(1)ベトナム訪問について
【前原大臣】私(大臣)から、1点お話しします。
27日からのハワイの訪問に引き続きまして、10月29日から31日までの日程で、ASEAN等の外相との会談及び菅総理のベトナム公式訪問の随行のため、ベトナムを訪問いたします。各国の外相との意見交換を通じまして、関係強化、意思疎通を図りたいと考えております。
【ニコニコ動画 七尾氏】先日、会見で大臣もTPPの必要性についてご発言されましたが、24日に菅首相は、10年後の農業や国土保全と国を開くことの両立は可能とのご発言をされました。
TPPへの参加表明の時期は、例として11月中旬のAPEC首脳会議でという見方がございます。これに関します大臣のご所見をお願いいたします。
【大臣】日曜日に閣僚の集中討議がございまして、かなりの部分、この自由貿易についての議論が行われまして、TPPも含めた在り方についての議論が行われました。そこで共通した認識は、自由貿易に入ろうが入るまいが、日本の農政は完全に行き詰っている。したがって、農政の抜本的転換を図らなければならない状況にきているのは間違いない。これが共通の認識でございました。
それを前提として、しかし、この自由貿易に入っていくことの必要性については、多くの閣僚から意見が出されたところでございます。
私(大臣)から申し上げたのは、私(大臣)はTPPに入るべしという意見は持っておりますけれども、そういった意見はそのときは申し上げませんで、事実関係を私(大臣)からはお話しいたしました。
まず、TPPのいわゆる扉というのが閉まりかけている。これから9か国で相当な内部での議論が行われることになる。したがって、問題を先送りにして、そしてTPPに入るという結論を出しても、その協議に入れてもらえないような状況が早晩に出てくるだろうと。したがって、政治的な先送りというのは許されない状況であるということを申し上げました。
来年の米国で開かれるAPECまでに、大体7回ぐらいの会合がセットされております。そういう意味においては、もうルールメイクをともにするのであれば、扉は閉まりかけていて、そんな政治的な先送り論というのは許されない。
2つ目は、11月のAPECの際にTPPの閣僚会合というのがございますけれども、それに先立ちまして、いわゆる関心の意思表示をしている国々に対しても呼びかけがございます。そこに呼ばれている国は、カナダ、フィリピン、それから日本と中国、この4か国が呼ばれているということでございまして、日本も関係閣僚会合の前に行われる意見交換会には参加をするということになろうかと思います。
それから、私(大臣)が申し上げたのはそういったことと、あとはFTAAPに2015年に本当に域内APECで完全自由化を行うということであれば、ASEANのいわゆる統合性や一体性、あるいはASEAN+3とかASEAN+6とかあるけれども、今、現実に動いているのはTPPであると。したがって、FTAAPというものを現実にやっていく最も機能し得る具体的なプロセスの中ではTPPがあるということを私(大臣)は事実関係として申し上げたところでございます。
【時事通信 鈴木記者】TPPの話で確認したかったのですけれども、関係閣僚会合への参加ということなのですが、これは関係閣僚前に意見交換会があるということでいいのかということと。
【大臣】11月9日(注)に、TPPに参加表明をしている9か国での閣僚会合が横浜であると聞いております。それに先駆けて、関心を持っている国に対するヒアリング、意見交換を行うという報告を受けております。呼ばれている国が4か国であるということです。(注)本件会合は、11日に実施される予定。
【時事通信 鈴木記者】それは同じ9日にということですか。
【大臣】いや、もっと、2~3日前だと思います。
【時事通信 鈴木記者】あと、日本から参加なさるのはどなたになるというのは。
【大臣】いわゆる経済局のメンバーだと思います。
【時事通信 鈴木記者】それは事務方がということですか。
【大臣】事務方が出ます。
【朝日新聞 山口記者】先ほど大臣の冒頭発言の中で、ハノイでいろいろな外相会談をやりたいというお話でしたけれども、そこの中で日中のご紹介がなかったように思うのですが、日中外相会談、もしくは首脳会談の最新の調整状況について、大臣はどのようにご報告を受けているかということと、もう一点、TPPについてですが、大臣は先ほど、日本の農政は完全に行き詰まっていると、その中で国を開いていかなくてはいけないというお立場から、TPPの扉を開いていかなくてはいけないというお話でしたけれども。
【大臣】いや、そこはリンクしていません。自由貿易に入るかどうかも別にして、今の日本の農政というものは完全に行き詰まっているのではないかという共通認識を得て、そして農政の転換を図っていかなければいけないというのが閣僚間の共通認識だったということを申し上げたのです。
【朝日新聞 山口記者】今のがお答えになってしまったのかもしれませんけれども、一方、農政は農政の立場があるわけで、菅内閣全体としてはTPPに入ることと行き詰まった農政をどうするかという2つの問題をどうバランスを取っていけばいいと、前原大臣のお立場でお考えかということをお聞かせください。
【大臣】中国に限らず、どこの国とどのような首脳会談、外相会談を行うということは調整中でございまして、いくつかの国とのバイ会談を、今、調整をしているところでございます。
それから、今の後半のご質問でございますけれども、私(大臣)はよく申し上げますように、先進国で最も低いレベルの食糧自給率40%、カロリーベースで。そして、高い関税で守ってきたはずの農業の従事者の平均年齢が、現在、65.8歳ということで、どんどん高齢化をしてきて、そして、80%以上が2種兼であると。こういうことを考えると、やはり農業を産業として、特に6次産業化というものを菅政権では求めているわけでありますけれども、6次産業化をするということになれば、高付加価値な作物、あるいは、これは我々も協力していかなければいけませんけれども、海外に展開をしていくと、つまりは輸出をできるような農業にしていくと、今ももちろん一部はございますけれども、大々的にやはり日本の農作物というものが海外でも売れると、こういう状況をつくっていくためには、相当程度大きな転換が必要ではないかと思っております。
自民党に長らくおられて、自ら農林族とおっしゃっていて、今、経済産業副大臣をされている松下先生からお話がありまして、非常に説得力のあるお話をされました。
つまり、細川政権のときにウルグアイラウンドがあって、ミニマムアクセスというものを受け入れるということになったわけでありますけれども、そのときに、約5年くらいで使おうということで決めたお金が農業予算とは別枠かどうかという議論はありますけれども、6兆100億円というお金を使いましたけれども、かなり農業土木に使われて、そして、結果として人材育成や競争力のある農政というものにつながらなかったといった反省をしっかりとやるべきだという意見が、松下副大臣から開陳をされまして、多くの人間がうなづき、私(大臣)なんかはそのご発言に拍手を送ったわけでありますけれども、やはりウルグアイラウンドのときの轍を踏まない、もちろん、予算を付けるということは大事なことだと思いますけれども、予算をどのように付けていくのか、そして、また、どのように付ければ自給率が上がり、また、競争力のある農業というものが復活をするのか。また、地域の雇用というのが、これから大きな問題になります。今までは公共事業というものに頼っていたけれども、公共事業は額を減らしていく、今の社会保障、日本の財政、こういった現実を大局的に考えれば、公共事業がそれほど増やせるわけではない。ということを考えたときに、地域の雇用の受け皿としては、第1次産業というのは有望であるけれども、そういうものにつながっていくようなお金の使い方、あるいは農政の転換というものをやっていかなくてはいけないという話が相次いで閣僚からも出されたところでありまして、冒頭に申し上げたように、余りTPPとか、あるいは自由貿易に結び付けてというよりは、いずれにしても、今の農政の延長線上では、もはや日本の農業というのは明るい未来が描けないという共通認識があるのではないかと思っております。
【共同通信 橋本記者】先程TPPの関連で、「ウルグアイラウンドの轍は踏まない」とおっしゃったのですが。
【大臣】そういうお話が、松下副大臣からあったと。
【共同通信 橋本記者】今、土地改良事業の復元という話がでてきているのですが、それに絡めてどう思われますか。
【大臣】物事に極端はないわけで、我々、とくに私(大臣)は国土交通大臣として予算を15.3%削りましたけれども、逆に言えば約85%は残して集中と選択ということで、必要な公共事業をやったということであります。土地改良も減らしはしましたけれども、それにおいて必要なものがあったことも事実であるし、また、かなり減らしたことによって土地改良すれば農業というものがしっかりできるところにおいて、その遅れがでていることもまた事実であるということで、全体の予算を見ながら判断をしていくということが大事だと思いますが、今の日本のおかれている財政状況、そして、高齢化、少子化というものを考えれば、少子化対策、子供対策、教育の充実、あるいは社会保障の充実立て直し、こういったものが中心におかれるべきであって、真に必要な公共事業をやるという姿の中である程度の予算は確保しながらも厳しく精査をするという姿勢が今後も必要ではないかと思っております。
一言前任のような話をしますが、よく「コンクリートから人へ」ということについて、その考え方を変えたのではないかという言い方がありますけれども、18%の公共事業費を減らして、それがベースになってまた来年度の概算要求がなされているということを考えれば、政権交代で18%の公共事業を削り、それが基本的に続いていくということをお考えいただければ、毎年毎年18%減らしていけば公共事業はなくなるわけで、それをもって今回は大幅に減らさなかったから、コンクリートから人へという考え方が変わったのだというのはきわめて事実に反することだと思っておりますし、公共事業費は選択と集中ということは、今後も続いていくということは申し上げておきたいと思います。
【毎日新聞 西岡記者】昨日の日印首脳会談に大臣も同席されていたということですけれども、その中で中国情勢に関してインド側と意見交換をして、その中でインド側から印中関係の現状についての説明があったというような話でしたが、そのインド側の説明をお聞きになられて、大臣はインドが中国に対して懸念や警戒感を抱いているというような印象をお持ちになったかどうかお聞かせください。
【大臣】日印の首脳会談にも同席をいたしましたが、私(大臣)は午前中にシン首相と当初30分の予定でしたけれども、45分くらいお話をいたしまして、その中でも中国についての意見交換をさせていただきました。
私(大臣)はその中から受けた印象というのは、インドは国境問題があると。しかしながら、それをうまくマネージメントをして、中印関係、印中関係というものをうまく進めようとしているといったお話がございまして、貿易関係も拡大をしているということで、インドとしては中国とは良好な関係というものもこれから築いていきたいという言い方がありました。
よくシン首相が使われていたのは、「ライジング・ピース・パワー」という言い方をされていたと思います。つまりは平和国家としての台頭ということを共通の目標として目指していこうではないかと。私(大臣)からは全くそのとおりだと考えるということを申し上げまして、特段中国に対しての警戒感とか、あるいは本日の新聞をざっと見ておりますと、この日印のEPAとかレアアースとか、あるいは原子力協定を含めて、かなりの実りがある合意が私(大臣)は得られたと思っていますけれども、若干中国を意識し過ぎた報道になっているのではないかと思っておりまして、もう少し独立した形での日印関係というものを我々は目指していきたい。その一つとして、中国の平和台頭というものを我々は共通に求めていこうという話でございました。
【共同通信 出口記者】昨日、沖縄政策協議会の部会が開かれましたけれども、明後日に行われる日米外相会談の席で、沖縄の基地負担軽減などについてお話しされる予定というのは、おつもりというのはありますでしょうか。
【大臣】詳しくは申し上げられませんが、我々は5月28日の日米合意に基づいて、普天間飛行場の移設、そして海兵隊の司令部要員、あるいはその家族・軍属のグアムの移転、そして嘉手納以南の施設区域の返還ということは基本的にパッケージでやっていこうということを合意しているわけでありまして、その大きなフレームワークには全く変わりはございませんが、他方で、そういう基本的な路線は維持をしながら、先行的に返還できるものがあり得るかどうかといったところについての議論をしております。例えばホテル・ホテルの問題とか、そういう問題についてあり得るのかどうなのかということを議論しております。
ただ、外相会談でその話が具体的に出るかどうかについてはいまだ確定をしておりませんし、いずれにしても沖縄の負担軽減を図っていくということについての日米間の合意、方向性の合意というものは、確認というものはしっかりしたいと、このように考えております。
【北海道新聞 島田記者】先週、北方領土にまた日本人がロシアのビザを取得して渡航したということが明らかになりましたけれども、9月の上旬に渡航自粛を求める閣議了解を周知徹底したばかりですけれども、こういう事態になったことの受け止めと新たな再発防止に向けて、何らかの対策をお考えかをお尋ねしたいと思います。
【大臣】北海道の方が二人、ロシアのビザを取って、そして国後(島)を訪問したということは事実でございます。これは今、ご質問のありましたように平成元年9月19日の閣議了解の趣旨に反するものであるということで厳重に抗議をいたしました。また、こういった事態が再び繰り返さないように申し入れをしたところでございます。先方からは知り合いの墓参に行かれたということであって、「たいへん申し訳なく思っている。二度とビザを取得して四島を訪問することはない。そういうことはしない」という反応がございました。閣議了解の存在については、お二人とも知らなかったということです。国後島在住のロシア人が昨年9月に亡くなったための墓参であったと、こういう話を伺っております。再発防止に向けて閣議了解の趣旨を徹底をさせてまいりたいと考えております。
(1)ベトナム中部における洪水被害について
【前原大臣】第1点目でございますが、ベトナムにおいて今月初めから立て続けに大型の台風が、特に中部を襲いまして、同地域で大規模な洪水被害が発生したと伺っております。このことを受けまして、今般、現地の被災状況やベトナム政府からの要請を踏まえまして、我が国は毛布や発電機等、2000万円相当の緊急援助物資の供与を実施することを決定いたしました。今回の支援が被災者の生活状況の改善に資することを期待しております。
(2)「インフラ海外展開推進本部」第1回会合の開催について
【大臣】2点目でございますが、本日、私(大臣)を本部長といたします、インフラ海外展開推進本部の第1回会合を開催いたしました。これはインフラ海外展開に関する外務省の方針や必要な調整等について検討、決定を行う場として、外務省の取組みを強化するために設置したものでございます。本日は主としてベトナムについて、インフラ関連の情報等について、事務方からの報告を受けるとともに、今後の対応につきまして、政務三役を含めて検討し、私(大臣)から必要な指示を行いました。また、インフラ推進のための省内体制やこれまでの関係大臣会合のフォローアップに関する議論も進めてまいりたいと考えております。
(3)日・ベトナム原子力協定(実質合意)について
【大臣】3点目は、それに関わることでもありますけれども、今般、日本とベトナムの原子力協定は実質合意に達しました。交渉が整ったということでございます。今後は双方、今般の実質合意を受けまして、それぞれ政府部内の手続を進めまして、今月末の菅総理の訪越が実現した際には、首脳レベルで確認をし合うことになります。今後、協定の早期署名、締結に向けて、双方で取り組んでまいりたいと考えております。
(4)日韓新時代共同研究プロジェクトについて
【大臣】4点目でございますが、日韓新時代共同研究プロジェクトの報告書が本日公表をされました。これは平成20年4月の日韓首脳会談におきまして合意されたプロジェクトでありまして、その後、国際政治、経済等の多様な分野の日韓両国の専門家、ちなみに日本の代表は小此木先生だと伺っておりましたけれども、こういった専門家の方々が国際社会に共に貢献していく日韓関係のため、何をすべきかについて共同研究を行ってきたものでございます。本報告書には、日韓両国が共に取り組んでいくべき課題について、多数の創造的なアイデア、提言が盛り込まれております。こうした報告書がまとめられたこと自体、大変有意義であり、歓迎をしております。政府としては、今後、報告書の内容を吟味いたしまして、しっかりとファローアップに努めてまいりたいと考えております。
(5)米国訪問について
【大臣】最後でございますが、閣議了解を得られた上で、私(大臣)は27日にハワイを訪問いたしまして、クリントン米国国務長官と日米外相会談を行う予定になりました。9月の国連総会の際の外相会談に続いて2度目となる今回は、前回、外相会談、あるいは首脳会談で確認をいたしました日米同盟関係の深化を含む二国間関係、あるいはアジア太平洋地域情勢グローバル、さまざまな議論を行いたいと考えております。今回の外相会談が横浜APECの際に予定されている日米首脳会談に向けた作業を加速していくものと期待をしているところでございます。
【毎日新聞 犬飼記者】日中関係で3点お伺いできればと思うのですけれども、ハノイでのASEAN首脳会議まで残り1週間ということで迫っておりますけれども、1点目として、現在、調整中、準備中だと思いますけれども、日中首脳会談、外相会談の開催の見通しはいかがでしょうか。また、会談では、大臣としてどのようなことを話したいかということが2点目です。最後、3点目ですけれども、一方、昨日、中国の胡正躍外務次官補が一連の大臣の発言について、「毎日中国を攻撃している。なぜ日中関係を傷つけようとするのか」ということを言いまして、首脳会談などの先送りも示唆したと見られますけれども、これについてどう思うか。この点3点でお願いします。
【大臣】今、日中の外交当局の間で、月末のハノイにおける日中外相会談、日中首脳会談を開催すべく、鋭意作業をし続けているところでございまして、是非先般のASEMの菅総理、温家宝首相の間で合意をされました日中の関係正常化に向けて、ハイレベルでの交渉を再開させていくというものの一連の流れを加速させていきたいと考えております。
中身でございますけれども、まずは今回の尖閣の問題に絡んで、日中関係というものがぎくしゃくしているわけでございますけれども、これを超えて、しっかりと戦略的互恵関係を築いていくという大局に立って、しっかりと日中関係改善に向けての努力をしていこうという大きな方向性と同時に、できれば個別の事案についても議論はしていきたいと考えているところであります。個別の事案といいますと、例えばレアアースの問題であるとか、東シナ海のガス田の話であるとか、日中航空交渉の再開の話であるとか、そのような議論が私(大臣)は外相会談で個別にできればいいなと思っております。
先ほど申し上げましたように、中国側の発言について、私(大臣)の感想でございますけれども、私(大臣)自身、これは今の政府もそうでありますけれども、日中の戦略的互恵関係を進めていく。今、日本にとっては、中国は輸出でも輸入でも相手国としてナンバー1。中国から見ても、輸入は日本がナンバー1、輸出は米国に次いでナンバー2。そういった物の流れでも中国との間では、日本は大きな協力関係があるわけでありますし、人の往来も多く、世界第2位、第3位の経済大国同士がしっかりと協力し合うということは大変重要なことだと思っておりまして、そういう大局に立って、お互いの問題点を解決すべき努力をしていくということが大事であるということを私(大臣)は今まで申し上げてきたつもりであります。いずれにしても、そのような視点に立って今後も発言、行動を行っていきたいと考えております。
【日本経済新聞 永井記者】関連してですが、日韓の新時代共同プロジェクトの中で、中国の東シナ海と南シナ海の海洋秩序について、中国との対話を深める必要性があるという政策提言が盛り込まれていましたけれども、外務大臣として、この政策提言をどう受け止めるかということと、その実践についてどう取り組まれるか、是非お願いいたします。
【大臣】この日韓新時代共同研究プロジェクト、大変関係者の皆さん方にご協力をいただいて、ご努力をいただいて、いい中身をまとめていただいたと思っております。
ただ、一方で、これは政府のメンバーで決めたものではありませんで、専門家の方々が知恵を絞ってご提言をいただいたものだと認識しておりますので、今後、ご提言をしっかり精査をして、そして、できるものについてはしっかりと取り組んでいくということで、参考にさせていただきたいと思っております。
【産経新聞 高橋記者】前回、中国外務省報道官の発言について質問させていただきましたけれども、大臣はそれに対して「理解できない。それだけだ」と発言されて、私としては、それでも弱いメッセージだと思っているのです。それを考えた場合に、要は、私の質問の意図というのは、中国が明らかに誤った言動をした場合は、しっかり抗議するなど毅然とした対応をしないと、日本には何を言っても、やっても大丈夫という誤ったメッセージを中国に与えることになるという観点からしたものであります。
それで、先ほど日中首脳会談について、大臣は尖閣の問題を超えて戦略的互恵関係改善について話をしたいというお話でした。まず、この尖閣問題について、中国は固有の領土だという主張をしているわけです。日本はこれに対して、5日の日中首脳会談でもきちんと反論せずに日本側の立場を述べただけです。これでは、中国の主張を認めただけで、国際的には領有権問題が存在するかのような誤ったメッセージを与えることになると思います。中国が固有の領土だと主張していることに対して、反論する意思あるいは抗議する意思は、外相はおありでしょうか。
【大臣】いろいろな個人の思い、あるいは各社の論調等はあろうかと思いますけれども、私(大臣)は、東シナ海においては領有権問題は存在しない、そして、尖閣諸島は歴史的に見ても、国際法的に見ても日本固有の領土であるということで、それをとにかく国民にもしっかりとその事実をお知らせして、そして、多くの海外の方々にそれをしっかりと示していくということで、日本の立場というものを伝えていくことが大事だと、私(大臣)は思っております。現に実効支配をしているわけでございますので、私(大臣)はその姿勢を貫いていくということがいいのではないかと思っております。
【朝日新聞 山口記者】先ほど大臣の方から、日米のハワイでの外相会談について、私のメモの限りだと、「クリントン国務長官とお会いして、APECに向けた首脳会談をできるための作業を加速させることを期待されたい」というご発言をされたと思います。
他方、日中については、同じ様に首脳会談ができるかどうか今ご調整中だと思いますが、中国の外務次官補のお話ですと、前原さんのご発言がきっかけとなって、恐らく言いぶりもあるのかもしれませんけれども、雰囲気がなかなかできていないというご発言も、昨日、外務次官補の会見の中であったようです。ご本意かどうかは別として、こう受け止められてしまっている現状を、どうお考えになっているかということと、だからといって何も言わなくてもいいということではないと思うのですけれども、その中で、ではどうすれば前向きな互恵関係が両国の間で築けるとお考えか、築いていきたいと思っていらっしゃるか、そのご所見についてお聞かせください。
【大臣】繰り返しになりますけれども、私(大臣)は、あるいは菅政権は、日中は隣国であり、そして大局的な観点に立って、日中互恵関係を進めていくことが両国の国益に資すると思っておりますので、お互いがそういう意識を持って臨むべきであり、発言をしていくことが大事だろうと思っております。その発言の中には、いろいろあってしかるべきだと思っております。
また、中国側の発言は、私(大臣)の発言についてのコメントがありましたけれども、その真意は、私(大臣)はやはり中国側も日本との関係改善を進めて互恵関係をつくりたい、あるいはハノイでの会談を成功させたいという思いが根底にあって、あのような発言になっているのではないかと思っております。
いずれにいたしましても、前半と後半の質問がどうつながっているのかちょっとわからなかったのですが、もうクリントン長官との間では、この間ニューヨークで日中間の今、起きていることについては十分説明をいたしましたし、十分な理解を得られましたので、そういう意味では日中問題に触れることはないと思います。やはり日米同盟関係の深化、三本柱、安全保障、経済、そして人的・文化的交流の具体化をしっかりと話しすると同時に、お互いが共通利益を有するグローバルな問題について、更に協力を進めていこうと、その具体的な中身について話をしていきたいと考えております。
【NHK 稲田記者】まさに今、大臣がおっしゃられたように、中国側の発言については、ハノイでの会談を進めたいという思いが根底にあると、まさに大臣はおっしゃられました。日中は一衣帯水の地、数千年の関係と菅政権ではおっしゃっていますけれども、その一方で、大臣はこれまで、焦る必要はないということもおっしゃっています。また、大局的な観点ということで、別にお互い言いたいことは言って、論点をしっかりやっていくこともそれはそれで大事だと思うのですけれども、大臣は今まで今度のハノイで行うことが、長い日中関係の間でどれぐらいの重要性を持つものなのか、それは必須だとお考えなのかということをお伺いしたいのと、先だって、「ボールは中国側にある」とおっしゃっていましたけれども、今回このような中国外務省高官の反応があったことについて、どういったボールが返って来ているととらえていらっしゃいますでしょうか。
【大臣】ボールは中国側にあると申し上げたときは、それはASEMでの菅総理と温家宝首相の会談があって、それを受けて、外交ルートでいろいろな話し合いをしてきたときの段階において、その時点ではボールは中国側にあるということを申し上げたまでであって、その後、外交ルートでいろいろな話し合いが行われてきておりまして、だからこそ、ハノイのASEANの会合の場で、日中外相、あるいは日中首脳会談を目指して、お互いが努力をしていこうということになっていると理解いただければと思います。
【共同通信 出口記者】来週のクリントン米国務長官との会談ですが、先ほど少し触れられましたが、安保、経済、人的交流の面で具体的な話をということでしたが、安保面で目下、日本政府の中で協議されていると思いますけれども、思いやり予算の関係であるとか、普天間基地の移設問題、11月の知事選を控えていますけれども、ここの二点についてどのような議論をされるおつもりでいらっしゃいますでしょうか。
【大臣】普天間の問題をまずお話をいたしますと、これは5月28日の日米合意に基づいて沖縄の皆さん方にご理解をいただくという作業を日本がしっかりやっていくということを改めて伝えようと思っております。ホストネーションサポートでございますが、これについては日米の事務レベルで協議をしておりまして、どのような議論がハワイで行えるかどうかというのはまだ見えてきていない段階ですが、何らかの話をすることになるのではないかと思っておりますが、では、そのハワイで何らかの結論のようなものが得られるかどうかということについては、まだ、私(大臣)はそのような状況にあるとは考えておりません。いずれにしても話し合いを事務レベルで行っている段階でございます。
【時事通信 吉岡記者】先ほど、クリントン米国務長官との会談で「日中間のことについては十分理解を示したので、日中問題に触れることはないと思う」というお話でしたが、これは尖閣問題については触れないというご趣旨でしょうか、それとも、日中、あるいは中国の海洋進出の問題等、いろいろ中国を巡ってはあると思うのですが、そういうことも含めてということなのでしょうか。それともう1つ、北朝鮮の最近の情勢についてはどのような意見交換を行われるご予定かというのをお聞かせ下さい。
【大臣】私(大臣)が「中国問題でお話をすることはない」と申し上げたのは、尖閣でどのようなことが起きたのかということと、尖閣諸島の歴史的な背景、こういうものも含めてニューヨークで十分にお話をいたしましたので、そのことについて話し合うことはないということを申し上げたわけです。北朝鮮、あるいは中国を含めて北東アジアの今後の情勢分析、あるいは日米間でどのような協力を更に進めていくかということは、当然大きな議題の1つになると思っております。
【日本テレビ 野口記者】TPPに関して大臣の基本的なスタンス、考え方をまず伺いたいというのが1つと、TPPの交渉に入る入らないを巡って民主党内では根強い反対の声もありまして、多くの議員が集まって会合なんかも持たれております、そういった動きに関して大臣はどのようにお考えか、ご所見をお願いします。
【大臣】それぞれの議員が選挙区で選ばれてきて、あるいはさまざまな形で国民の代表と選ばれてきて自分の責任で発言をされるということは当然のことだと思います。その中で賛否両論があるのも事実だろうと思いますし、また、賛否両論があって然るべきたいへん重要なテーマだと私(大臣)は思っております。ただ、どこに自分自身の視座をおいてこの議論をしていくのかということも、たいへん大事な問題だと思っておりまして、実は私(大臣)は賛成論も反対論も外から見ているほど、あるいは皆さん方が見ておられるほど大きな違いは、実はないのだろうと実は思っているわけです。例えば農業が大事だと思われる方々にしても、今のままの農政でいいのかという思いは、おそらくあると思うのです。特に我々民主党では、自民党農政が今の農業をだめにしたという思いを強く持っていると思っていまして、私(大臣)がよく申し上げるように、では今までの自民党農政でFTA・EPAにできるだけ入らないようにしてきた、あるいは入ってもかなりそういったセンシティブな分野については守ってきた、では守ってきた農業が本当に伸びてきたのかと言えば、対GDPで言えば1、5%、また農業従事者の平均年齢で見ると65、8歳、あるいは農家のいわゆる種別で見れば、二種兼が80%を超えていると、こういう状況を見たときには、おそらく今の農業をしっかり守らなければいけないという方々からしても、今の農業の延長線、自民党の農業の延長線上ではだめだという思いは強く持っておられると思います。ですから、そういう思いの中で我々はTPPにむしろ入って、それが農業の体質改善、あるいは韓国が行ったように大きな観点でそれに入るとなった時には、予算も含めてやはりしっかり農業に対する支援を行っていくという観点の議論を行っていけば、私(大臣)は決して結論が見いだせないような話ではないし、TPP推進論者も「農業は切り捨てていい」等と思っている人は一人もいないと思います。私(大臣)を含めて。やはり農業は大事で、むしろ私(大臣)などは農業の食糧自給率を高めるべきだという考え方でありますので、そこをどう制度設計をしていくのかといったことがこれからの議論で大事なことなんだろうと思います。ただ、一方でTPP推進の立場に立つ議論にしても、私(大臣)は大きなフレームワークを示さなくてはいけないと思っています。それはどういうフレームワークかというと、そもそも日本はWTOに入りました、これは要は第二次世界大戦の反省というのは何だったのかと言えば、ブロック経済というものが結果的には戦争の大きな火種になったんだと、したがって自由な貿易をどう確保していくのかといったことをやっていこうということで第二次世界大戦の後に早い時期にGATTの体制ができたということを、我々はもう一度認識をしなくてはいけないし、そして我々が主導的に進めようとしているAPEC、これは2020年までに21カ国の自由な貿易というものを進めていこうということを議論しているわけでありますが、では今それに一番より現実的なアプローチをしているのは何かというとTPPなのです、しかも、TPPの議論というのはかなり頻繁に行われていて、日本がある程度の時期でその対応を明確にしなければルールメイクのところから入れない、ルールメイクされたものに入ろうということになれば、逆に言えば日本の立場というものも主張できない。そういう意味では私(大臣)はTPP推進論者も慎重論者も基本的には同じ方向性を向いているのではないかと思っております、じっくり話をすることが大事だし、話をすれば私(大臣)は折り合える問題ではないかと思っております。
【ニコニコ動画 七尾記者】海洋、宇宙空間、サイバーなどに関する、今後の日米協力のあり方について、非常にこれらについて必要だというご指摘があります。具体例の一つとしては、国際的なルールの確立ということが挙げられると思いますが、こうした、国際公共空間、いわゆるグローバルドメインについての今後の米国との関わり方について大臣の御所見をお聞かせください。
【大臣】大変重要なテーマだと思っておりまして、私は海洋基本法を超党派で進めた人間の一人でありますし、また宇宙基本法を受けて、宇宙開発担当大臣として考え方を前に進めるということもやってきました。その観点で申し上げると、まずは他国との協力ももちろん大事なテーマではありますが、自国がどのように今おっしゃった問題にコミットメントする意思があるのかということが、私はまずは大事なことだと思います。海洋の問題について申し上げれば、これは非常に日本のパイオニアの部分だと思います。というのも陸地面積でいえば世界第61位の日本が、領海、あるいは排他的経済水域を含めますと、世界第6位でありますし、また、日本の主権の及ぶ、つまり領海、排他的経済水域の海底には無限の資源というものが存在しているわけです。例えば、海底熱水鉱床であるとか、メタンハイドレートであるとか、そういった資源が眠っているわけでありまして、そういった開発をしっかりやるということを海洋基本法、それに基づく基本計画で今、推し進めているわけです。これについては一義的にやるべき問題ですが、ただ巨費がかかります。例えばメタンハイドレートを一つの例にとりましても、海に面している国はどこもメタンハイドレートを持っている可能性があるわけですが、ある程度の海底にありますので、それをどうやって海面上に持ってくるのか、持ってくるといわゆるメタンになってしまうということで、技術的な協力が非常に大事なことになります。このメタンハイドレートについていえば、今、日米協力が実は進んでいまして、そういう意味ではメタンハイドレートをどうやって開発するかということは、もう既に日米間での協力、つまり同じ利益を持つ国同士としての開発が進んでいるといえると思いますし、他の海底資源などについても、しっかりとやっていかなくてはいけない点ではないかと思っています。あとは海洋航行の自由であるとか、あるいは水産資源の保全、保護、こういったものも日米のみならず多国間での協力というのが可能な分野ではないかと思っています。
宇宙でありますが、宇宙ステーションについては日本も協力をしているし、まさに日米協力というものが、今までずっと培われてきた分野だと思います。また私(大臣)が宇宙開発担当大臣のときに決定し、先般打ち上げに成功いたしました、準天頂衛星「みちびき」については、米国の持つGPSをまさに補完するものでありまして、これについては米国の持っている先進的な衛星技術、宇宙技術、こういったものに日本が更に開発することによって、例えば位置情報などは、より正確なものになっていくということになるわけであります。また同時にこの打ち上げにつきましても、今までも協力が進められていますし、いろいろな面で、これから宇宙の協力、あるいはもう防衛分野で進んでいるいわゆるMD、ミサイルディフェンスについては今までも協力をしてきているわけであります。今後もしっかりと日米、あるいは他の国々についても協力を進めていく分野ではないかと思っています。
サイバーについても同様でありまして、特に同じ価値観を共有する国々、あるいは同じテロとの戦い、あるいはテロの脅威というものに直面をしている国々が連携をとりあって、サイバーの問題について取り組んで行くということが大事であり、無限の協力可能性が広がっている分野だと私(大臣)は認識しています。
(1)スリンASEAN事務総長の来日について
【前原大臣】私(大臣)から、まず2点お話をいたします。明日から23日までの日程で、ASEANの事務総長であるスリンさんが、外務省の賓客として来日されます。今回のスリン事務総長の来日は、中長期的な観点から、将来の日本・ASEAN関係のさらなる強化について意見交換を行うとともに、今月下旬のASEAN関連首脳会議に先立ち、今次首脳会談に臨むASEAN側と我が方の考え方のすり合わせを行ういい機会となるものと考えております。この会議直前に、同事務総長の来日が実現したということは、我が国とASEANとの強い協力関係の現れであり、今回のスリン事務総長の来日を通じまして、日本・ASEANのパートナーシップが一層深化し、強化されることを期待しております。
(2)ダイス国連総会議長の訪日について
【大臣】もう一つは、今の国連総会議長のダイスさんという人でありますけれども、ダイス国連総会議長が10月26日(火曜日)から30日(土曜日)まで、外務省賓客として訪日されます。ダイス総会議長は、本邦滞在中、菅総理に表敬し、私(大臣)とも会談を行う予定でございます。また、名古屋を訪問されまして、生物多様性条約第10回締約国会議に出席をされるほか、広島も訪問される予定でございます。ダイス総会議長の訪日によりまして、日本と国連の協力関係が一層深まることを期待しております。
【産経新聞 高橋記者】尖閣問題についてお伺いしたいと思います。外交では、他の国に、この国は強く出れば引く国だと思われてしまえば、敗北だと私は思っているのですが、まさにこの尖閣問題というのは、それが問われている問題ではないかと思っています。大臣は、14日の凌雲会で尖閣問題について「国会議員は体を張って実効支配していく腹積もりを持ってもらいたい」と述べられたと聞いていますけれども、私は大賛成です。
【大臣】そんなことないです。産経にはやゆして書いてあった。
【産経新聞 高橋記者】やゆではなくて、ストレートの記事で書いたのですが、それは発言されているのですか。
【大臣】グループの会合での発言について、コメントをする立場にありません。
【産経新聞 高橋記者】では、そういう腹積もりは、大臣としてはおありなのでしょうか。
【大臣】コメントは差し控えます。
【産経新聞 高橋記者】つまり、日本の領有権を守るということについて、大臣の決意はどのように。
【大臣】お答えをするとなると、東シナ海には領有権問題は存在しませんし、尖閣諸島は日本の固有の領土でございます。
【産経通信 高橋記者】それに関連ですけれども、中国で今、反日デモが頻発しておりまして、暴力的行為も伴っていることについては非常に遺憾なことだと思いますけれども、これについて、中国外務省は「日本の誤った行動への義憤は理解できる」という声明を出しています。これについて、大臣はどう受け止めていて、これは明らかに誤った認識ですから、日本政府としては抗議すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
【大臣】16日に四川省の成都、それから河南省鄭州市及び陝西省西安市におきまして、17日には四川省綿陽市において、また、18日には湖北省武漢市において抗議活動が行われたと承知しております。これらの抗議活動において、在留邦人及び日本人旅行業者に対する被害は確認されておりませんけれども、日系企業が経営するスーパーのガラスが割れるなどの被害が生じております。これを受けまして、在中国大使館及び在重慶総領事館から、中国側関係当局に対しまして、遺憾の意を伝えるとともに、邦人及び日系企業の安全確保を強く要請をいたしました。また、19日午前には、丹羽中国大使から楊潔チ外交部長に対しまして、同様の申し入れを行いまして、同部長からは安全確保に全力で努力するとの反応がございました。今般、一部に、破壊活動を伴う反日デモが行われたことは極めて遺憾であります。他方、日本政府としては双方の政府、国民ともに日中関係の大局に立って、冷静に対応することが重要であると考えております。
【NHK 稲田記者】デモに関連してお伺いしたいのですけれども、今回のデモは複数の日にちに渡って、しかも5中全の最中に行われたと。また、警察当局が止めに入ったにもかかわらず何日も続いているという状況ですけれども、このような状況を大臣として、どのように受け止めるのか。また、中国当局としては非常に難しい立場にあるとは思うのですけれども、どのようにとらえていると理解していらっしゃるでしょうか。
【大臣】中国外交部の報道官が「非理性的で法規に違反する行為には賛成しない」と談話を出されたと承知をしております。我々としても破壊活動というものは行われるべきではないし、中国政府も、そういう意味では、これに対して極めて憂慮していることだと思いますので、是非適切に対応していただきたいと思います。我々は、先ほど申し上げたように、日中関係の大局に立って、この問題をしっかりと解決していくことが大事だと、このように考えています。
【読売新聞 向井記者】大臣は先ほどの講演で「ASEANでの日中外相会談、もしくは日中首脳会談に向けて、外交ルートを通じ調整している」とおっしゃいました。今回のデモがそれら会談の調整に与える影響についてお教えください。
【大臣】ASEMにおきまして、菅総理と温家宝首相が会談をされて、そして日中関係の正常化に向けてお互い取組みをしていこうという合意がなされて、今、外交ルートで話し合いを進めているところでございまして、今回の中国におけるデモが、お互いが目標として進んでおりますハノイにおいての日中外相会談、また日中首脳会談に障害になっているという認識はございません。
【東京新聞 竹内記者】ハノイで(日中)外相会談が行われた場合、大臣は以前から尖閣の事案に関して、再発の防止策について中国側と協議しているとおっしゃっていますが、その辺の展望はいかがでしょうか。
【大臣】さまざまな事柄について話す内容があると思います。いずれにいたしましても、今、外交ルートでお互いの意見、主張、話し合う点をまとめている最中でございます。
【産経新聞 高橋記者】先ほど質問した中で、中国の外務省報道官が「日本の誤った行動への義憤は理解できる」ということに対する受け止めと、それに対して抗議は行っているのかということについてお答えがなかったので、改めてお伺いしたいと思います。
【大臣】理解はできません。それだけです。
【産経新聞 高橋記者】抗議はしないのですか。
【大臣】自然発生的にインターネットを通じて呼びかけて集まったものです。ですから、破壊活動、そして邦人保護については、強く申し入れはしております。
【琉球新報 滝本記者】先ほどのシンポジウムでの講演で、日米同盟の深化の文脈だったと思うのですが、ガイドラインの見直しの部分に関連して「もう一度、しっかりこれを見直すことがあってもいいのではないかと思っている」とおっしゃられたのですけれども、これは、かつてガイドラインの見直しがあって、それをまた現状に合わせた格好で再見直しというのでしょうか、また今の(ガイドライン)をアップデートするという意味合いでおっしゃられたのか、そうであれば、具体的にどのような中身についてイメージされておられるか。それと、すでに日米外相会談などでもお話しされたりされているのか、北澤防衛大臣ともお話しされているのか、重ねて恐縮です。
【大臣】本日、講演でお話をしましたのは、1978年にガイドラインの見直しをやろうということで、平時のガイドライン、防衛協力の指針、それから日本有事の防衛協力の指針、そして、当時は極東有事における防衛協力の指針というものが議論されようとして、それがずっとたなざらしにされて、そして、何年か前か正確には忘れましたけれども、有事法制がまとまった段階のときに、周辺事態における防衛協力の指針、いわゆるガイドラインの見直しというのが行われたわけでございまして、そのガイドラインの見直しも、もちろんアップ・ツー・デートにやるということも大事かもしれませんけれども、具体的な事態を想定して、いかに日米間がスムーズに協力ができるような体制を取れるかということが大事なことだと思います。もちろん、今までいろいろな図上演習、あるいは共同訓練、日米で図上演習も共同して、あるいは実際の訓練も共同して行っておりますし、それはまさに何かのシナリオを想定してやられているわけでありますが、そういったものを、よりもう少し広範に見直して、本当に必要なものについてしっかりそういったものをやるということも必要ではないかという問題提起をしたわけです。
【琉球新報 滝本記者】もうすでに(日米)外相同士でお話しされているのか、あるいは閣僚内で北澤防衛大臣と、まさに具体的な部隊運用としては、あちらの方になると思いますが。
【大臣】さまざまなところで、そういった問題意識は共有できていると思います。
【NHK 藤田記者】中国で習近平氏が次の最高指導者に内定しましたけれども、(それについての)大臣としての受け止め、それから、習近平氏を巡っては対日強硬派ではないかとか、もっと柔軟な考え方をしているのではないかとか、さまざまな見方が出ていますけれども、大臣としてはどのように見ておられるのか、二点お願いします。
【大臣】お会いしたことがありませんのでよく分かりませんし、他国の人事でございますので、あまりコメントすることが適当ではないと思います。ただ、非常に見かけは優しそうな方ですし、育ちの良さそうな方だなという思いはありますので、日中友好にもしっかりと役割を果たしていただければという期待はしております。
【読売新聞 川崎記者】本日、閣議決定されました政府答弁書で在外公館でワインが過剰に多かったところの3公館について具体的に減らすという取り組みをしているという答弁書がございましたけれども、これに関連しまして、これに関する大臣の受け止めとこれをすることによって具体的にどれぐらいの額の予算が縮減できるのかということについて教えて頂ければと思います。
【大臣】前政権時代にストックとして貯まったものが大量にあって、そして、ある公館においては年間使用量の約30倍ものストックがあったということについては、ご承知のとおりでございます。これについて、もう既に民主党政権になりましてから、大体適正在庫はトータルで年間消費の3倍以内に抑えようという大きな枠を決めまして、そして、今ある在庫については多いところは他のところにまわしたり、あるいは売却をするということを今行いつつあるところでございます。いくらでワインが売れるかということもございますので、額については今は想定しておりませんが、しかし、先ほど申し上げましたように、まずは全体の消費量の3倍以内に抑え、そして今ある過剰在庫については売却をしたり、そして、品薄の公館にまわしたりということで、うまく処理をしていきたいと考えております。
【読売新聞 川崎記者】そうしますと、ワインに関する今後の予算ということについては、今後縮減を何らかの形で反映させるお考えはありますでしょうか。
【大臣】結果的に今までストックで相当購入していたものがあると思います。今はたくさんあるわけですから、3倍以内に抑えていくにあたってどれだけ売れるのかということもあるでしょうし、ある程度先ほど申し上げた枠として年間消費量の約3倍くらいの保有本数に在外公館全体としてなった場合においては、毎年毎年適度の予算というものでそれを購入するということで、今までよりは相当程度絞れるのではないかという見通しを持っています。
【フリーランス 上出氏】資源外交に絡めて、嬉しい話でしたが、全員救出されたチリでの鉱山の事故がありました。あの問題の背景には、日本も含めた先進国とか、中国とかの銅の消費とも結びついている訳ですが、日本として今後の対策だとか、銅の供給について、今回の事件も絡めて、どのような係わりをしていくのか、あるいは前原大臣自身のこの問題に対しての捉え方、印象がございましたら、今後の資源外交の絡みで発言していただければと思います。
【大臣】すいません。もう一度、言っていただけますか。
【フリーランス 上出氏】今後の資源外交の絡んで、チリの今回の事件が、今後の対策を立てたりするときに、日本はどのように絡んでいくのか。これに対して、前原大臣ご自身の見解とか、印象とかありましたら、お話していただきたいと思います。今後の対策について、何か具体的な行動をとられたのかどうか。
【大臣】レアアースも含めて、レアメタル、あるいは他の資源を買うのは、あるいは契約をするのは、民間の企業でございますので、国として直接、何らかの対応というのはございません。しかし、安全対策をしっかりやるということになると、より費用がかかります。そうなるとコストにのっかってくるのではないかと思います。事実関係として、私(大臣)がびっくりしましたことは、中国が今、世界の年間(産出量の)96~97%のレアアースを生産している訳でありますが、レアアースに限らないのかもしれませんが、鉱山で起きている事故で、亡くなっている方が一年で3000人以上いるということを考えたときには、やはり何らかの安全対策というものをしっかりやっていく必要があると思います。しかし、それはそれぞれの国でやられる話だと思いますし、そのことによって、コストがある程度高くなることについては、仕方ない面もあるのではないかと思います。いずれにしても、民間の企業の取引で、我々としては、オールジャパンで応援するのは、資源外交を多角化していくために、レアアース、レアメタル、あるいは様々な天然資源があるところについて話をするときには、当然ながら、他国に対して話をするという意味において、安全対策をしっかりやっていただきたいというお願いはすることになろうと思います。
【中国新聞 岡田記者】先ほどありました国連のダイス総会議長が広島を訪れるということですが、被爆地訪問ということへの期待と、この夏はルース大使、あるいは潘基文事務総長が広島を訪れるなど、要人の広島訪問が相次いでいますが、被爆地ではオバマ大統領の広島訪問を求める声が根強くあります。このことについて、来月のAPECにあわせてオバマ大統領の広島訪問を呼びかける考えはおありでしょうか。
【大臣】どのような日程になるのかということについては、今米国側と話をしているわけでありますけれども、中間選挙が終わった後、何カ国かを回られて、日本に来られるということで、相当タイトなスケジュールではないかと、こういう思いをもっているところであります。いずれにしても日本は唯一の被爆国でありますし、広島、長崎に多くの世界のリーダー、指導者、あるいは影響のある方々に見ていただいて、その悲惨さというものを資料館等を通じ、感じていただいて、核のない世界というものに尽力していただければ、日本としては大変ありがたいと、思っております。あらゆるリーダーの方々に我々としては広島や長崎を訪問していただきたいということは、これからも申し上げて参りたいと考えております。
【共同新聞 橋本記者】先ほどの講演でも、TPPに関してですが、大臣御自身は、入るべきだという考えを重ねて強調されてたんですけれども 第一次産業はどうするのという問題がでてくるんですが、政府内では意見の統一はどこまで進んでいるのかということと、あとそれに絡みまして自民党の議員が訪米しているのですけれども、米国の通商代表部の高官がまだ日本側からTPP参加の検討等について接触は無いというように語っているそうなんですが、その辺はどうなんでしょうか。
【大臣】あくまでも日本の今の置かれている状況というものを考えたときに、国を開く、そしてより自由な貿易体制というもので、日本の強みというものを生かして国力を増進させることがが大事ではないか、と同時に、韓国でも行われたように、しっかりとした農業対策というものが、その前提として行われるべきであるということを、講演の中で申し上げました。今政府の中で、副大臣レベルで話をしていただいております。その話し合いがまとまったという報告は聞いておりません。これはしっかりと、党とも相談しながら、話をまとめていただきたいといように思っております。したがいまして、政府与党の間でまだまとまっていないものについて、他国と、TPP参加国と相談するということはないというようにお考えいただければ結構かと思います。
(1)太平洋・島サミットの中間閣僚会合について
【前原大臣】島サミットの件でございますけれども、明日、飯倉公館におきまして、太平洋・島サミットの中間閣僚会合を開催いたします。我が国は、太平洋島嶼国地域との関係を強化するために、1997年以来、3年に1度、太平洋・島サミットを開催しておりまして、今回の中間閣僚会合は3年間に1度のサミットの中間年に初めての試みとして開くものでございます。この会合には、議長として私(大臣)が出席をし、太平洋島嶼国側からは、太平洋諸島フォーラムPIF議長のバヌアツ共和国のナタペイ首相が向こうの議長でございまして、そのほか皆さん方が出席をされます。
次回、第6回の太平洋・島サミットの開催地につきましては、6か所から応募がございましたけれども、沖縄県の名護で開催する方向で最終調整中でございます。明日の中間閣僚会合において正式に発表する予定でございます。なお、他の5地域からは公表しないようにということで、内々の立候補を受けております。
(2)森林保全と気候変動に関する閣僚級会合(REDD+)について
【大臣】2つ目は、10月26日に森林保全と気候変動に関する閣僚級会合(REDD+)を名古屋で開催いたします。この会合は、気候変動問題の解決に重要な役割を担う途上国の森林を保全する国際的な取組みを強化することを目的とするものであります。会合では、私(大臣)とパプアニューギニアのアバル外務貿易移民大臣が共同議長を務めることになります。この会合を成功させることによりまして、COP16における国際交渉を進展させることを目指したいと考えております。
(3)在日米軍によるクラスター弾の使用について
【大臣】最後でありますが、先般お尋ねをいただいて、お答えができなかったことなのですが、クラスター弾に関することでございます。
「日本政府はこれまで、非締約国である米国に使用を抑制するように申し出を行ったのか」というご質問を琉球新報の滝本さんからいただきましたけれども、「本条約の発効は本年8月でありますが、政府は非締約国に対してこの条約の定める規範を奨励するものとするとの条約の規定第21条の2を踏まえ、条約発効前の段階において、米国務省に対して政府の立場を説明し、使用の抑制について要請を行いました」ということでございます。
【NHK 稲田記者】本日、齋木局長が帰国されてやっとご報告を受けられたと思いますけれども、今般、日中首脳会談に向けての取組みというものが非常に注目されていますが、大臣としては、日本政府として首脳会談実現に向けてどういった姿勢で臨むべきとお考えなのか。また、これまで再発防止策等いろいろ仰っていますが、仮にその大臣として、こういった状況もしくは条件が必要だというものがあれば、それも含めてお答えください。
【大臣】齋木アジア太平洋局長が北京に赴きまして、これは私(大臣)の指示でございますけれども、中国外交部のカウンターパートと話をしてまいりまして、本日、その報告を受けました。然るべき時期に日中外相会談、そして日中首脳会談というものができればという感触を向こうからも、こちらからも出したところでございます。しかしながら、こちらの基本的な原則、つまりは、再発防止を考える前提条件として、尖閣諸島は日本の固有の領土であり、東シナ海において領土問題は存在しないということについては、先方から、当然ながら異論が挟まれたという話を聞いております。しかし、ここは絶対に我々は譲れない点でございまして、この点が今後の議論でどうなっていくのかということであります。
他方で、今後、戦略的互恵関係を経済面などでもしっかりと、あるいは人的交流面でもしっかりと強化をしていくということは、これはお互いの利益になるという大所高所での合意はできたということでございますので、今後、事務レベルで議論を積み重ねていってもらえればと思っております。
私(大臣)からは、あまり時期は焦らなくていいということは言っております。こちらの立場をしっかりと主張して、時期は焦らなくていいということは指示をしております。
【NHK 稲田記者】その領土問題について「当然、向こうから異論が挟まれた」ということでしたが、そこについて両国間で合意がなされないとできないという認識なのか、そこはどうなのでしょうか。
【大臣】我々は1ミリとも譲る気持ちはありませんし、これを譲れば主権国家の体をなさないということであります。したがって、この点については我々は絶対に譲らないということでございまして、その点を向こうがどう踏まえて対応してくるのかということだと思います。
【朝日新聞 山口記者】今の質問とも重複するのですが、今、前原大臣が仰った「日本の立場として譲れないものがある。齋木局長が言って異論を挟まれた」というご説明が今ありましたけれども、異論を挟んでくる限り日中首脳会談でどうまとまるかということではなくて、異論を挟む限り外相会談も首脳会談も開くこともなかなか難しいというご認識なのか、それとも、開いて話し合った上でまた異論が出てくれば、何もまとまりませんという状況なのか、そこら辺の大臣のご認識を改めてお聞かせください。
【大臣】今までは、1978年の鄧小平さんが棚上げをしようということで、向こうは棚上げをしてきたという認識なのかもしれません。我々は、歴史的に見ても日本の固有の領土であって、中国が支配をしたことは一度もないという立場で、領有権問題は存在しないという姿勢は全く変わりません。しかし、我々はそれを言い続けます。言い続けた上で、私(大臣)は日中外相会談や日中首脳会談が行えることも可能性としては大いにあると思っています。我々の立場は不変であるということです。しかし、その上で日中外相会談や日中首脳会談が開かれるという可能性もあると思っています。
【時事通信 吉岡記者】先ほどのお話の中で、他方で戦略的互恵関係を強化することはお互いのためになるという大所高所の合意はできたというお話がありました。ただ、この合意自体は先般、温家宝首相と菅総理がお会いになったときもこういう趣旨のことを意見交換されたと、今回、事務方が行かれて、率直なところ進展は、つまり今後会談を開く、あるいは関係を良好なものにするということにおいて、進展はあったというようなご認識でしょうか。それとも、そういうわけではないというご認識なのでしょうか。
【大臣】全く進展がなかったわけではありません。例えば、向こうから一方的に中止を言ってきた上海万博の日本人の青少年の1,000人、これについてはしっかりと受け入れをするということでありますし、そういう意味では、またレアアースの問題については、向こうは、我々の認識と違う、そういった指示は出していない。これはちょっと事実関係が違いますので詰めなくてはいけませんけれども、個別の問題についても議論したということでございまして、私(大臣)の認識は、ボールは向こう側にあるということであります。
【日経ビジネス 森記者】中国との関係において、ASEANの諸国との協力についてお伺いします。
さきのASEAN拡大国防相会議ではなかなか足並みがそろわないところもあったようなのですが、今後のASEAN+3、もしくは東アジアサミットに関して展望と方針をお聞かせください。
【大臣】この記者会見の場でも申し上げたかもしれませんし、国会の答弁でもお話をした記憶がございますけれども、果たしてみんなで明示的に、殊更中国というものを念頭に置いて、海洋を守るために一致協力しようということが賢明かどうかということはあると、私(大臣)は思います。答えは以上です。
【フリーランス 岩上氏】円高が大変な局面を、今、迎えつつあります。トヨタがカローラの生産を海外で行うということも伝えられました。菅政権は一に雇用、二に雇用、三に雇用ということを主張されて誕生した経緯もあります。この円高が進んで雇用の空洞化が起きていったら大変な事態になると思うのですけれども、円高を食い止める手立て、もしくは円高が現行水準で進んでいくにしても、生産、雇用の空洞化を食い止める手立てというのが、菅政権内部でどのように考えられているのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
【大臣】本日の閣議の後の閣僚懇談会でも、このことが最大のテーマになりました。海江田大臣からいくつかの考え方が示され、また、先般G7の会合に出た野田財務大臣から、どういう話をしてきたかという話があって、最後には菅総理から、私(大臣)は指示のようなものがあったと受け取っております。
ご指摘のように、この円高というのは極めて行き過ぎたものであって、何とか短期でも円高を食い止めなくてはいけないということと同時に、中期的に見てもどうすればいいのかという、短期と中長期といった面での総理の指示があったと認識しております。中身については機微に触れる話でございますので、省略させていただきます。
【フリーランス 岩上氏】円高そのものだけではなくて、円高をもたらす雇用の問題について一言いただけないでしょうか。
【大臣】円高が固定化されますと、恐らく今のものづくりをされているところは、1ドルが90円でようやくという状況で採算ベースを置かれているのではないかと思います。ましてや本日のように81円台ということになれば、これは日本でのものづくりはやっていられない。移れるところは、これが長期にわたるようであれば、当然ながら海外にものづくりの拠点を移すということになり、雇用の空洞化が生まれる可能性が極めて大きいと思います。そういう危機感を我々菅内閣では共有をしていて、本日の閣議後の閣僚懇談会でもこの問題が主要テーマとなり、最終的には菅総理から、海江田大臣、野田大臣を含めたお話があったということでございます。
【共同通信 出口記者】齋木局長の訪中で、齋木局長は中国の武大偉朝鮮半島問題特別代表とも会談され、武大偉さんはその前に北朝鮮の金桂冠第1外務次官とも会談されています。
金桂冠次官は、本日、我々メディアに対して六者協議の再開について準備ができているなどという前向きな発言をしているのですが、何か進展はあったのでしょうか。
あと、再開に向けて日本政府としては北朝鮮のどういった行動が前提となるか。改めてお伺いさせてください。
【大臣】本日は予算委員会がかなり長くありましたので、齋木局長からは中国とのやりとりについての報告は受けましたけれども、武大偉さんとはお会いしたということについての報告があったのみで、その中身について詳しくはまだ聞いておりません。
いずれにいたしましても、六者協議を再開することが目的であってはならない。やはり六者協議を再開して、何を北朝鮮は進展させるのかという具体的なものが示されることが大事ではないかと、最低でもですね、私(大臣)はそう思います。
過去の経緯からいうと、集まるだけでもいいかという面もあるかもしれません。それは完全には否定しませんけれども、しかし、やるのであれば具体的に北は何の目的で集まるということなのか、そこがしっかりされなければ、集まるだけで、例えば何か支援してくれということにはならないと私(大臣)は考えております。
中国新聞 岡田記者】米国の臨界前核実験についてお聞きします。政府は今回の実験が核爆発を伴わないということで、包括的核実験禁止条約には違反しない、あるいは抗議もしないということですが、実験が判って以降、被爆地では「核兵器のない世界を目指す」という国際的な気運に反するのではないかということで激しく批判の声が上がっていますが、今回の実験とそうした声について大臣はどう受け止めていらっしゃいますか。
【大臣】仮に未臨界実験であっても、広島や長崎の被爆者の方々のご心情を察すれば、怒りを覚えられるというお気持ちはよくわかります。ただ、この未臨界実験というものは、CTBT条約の違反にはならないものですし、臨界前の核実験ですし、またオバマ大統領もプラハの演説で、「核のない世界」を目指すけれども、その経過期間においては核の抑止力というものを維持していくということでしたし、今回の未臨界実験というものは、今ある兵器の精度を確認するといったものですので、私(大臣)はオバマ大統領がおっしゃったことには矛盾しないと思います。ただ、元に戻りますが、広島や長崎で被爆をされた方々、「真に核のない世界を」と思っておられる皆さん方のご心情を考えれば、怒りを覚えられるというのは十分に理解できることです。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読させていただきます。14日、予算委員会におきまして、菅総理は、外交安全保障を強化する国家安全保障会議の設置構想について前向きにとらえていきたいと述べられました。この日本版NSC構想に関する大臣のご所見をお聞かせいただきたいと思います。
【大臣】民主党がまだ野党のときに、有事法制というものを与野党でまとめて合意をいたしまして法制化をいたしました。その時に民主党が出した法律の中に日本版NSCの設置の必要性というものが書かれている訳でございまして、我々はこの日本版NSCというものについては、その時点から肯定的に受け止めている訳でございます。ただ、菅総理もおっしゃっておりましたし、我々も同感でございますが、形から入るのでは駄目だということです。例えば米国のNSCだと、安全保障担当の大統領補佐官が、インテリジェンスも含めて毎朝ブリーフし、大統領の政策決定に対するアドバイスを与えていくということです。つまり、大統領にブリーフを渡すというものは、相当程度、いわゆる情報、インテリジェンスというものが、インフォメーションからインテリジェンスになるということです。つまり、分析をされて、どのような政策にしなければいけないかという、インフォメーションから大統領にあげるまでのその過程というのは相当濃いものでなければいけないということです。つまり、そういったものを作らないと、形だけ作っても、私(大臣)はあまり意味がないのではないかと思います。
したがって、関係閣僚が集まって毎朝ブリーフを受けるかどうかは別にして、少なくとも総理は毎朝ブリーフを受ける。そして、そのブリーフというのはインテリジェンスの裏付けがあるものでなければいけないし、そのためのいわゆるスタッフといいますか、私(大臣)どもは、その時には日本版のJICというものを同時に創るべきではないかと。JICというのは、英国にございます情報統合委員会(Joint Intelligence Committee)というものですが、そういうものがコインの裏表であって、情報をそこがしっかり集約し、分析し、そして国家戦略を大統領にブリーフするNSCと一体として機能しなければいけないのではないかということでありますので、是非、形から入るのではなくて、中身をどうしていくかという議論をしっかりと、防衛大綱の議論も今しておりますので、やらせていただきたいと考えております。
【琉球新報 仲井間記者】本日、名護市議会で辺野古への基地の受け入れ反対と日米共同声明の撤回を求める決議が賛成多数で可決されたのですが、政府としては引き続き理解を求めていくという立場だとは思いますけれども、名護市はじめ県議会、県知事も県外移設を求める立場を明確にしていますが、政府としては何を持って受け入れの可能性があると考えているのかという点をお聞かせ下さい。
【大臣】議会での決議というものはたいへん重いものだと認識をしております。また、沖縄が返還されて以降、過度に沖縄に基地負担を押しつけてきたということ、また、昨年の総選挙の時には「少なくとも県外だ」と言っていたにもかかわらず、5月の日米合意では「普天間の代替地は辺野古である」という、そういった二つの意味で沖縄の皆さん方に怒りと失望をもたらしているというのは、我々は心からお詫びをしなくてはいけないと思っております。その上で5月28日の日米合意というものを我々はしっかりと実現をしていきたいと思っております。もちろん、現段階においては沖縄の皆様方のお考えは厳しいということは重々理解をしておりますが、これをしっかりとプロセスに乗せれば普天間の返還につながってくる、そして、嘉手納以南の多くの基地の返還にもつながってくる、確かに辺野古という名護の皆さん方には新たな基地をお願いすることになりますけれども、沖縄全体とすれば最も危険な基地である普天間の危険性除去と普天間飛行場の返還と、そして、かなりの米軍基地の返還、あるいは区域、海域等の返還につながってくると我々は思っておりますので、そのことをじっくりと沖縄の皆さん方にお願いをし続けていきたいと、このように考えております。
(1)シン・インド首相の訪日について
【前原大臣】私(大臣)の方から、まず3点お話をいたします。
この間、ご質問があった件でお答えできなかった、シン・インド首相が来られたときの公式実務訪問賓客としてでございますけれども、霞が関及び国会周辺の街路旗は掲揚いたします。これがまず1点でございます。
(2)ケビンラッド豪外務大臣の訪日について
【大臣】2つ目はブリュッセルで開催されますパキスタン・フレンズ会合に向かう途中に、オーストラリアのケビン・ラッド外務大臣が明日、訪日をされます。私(大臣)は午後にラッド外務大臣と会談を行う予定でございまして、二国間関係、地域的グローバルな課題について意見交換をする予定でございます。
(3)日・インドネシア閣僚級経済協議の開催について
【大臣】3点目は、明後日の14日に日本・インドネシア閣僚級経済協議を開催いたします。日本側からは私(大臣)に加えまして大畠経済産業大臣、馬淵国土交通大臣、藤村厚生労働副大臣が出席をいたします。インドネシアからはハッタ・ラジャサ経済担当調整大臣、マリ商業大臣、ヒダヤット工業大臣及びダルウィン・エネルギー・鉱物資源大臣が出席をされます。
経済協議におきましては対インドネシアの投資促進、日本・インドネシアの経済連携協定(EPA)等について議論がなされる予定でございます。
【時事通信 吉岡記者】明日のラッド外相との会談ですが、捕鯨の問題について何か意見交換をされる予定はありますか。
【大臣】いえ、特にテーマは決まっておりません。
【琉球新報 滝本記者】本日の閣議決定の政府答弁書の中でのクラスター弾の件についてですけれども、米軍の沖縄での使用を我々も報じているのですが、それに関連しての答弁の中で、米国によるクラスター弾の使用を抑制するよう、最善の努力をはらう考えだとあるのですけれども、これは具体的に米国側に使用を抑制することについて、働きかけはどのような形で行われるおつもりでしょうか。
【大臣】ご承知のとおり、クラスター弾禁止について米国は条約に加盟をしていないと、日本は加盟をしているということでございまして、在日米軍について我々は異なる立場を持つわけでありまして、そういう意味で外交ルートを通じて私(大臣)からも米国に対して申し入れを行うし、防衛大臣からも国防総省に対して申し入れを行うことになろうかと思います。
【琉球新報 滝本記者】今の件で外務大臣、防衛大臣、あるいは日本政府として、これまで既に米国側に抑制するよう申し入れはされたのでしょうか。
【大臣】詳細は少し詳しく調べてみますけれども、我々がこれに加盟をした段階で何がしの働きかけは行っているはずだと思いますので、確認してこの場でご報告をさせていただきます。
【フリーランス 岩上氏】米国側が日本側に対して思いやり予算の増額を要求しているという報道が、かねてぽつぽつと出ておりますが、それはどのようなルートで、どのぐらいの増額が要求されているのか、の事実関係についてわかる範囲でお教え願いたいのと、思いやり予算という名称を変えてくれと米国側が要求していると聞いております。これまたどうゆう趣旨での要求なのかということと、併せて武器輸出三原則の緩和についても、これも米国側からの申し入れなのか、それとも日本側の政府の考えなのか、この3点についてお尋ね申し上げます。よろしくお願いします。
【大臣】まず、ホストネーションサポートについてでございますけれども、現在外務、防衛の事務当局間同士でこの話し合いをしております。米国側からはしかるべき要望があるというのは私(大臣)も伺っておりますが、日本側からは使い道の透明性、効率性を求めているということでございまして、今、事務当局同士で話し合いが行われているところでございます。
名称については私(大臣)に対しては、そういう名称変更が米国側から出されているという報告は上がっておりません。
武器輸出三原則について、米国側からこれを見直してほしいということについて、私(大臣)に報告はございません。これについては、今、防衛大綱の中で、どのようにしていくのかという議論について行っている最中でございまして、ただ、我々は、もともとこの武器輸出三原則というのは、対共産国、そして国連決議が行われている国、あるいは紛争当時国、この国に対しては武器は提供しないという理念というのは大事だと思いますので、そういった理念を大切しながらどのように見直すべきなのかという議論を、今、政府部内でしているところでございます。
【フリーランス 岩上氏】最後のところで確認ですけれども、対共産圏、それから国連決議が行われている国に武器を提供しないというように仰られましたが、それ以外のところは対象にして、今後は、武器輸出三原則を緩和して、武器の輸出等ができるようにするという意味合いを含まれていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】私(大臣)が申し上げたのは、もともとの経緯を申し上げたわけです。武器三原則というのは、三原則というのは一体何なのかということを申し上げたのが対共産圏、そして紛争当時国、そして国連決議のある国・地域というものに対しては輸出しないと。しかし、その後の経緯があって、現状の武器輸出三原則があるのはご承知のとおりでございます。その精神は、我々は尊重をこれからもしていくということを申し上げたわけでありますが、現在、防衛大綱の見直しの中で、政府部内で、この武器輸出三原則の在り方について、今、検討している最中でございます。
【読売新聞 川崎記者】今の関連でもう一つお伺いします。ハノイで行われました、日米の防衛相会談で北澤防衛大臣の方からもゲイツ長官の方にこの三原則を見直したいという北澤大臣個人のお考えが示されたようでありますけれども、この三原則見直しに関する前原大臣ご自身のご見解、今のお考えはどのようなものがありますでしょうか。
【大臣】防衛大綱の見直しの議論には私(大臣)も参加しておりますけれども、その場では、私(大臣)の意見を申し上げておりますけれども、閣僚という立場でございますので、政府の中でまとまった考え方が整った段階で申し上げるのが筋だろうと思っております。
【共同通信 橋本記者】ノーベル平和賞の受賞を決定した劉暁波さんの関係ですけれども、受賞が決まったその日に、中国側は、駐中国ノルウェー大使を呼んで抗議したり、あるいは13日に予定されていたノルウェーの閣僚との会談というのを中止したのですけれども、こういった中国側の外交姿勢について、大臣としてどのように目に映っておられるでしょうか。
【大臣】劉暁波氏のこれまでの活動がノーベル賞委員会で評価されたものと、私(大臣)は受けとめております。どの国においても、私(大臣)は基本的人権の尊重、そして自由、こういったものは大事な価値観だと思っております。
【AFP通信 長谷川記者】日中関係についてお尋ねします。先ほど官房長官が10月の日中首脳会談に向けて環境は整いつつあると仰られたようですけれども、前原大臣ご自身としてのお考え、それとフジタの社員で最後まで残られていた高橋さんがお戻りになられましたけれども、高橋さんからの情報で、何か新しいことがあれば、教えていただければと思います。
【大臣】先般のブリュッセルで行われましたASEMの場で、菅総理と温家宝首相との間で、ハイレベルの交流を再開していくための、お互いの努力をしていこうという確認がございまして、それを受けて、外交ルートでも、今、中国ともさまざまな話をしているところでございます。
一方で大事なことは、日本側の原則というものをしっかり守ることが、私(大臣)は大事だと思っておりまして、東シナ海における領有権問題はそもそも存在しないと、そして同時に、尖閣諸島は一貫して日本の固有の領土であって、今後も日本が実効支配をしていくと、こういうことが大前提になろうかと思っております。
そういう意味において、我々、さまざまな国際会議がございます。中国の首脳も来られれば、日本の首脳も参加をするということで、今まで日中間、あるいは日中を含めたマルチの首脳会議というものが行われていたということは存じ上げているわけでありますけれども、そういう原則をしっかり守ったままで、どれだけ日中間で話し合いがまとまっていくかということについて、今、予断をもって、私(大臣)は見通しを持っているわけではございません。あくまでもASEMでの日中両国首脳の合意に基づいて、しかし、日本の原則はしっかり守りながら外交ルートでの話し合いを進めていきたいと考えております。
【共同通信 金子記者】シン首相の来日に関連しまして、日インド原子力協定の現状についてお伺いしたいのですが、先週第2回の交渉がインドで行われたようですが、それについての結果と、あと、岡田前外相のときは、もしインドが核実験をした場合、協力を停止するという立場を明確にしておられましたが、前原大臣個人としては、どうお考えでしょうか。
【大臣】日インド原子力協定についての事務レベルの会合が、第2回目でございますけれども、インドでございまして、私(大臣)の方からは、原則、つまりは岡田前大臣のときに申し上げた、核実験をやった場合については、これについては停止をするということについては、私(大臣)もそれを継承した形で交渉に臨んでほしいということについては申しております。
いずれにいたしましても、原則をしっかり保った状況で、実務レベルでの協議をしっかりと加速させてほしいということは指示をしております。
【朝日新聞 山尾記者】今おっしゃった原子力協定の件ですけれども、核実験を実施した場合の協力停止に関する何らかの規定については、協定の中にどういった形で盛り込もうというお考えでしょうか。
【大臣】現段階の交渉過程でございますので、詳しくは申し上げられませんけれども、インド側については、それについてまだ合意をしていないということであります。インド側については、そのことについては納得していない状況であるということを聞いております。
【フリーランス 岩上氏】防衛大綱の見直しについてお伺いしたいのですが、今回の尖閣諸島をめぐっての緊張は、この防衛大綱の見直しに何らかの形で影響をもたらすでしょうか。防衛大綱の基本理念である、力の真空状態をつくらないという、ちょっとあいまいな基本理念を書き直して、例えば日本がしっかりと自主防衛するというような内容、理念を盛り込まれることがあるか。
それから、現在の、どちらかというと北方に偏っていた防衛力の再配備で、南方の尖閣諸島を防衛できるように再配備するような、具体的な計画が盛り込まれるか。この2点、特に中心にお伺いしたいと思います。
【大臣】まだ、防衛大綱の中身については議論を始めたばかりでございまして、今後、具体的な項目について、更に詰めていくことになろうかと思います。その時点で、またお話ができるものについてはお話をさせていただきたいと思いますが、現状において詳しくお話できる内容にはまだなっておりません。
【フリーランス 岩上氏】この夏に、首相の私的諮問委員会がこの防衛大綱の改訂で報告書を出しております。。そこには具体的な内容がかなり盛り込まれております。非核三原則の見直しなども盛り込まれておりました。こうした報告書、もちろん大臣もお目を通してらっしゃると思いますけれども、どの程度現実の見直しに反映されそうなものでしょうか。その辺、お考えをお聞かせください。
【大臣】 佐藤座長を中心とする安防懇の中身については、よくとりまとめをいただいたと心から敬意を表し、感謝を申し上げているところでございますが、あくまでも私的諮問機関のご提言でございますので、参考にさせていただくことになろうかと思います。
大事なことは、やはり政府部内、与党としっかりとタッグを組んで、中身を検討していくことが大事なことであろうと思っておりますし、また、先ほど尖閣の問題という話がございましたけれども、そういう一過性の問題ではなくて、この地域の安全保障環境を中長期的にもどう考えていくのかといったことが、やはり前提となるべきではないかと思っております。
防衛大綱というのは、短いときには中期防と同じタームで5年間というのがありましたけれども、少なくとも10年はもつものでなければいけないと思っておりまして、そういう意味では10年先、あるいは装備は発注してからでき上がるまで、長いもので5年ということを考えるならば、10年先、20年先の地域の安全保障環境をしっかりととらまえて防衛大綱というものをまとめることが必要だと考えております。
【NHK 稲田記者】防衛大綱そのものではないのですが、大臣は尖閣について一過性の問題というような言い方をされましたが、領有権の話を除いたとしても東シナ海における中国の海洋権益の拡大の傾向ということについても含めて一過性というご認識なのか、それとも中長期的に見て、そういったことを含めて対応すべき必要があるというようにお考えなのか、お聞かせ下さい。
【大臣】私(大臣)が一過性と申し上げたのは、あくまでも悪質な漁船の体当たりということを申し上げたわけであって、中長期的に見てこの地域の安全保障環境はどう変わるかということについては、当然ながらさまざまな方向性、また主要な要因というものを踏まえて当然ながら検討することになるのではないかと思います。
【琉球新報 滝本記者】常々お伺いしていますけれども、普天間の問題ですが、普天間が辺野古に回帰してきたという経緯について、先の会見で説明がどのようになされているのかということで、大臣は「知事に説明しているけれど納得いただけていない」とのご回答がありましたけれども、そもそもなぜ県外移設がだめなのか、なぜ県外移設ができないのかということを前原大臣の口から改めて説明いただきたいと思います。
【大臣】私(大臣)は沖縄担当大臣の時代ではございましたけれども、鳩山政権の時に鳩山総理、平野官房長官が中心となって県外・国外というものを模索をされたということでございますけれども、結果的にそういうものについて受け入れ先の同意も得られなかったことも含めて断念をされたということで沖縄、辺野古に戻ってきたという認識を私(大臣)は持っております。
【琉球新報 滝本記者】先ほどの国会でも、東アジアに近いという沖縄の地理的優位性の部分をお話しされたと思うのですが、その意味で前原大臣は安全保障の部分でも見識がおありの中で、海兵隊という部隊が沖縄にいなければならないとお考えなのでしょうか。
【大臣】第三海兵隊というのは沖縄だけではございません、それはよくご存知だと思います。そういったものとの連携というものを地理的にも考えた時にどうなのかということをやはり考えなくてはいけませんし、同時に抑止力というものは同盟国である米国と日本の信頼関係というものが大前提でなければ発揮できないと思います、単なる紙切れの条約ではなくて、やはり両国関係が友好で、そして、何かがあった時には本当にしっかりとコミットメントするという両国の信頼感、絆というものが私(大臣)は大事だと思っております。そういう意味においては5月28日に同意をした日米合意に基づいて、菅政権ではそれをしっかりと沖縄のご理解をいただくために十分にお願いをして、それを実現するということを決めた以上はそれをやりきるというのが、両国の信頼関係のベースになるものではないかと考えております。
【毎日新聞 西岡記者】一昨日、北朝鮮の朝鮮労働党の65周年大会の様子が公開されて、金正日総書記やその三男の金正恩氏、更に軍事パレードの様子も映し出されていました。この様子を見られて大臣はどのような感想を持たれたのかをお聞かせ下さい。
【大臣】相当程度行進訓練を行って、あのパレードをされたなというように見ておりました。また、ひな壇に後継者と目される金正恩氏も並んでいたということで、しかも異例の生中継をされていたということは、国民のみならず、全世界に対して新体制、また後継をアピールする狙いがあったのではないかと思っております。ただ、北朝鮮の体制が今後どう推移をしていくのかということは極めて慎重に分析をする必要があると思っておりまして、日本独自の分析、あるいは他の国、特に米国や韓国としっかり連携をしながら北朝鮮の今後の動向を慎重に分析し、そして見守り対応を怠ることなくしっかりとした連携をとることが大事なことではないかと考えております。
(1)経済対策について
【前原大臣】私(大臣)の方から2点、まずお話をいたします。
1つは、本日、閣議決定をされました経済対策でございますが、外務省関連につきまして、柱をお話をいたします。9月27日に総理から指示をいただきまして、それを踏まえて、1つはODAを活用したインフラ海外展開の基盤整備支援及び我が国の環境・エネルギー技術の海外展開支援ということであります。
2番目が、新成長戦略のための海外PR、ブランド戦略の強化。3番目が、EPAに基づく外国人看護師、介護福祉士候補者に対する日本語予備教育。4つ目が、医療滞在ビザ。仮称でございますが、これの創設ということでございまして、この4つの施策を経済対策に盛り込んだところでございます。外務省といたしましては、今年度の補正予算及び元気な日本復活特別枠を含む来年度予算を活用しつつ、これらの施策を着実に実施をしていきたいと考えています。
(2)シン・インド首相の訪日について
【大臣】2つ目が、インドのシン首相の訪日が正式に本日の閣議で決まりました。10月24日から26日までで、公式実務訪問賓客として我が国にお越しをいただきます。今回の訪日は日印間の戦略的グローバルパートナーシップを経済、政治分野で更に強化をしていく重要な訪問となります。この訪問を通じて、日印関係をより一層強化をしていきたいと考えております。
【毎日新聞 西岡記者】北澤防衛大臣が今朝、ベトナムでの開催を検討しております日中防衛相会談について、外務省が日程調整を指示する公電を北京の日本大使館に送らなかったため、中国との調整がされなかったと指摘されて、強い不快感を示しておりました。これに関する事実関係の詳細並びに外務省側に何らかの落ち度があったのかどうか。大臣のご所見をお願いします。
【大臣】日中関係がご承知のとおりの状況でございましたので、先方からも閣僚級の交流は停止をするという話がございまして、政府全体でそういった交流については慎重に取り扱っていたということでございます。
ご指摘の点ももちろんございましたけれども、これは防衛大臣会合というだけではなくて、すべての首脳レベルの交流について、我々としてはそういった情勢をかんがみて保留をしていたということでございます。しかし、ASEMにおける菅総理と温家宝首相の間でのハイレベル協議の交流再開という方向性が確認されましたので、我々としてはそれを受けて、今まで凍結をしていたもの、保留をしていたものを再開し始めているということでございます。事務的な遅れがあって不快感を与えたのなら、それについては申し訳ない。単なるそういった手続の問題であった。他意は全くないということであります。
【朝日新聞 山尾記者】その保留は、大臣のご指示でされたものなのでしょうか。
【大臣】正直言いまして、閣僚級の交流を停止するということを受けて、また我々からもそういったものについての申し入れというものはすべきではないということを受けて止まっていたものでございます。
【朝日新聞 山尾記者】大臣のご指示ですか。
【大臣】明確な指示を出したかどうかについては覚えておりませんが、当然ながらそういう状況になって省全体として判断をしていたということであります。
【東京新聞 竹内記者】関連しまして、北澤大臣は昨日ですか、前原大臣に直接電話なさって確認したところ、その段階で前原大臣の方でその辺の事実経過を把握されていなかったと説明されていまして、それで直接。
【大臣】いや、把握していなかったのではなくて、その個別のことについてまで知らなかったということであります。
【東京新聞 竹内記者】それは事実関係としてそうだということですか。
【大臣】はい。これについては、そんな大きな話なのでしょうか。
【朝日新聞 小村田記者】この問題をどういうふうにとらえるのかというのは人によっていろいろあるとは思うのですが、昨日の夜になって北澤大臣が把握したというのも普通だとちょっと変な感じだなというのがあって、もうちょっと早く防衛省と外務省の間で、こういう状況なのですから今回はこうですよという連絡があってもおかしくないのではないのかなと思うのですけれども、その辺の政権内の情報交換といいますか、有機的なつながりというものが欠けているような気がするのですけれども、どう思われますか。
【大臣】コメントは差し控えたいと思います。これから直していきますので。
もっと前向きな話をしましょう。
【朝日新聞 山口記者】大臣が前向きでないとおっしゃったことでもあるのですけれども、確認を改めてしたいのですけれども、北澤防衛大臣が(連絡して)欲しいとおっしゃったタイミングで、残念ながら日中のことも考えて、大臣が指示したわけでもなくて、事務方が忖度したという表現がふさわしいかわかりませんけれども、(連絡して)欲しいと思ったタイミングで出せなかった、届かなかったという事実は、そのとおりという認識でよろしいのでしょうか。
【大臣】詳しいことは、私(大臣)も調べてみないとわかりませんけれども、一方的に中国側から首脳レベルの、閣僚レベルの交流の停止ということを言ってきて、我々としてもそれを求める環境ではないということで、すべてそういうものは止まっていたという認識でありますけれども、ASEMにおいて、菅総理と温家宝首相が会われて、ハイレベルの協議を再開させようというお話の中で滞っていた事務的な手続を始めて、それが時間的なところで時間がかかっていたと、そして、それについていろんなご意見があるということであれば、それについては、誠に申し訳ないという思いでございます。
ただ、北澤大臣も閣僚の1人でございますし、日中間の置かれていた状況というのはおわかりだと思いますので、それについてはご理解をいただきたいと思います。
【日本経済新聞 永井記者】インドのシン首相の来日が正式に決まりましたけれども、中国との関係がぎくしゃくしている中で、シン首相との首脳会談が行われることについて、期待、受け止めについてお願いいたします。
【大臣】中国との関係でぎくしゃくしたということをおっしゃいますが、まず大前提として申し上げなければいけないのは、尖閣諸島は我が国固有の領土であって、そして領域問題が存在しない中で公務執行妨害事案が起きたということであって、それに対し中国は過剰反応したということでありまして、その点について我々の考え方は一貫しております。
また、シン・インド首相が来られるということは、この尖閣の事案の前から決まっていたことでございまして、今回の目的というのは大きく言えば3つです。
1つは、日印間のトータルの良好な関係をどう更に評価をして確認するかということと、2つ目には、現在、事務方がインドに行って第2回目の交渉をしておりますけれども、日印の原子力協定をお互い進めていこうということで、大枠について確認をするということと、日印のEPAの協定について、この法的な署名ではありませんが、政治文書としてお互いの首脳が確認をするという署名をしていただくというのが大きな3つの目的でございますので、これは当初から決まっていた中身で、変更せずにしっかりやっていくということになろうかと思います。
【フリーランス 安積氏】シン首相が訪日されましたときに、実務訪問賓客ですので、街路旗の掲揚はどういうようにされますか。
【大臣】調べて、またお答えしたいと思います。
【NHK 藤田記者】尖閣の問題を受けて、総理は再発防止策を具体的に検討したいと、中国側とやっていきたいということをおっしゃっていましたけれども、外務大臣としてはどのようなスケジュール感で、どういったことをイメージしてこれからやっていこうとお考えなのでしょうか。
【大臣】細かいことは差し控えたいと思いますけれども、もう既にそういった話し合いは非公式に行っております。具体的な内容は差し控えたいと思います。
【毎日新聞 西田記者】8月の日韓併合100年に関する首相談話にある朝鮮半島由来の図書の引き渡しに関してですが、本日、民主党の岡田幹事長が速やかに進めなければいけないとおっしゃっていまして、焦点になるのが、移管したものとか購入したもの、いろいろあると思うのですけれども、その範囲と、これは条約になると思うのですけれども、国会への提出時期、その辺りはどのようにお考えですか。
【大臣】いわゆる朝鮮儀軌と言われるものについての範囲は、今、日韓の事務当局で話し合いをしているところであります。我が国の考え方を向こうに伝えておりまして、極めて友好的な形で事務当局では話が進んでいると考えております。お互いが合意をした段階で、この国会に提出できるかどうかという判断をしなくてはいけないと思いますが、現時点での私(大臣)の思いとしては、できるだけ速やかに引き渡しをしたいという思いから、間に合えば、この国会に提出したいという思いを持っておりますけれども、あとは実務的なレベルがどこまで進むかということだと思います。
【産経新聞 酒井記者】中国漁船の衝突のビデオですが、大臣は、それは故意の衝突が明らかであり悪質であるとおっしゃっていて、公開に前向きではないかと忖度しているのですが、政府与党の中ではこれを慎重にやるべきだという声があります。今現在の大臣のお考えは如何でしょうか。
【大臣】先般、官房長官と馬淵国土交通大臣、柳田法務大臣と、それから私(大臣)と官房副長官二人が集まって話をいたしまして、国会の対応も含めて、どのように取り扱うかということについては、仙谷官房長官に国会の対応というものを一任したということです。それについてどのようにするかということは、捜査当局の方で刑事訴訟法47条に基づいてどう判断するかということがあると思いますので、国会との関係で官房長官がどう判断をされるか、あるいは国会からどういうご要望がくるのかということもあるでしょうし、それを最終的には法務大臣と相談をされることになるのではないかと思います。意見が求められればその時点で私(大臣)の意見を申し上げようとは思っております。
【産経新聞 酒井記者】現時点では、大臣のお考えはこの場では明確にはおっしゃりにくいということでしょうか。
【大臣】おっしゃりにくいというか、その場の話では私(大臣)は自分の考え方を申し上げました。私の考え方をここで一つずつ国交大臣はこうでした、法務大臣はこうでしたと言っても意味がないわけです。内閣としてどう対応するかということですから、国会が、特に予算委員会の場で理事会預かりになっているテーマでありますので、国会対応を含めて官房長官に対応を任しているということでありまして、国会との関係でどのようなものにするかということは、最終的には捜査当局である検察との話し合いになってくると思います。
【テレビ東京 秋山記者】TPPの話ですが、昨日、日米財界人会議の中でTPPを推進していくことは有力な選択肢だと大臣はおっしゃっていましたが、政府内では一部やはり少し拙速ではないかという意見もあるようですが、今後どのようにこのTPPの議論を前に進めていこうとお考えでしょうか。
【大臣】農水の副大臣がそういう発言をされたと聞いておりますが、鹿野農水大臣自体は昨日の参議院本会議で、もちろん国内対策をやらなくてはいけないけれども、日本全体としてはTPPは進めるべきだというお話をされておりますので、副大臣としての発言は私(大臣)はいかがなものかと思いますし、政府全体として総理の所信表明演説にも検討するということが具体的に明記されておりますし、APECの際に日本がどういう決断を、どの程度までできるかということは、私(大臣)は大きな政治判断だと思いますので、しっかりと政府としての考え方がまとまるように、まとまるというのは、私(大臣)はTPPに対して積極的に日本も参画をするという前提で考え方がまとまるように、私(大臣)としては努力していきたいと考えております。
【NHK 市原記者】大臣は今月末に米国のクリントン国務長官と会談をする方向で調整をされているということですが、先月のニューヨークに続いて2回目になるかと思いますが、この会談ではどのような意見交換をしたいとお考えでしょうか。
【大臣】まだ、決まっておりません。
【NHK 市原記者】もし実現すれば、どのようなメッセージをお伝えしたいとお考えですか。
【大臣】ニューヨークで菅総理とオバマ米大統領が1時間に亘って日米同盟の深化というものを話をされましたし、それに先だって日米外相会談でも日米同盟のあり方というものについて、大きく言えば三つの分野での協力を進めていこうという話があったわけです。1つは日米安保自体のより具体的な協力内容を詰めていくということと、そして、先程のTPPを含めた、あるいは日米間のより自由な貿易というものも含めた取り組みを更に進めていくということ、日本が望んでいるインフラ輸出というものが米国の雇用や経済発展につながるということを、しっかりと確認をするということも大事だと思います。そういう意味での経済協力を更に進めていくということと、後はやはり人的交流をしっかりやっていこうということでございまして、当然ながらまだお会いするかどうか決めておりませんが、この三本柱をより具体的に詰めていこうということになっていくのではないかと思いますし、他のテーマとして個別の案件について議論することもあるかもしれませんが、大筋はそういった3つの確認した点をより具体的に、ではどういうタイムスケジュールで、どういったテーマを優先的に取り扱うかも含めて議論を進めていくことになろうかと思います。
(1)パキスタンにおける洪水被害(国際緊急援助隊自衛隊ヘリ部隊による輸送活動の終結)について
【前原大臣】まず第一点は、パキスタンの洪水被害に際して、緊急人道支援の一環といたしまして、我が国からを同国に派遣をしておりました。8月31日から5週間にわたりまして、物資及び援助関係者の輸送活動を実施してまいりましたけれども、洪水被害の改善に伴ってパキスタン政府から我が国に対しまして、輸送活動の終結に関する要請がなされたことを受けまして、10月10日をもちまして輸送活動が終結されることになりました。
この援助活動はパキスタン国民及び政府から大変感謝をされたと伺っております。私(大臣)が国連総会でパキスタン外相と会談をしたときにも、先方から感謝の言葉がございました。また、国連や潘基文事務総長、あるいは米国のクリントン国務長官からも自衛隊のヘリ活動に対する高い評価がございました。今後とも引き続き国際社会の一員として、パキスタンの復旧復興支援に積極的に取り組んでいく考えでございます。
(2)「インフラ海外展開推進本部」及び「インフラ海外展開推進室」の立ち上げについて
【大臣】2番目でございますが、私(大臣)の経済外交を進めていく上でFTA、EPA、あるいはマルチの自由貿易体制の確立、そして資源・食料外交と併せて3本柱の1つでありますインフラ輸出でございますけれども、一元的にこれをしっかりやるために、外務省の中にインフラ海外展開推進本部と、インフラ海外展開推進室を立ち上げることになりました。
このインフラ海外展開推進本部というのは、私(大臣)を本部長といたしまして、政務三役及び関係幹部をメンバーとするものでございます。そして推進本部には事務方から定期的な報告を受けて、今後の方針及び必要な調整を検討、そして決定していきたいと考えております。
インフラ海外展開連絡会議というものは、インフラ海外展開に関連する情報集約、共有のために事務レベル、これは経済局参事官主催でございますけれども、連絡会議を設置し、定期的に開催をするということになります。
この重要案件に関する最新の状況や取組み状況等について、これは在外公館からの情報も含みますが、報告を受けて、そして取組みについて議論を行うということでございます。そのためにインフラ海外展開推進室というものを設けたいと考えております。
(3)エウズ・ベナン共和国外務大臣の来日について
【大臣】3点目でございますが、アフリカのベナン共和国のエウズ外務大臣が10月7日から11日まで外務省の賓客として来日をされます。本年はベナン独立50周年及び日本ベナン外交樹立50周年という節目の年でもございまして、エウズ外務大臣の来日によりまして、両国間の関係を更に強化していきたいと考えているところでございます。
【毎日新聞 西岡記者】今回、ブリュッセルで日中首脳会談が開かれて改めて戦略的互恵関係の進展が確認されました。この会談に対する大臣の評価並びにこじれた対中関係の修復には何が必要と考えられるのか、ご所見をお願いします。
【大臣】今朝、6時台だったと思いますけれども、福山官房副長官及び菅総理大臣から電話がございまして、日中の首脳会談、会談というか立ち話といいますか、ソファーに座ったという話でございましたけれども、25分ぐらい話し合いを行ったという報告をいただきました。
これの中で、もう一度、日中間の戦略的互恵関係というものをしっかりと確認して、そして関係改善のためのハイレベルでの協議を行うということでございまして、政府専用機内からの電話でございましたので、余り長い話はございませんでしたけれども、帰られてきてから、また公邸で今後の在り方について話をしようということでございました。
いずれにしても、首脳レベルで話をされて、そういった糸口を目に見える形で得られたということは、よかったのではないと思います。我々は外交レベルで、今までいろいろな取組みをしてきていますけれども、総理のこういった首脳会談を受けて、また総理からのご指示も受けて、具体的に外交ルートで今後どう動いていくかは外務省で決めていきたいと考えております。
【フリーランス 岩上氏】関連して、日中関係についてご質問させていただきます。2日だと思いますが、枝野幹事長代理がさいたま市内の講演で中国に対する厳しい認識を表明したと。それについて、お考えを確認するために、昨日、岡田幹事長にご質問させていただきましたが、幹事長も大変厳しい認識を示しまして、法治主義の国家ではないという言葉をそのままオーソライズするようなことをおっしゃいましたし、また、ここが重要だと思いますけれども、経済関係、経済的なパートナーシップを築く企業に対して、それは企業の判断であるということで、国家として、それは法治主義でない国と経済関係を保つというのはいかがなものか的な、非常に今までおっしゃっていた経済関係を深めるという話から少しずれているような、変わってきたようなことを仰いました。
この点、当政府として、どのようなお考えでいるのか。これから日中関係、とりわけ経済関係はどうなっていくのか。もう一度ご確認させてください。
【大臣】岡田幹事長、また、枝野幹事長代理のご発言について、すべて詳細に私(大臣)はフォローしておりませんので、それを受けての発言にはなりませんけれども、私(大臣)は日中両国というのは隣国として、これからもやはり経済活動も含めた戦略的な互恵関係をより深めていかなくてはいけないという認識に立っております。
今年で恐らく中国のGDPは日本を抜いて世界第2位になるということでありますが、ということは、世界2位の経済大国が協力をし合うということは、両国間のみならず他の地域への効果も含めて極めて大事だと思っております。そういう意味では、お互いが冷静に対応して、そして、さらなる協力関係を強めていくということは私(大臣)は大事なことではないかと思っております。
一方で、今回の我が国の当然の主張に対して過剰とも言える反応が幾つかあったわけでありますけれども、これについて当方では確認を求めていることもございます。例えばレアアースについては本日、大畠経済産業大臣が記者会見で発表されましたように、いまだにこの輸出が再開をされていないものも見受けられるということでございます。これは経産大臣が公表されたことで、経済産業省が調査をされたことでございますけれども、レアアースを取り扱う31社全社から中国からの輸出に支障が生じている旨の報告があり、一部輸出許可申請が受け付けられた、改善が見られたとの情報はあるが、実態上輸出が再開されたと判断できる状況には至っていないということであります。その他の品目について、424社の回答企業中124社242件から遅延等が出ており、そのうち少数、8件ではあるが遅延が解消した。つまり遅延が解消したのは少数であって、いまだかなり大部分は遅延が生じているということであります。
これについて、我々は外交ルートを通じて遅延の解消を求めておりますし、仮にこれは国が何らかの間に入っているということになればWTO違反になるわけでございまして、そういう意味では言うべきことはしっかり言うということが大事だと思いますし、また今回の事案のようなことで経済的な活動というものが妨げられるようなことがあってはいけないと、このように思っております。
しかし、経済活動は企業が行われることであり、さまざまな観点を考慮して経済活動をやっていくということが企業においては求められていると思っておりますので、その点は今回の事案もしっかりと留意して、企業は自らの責任で経済活動をしっかりやっていただきたいと思います。
しかし、元に戻りますけれども、中長期的な観点からすれば、しっかりと戦略的な互恵関係を進めていかなければいけないと思っておりますし、我々としては再発防止というものも含めた門戸は常に、私どもの方から開けているということは、中国にも申し上げたいと思います。
【朝日新聞 山口記者】今回の日中会談ですけれども、会議が終わった後(会談が)行われたという話ですけれども、日本側もしくは中国側から事前にもし機会があればやりましょうか、もしくはやりませんかという働きかけがどちらからか、もしくは両方からあったのかどうかの確認と、もしそうではない偶発的なものだったとすると、これは菅首相、もしくは温家宝首相に直接聞かないとわからないのかもしれませんけれども、会議が終わった後お二人が目を合わせるか、顔を合わせるかの雰囲気の中で、どうして会談を、お話しをしましょうかという雰囲気になったと前原大臣のお立場で推察、拝察されるか、大臣のお考えをお聞かせください。
【大臣】外交関係というのは、さまざまなチャンネルで行っていることでございますし、今回どのような形で行われたかということについては、これは我々の外交に関わることでございますので、コメントは差し控えたいと思います。
【産経新聞 酒井記者】会談ですが、尖閣諸島について、温家宝首相は「自国の領土である」ということを主張したようで、菅首相は「領土問題は存在しない」という主張で平行線だったようなのですが、相変わらずそういう主張をする中国に対して、大臣の認識はいかがでしょうか。
【大臣】事あるごとに申し上げておりますけれども、歴史的に見ても、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、中国が領有権を主張し始めたのは資源があるのではないかとわかり始めた1971年であります。東シナ海には領土問題は存在しないというのが、我が国の一貫した立場でございます。
【NHK 奈良記者】先ほどのFCCJの講演の中でも、日中の戦略的互恵関係の再構築に向けて取り組んでいきたいと大臣はおっしゃっていました。これまでの日中関係というのは、尖閣の問題を受けて、若干このような状況になって、半ばフラジャイルなところもあったと思うのですけれども、より進化させる、もしくは重層的にしていくために、何かこういうことをやっていきたいという大臣のイメージはどういったことをお持ちなのか。また、再発防止、もしくは何らかの合意が必要だという発言もありましたけれども、どういった形で合意なりを中国と形成できるとお考えでしょうか。
【大臣】ステップ・バイ・ステップで物事というのは進めていかなければいけませんし、外交の原則というのは、我が方の立場はしっかりと伝えて、その上で一致点を見出していくということだと思いますので、そういう意味では余りあせらずに、しっかりと話をする中で、お互いの合意点を一つずつ確認をしていくということが大事なことではないかと考えております。
【西日本新聞 斎田記者】尖閣諸島の、いわゆる領有権に絡む問題で、菅総理もベトナムの首脳会談をやられましたが、南シナ海で同じように中国と領有権を持つ国々との連携については、いかがお考えでしょうか。
【大臣】ASEANの国々、あるいは他のアジアの国々とは、さまざまな形で連携を取ってまいっておりますし、大変重要な国々がたくさんございます。さまざまなテーマについて、より連携を強めていきたいと考えております。
【世界日報 山本記者】本日の日本外国特派員協会(FCCJ)でのご講演でも、尖閣諸島についての歴史的経緯をご説明になりましたし、また、本日の会見でも日中間で、その部分については平行線のままだということなのですが、これはもう少し外務省の方としても、その歴史的な経緯を詳しく啓蒙される必要があるのではないかと思います。WEBサイトには、簡単に概略は説明してあるのですが、外務省で1972年にお作りになった「尖閣諸島について」というPDF版ですが、この外務省情報文化局がお出しになったもの、これは非常に内容が詳しくて、大臣がご説明になった地図の内容についてもそのまま出ておりますし、あと、古賀ファミリーという方々がそこでいろいろな漁業を営まれたというような非常に具体的な内容も出ていますので、これを外務省のWEBに載せられるお考えはおありかどうかお聞きしたいと思います。
【大臣】大変よいアドバイスでございますので、さっそく考えてみたいと思います。しっかりと日本の立場を詳しく説明することは大事でございますし、先般、国会での議論を受けて、中国語についてもアップをしているところでございまして、より詳しくということで非常に建設的なご提案だと思いますので、前向きに考えさせていただきたいと思います。
【時事通信 西岡記者】大臣が最近の講演等で繰り返しおっしゃっている「門戸を開いている」ということについてですが、これは、再発防止策について具体的に何か中国側にすでに提案していて、そのレスポンスについて待っているということなのか、それとも、向こうから何か提案があることを待っているということなのか、その具体的なところをお聞かせ願いたいのですが。
【大臣】様々な外交ルートでやり取りをしておりますので、詳細にあたっては、述べることは差し控えたいと思います。
【北海道新聞 島田記者】先ほどの講演の中で北方領土に外相レベルの政府高官が行っていることを承知されているけれども、それと大統領、トップが行くのとでは話がちがうというようにご指摘されたと思うのですが、その点について、もう少し詳しく教えて頂けますでしょうか。
【大臣】北方領土は日本の固有の領土であります。そういう意味において我々はこの問題を日露間の外交問題の大きな一つとして今までも話してきましたし、これからもしっかりと話をしていかなければなりません。私(大臣)の基本的な立場というのは日露間で協力できる分野というのはしっかり協力をしていく、その実績と信頼関係の中で平和条約を結んでいくというものです。そういった考え方に立った時に、ロシアにも日本の立場を十分に理解をしてもらいたいということで申し上げたわけであって、そのことで誰が行くかということについては大きな違いがあるということを申し上げたわけであります。
【西日本新聞 斎田記者】パキスタンの国際緊急援助隊の件です。今回の派遣は法律の制約があって、いわゆる「丸腰派遣」と言われる武器を持たずに派遣が行われました。今後、国際協力の拡大という中で、武器の携帯だとか、もしくは武器使用基準について見直すお考え等はございますでしょうか。
【大臣】内閣府の東祥三副大臣がPKOのあり方、あるいはさまざまな国際貢献のあり方についてしっかりレビューをして、今後前向きに検討したいというお申し入れがありまして、私はそのお申し入れについて快諾をしまして、副大臣レベルで議論をしていくということにいたしました。今、おっしゃったことについては、そういった場でも議論されるべきではないかと考えております。
【琉球新報 滝本記者】先ほどの講演でもありましたけれども、沖縄の普天間の問題で「二種類のお詫びをしなければならない」というようにおっしゃられましたけれども、名護市辺野古に戻ってきたことについてのお詫びということと、これまでの累積のお詫びということですが、沖縄の中ではお詫びということを求めているのではなく、問題の解決ということを求めているのだという観点から、お詫びという言葉に対しての違和感ということも沖縄の中にはあるわけですが、その流れの中で、鳩山前政権の中で普天間移設の問題に沖縄担当大臣としても関わられた前原大臣の立場から、なぜ辺野古に戻ったのかということの説明が一切なされてないということが、まず沖縄の中で不満としてあるということについて、辺野古に戻ったから申しわけないからこれを進めていくよということではなくて、「なぜ(辺野古に)戻らなければならなかったのか」ということを率直にご説明をいただきたいと思うのですが。
【大臣】今まで累次、仲井眞知事にも私(大臣)からもお話をしておりますし、また岡田前外務大臣もお話をされていると思います。あるいは平野前官房長官もお話をされていると思いますが、仲井眞知事はご納得をされていないのだと思っています。これは我々が引き続き経緯とプロセスについてもしっかりと仲井眞知事に今後もお話していくということが大事であり、ご納得をいただけるまでしっかりとお話をしていきたいと、このように考えております。
【東京新聞 竹内記者】民主党の小沢一郎元幹事長に対しまして、検察審査会が二度目の起訴相当の議決を出しまして、強制起訴されることが決まりました。これが今後の国会の審議に与える影響、あるいは小沢さんご本人が、あるいは党執行部が今後、小沢さん自身の処遇に関してどのような判断をすべきだと大臣はお考えになっていますでしょうか。
【大臣】検察審査会制度というものは、国民の目線に立って、私(大臣)は国民から選ばれた方々がご判断をされる仕組みだという認識を持っておりまして、今回の起訴相当というものについては、小沢さんの今までの政治とカネの問題については、十二分に納得できていないという国民の声を、思いを反映したものだと、我々は真摯に受け止めなくてはいけないと思っております。今後、裁判を通じて、自らの考えをしっかりと小沢さんには述べていただかなくてはいけないと思っております。身の処し方については、40年も国会議員がやってこられたご本人が判断をされるべきことだと思いますし、党としては、幹事長中心にどのように考えるかということを今、お考えのところでございますので、閣僚という立場で今、それについて申し上げることはございません。
(1)資源外交について
【前原大臣】私(大臣)の方から1点お話をいたします。レアアースに関することでございますが、レアアースを含みます鉱物資源の長期的な安定供給の確保は、我が国の重要な外交の目標の一つでございます。外務省といたしましても、資源分野の外交等に戦略的に取り組んでまいりたいと考えています。
このため在外公館を通じまして、海外の鉱山の開発や権益確保に資するような情報の集約に一層努めますとともに、要人往来や資源保有国のニーズを勘案したきめ細かな経済協力等を通じて、二国間関係を強化していきたいと考えております。日本企業のニーズや要望をよく踏まえて、関係省庁、機関とも連携をいたしまして、オールジャパンでODA、あるいは技術協力などを含むさまざまなツールを活用して、民間企業を積極的に支援をしていきたいと考えております。
【フリーランス 岩上氏】大臣は訪米されている期間の間に、クリントン国務長官とお話になって、クリントン長官から尖閣が日米安保の適用対象になるという言葉を聞いたと伝わっておりますけれども、今のところ、クリントン長官の言葉が他のどこかで出たという話は確認されていないという話が出ております。なので、これは確認ですけれども、どのような機会にどのような言葉でどのようにクリントン長官が仰ったのか。もう一度詳しくお話を伺いたいなと思いますけれども、よろしくお願いします。
【大臣】ご質問の意図は。私(大臣)は何度もお答えしておりますね。
【フリーランス 岩上氏】申し訳ありません。外遊で随行(していないので)。
【大臣】わかっていますが、要は私(大臣)からはこういう会談の内容であったと。クリントン長官からはこういう発言があったということは何度も申し上げているはずだと思いますし、もし確認をされたければ、米国の方に確認をされた方が意図としては通ずるのではないでしょうか。
【フリーランス 岩上氏】申し訳ありません。インターネット等もあります。国民にダイレクトに今、大臣のお言葉をお伝えできる貴重な機会でもあります。ですから、外遊先で随行の記者団に語ったお言葉と、ダイレクトに今インターネットでご説明を直接するいい機会ですので、改めてどのような経緯であったのか。この点について、もう一度お話を伺いたいという趣旨であります。よろしくお願いいたします。
【大臣】私(大臣)とクリントン国務長官との話をする前に、米国の政府高官から尖閣に関わる日米安保第5条の適用範囲について、明確にコミットメントする発言をしているということですので、是非それについて確認をさせていただきたいと思いまして、私(大臣)の方から会談で取り上げさせていただきました。まず私(大臣)から取り上げたのは、「米政府高官がこの尖閣問題に関して日米安保条約第5条の適用範囲であるということを仰っていることに敬意を表する」ということを私(大臣)が申し上げたところ、クリントン国務長官から、「領有権について我々はコメントはしない。しかし、尖閣は日本の施政下であり、日本の施政下に対して安保条約第5条が適用される」と。すなわち、尖閣列島は安保第5条の適用範囲であるということをクリントン長官が述べられたということでございます。
【フリーランス 岩上氏】その際に、日米安保の対象であるということと、05年に締結された日米同盟に基づけば、島しょ部というものは第一義的に自衛隊が守ると。米軍は必ずしも出動するわけではない。これは今年の5月11日に岡田前大臣に確認したところ、やはり大臣もそのように仰っておられました。改めて、この安保の対象であるということと日米同盟での取極め。それに基づいて、現実に尖閣が危機にさらされたときに自衛隊、米軍はどのように出動していくのかということについて、大臣のご見解をお聞かせいただくとともに、クリントン長官とそういうお話が出たかどうか、この点も確認をさせてください。
【大臣】多岐にわたるお話をいたしましたので、その問題だけ詳細にわたって更に議論を深めたということはございません。一方で今、仰ったことについて申し上げれば、島しょ部に限らず、日本に関する有事が発生したときには、まず日本の自前の組織で対応するというのは当たり前のことでありますし、いきなり警察も海保も自衛隊もなく、米国に第5条だから頼むよという話にはならないわけでありまして、基本的に日本に対する何らかの攻撃が仮にあった場合については、一義的に自衛隊が対応するというのは当然のことだと思っております。
なお、私(大臣)も野党のときに一連の有事法制というものをまとめましたけれども、これについては当然ながら、日本有事における日米の防衛協力というものについて当然ながら、それから具体的な作業で取極めがされていると思っておりまして、そういう意味においては有事法制ができて、平時、周辺事態、日本有事、こういったものに対する具体的な協力というものについての議論が行われているということでございます。
【朝日新聞 山口記者】冒頭、大臣からご紹介のあった鉱物資源の件ですけれども、一般論としてレアアースを含む鉱物資源が重要だということではなくて、このタイミングで前原大臣がそういったことをやろうと思われて、その指示をした経緯について、大臣の心の中でどういうように思われたからかということを改めてお聞かせいただきたいのと、これは外務省だけではなくて、経産省を含む政府全体の取組み、産業界、経済界とどのように連携していくお考えなのかということについてもお聞かせください。
【大臣】これは私(大臣)が就任したときに、外務大臣に就任して何をさせていただきたいかという優先順位の話をしたときに、経済外交というお話をしたと思います。その中に柱が3つありまして、1つはFTA、EPAといった自由貿易を他国、あるいは地域で結んでいくことによって、より自由なモノ・ヒト・カネの行き来をつくることによって、日本の経済活動を更に活性化させるということが1つ。
2つ目は、資源外交。これは石油、石炭あるいは天然ガス、さまざまな鉱物資源、その中には当然レアメタル、あるいはその中のレアアースというものも含まれるわけでございますし、また、食料安全保障という意味での食料外交というものもその2番目に位置づけているところでございます。
3番目に申し上げたのは、インフラ輸出ということで、高速鉄道、高速道路、原子力発電所、あるいは上下水道の仕組みといったものなどの日本のすばらしい技術を海外に展開していくといったことを3本柱として私(大臣)は申し上げて、そして、どういうニーズがあって、例えば資源であれば、各国にどのような鉱物資源があり、また日本の企業、特に商社がどのように今コミットメントをしていて、そして実際問題、今、どのような状況にまでいっているのか。あるいはその状況は今、ある程度関心はあるけれども、それが仮に進んでいないとすれば、どういう制約要因によって進んでいないのか。そういうものについては、例えばODAやJICAを使った技術協力といったものができるのであれば、民間企業だけでは越えられない一線を越えられるかもしれない。例えばODAを使って、アクセス道路について日本が援助をするということもあるでしょうし、そのことによってボトルネックになっていた輸送手段というものが問題解決をされて、その地域のレアアースというものの開発がうまく進むということになれば、それは外務省のODAというものが、日本の資源の獲得にもつながっていくという意味で、皆さん方の国民の税金が生きた形で使われるようなものになっていくということを国民の皆さん方にもお示しができるのではないかということでございます。
本日も私(大臣)は大畠経産大臣と話をいたしまして、このニーズについては、経済産業省が所管されているさまざまな業界団体とも連携し、今、申し上げた在外公館を通じたさまざまな情報収集あるいはお手伝い、そしてODAやJICAなどの協力を使ったさまざまな官民一体となったオールジャパンとなった取組みができるのであればいいですね、一緒にやっていきましょうという話をいたしました。
なお、本日、官房長官と2人きりで話をしたときに、近々総理にもこういうことを申し上げて、経済外交というものを関係閣僚で集まって、しっかりと打ち合わせをして、スピード感を持ってやっていこうということになりましたので、近々そういう機会が設けられるのではないかと思っております。
【朝日新聞 山崎記者】大臣ご就任後だと思うのですけれども、つい先日、レアアースをめぐって尖閣と絡んでいるのか、絡んでいないのかの一連の判断があったわけですが、あのことが本日大臣が改めて言及いただいたということの背中を押したということはあるのでしょうか。
【大臣】96%が中国に依存していて、そして中国商務省は否定をしておりますけれども、現実問題として、レアアースの輸出というものに対して障害が生じていたという報告を受けております。やはり1国に偏るというのは、資源安全保障上、私(大臣)はよくないと思っておりますし、もちろんこれが事実であれば、WTO違反の案件になるわけでありますけれども、商務省は否定をしております。しかし、やはり多面的な資源外交を行うということが、リスクをそれだけ減ずることになるということでございまして、当初からそういう思いの中で、別にこの事案が起こる前にも、これは一般論としても当たり前のことであります。多元的なリスクヘッジをしながらやっていくと。やはり一所に固まるのはよくないということを私(大臣)自身も当初から思っておりましたので、それを今、粛々と進めていくということでございます。
【時事通信 鈴木記者】今の関連なのですが、具体的な地域といいますか、対象国というのはお考えになられていますか。
【大臣】これは、まずレアアースが出る国というのがある程度限られておりますし、そして商社を含めて、日本の企業群がまだ秘密裏に交渉しているところもございます。そういう意味においては、どこでレアアースが取れるかということはおわかりかと思いますので、そういった国、地域を想定しているということで、ある程度具体的な企業、あるいは企業群の取組みというものが明らかになったときに、国名のみならず、どの鉱区においてそういった取組みをされているので、外務省としてもしっかりとバックアップをしたいということは、皆さん方にお伝えをしたいと思っております。
やはり、あくまでもインフラにしてもそうなのですけれども、それぞれの企業がほかの企業に知られないということの中で動いておられるケースがたくさんございますので、そこは我々がやはり慎重に注意をしなくてはいけないなと思っておりますので、その点はご理解をいただきたいと思います。
【ブルームバーグ 坂巻記者】この資源外交強化に関して、外務省として具体的に取った方策というのは、在外公館に情報収集を指示したということなのでしょうか。それ以外に具体的な方策があったら教えてください。
【大臣】前任だった国土交通省もそうだったのですが、特に国土交通省の場合は4省が1つになった役所でございまして、私(大臣)が国際部門がどこにあるのかということを調べると4か所あったのです。約10年経ちますけれども、いまだに4か所あったということで、それは組織要求で統合することになって、仮称で国際局というのが今、国土交通省の中にはできましたけれども、若干外務省にも同じようなところがあって、やはりインフラ輸出にしても、あるいは資源外交にしても、在外公館というものを言ってみればアンテナにして、そして情報収集をしっかり行って、その情報を集約するというところには、今まで至ってないという面がございます。そういう意味においては、組織も含めて、そういった情報が一元化されて、そして優先順位、そして外交政策とどう結び付けていくのか、特にODAとか、二国間の協定とか、あるいはJICAの技術協力とか、技術者派遣とか、こういったことをどう結び付けていくかということを、組織を変革して集中させることが必要となってくるのではないかと。そして、その組織が関係各省と連携をしながら、具体的な経済外交を進めていく、資源外交、インフラ輸出外交を進めていくことにつなげていかなければいけない。その取組みは今しているところでございます。
【共同通信 出口記者】中国のフジタの3人の方が戻って来られた件に関連してですけれども、率直な受け止めをまずお願いしたいのと、今後の日中関係の原状回復に向けて、北沢防衛大臣が12日に開かれるASEANの拡大国防相会議で、日中の国防省会談を模索しているという話がありますが、前原さんご自身もいつかのタイミングで外相会談を考えておられ、もしくは先方に打診するお考えなどはありますでしょうか。
【大臣】昨日、フジタの4名のうち3人が釈放されたということでございますが、ただ、1名の方が、まだ、いわゆる住居監視に置かれているということでございますので、昨日、丹羽大使からもうひと方の安全確保、そして領事面会の継続的な実施、そして円満、かつ早期の解決というものを申し入れたところでございますし、また、現地での石家荘空港を見送った会員からも、河北省の外事弁公室関係者に、同様の申し入れを昨日行ったところでございまして、とにかくもうひと方、いわゆる住居監視なるものが行われているということについて、大変我々は心配をしておりますし、そのことの解決をしっかり我々も強く中国側に申し入れを続けていきたいと考えております。
日中間の対話でありますけれども、我々はいつもオープンであります。いつでも対話をする用意がございます。したがって、そういった機会をとらえて、いつでもやる用意はございますけれども、我々の原則を曲げることはない。東シナ海において領土問題は存在しないし、そして尖閣は我が国固有の領土であり、同様の事案が起きれば我々は国内法にのっとって対応していくということを、やはりしっかりと明確にした上でオープンであるということを申し上げなければいけません。
と同時に、やはり再発防止策についてお互いが知恵を出すことも必要だと思っておりまして、そういうことを含めて冷静な状況で話ができる環境であれば、我々はいつもオープンであるということでございます。
【週刊金曜日 伊田記者】再発防止策について知恵を出すと言われたのですけれども、具体的なお考えがあるかどうかお聞かせください。それは、例えば北方四島における漁船の安全操業のようなことが念頭にあってのご発言なのでしょうか。
【大臣】具体的に固まったものはございません。イメージでありますけれども、それは交渉事でございますので、詳しく申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】今と関連してですが、今回の事件で悪化しました日中関係の早期改善を念頭に置いた場合、今、国会等で国民も関心のあります海上保安庁が撮影したビデオの公開というのは、なかなか結び付かないのですが、この点において大臣のお考えはいかがでしょうか。
【大臣】今朝、官房長官の部屋で私(大臣)と馬淵国交大臣と柳田法務大臣と官房副長官3名、合計7名が集まって、それについての話をいたしました。
これについては、予算委員会で昨日の集中審議で、資料要求がございました。これについては、衆議院の予算委員会での理事会預かりとなっていると聞いておりますし、その理事会が何らかの決定をされて政府に要請があれば、刑事訴訟法の47条に基づいてどう判断を、私(大臣)は一義的には法務省がなされることになろうかと思っております。
【日経ビジネス 森記者】関連の質問ですが、日中間の交渉を今後ASEANの諸国も協調して南シナ海の問題も含めて、マルチの交渉にする可能性はありますか。
【大臣】ASEANの国々との様々な形の連携というものは、これからさらに強化をしてきたいと思っております。またそういった多国間だけではなくて、二国間の関係もいろいろ協議をし、強化をしていきたいと考えております。いずれにいたしましても、経済活動、あるいはお互いの主権に関わる問題、そういった問題にも連携をさらに強めていかなければいけないと思っております。
【フジテレビ 高橋記者】FNNが昨日行った世論調査で、一連の管政権の対応を評価しないと答えた方が70%に及んでいて、支持率も15%ほど下がりまして、48%となってるのですが、そのような一連の評価しないとなった原因をどのように分析されてますか、あと率直な受け止めをお願いします。
【大臣】今回の中国人船長の釈放の問題というのが、大きな影響をしていると私(大臣)は思っております。しかし、検察が決定した今回のことについて、我々は、特に外務省は、司法の決定において様々な国民感情が生まれたり、あるいは外交問題が生まれてくるということについて国民にしっかり説明をし、そしてしっかりとした外交問題になった場合には、それを解決をしていくということが必要だと思いますし、その努力を通じて国民の信頼回復をしていくということに尽きると思っております。頑張っていきたいと思います。
【パン・オリエント・プレスTV ペン記者】アザデガン油田(開発は)、日本とイランのフレンドシップ・シンボルとして始めました。今の段階で日本が経済制裁を支持すれば、アザガデン油田の協力もなく、米国のイラン政策を全面的に支持すれば、どのように日本とイランの伝統的な友好関係を維持しますか。
【大臣】このイランの核開発の問題については、国連決議1929号というものによって、国連で決まったものについて、我々としては制裁に関与している。つまり、このことが核の拡散であるとか、あるいは中東の不安定化というものにつながりはしないかという懸念の中で国連決議に基づいて制裁を行っているということでございます。他方で、このアザデガン油田については、INPEX(国際石油開発帝石株式会社)という日本の企業が権益を持っている訳ですけれども、INPEXはこのアザデガン油田のみならず、グローバルに活動している国際企業でございまして、米国の国内法、つまりはイラン制裁法というものを勘案して、どのように対応していくのかということが、今注目をされているところだと思っています。現状では、INPEXは、イラン制裁法上の制裁対象とも、特別規則の対象とも位置付けられていないと認識しております。我々は、1929号という国連決議に基づいて、また、INPEXは、国も株を持っておりますが、グローバルな企業として、どうすれば自らの活動というものが制約を受けないでやれるのかということは考えて、これから行動されることになろうと思っております。お尋ねのイランとの関係については、私(大臣)は、日本とイランとの関係というのは、極めて友好的であると思っておりますし、だからこそ、イランとの直接的な交渉、関係を強めていって、イランに対して、今の核開発というものの疑惑について説明責任を求めて、そして、国際社会の中に協調するようにと、我が国独自で働きかけるということも極めて大事なことだと思っておりますし、そういう意味での二国間関係というものは大切にしなくてはいけないと考えております。
【琉球新報 滝本記者】先の日米外相会談で、クリントン長官の方から「思いやり予算」米軍駐留経費負担の件で増額の要求があったと聞いているのですが、大臣はあの直後のぶら下がりなどでは、確かそのお話はなかったというようにお答えいただいたと思うのですが、もしそこでなければ、日米間のいろいろなチャンネル中で、米国側から思いやり予算の増額の要求が出ているのか。北澤防衛大臣は今朝のぶら下がりで、別のチャンネルで出ているということはお話しされているのですが、それがどのようなチャンネルで話が出ているのか、それに対して、日本側としてはどのように対応されているのかということをお伺いしたいのですが。
【大臣】ニューヨークで行われました日米の外相会談では、クリントン米国務長官からホストネーション・サポートについての言及はございませんでした。私(大臣)からもしておりません。他方で、他からはそういう話はなかったのかということで申し上げれば、先日お会いしたグレグソン国防次官補、そして、昨日お会いしたルース大使からホストネーション・サポートについての言及はございました。私(大臣)の方からは、日米同盟は極めて大事だということと同時に、やはりこのことで日米同盟という関係が揺らいでいるように見えるものであってもいけない。他方で、国民の税金を使っているものであるので、より効率化をし、そして使い道について透明度を高めていくということが我々として求められているのだということは、しっかり理解をして欲しいと、何れにしても事務方でしっかり話し合いながら、うまくまとめていこうということは、私(大臣)からはお二人に申し上げました。
【琉球新報 滝本記者】向こうからの内容としては、増額ということでのお話との理解でよろしいのでしょうか。
【大臣】もう少し大きな話でありまして、額を増額して欲しいということではなくて、このホストネーション・サポートについては注目をしているという意味でのお話が両氏からありまして、具体的な議論については事務方でやっていきましょうということでございまして、私(大臣)からは先程申し上げたとおりでございます。