記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年7月30日(火曜日)11時11分 於:本省会見室)

冒頭発言-中東訪問

【岸田外務大臣】先週23~27日まで、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンを訪問いたしました。多くの要人との会談、約5年ぶりとなる「平和と繁栄の回廊」構想四者閣僚級会合、更にはヨルダンのシリア難民キャンプ視察など、密度の濃い訪問となりました。中東地域の安定化に向けた我が国の積極的な姿勢を内外に示すことができたと考えております。
 とりわけ、中東和平に関しましては、ケリー米国務長官などの努力により前向きな動きが見られる中で、両当事者に交渉再開に向け真摯に取り組むよう私(大臣)から直接要請し、双方から前向きな反応を得られました。まさに、昨日29日から当事者間の対話が開始され、これを歓迎しております。引き続き和平プロセスが実質的な進展を得られるよう、政治、経済両面から後押ししていきたいと考えております。そして、こうした取組は、ケリー国務長官はじめ米国の努力を後押しするという取組でもありますし、このことは、日米関係を考えましても意義ある取組だと考えております。

日中関係

【NHK 大谷記者】昨日から、斎木外務次官が中国を訪問していますけれども、今回の訪問、事務レベルでは初めて、斎木さんが就かれてから初めてということになると思いますが、どのような成果に結びつけたいとお考えでしょうか。また、今回の中国が次官の訪中を受け入れたということで対話の間口を広げたというか、何らかの態度の変化というようにとらえていらっしゃるかどうか、お聞かせください。

【岸田外務大臣】斎木外務事務次官は、29日及び30日、中国を訪問し中国側関係者と意見交換を行う予定であります。内容につきましては、日中関係全般について意見交換を行うことになるのではないかと考えておりますが、具体的には帰国後、報告を受けることになると考えております。
 この日中関係は、我が国にとって最も大切な二国間関係であり、従来からも大局的な見地から戦略的互恵関係を進めていくべきである、対話のドアはオープンにしていると申し上げてきました。様々なレベルで意思疎通を図ることは、重要なことだと思っています。こうした努力を今後とも積み重ねていきたいと考えています。

オスプレイの日本配備

【朝日新聞 山岸記者】オスプレイに関してお伺いします。本日、岩国基地にオスプレイの追加配備分が荷揚げをされておりまして、近々普天間へ移される見通しです。
 改めて、普天間への追加配備の必要性を大臣はどうお考えかという問題と、また、沖縄県の方からは日米合意に違反する飛行があるということで、大臣のところにも直に申し入れがあるかと思います。これへの返答の見通し、知事からも直に申し入れがあって、大臣は今防衛省で検討中とおっしゃっていましたが、その後の見通しはいかがでしょうか。

【岸田外務大臣】12機のMV-22オスプレイを載せた輸送船、本日午前7時頃、岩国飛行場に到着したものと承知をしております。まず、このMV-22オスプレイにつきましては、依然として沖縄をはじめとする地元の皆さまから厳しい目が向けられており、そして、オスプレイに関する日米合同委員会合意が守られていないのではないかという声があるということ、これは十分承知しておりますし、重く受け止めております。
 政府としましては、オスプレイの安全性、更には我が国への配備に関する安全保障上の意義について、引き続き丁寧に説明をしていきたいと思いますし、また、関連の合同委員会合意についても、適切に実施されるよう米国と必要な協議を行っていきたいと考えております。また、あわせて沖縄以外の場所で飛行訓練が行われるよう、これも米国としっかり検討を進めていきたいと考えております。
 そして、御指摘がありました沖縄からの指摘、318件の日米合同委員会合意違反があるのではないかという指摘につきましては、現在確認作業中であります。作業を急ぎながら、作業が終わり次第、沖縄県へ回答することになると考えております。

オスプレイの日本配備及び日中関係

【NHK 大谷記者】短く2点お伺いいたします。今のオスプレイの関係で、米国の太平洋空軍司令官が横田への配備も検討しているという発言をしましたが、日本政府としてそういった連絡を受けているのかということと、先ほどの斎木次官の関係ですが、張次官ら、具体的にどなたかと会談を既にしたという報告は入っていますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず1点目ですが、御指摘はCV-22の話かと思いますが、CV-22につきましては、我が国に配備する通報は今のところありません。日本政府としては、そうした通報を承知しておりません。米国は我が国におけるCV-22オスプレイの配備について、いかなる決定も行っていないと承知をしています。
 そして、斎木次官の訪中につきましては、現時点ではだれと会ったか等につきましては、先方との関係もありますので差し控えたいと存じます。是非、帰国後の報告を待って私(大臣)もしっかり確認をしたいと思っています。

日中関係

【テレビ朝日 藤川記者】日中関係の関連でお尋ねいたします。28日に飯島参与は、そう遠くない時期に日中首脳会談が実現するというような見通しを述べられましたが、この見通しについて大臣はどのようにお考えになっていますでしょうか。

【岸田外務大臣】御指摘の発言については承知をしております。ただ、御指摘の発言につきましては、飯島参与が個人の見解で発言したものだと思っておりますので、そのいちいちについてコメントをすることは控えさせていただきたいと存じます。先ほど申し上げましたが、日中関係は我が国にとって最も大切な二国間関係の一つです。こうした対話につきましては、我々は常にオープンにしてあります。あらゆる対話について、我々は前向きに考えていきたいとは思っております。

オスプレイの日本配備

【琉球新報 松堂記者】オスプレイについてお伺いします。仲井眞知事が7月8日に大臣と面会した際に配備の中止を求めていると思いますが、その際、大臣はきっちり答えを返さないといけない、具体的に答えを返さないといけないということで仲井眞知事におっしゃっていましたが、今回の配備までに仲井眞知事に具体的な回答をしたのか。もう一点、結果的に国民の不安よりも米軍の運用を優先したことについて。

【岸田外務大臣】まず答えを返したかということについては、仲井眞知事にお答えしたのは、たしか、昨年の年末に県のほうから申し入れがあった318件の日米合同委員会違反があるのではないか、こういった申し入れ・指摘についてしっかり答えを返さなければならない、その作業を行っております。そして、それを返さなければならない、そういった趣旨でお答えをしたと記憶をしております。そのことにつきましては、先ほど申し上げたように今、作業がまだ続いておりますので、終わり次第、お答えをさせていただこうと思っておりますので、そう時間を置かずお答えを返したいと思っています。
 そして、このオスプレイの配備につきまして、沖縄の県民の皆さんの安全を最優先にしなければいけない、これは当然のことだと思っています。そして、是非、オスプレイの配備について安全性をしっかり説明する、そして安全保障上の意義等をしっかりと説明する、こういった努力は引き続き続けていきたいと考えています。

日中関係

【共同通信 斉藤記者】もう一度、日中関係に戻りたいと思います。今、安倍政権としてはできるだけ早く日中トップ、首脳レベルで話し合いの場を持ちたいという意向を持っているかどうか、その点について確認させてください。

【岸田外務大臣】高い政治レベルも含めてあらゆるレベルで意思疎通を図り、対話をすること、これは間違いなく重要だと考えております。現状、様々なレベル、また様々な具体的な課題等を通じて日中間の対話を積み上げている状況ですが、こうした積み上げを行いながら、やはりトップ同士の意思疎通も重要でありますので、そうした対話、会談につなげていきたいと我々は思っています。
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