1万5,000人を超える避難民が流入している。そして,その宿営地周辺の状況が緊迫している。こういった状況の中で,我が国に対しまして国連から,現地の韓国軍から,そして外交ルートを通じても韓国側から,この譲渡の要請があり,それに我が国としては緊急性あるいは人道性,そして韓国軍との弾薬の共有性を持つ弾薬は我が国にしかない,こういった点等を総合的に勘案して,国際平和協力法25条に基づく物資協力の一環として対応したということであります。
 2点目の日中,日韓の部分でありますが,我が国にとりまして日中関係,日韓関係は大切な二国間関係であり,こうした関係を安定させることは国際社会に対しての大きな責任を果たすことになると考えております。この1年間,個別の問題があったとしても,こうした関係全体に影響を及ぼさない大局的な見地から対応しなければならない,こういった思いで対話の必要性を訴えてきた次第です。
 この考え方は大切な考え方であると思っておりますし,今後ともこうした考え方を中国,韓国,こうした国々にも訴えていきたいと思いますし,また,関係国にも我が国のこうした考え方を理解してもらうべく努力をしていきたいと考えております。ぜひ,こうした考え方を中国,韓国側にもしっかりと理解していただき,応じていただきたいと考えております。引き続き,こういった姿勢で努力を続けていくべきであると私(大臣)は思っています。

安倍総理の靖国神社参拝

【NHK 渡辺記者】今,NHKが速報で打ったのですけれども,本日,安倍総理が靖国神社に参拝するということで情報が入っております。これについての受けとめをお願いします。それから,今,1年を振り返られましたけれども,日中,日韓との関係については対話の扉はオープンだということでしたが,その中で,こういった中国,韓国からの反発を招く靖国神社参拝が行われるということなのですが,それも踏まえて改めてお考えをお願いします。

【岸田外務大臣】先ほどもお答えしましたが,そういった事実については承知しておりません。

【産経新聞 水内記者】一般論で結構ですけれども,靖国神社について大臣は,かねてから戦没者に哀悼の誠をささげるのは当然だというお話をされているのと,閣僚や政治家が参拝するというのは心の問題であるというお話もされていると思います。靖国神社と政治というものを絡めて,大臣の一般的なお考えを改めてお聞かせ願えませんでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,国のために尊い命をささげられた方々に対して尊崇の念を示すということ,これは大切なことだと思っています。ただ,靖国神社に政治家,閣僚が参拝するということにつきましては,これは個人の心の問題であると認識をしております。いずれにしましても,こうした問題が政治問題化,あるいは外交問題化するようなことは避けなければならないと思っております。

【TBSテレビ 井本記者】同じような質問が続いて恐縮ですけれども,靖国神社側も11時半に総理が参拝されるということを発表しています。これを確認して何らかの対応をされる予定はあるのでしょうか。

【岸田外務大臣】いえ,私(大臣)自身,現在そういった事実は承知しておりません。仮定に基づいての話は控えさせていただきます。

【TBSテレビ 井本記者】いや,仮定ではなくて,この事実を確認した上で,大臣として何らかの,外交問題化しないようなメッセージだとか,我々の取材なのかわかりませんけれども,そういったものに答える用意はあるのかということなのです。

【岸田外務大臣】ですから,まず事実は承知していません。そして,あえて言えば,そういったお話があるのであれば,確認はしたいと思います。確認した事実がどうであるか,その先の話は,今,申し上げる予定はないということです。

日露関係

【NHK 渡辺記者】日露関係について,先ほど,次官級会議が1月31日にセッティングされたと発表されました。首脳会談も頻繁に行われていますし,2+2も行われました。こうした日露の関係,政治対話が進んでいる中で,今度の次官級協議に対する期待感,何を期待するか,どういうように位置付けていらっしゃるかについて,北方領土交渉進展に向けて,大臣のお考えをお聞かせください。

【岸田外務大臣】次官級協議における具体的な議題につきましては,今後,二国間で協議することになると思いますが,当然のことながら平和条約締結問題を含む日露二国間関係全般が議論になると思いますし,また,喫緊の国際問題等についても,話し合われることが想定されます。
 こうした議論を通じまして日露両国間の関係全体が底上げされ,そして,それが北方領土問題の議論,そして,平和条約締結問題における議論,こういったものに関する結果につながることを期待したいと思っています。

1年を振り返って

【朝日新聞 菊地記者】1年を振り返ってなのですが,この1年で一番岸田外交らしさを発揮できた場面について大臣はどのようにお考えになっているかと,官邸が外交を主導しているのでもっと外務大臣の声をという指摘もあるのですけれども,それについては大臣どう思われますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,私(大臣)自身の思いとしては,基本的には先ほど申し上げました日本外交の3本柱を中心に我が国の国益をしっかり守っていく,このことが重要だと思っていますし,それに加えて環境ですとか,あるいは防災ですとか,あるいは女性の人権ですとか,こういったグローバルな課題にもしっかり取り組んでいかなければならない,こうした考え方のもとで仕事を進めて,外交を進めてきました。
 その中にあって,グローバルな課題の中の一つとしまして軍縮不拡散,この分野については,私(大臣)自身被爆地の出身ということもあり,個人的には強い思いがありました。この分野におきまして,今年はユ-ス非核特使という新しい制度も国際社会に提案し,そして,受け入れていただきました。また,核の非人道性に関する共同ステートメントにも初めて参加をいたしました。
 こうした様々な積み重ねをすることができたと考えていますが,ただ,今後,核兵器のない世界を目指すという大きな目的に向けては,来年に向けて,また引き続きしっかりと努力をしなければいけない。来年4月にはNPDI外相会合が広島で予定されています。こうした予定等を通じまして,軍縮不拡散の分野において,日本としてしっかりと国際社会に発信をしていきたい,このように感じています。

【朝日新聞 菊地記者】外交が安倍総理主導の官邸外交になっているということですが。

【岸田外務大臣】外交というのは,政府挙げて取り組むものだと思っています。官邸,外務省以外にも各省庁,それぞれ外交に関わる分野を抱えています。経済産業省であれば,エネルギー外交はじめ大きな役割を果たしていくのでありましょうし,厚生労働省においても,我が国の打ち出した国際保健外交戦略,こういった分野において関わりがでてくるでしょう。外交は,改めて政府全体で取り組まなければならない,このように思っています。そして,その中で総理の思いが強く出ることは,これは当然のことだと思っていますし,外務省としましては,こうした政府全体の取り組みの調整ですとか,あるいは全世界に多くの在外公館を張り巡らしています。その最前線において,しっかり汗をかくなど大きな役割を果たしていると考えています。
 この政府の中にあって,外務大臣としてどういう仕事をするのか,今後もそういった視点で仕事に取り組んでいきたいと考えています。

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