記者会見

佐藤外務報道官会見記録

(平成25年12月11日(水曜日)16時37分 於:本省会見室)

領土保全に関する発信資料

【NHK 渡辺記者】外務省が作成しております領土問題の啓発の映像資料といいますか,ビデオについてなのですけれども,尖閣諸島の問題と竹島の問題については現時点でもホームページにもアップされておりますが,ロシアとの懸案事項である北方領土問題についての映像,こういった啓発ビデオというものは,現在,何かしら作られているのでしょうか。

【外務報道官】現在準備中でございます。

【NHK 渡辺記者】そうしますと,具体的にいつごろをめどにとか,何かあるのでしょうか。

【外務報道官】現在のところ,準備中ということ以上に申し上げる内容はございません。

【NHK 渡辺記者】そうしますと,日本が周辺国と抱えている領土問題で,北方領土問題というものはかなり全国的な活動が行われたりとか,ウエートの高いものだと思うのですが,これについて,ほかの竹島とか,尖閣領土問題と言っていいかどうかはわかりませんけれども,3つそろえないで,あえて北方領土だけ,今,出ていないというのは何か背景があるのでしょうか。

【外務報道官】いえ,特にございません。領土に関しまして,重要な広報資料ということで,着手をしたということは前にも申し上げたとおりでございます。

【NHK 渡辺記者】例えば日露の間の交渉が,今,行われている段階で,実際,中国や韓国からもこの映像についてはそれなりの反論があったりとか反応がございましたけれども,そういうロシア側から予測される何か反論なり,そういったものがあるのを懸念して伏せられているということもあるのでしょうか。

【外務報道官】いえ,そういうことはございません。領土に関するいろいろな事項については,わかりやすい資料を作成して,かつ,なるべく関係の言語でわかりやすく,理解が促進されるようにということで準備を進めているということでございます。

タイ情勢

【日本経済新聞 宮坂記者】タイの情勢について,デモが収束のめどが立っていない状況にあるのですけれども,日本政府,外務省として,どういう立場で注視していくのかということと,あと,邦人企業に対する情報提供等はどういうことに取り組んでいるのかということについて,現時点の状況を教えてください。

【外務報道官】タイの情勢につきましては,日本政府としては関係者に自制を求めると,そういう基本的なスタンスで臨んでおります。それから,邦人企業を含めまして,邦人の皆様との間では情報を共有する,あるいは必要な事項について説明をするといったようなことを随時,大使館・領事館を通じて行っております。

中国における防空識別圏設定

【共同通信 斎藤記者】防空識別圏の関係でお伺いしたいのですけれども,岸田大臣が昨日の記者会見で,私どもの問いかけに対して,もし中国側が識別圏の設定に係る一方的な措置を前提とするならば対話というものは考えられない,受け入れられないと発言した上で,日中戦略対話,あるいは防衛当局間の事務折衝等々,既存の枠組みを使った対話は必要であるという趣旨のことをおっしゃられたと記憶しております。
   そこでお尋ねしたいのは,その中国側の一方的な措置を前提にした場合は受け入れられないという立場と,それから,既存の枠組みの対話をやっていこうという立場と,一見すると若干整合性がわかりにくいというところがあるようにも感じます。
 そこを外務省の方から,わかりやすく解説してもらえますでしょうか。

【外務報道官】対話,あるいは協議ですね,これは基本的には本件のみならず,ドアは開いていますよというのが,今の政府の基本的なスタンスであるし,それから,いわゆる危機管理の話しについても,これは必要な対話・協議は行っていくということではあるのですけれども,元々,この識別圏につきましては,公海の上空飛行の自由,これは基本的な国際法益なわけでして,これに不当な侵害を与えるような措置であれば,そういう措置,これは撤回を求めるというのが基本的な立場その一。
 それから,もう一つ,中国側が設定しました空域,ここに我が国の固有の領土,これが入っていて,その上空があたかも中国の領空であるかのごとく表示されておりますので,これについて我が国としては,当然受け入れることができないというのが基本的な立場その二。
 この二つの基本的な立場がありますので,大臣の方からはそのようなご説明をさせていただいていると理解をしております。

【共同通信 斎藤記者】そうしますと,既存の枠組みを活用した日中対話であっても,先方が一方的な措置を撤回しない限り,日本としては対話を実施する環境が整っていないという認識に立つということになるのでしょうか。

【外務報道官】むしろ,先方がそれを前提とする場合に対話が成り立たないということだと思います。

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