記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成22年9月)


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外務大臣会見記録(平成22年9月28日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)国連総会出席について

【前原大臣】それでは、私(大臣)から1つ、お話をいたします。
就任直後でありましたけれども、ニューヨークの国連総会に出席をいたしまして、数えますと、結局バイの会談が19(回)、そしてマルチの会合は11(回)ということでございました。いろいろな国の外務大臣に直接会いに行く、あるいは来ていただくというのもなかなか大変なことでございますし、そういう状況の中で、192か国の国連加盟国の中で、マルチも含めますと、かなりの外務大臣にお会いをして、そしてこれからは電話でも話をしようという方もできたということは、大変よかったのではないかと思っております。また、マルチにおきましても、これは岡田前大臣がレールを引かれたことでありますけれども、核軍縮、あるいは不拡散といったものをしっかり主導していくグループが立ち上がって、努力をしていこうと、あるいはもう一度安保理改革をチャレンジしようといった会合ができて、引き続き、努力をしていくように、連携をしていけるような状況ができたということは、大変よかったのではないかと思っております。今後、また引き続き、努力をしていきたいと考えております。

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北朝鮮情勢(朝鮮労働党代表者会)

【毎日新聞 西岡記者】北朝鮮で朝鮮労働党代表者会が現在開かれております。それに先だって、金正日総書記の三男の金正ウン氏と見られる人物が軍の要職に就きました。北朝鮮の後継体制の動きを大臣はどう分析され、日本としてそれにどう対応されていくのか、お考えをお聞かせください。

【大臣】金正ウン氏あるいは金敬姫氏、これは金正日氏の実の妹で、張成沢の奥さんということになるわけでありますが、この2人を含む6名が大将の称号を与えられたという報道は、耳にしております。今後、2時からの報道では、金正日氏が引き続きまた総書記に推戴されたということでございまして、どのようなポジションに金正ウン氏が就くかどうかということについての動向をしっかり見極めて、いろいろな分析を深めていきたいと考えております。

【時事通信 吉岡記者】今のお話に関連して、まだ金正ウン氏のポストははっきりしないのですが、現段階で日本にとってプラスになると考えるか、マイナスになると考えるか、その辺での評価というのはいかがでしょうか。

【大臣】まだ決まっておりませんので、明確なことを申し上げるのは慎みたいと思います。いずれにいたしましても、どのようなポジションに就くのか、就かないのか。しかしながら、大将という称号を与えられたということについては、明確な意思表明の1つであることは間違いないわけであります。そういう意味での北朝鮮の国内での動きをしっかりと見極めていきたいと思っております。

【共同通信 出口記者】北朝鮮の核問題について、今回新しい体制ができていく中で、どういったご期待を大臣はされているでしょうか。

【大臣】北朝鮮においては、核、ミサイル、また拉致といった問題が解決されなければ、日朝平壌宣言に基づく国交正常化の前提は整わないという立場は、日本の政府が持っているわけであります。今回、どのような体制になるのかどうかということも注視をしていきたいと考えておりますが、基本的には、朝鮮半島の非核化というものを我々は目指していくと。そして、その1つの枠組みとしては六者協議の枠組みがあるわけでありますが、ただ他方で、韓国の哨戒艦「天安」の事案というものがございました。46名の兵士が亡くなるという事案でございましたけれども、これに対して北朝鮮は認めていないということの中で、やはり日米韓の連携を大切にする立場から言えば、六者協議に前向きな姿勢を若干北朝鮮は示しておりますが、簡単に我々としては、天安の問題、あるいは韓国を含めて連携をとりながら、対応を見ていかなくてはいけないと思っております。
米国でいろいろな情勢分析、意見交換もしてまいりましたけれども、そういった中で、この代表者会でどういった体制が固まるのかということと、それに伴う北朝鮮の中の権力の構造の変化があるのかないのかということも含めて注視をし、また、我々の究極の目的というのは、核、ミサイル、拉致の問題解決という方針は微動だにしませんので、しっかりと関係各国と連携をして対応してまいりたいと考えております。

【産経新聞 久保田記者】金正ウン氏の名前が出てきたということで、初めてポスト金正日という体制に入ってきたと思うのですけれども、そのポスト金正日の動きというのが日朝関係にとってどんな意味があるのか、その辺をお答えください。

【大臣】今さまざまな情報を分析しているところでありますし、また明確に金正ウン氏が大将という称号を推戴されただけではなくて、どういうポジションに就くのか就かないのかということにも大きく左右されると思っておりますので、今後の代表者会の動きを注視してまいりたいと考えております。

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総理のASEM出席

【テレビ朝日 花村記者】今度のASEMに総理が出席されるということですけれども、この場で総理が一転して出席を決めたということの意味合い、ねらいと日中首脳会談を呼びかける考えはあるかどうかをお聞かせください。

【大臣】国会の日程と提出法案、提出条約あるいは補正予算の可能性も含めて、民主党として政府の首脳の間で議論が交わされてきたと思います。その中にあって、総理はできる限りASEMには出席したいという意向を持っておられましたし、また、仮に自分が行けなかったとしても、相当高いレベルの政府代表を出さなくてはいけないということは私(大臣)も話を聞いておりました。その中で国会のご理解が得られて、総理ご本人が行かれることになったことは、私(大臣)は大変よかったと思っておりますし、今回の中国の事案に関わる問題も含めて、日本の立場をしっかりと国際会議の場で総理自らがお話をされることは大変結構なことではないかと思っております。(日中)首脳会談の呼びかけでございますけれども、今そういう動きを我々はしておりません。私(大臣)の現時点の感想としては、なかなかセットされるのは難しい状況ではないかと思っております。

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尖閣諸島周辺における我が国巡視船と中国漁船の衝突事案

【フリーランス 岩上氏】先ほど法務大臣の記者会見がありまして、そちらへ参っていたのですけれども、こちらで大臣が今回の中国漁船の拿捕の件、そして中国漁船の船長の釈放の件などに関して、記者の質問に答えて、ご説明がありました。その中で、那覇地検は拿捕、逮捕した後、これを釈放するかどうかの判断に際して外務省から説明を受けて、外交的な観点からも考えて釈放をしたというようなお話がありました。この件について、外務省はどのような説明をされたのか。
また、この判断というものは、検察だけの単独の判断と今まで説明されていますけれども、外務省がどのように影響を与え、政府として、どのような意思を実際には下したのか、あるいは伝えたのかということについて、もう少しご説明願えないでしょうか。

【大臣】検察の要請に応じて、外務省の職員が説明をしたということは事実でございます。ただ、私(大臣)が報告を受けておりますのは、尖閣の歴史的な経緯、今回の事案に関わる、例えば中国側の一連の動き、そういった事実関係を話をしてきたということでございまして、例えば日中関係全般に関わる今後の在り方とか、そういうことではなくて、現在どのような反応を中国が示しているかということも含め、説明をしてきたと聞いておりますので、私(大臣)はそれを踏まえて、検察が判断をされたものだと認識をしております。

【フリーランス 岩上氏】この事件が起きたとき、大臣はまだ国交大臣でいらっしゃったと。その際に一報は受けて耳に入っていらっしゃると承っておりますけれども、その時点で拿捕すべきである、または見逃すというような手も対処の仕方としてはあったかもしれません。しかし、これは断固拿捕するべきであるというような判断を大臣自身がお下しになったというような情報といいますか、推測といいますか、漏れ伝わっているのですけれども、この点に関していかがだったのか、大臣自身の口からご説明願えないでしょうか。

【大臣】この事案が起きたときは、海上保安庁を所管する国土交通大臣でございました。海上保安庁からこの事案について説明があったとき、ビデオも私(大臣)は見ました。その前からこの海域においては、いい漁場でもあり、中国の漁船、あるいは台湾の漁船がかなり操業しておりまして、領海内に入ってくることもしばしばあるということであります。私(大臣)も国会議員になってから3回ほど海上保安庁の固定翼機で上空を視察いたしましたけれども、そのときは3回とも非常にいいお天気でありましたけれども、海保の船が漁船を追い出しているという活動を見ることがございました。ですから、日常茶飯事としてこの漁場に中国や台湾の漁船がやってきて操業を行っているということでありましたし、正確な数字は覚えておりませんけれども、今年に入ってからも10回以上は立入検査を行っているということでございます。ただ、今回の事案につきましては、ビデオを見る限り、中国の漁船が海上保安庁の巡視艇に当たってきている。しかもそれは故意である可能性が極めて高いというような状況の中で、公務執行妨害という判断を現場が行ったということでございまして、今までにない悪質な事案であるということの中で総合的な判断が加えられたということでございます。

【フリーランス 岩上氏】大臣ご自身はその決定に加わったのでしょうか。

【大臣】最終的には逮捕権があるのは海上保安庁でありまして、国土交通大臣は、逮捕権はありません。所管の大臣であるということでありますけれども、私(大臣)がビデオを見る限りにおいては、悪質な事案であると思いましたし、その意見を私(大臣)は海上保安庁には申しました。

【フリーランス 上出氏】いろいろな議論が起きていまして、どこまで検察が判断することが政治的でないか。どこまで大臣が説明されたようなことが三権分立と矛盾しないのかとか、いろんな議論があると思いますけれども、今の段階でどうしても国の意思というものは働かざるを得ないと思うのですけれども、どういうような整理をその点についてされていますでしょうか。自民党辺りからは国外退去をすべきだったというような、もっと早い段階で自分たちはやったと谷垣さんなどは言ったわけです。いろいろな意見があるのですが、どういう整理をされているか聞かせてください。

【大臣】谷垣総裁が仰ったと言われている過去の事例については、入管法違反だと私(大臣)は記憶しております。つまりは、尖閣に不法に上陸をして、そして国外退去をしたということでございますけれども、今回は公務執行妨害、つまりは、中国の漁船が海上保安庁の巡視艇に対して体当たりをしてきたという悪質な事案であったということで、比較をするのは、私(大臣)はいかがなものかと思っております。

【週刊金曜日 伊田記者】先ほど大臣が、「これは今までにない事案であった」と申されました。つまり、向こう側が今までにないことをやってくる背景はどういうように分析、考慮されておりますでしょうか。そのことによって今後の対処とか対応が変わってくると思いますけれども、お考えをお聞かせください。

【大臣】対応については、これは検察が判断することでございますので、私(大臣)からコメントすることはございません。本日の国会参議院の外交防衛委員会でも答弁をいたしましたけれども、あの海域を管轄しているのは海上保安庁の第11管区でございます。私(大臣)は11管区にはかなり足を運んだ方だと思いますし、現地の石垣保安部にも2回私(大臣)は足を運びました。そこでいろいろな過去の事例、あるいは日々の活動について、夜飲みながら海保の方々とお話をしたこともございました。そういった中で聞かれてきたのは、いい漁場であったり、海水温などによって当然ながら魚のいるところが変わってくるという中で、領海内に立ち入るケースも往々にしてあるけれども、それを今まではしっかりと排除をしていたということであります。今回の事例については、その中で今回の船長が故意にぶつけてきたということでございまして、そういう意味ではずっと、今までの経過を見てきている海保の方々の皮膚感覚の判断としては、別に何か意図的に、計画的に仕組まれてやられたというよりは、多くの漁船が来た中の1つの漁船がひどい対応をしたということではないか。私(大臣)はその報告を聞いて、私(大臣)もそのように理解をしております。したがって、今回は意図的にこのものが仕組まれたという可能性はゼロとは言いません。ゼロとは言いませんが、私(大臣)は低いのではないかという認識を持っています。

【フリーランス 小山氏】先日、クリントン国務長官が尖閣に日米安保を適用すると言いました。その同じ日に国務省のスポークスマンが、尖閣の領有権問題について米国は立場を明らかにしないと述べました。領有権がどこにあるのかわからないときに、日米安保を適用するというのは矛盾しているような印象を受けるのですが、外務省はこの二つの発言をどのように解釈しているのでしょうか。

【大臣】これは従来から米国政府が言っていることでありまして、英語では「ソブリニティ」という言い方をしていたと思いますけれども、それについてコメントはしない。しかし、尖閣については日本の施政下にあって、そして施政下にある地域については日米安保条約第5条が適用されるということを言ったわけで、したがって、尖閣列島は日本の施政下であり、仮に5条事態になったときには米軍がそれに基づいて行動するということを表明されたものだと理解しております。

【フリーランス 小山氏】5条問題ということは、日本に対する侵略があった場合、要するに領有権問題になった場合は米国は日米安保を適用しないということでございますか。

【大臣】質問の意味がわからなかったのですが。

【フリーランス 小山氏】5条というのは日本侵略の場合は適用するけれども、領有権問題の場合、尖閣だけを取ろうとする中国の動きの場合は、日米安保を適用しないという意味なのでございましょうか。

【大臣】尖閣諸島は施政下にあると。施政下にあるところについては第5条を適用するということですから、尖閣で5条事態が起きたときには、米国は日米安保条約に基づいて行動するということだと思います。

【世界日報 山本記者】代表をなさっていたときに、先ほど尖閣の施政下であれば、安保適用というような判断になっているということなのですけれども、今、新たに中国側の、その種類はちょっと定かに覚えていないのですが、船が多くまた接近しているというような様子も伝えられておりますけれども、代表時代に、「この離島問題、尖閣諸島などを含めて抑止がなければ対話と関与も実効あらしめるものとはならない。制空権、制海権の確保も含めて毅然と日本の権益を守る意思を示していくことが重要だ」と仰っておられるわけですが、こういう発言に基づいて、その施政下に尖閣をとどめおくための何か更なる措置をお考えでしょうか。

【大臣】東シナ海においては領土問題は存在しておりません。尖閣諸島は歴史的に見ても我が国固有の領土であり、我々実効支配をしているわけでありますので、今後もその方針を堅持していく、それだけだと思います。

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メドヴェージェフ露大統領の北方領土訪問

【北海道新聞 稲塚記者】ロシアの大統領が北方四島を訪問するというのがあったのですけれども、それに関して大臣の方で新たな情報は把握されていますでしょうか。

【大臣】北海道新聞さんの報道でございます。私(大臣)もその報道は目にいたしました。現時点においてご指摘のような訪問実施の予定があるとは承知をしておりません。

【読売新聞 川崎記者】現時点での訪問実施がないということは、これについては外交ルートでロシア側に確認をした結果、そのような回答があったという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】ロシア側とのやりとりの詳細については、お答えすることは差し控えたいと思います。

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安保理改革

【日本テレビ 野口記者】安保理改革についてお伺いします。国連総会に行かれて、G4の外相会談もあったと思うのですけれども、今後どういった姿勢でこの安保理改革に取り組んでいかれるのかというお考えと、その外相会談の内容について教えてください。

【大臣】申し上げるまでもありませんが、G4というのは日本とブラジルとドイツと、そしてインドであります。私(大臣)が議長をやらせていただいて、4外相で話をしたわけでありますけれども、まず、ブラジルの外務大臣からは、そう簡単ではないのだということで、楽観的になることはできないという話がございました。
 しかし、何も行動を起こさないというのは、これもまたいかがなものかという話がございました。192カ国の国連加盟国のうち、これは総会でございますので、3分の2以上の賛成が必要だということで、一番大きなグループとして、もし、結束をすれば、固まりを持つのはアフリカ連合、AUですね。ですから、ブラジルの外務大臣からは、このAUをどのように巻き込むような、今後、動きをしていくのかということについて、いくつか具体的な国名を挙げての提案がございました。また、ドイツの外務大臣からは、フランスのサルコジ大統領がG4の考え方に賛同してくれているということで、サルコジさんも含めたさまざまな可能性を今後探っていったらどうだろうかというご意見もありました。インドの外相からは、ブラジルの外相同様に、そんなに楽観的な見通しはない。しかしながら、何らかのアクションを起こしていく中で、そのリアクションをまた我々はしっかりと見ながら、どうムーブメントを起こしていったらいいのかということを、とにかくやってみようと。そして、自分たちがいろいろな外務大臣と話をする中で、感触を探り、そして、12月から2月というちょっと幅の広い間ですけれども、もう一度4人で集まって、それぞれが動いたことのレビューを持ち寄ろうではないかという話になりまして、見通しはなかなか難しいと思いますけれども、また、それぞれの国が自らの考え方を、自らというのはG4の考え方を述べた上で行動を起こし、その反応を見て、それをまた情報共有しようということで第1回目は終わりました。

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米軍再編問題

【琉球新報 仲井間記者】普天間問題についてお伺いします。本日の沖縄県議会で仲井真県知事が「普天間基地の県外移設を求める」と明言されました。知事はこれまで「県内移設は極めて難しい」ということはおっしゃっていたのですが、県外移設については特に明確な姿勢は示していませんでした。大臣は沖縄担当大臣時代も知事と何度かお会いして、いろいろお話しをする中で知事のこの問題への苦悩する姿勢をいろいろ見られていると思いますが、この知事の発言の変化をどのように受け止めているかお聞かせ下さい。

【大臣】いつも申し上げていることではありますが、沖縄には私(大臣)は二つの意味でお詫びを申し上げなくてはいけないと思っております。それは1972年に返還をされて以降、日本の面積の0.6%の沖縄県に全体の(基地)施設の約75%の施設区域が集中をしてきたという、沖縄に過度に日米同盟の基地負担を押しつけてきたということについてお詫びをしなければいけませんし、また、もう一つは我々前回の総選挙の前に「普天間の移設先について少なくとも県外、できれば国外」ということを申し上げながら結果として「辺野古への移設」という結論に至ったわけです。そういう意味では沖縄の皆さま方には二つの意味でお詫びを申し上げなければいけないと思っております。その中で、仲井真県知事にも相当ご苦労をおかけをしましたし、苦悩されたのだろうと思っております。我々は、5月28日の日米合意というものをしっかりと履行していくということが、今回の日米外相会談、あるいは菅総理とオバマ大統領の間でも確認をされたことでございますので、粘り強くしっかりとこの辺野古への移設というものが嘉手納以南の基地の返還にもつながり、トータルとして沖縄の負担軽減に必ずつながるということをしっかりとご説明をしながら何とかご理解をいただくようにお願いをさせていただきたいと考えております。

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ダライ・ラマ氏の来日

【フリーランス 島田記者】ダライ・ラマ氏が来日するという話が取りざたされておりますが、政府高官、もしくは閣僚、更には皇族筋の方ですとか、接触される可能性、ご予定というのはありますでしょうか。

【大臣】他の方は存じませんが、少なくとも私(大臣)に対して面会依頼というのはきておりません。

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第三国定住による受入れ難民の訪日

【TBS 村瀬記者】ミャンマー難民の第三国定住について、日本として初めて第三国定住の受入れをされていますが、この意義と今度この問題についてどのように取り組まれるか教えて頂けますか。

【大臣】この問題については、しっかりとミャンマーから日本に来られるということで、サポートをしっかりしていかなくてはいけないと、このように考えております。まず、今後約180日間、政府が実施を致します日本語教育、それから生活のガイダンス、そして職業紹介など総合的な定住支援というものを行っていきたいと思っておりますし、その後に地域社会において自立生活を営んでいただくということなろうかと思います。我々としては、今回はご家族27名のうち2家族9名については、家族の体調不良のため遅れて来日されますけれども、初めてのケースを成功裏に結びつけるため、各国も注視しておりますので、しっかり先ほど申し上げたプログラムを着実に行って、来られる皆様方の定住支援を国としてサポートさせて頂きたいと考えております。

【フリーランス 西中氏】今回3年で90人と非常に少ないですが、支援体制でも今のところ他の関係官庁ですとか、日本に在住するカレン人の人たちといった連携がほとんど今のところできていない、人権人道課が丸抱えという形にになっていると思うのですが、今後どのような連携を作っていかれるのか。それから国内には自力で日本に逃げてきた難民の方も沢山いらっしゃる訳ですが、難民制度全体について、外務大臣として今後どのように取り組んでいかれるのか抱負があればお伺いしたいのですが。

【大臣】お引き受けをする以上は、やはり責任を持って定着支援をしていかなくてはいけないと思っております。今後3年間毎年約30名ずつ受入れをさせていただくということでございますので、180日の政府が実施する日本語研修、あるいは生活ガイダンス、職業紹介、これをしっかりやっていく中で着実にこの成功事例を作っていくということが大事で、それから先のことは、やはりこの事例が成功しなけれないけませんし、恐らく試行錯誤があると思います、試行錯誤の中でその方々の話を伺いながら、親身になって相談に乗らせていただくということが大事なことではないかと思いますので、あまり今からその先はということではなくて、今回の決めた毎年30名3年間をしっかりとやらせていただくということに全力を挙げたいと考えております。

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日中関係

【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。今後の日中外交についてですが、今回の衝突事件の件で日本と中国の考え方の違いが明らかになったと思います。日本と比較しまして中国の発言や行動は活発で、考えようによってはかなりその戦略が明らかになったと思います。こうしたデータの収集は今後中国との戦略的互恵関係を築いていく上で有益になると期待してよろしいでしょうか。

【大臣】中国の情報発信と日本の情報発信の違いというものについてのご発言だと思いますけれども、基本的に今回我々は東シナ海に領土問題は存在しない、尖閣諸島は日本の固有の領土であると、しかし、その中で国内法に基づいて公務執行妨害で立件したということでございまして、それについて国内法に基づいて、今回対応した訳でこざいます。しかし、向こうは自分たちの領土だと言っている、私(大臣)はこの土俵にのるべきではないと思っております。我々は東シナ海に領土問題はない、尖閣はどう見ても歴史的に見て、日本の固有の領土である、実効支配をしていくということで、淡々粛々とやることが日本の立場になるのではないかと思います。
他方で、私(大臣)は、今回の中国がとった一連の措置も含めて、あるいはどういう事案だったのかも含めて、在外公館、あるいは東京に存在する大使館に対して説明するよう指示を致しておりますし、私(大臣)自身も、今回ニューヨークの国連総会で、G8の外相会合、あるいは日米の外相会談、そこでしっかりと今回の事案がどういう事案だったのか、それに基づいて中国がどういう対応をしてきたのかということをやはり世界に説明するということは大事なことだと思っておりますし、私(大臣)は今回の一連の中国がとった行動については、世界が注目していると、そのように考えております。

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外務大臣会見記録(平成22年9月17日(金曜日)23時15分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)就任挨拶

【前原外務大臣】遅くからお疲れさまです。先ほど、官邸で抱負は述べさせていただきましたけれども、少しより詳しく菅総理からどのような指示書があったかという中身について、皆さん方にお伝えしたいと思います。
 「21世紀にふさわしい形で日米同盟を深化させる。普天間飛行場の移設と沖縄県における基地負担の軽減については、平成22年5月28日の日米合意及び閣議決定に基づき、関係大臣と連携して必要な取組みを速やかに進める。世界の平和と繁栄の実現に向けて、国際協調の下、核軍縮、核兵器廃絶、国連平和維持活動、FTA/EPAを含む貿易投資の自由化などの諸課題の解決に全力で取り組む。強固な日米同盟を基盤として、アジア太平洋地域における連携を強化し、将来に向け、東アジア共同体の構築を目指す。横浜で開催されるAPEC首脳会議の成功に万全を期す。テロの脅威を除去するため、アフガニスタンなどの復興支援や貧困の克服に対する積極的な支援を行う。北朝鮮の核、ミサイル、拉致等の問題の解決に全力を尽くす。地球温暖化対策を政府全体で推進するとともに、日本が国際的に主導的な役割を果たせるよう、特に環境大臣、経済産業大臣と密接に連携する。」以上が、菅総理からの指示書でございました。
 先ほどの会見でも述べましたように、もちろん、こういった諸課題をしっかりやりながら、いかに日本の経済を発展させていくのかといったことを、外務省として取り組めることについてはしっかり取り組んでいきたいと思います。経済外交というものを軸に外交を推進していきたいと思っております。EPA、FTAの推進、資源あるいは食料外交の推進、あるいはインフラ輸出の推進、また、海外との観光交流の増大、そういったさまざまな形での日本の経済に資す形の活動をしっかりやっていきたいと思います。他方で、日本への投資を含めて、日本の安全の基盤がしっかりしていなくては、そのファンダメンタルズが崩れるわけでございまして、そういう意味では、日米同盟関係を更に強化をし、そして、日本の安全の基盤をしっかり確立した上で、経済活動というものをしっかりと行えるような状況を作り出していくということも、大変重要なことではないかと思っております。

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日中関係

【時事通信 水島記者】官邸での会見でも出ていましたが、前原さんが代表時代におっしゃった「中国は現実的脅威である」という点についての確認ですけれども、現在でも、中国は現実的な脅威なのでしょうか。

【大臣】先ほどの会見でもお話ししましたけれども、中国は目覚ましい経済発展を遂げています。13億を超える人口がおり、年率10%程度の経済発展を遂げている隣国であります。日本の人口減少、少子高齢化、莫大な財政赤字という、こういった主な3つの制約要因を考えたときには、中国をはじめとする成長するアジア、新興国との経済関係をしっかり作り上げていくということは、日本の経済にとっても大変重要なことだと思いますし、その意味でも、中国との戦略的互恵関係を進めていくことは、極めて大事なことであると思っております。一方で、中国はこの20年間、年率前年度比約10%を超える軍事費の増強をやってまいりましたし、また、ペンタゴンなどの報告書では、「中国が公表している軍事費の総額というものは、すべてではないのではないか」といった指摘もあるわけでございまして、何のためにそれだけの軍事費を増強しているのかという懸念は持っております。いずれにしても、中国については、そういった諸外国が感じる懸念というものをしっかり払拭してもらって、そして、他の国とのウィンウィンの関係を作ってもらうべく、しっかりと説明責任も果たしていただきたいと思いますし、我々日本にとっても大切な隣国でございますので、戦略的互恵関係を築き上げていきたい、このように考えております。

【朝日新聞 小村田記者】中国の関連で、尖閣諸島の衝突事件で、中国政府は日本政府の対応に反発を強めていると言われており、丹羽大使が5回も呼ばれたり、かなり異例の対応を取っていると思います。また一方で、このところガス田の方の話が発展してきているといった今の状況に関して、どのように認識されていて、どう対応していこうと思われているのか、よろしくお願いします。

【大臣】東シナ海において領土問題はございません。そういう意味では尖閣諸島は我が国固有の領土であり、領海内で無害通航なら問題ありませんけれども、操業し、そして海上保安庁に対して体当たりをしてきたという公務執行妨害を犯したわけでありますから、国内法に則って粛々と手続を進めるということは当然のことでございます。そういった点をかんがみ、中国には冷静な対応を求めたいと考えております。先ほど丹羽大使が5回呼ばれたということでありますが、事実は、呼ばれたのは3回、2回は抗議に行かれたということでございます。
 また、ガス田の問題についてでございますけれども、中国側は、例えば、岡田前大臣が会見でもお話をされているように、過去になかった機材の搬入はしているということです。しかし、それについては、修理のための作業を行っているという回答であって、掘削をしているのではないという話でございまして、我々はしっかりと事実確認をしてまいりたいと思いますし、そういう意味でも、今まで日本と中国が合意をしている共同開発についての考え方をしっかりと履行していただきたいと、そのように考えています。

【朝日新聞 小村田記者】先日、米国のアーミテージ元国務副長官が、一連の中国政府の対応について、「中国は日本を試している。日米関係が冷え込んでいる間、いろいろなことをやってどこまで許されるのか試している」というようなことを記者会見で仰られていたのですが、そのことについてどう思われますか。

【大臣】日米関係が冷え込んでいるとも思いませんし、我々は、東シナ海においては領土問題は存在しない。我々の領海内で操業し、そしてそれを排除しようとした海上保安庁の船にぶつかってきたという公務執行妨害について、国内法に則って我々は対応しているだけでございまして、法治国家でございますから、日本の国内法制に則って粛々と対応していくだけでございます。

【共同通信 比嘉記者】ガス田の話ですが、中国側は修理のためだという説明ということですが、今後の確認で、掘削をしているとか、あるいは生産を開始したということが政府として確認された場合の対抗措置というものを考えていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】仮定のご質問でございますけれども、何らかの証拠というものが確認された場合においては、我が国として然るべき措置を取っていくということになろうかと思います。

【朝日新聞 鶴岡記者】先ほどの「中国への懸念」という言葉についてお伺いしますが、意図と能力によって構成される脅威であるというお考えを今は取っていないのでしょうか。

【大臣】先ほどお答えしましたように、この20年間前年度比10%以上の国防費の伸びを示しておりまして、この20年間でおよそ19倍になっているのではないでしょうか。なぜこれだけ多額の軍事費を増強しているのかということについて懸念を持っているということでございますし、先ほどこれもお話をいたしましたけれども、英国のシンクタンク、あるいは米国のペンタゴンの報告書では、中国の公表数字以上の軍事費が他にあるのではないかと言われているわけでございますので、中国についてはしっかりと説明をしていただきたいという思いでおります。

【朝日新聞 小村田記者】そのガス田の関連で、中国外務省の副報道局長が「このガス田について中国は完全な主権と管轄権がある。中国の活動は完全に合法的なものだ」という談話を17日に発表したということなのですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】我々が外交筋で確認をしておりますのは、中国側からの説明は「機材の搬入はしているけれども、それについては修理のための作業を行っている」という説明でございますので、現在において、それの説明を我々としては受け止めているという状況でございます。他方で、今後どのような作業が行われるのかどうなのかといったことについては、注視してまいりたいと考えております。

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核軍縮・不拡散

【毎日新聞 西岡記者】核軍縮と不拡散についてお尋ねします。岡田前大臣は、来週からの国連総会を機に、非核保有国による外相会合を提唱されて、すでに十数か国から賛同を得たと聞いております。前原大臣は、この外相会合をどのような形で引き継がれ、どのような成果を目指されるのか、お聞かせください。

【大臣】このテーマについては、前任者である岡田大臣が非常に力を入れて積極的に取り組んでこられたということを存じ上げております。もちろん、大事なテーマでございますし、岡田大臣が何を目指し、そして、どのようにその会議を運ぼうとされていたのかということをしっかり引き継いで、岡田さんの思いというものも、我々共有して努力をさせていただきたいと思っております。

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国連安保理改革

【日本テレビ 野口記者】岡田大臣が今後、もし外務大臣を続けられたとしたら、今後の柱としたいと思っていた外交課題が2つあって、1つは今出てきた核軍縮と、もう一つは国連の安保理改革だとおっしゃっておりました。この安保理改革について、岡田大臣の思いとして、それを引き継ぐお考えはあるのかということと、安保理改革ということは、とりもなおさず日本の常任理事国入りだと思うのですが、このリアリティーについて、前原大臣はどのようにお考えになっているかお願いいたします。

【大臣】安保理改革というのは、過去にもチャレンジをしてきて、なかなか難しかったという経緯がございます。今回、私(大臣)が本日、外務大臣を拝命して、21日から26日まで国連総会に出席をし、さまざまなバイ会談とか、あるいは会合に出席するわけでございますけれども、その中の会合のひとつにG4の会合もございます。このG4の会合の中で、以前、安保理改革というものを成し遂げようとしてきた中身を確認し合って、難しいと思いますけれども、しかし、難しいということであきらめていては何も始まらないわけでございますので、しっかりと協力できることについては協力するという中身について話し合いが行われることになろうかと思います。いずれにしても、先ほどの核軍縮と同様、岡田大臣がどのような思いで国連改革を考えておられたのか、また、岡田大臣なりのそれを達成するための秘策はあったのかどうなのか、そういったものはしっかりと引き継ぎのときにお話を伺いたいと考えております。

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米軍再編問題

【岩上氏】普天間問題についてお伺いしたいと思います。先ほど、リチャード・アーミテージ氏が来日して講演で中国のことについて述べられたという話がありましたが、中国のことだけでなく、普天間問題についてもこの講演の中で言及されたと伺っております。11月の沖縄県知事選で、もし普天間移設反対の候補が知事に当選するようなことがあったら、これは移設が不可能になるという判断を示して、そのまま全面移設は無理でも、部分移設でも何でも次善の策を講じなければならないだろうというように米国側も柔軟な姿勢を見せるというところを示したと伺っております。現時点でこの米国側の姿勢の柔軟化と言いますか、それを受けて大臣はどのようにお考えになられるのか、お考えをお示し頂きたいと思います。

【大臣】アーミテージ氏は私(大臣)もよく存じ上げております。ブッシュ政権の一期目の国務副長官で、私(大臣)もそれ以前からも、あるいはその仕事を辞められた後からも何度もお話をしている間柄でございますけれども、現在は政府の方ではございません。私(大臣)も実際、本日、外務大臣を拝命して、米国の現在の政権内部におられる方と具体的な話をした訳でございませんので、そういう意味においては、今後話し合いをしていく中で、米国の考え方というものをしっかりと私(大臣)も感じ取らなくてはいけないと思っております。
 しかし、私(大臣)が今思っているのは、米国はやはり日米の合意というものをしっかり尊重して日本にそれを着実に履行することを求めてくるだろうと思いますし、合意をした訳ですから、沖縄の皆さん方に今までの基地の負担を過剰に押しつけてきたお詫びをさせていただくと同時に、鳩山内閣の時には、「少なくとも県外、できれば国外」と言って、また辺野古に戻ってきた訳でありますので、そういう意味のお詫びもしっかりとし、説明責任を果たしながら、ご理解を求めていくための努力をしていくということに私(大臣)は尽きるのではないかと考えております。

【琉球新報 滝本記者】普天間問題についてですが、政権交代の意義として戦略的思考とマネージメントの無さというものが、国民に希望を失わさせているということなのですが、まさに普天間移設について、野党時代に大臣が沖北委員長をされていたときに、琉球新報のインタビューにもお答えいただいて、辺野古への移設というもの、キャンプシュワブに移すという計画がそもそも無理だったと、きれいな海を埋め立てるのは駄目だと環境面からもおっしゃっておられて、まさに辺野古に移すという、県内移設ということ自体が戦略的思考もなく、マネージメント上も問題があるということで、ずっと14年間移設が進んでこなかったと私は考えているのですが、そういう意味からして、またそこに戻ってきたということが、今回の移設反対の世論がこれだけ高まっているという状況も含めて、やはり現実的に無理なのではないかというように思うのですが、その部分、過去におっしゃられた発言の趣旨も踏まえて、大臣は今この日米合意、改めて今あるものをどうお考えかということをお伺いしたいのですが。

【大臣】鳩山さんも含めて、我々民主党は、野党時代に普天間飛行場の、「できれば県外移設、そして国外移設」ということを目指してきた訳です。その中で現実に政権を取る中で、なかなかそれは難しくて、結果として鳩山政権の末期になりますが、普天間の移設先はやはり辺野古にということで戻ってきたということであります。私(大臣)は、そのことによって沖縄の皆さん方の期待値を上げてしまって、期待値を上げたにもかかわらず、結果的に辺野古に戻ってしまったことに対する怒り、そういったものがあるということは、私(大臣)は否定をいたしません。しかし、さまざまな経緯の中で、私(大臣)も沖縄担当大臣として、外務大臣や防衛大臣が、あるいは官房長官がご努力をされていた経緯というのは、よく見させていただきましたが、そういった中にあって、結局は、苦渋の選択として辺野古に戻ってきたということでございます。それをベースに日米間での合意を行って、そして専門家の協議で8月末にある一定の方向が決まった訳でございまして、我々としては、この日米の合意に基づいて、沖縄の皆さん方にそういった紆余曲折をお詫びをしながら、なんとか受入れていただき、基地負担の軽減にも全力で取り組み、トータルとして沖縄の皆さん方の負担軽減に我々は名実共に努力していくということをご理解いただくために、誠心誠意、応対するしかないのではないかと思っております。

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前原大臣の外交に関する展望

【ニコニコ動画 七尾記者】先ほど岡田前大臣の思いを引き継いでいかれるという話がございました。先ほど、もしかしたら官邸会見でもうすでに申し上げられたかもしれませんが、今ネット中継もしておりまして、改めて前原大臣としてどういう思いで今後、外務大臣を続けられていくのかお話し下さい。

【大臣】私(大臣)の好きな言葉がありまして「外交に敵も味方もいない。あるのは国家利益だけだ」と。この言葉を言った人は旧ソ連のゴルバチョフ書記長でありますけれども、やはりどの国も、当然ながら、外交というのは自らの国益を考えて行っていくことだと思っています。翻って、もちろん、外務省は外交全般を司る役所ではありますけれども、私(大臣)は、なぜ政権交代が起きたのかということを考えたときに、やはり自民党政治における戦略的観点の無さ、行き詰まり、これを変えて欲しいという思いを民主党にいただいたのだと思います。これほど少子化になるまでに、なぜ少子化対策をしてこなかったのか、あるいは高齢化がこれからどんどん、どんどん進んでいくのに、医療、年金、介護という社会保障は足下がぐらついている。そして、会社ならとうに倒産、個人ならとうに自己破産をしてしまうような莫大な財政赤字を抱えている。つまりは、そういった戦略的な視点とマネージメントの無さというものが、国民全体が将来に希望が持てなくなってしまっていて、政権交代が生まれたのだと思っています。では、何が民主党政権に求められているのかと言えば、私(大臣)はやはり、経済の立て直し、これに尽きるのではないかと思っているわけです。したがって、外交面でも如何に経済というものを強くしていくために外交を行っていくのかといったことが、私(大臣)は大事だと思っています。私(大臣)は、マルクス主義者ではありませんが、やはり経済は下部構造であるというのはその通りだと思いますし、下部構造がしっかりしていなかったら、国際政治も出来ない、他国との外交交渉もうまくやれないという面もあろうかと、私(大臣)は思います。そういう意味では、経済の立て直しをしっかりとしていくことが、私(大臣)はこの任期中にしっかり行うための大きな柱になると考えています。したがって、経済外交というものを中核に据えていきたいと思っております。EPA、FTA、あるいは資源や食料の外交、それから日本のもてるインフラなどの輸出、あるいは観光交流を増大させる中で日本の富を増やしていく、あるいは雇用や経済波及効果を大きくしていく、様々な観点から日本の経済を強くするための外交というものを行っていきたいというのが、私(大臣)の外交の中核にあるということをお話させていただきたいと思います。

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竹島問題

【フリーランス 安積氏】竹島問題についてお伺いいたします。政府の見解では、竹島は韓国によって不法占拠されているということになっていますが、岡田前大臣は不法占拠という言葉をお使いになりませんでした。前原大臣はこれについてどのようにお考えでしょうか。

【大臣】竹島の領有権に関する我が国の立場は一貫しておりまして、今後とも竹島問題の平和的な解決を図るために粘り強い外交努力を行っていくということに尽きます。

【フリーランス 安積氏】「不法占拠」とはおっしゃらないのですか。

【大臣】今、お答えをしたとおりでございます。

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北方領土問題

【北海道新聞 島田記者】先ほど質問させて頂いた北方領土の件の続きですが、大臣は北方領土解決に意欲をお持ちだということは重々承知しておりまして、昨年、沖縄北方担当大臣のときに、ロシア側が北方領土を不法占拠しているということを言い続けなければならないという形で発言されて、表明されていたと思います。それで、不法占拠されているということを言い続けなければいけないというお考えは、今も変わりないという認識でよろしいでしょうか。

【大臣】北方領土は、我が国固有の領土であり一日も早い返還を求めていくという今までの政府の考え方に全く変わりはございませんし、私(大臣)もそのことをしっかりと担当大臣として行っていきたいと考えております。

【北海道新聞 島田記者】大臣のその「言い続けていかなければいけない」という発言は、今も生き続けているという解釈でよろしいのでしょうか。

【大臣】繰り返しになって恐縮でございますが、北方領土は我が国固有の領土でございまして、その返還のために担当大臣として努力をしてきいたいと考えております。

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外務大臣会見記録(平成22年9月17日(金曜日)9時40分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)外務大臣の辞任について

【岡田大臣】ちょっと予想外の展開で、大臣を辞任することになりました。この間、皆様にも大変お世話になり、本当にありがとうございました。私(大臣)としては、週2回のこの会見がいいストレス発散の場と言うと言い過ぎですが、皆さんのさまざまな意見も聞けるし、答える中で自分の考え方も整理されるということで大変楽しみにしておりましたけれども、外務大臣としてはこういったことができないというのは大変残念であります。
 ただ、幹事長としても、幹事長はまだ内定ですけれども、党本部では同じようにオープンで従来もやってまいりましたし、今後もやってまいりますので、時にはそちらの方をのぞいていただければと思っております。
 外務大臣として、いろいろなことに取り組んでまいりました。核軍縮・不拡散の問題でありますとか、安保理改革とか、そういったことは、これから1年の柱にしようとしていた政策でありまして、そういったことを後任者に引き継いでいきたいと思います。もちろん、どのように行うかは、新しい大臣の判断が当然ありますので、そこまで私(大臣)がとやかく言うつもりはございませんが、しっかりと引き継いでいただければ、嬉しいということであります。
 心残りは、やはり普天間の移設の問題が非常にしっかりとした展望がないまま代わらざるを得ないということで、この問題には、尚、幹事長として関わっていきたいと思っております。その他、EPA交渉なども、大分、閣僚間で議論したりするやり方が軌道に乗りつつあったわけで、しかし、残念ながら、インド以外は日韓とか、日EUとか、一度取り下げられたものをもう一回机の上に載せる途中の段階で、もう少し前に進める必要があると考えております。
 その他、思い出深いのは、密約の問題で、これは一定の成果を出すことができたのではないかと思っております。最近、栗山元次官が岩波書店から本を出されまして、守秘義務が解けたのでということでかなり詳細に語っておられますが、今回のこの密約についての資料の公開と報告書が、これからの戦後外交の一つの側面をしっかりと深い議論を行っていく、そういうきっかけは作ることができたのではないかと思っております。もちろん、文書の公開ルールを作って体制を整えたことも、非常に思い出深いことであります。
その他、なるべく海外に出るということで、体力の続く限りやってまいりましたが、21回の出張でのべ31か国ということで、後で振り返ると意外と少ないなという感じはしますが、国会の合間を縫って、なるべく現場に行くということは、私(大臣)の体力の限りでは精一杯やったと思います。特にアフガニスタンとかハイチとか、そういった非常に厳しい現場に行ったことも含めて、現場に行くと行かないのでは違いますので、そのことも非常によかったと思います。外務大臣とのネットワークは、かなり出来つつあって、6回、7回会ったクリントン長官や楊潔チ外相、柳明桓外相をはじめ、2回、3回となりますとかなりの外務大臣と会談をしておりますので、お互いの相性とか、そういうものもだんだんわかってきて、信頼関係もできて、それを基に仕事をするというところで代わるのは、残念な気がいたしますけれども、私(大臣)にとっては非常に楽しかったし、貴重な財産であると思います。それぞれの外務大臣というのは一角の人物が多いわけで、大変勉強をさせていただいたと思っております。
 外務省の職員の皆さんは非常によくやってもらいました。私(大臣)は密約の検証作業で誠心誠意やっていただいた職員の皆さんには、心より感謝を申し上げたいと思いますし、そういうことを通じて一定の信頼関係を築くことができたと思っております。女性の職員の働き易さという観点から、中で議論をしたりしたことも非常に印象に残っております。まだまだ実行というレベルでは十分ではありませんが、しっかりと仕事ができる環境を整えていくということも大臣の重要な仕事でありますので、そういったこともまた、後任の方に是非引き継いでいきたいと考えております。官僚の皆さんとは、時には厳しく私(大臣)も申し上げたことがありますが、基本的にしっかりと議論ができたと思います。上意下達というつもりは、私(大臣)は全くありません。一緒に議論をしながら、政策を組み立てていったという印象であります。あまり従来の考え方にとらわれることなく一から議論をするという発想で、いろいろな政策議論をしてまいりましたが、私(大臣)は非常にその議論を楽しみましたし、内容は深まったと思っております。一緒に議論していただき、仕事をしていただいた官僚の皆さんには、心から感謝を申し上げたいと思っております。

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記者会見のオープン化

【フリーランス 岩上氏】会見をオープン化された、その先駆けとなられたわけですが、1年間実際に記者クラブの皆さんとだけではなく、フリーランス、ネットメディア、雑誌の記者たちも交えて、こうした会見を続けられて、大臣はどのようにお感じになられたか。先ほど冒頭でもちょっと触れられましたけれども、もう少しご感想を振り返られて、言っていただければと思います。

【大臣】先ほど申し上げましたように、私(大臣)は楽しみました。大変いろいろなことも教えられましたし、非常にいろいろな幅広い視野から議論をいただいたことを感謝申し上げたいと思います。是非、党本部にもお見えいただきたい。

【フリーランス 岩上氏】今回のオープン化に関しては、岡田大臣の主導というところが非常に大きかっただろうと思うのですけれども、後任の恐らく内定されている前原さんが外務大臣になられるのだろうとは思いますけれども、後任の方にも、こうしたオープン化された会見を引き継がれるようにおっしゃることはあり得るのでしょうか。

【大臣】後任が誰かというのは、まだ決まっておりません。いずれにしても、最終的にどうするかは、それはその大臣の判断でありますけれども、私(大臣)としては、引き継ぎはしっかりとしていきたいと思います。

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米軍再編問題

【毎日新聞 吉永記者】普天間問題ですけれども、民主党政権で、普天間問題について過去の幹事長としては、それほど主体的に関わってこなかったのですけれども、岡田さんは、幹事長としてどのように関わっていこうとお考えでしょうか。

【大臣】政策は政府でありますので、直接幹事長が関わるということでは必ずしもありません。それは、やはり政府の中で決めていただくということです。ただ、当然、党の中には沖縄出身の議員もいるわけですし、沖縄の県連もありますので、さまざまな形で沖縄と関わっていく中で、普天間の問題についても大きな関心を持って見守ると言うべきかもしれません。政策に私(大臣)は口を挟むつもりはないのですけれども、しかし、関心を持ち続けたいと考えています。

【読売新聞 村尾記者】普天間問題でお伺いします。先ほど、政策の方は政府にお任せするということをおっしゃられましたけれども、11月に沖縄県知事選がありまして、これは党としても選挙の責任は当然幹事長がなされると思うのですけれども、沖縄知事選への対応について、現時点のご見解をお聞かせください。

【大臣】まだ幹事長になっておりませんので、中途半端な段階で言及することは避けたいと思います。

【琉球新報 滝本記者】幹事長になっても普天間の問題に関わられたいということなのですが、改めて外務大臣として、これまで1年間普天間の問題も一つ大きかった、冒頭に心残りと仰られましたでしょうか、まだ解決できてないということについて、ご自身で取り組んでこられた普天間問題の取り組み方に、嘉手納統合とか、いろいろな(ことが)過程でありましたけれども、その部分を振り返って、何がうまくいかなかったか、今の現時点になっている状況をご自身で分析されたら、どういうことだったのかということをお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】非常に難しいご質問だと思います。沖縄の皆さんの気持ちは、やはり基地の負担を減らしてもらいたいということです。別にそれは鳩山さんがそのことを強調されたからとか、そういうことではなくて、やはり今まで抑えられてきたものが政権交代を一つのきっかけに、それがより強くなったということで、非常に対応が難しい問題であったと思います。一方で、もちろん日本の安定のためには、米軍の存在が不可欠だということで、非常に難しい二律背反の問題を取り扱わざるを得なかったということであります。嘉手納の統合の話はよく言われますが、会見録などを見ていただくとわかりますように、私(大臣)は、あの時に「県外はない」と、「難しい」ということを申し上げて、それで嘉手納統合は一例であると申し上げたのですが、嘉手納統合ばかりが報道されました。あの時に沖縄の皆さんがいろいろ反発されたのは、嘉手納統合に反発された部分もありますが、「県外はない」ということに、より反発されたのだと思います。しかし、やはり「県外はない」ということはどこかで言わざるを得なかったので、私(大臣)はそういった反発が出るということはある程度想定をして申し上げたことで、やむを得なかったことではないかと、どこかで「県外はない」ということを言わざるを得ないとすれば、やむを得なかったことではないかと思っております。

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大臣の考える今後の主要外交案件

【日本インターネット新聞 田中記者】他省庁に先駆けて記者会見をオープン化してくださった岡田大臣には、ネットメディアの一員として、改めて敬意を表する次第です。
 ここから質問です。もし、この先も外務大臣を続けておられたとしたら、これだけはやっておきたかったという外交案件をいくつか挙げていただけますか。その理由もおっしゃってくださると有り難いです。

【大臣】先ほど大体申し上げたのですけれども、「これだけは」というのはなかなか難しくて、非常に幅広くあるのですが、大きな柱としては、核軍縮・不拡散の問題と安保理改革というのが、マルチの問題では大きな柱になったと思います。あと二国間は、日米(関係)、特に安保50年ということで、同盟深化と普天間問題への対応ということがあります。アジア(外交)は今、中国との間は、例の問題でぎくしゃくはしておりますけれども、基本的には信頼関係を深めてきたと思っておりますので、もう少しダイナミックにアジア外交を展開したかったと思います。その布石ということで、この1か月間でアフガニスタンを含めると9か国を回ったわけで、そういうものをベースにして、21世紀はアジアの時代でありますので、そのアジアを平和で豊かなアジアにする中で、日本の平和と豊かさを確保していくということが、私(大臣)の基本的な考え方でありますので、そういったことをより具体的に進めたかったと思っております。

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核軍縮・不拡散

【中国新聞 岡田記者】先程、大臣がおっしゃったように核軍縮・不拡散を大きな柱にしたかったということですが、この一年間外相として取り組まれてきて、どういう成果、あるいは課題を感じ取って、これから核兵器のない世界に向けてどのようなステップを踏んでいけばいいとお考えでしょうか、ご見解をお聞かせ下さい。

【大臣】そのことは何度も申し上げておりますが、核兵器のない世界を目指すために核リスクの少ない世界を目指すということです。今まで「核なき世界」ということで、そのことを政府もスローガン的には言ってきたと思いますけれども、では、具体的にやっていることを見ると、必ずしもそれに沿ったことではなかったと思います。やはり、大きな将来の目標を掲げるとともに、現実的なステップを踏んでいかなければいけないと、明確な方向性を持った上で現実的なステップということが、私(大臣)がやろうとしてきたことで、その中で核の数を減らす、核の役割を低減するといったことを申し上げてきたわけです。その私(大臣)のことについても、メディアも含めて、それは非現実的であるとか、核の抑止を失わせるとか、そういうご批判もいただきましたが、一方では不十分だというご意見もいただきました。両方から意見が出るところはちょうどいいところではないかというように思います。ただ、政治的に「核のない世界を目指す」という明確な意志を持って着実にステップを踏むという路線、これが定着することを期待しているところです。

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東シナ海ガス田開発

【朝日新聞 鶴岡記者】東シナ海のガス田で中国側がドリルを搬入したと伝えられていますけれども、事実関係のご説明と日本側の対応がありましたらお願いします。

【大臣】ドリルかどうかはわかりませんが、過去になかった新しい機材が搬入されたことは確認されております。その機材の内容については、現在分析・確認中です。生産のためのドリルであって掘削作業が始まったのではないかという見方もありますが、掘削作業の開始というものは確認されておりません。このことに関しては、数日前に確認されましたので、ハイレベルを含めて中国側に対して複数回、この機材の目的等について事実関係の確認の申し入れを行ったところです。中国側からは「修理のための作業を行っている」という説明がありました。この問題は、「もし掘削作業を始めるとすれば、それは約束に反する」と私(大臣)が揚潔チ外相と会談したおりに申し上げてありますので、そういったことはないものと強く期待をしているところです。

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民主党の党外交のあり方

【日本テレビ 野口記者】これから岡田大臣は幹事長になられる訳ですが、党外交のあり方についてお伺いしたいと思います。小沢前幹事長は、大勢の国会議員を連れて中国を訪問されたりしておりましたが、政府として、大臣としての外交活動と比較して、党外交というのはどうあるべきだとお考えかということと、今、構想していらっしゃる「このようにしたい」ということが、もしあればお答えください。

【大臣】率直に言うと、そこまで考えておりません。党幹部が海外に行くということは、これはあっていいと思いますが、与党でありますので、政府ときちんと整合性のとれる党外交でなければならないと思います。議連のあり方等も含めて、どんなやり方がいいのかということをよく検討してみたいと考えております。

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政府と党の一体化

【フリーランス 岩上氏】政府と党の一体化ということがこれまでにもいろいろと議論されておりました。幹事長のまま国務大臣として入閣をして政府と党の一体化を図るという議論もかつて出たことがあると思います。鳩山内閣のときに小沢幹事長、実現はしませんでしたけれども、改めて菅内閣の下でこうした政府と党の一体化について、何かこうした国務大臣として入閣のような手が打たれることはあり得るのでしょうか。また、大臣自身のお考えをお聞かせ下さい。

【大臣】菅政権としては、今までは政調会長の玄葉さんが政府に入るというやり方を行ってきたわけであります。今後もそういう方向ではないかと想像しております。幹事長が政府に入るというのは、なかな時間的に非常に厳しいと思います。幹事長というのは東京にいるだけではありません。地方も行かなくてはいけません。国会に縛られるというのは現実的ではないと、私(大臣)は思っております。

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日米同盟の深化

【テレビ東京 秋山記者】先ほど、外務大臣としてもし続けるのであれば、日米同盟の深化の問題について、やはり取り組みたいというようにおっしゃっておりましたけれども、安保50周年を前に、改めて日米同盟の再定義というものが必要かと思うのですけれども、今どういうことをお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】「再定義」というよりは「深化」なのですね。私(大臣)は再定義は必要ではないのではないかというように思っておりますけれども、より深めるということが重要だと思っております。ただ、今まで高級事務レベルではかなり議論を積み重ねてきておりますので、それを政治レベルで議論するということです。そろそろ一回ぐらいやる必要があるのかな、というように思っておりましたが、いずれにしても、もう私(大臣)は去る者でありますので、今後のことについては、新しい大臣のもとでご検討頂ければいいのではないかと思っております。

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政治家と官僚との関係

【ニコニコ動画 七尾氏】ユーザーの質問を代読いたします。その前に大臣にお答えいただきまして、ユーザーにとっても大きな自信と政治への関心の高まりになりました。どうもありがとうございました。
 最後の質問をしたいと思います。よろしくお願いします。先ほど大臣は、冒頭でも触れられていましたが、官僚との思い出などを語られていました。政治家と官僚との関係というのは、ともすれば、対立軸で語られることが多いのですが、政治家と大臣と官僚との関係について、経験を通して、政治主導や官僚支配という二元論について、実際に活動されまして、どう思われましたでしょうか。

【大臣】私(大臣)は別に、官僚は敵だということは全く思っておりません。しかし、一つは、真剣勝負というか、緊張関係は必要だと思います。それはやはり、信頼関係に裏付けられていなければならないと考えています。いろいろな議論をこの間やってきましたが、私(大臣)も納得すれば、私(大臣)の考え方を取り下げるということもたくさんありましたし、納得しなければとことん議論するというスタイルでやってまいりました。辟易した官僚もいるかもしれませんが、楽しんでいただいた皆さんが多かったのではないかと思っています。あと、外務大臣として心がけてきたのは、外相同士の議論というのは、私(大臣)は「タフだけど信頼できる」と相手から思われる外相になろうと心がけてまいりました。ですから、率直にものを言うこともありましたが、基本的に信頼関係をそれぞれ築いてきたと思っています。

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外務大臣会見記録(平成22年9月14日(火曜日)16時30分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)民主党代表選挙

【岡田大臣】私(大臣)からは2点申し上げます。
 第一点は先ほど終わった代表選です。結果は少し差がつきましたけれども、党員サポーターは票数で言うと6対4、地方議員も6対4、菅さん6の小沢さん4ということでありました。
  党員サポーターは小選挙区ごとに300それぞれ集計をいたしますので、比例で言うと6対4だけれども、そういった小選挙ごとの集計をする結果として、かなり大きな差になったということであります。議員票はわずかに菅さんが上回ったということで、議員票は非常に接戦であったと思います。
 菅さんを応援した立場から言いますと、議員票がかろうじで上回ったことは本当によかったと思いますが、いずれにしてもこの選挙、まず私(大臣)はやってよかったと思います。ときにはやや激しい議論もありましたけれども、二人の候補者がさまざまなメディアを通じて、お互い議論する姿を国民に見ていただいた。そういう議論の中で深まったものもありましたし、私(大臣)はそういう党首選挙を通じて民主党の政策も深まり、国民の理解も増したと考えております。
 大事なことはこれからでありまして、しっかりと、もう選挙は終わりましたので、全員野球で協力をして、我々政権政党としての責任を果たしていくということだと思います。ここで何かもめるとか、ごたごたするということであれば、それは国民の皆さんから今度は民主党が”NO”を突きつけられるということだと思っております。そのために私(大臣)も及ばずながら、党が一丸となってやっていけるように努力をしたいと考えております。

(2)尖閣諸島周辺領域における我が国巡視船と中国漁船の接触事案

【大臣】もう一点は、例の尖閣諸島周辺領域での中国漁船と我が国巡視船との接触事案であります。中国側からはいろいろな要人が来なくなったり、あるいは予定されていた交渉が流れたりということが続いておりますが、この事案は事案として、そのほかの問題とは直接関係ありませんから、冷静に対応していくということが重要であると思いますし、外務省としては、そういう考え方に基づいて対応しているところであります。
 ただ、1点非常に残念なことは、前提となる事実の認識において、基本的な違いがあるということであります。言うまでもなく、中国側は我が方の海上保安庁の巡視船が中国漁船に追突したと報じているわけであります。これは事実に反するということをはっきりと申し上げておきたいと思います。
  これは現時点では公開できませんが、私(大臣)もビデオを見ましたが、ビデオによっても明らかでありますし、ビデオを見るまでもなく、海保の巡視船に付いた傷を見れば、1つは船尾近くに、もう一つは横っ腹にその傷があるわけで、追突するというのは先頭から追突する以外に考えられないと思いますが、もし海保が追突したということであれば、巡視船の船首に傷があるはずであります。横にあったり、後ろにあったりするのは、海保の巡視船が中国漁船に追突したという議論が全く事実に基づいていないということを示すものだと、これはだれが見てもそうだと思いますが、そういうふうに考えております。
  そういう事実関係をまずしっかりと明らかにして、その上で議論がなされませんと、恐らく中国の国民の皆さんの中には、中国側の発表を前提にして、いろいろな議論をされていると思いますので、それは違うということを申し上げておきたいと思います。
  この点については、是非日本のメディアからも、もちろん日本でなくてもいいのですが、さまざまなメディアからも、日本政府は巡視船が中国漁船に追突したとは考えていないということを伝えていただければ、いろいろな誤解が解けるのではないかと考えているところでございます。

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民主党代表選挙

【日本テレビ 野口記者】代表選のことでお伺いしますが、先ほど大臣は、議員票がわずかに菅さんが上回ったことはよかったというふうに仰いましたけれども。

【大臣】菅さんを応援した者としてね。

【日本テレビ 野口記者】その理由といいますか、もし下回っていたらどういったよくないことが想定されたのかということを教えていただきたいのです。

【大臣】もちろん、最終的な決着は全体の得点で決まるわけですけれども、しかし、国会議員というものは一人2ポイント与えられているように重要な位置づけをされているわけで、せっかく全体では上回ったとしても、議員票で下回るということになると、やはりそれだけ力がそがれるということは言えると思います。
 いずれにしても、今回、先ほど言うのを忘れたのですが、選挙をやって、そして、党員・サポーターも含めて、地方議員の方にも入っていただいて、選ばれたということですから、私(大臣)は菅総理が、国会議員だけで選んだ前回と比べて、より正当性を持って力強くリーダーシップを発揮できる。そういう基盤ができたというように考えております。

【琉球新報 仲井間記者】代表選を通じての議論の中で、普天間に対する見解も小沢さんと菅さんで若干の違いが見られたと思うのですけれども、小沢さんは、このままではなかなか合意の実行が難しいのではないかというような見解を示されたこともありましたが、改めて菅さんが選ばれたという結果を受けて、今後、どういうふうに進めていくのか。党の中にはいろいろな考え方があるということが明らかになったという印象も持っているのですけれども。

【大臣】率直に申し上げて、この代表選挙の中で普天間の問題が大きな争点になったかというと、事実はそうではなかったと思います。もし、どちらか一方が「県外・国外」と明確に言っていれば、それは争点になったということだと思いますが、小沢さんの言い方も県外とか国外とか言ったわけではありませんし、日米合意についてもそれを否定したわけではありません。
 そういう意味では、ほとんど同じ主眼、共通基盤の上に立っていたと、菅さんもこれは沖縄の理解がなければ前に進まないと、そういう趣旨のことは言っておられたと思いますので、ほとんど違いはなかったと思います。
 いずれにしても、「県外・国外」とどちらかが言われたわけではありませんので、普天間の問題はかなりの部分共通の認識に立って議論されていったと、そういうふうに考えております。それが沖縄の皆さんから見て、理解できたかどうかということは、これはまた別の話でありますが、客観的に言えば、そういうことだと、私(大臣)は思います。

【毎日新聞 西田記者】代表選の後のことですけれども、事前に菅さんが勝っても、小沢さんが勝っても、どちらが勝っても挙党態勢を組むと両方は仰っているのですが、そこで、挙党態勢というのをどう築くかということで、何らか人事で、そういったことをする必要があるというように大臣はお考えでしょうか。

【大臣】挙党態勢をどう築くかということは、まさしく当選をされた菅さんが基本的にお決めになることであります。もちろんアドバイスは周りであると思いますけれども、基本的には菅さんが決めること。特に人事ということになれば、政府であれば総理、党であれば代表の専権事項でありますので、私(大臣)が何かコメントをするということは控えるべきだと思います。

【西日本新聞 斎田記者】改めて、この代表選で菅さんがこういう結果で勝ったということですが、勝因もしくは小沢さんの敗因、そこら辺はどういうように分析されますか。

【大臣】それは、それぞれの人がいろいろな思いを持って投票していることですので、簡単に総括するのは難しいのですが、やはり菅さんが少し前に選ばれたと、鳩山総理、そして小沢幹事長が責任を取る形でお辞めになって、そして、菅総理が選ばれたと、それからまだわずかな期間しか経っていない、本領発揮はこれからだというように期待された方が多かったのではないかと思っています。

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尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案

【フリーランス 安積氏】尖閣諸島の漁船の問題についてお伺いいたします。先ほど大臣は、残念なことに、前提となる事実の認識の違いがあるということで、中国側が巡視船が追突したと認識していると、それは事実ではなく日本の認識とは違うとおっしゃいましたが、むしろ我が国の領域に対して中国漁船が違法行為を行ったというのが、日本の認識である。中国漁船が日本の領域で違法行為を行ったかどうかというところが、事実の認識の違いではないかと思うのですが、その点についてどうでしょうか。

【大臣】今回、船長が逮捕されていますが、その理由は公務執行妨害です。ですから、どちらが、我々の主張は、公務の執行が中国漁船によって妨害されたと考えて、これを立件しようということですから、それが事実関係です。

【フリーランス 安積氏】それでは、今回のトロール漁船の事件について、中国のトロール漁船は日本の領域を侵していないとお考えなのですか。

【大臣】そういうことを言うつもりは、全くありません。ただ、今回問題になっていることは、船長が身柄を拘束されたということは、その理由は今申し上げたことであるということです。
 先程、正確さを欠いたかもしれませんが、「中国側の発表」と申し上げましたが、これは、「政府」ということではなくて、中国の「報道」が、我が方巡視船が中国漁船に追突した(と報じた)ということです。中国側の報道と私(大臣)は申し上げたつもりですが。

【フリーランス 安積氏】そうしたら、中国の方は、日本大使を4度にわたって今回の件について呼び出しをして抗議をしたということですが、これは中国政府からの抗議ということではないのでしょうか。

【大臣】まず、4回とも呼びだされたというのは、たぶん事実ではなくて、正確には私(大臣)は覚えておりませんが、大使から抗議に行ったという場面もあったと思います。但し、楊潔チ外相、それから戴秉国氏から呼び出されたのは事実であります。その前は確か、大使の方から今回の事案に関して抗議に行ったということだと思います。1回(と)3回なのか、2回(と)2回なのか、ちょっと自信がありませんが、いずれにしても全部が向こうから呼ばれて行ったということでは、必ずしもありません。

【フリーランス 安積氏】報道によりますと、大使は最初に2回の呼び出しが2日続けてあって、それで最後に午前0時に呼び出しがあったと報道ではありました。これはかなり大きなことだと、私は認識しているのですけれども、大使の呼び出しがあったということは認識しているのですが、対して日本国政府は、参事官を呼び出したぐらいで、あとは電話で抗議をされたということでした。国の抗議の仕方のバランスとしては、こちらは、日本国政府としては、要するに侵害された方なのだから、もう少し強く言ってもいいのではないかと思うのですが、バランスが欠いているのではないかということが一点と、中国はこの件について、ずいぶん問題を大きくして国際世論を喚起しようとしているのではないかというような見方もできると思うのですが、日本がこれについて、大臣は「冷静に対処したい」とおっしゃっています。これは、日本が黙っているということは、国際世論に対してどのように大臣は配慮されている訳でしょうか。

【大臣】日本は黙っている訳ではありません。船長を拘束した訳ですし、それから、先ほど申し上げたように、中国で報じられている追突ということも意味が事実と違うということも申し上げている訳です。あとは、皆さまがどれくらい報じるかということにもよるのではないかと思います。先ほど言いましたように、4回とも呼ばれて行ったということでは、私(大臣)はないと思うのですが、1回(と)3回なのか、2回(と)2回なのか、ちょっと承知しておりません。「大使が呼ばれたのだから、日本も呼んだらいいのではないか」というお声もあるかと思います。私(大臣)は別に、そうしなくてもこちらとしては、法に基づいて粛々と進めておりますので、それで十分ではないかと考えております。

【テレビ東京 秋山記者】尖閣諸島の問題ですけれども、先ほど大臣はビデオがあるというように仰っていて、現時点では公開できないというように仰っていましたけれども、この理由をまた教えてください。

【大臣】これは外務省が持っているわけではなくて、海上保安庁が持っているものですが、当然これから裁判において使用されるということになれば、それは公開ということには直ちにはならないということです。訴訟の際の証拠資料になるわけですから。ただ、へっこみ具合を見たら、誰が見ても明らかだと私(大臣)は思うのですが。追突して横がへっこむというのはどういう場合なのか、私はよく想像できないのですが。後ろもそうです。追突されたという意味であって、追突したではないでしょう。

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米軍再編問題

【琉球新報 仲井間記者】普天間問題について伺います。今朝の官房長官の会見で官房長官が「8月末に発表された専門家会議の検討結果はオスプレイの配備を前提に検討結果が出されているものだ」というようにおっしゃったのですが、公表された報告書はオスプレイについては特に明記されてはいないと思うのですが、何をもって官房長官はそのような前提に検討したものだというように認識しているのかということと、また大臣も同様のお考えなのかということをお聞きします。

【大臣】その官房長官の会見は私(大臣)も承知しておりますけれども、事実関係についてわかりませんので、官房長官によく問い合わせてみたいと思います。別にオスプレイが前提になって専門家同士が議論したというようには必ずしも思っておりません。

【琉球新報 仲井間記者】同じ会見で、もしオスプレイが配備されるとなったら、追加アセスの必要性が焦点になってくると思うのですが、そのアセスの必要性についても官房長官は、追加アセスをすることでアセスの日程がずれ込む、という認識は持っていないというようにお答えになっています、これは追加アセスは必要ないというように理解できるのですが、その辺りも政府内で見解は統一されているのでしょうか。

【大臣】官房長官が「追加アセスが要らない」とまで言ったかどうか、そのようには私(大臣)は必ずしも受け取っていないのですが。いずれにしても埋め立ての面積とか、滑走路の長さの変化とか、そういう基準で言うと、追加的なアセスが必要でないという、一定の枠の中に入ってくる可能性があるのです。しかし、これはアセスそのものだけではなくて、騒音とか危険性とか、そういう問題も当然伴うわけですので、アセスをどうするかということは別にして、そういったことについてきちんと具体的にどういう飛行経路になって、その時に騒音がどのくらいになるのかということについては、しっかりと事実関係を明らかにすると、もしオスプレイがきちんと配備されるということになって、どのくらいのタイミングで何機入ってくるかによって変わってくると思いますが、そういうことがはっきり決まってきたところで、そういうことについて調査を行って、アセスの調査とは違う意味で申し上げておりますが、調査を行って、そして地元にも当然説明をしなければいけないと思っております。

【日経新聞 山内記者】先日、名護市長選での結果について、受け入れ反対を掲げる市長派が勝利する結果になりました。これについて菅政権にとっても普天間問題は引き続き最大の外交課題の一つになると思いますが、今後、何に対して優先順位をつけて取り組んでいくのかをお願いします。

【大臣】市議会議員選挙の結果は名護の皆さんの民意ですから、それは重く受け止めなければいけないと思います。しかし、具体的な説明というのは、まだこれからであります。理解を求める努力というのは、これからですので、それは粘り強くしっかりと行っていきたいと思います。

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ボズワース米国政府北朝鮮特別代表の来日

【共同通信 比嘉記者】本日、米国のボズワースさんが外務省にいらして、アジア大洋州局長と会談をされています。ご承知の範囲で結構ですので、会談の目的、意義と日本政府の立場を改めてお願いします。

【大臣】まだ、私(大臣)は会談の結果を確認しておりませんので、特に申し上げることはありません。やがて報告が上がってくると思います。ただ、日米韓の三カ国の間で今、考え方に開きがあるわけではありませんので、新しい話が出るというよりは最近の北朝鮮の動き、例えば中国に行った件とか予定される大会の見通しとか、そういうことについて、いろいろ有益な話が伺えるのではないかと思っております。

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外務大臣会見記録(平成22年9月10日(金曜日)16時30分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)への国際平和協力隊の派遣について

【岡田大臣】それでは、私(大臣)からは2点。
 第一点は、本日の閣議で東ティモールの国際平和協力法に基づくUNMITへの軍事連絡要員として、自衛官2名を派遣することに関して、私(大臣)からも発言をいたしました。
 東ティモールの平和と安定は、アジア太平洋地域の平和と安定にとって重要です。こうした観点から我が国は、同国独立前から自衛隊、文民警察、選挙監視団の派遣や総額250億円以上の経済協力の実施など、同国の国造りに積極的に貢献してきており、同国関係者からも高く評価されています。
 今回、UNMITへ軍事連絡要員を派遣することは、同国の国づくりへのさらなる貢献になるとともに、我が国の平和構築分野での貢献に関する国際社会の評価を一層高めるものとなります。今後とも我が国は国際社会と協力し、東ティモールの平和と安定に向けて、積極的に取り組んでいく所存であります。こういう趣旨の発言を行ったところであります。

(2)尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案について

【大臣】もう一点は、尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案に関しまして、7日に発生した尖閣諸島周辺我が国領海内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案につきましては、これまでも我が方より本件事案の発生は極めて遺憾であること、また、再発防止のための中国漁船への指導・監督の徹底を累次強く申し入れてきたところであります。こうした中で、中国国内において我が国巡視船が中国漁船に衝突させたとの報道がなされておりますが、これは事実に反します。巡視船の損傷を見れば明らかであります。そういった報道がなされていることは極めて遺憾であります。我が国としては事態をこれ以上エスカレートすることは望んでおらず、中国が冷静かつ慎重に対応することを求めたいと考えております。

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尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案

【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】2004年に7名の中国の活動家が尖閣諸島に上陸しました。あの時はすぐ釈放されたのですけれども、今度は送検されました。どうしてなのかというと、やはり民主党政権は尖閣諸島問題に対して民主党はより強硬という感じがあります。これについて大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

【大臣】この問題は政権がどうのこうのということではありません。法に照らして粛々と必要な措置をとっていくということです。

【日経新聞 山内記者】本日ですが、揚潔チ外相が丹羽大使を呼び出されて抗議されたということがありますけれども、これについて大臣のお考えと、何かこれに対する対応があれば教えてください。

【大臣】大使が外相に呼ばれてということは承知しております。我が方の考え方は先ほど申し上げましたように、そもそも我が国巡視船が中国漁船に追突させたという報道も含めて、事実に反することであるし、我が国領海内における公務執行の事実があったので、法に基づいて粛々と対応しているということであります。
 そういう観点からすると、そういった、外相が大使を呼ばれたということは、我々の判断からすると遺憾なことだと思いますが、それはそれとして我が国としては冷静に対応したいと考えています。

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米軍再編問題

【共同通信 比嘉記者】普天間飛行場の移設問題に関連して伺います。
大臣は昨日の国会の委員会で、飛行経路について自民党政権時代に説明してきた台形型の飛行経路と、米側の認識との違いについて述べられたのと、オスプレイの配備の可能性にも触れられて、それによっても飛行経路が変わるかもしれないというお話をされましたが、そもそも確認ですけれども、飛行経路が日本と米国で異なってくるというのは、オスプレイが配備される可能性があるから異なってくるのでしょうか。それともオスプレイが配備されなくても日米では違いがあるのでしょうか。

【大臣】事実関係ははっきりしないのですが、オスプレイの問題だけではないと思います。日本としては台形で日米が共通の認識だと考えていたわけですが、必ずしも米国はそうではないということであります。そのことに加えてオスプレイの配備ということになれば、また新しい要素も加わりますから、更に変わってくることになると思います。

【共同通信 比嘉記者】日本側が台形と説明してきていたのに対して、米側が別の認識を示しているという違いというのは、どこから生まれているのでしょうか。

【大臣】そこは実は余りはっきりいたしません。日本側としては、やはり住民への影響が最小限であるようにということで、ぎりぎりの線引きを行ったと思われます。これは旧政権の自民党、あるいは自公政権の時代でありますので、詳細は私(大臣)も承知していないのですけれども、米国側がより安全を見て、運用上の必要性ということで、違う考え方を持っていたのかなと思います。
 ただ、一旦合意したという話も聞いておりますので、その辺の詳細は、実はよくわからないというのが率直なところです。それを詰めてみても、恐らく双方の言い分が違う以上、ひとつの答えにはならないのかなと思っております。そういう日米の認識が違うということも含めて、きちんと国民に正直に申し上げて、そして米国側の運用上の必要性と、それから新しいオスプレイを配備するということであれば、そのことも加味し、同時にまだ住民への影響が極力少ないと。どういう線引きになるのかというのは、これから飛行経路について両国で話し合い、そして合意ができたところできちんと国民に説明することが重要だと思っております。
 オスプレイが配備される可能性があるにもかかわらず、国が言ってこないからないのだとか、そういう言い方は、私(大臣)は望ましくないと考えております。

【琉球新報 滝本記者】今のオスプレイの件に関連して、国防総省の報道官の方が、日本に配備する計画で、日本側にも伝えてあるという発表というか、オンで話をされていましたけれども、日本側が連絡を受けていらっしゃるのか。受けているとすれば、何年からどこに配備するのかというお話になっているのかということをお伺いしたいです。

【大臣】まだ私(大臣)は承知しておりません。ただ、私(大臣)がその前からオスプレイの配備の可能性ということを申し上げているのは、米軍が次第にヘリをオスプレイに置き換えているという事実を見れば、日本においてもそうなる可能性が高いということで申し上げてまいりました。
 今回のご指摘の発言については、どういうようにそれをとらえるべきかということですが、国防省のモレル報道官も、いつ、どこに、どのように配備するかは今後決定される事項であると発言しておりますので、どういう形で、恐らく具体的なことは言っていない。配備される可能性、あるいは配備されるということをどこかのレベルで言われたと思いますが、詳細は私(大臣)も承知しておりません。

【時事通信 水島記者】オスプレイについては、開発段階で事故が相次いだということで、特に沖縄では安全性への懸念というのが強いと思うのですが、大臣が把握していらっしゃる範囲で、オスプレイの安全性の問題というのはどのようなものなのでしょうか。

【大臣】それもこれから配備をされるということであれば、議論になるのだろうと思います。しかし、開発された当初は、事故が数多く起きたということは承知しておりますが、最近そういうように安全性に問題があるとは、必ずしも承知をしておりません。そもそも安全性に非常に問題があるのであれば、それほど積極的に配備されることはないだろうと思いますが、実際に配備をされるということが正式に決まるということであれば、そういうことについてもよく確認をしてみたいと思います。

【時事通信 高橋記者】大臣は昨日の委員会でも、今の会見でも、オスプレイ問題は旧政権の対応について、言ってこないからないというのはよくないと。このオスプレイの問題は、密約の問題と違って、リアルタイムの問題でして、つまり民主党政権にとっても1年になっていますし、5月の合意の後に専門家協議というものをまさにして、リアルタイムの問題なわけです。ですから、民主党政権が米国に対してどうなっているのだと問いただして、そして地元にも(説明)する責任が既にあると思うのですけれども、現政権の責任についてはどうお考えですか。

【大臣】私(大臣)が申し上げたのは、オスプレイについて問題になったときに、そういう対応をしてきたことはよくないと申し上げたわけで、今の民主党政権になって、同じような対応をしているわけではありません。オスプレイについて、米国が言ってこないから、それはないのだという言い方はしていないはずであります。
 それ以上のことは、本日の報道官の話にもありますが、どのレベルで、どのぐらい煮詰まった話なのかということは、よく聞いてみたいと思います。しかし、常識で見て、可能性は高いということは、私(大臣)そう思いますし、そういうように申し上げているわけでございます。

【朝日新聞 鶴岡記者】オスプレイの、最初の質問の飛行ルートについての確認ですけれども、8月末までの専門家検討では、飛行ルートについて、オスプレイの配備も米国から伝えられて協議をしていたのでしょうか。あるいは通常のヘリに限定した飛行ルートだけを協議していたのでしょうか。

【大臣】私(大臣)は専門家会合の詳細を承知しているわけではありませんが、米国の述べた飛行ルート、つまり台形ではないということの理由の一つにオスプレイの話が、その可能性があったというように聞いております。それが明示的に、そのことが触れられたかどうかというのは必ずしもはっきりしておりません。かつ、それだけではないと。米国の台形ではない飛行ルートというものは、オスプレイの話だけではないというように聞いております。
 つまり、これは運用上、どこまで余地を取るかという話と、それから、住民への影響を最小限にするかという、その中での線引きの話でありますので、米国側としては運用上の余地をなるべく確保したいということで、今までの台形ではない案を、従来からそう主張していたのかもしれませんが、今回、日本の台形案で合意していないという言い方で言ってきたというように考えるべきであると思います。

【琉球新報 滝本記者】先ほどの大臣のご発言で、高橋さんの質問での、民主党政権になってからの責任という議論の中で、民主党政権の中でそういう議論にならなかったから、オスプレイが問題にならなかったから、そもそも浮上していなかったんだという趣旨の話でお伺いしましたけれども、ただ、沖縄の方では、このオスプレイの配備については、環境アセスの中にそもそもオスプレイの記載がないということで、ずっと、この環境アセスが欠陥ではないかということの指摘が民主党政権になってからもずっと続いてきていて、そういう声があったことは、大臣がそこをご承知ないと言われればそれまでかもしれませんが、その問題点の指摘はずっと沖縄側から上がっていたはずではあるのですけれども、そこの部分を踏まえても、民主党政権の中でそもそもオスプレイが問題になっていないというご認識でいらっしゃるのでしょうか。

【大臣】具体的な環境アセスというのは辺野古沖の合意された案についての環境アセスの話でありますから、そこをそもそもどうするかということをこの1年間、議論してきたわけですから、日米で旧政権時代に合意した辺野古沖への移設でいいということであれば、それについて何か説明する必要はあると思いますけれども、そもそも、そこの議論をしているときに、それを前提にしたオスプレイの飛行ルートの話をする、あるいはオスプレイが入ってきたらまた変わるとか、変わらないとか、そういう議論はする余地がなかったと言うべきであると私(大臣)は思います。

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竹島問題(防衛白書の公表)

【AP通信 湯浅記者】竹島問題ですけれども、本日の防衛白書の竹島の明記のことについて、先ほど韓国の政府が強い遺感と、日本政府に対する明記の撤回を要求したことについて、大臣の見解を教えていただけますでしょうか。

【大臣】これは従来と同じ表現であります。竹島については、日本国政府としては、従来の日本の領有権については主張しているわけで、しかも表現は昨年と何ら変わっていないわけですから、それ以上のことは申し上げようがないです。我が国固有の領土であるということは、従来から白書に書いているところでございます。

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沖縄政策協議会の開催

【琉球新報 滝本記者】本日、沖縄政策協議会が午前中に開かれましたけれども、その中で、普天間移設については、当面協議しないと、現時点では協議しないというようなスタンスの中で始まっていますけれども、こちらは沖縄振興ということを中心に話していくということが示されていますけれども、その基地負担の軽減という部会が新たに設けられて、その中で、普天間の現状の危険性除去ということも話し合われていくのかなとも思うのですけれども、その延長には、やはり日本政府としては、危険性の除去というのは、代替施設の建設によって危険性除去を図るというスタンスでやる流れの中では、やはり普天間移設ということも今後政策協議会の中で話をして、沖縄の理解を求めていくというスタンスになるのかなと思うのですけれども、その辺は大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)の考えは特にございません。官房長官が発表されたとおりです。

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日本振興銀行の破たん

【時事通信 高橋記者】本日、日本振興銀行が破たんいたしまして、これについて、小泉政権時代の小泉・竹中路線の弊害ではないかというような見方も出ておるようですけれども、外務大臣としてというよりも、元民主党の代表経験者として、かつて小泉政権と対峙されたご経験から、どのように見ていらっしゃるのかというのをお聞きしたいと思います。

【大臣】なかなか難しいご質問ですけれども、ただ、銀行が破たんしたというのは、やはり経営の問題、あるいは銀行そのものの制度設計というか、そういうものもあったかもしれませんが、小泉路線、あるいは小泉・竹中路線なるものが一体何なのかということにもよると思いますが、それに直接結び付けるだけの根拠は、私(大臣)は持ち合わせておりません。もちろん、竹中氏と非常に近かった人物が、事実上の創始者であり、経営にもタッチしていたわけですけれども、そのことをもって小泉・竹中路線の間違いであるとまでは言うつもりは、私(大臣)は特にございません。

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外務大臣就任1年目の評価

【毎日新聞 西岡記者】民主党政権になって、間もなく1年が過ぎようとしていますが、この1年間を振り返りになられて、外務大臣としての自己評価というものをお聞かせ願えないでしょうか。

【大臣】私(大臣)なりにやれることは精いっぱいやってきたと思います。いろいろなことに取り組んでまいりましたけれども、これ以上やれと言われても、多分私(大臣)の能力では精一杯やってきたと思っております。外務省の皆さんも一生懸命にサポートしていただいたし、ぎくしゃくすることはしょっちゅうですけれども、しかし、全体として見れば、全員野球で外交に取り組んでくることができたのではないかと思っております。

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離島の国有化計画

【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】日本政府は2011年3月までに25の離島を国有化する計画があります。これは日本外務省に関係しているかどうかわからないのですけれど、関係があれば尖閣諸島も含めて25の離島について、私の知る限り尖閣諸島は今、埼玉県の栗原氏の個人の財産ですけれど、他の国有化したい離島は、地方自治体の財産ですか、個人の財産ですか、答えていただきませんか。

【大臣】私(大臣)は承知しておりません。それは事実関係ですから、私(大臣)ではなくて事務方に聞いていただければと思います。国土交通省に聞いていただければ、はっきりすると思います。

【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】これは国土交通省に関係しているのですか。この問題について、どちらの省庁に照会すればいいですか。

【大臣】もちろん、政府全体ですが、考え方としては国土交通省だと私(大臣)は理解しておりますが。

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鈴木宗男議員の上告棄却

【週刊金曜日 伊田記者】鈴木宗男衆議院外務委員長が、最高裁で上告の棄却の決定がでたことについて、外交上どのような影響があるかについてお聞きしたいと思います。棄却という決定が出た一方で、本日、厚生労働省の元局長の村木さんに対する無罪判決に象徴されるように、かなり検察の無理な調書重視の推理ありきの取り調べがあったのではないかと、それは鈴木さんにもあてはまるのではないかというような報道も見られます。ご本人によると、ロシアの知人等からもだいぶ激励の電話等がかかってきているというようにも伺っていますけれども、この一件が外交上どのような影響があるのかということについて、岡田大臣のお考えをお聞かせ下さい。

【大臣】鈴木さんは委員長として今まで活躍して来られましたし、委員長の立場ということも含めて、かなり頻繁に海外に出ておられましたので、そういう意味では外交上の影響がないわけではございません。ただ、最高裁において一つの判断が下されたということであれば、それは当然尊重されるべきであると考えております。昨日も申し上げましたけれども、その可能性があるという方を公職と言いますか、外務委員会の委員長にしたということは、私(大臣)も賛成した一人でありますが、やはり残念なことであったと、国会の権威という観点からみても、それは本来避けるべきことであったというように思っております。村木さんについては、無罪の判決が出たことは非常に喜ばしいことだと思います。私(大臣)も知らない人ではありませんし。これからどうなるかわかりませんが、何故そういった無理な捜査が行われたのかということについては私(大臣)も非常に関心を持っているところでございます。

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日米地位協定の改定

【週刊金曜日 伊田記者】そういった無理な取り調べが行われる可能性があるということ、つまり、日本の捜査のあり方、この辺りに対する諸外国、特に米国からの見方が日米地位協定などの改定を妨げる要因になっているというようなお考えはありますでしょうか。つまり、日本側の捜査権の話ですけれども、そういうようにすぐに日本側に身柄を渡すと無理な捜査が行われてしまうのではないかというような懸念が米国側にあることによって、日米地位協定の改定が遅れているのではないかという見方に対しては、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】そういう見方は初めて聞きましたけれども、私(大臣)は基本的に司法というのはきちんと機能していると思います。もちろん、検察に行き過ぎがあることもありますが、最終的には判決という形で裁判所の判断で是正されると考えておりますので、今の日本の司法制度に対して、私(大臣)は基本的に信頼を置いているということを申し上げておきたいと思います。ただ、検察のいろいろな取り調べの中で行き過ぎがあるとすれば、それは可視化ということの必要性、これは民主党としてはそのことを主張しているわけです、そのことをより強く認識させるものであると思っています。

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外務大臣会見記録(平成22年9月3日(金曜日)13時50分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)対イラン国連安保理決議付随措置について

【岡田大臣】まず、本日の閣議において閣議了解を得たわけですけれども、イランの核問題に関する安保理決議案第1929号の履行に関して、政府として、8月3日に閣議了解を得た措置に加え、安保理決議による要請等を踏まえ、安保理決議に付随する措置として、不拡散、金融、貿易、運輸、エネルギーの分野において諸般の措置を取ることといたしました。本日、閣議において、これに関連する閣議了解を行ったところであります。
 官房長官も既に記者会見で述べておりますので、内容については特にご質問があれば申し上げたいと思います。

(2)北方領土への渡航について

【大臣】2番目は、同じ閣議において、我が国企業関係者などによる北方領土への渡航について、ここでも問題になりましたが、複数そういう事例が確認されましたので、そのことについて平成元年の閣議了解を尊重して、北方領土への入域を自粛している他の我が国国民との関係でも問題であるということで、そして、北方領土の現状をあたかも追認したととられかねない行為であるということで、戦後65年以上にわたり、一貫して北方領土問題の解決を目指して努力してきた我が国国民の悲願に水を差す行為であるということで、閣議において私(大臣)から関係大臣に対して、北方領土問題に対する我が国の立場を十分に踏まえ、我が国の国民がロシアの出入域手続に従った北方領土への訪問を行わないよう周知徹底を図ることを要請するとともに、特にそのような訪問の計画を有する企業等が見られた場合には、当該訪問を助長するような事業協力を厳に慎むよう、政府として当該企業等に対する指導を行うように要請したところであります。
 また、本日、当省及び内閣府から、各府省及び各都道府県・政令指定都市に対し、改めて平成元年の閣議了解の趣旨の周知徹底を要請いたしました。この機会に、国民の皆様におかれては、北方領土問題に関する我が国の立場を踏まえ、そのような立場を害する形での北方四島への渡航は自粛されますよう、改めて要請いたします。

(3)ドイツ訪問について

【大臣】3番目は、私(大臣)のドイツ訪問に関して、9月6日の夜遅くから9月8日の昼過ぎまでの日程でドイツを訪問いたします。滞在は7日のみということで、ヴェスターヴェレ外相との間で二国間関係、特に国連において開催予定の少人数の核軍縮・不拡散に関する新しいグループに是非参加をしてもらいたいということで、それに関する話と安保理改革、以上の2点が中心ですが、日EU経済連携に関しても、よく意見交換をしていきたいと思います。
 そういったことを中心に、本年3回目の意見交換を行うということであります。そのほか、旧知のヴルフ大統領への表敬、ブリューデレ経済・技術相との会談などを予定しているところであります。
 来年は日独交流150周年ということで、両国の強固なパートナーシップを更に強化する考えであるということであります。

(4)日・カリコム外相会議について

【大臣】日・カリコムについては、もう既に報じられているところですが、2000年の第1回以来、10年ぶりに第2回の日・カリコム外相会議を開催いたしました。
 議論したのは、環境・気候変動や経済危機、ハイチ復興支援といった問題であります。
また、この機会に、この外相会議に参加をしたすべての外相と個別に会談を行い、各国との二国間関係、安保理改革、あるいは気候変動などの議題について、貴重な意見交換を行うことができたということであります。

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対イラン国連安保理決議付随措置

【共同通信 比嘉記者】イランの追加制裁についてお伺いしたいのですが、今回閣議了解されましたのは、安保理決議に付随する措置ということなのですけれども、これは大臣がこれまで仰っていた、日本独自の追加制裁ということなのでしょうか。それとも、それはまた別にお考えなのでしょうか。

【大臣】正確に言うと、付随措置です。安保理決議に付随する措置として行ったというようにご理解いただいた方がいいと思います。

【共同通信 比嘉記者】そうしますと、日本独自の制裁というのは、また新たに考えられるのでしょうか。それとも、もうこれで終わりということでしょうか。

【大臣】この付随措置は、各国それぞれ濃淡はあるわけで、これでとりあえずのイランに対する措置というものは、それ以上のことを今、考えているわけではありません。

【共同通信 土谷記者】イランの制裁についてですけれども、今回の制裁が日イラン関係に与える影響があるのかないのか、また今回の制裁に配慮した点があるのかどうか、その辺を教えて下さい。

【大臣】イランがどういうふうに考えるかということは分かりません。これから我々が閣議で決めたばかりですから。ただ、国際社会が一致をして国連決議に基づいて行うことでありますので、イランにはそのことを真剣に受け止めていただいて核開発疑惑というものに対して疑念を払拭する努力をしてもらいたいというように思います。これは長くイランとの関係を築き上げてきた日本としての、友人としてのイランに対する期待、希望でもあります。

【日経新聞 山内記者】今のイランの制裁についてですけれども、今回の制裁にはエネルギー関連の新規投資の抑制なども盛り込まれていると思います。これについて過去にアザデガン油田のような例もありまして、日本企業が制裁措置で自粛している間に中国の企業に遅れをとってしまうのではないかという懸念も当然ながら出ています。これについての大臣のお考えをお願いします。

【大臣】今回は安保理で決めた措置に付随するものでありますので、特定の国だけが、そのことによって利益を得ないようにということは、我々も問題提起をし、そういったことも踏まえながら、この安保理の決議ができているというように考えております。

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民主党代表選挙

【フリーランス 岩上氏】代表選に関連してご質問させていただきたいと思います。
 菅総理、小沢前幹事長、両候補とも政策を発表いたしました。おととい共同会見、昨日は討論会も行われまして、両者の所信というのが明らかになったところで、岡田大臣としては、菅総理を支持するということは表明されておりますけれども、政策としては、どちらの候補にご自身は共感する、あるいは賛成できるところがあるのか。その中身に分け入ってお話し願えないかと思うのですが、よろしくお願いします。

【大臣】外務大臣としての立場で見ると、余り外交関係は大きな議論にはなっていないと思います。ただ、普天間をめぐる沖縄の基地の問題に対して、もちろん菅総理は5月の日米合意を尊重してやっていくという、従来からの政府のポジションを述べておられるわけでありますが、小沢さんの方は、沖縄と米国が合意できる案ということで言われましたけれども、具体的に何かあるわけではないと昨日述べられましたので、考え方としては、当然それは沖縄にも理解を得て我々は進めようとしているので、米国と沖縄が双方受入れ可能な案という考え方で、今、進めているわけであります。
 日米合意についても、それを白紙にするとかそういうことではないと小沢さんは仰いましたので、普天間移転については実質的には余り差がないのかなと思います。多分、余り変わらないのだろうなと思っております。
 私(大臣)としては、今政府が日米合意を取りつけて、沖縄にこれから理解を得ていくという、それ以上のことというのは、少なくとも私(大臣)の能力の限りではあり得ませんので、ほかにもっといいのがあれば是非教えていただきたいと思っています。
 本日、(小沢前幹事長は)沖縄の海兵隊の話をされたと聞いております。ニュアンスの問題はありますけれども、実戦部隊は必要ないと言われたと。その前提として今2,000人しか沖縄にいない。これは事実誤認でして、今でも約1万人の海兵隊は沖縄におります。ですから、事実をきちんと押さえて発言された方が誤解がないのではないかと思っております。
 我々は沖縄の海兵隊を抑止力として必要であると考えておりますが、グアムに移るのではないかというお話もありますので、グアムに移るのは司令部系統の部隊が中心で、実戦部隊は引き続き沖縄に残るというのが日米の合意であります。
 それが必要ないということであれば、抑止力との関係でどういうように説明されるのかというところは個人的にはといいますか、外務大臣として関心のあるところです。

【フリーランス 岩上氏】小沢さんの発言の中で日米従属関係ではなく、対等な関係であるべきだというような趣旨のことを仰られております。これは現状認識なのか、それともそうあるべきだということを仰っているのか若干わからないところもありますけれども、この日米関係そのものは現在どういう関係にあるのかという認識について、岡田大臣からも一言教えていただけないでしょうか。

【大臣】1年以上前のことは、旧政権時代のことは私(大臣)はわかりませんが、現状において従属だとか対等でないというのは事実に反すると。少なくとも私(大臣)の実感とは全く違うということははっきり申し上げられると思います。

【琉球新報 滝本記者】代表選に関連しての菅首相の発言で、沖縄の理解を得るためにはグアム移転や北部訓練場など負担軽減があるのですけれども、そのグアム移転も優先的に実施できないかという発言が昨日の討論会でもあったと思うのですけれども、従来、普天間移設、代替施設の移設完了後というような形のパッケージ一括実施ということになっていたと思うのですけれども、菅総理の言い方だと、普天間の移設等の進捗とは別にしても、グアムを優先的に沖縄の理解のために進めるというようなことにも受け取られかねないかなと思うのですが、そのことについては従来の姿勢から1歩踏み込んだ形になっているのでしょうか。

【大臣】私(大臣)、そこのところは直接発言を聞いておりませんので、よくわかりませんが、一方で、それは普天間のことと、普天間でいろいろものが進まないときに、とにかく負担軽減を先にやっていくという意味ではわかりますけれども、相手のある話ですから、それが相手が飲み得る話なのかどうかということと、結果的にそのことは普天間の移転を遅らしてしまうということになりかねないということもよく気をつけておかなければいけない問題だと思います。つまり、現状固定ということになってしまうということは困るわけですから。

【琉球新報 滝本記者】今の同様の質問に対して北澤防衛大臣は日米合意そのものはパッケージであるのだから今すぐどうこうということは難しいのだけれども、代替施設がある程度担保されたら優先的に議論できるかどうかということは、そういうことが議論があっても不思議ではないという言い方をされたのですけれども、つまり、全くまだ今のところ膠着状態で進まない中では難しいけれども、ある程度めどがついたらそういうことを先にどうなのかということを対米に働きかけるということの可能性に触れたと受け取ったのですが、その点について外務大臣としてはどういうようにお考えでしょうか。

【大臣】そういう考え方はよく理解できます。

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児童の性的搾取と表現規制

【週刊金曜日 伊田記者】以前から持ち越しになっていたことについてお聞きしたいと思います。ネット等で初めて見られる方もいらっしゃるので初めから述べさせていただきます。2008年11月にブラジルの都市リオデジャネイロにおいて開催された第3回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議において、外務省はステートメントとしてこういうふうに発言されております。
日本語の仮訳の方ではこういう表現になっております。「漫画、アニメ、ゲーム等ではしばしば児童を対象とした性描写が見られます。これは現実には存在しないコンピュータ等でつくられた児童が対象ではありますが、児童を性の対象とする風潮を助長するという深刻な問題を生じさせるものであります。」
ここは英語の原文の方では「it surely raises serious problems」。仮訳の方には入っていないと思われます「surely」という言葉が入っていまして、確実に性的な風潮を助長すると外務省の方で2008年に述べられておりますけれども、この科学的根拠についてお教えください。

【大臣】科学的根拠といいますか、児童そのものの場合と、そういった漫画とかアニメという場合で直接の被害者というのは児童そのものの場合と比べて存在しないという違いは確かにあります。ただ、そういった児童ポルノという意識を蔓延させるという効果においては、実際のものであっても、あるいは漫画、アニメといったものであっても、それは変わらないということだと思います。したがって、そういった状況を助長しないという意味においては、そういったものについても含めて、議論の対象にしていくという考え方を述べたものであります。

【週刊金曜日 伊田記者】先ほど岡田大臣は、「実際に児童ポルノと漫画といった創作物の間で、助長するという効果があることは変わらないということだと思います」と、
私が聞いているのは、変わらないという科学的な根拠については、例えば社会学者の宮台真司さんなんかは、この100年間社会学でそういう調査をしてきた。ところが、もともとそういった趣向がある人間に引き金を引くようなことはあり得るけれども、それを助長することはついに証明できていない。それから、最近の研究ではそういったものがあることで、実際の犯罪にいかないで代替措置としてそれで満足してしまい、そういったものを禁止した国の方がかえって犯罪率が上がるというデータも出ております。
つまりお聞きしたいのは、確かに私はこういった表現はひどいという表現物はあると思いますが、それが確かに助長するのだという科学的な根拠について、お教えください。

【大臣】そこは学者の中でさまざまな議論があると思いますので、ここでそういった科学的根拠について証明しろと言われても、それはなかなか簡単なことではありません。
 しかし、実物だからだめでアニメーションだからいいというのは、私(大臣)個人的には非常に考えにくいことだと思っております。違う意見もあると思いますが、しかもこれは表現の自由に関わる話ではありますけれども、私(大臣)にはその違いが大きくあるとは思いません。

【週刊金曜日 伊田記者】来年の概算要求の中で、経済産業省がクール・ジャパンを売り出すのだということで、そういう漫画、アニメの振興についてかなり積極的に日本政府としても取り組むというような姿勢を示しております。そういったものと今回のこういった規制が、全く矛盾しているのではないかとも思いますけれども、大臣としてはいかがでしょうか。

【大臣】矛盾しているとは思いません。それは物事の中身によって一般に言うアニメとか漫画というものを、国際的にPRしていくということと、その中身がいかなるものであってもいいということは、それは違うと思います。

【AP通信 鈴木記者】漫画、アニメにおける児童を対象とした性描写についてですが、「アニメだからいいとは個人的には考えにくいと思う」というご発言がありましたが、それでは、大臣は、こういった描写はよくない、反対である、禁止すべきであるという個人的なお考えをお持ちなのでしょうか。

【大臣】そういうことは、私(大臣)は何も語っておりません。それは、まさしくこれから議論していく話であります。ただ、被害者が直接いない、いるの違いはもちろんありますが、しかしアニメや漫画の描写も、特に最近はいろいろな技術の発展によって、本物か、あるいは人工的につくり出されたものなのかということの差もほとんどなくなってきておりますので、そこできちんと分けるという考え方は、私(大臣)はよく納得できないのです。それが社会的に及ぼす影響という観点から見たら同じではないかと、あるいはかなり近いのではないかと、そういう気が私(大臣)はしています。

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北方領土問題

【時事通信 高橋記者】北方領土に関する今朝の閣議に関連してお伺いしますけれども、現在元島民のビザなし渡航というのは一定の枠組みなんかがありますが、衆院の外務委員長の鈴木宗男さん辺りから、もっとこの枠組みを拡大するというか、閣議決定自体を見直してはどうかという意見も出ていますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

【大臣】閣議決定を見直すというのは、見直す中身にもよりますが、北方領土があたかもロシアの一部であると誤解されかねない、あるいはそういうふうに次第に意識が変わることになりかねないような措置については、それは断固として日本国政府としては認められないという姿勢は変わりません。もちろん委員長のお話も私(大臣)は承知しておりますし、省内でも改めて議論いたしましたが、それは変えるべきではないと外務省としては決定したところであります。

【北海道新聞 島田記者】本日の閣議で閣議了解の周知徹底をというお話をされたと伺っておるのですけれども、ちょっと私が取材して会った中の人は、また行くという話をしていたり、周知徹底するという中で、現状では罰則規定などない中では、なかなか現状の閣議了解に限界があるのかなという気もするのですが、周知徹底以外に何か具体的に渡航しないように求めるような方策を新たに考えていらっしゃるのか、それとも新たにこれから提案するようなことは決定されていますでしょうか。

【大臣】法律でもって規制しているわけではないという限界はあります。ただ、政府として改めてはっきりと見解を述べたわけで、しかもそれは国民の悲願である北方領土返還にある意味では反する行為であるということを申し上げました。そういうことは繰り返し強調していきたいと思っています。

【週刊金曜日 伊田記者】先ほどの閣議決定の絡みですけれども、言い方は悪いかもしれませんが、20年以上前のロシアの方からも経済的援助がほとんどなくて、かなり貧しいとか厳しい状態に置かれていた北方四島と、現在の各国からいろいろな投資とかが入って豊かななりつつある中で、日本だけがそういうことをしないと、島民の気持ちがますます日本から離れていくおそれがあるのではないかと思います。
 もちろん大臣が言われるように、ロシアの一部であるということを追認するような、助長するようなことは現に慎まなければならないのですけれども、北方四島の早期返還を考えたときに、島民の気持ち、現に住まれているロシアの方々の気持ちを懐柔するとか、日本にいかに近づけていくかということも必要ではないかと思いますが、その点について閣議決定をもう少し、つまり20年という時が経った中で、それが本当に北方四島の早期返還につながるのかということについて、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】島民との交流事業というものは行っております。それはこれからもしっかりとやっていきたいと思います。しかし、ロシア側の主張をある意味では暗黙に認めかねないような措置については、これは断固たる態度をとらなければならないと考えているところです。もしこれで日本がほかの国がやっているからということであれば、それは自ら日本の領土であることを、ある意味ではあきらめたかとも受け止められかねないと私(大臣)は思います。

【フリーランス 上出氏】鈴木宗男さんが北海道倶楽部という社団法人で講演しまして、ご自分も含めてこういうことでできていることに対してのご所見なのですが、まず解決するために1956年の共同宣言、細川政権下の東京宣言、森政権下でのイルクーツク宣言、これを基礎にする以外に道はないということを強調していまして、2島返還後の国後、択捉については日露の共同管理も視野に入れてよいということを言っていまして、菅首相になってからロシアは余りにも原理主義的にやっているのでがっかりしていると、これは鳩山首相が力を入れていたので、今後も対露外交は前の首相に任せた方がいいのではないかと言っているのですが、現状のご認識とこういった見解に対してどういう状況と見ているのか、よろしくお願いします。

【大臣】鈴木先生がご持論をお持ちのことはよく承知しております。ただ、政権交代後、鳩山政権、菅政権、日本国政府の考え方は一貫しております。鳩山政権から菅政権になって変わったというようなことは全くございません。

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ロシアにおける「第二次世界大戦終結の日」

【フリーランス 安積氏】北方領土に関係しまして、9月2日の第二次世界大戦終結の日についてお伺いいたします。
 この日、ロシアの連邦会議のミナロフ議長が、日本の北方領土の日、これは2月7日なのですけれども、この存在及び日本の地図で北方四島がロシア領から除外されている点について、歴史と現状の直接的な歪曲だと批判したとの報道がありました。大臣は7月の会見でこの日の法制化について、今後のロシア側の対応を注視していくとお答えになりましたが、この上院議員の言動についてどのようにお受け止めになっていますか。及びこれについて何か対応されるおつもりはありますでしょうか。

【大臣】いろんな発言があるというふうには承知しておりますけれども、日本政府の従来からの基本的考え方と相容れないものであります。

【フリーランス 岩上氏】日本では8月15日が終戦の日とされておりますけれども、最近のロシアでは日本が降伏文書に正式に調印した日、ミズーリ号上で調印した日、9月2日でしたか、を真の終戦の日だと強調する傾向にあると伺っています。これはおそらくは15日以降に更に進撃を続けた旧ソ連軍の軍事行動、その後の占領を正当化するという目的もあるのだろうと思いますが、どちらが真のポツダム宣言受諾、そして終戦の日として正しい日になるのか、大臣のご見解をお聞きしたいと思います。

【大臣】日本国政府としては、8月15日が戦争をもって終わった日であるというようにしているわけであります。ただ、この場で、以前申し上げましたが、考え方としては正式に調印した日という考え方も私(大臣)は論理的に成り立ち得ると思います。

【フリーランス 岩上氏】15日以降のソ連軍の侵攻というのは是認しうる、そういう論理的な考え方もあり得るということなのでしょうか。

【大臣】それはもうはっきりと無条件降伏、つまり白旗を掲げたわけですから、それに対する攻撃ということは、それはあり得ないというように考えております。

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中東和平交渉

【テレビ朝日 花村記者】イスラエルとパレスチナの平和交渉、およそ1年9か月ぶりですか、ようやく再開しましたけれども、やはり大分難しそうな様子で、1年以内の合意を目指すということですが、どのようにごらんになっていますか。

【大臣】具体的なそういった交渉がなされるということについては評価をしたいと思います。直接交渉も開始されたということですから、そのことは歓迎したいと思います。
 ただ、非常に難しい交渉を今までも何度も何度も試みられていたわけであります。交渉当事者であるイスラエルとパレスチナのそれぞれの置かれた状況も必ずしも簡単なものではない。そういう中で、あえて両国指導者が交渉を始められたことを評価するとともに、是非その困難を乗り越えて合意に達してもらいたいと思っております。今後、政府としても、そのために努力を行っていきたいと思います。

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安全保障政策

【フリーランス 岩上氏】28日、菅首相の私的諮問機関である新しい安全保障を考える懇談会だったと思いますけれども、それが報告書を出しました。これは以前にもご質問させていただきましたけれども、その時点では、まだリークであると、報告書が出てからお話しするということを大臣は仰られていましたので、内容が明らかになったところで、この報告書の内容、非核三原則の見直し、核の持ち込みの是認への提言とか、武器輸出三原則の見直し、それから防衛省がずっと根本的な理念として持っていた基盤的防衛力の整備という話、これも見直すという話があります。ここに盛り込まれている内容、この報告書が、そのまま政府の方針ではないことは重々承知しておりますけれども、どの点が共感できるものであり、どの点が相容れないものなのか、中身に分けて是非ご見解をお示しいただけたらありがたいと思います。

【大臣】この報告書が報告された場で、私(大臣)は、これは1つの参考ですねと確認をして、そういうことであると、1つの参考として、学識経験者の皆さんを中心にご議論をいただいた、ですから、それは参考ではありますけれども、それにとらわれるものではないということであります。
 個々のことについて、今、私(大臣)がここで申し上げるのは、いかがかと思いますが、この議論を始めるときに、私(大臣)は、最初の第1回だけ各大臣が参加したのですが、そのときに私(大臣)が申し上げたことは、「基盤的防衛力構想という考え方はよくわからない」と、私(大臣)自身もそういう質問を前々回の大綱のときに、そういう議論を国会でもしているのですが、「現状維持だけを目指したような、そういうふうにも見える。そういうことについてはよく議論してもらいたい」と申し上げた経緯がありますので、基盤的防衛力構想について、今回それをやめるというように結論づけられたことは、私(大臣)の方向性と一致しているとに思っております。
 それ以外のことは、それぞれよく、これは関係閣僚間で議論してみる必要があると、問題提起としてはいいと思いますが、しかし、それがもう少し広い目で見たときに、日本政府として取り得べき話なのかどうかということについて、私(大臣)はかなり疑問を持っております。

【フリーランス 岩上氏】個々の内容には余り触れたくないというお話でしたが、せめて核の持ち込みを見直すという点に関してのご見解は、これまでも触れられてきたことでもありますし、改めて大臣のご見解、ここの点についてお聞きしたいと思います。

【大臣】日本政府の考え方は、非核三原則は堅持するということです。ただ、この場でも何回か申し上げておりますが、国の存亡が関わるような、そういう場合の対応については、そのときの政府が最終的に判断すると、そこまで将来のことまでは縛るべきではないだろうというのが、私(大臣)の考え方であり、国会でも何度も答弁してきているわけであります。

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北朝鮮関連

【日本テレビ 野口記者】北朝鮮に関してですけれども、今月の上旬に北朝鮮の労働党の代表者会が行われるという情報がいくつかのソースで報道されております。9月の4日、ないしは6日の辺りのどこかで始まるのではないかと韓国の報道ではされていて、その辺りの情報を政府としてつかんでいるのかということと、代表者会をどれくらいの注意を持ってご覧になっているかということをお願いします。

【岡田大臣】その会議の内容についてはコメント致しません。もちろん、そこで何が決まるかまだ分かりませんから、決まった内容によっては、非常に注目すべきことになるかもしれません。

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米軍再編問題(沖縄の負担軽減)

【琉球新報 滝本記者】沖縄の負担軽減という文脈で少しお伺いします。従来負担軽減をどうするのかということをお伺いしてきましたけれども、かつて8月末までが普天間の専門家の議論のリミットでありましたけれども、それが終えてから新たな負担軽減についての議論も提起したいということを以前大臣も仰っておられました。これは具体的にどういうようなスケジュールで、どういうような場で、次の2+2のような場で言うのか、あるいは何をどういうように提起されるおつもり、お考えなのかということをお伺いしたいのですが。

【大臣】沖縄との関連で言えば、今まで日米合意の中で決めた負担軽減の問題。その中には騒音とかそういったことの軽減というものも含まれる訳ですけれども、それからいろいろな事件事故に関するものとか、かなり幅広いものがあります。そういったことについて日米間で2+2+ですぐに話を直接するということよりは、実務レベルでしっかり話を前に進めるということが沖縄の皆さんの理解を得るためにも重要なことであると、そういうように認識をしております。これで1つに落ち着きましたので、そちらの方に重点を移してしっかりと議論をしていきたいと考えております。

【琉球新報 滝本記者】それに関連しまして、そこの中で、地位協定についても5月末の部分にもあったわけですけれども、地位協定についてその枠組みの中で話をされるのかといういうこと、その話の枠組みというのは、いつまでに何か結論を得るというようなスケジュール的な部分としてどういうようにお考えか。

【大臣】地位協定の中でも特に環境に関する部分についてまず議論をするということで、まず何らかのが合意を目指すと、それが形としては地位協定の見直しになるのか、あるいは違う形を取るのかということはこれはまだオープンで何も決まってないのですけれども、いずれにしても環境に関してきちんと現状と比べて前進できるように是非議論したいと、それは日米合意の中にもそういったことが書いてあるわけですから、しっかりとやりたいというように考えております。

【琉球新報 滝本記者】タイムリミットといったことについては。

【大臣】タイムリミットは特にありませんが、そういったものについて目に見える形がやはり沖縄の理解を得るためには必要なことだというように思います。全体を前に進めるために必要なことだというように考えておりますし、米国側もそのことはよく認識をしていると私(大臣)は思っております。

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日米関係

【フリーランス 上出氏】岩上さんの質問の時に「日米対等でないというのは事実に反する」というように、確かおっしゃったと思うのですが。

【大臣】私(大臣)の実感とは違いますね。

【フリーランス 上出氏】それで、今回の沖縄の普天間交渉でも多くの国民、あるいは亀井元大臣も含めて、対等でないから引きざるを得なかった、あるいは外務省も米国の言いなりになっているなどという言葉が出て、国民の中にはたいへんそういう意識が強いと思うのです。それに対して「対等」という意味はどういうことなのだということを、もう一度説明していただけますでしょうか。

【大臣】私(大臣)が「対等」と言ったわけではないので、もちろん、民主党が「対等な」と書いたことは事実ですが、「対等」というのは同じではないということをまず申し上げたいと思います。同じ権利義務を負うことではないと、よくここでも申し上げましたが、男女対等という時に、男女は全く同じでなければいけない等ということは明らかにあり得ないわけで、それぞれの役割があって、そしてトータルとしてみてイーブンであるということだと思います。日本というのは、米軍がもちろんここにあるわけですけれども、その彼等はもし日本が危機的状態になった時に身を賭して日本を守る責任を負っている人たちですから、そこの部分に対して十分な敬意を払うというのは、私(大臣)は当然のことだと、それをもって対等でない等ということは私(大臣)には理解しがたいことであります。

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