(1)日米共同声明について
【岡田大臣】それでは、私(大臣)から3点。第1点は、今朝、明らかになりました日米安全保障協議委員会の結論、いわゆる2+2の結論についてであります。この点はもう国会、先ほど委員会で私(大臣)から説明をいたしましたが、普天間飛行場の移設問題については、5月末に向けて日米間で閣僚レベル、審議官級レベルなどで精力的に協議を重ねてまいりました。その過程で、私(大臣)はルース駐日米大使と度重なる協議を行うとともに、クリントン国務長官とも協議を行ったところであります。これらを経て、本日、私(大臣)と北澤防衛大臣、クリントン国務長官、ゲイツ国防長官からなる日米安全保障協議委員会の共同発表を発出に至りました。その内容については、以下のとおりであります。
第1に、普天間飛行場の代替施設の建設については、1,800mの滑走路を持つ代替の施設をキャンプ・シュワブ、辺野古崎及び隣接する水域に移設することといたしました。この点に関し、専門家の検討を2010年8月末までに完了させ、両政府における検証と確認を次回の日米安全保障協議委員会までに完了させることといたしました。この関連で普天間飛行場の代替の施設の具体的な位置、配置、工法などは、今後米側と協議を行う予定であり、現時点で詳細を予断することは差し控えるものの、その上で申し上げれば、共同発表は現行環境影響評価の枠内との前提に立っているわけではなく、一方で代替施設の環境影響評価手続及び建設について、著しい遅延が出ないようにしていくことになっているところでございます。
第2に沖縄の方々の過重な負担を低減すべく、8つの分野において今後具体的な措置を講じていくことになりました。具体例としては、訓練移転について、沖縄県外への訓練移転を拡充していくとともに、グアム等国外への訓練移転も検討していくことになりました。この関連で、適当な施設の整備がなされるとの前提の下に、徳之島の活用も検討していくことになりました。
環境分野については、環境事項の際の米軍移設区域への合理的な立入、返還前の米軍移設区域への環境調査のための合理的な立入を含む、環境に関する合意について速やか、かつ真剣な検討を行うこととなりました。
訓練区域については、沖縄県からの要望を踏まえ、沖縄本島東方海域にあるホテル・ホテル訓練区域の使用制限を一部解除することになりました。嘉手納の騒音軽減についても、更に検討を行っていくことになりました。
グアム移転及び嘉手納以南の施設区域の返還については、これを着実に実施することを確認いたしました。この関連で、嘉手納以南の施設区域の返還については、産業的価値の高いと考えられる国道58号線沿いのキャンプ瑞慶覧のいわゆるインダストリアル・コリドーと、牧港補給地区の一部を新たに優先返還の地域とすることと決定いたしました。
以上のほか、詳細については、お配りした共同発表をごらんいただきたいと思います。
共同発表にあるとおり、北東アジアにおける最近の安全保障情勢は、日米同盟の重要性を再確認させるものであります。そうした中で、沖縄を含む日本における米軍の堅固な前方プレゼンスは、我が国の防衛及び地域の安定を維持するために必要な抑止力を提供するものであると認識をしております。
こうした考えに立って、沖縄の方々には、引き続きご負担をお願いせざるを得ませんが、政府として普天間飛行場代替施設の問題について地元の理解を得るべく、引き続き誠心誠意努力を続けていきたいと考えております。同時に、沖縄の方々の負担の軽減を図るべく、今般合意した諸措置を速やかに実行に移していく所存でございます。
以上が日米合意案に対する私(大臣)からのコメントです。
(2)チリにおける大地震に対する緊急無償資金協力について
【大臣】チリにおける大地震被害に対する緊急無償資金協力についてです。本日、我が国政府は、先般の大地震被害からの復興努力を行っているチリ政府に対し、1億9,500万円を上限とする緊急無償資金協力を行うことと決定いたしました。
この協力では、チリ政府の要請に応え、震源地に近い地域における仮設病院の設置及び関連資機材の供与など、医療分野での支援を行うことにしております。本件は、今日、閣議で報告をしたところであります。
(3)モッタキ・イラン外相の訪日について
【大臣】第3点、モッタキ・イラン外相の訪日に関してです。イランのモッタキ外相は、5月30日から31日までの日程で日本を訪問し、日イラン外相会談を実施することとなりました。なお、今回の訪問は、イラン側の要請に基づくものでございます。正確には30日の夜に着いて、31日の夜に発つということです。
日本政府のイランに対する考え方というのは、この場でも申し上げたことがあると思いますが、累次の安保理決議に従わず、その核活動が平和目的であるとの主張について、国際社会の信頼確保の責任を果たしていない。20%濃縮活動の継続というさらなる安保理決議違反の状態が続いており、こうした状態が続く限り、追加制裁は必要であると考えております。
他方で、今回、ブラジル政府及びトルコ政府との間に低濃縮ウランの扱いについて合意ができたこと、そのこと自身は評価をし、その確実な実施を求めるものでございます。
そういった日本政府の基本的考え方を理解した上で、なお、是非、日イラン外相会談を実施したいということでありましたので、それをお受けするということにしたところです。
今回のモッタキ外相の訪日の機会をとらえ、核問題の平和的外交的解決に向けた働きかけを実施する予定です。
【フリーランス 岩上氏】普天間の関連でご質問させていただきたいと思います。日米共同声明を出すというところまでたどり着いたわけですけれども、この時点で振り返っていただいて、この辺野古に決まった経緯についてお伺いしたいのですが、この辺野古が一番相応しいと岡田大臣ご自身が認識されていたのはいつごろのことなのでしょうか。また、どの閣僚がどの時点でこの辺野古案を最も相応しいとお考えになったのか。
この8か月、途中途中で、質問させていただいて、まだ話すべきときではないといつもご回答いただいておりましたが、1つ答えが出て開示されたわけですから、どの時点でどういう経緯で、恐らく閣僚でもそれぞれ足並みは違ったかもしれませんが、その辺りの経緯をつまびらかにしていただけないでしょうか。
【大臣】政府が意思決定するに当たって、その経緯を細かくお話しするということは普通やっておりません。私(大臣)に関するご質問であれば、この場でも昨年の10月に、県外移設というのは事実上難しいということで嘉手納統合ということを検討すべきだということを申し上げたということです。その後も現行日米合意案というものは、ゼロベースという言葉の中には含まれているということは申し上げてきたところであります。
ただ、今回の決定は、日米合意案に戻ったというものではございません。ここに書いてありますように、具体的な代替施設の位置、配置及び工法については、専門家でこれから検討するということになっております。
もちろん、環境影響調査の著しい遅延が生ずることなく、建設及び環境影響評価手続が完了するということが大きな枠組みとしてはありますけれども、その枠の中で具体的にどうするかということはこれから決めるということです。
【朝日新聞 鵜飼記者】関連して質問させていただきます。これだけいろいろ検討されてきて、結果だけ知らされるというのでは国民も納得できないと思いますので、なぜ辺野古が一番相応しいとなったのか、理由を説明していただけますでしょうか。
【大臣】総理も仰っておられますように、県外で適切な移設先というのは残念ながら見当たらなかったといいますか、具体的に特定できなかったということの中で、沖縄県内でも幾つかの候補地がありました。しかし、全体のかかる時間とか、地元の状況とか、もちろん、辺野古崎地区についても市長は明確に反対と言っておられるわけで、決して地元の理解があるわけではありませんが、ほかの地域についても同様の反対があり、そういう中で辺野古崎地区というものが日米間で協議した結果、最も望ましいという結論に至ったものであります。
【テレビ朝日 山本記者】沖縄県側の了解をいつぐらいまでにとりつけるかという話ですが、専門家は8月末日までに候補位置を検討すると言っていまして、その後もSCCで完了させると書いてありますが、そのぐらいの時期を目途に考えているのか、それとも11月の沖縄知事選の後にまで持ち越されるというお考えでしょうか。
【大臣】ここに書いてあるのは、検証及び確認を次回のSCCまでに完了させるということでありますので、それまでに沖縄の理解を得ることを想定しているわけです。
【フリーランス 上杉氏】昨年の総選挙で民主党政権は、沖縄の基地移転に関しては鳩山総理自ら、「できれば国外、最低でも県外」ということで選挙を戦いましたが、結果としてこの共同発表を見ると、その政策の実行はできなかったとしか読めないのですが、外務大臣として、その辺りはどのように認識されていますでしょうか。
【大臣】ここは総理ご自身が率直におわびを言われたと思います。県外ということでさまざま模索をしましたけれども、結果的にはそのように至らなかった。しかし、沖縄の負担軽減というのが総理の一貫した思いでありまして、負担を軽減するためにさまざまなパッケージとして、負担軽減策というものを日米間で合意をしたということであります。
【TBS 樋口記者】大臣は、本日午前中の委員会でも、「現状について5月までにということを言いながら、沖縄県民の理解を得る状況になっていないということについては、おわびを申し上げなければならない」と今朝も改めて仰いましたけれども、今日の今の時点の現状、或いはそれに至るまでの8か月間を振り返られて、これはやむを得ないプロセスだったと思われますか。
【大臣】何がやむを得ないかということにもよると思います。例えば日米合意案で最初から決めていたらどうだったかと、これは仮定の議論ですけれども、沖縄の皆さんはそれで納得したかというと、私(大臣)はそうは思えないわけであります。これからこの沖縄の数々の負担軽減も含まれたパッケージの案で、沖縄県の皆さんに説明をして、ご理解をいただく努力をすることに尽きると思います。
しかし、いずれにしても5月末までにということは、地元の理解を得るという意味では達成できていないわけで、そのことは県民の皆様に大変申し訳ないことであると思っております。
【NHK 別府記者】米国側は、部隊の運用上の有効性とともに政治的な持続性ということで、地元の同意が必要だとしてきていましたが、大臣としては日本政府として米側に、必ず沖縄の理解を得るということは確約されているのでしょうか。
【大臣】沖縄の理解が得られなければ、これができないということは、日米両政府ともにわかっているわけであります。
【琉球新報 滝本記者】地元の理解という意味での文脈としてお伺いしたいのですが、先ほど大臣は県外で見当たらなかったというか、具体的に特定できなかったという形で仰られたのですけれども、その中で市長が明確に反対をしていて、地元の理解が得られているわけではないがということなのですが、地元理解の点で言うと、ほかのどの地域とも同じだと思います。その上で、なぜ、辺野古になったのかという理由が是非知りたいということと、理解という意味で言うと、先ほど最後にも仰られたのですけれども、今後どのようにしていくかというのは、米国とは「理解を得るということでの共通認識」だということなのですが、合意文書に理解を得ないとできないということは明確に明文化されていないというか、字面としては読めないかなと思うのですが、その辺はお二人の意思としてあるということだけでは、担保されていないのかなとも思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
【大臣】理解を得るということの中身は、これからさまざまな議論があると思いますけれども、少なくとも公有水面埋立権限を持った知事の了解がなければ進まないことは、法律的に明らかであります。
【ビデオニュース 神保記者】ほかに受入れ先がなかったということはそうだとして、それでも辺野古でなければならなかったという理由というのは、今日の共同発表を見ると、恐らく唯一そこに当たる部分というのが「米軍の堅固な前方のプレゼンスが日本を防衛し、地域の安定を維持するために必要な抑止力と能力を提供することを認識した」という部分くらいしか、そこでなければだめだったということを裏付けるようなことが書いていないように思います。ということは、やはり今回は日本政府としては、米国の海兵隊が沖縄にいることが日本を防衛し、地域の安定を維持するために必要な抑止力であるということを認識して、合意したということでいいのでしょうか。
【大臣】そこはそのように認識をしております。
【西日本新聞 斎田記者】訓練の移転先の件ですけれども、徳之島とグアムという2つの地名が明記されています。それぞれ明記に至った理由を教えてください。
【大臣】個々の交渉の中身を言うのは控えたいと考えております。徳之島については条件が付いております。適切な施設が整備されることを条件としてということです。いずれにしても、できるだけ県外にさまざまな機能を持っていきたいということの中で出てきたことです。
【朝日新聞 鶴岡記者】先ほど法的に公有水面埋立権限に言及されましたけれども、工法も現行案と同じ埋立てを軸に検討されているということでしょうか。
【大臣】そのことについては、特に前提を置いておりません。ここに書かれたとおりでございます。ただ、今あるいろいろな候補の中で、くい打ちも含めて、この法律の適用がないというのは果たして言えるのかどうか、それは私(大臣)は、必ずしも自信がございません。法の趣旨からすれば、くい打ち方式であってもそういったものは必要なのではないかと思いますが、いずれにしましても、知事が了としない限り動けないということは事実だと思います。
【共同通信 比嘉記者】鳩山総理は「最低でも県外」と仰って、この一連の交渉が始まったと思うのですけれども、日米交渉において本当に県外というのが最初のスタートラインだったのでしょうか。つまり、米国側に日本側として県外でやりたいと思っているということから交渉はスタートしているのでしょうか。
【大臣】交渉の中身を具体的に言うことは控えたいと思いますが、県外ということも想定としてはあったということであります。
【時事通信 高橋記者】先ほどの埋め立て権限の話に関する質問ですけれども、国民新党が、今の知事の許可を得るのはもう難しいと思うという見立てをして、基地内基地といいますか、基地の中に基地をつくる、或いは亀井大臣などは鳥を鳥かごの中に入れるというような仰り方もしていますけれども、知事の許可が要らないような案、陸上につくるとか、そういう案はもう選択肢としては、政権としては考えていないのでしょうか。
【大臣】我々の選択肢は、キャンプ・シュワブ、辺野古崎地区及びそれに隣接する水域です。
【沖縄タイムズ 吉田記者】共同声明の環境の項目のところで、ホスト・ネーション・サポートの一構成要素として、米軍基地の中に再生可能エネルギー技術を導入することを検討するとあるのですが、これは対象が日本国内及びグアムと、グアムも書いてあるのですけれども、ホスト・ネーション・サポートを外国の基地に適用するというのは趣旨として適切なのでしょうか。
【大臣】これは、一構成要素とすることも含め検討するということでございます。詳細については、これからの課題です。
【フリーランス 岩上氏】国内のすべての自治体が移設には反対するという中において、であれば沖縄であるというチョイスの仕方というのは明白に沖縄差別ではないかという意見、批判、それから、沖縄からの反発が上がっております。それに対して、沖縄でなくてはならない必然性というものが、先ほど一部お話しの中に出ましたが、前方展開のための抑止力を沖縄に維持するというだけのものであれば、既に嘉手納には空軍もありますし、これ以上の軍負担がなぜ沖縄になくてはならないのかという、説得性を大いに欠いているように思います。これで、果たして沖縄県民に対する、これは差別ではないのかという疑問、もしくは批判、反発に対して十分な説明を果たしていないのではないかと思われます。もう少し説得的に、いろいろな検討をした結果、沖縄でなくてはならなかった、辺野古でなくてはならなかった理由をお示しいただきたいと思います。
【大臣】海兵隊というのは、即応力があります。したがって、その場所ということは非常に重要です。だから、沖縄ということが1つ。ほかの選択肢もあったかもしれません。しかし、そのためにはやはり訓練地も含めて膨大なパッケージが必要です。それだけのものを沖縄以外で、もちろん、沖縄も今はそれはできないと言われているわけですが、ほかの地域でそれを受け入れるというところは見当たらないということであります。
【フリーランス 上杉氏】共同発表の文面についてお伺いします。この中で、訓練移転について、両政府はグアムと日本国外への訓練の移転を検討することを決意したという文言があるのですが、これは2009年のグアム協定に絡めての話し合いが今後行われるのか、或いは別にメカニズム等をつくる話し合い、検討委員会等をつくるのか。どちらなのでしょうか。
【大臣】今、ご趣旨がよくわからなかったのですが、日米両国政府で議論をするということであります。グアム協定とは直接関係ありません。
【ビデオニュース 神保記者】今回の合意内容にあるキャンプ・シュワブ、辺野古崎地区及びこれに隣接する水域というのは、キャンプ・シュワブ内陸上案というものはその中に含まれ得るのかどうかということが1点。それから、同じ文書の中に、日本語では1,800mの長さの滑走路を持つ代替の施設とありますが、英語の部分はあえてrunway portion(s)、「s」という字がわざわざ括弧がして付いているのですけれども、これは滑走路が複数になるということもあらかじめ想定した上で英語には付いていて、日本語は複数形になったときに普通は「s」というものは特に付きませんので、そこが日本語と英語で食い違ってしまっているのですが、これは滑走路が複数になる可能性というものをあらかじめ想定しているという理解でよろしいのでしょうか。
【大臣】あらかじめ想定しているわけではありません。可能性は排除されていないと思います。
【ビデオニュース 神保記者】可能性は排除されていない。でも、あえて「s」を付けられた。
【大臣】もともとV字型ということで言われておりましたので。
【ビデオニュース 神保記者】あと、陸上案の方はいかがでしょうか。
【大臣】陸上案というのは、ここに書かれたとおりですが、辺野古崎地区及びそれに隣接する水域ということで、すべてが陸上というものは想定されておりません。
【ビデオニュース 神保記者】でも、「及び」ということは必ず水域が入るという、「及び」なので、陸上だけということはないということなわけですね。水域が必ず入ってくる。
【大臣】そういうふうに考えております。
【朝日新聞 鵜飼記者】大臣は、これまで2006年のロードマップに示された案について、現実を考えれば実現が不可能とか、実現が困難であるという考え方を示されてきたと思います。それで、今回発表になった案は、今、明らかになっているところでは、代替施設の部分については、2006年の合意から大きく変わっているようには見受けられないわけですけれども、これでより実現可能性が出てきたという判断をされた根拠というものは何かあるのでしょうか。
【大臣】変わっていないということを言われる根拠は何かということであります。ここに書かれたように、代替施設の位置・配置及び工法に関しては、専門家による検討を速やかに行い、その上で検証及び確認を次回のSCCまでに完了させるということで、施設の位置・配置・工法というものは、ここでは触れられておりません。したがって、今までと変わっていないというのは一つの見方だろうと思いますが、この合意では変わっていないということは言っていないわけであります。
【毎日新聞 吉永記者】今、「s」が付いている質問のところで出ていたのですけれども、もともとV字型だったと、それで「s」が付いているということは、当然、2つあるということが想定されますけれども、結局、そこの現行案に戻るという可能性もここではあるというような意味でしょうか。
【大臣】現行案が何を意味しているのかということにもよると思います。幅はかなりあって、その中でどうするかは、これから決めることであります。
【共同通信 西野記者】ロードマップ合意と今回の新たな2+2合意の違いというところが、恐らく今後もいろいろと問われることになってくると思います。沖縄の世論は最低でも県外というところで非常に期待値が高まりました。今回の新たな2+2というところで、またいろいろな評価があると思います。ただ、そこにギャップがあるのは間違いないというところで、どういうように説明をしていくのか、或いは鳩山政権として、どういうように取り組んでいくのか。ここが最も問われているところだと思いますが、改めてそこを言及してください。
【大臣】これからのことは、閣内でよく相談をして進めていくことになります。まだ具体的にその段取りまでできているわけではありません。内閣を挙げて取り組んでいくことになります。
【共同通信 西野記者】引き続き内閣を挙げて取り組んでいくという体制がなかなか取れていないのではないでしょうか。例えば、本日、閣議で何らかの決定をやっていくと、国会の中でも大臣は答弁をされておられたと思いますけれども、福島社民党党首が署名はしないということを改めて言われたりとか、この合意についても非常に厳しく批判されているという状況があります。このことについて、内閣としてどうやってこの日米合意を進めていくのかという観点から、改めて見解をお聞かせください。
【大臣】その点については、本日、何らかの形で明らかにされるわけですから、それを見ていただくしかないと(思います)、まさしく今、そのことについて官房長官を中心に調整を行っているということであります。
【NHK 梶原記者】今、社民党がこの日米の合意案に激しく反発をして、政権にダメージを与えている状況だと思いますけれども、交渉の過程で社民党に十分な説明をしたり、あるいは配慮をしたりというところがないために、こういう状況に陥ったという指摘があるのですけれども、交渉の仕方に問題があったとはお考えになっていないでしょうか。
【大臣】いろいろな見方ができると思います。いずれにしても、それは結果が出た上で、多少お話をすることはあるかもしれませんが、今はまさしく詰めの段階で、あまり余分なことは言わない方がいいと思います。
【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】防衛省は、沖縄の与那国島上空を通る防空識別圏の境界線を設定し直す方針を決めましたけれども、今、島の東側3分の1は日本、西側の3分の2は台湾の防空識別圏になっており、やはりこの問題は今、台湾当局との交渉はどうですか。例えば台湾が了承しない場合は、日台の間は衝突が起きかねないでしょうか。沖縄県が国側に見直しを要望していたのですけれども、これは普天間基地の移設とは関係があるかどうか教えていただきたいです。
【大臣】今回の普天間の問題とは関係ございません。防衛省の方で決めたことでございます。台湾との間で何か問題が発生しているとは認識をしておりません。
【ビデオニュース 神保記者】先ほど大臣が「環境影響評価手続を必要としないということを意味するものではない」と仰ったと思います。同時にこの文面では「環境影響評価及び建設が著しい遅延なく完了できることをとにかく確認した」となっています。大臣がそこで環境影響評価という新たなものが必要としないというわけではないのだということをあえて言われたことの意図ですけれども、これは文面を見ると、環境影響評価が著しく遅延しないということであれば、もしそれをきちんとやるとならば、環境影響評価自体に一定の時間がかかるわけですね。そうすると、これはどう読めばいいのか、説明していただきたいのですが。環境影響評価をやるのだったら、すぐにやるのだという意味で遅れないという意味なのか、それにはちゃんとした一定の時間がかかるという認識でいいのかどうか。それから現実問題として、環境影響評価をやることになった場合には、通常どれくらいの時間がかかるということを米国に説明されたのかどうか、お話しいただけますか。
【大臣】ここに書かれたとおりであります。それ以上でもそれ以下でもありません。著しい遅延ということをどのくらいと考えるかということは、別に合意しているわけではございません。ただ、全体として次回のSCCまでに検証及び確認を完了させることになっておりますので、そういう枠ははまっておりますし、建設及び環境影響評価が著しい遅延がなく完了できるということで、その枠内であることは事実です。
私(大臣)がこれを言いましたのは、かなりのメディアが環境影響評価のやり直しはないのだと報じられたので、それは違うということを説明したわけです。
【琉球新報 滝本記者】著しい遅延の部分に関連してですけれども、全体として2006年のロードマップ合意については、2014年の完成で、その後の返還ということになっていますけれども、普天間移設は一体いつ返還されることになるのかについて、日米の合意は別にしても、外務大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】基本的には、今まで決めてあるとおりであります。ですから、代替施設が2014年を目標にと書いてあります。いずれにしても、代替施設が完成をして、その結果、移設ができた段階で返還になるということであります。
【琉球新報 滝本記者】そのめどには変更はないということですか。
【大臣】その基本的な流れには変更はございません。ただ、2014年目標というものが多少ずれる可能性は当然あるわけであります。そうすれば全体の計画も変わってくる可能性は排除できません。今日も国会で随分議論になりましたが、急ぐ余り、地元の沖縄が理解しないということであれば、これは前に進まないわけでありますので、理解を得ながら速やかに進めていくことが必要だと思っています。
【フリーランス 岩上氏】沖縄にどうしてもしなくてもならない決定的な理由として、海兵隊の即応性ということを仰られました。しかし、以前ここで何度か私は質問させていただいておりますけれども、日米同盟の05年の文書の中では、島嶼部、つまり国境部に関して、第一義的に防衛するのは自衛隊であると、即応的に対応するのは自衛隊であるということを質問させていただき、大臣ご自身もこれをお認めになり、まず、即応するのは自衛隊であると、それから後で米軍が動くことがあり得るかもしれないという順番になっているということは大臣は仰っております。ということは、海兵隊が一刻も早く有事に際して反応し、出動しなければならないまでの前方展開をしなければならない必然性というのが、どうも仰っていることと矛盾するように感じます。
先日、防衛問題研の柳澤教授と直接お話をして伺ってきたのですけれども、柳澤さんの見解では、沖縄に米軍が位置するというのは、極めて米軍にとって危険であると、つまり非常に最前線に近過ぎて、できれば、米軍として後方に下がりたい、グアムに下がりたいと考えているというご見解を仰っておりました。いくつか、こうやって合わせて聞いていくと、非常に矛盾するように聞こえます。なぜ、そこまで沖縄にこだわらなければならないのか。いずれにしても矛盾のある状態で沖縄県民にそれを納得して受け入れろというのは極めて難しいと思いますけれども、もう少しこれをきちんと解きほぐして、その必要性というものを示す必要があるのではないかと思います。ご見解をお願いします。
【大臣】説明は、私(大臣)、しているつもりでございます。柳澤さんのご意見はご意見として、これは個人のご意見を言っておられるということであります。もし、そのご意見を強くお持ちであれば、本来であれば、内閣官房副長官補と、まさしくそれを担当する立場におられたときにどうして言われなかったのかという疑問は残ります。そして、私(大臣)が申し上げたことは一義的に自衛隊と、これは考え方の問題として申し上げているわけです。しかし、自衛隊にその能力が十分でなければ海兵隊に頼らざるを得ないというところもあります。
そして、これは別に日本の領土、領海の話だけではございません。日本の領土、領海の外に自衛隊が行くということは、基本的には余り想定されていないわけであります。そういったことを含めて沖縄の場所としての優意性ということを申し上げているのであります。
【フリーランス 岩上氏】最前線ということの理由で、今、沖縄ということが出ましたけれども、そうであれば、例えば有事の先は、現在も緊張しているように韓半島であれば、沖縄よりも、例えば長崎のような、北九州のような場所の方がはるかに前方に近い、即応的な能力を発揮できるということになろうかと思います。なぜこういった地点で、同じ地元の反対がある中でも説得してでもそちらに移設する努力をするという結果にならなかったのでしょうか。北九州と沖縄との扱いの違いについて教えてください。
【大臣】在日米軍として、朝鮮半島というのも一つの想定し得る地域であること間違いありません。しかし、それに尽きるものではないということであります。
【NHK 禰津記者】昨年の9月から8か月間、米国と交渉してきて、米国は一貫として辺野古地域というのをずっと主張してきたと思うのですけれども、やはり米国の主張というのはなかなか堅くて、交渉する中で難しかったということを感じられていたのかということを改めてお伺いしたいのと、2006年のときのロードマップのときの滑走路と、今回の滑走路は、どちらの方にどうメリットがあるのかということを、もう少しわかりやすく説明していただきますでしょうか。
【大臣】米国は一貫して現行案が最善であるというように主張してきました。我々はなるべく沖縄の負担が軽減できるようにということで言ってまいりまして、今回の日米合意案になったということであります。滑走路の話というのは、1,800メートルの長さの滑走路ということは特定されておりますが、それ以外のことはここには何も書き込まれておりませんで、今後の問題でございます。
【読売新聞 川崎記者】社民党の福島党首の問題ですけれども、現在、官房長官の下で調整が行われていると、先ほどから国会でも大臣は答弁を繰り返されておられますが、この大詰めになって非常にどたばたしている印象を受けます。国民もそういうように感じているのではないかと思います。こうなることはわかっていたことではないかというようにどうしても見えてしまいますが、閣内でのこういう調整というのは、官房長官が第一義的とはいえ、岡田大臣も幹事長時代に福島党首と連立政権合意などに携わっておられるわけで、ここに辺野古となった場合に、社民党が反発することは容易に想像できるわけで、こういうようになったときのことも考えて、社民党の福島党首、或いは社民党の方々に大臣ご自身が説得なり調整なりに自ら当られたということはなかったのでしょうか。そこをお聞きします。
【大臣】私(大臣)は仕事のやり方として、その任に当たる者が集中的にやる、そして情報を共有するということが重要だと思っております。
【ドイツテレビ 西里記者】今年の2月、ドイツテレビとして普天間の方の取材に行ってまいりました。それで、洋上の方からキャンプ・シュワブも見てきたのですが、かなり大がかりな建物の建設が行われていました。地元の反対派の人の説明ですけれども、基地建設を前提として、今ある建物が邪魔になる部分を移転するために新しい建物を建てているということを言っておられましたが、予算としては毎年のように、現行のものに合わせた予算が出ているのだと思いますけれども、そのような普天間で、新しい基地を建設することを前提とした工事のようなものが、もう行われているという事実があるのでしょうか。
【大臣】それはやっております。それは予算を見ていただければ明らかです。
【琉球新報 滝本記者】地元理解ということに戻りますが、まず、旧政権下での日米合意では、一応形なりにも地元合意という基本確認書なり、基本合意を結んだ上で日米合意に至るという形がありましたが、今回は日米合意が先になったということ、地元合意は得られないままで日米合意をしたということについて、どうなのかということと、地元合意について、得るということはいろいろ定義があるということですが、「県知事の公有水面の埋め立てがまずある」と仰られたのですが、地元名護市の市長の理解、合意、法的な合意ではなく了解、何か文書を交わすということが必要ではないのかということについてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】先々のことまで、具体的に申し上げるべきではないと思います。沖縄県民の理解というのは常識的な線で明らかだと思います。
【琉球新報 滝本記者】日米合意と地元合意が順序が逆になったことについて、どうでしょうか。
【大臣】それは、今の沖縄を見れば、とてもそういった理解を得られる状況ではないということです。なるべく、普天間の危険な状況をいつまでも放置できませんので、早く進めるために、まず、日米間で合意をして、その上で沖縄の皆さんの理解を得るというやり方にならざるを得なかったということです。もちろん、総理も5月になって2回沖縄に行き、理解を得るための努力をされましたけれども、残念ながらそういう状況にはなっていないということです。
【共同通信 斎藤記者】対北朝鮮制裁の関係でお伺いします、制裁というのは従来から、ヒト、カネ、モノに対して行われると理解しておりますが、今回はお金の流れを監視強化というところで、送金報告義務額の引き下げと、それから現金持ち出しの引き下げとあったと思います。モノは全部やっているますので、これは手が及ばないのは良く分かります。問題はヒトだと思うのですが、ヒトの部分で一部閣僚から、もう少しヒトのところをなんとかできないかと、例えば、朝鮮総連のごく限られた幹部について適用対象を拡大した方がいいのではないかという意見もあったように側聞しておりますが、この点について今回の制裁が効果があるのかどうか、つまり韓国を全面支持するという日本の立場からみて、実質的効果が期待できる内容なのかどうか、そしてヒトの問題、この点についてお伺いしたいと思います。
【大臣】今回のこの案は官房長官を中心に各省庁で協議をした結果、行われたもので、かなり効果が上がると、例えば支払い手段の携帯輸出についても10万円超に引き下げるということでありますし、送金は1000万から300万に引き下げるということでありますので、かなり効果が上がるというように考えております。ヒトの問題についても議論の対象になったかとは思いますけれども、今回は含まれていないということです。検討の経緯についてお話しするのは避けるべきだと考えております。
【テレビ朝日 山本記者】今回の制裁の中には第三国を経由した迂回輸出も入っていると思いますが、大臣は、確か国会答弁でなかなか難しい面もあると仰っていたと記憶しているのですが、どういった点が難しくて、外務省としては今後どういった対応をしていくとお考えですか。
【大臣】何が難しいかと言って、その実態を把握するのはそう簡単ではありません。しかし、できることをしっかりやろうということで、総理からのご指示が下りましたので、具体的にどういったことができるかということを関係省庁とよく協議をしていきたいと考えております。
【北海道新聞 島田記者】本日、北方領土へのビザなし渡航の第二陣が今ちょうど入国手続きに入っていると思うのですけれども、先日の会見で大臣は入港証明に関して日本側が付与した書類を提出するというように仰っていましたけれども、私どもの取材の限りではロシア側はそれに難色を示しているという部分があったと思います。それで今入港している途中かもしれませんけれども、認識としては間違いなく入港するのに支障はないというご認識で大臣はいらっしゃるという考えでよろしいでしょうか。入港というか上陸に関しては特に今回は問題なく上陸できるというご認識でよろしいでしょうか。
【大臣】それは私(大臣)承知しておりません。相手方のあることですから。円滑に上陸できるように政府としても努力したいというように考えておりますが。
【日経 山本記者】週末に済州島で行われます日中韓首脳会議は哨戒艦沈没問題の後を受けて、かなり重要な会議になると思われます。中国と韓国は、首脳にそれぞれ外相も同行されると聞いておりますが、日本の場合は副大臣が行かれるということですけれども、なぜ今回大臣は行かれないのでしょうか。
【大臣】今回といいますか、普通は行かないのです。前回は初めてでしたから私(大臣)は参りましたけれども、日本においては首脳と外務大臣は一緒に行動しない、それぞれ、何というますか、全力を尽くすということです。一緒に行くということは、いわばダブってしまいますので。そういったやり方はしないというのが従来からの進め方です。
【オーストラリアン新聞 坂上記者】オーストラリア政府は、今日28日に南極海での日本の調査捕鯨を中止させるために、来週オランダ・ハーグの国際司法裁判所に正式に日本を提訴すると発表しました。本来、日豪関係については、緊密かつ良好であると思われるんですけれども、捕鯨問題に関しては、日豪だけでなく他の国々もIWCの中で、捕鯨問題について話し合いを進めていっている中で、日本に対して提訴するということは、オーストラリアは正義と善意をもって行動しているというように思われますでしょうか。
【大臣】ご指摘のように、国際司法裁判所に提訴するということを豪州政府が発表されました。ご連絡も直接政府から頂きました。IWCにおいて関係国が交渉している中で、豪政府が国際提訴を決定したことは残念であります。調査捕鯨は合法的な活動であるというのは日本政府の認識であって、我が国の立場を踏まえ、然るべく対応したいと考えております。
【共同通信 齋藤記者】尖閣諸島に関する鳩山総理の発言についてお伺いします。先日の全国知事会で、今日、委員会でも質問出ましたが、これは報道ではなくて、正確にお起しを読ませて頂きます。鳩山さんは次のように言われました。「しかしながら、帰属問題に関して言えば、あれは日本と中国の当事者同士でしっかりと議論して結論を見いだしてもらいたいということであると私(総理)は理解しております。」その後に続いて、「米国にももっとこの方向を確かめる必要があろうかとは思っておりますが、有事ということで衝突が起きた時には、安全保障条約が適用されるという理解をしております。」というやり取りです。ここでお伺いしたいのは、少なくとも私の理解では、日本政府が帰属権を巡って問題があると、領有権争いがあると言われているのは2カ所、竹島、それから北方領土であって、それ以外は東京も三重県も、或いは尖閣も含めて皆同じ争いのない固有の領土だというように私は理解しておるのですが、そうした中で、固有の領土である尖閣について、「日本と中国当事者同士でしっかり議論して結論を見いだしてもらいたい」という発言については、前後の文脈は別にして、ここだけ切り取って見ても、若干、政府見解と違うのではないかというふうに私は感じざるを得ません。この点についてのご見解と、更に、もしこれが事実であるならば、当然これは帰属を巡って協議をしなくてはいけない訳ですが、実際そういう予定があるのか、指示があったのかどうかを教えて下さい。
【大臣】その場には、私(大臣)も、少し何人か挟んで横におりましたので、当然外交問題ですから、注意深く聞いていたつもりですが、オープンの場ですから、今、読み上げられたのは、恐らく事実なんだろうと思います。そういうことだとすると、もう少し私(大臣)の方から、きちんと発言すべきであったと思っております。国会でも答弁しましたように、尖閣の問題は、日本の領土問題ではありません。そこは議論の余地なきことであって、そのことは日本政府として何度も申し上げているところでございます。
【共同通信 齋藤記者】今の岡田大臣の発言はよく分かりました。今、申し上げたところで、総理が勘違いなのか、認識が政府見解と違うのかというように若干受け止められるのですが、この点について、例えば大臣の方から真意をちょっと確認するとか、話し合うというようなお考えはどうでしょうか、お持ちでしょうか。
【大臣】総理がどういう趣旨で言われたのかということは明確ではありませんが、誤解を招くということであれば、より正確な表現というものをどこかのの段階でなされることになると思います。
【フリーランス 岩上氏】外交報償費、並びに官房機密費についてお伺いしたいと思います。前回の記者会見の中で、これらの報償費等が言論人、或いはマスコミの幹部等にまかれていたということについて、調査するおつもりはあるかという質問がありました。それに対して大臣は「調査をするつもりはない、また仮に記録を取っておいても、それを公表するのはプライバシ-の問題があるから公表しない」とお答えになりました。もしかすると、使い方が違うかも知れませんが、「プライバシ-」という言葉を大臣はお使いになっていたと思います。これについて、直後から私の元にもネット等で強い反発の声が寄せられております。事が事実であれば言論が買収されたのではないか、一種の贈収賄ではないか、或いは脱税なのではないか、犯罪性だって帯びているのではないか、或いは違法行為であるかどうかは置いても、社会的、道義的に絶対に許されることではないという強い批判が寄せられております。なぜ大臣は再調査をされないのか、或いは、そういう「プライバシ-」という言葉で片付けられてしまうのか、強い批判が上がっているということを踏まえて、この点をもう一度、ご見解を聞き直したいと思います。
【大臣】まず、議論の前提を明確にしていただきたいと思います。私(大臣)は外交機密費がそういった、野中さんが明らかにしたような形で特定のメディア人に現金で渡っているということは全く考えておりませんので、それに対して答えることはできない訳です。
【フリーランス 岩上氏】それにたいして野中さんが言われたこと、或いはフリージャ-ナリストの上杉さんが週刊ポスト上で展開されている精力的な言論活動もあります。しかし、私もある著名な言論人から直接「官房機密費を受け取った。自分がこれから後、それについて明確に発表する」ということの言質も得ております。当人が発表するというのですから、私の方は取材はしたけれども発表しないでいますが、こういった証言、取材の成果というものが表れている時に全く黙殺するというのはいかがなものでしょうか。
【大臣】ですから、言葉の定義を明確にした上でお話しをした方がいいと思うのですが、今、ご指摘になったのは官房機密費の話で、官房機密費は外務省の関知するところではございません。私(大臣)が申し上げたのは、外交報償費について、「そういうことはない」ということを申し上げている訳です。
【フリーランス 岩上氏】今、私が現実に取材した事例のことを申し上げましたが、その方は外交報償費を得たことと、官房機密費を得たということの両方を上げておられます。
【大臣】もし、そういうことであれば、いつ、どのような形で、どれだけの額を得たかということを、公表されなくてもいいですから、私(大臣)に教えていただきたいと思います。少なくとも私(大臣)が外務大臣になってからは、もちろん、そういうことはない訳であります。過去にそういうことが絶対なかったかどうかは分かりませんので、それはお教えいただければと思います。
(1)NGOアドバイザリー・グループの設置について
【岡田大臣】まず第1に、NGOアドバイザリー・グループの設置についてということで、実は今、まさしく第1回の開催をしていたところですが、私(大臣)の下に日本の国際協力の在り方に関するNGOアドバイザリー・グループを設置いたしました。国際協力に関わる知見、経験が特に豊富なNGO関係者6名の方に常任メンバーに就いていただきました。今後、福山副大臣、西村政務官も含めて、常任メンバーとして2か月に一度ほどお集まりいただいて、さまざまなテーマについてご意見をいただきたいと考えております。もちろん、テーマによっては、そのテーマごとに追加的な参加者を得ることも考えております。
本日、今、まさしくやっていた訳ですが、第1回会合ではODAの見直しについてご意見をいただいたところであります。国際協力の分野におけるNGOの役割は、非常に大きなものがあるというのが、私(大臣)の持論でありまして、野党時代には民主党NGO海外活動推進議連を立ち上げて活動してきた訳であります。そして大臣就任後も、非公式にNGOの皆さんのご意見をいただいてきた訳すが、今後、定期協議会という形で、より密度の濃い提携強化を図っていきたいと考えております。
(2)NPT運用検討会議について
【大臣】2番目に、NPT運用検討会議について、今朝、ニューヨークにおいてNPT日本政府代表団長を務める須田軍縮代表部大使と電話で会談をいたしました。最近の現場における交渉の最新状況について報告を受けた訳であります。核軍縮・不拡散、原子力の平和利用、それぞれを扱う主要委員会の議長報告書案はコンセンサスが得られず、今後はカバクチュラン議長から全体報告書案が提示されると、そして議論がされるということであります。まだまだ交渉は最後まで予断を許さないという状況でございます。私(大臣)からは、前回のように結果がまとまらないということがあってはならないということで、更に日本政府としても須田大使に努力をしてもらいたいということを申し上げたところであります。そういう中で、今、核軍縮の部分についても、核保有国とそうではない国々との間の対立もある訳でありますが、核保有国に対しても、もう少し、将来の核軍縮に対するある程度のコミットも視野に置いて、よく現場で話をしてもらいたいということを申し上げたところであります。(3)外交記録公開・文書管理対策本部について
【大臣】3番目、外交記録公開・文書管理対策本部でありますが、3月16日に第1回を開催して以降、5回開催をいたしました。昨日の会合で、一連の対応策がとりまとめられましたので、その概要を説明したいと考えております。詳細は、別途配付する資料をご参照いただきたいと思います。
4つ申し上げますが、第1点は、国家行政組織法14条に基づく外務大臣訓令として、外交記録公開に関する規則を制定することにいたしました。本日付で施行であります。いわゆる密約問題に関する有識者委員会の報告書も踏まえ、「30年自動公開原則の徹底」、「政務レベルの関与」ということを明確化いたしました。そして、例外的に非公開とする場合について、具体的にその規則の中に明記する。例えば、「現在または将来にわたって具体的に国の安全が害される場合」、或いは「他国との信頼関係が損なわれる」といった具体的に最小限のものを列挙して、それに当たらない場合には自動的に公開するということにしたものであります。しかし、最終的に公開しないという場合には、或いは文書を30年経って廃棄するという判断をする場合には、政務レベルの了承を必要とするということも明記をいたしました。今後はこのルールに則って定期的に対外公表し、外交史料館で閲覧できるようにするということでございます。
第2は、福山副大臣を長とする外交記録公開推進委員会を新たに設置することにいたしました。ここで、膨大な30年を超えた資料の公開審査の優先順位、或いは非公開部分の是非などについて総合的に判断し、最終的に外務大臣の了承を得るという形にしたものであります。この外交記録公開推進委員会には、外部の有識者も加えて意見を得ることにしております。第1回が6月中旬に開催予定であります。ここで、まず、何から公開していくかということを決めてもらい、最終的には私(大臣)のところで判断するということであります。恐らく日米安全保障に関わる部分を、まず集中的に公開していくことになるのではと思っております。
第3に、こういった文書管理部門について、体制を人員、組織面で強化をするということで、外務省OBを活用するなどして順次増員することにいたします。現在70人体制を100人体制ということにしたいと考えております。本年夏をめどに文書管理部門の組織を再編し、新たに外交記録情報公開室を設置したいと考えております。
4番目、最後ですが、文書の作成管理の改善のために、既存の文書管理規則を一部改定する予定であります。また、具体的な文書管理のためのマニュアルの整備や省員の意識改革のための研修の強化、そして、外交史料館の設備の整備などを行う予定であります。こういったことを昨日決めまして、今後、順次実施をしていくということでございます。
(4)ハーグ条約に関するアンケートの実施について
【大臣】最後に、国際的な子の奪取の民事面に関する条約、いわゆるハーグ条約に関するアンケートの実施についてということであります。【フリーランス 上杉氏】外務報償費についてお尋ねします。先月、野中元官房長官が官房機密費、いわゆる内閣報償費に関して「マスコミ陣に渡していた」とTBSの番組で暴露しました。ちなみに野中さんの在任期間は98年~99年ですが、以前、岡田大臣は2000年以前の外務報償費については官邸上納したということについてお認めになって、調査報告をされましたが、その際、マスコミに流れたという点は調査されたのか。そして、また今後、そういう部分での報償費の扱いについての過去に遡っての調査をされる用意はあるのか、お聞かせください。
【大臣】この場で申し上げたと思いますが、「外務省の報償費が外交用務に使われていたことが判明した」と申し上げました。ですから、野中元官房長官がお話になったような、そういったことに使われたとは承知しておりません。外交用務ということであります。
【フリーランス 上杉氏】今後、調査の予定は。
【大臣】ございません。官房報償費の話かと思います。
【ビデオニュース 竹内記者】外交記録に関連してですが、報償費というのも実際に30年後には公開できるように逐一記録を取ってあるのかということと、もし記録をきちんと取ってあって、かつ30年経って他国との信頼関係が損なわれない場合というのは、報償費というのも公開の対象になるのか、お教え下さい。
【大臣】報償費の場合は、個人のプライバシーにも関わりますので、原則公開しないというのが今のルールです。
【ビデオニュース 竹内記者】記録というのは、とってあるのでしょうか。
【大臣】記録はあります。
【朝日新聞 鵜飼記者】本日は社民党の福島党首が沖縄を訪問されていますけれども、辺野古に反対ということで、先日、鳩山首相が沖縄に行かれて、辺野古周辺でお願いしたいということを仰っている訳ですけれども、閣内に大きな不一致があるかと思いますが、岡田大臣はどのようにご覧になっていらっしゃいますでしょうか。
【大臣】社民党の考え方というのは、以前から承知しております。ただ、内閣で今、総理が自ら沖縄に行かれて方向性を口にされた訳であります。もちろん、正式に閣内で社民党と調整をしたという訳では必ずしもないと思いますが、内閣の一員として、総理は大変厳しい決断をされたと思いますが、そのことについて、一定の配慮があって然るべきではないかと思っております。
【フリーランス 岩上氏】普天間の移設問題に関連してご質問させていただきます。今朝の亀井大臣の会見の中で、この問題について質問をさせていただいたところ、詳しくご回答いただいたのですが、この問題はまだ完全な決着を見ている訳ではないと、最終決着として、そういうことを言った訳ではなく、まだ、国外或いは県外ということの可能性も含めて追及していく可能性はあるのだということでした。また、連立を組んでいる国民新党、とりわけ社民党の立場は重視されなければならないといった内容の回答を得ました。今、連立を組んでいる社民党の立場についてのご質問がありましたけれども、もう一度その連立を組んでいる2党の見解、首相の言われたことと今、大臣の言われたことと距離があるように思います。この点について、まだ、辺野古以外でのオプションといいますか、可能性といいますか、今後もそれを追及していくのだという言い方との間の開き、この辺についてご回答いただきたいと思います。
【大臣】もちろん、内閣として何か確認をしたり、決定したということは、まだございません。したがって、そういう亀井党首のご意見も出てくるのだと思いますが、いずれにしても、これは月末までは明確になることだと思っています。
【NHK 梶原記者】これから月末になると思うのですけれども、日米間で合意文書を取り交わすということがあると思うのですが、一方で、閣内で明確に反対している閣僚がいるという段階で、日本国政府が他国と合意文書を交わすということは、一見するとできないのかなとも見えるのですが、その辺りのご見解をお願いします。
【大臣】ですから、月内には内閣として一定の結論を得るということは、当然だと思います。
【NHK 梶原記者】そうしますと、月内までに閣内が一致した状況で合意を交わすということが必要だという見解でしょうか。
【大臣】日米の合意文書というものは、現在の方向は2+2です。ですから、私(大臣)と北澤防衛大臣、クリントン国務長官とゲイツ国防長官ということになります。ただ、その文書を内閣として受け入れるということを前提に議論してきている訳ですから、それは内閣が全く関係のないところで、2+2の文書として存在するということは、それは非常に考えにくいことだと常識論として思います。
【時事通信 高橋記者】先週、クリントン国務長官が来られたときに、「米軍の運用上有効で、しかも政治的に持続可能な解決策を見出したい」とクリントン国務長官は仰いました。総理が沖縄に行かれて、辺野古の付近と仰って、それに対して、名護市長ははっきり反対と仰いましたし、知事も厳しいと仰っています。それから、先ほどの質問にもありましたように、連立内の状況もありますけれども、総理が仰った辺野古近辺というのは、本気で日本政府として、政治的に持続可能と考えているのか。そして、それを米側にそのように説明していらっしゃるのでしょうか。
【大臣】もちろん、現時点で沖縄の状況というのは、そういう状況ではないというのは、今、お話になったとおりであります。ですから、政府として、案を決定して、そしてそれをもって沖縄の皆さんのご理解を得る努力を行っていくということだと思っています。
【琉球新報 滝本記者】与党三党の中で、与党国対委員長の間で覚書というものを、まさに午前中の与党国対委員長会議で話をされていて、その覚書の中で県外、国外を引き続き三党連立を固めながら引き続き追及していくのだという内容のようなのですけれども、その辺の与党内での国対委員長会議の中でそういう議論になっているということについては、どのようにお考えなのでしょうか。
【大臣】何か決定的な結論が出たということではないと思いますので、私(大臣)はコメントを控えたいと思います。今、仰ったことも、どのぐらいのタイムスパンで物を考えているのかということもありますし、私(大臣)がそれについてコメントする話ではないと思います。
【琉球新報 滝本記者】嘉手納基地に関連してですけれども、以前にお伺いしたクラスター爆弾の件がありましたけれども、昨日はナパーム弾の改良型の焼夷弾MK77という種類の爆弾が積まれようとして、結局積まれなかったのですが、それは滑走路まで積もうとするような段階まで運ばれていたというようなものが目撃されています。このナパーム弾についても世界的に禁止しようという形の流れの爆弾兵器だと思うのですが、クラスター弾の件も含めて、運用の件で米軍はその使用について明らかにしないということが従来ありますけれども、前回もお伺いましたが、更にその一歩進んで、それを確認できない、向こうは答えないということはありますけれども、そこをどうにか日本政府として、日本の国内で使われている、少なくとも疑いがあるというようなことについてなので、外務省の対応ということで更にお伺いしたいのです。
【大臣】この前、申し上げましたのは、使われているというのは訓練で使われているのであって、実施に使われている訳ではありません。クラスター爆弾にしても、禁止条約というのは実際にそれを使うことを禁止しているということですから、そこは状況は必ずしも同じではありません。ただ、ナパーム爆弾とクラスター爆弾を同一に論ずることは私(大臣)できないと思いますけれども、いずれにしても、一定のセンシビリティを持って米軍には活動してもらいたいと考えています。
【読売新聞 川崎記者】先程、大臣は日米で合意して、その後、沖縄の方の理解を何とか得たいというお考えだと思うのですが、ご存じのとおり、1996年以来14年間、なかなか前に進まない状態が続いてまして、これからまた更に沖縄の合意を得るとなりますと、更に長期化する懸念もある訳ですが、大臣ご自身は、何故ここまで14年かかっても前に進まないのかということと、更に長期化する懸念がないかということについて、現時点での大臣のお考えをお聞かせ下さい。
【大臣】間もなく明らかになることですが、今回の合意案というのは、沖縄の負担を軽減するために、様々な措置が盛り込まれたものであります。そういうことも含めてきちんと説明させていただき、同時に沖縄に基地があることの抑止力としての観点からの必要性ということについても、国民的理解を得る中で、是非前に進めていきたいと考えるところであります。あまり今まで「何のために米軍が存在するのか」という議論も国民的には殆どなされないまま、少なくとも国民の理解を得ないまま来たということだと思います。そういったことも、今回のこの一連のことをきっかけに、国民の理解も大分深まったと思いますので、そういったこともしっかり理解を得ながら、進めていきたいと思っています。
【日本インターネット新聞社 田中記者】普天間についてお伺いいたします。岡田大臣は当初、嘉手納への統合案を仰っておられましたが、辺野古がこれだけこじれにこじれて、普天間が1ミリも動かない可能性も出てきた今、当初の嘉手納統合案、「俺の言った嘉手納統合案の方が正しいではないか」というのは、心をかすめませんでしょうか。
【大臣】1ミリも動かないとは思っておりませんので、なんとか総理の言われた考え方でしっかりとご理解を得たいと思っております。
【フリーランス 上出氏】普天間の関連でお伺いします。今、大変大事なことを言われましたが、国民的論議もないまま、ここまで来てしまったということでした。時間的にそれを遡ってやるというのは難しいですが、どういう合意になるか分からないにしても、これで全て上手くいくということはない訳です。岡田大臣自身がどういう形で国民的な議論をしたり、世論調査の結果をこの前言っていましたが、安保を認めているという前提で言ったと思うのですが、どういう形で国民的理解を得ようと、そういう議論に持っていこうと思っておられるのでしょうか。
【大臣】すでに私(大臣)は、国民的な議論はかなりあちこちでなされていると思います。自衛隊だけでは日本の安全は確保できないと説明している訳ですが、そのことに対していろいろなご意見があると思いますが、私(大臣)は多くの国民の理解は進んだと思います。したがって、米軍の存在というものは必要であるということです。この数ヶ月でそういう議論はかなりなされるようになったということは、私(大臣)は前進だと思っております。
【NHK 別府記者】北朝鮮情勢ですが、総理が日本独自の制裁ということを言及されていますけれども、実際、なかなか今まで日本がいろいろ制裁をやっているので、メニューが考えにくいのかなとも思うのですが、どこら辺を強化できるのかということと、スピード感ということも必要な問題かと思いますが、どのようにお考えになっていますでしょうか。
【大臣】いつまでにということは、特に決めた訳ではありません。しかし、やはりタイミング等がありますから、そう長く時間をかけて議論することではないと思っています。中身については、今、検討中でありますので、私(大臣)から余り先取りして物は言わない方がいいと思います。
【毎日新聞 西岡記者】哨戒艦事件に関連して、日本政府から北朝鮮に対して、地域の平和と安定を損なうような処置をとらないようにというような北京の大使館ルートを通じた申し入れをされるご予定というのはあるのでしょうか。
【大臣】私(大臣)は聞いておりません。しかし、日本政府の主張というのは、日本政府の発表を見ておれば明らかであります。
【時事通信 水島記者】国連安保理での対応について確認ですけれども、韓国は恐らく制裁決議を目指して、これから行動するのではないかと思うのですが、日本としては、共同提案国になる用意というのは、現時点ではあると考えていてよろしいのでしょうか。
【大臣】韓国もどういうことを目指すのかということをきちんと見極めた上で考えていきたいと思います。まだ、共同提案国とか具体的なことを言うのは時期尚早だと思います。安保理での議論ということになっても、イランの問題もありますから、どのような順番をつけてやっていくかということもあります。メンバー国の状況も見極めなければなりません。余り議論を先走りしない方がいいなと思っています。
【フラーランス 小山氏】米軍と韓国軍の対北朝鮮軍事行動は100%ないと見てよろしいのでしょうか。
【大臣】私(大臣)は予想屋ではありませんので、断言するつもりはありませんが、韓国政府は軍事的なことは考えていないということは明確に言えると思います。
【共同通信 西野記者】外交記録の公開についてお伺いいたします。密約も踏まえてということだったのですけれども、改めて今回、自動的に30年で公開していくことになったことについて、外交と国民の関係や、日本の情報公開や民主主義という観点から、まず、その意義を改めて指摘していただきたいと思います。
【大臣】外交には機密というものは付きものであります。しかし、それがそういった外交機密が必要であるという大義名分の下で、本来行ってはならないことが行われたりすることもあります。一定の年月を経たところでそれを公開することで、そのときの判断が果たして適切だったのかどうかということを検証する、そういうきっかけを与えるのが、私(大臣)は文書公開であると思っております。そして、それは民主主義にとって非常に根幹にわたる重要なことであると思っております。今までも30年ルールはあったのですが、実際には官僚組織の保守性のなせる技といいますか、なるべく出さないという傾向があったことは事実で、それを原則公開ということにしたことで、そして、外部の第三者、或いは政務レベルでの判断ということを挟むことで、飛躍的に公開の範囲は高まったと考えております。この方針をしっかり維持して、後世、検証に耐え得る外交政策というものを是非実現していきたいと思います。
【共同通信 西野記者】普天間問題を巡る昨年以来の経緯なども非常に30年後は楽しみにしておるのですけれども、それはそれとして、
【大臣】その前に手記でも書きますか。
【共同通信 西野記者】その前に、今もあったのですが、官僚の裁量を排して、政務が判断する。その中で、文書の廃棄や非公開について政務レベルで判断する。そういったことを政務レベルで判断したということも情報公開の対象になるのでしょうか。何となれば、いわゆる国会議員がリスクを取るということで制度の信頼を担保していると思うのですけれども、その部分が明らかにならなければ、制度として画竜点睛を書くような気がするのですが、いかがでしょうか。
【大臣】まず、これは政務だけではなくて第三者もかむということも申し上げておきたいと思います。そして、廃棄をするということは、どういうものを廃棄したかということは明確になるようにしなければならないと思います。もちろん、事後的に廃棄したものをチェックすることはできませんけれども、廃棄するのは残す価値がない、保存する価値がないということで廃棄する訳でありますので、そのことが誰のときにどういう文書を廃棄したかということが分かるようにするということは当然のことであります。それから、公開しないということを決めた場合ですが、5年ごとに見直しをしていきます。つまり、30年経って、そのときには公開しないということを決めたとしても、35年には、つまり5年後にはもう一回、そのときの政務なり第三者が判断をするということです。5年ごとにそのことを判断していくということでありますので、当然、実際に35年経って開いてみたら、5年前に何でこんなものを公開しなかったのかということになる訳ですから、そういう意味では公開しなかったこと、或いは廃棄したことの責任ということを当然明示的に負うことになります。
【毎日新聞 吉永記者】政務レベルで判断するということですが、それではその時に役についている人によって、非公開の基準というものが変わってしまうという可能性があると思うのですが、その辺りについては、どのようにお考えでしょうか。
【大臣】「人が変われば多少の変化があるではないか」と言われればそうかも知れませんが、まず、規則に基づいて原則的にはそれは委員会で判断する訳です。その上で政務に諮るということですから、仰ることは論理的には分からない訳ではありませんが、それを言ったら全てのことについて、人間が判断すること全てについて、その人によって違いがあると言えるかもしれません。しかし、「どのような場合に公開しないのか」というのは、ルール上はっきりしているということです。
もう一度申し上げますと、「規則の第7条、次に各号に掲げる情報が行政文書全部又は一部に含まれる場合は、当該情報の一般の利用を制限することができる。ただし、情報の一般の利用の制限は、必要最小限のものでなければならない。
一、行政機関情報公開法第五条第一号に掲げる情報(いわゆる個人に関する情報)
二、行政機関情報公開法第五条第二号又は第六号イ若しくはホに掲げる情報(いわゆる法人等に関する情報、事務又は事業に関する情報)
三、公にすることにより現在又は将来にわたって具体的に国の安全が害され、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれる又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被ると外務大臣が認めることにつき相当の理由がある情報」ということです。
【朝日新聞 鵜飼記者】外交文書の廃棄についてですが、廃棄をするということは要は保管場所もなかなか足りなくなって、ずっと置いておくのも無理だということで、これまで廃棄の規定、保存期間が何年というのが定められていたのだと思うのですが、最近は電子データでの保存とかいろいろな形での保存が可能になってきていると思うのですが、そういうところを見直されるお考えはないのでしょうか。
【大臣】そういう議論はあり得ると思います。ただ、それにしてもあまり大量にあると、検索するだけでも大変です。ですから、現在も確か3年、5年といくつか内容によって分類しています、単なる連絡事項であるとか、そういうものは30年経たずに廃棄するものもあります。それは、皆さんの会社を考えていただいても、お分かりいただけると思います。全てを保存するというのは非現実的だと思います。
(1)日米外相会談について
【岡田大臣】本日はまず、クリントン国務長官との日米外相会談、そしてその後の鳩山総理とクリントン国務長官との会談であります。
まず、日米外相会談につきましては、先ほど会場で簡単なブリーフといいますか、会見を行いましたので、それ以上のことを特に申し上げることはありませんが、約1時間にわたってさまざまな問題について有益な意見交換ができたと思います。中心になったのは韓国哨戒艦の沈没事案に対する対応、イランの核問題に対する安保理における対応、そして、これから長官が中国に行かれるということで、中国に関する意見交換ということが中心でありました。それ以外に、もちろん、普天間の問題についても、これからの見通しについて意見交換を行ったところであります。
その他、話題となりましたのは、余り時間をかけませんでしたが、ハーグ条約の問題、対ミャンマーの問題、そういったことにつきましても意見交換が行われました。今回、クリントン国務長官との会談は5回目ということになりますが、非常に有意義な意見交換ができたと思っております。
総理は約30分間、長官とお話し合いになりました。この中で最初は総理の方から普天間の移設の問題についてお話しをされ、そして現在の安全保障環境、特に北朝鮮の問題を始めとするそういう状況の中で、日米同盟がいかに重要かということを総理、長官ともに確認されたと思っております。これ以上のことは質問で後ほどお聞きいただきたいと思います。
(2)カルザイ・アフガニスタン大統領の訪日について
【大臣】もう一点、私(大臣)から申し上げることは、アフガニスタンのカルザイ大統領が訪日されます。6月16日(水曜日)から20日(日曜日)までの間、日本を訪問されるということであります。アフガニスタンの復興と安定は、国際社会における最重要課題の1つであり、我が国もこれまで積極的にアフガニスタンを支援してまいりました。
今般の大統領の訪日では、ガバナンスの強化、治安の改善といった諸課題に対するこれまでのアフガン政府の取組みについて説明を求めるとともに、昨年11月に我が国が発表した対アフガニスタン支援策の効果的な実施について議論する予定であります。
【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】韓国の哨戒艦の沈没の事案について、韓国から国連安全保障理事会に提訴する可能性が高いです。そうすれば、例えば中国の温家宝首相が訪日する際に、日本政府から中国に「是非賛成票を投票してください」と働きかけるつもりはございますか。
【大臣】韓国の哨戒艦の沈没事案に関しましては、安保理にかかるかどうかということは、韓国政府が決めることであります。現時点でそういうことはまだ決まっていないと承知をしております。ただ、韓国政府の決断として安保理で議論するということであれば、これは日本としても最大限協力していきたいと思っております。先般、鳩山総理からもそういう発言がございました。安保理で議論を行っていくときに、中国の協力というものも大変重要であります。そういう意味で、我々からもクリントン国務長官に対して、これから中国に行かれますので、是非そういう議論もしてもらいたいということを申し上げましたし、そして同時に温家宝首相が日本に来られる際に、この問題について両国間で話し合う予定であるということも申し上げました。
【共同通信 斎藤記者】本日の外相会談に絡めて、米国の北朝鮮を対象としたテロ国家指定の件についてお伺いしたいと思います。
米国は一昨年、日本人拉致問題が未解決の中で、北朝鮮に対するテロ国家指定を解除したということで、当時、日本でも随分いろいろと取り上げられました。そうした中で、今回は韓国の哨戒艦沈没に北朝鮮関与が明らかになったということで批判が高まっているわけですが、それに絡めて、北朝鮮を米国がテロ国家に指定するかどうかというのも1つの焦点になり得るかと思います。米国の内政であって、外交問題ではないという部分もありますが、日本のこれまでの気持ちといいますか、世論といいますか、そうした観点からすれば、やはり米国に対して、何とかしてほしいという部分もあるかと思いますが、この点について、岡田大臣の方から、今後、表現とか言い方は別にして、この問題について米国と話し合いになる意向があるかどうか、また、クリントン国務長官との会談で取り上げたかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
【大臣】この問題は、ご指摘のように、米国の法律をどう適用するかという米国の問題であります。私(大臣)からは、クリントン国務長官に対して、この点をどう考えているのかということを質問いたしました。それに対して、今回、明確なお答えは特にございませんでした。恐らく、そういった結論が出ていないということだと思います。
ただ、この問題を考えたときに、米国の法律でありますけれども、基本的に今回の事案というのは、停戦協定違反であります。テロ国家支援というのは、基本的に個人に対するテロ行為ということが要件になっております。そういう意味で、そのものズバリではないと私(大臣)は思いますが、念のため、期待感も込めて長官に質問してみたところであります。
もう一度繰り返しますが、それに対し、そういうことを考えているという答えはありませんでした。
【フリーランス 岩上氏】テロ国家の再指定の問題に関連してご質問させていただきます。
米国の下院の外交委員会の中の中東の小委員会の委員長が、テロ国家再指定を求める書簡を大統領に送ったと聞いております。これはイスラエルの外相がヒズボラやハマスに対して、ミサイル、或いはロケット砲等の武器が北朝鮮から輸出されているということで、テロ国家の指定をという要求があったことと関連していると聞いております。
今、大臣は、拉致問題と関連して、テロ国家再指定ということを仰られましたけれども、この問題と裏表になっているのかもしれませんが、中東の情勢とこの極東の問題は、どのように絡んでくるのか、どのように関係したり、影響したりしてくるのか、その辺についての分析、お考えというのをお聞かせ願いたいと思います。
【大臣】私(大臣)の申し上げたテロ支援国家への指定というのは、テロ活動。テロ活動というのは、個人に対するまさしくテロ活動ということでありますので、今回の北朝鮮の行為というのは、韓国の軍に対する停戦協定違反ということで、法律的に見ますと、状況は少し違うということを申し上げたわけであります。
テロ支援国家ということになるためには、例えばテロ組織に対する支援を現にやっているという証拠が必要になるかと思います。先ほど仰ったヒズボラ等への北朝鮮の支援があるのではないかというのも、そういうコンテクストの中で理解されるべき話だと思います。ですから、北朝鮮がそういったテロ組織とつながっているということがきちんと示せるかどうかというのが1つの論点だと思います。
いずれにしても、基本的にこれは米国国内法の適用の問題でありますので、これ以上は私(大臣)が言及するのを避けたいと思います。
【フリーランス 岩上氏】ヒズボラとハマスに対するイスラエルの認識は、恐らく彼らはテロ集団ということになるのでしょうけれども、日本としては、ヒズボラやハマスが北朝鮮と関わりのあるテロ組織であるという認識であるのか、それとも、また別の認識であるのか、その辺りのお考えをお示しいただきたいと思います。
【大臣】これは、問題はテロ支援国家として指定するかどうかという米国の法律の適用の問題でありますから、今、仰ったようなヒズボラ、ハマスがテロ組織であるのかどうかとか、北朝鮮と関係があるのかどうかとか、そういうことについて、私(大臣)がコメントする立場にはございません。
【テレビ朝日 山本記者】クリントン国務長官は先ほどの会見で「北朝鮮に対してはっきりと誤解の余地のないメッセージを発したい。詳細は、この1週間で決めていきたい」と述べておりましたけれども、日本政府としても、米国と足並みをそろえる形でこの1週間という枠の中で政府の対応を決めていきたいとお考えでしょうか。
【大臣】1週間かどうかはともかくとして、まず、月曜日に李明博大統領のスピーチが行われるということが予定されております。そのときに、恐らく韓国政府の対応というものがかなり明らかになるのではないかと思います。
我々としては、韓国、そして米国政府と意思疎通をしながら、協調して何を成すべきか、ということについて決定をしていきたいと考えております。
【共同通信 斎藤記者】哨戒艦沈没のくくりでお伺いします。日米韓連携の話は、先ほど大臣の方からご説明がありましたが、一方で、日本はこれまで累次にわたり日本単独の対北朝鮮制裁措置を実施してきたわけです。
今回は、韓国の船ということですが、北東アジアを脅かす治安という意味では、日本も関係なしとはしないという状況の中で、新たな追加制裁措置、これを検討する用意があるかどうか、そして何か具体的な措置についてのイメージがあるかどうか、この点についてお伺いします。
【大臣】まず、基本的には、それは国際社会が一致して行動するということは非常に重要なことと思いますので、そのことを目指したいと考えております。
日本独自に何らかの措置を講ずるかどうかというのは、これからの検討課題です。ただ、残念ながらといいますか、貿易関係もありませんし、前の累次の制裁の中で追加的に取り得ることというのは、そう残されているわけではございません。しかし、全くないわけではないわけで、それをどうするかということは日本政府内における今後の検討課題です。
【フリーランス 岩上氏】前々回の会見だったと思いますが、今回の哨戒艦の沈没に関して何が原因かまだ判然としない段階で、大臣は、「仮に事故でなかったとしたら、六者協議が吹っ飛んでしまうかもしれない」というような懸念をお示しになりました。非常に強い警戒感というものをお持ちだったと思うのですけれども、改めてこの段階で北朝鮮の関与がはっきりしたという段階で、六者協議再開の見通しとか、それへの影響についてどのようなお考えをお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
【大臣】我々は、六者協議が非常に重要だと考えています。ただ、今回の事案が北朝鮮によって引き起こされたということが明確になったわけですから、直ちに六者協議を開くという環境にはないということであります。
【琉球新報 滝本記者】韓国と北朝鮮との関係ということで、これまでにも北と南の軍事的緊張はたびたび起こってきたと思いますが、それで、この間、普天間の移設の関連で「抑止力」ということが言われるときに、鳩山首相も岡田大臣も仰っていたと思いますが、やはり北もこういう状況があったり、中国の状況があったりというような言葉で語られて、今回の韓国船沈没の件を、北東アジアの状況の不安定さということの一つの表現として、例示として挙げられますけれども、これまでの北と南の緊張感という状況と比べて、今回のこの事案が突出して不安定さを上げるような状況になっているのか、それとも、以前からと同じレベルというか、やはり緊張の要因があるということなのか、その辺のご認識はいかがでしょうか。
【大臣】朝鮮戦争が1953年に終わってから南北間の緊張というのは常にあった訳ですけれども、そして、その間、いろいろな事件がありました。しかし、一度に46人の兵士が武力攻撃によって亡くなるということは、極めて稀なことであり、そして、近年なかったことであります。そのことの重大さということは、しかもそれは何か理由があってなされた、恐らく理由はあったのだと思いますが、我々の想像できないような中で起きているわけですから、やはりこれは緊張感を持って対応していかなければいけないと思っております。
【ドイツテレビ 西里記者】その「抑止力」ということですけれども、「抑止力があるので、この程度の軍事行動で済んだ」という言い方ができるかとも思いますが、テポドン等を踏まえて、PAC3などが全部配備されたわけですけれども、「抑止力にはなっていないのではないか」というようにも言えるわけです。それにもかかわらず北朝鮮がこのような行動に出たということについては、これ以上のことは起こらないだろうという考え方をするのか、普天間とのつながりにおいて、どのようにお考えでしょうか。
【大臣】PAC3というのは、防御的な兵器でありますので、今回の魚雷を発射して船を沈めるということとは直接関係はございません。ただ、PAC3があることで北朝鮮の選択肢が狭まったということはあるかもしれません。しかし、それはいずれも憶測の話であります。
今回のこの事件は、やはり身近にこういうことが起こり得るんだということを我々に突き付けたと思います。たまたま今回は韓国でした。しかし、日本で同じことが起こらないという保証はございません。そういう緊張感を持って対応していかなければいけないと思っています。
【ブルームバーグニュース 坂巻記者】この哨戒艦の沈没のことが、普天間の移設問題にどのような影響を与えるのでしょうか。例えば危機感が高まって、やはり普天間は早く片付けなければという世論等への影響、或いは政府の判断にどのような影響を与えると思われますか。
【大臣】このことが直接、この普天間の問題に影響するわけではありません。しかし、やはり日米同盟をしっかりとしたものにする必要性、そのことを改めて確認させたと思います。「日米同盟の重要さ」ということを、改めて私たち、私たちという意味は国民に再確認させたと思っております。
【フリーランス 岩上氏】改めてご質問させていただきたいのですけれども、今回の哨戒艦の沈没に関して、これは北朝鮮がどのような意図を持って、どのような文脈で、このような軍事行動を取ったと推論する、あるいは推察することができるのか。大臣は、どのようにお考えなのか。また、この後、この事件が散発的、あるいは単発の偶発的な事件で終わるという性格のものであるのか、それとも何か大きな戦端が開かれていく一連の始まりとみなすのか、今後の展望についても、現在わかる段階でお考えをお聞かせいただきたいと思います。
【大臣】これが大きな戦端が開かれるきっかけであると考えている訳ではありません。ただ、それ以上のことは推測の域を出ませんので、外務大臣である私が軽々に申し上げることではないと思います。必要なことは、いろいろなことが起き得るということであって、そのことに対して十分な備えをしておくことだと思います。
【フリーランス 安積氏】昨日の参議院外交委員会で、西田議員の質問に対して大臣は、「現在、有事であるとは考えていない」とお答えになりました。これは今、有事には極めて近い状態であるが、有事とまでは言えないような状況なのか、それとも有事とはまだ全然遠い状況であるのか、その辺りの大臣の危機感についてお伺いしたいのですが。
【大臣】遠いか近いかというのは、非常に感覚的な問題ですので、そういったご質問はお答えできません。しかし、今が有事であるとは思っておりません。そして、今回の事案について、やはり冷静に、しかし、しっかりと対応していくことが必要であると考えております。
【毎日新聞 野口記者】普天間問題に関してお伺いします。本日の外相会談で少し話題になったということですが、岡田大臣の日本側からの提案に対して、クリントン国務長官の反応はいかがだったでしょうか。朝鮮半島の意見交換が中心ということで、聞き置いただけだったのか、それとも、何らかの反応があって、日米合意に至るようなそういった感触がつかめたのかどうか、お願いします。
【大臣】クリントン国務長官がどのような発言をしたのかということは言うべきではないと思います。ただ、こういった現在の環境、日米同盟の重要さということに鑑みて、普天間の移設の問題について、日米間できちんと早く対応しなければいけないということについては、お互いに合意をしたと考えていただいて結構だと思います。
【毎日新聞 野口記者】早く対応しなければいけないということは、「5月末までの決着を日米でしっかりやりましょう」と改めて確認したということでよろしいでしょうか。
【大臣】5月末ということは、我々は前提として考えております。もちろん、今、交渉中ですから、それがどのような結果になるかということは、現時点ではまだ申し上げられません。しかし、「5月末」という、少なくとも日本側が約束した期限があって、そのことを念頭に置きながら早く解決しようということで合意をしたということです。
【琉球新報 滝本記者】外相会談では、クリントン国務長官は「運用上有効で、かつ、政治的に持続可能な案を追求したい」というようなことを共同会見で仰られたと思いますが、それがまだ実っていないからこそ、今日は特にその中身の発表がないと思いますが、その中身に向けた「政治的に持続可能である、或いは運用上有効である」ということは、どういうことを指すのかについて、岡田大臣のお考えをお聞かせいただきたいのですが。
【大臣】私(大臣)が米国側が使った言葉の解釈をする立場にありません。その文字どおり受け取っていただければいいと思います。
【NHK 禰津記者】本日の日米外相会談では、実務者協議について、大臣から現在の状況について説明されたと仰っておられましたが、本日も審議官級の協議が東京で行われていますが、現時点までの協議で、大臣への報告の中で「一定の合意に達した」ということは入っているのかどうか、それとも、来週も引き続き実務者レベルで協議する必要があるというご認識なのか、についてお伺いします。
【大臣】中身についてコメントは致しません。何とか早く合意に至りたいと思って是非審議官級の会議をしっかりと進めてもらいたいと考えております。
【NHK 禰津記者】引き続き来週以降も実務者レベルでやっていく必要性については、どのようにお考えでしょうか。
【大臣】ノーコメントです。
【テレビ朝日 山本記者】最後の出し方ですけれども、日米共同で合意文書のようなものを作って示すのか、それとも共同声明という形で発表するのか、また2プラス2のようなものを開いて、最後は決着させるのか、その出し方についてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】そういうことも含めて、それは出す時におわかりいただけると思います。まだ途中の段階でいろいろなことを言わない方がいいと思います。
【琉球新聞 滝本記者】先ほど私が質問した関連で、政府案というか合意案というか、そういうものについてのイメージ、先ほど私がお伺いしたのは、長官のご発言について大臣はどう思うかということで、米国側の言葉を引用してというのにはお答えいただけないということなので、大臣はどういう形のものということを、現在中身は言えないということはあると思いますが、大臣のお気持ちとしてはどのような形にしたいという思いがおありなのでしょうか。
【大臣】この問題はそもそも沖縄の負担の軽減と、そして抑止力の維持というこの二つの問題を同時達成するためにどうすればいいかということでずっと議論して参りました。鳩山総理の沖縄の負担をできるだけ減らしたいという強い思い、しかし同時に日本を取り巻く安全保障環境を考えれば、特に最近の先ほどの北朝鮮問題もそうですし、あるいは中国の海軍力増強もそうですし、様々な問題があります。そういうことを考えれば、抑止力の維持というものがいかに重要かということが、それは国民の皆様にかなり理解していただいているのではないかと思います。この二つの問題を同時達成するために我々ができ得る限りの努力をさせていただいて、なんとか日米合意に到達しようということで今努力をしているところです。
【日本テレビ 小栗記者】先程、クリントン国務長官との共同会見の中で、岡田大臣が「日米間で大きな方向性を見出したいと思う。そして、沖縄の理解が得られるように努力する」と仰いました。まず、日米間の合意というのが先にあるべきで、それをもって沖縄の理解を得たいという順番だとお考えなのでしょうか。
【大臣】どちらが先かというのは、なかなか難しい問題です。同時達成できれば一番いいと思います。ただ、沖縄の現状を見ると、沖縄の県民の皆さんの理解が直ちに得られる状況ではないということは、かなりはっきりしていると思います。従って、まず日米間で合意案を作り、そしてそれを沖縄の皆様に理解していくための努力をしていくということだと思います。
【琉球新報 滝本記者】大臣が仰られた「日米間で合意して、沖縄の理解をいただくための努力を」ということなのですが、それぞれの閣僚の役割の中でやっていかれると思いますが、地元への理解というのがどのように得られていくのかということなのですが、それは移設先の負担の軽減ということも当然ありますが、やはり総理が仰られた「トータルな負担軽減」ということの文脈の中で、沖縄の基地問題は普天間だけではないので、それ以外の部分の基地から派生するいろいろな問題の解決に取り組むということもトータルな負担軽減ということに当然入ってくると思うので、そこへの取組が地元の理解の取り付けということになっていくのかなと思うのですが、その辺りの理解についての大臣のご所見をお伺いします。
【大臣】これは出来上がったものをご覧いただくしかないのですが、普天間基地の移設問題については、出来る限り負担軽減を、そして併せて沖縄県から様々なご意見を頂いております。そういった問題について日米間で協議をしながら、負担の軽減を図っていくということです。全体が一つのパッケージであると考えています。もちろん、そこには8000人(の海兵隊)のグアムへの移転、その結果としての基地の返還ということも入っております。
【フリーランス 上出氏】普天間基地移設問題を巡っては、いろいろな声が出て、全国のいろいろなところに可能性があり、北海道も含めたような声も出ています。そういう考えは今の段階で視野に入っていないのか、大臣としての見解をお伺いします。
【大臣】私(大臣)の答えは同じです。途中の検討状況についてはお話しすることはございません。
【ジャパンタイムス 伊藤記者】先程、外相会談でハーグ条約についてのやりとりがあったと仰っていましたが、そのやりとりについてご紹介いただけますか。
【大臣】クリントン国務長官が何を言ったかというのは、言うべきではないと思いますが、ただ、米国政府の立場は一貫していまして、やはり子供に会えない米国人の親がたくさんいるということの中で、「ハーグ条約の加入を急いでもらいたい」ということです。そして、「現実に今ある問題を解決してもらいたい。そのために力を注いでもらいたい」という趣旨のことを言われました。私(大臣)からは、「ハーグ条約については国内的に考えるといろいろな問題があって、そういう問題について、今、法務省とさまざまな協議をしているところだ。そういった問題を解決して、ハーグ条約へ加入できるようになるべく早くしたい」と申し上げました。
【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】15日の外相会談の中で、オバマ大統領が主催して、4月にワシントンで開かれた初めての核安全保障サミットで岡田大臣は言及しましたが、中国の胡錦涛主席の発言がありながら、「核保有5か国の中で中国だけ核軍縮に取り組んでいない」と批判されました。やはり日本政府は、今、中国の核軍縮の体制などに、とても不満を持っていらっしゃいますか。
【大臣】まず、私(大臣)が、これは日中外相会談、それから日中韓外相会議、その折の私の発言に関するご質問だと思いますが、まず私が申し上げたことは、「胡錦涛国家主席の演説は、非常によかった」ということを申し上げた訳です。評価をしているということです。それに対して何か批判をしたものでは、もちろんありません。
その上で、そのこととは切り離して、「今、全体が核なき世界に向かっている中で、残念ながら、もちろん、米ロは先に核軍縮の合意に達しましたし、イギリスもフランスも減らしている。残念ながら中国は増やしている。そのことに対して、減らすか、或いは少なくとも現状維持にしてもらいたい」ということを申し上げた訳であります。私(大臣)はそれは当然のことを申し上げたと思っています。
(1)日中韓外相会議について
【岡田大臣】第一点は日中韓外相会議ということですが、このタイミングで2週間先の日中韓首脳会議の粗ごなし的な会議を開催してまいりました。併せて特に日韓間では日韓FTAの問題、沈没船への対応の問題を中心に、有意義な意見交換ができたと思います。日中間では核の問題、海の問題で危機管理メカニズムの創設の必要性について、お互い一定の確認ができたことは成果だったと思いますが、ただ、ヘリの危険な行為とか、或いは中間線の東側で調査を行っていた海保の船に対して、執拗につきまとって調査の継続を困難にしたというようなことに関しては、こちらの主張に対して完全に物別れと言いますか、お互い意見の相違があった訳で、そういった点については今後なおしっかり議論をしていかなければいけない。こちらはもちろん抗議をした訳でありますが、まだ決着はついていない状況であります。いずれにしても、率直にこのタイミングで意見交換できたことは非常によかったと考えております。
(2)温家宝中華人民共和国国務院総理の訪日について
【大臣】温家宝中華人民共和国国務院総理の訪日です。5月30日から6月1日まで公式実務訪問賓客として訪日する予定です。滞在期間中、天皇陛下の御引見、鳩山内閣総理大臣や各界要人との会見などを行う予定です。2008年5月の胡錦濤主席の来日の際に、原則として毎年どちらか一方の首脳が他方の国を訪問することで一致しており、この度の訪日はその一環として実施されるものであります。この温家宝総理が訪日を通じて、日本に対する理解を一層深めていただくことを期待するものであります。
(3)クリントン国務長官の訪日について
【大臣】クリントン国務長官は5月21日(金曜日)に訪日し、日米外相会談などを行う予定であります。クリントン国務長官との間では国会でも申し上げましたように、沈没船への対応の問題、或いはイランの核疑惑に対する対応といった問題を中心に話し合いをする予定であります。普天間の問題は何もないのかと聞かれれば、当然意見交換をすることになると思いますが、重点は先ほど申し上げた2点でございます。
(4)中国人観光客に対するビザの緩和について
【大臣】これは随分なんか色あせたものになりましたけれども、中国人観光客に対するビザの緩和について、7月1日から緩和することにいたしました。中国人の訪日観光は平成12年から団体観光の形式で実施してまいりましたが、これに加え、昨年7月からより少人数で自由な観光が可能となるよう、個人観光客に対しても査証を発給しているところであります。今般、個人観光客に対する査証の発給要件を緩和することといたしました。主な内容としては次の3点です。まず、申請受付公館をこれまでの3公館から7公館に拡大し、中国本土における全公館とするということであります。第二に、取扱い旅行会社を現行の48社から290社に拡大する。第三に、一定の職業上の地位及び経済力を有するものに対して査証を発給する。具体的に企業や政府機関の中堅幹部などが想定されるということでございます。今般の査証緩和により、観光分野における日中間の人的交流が一層活発化することが期待されるところでございます。報道によると発給の基準についていろいろな報道がされておりますが、外務省として明らかにするのは以上でございます。あとは内規の問題ですから、ああいったいろいろな記事が出たことは誠に遺憾であります。どこからそういった記事が出たのかということは、よく調べてみる必要があると思いますが、本来そういった内規については、外務省が持っている訳ですが、今まで出たことはございませんので、大変遺憾に思っているところであります。
(5)外務人事審議会について
【大臣】外務人事審議会について申し上げたいと思います。外人審というのは一体何かということを私(大臣)も事務方に何度か確認してきた訳でありますが、外人審というのは外交及び人事行政の専門家による独立性の高い第三者機関として、外務公務員の人事管理、在勤手当額の改定或いは名誉総領事の任命などについて意見を述べるものであります。簡単に言ってしまえば、人事院というのがありますが、人事院というのは一般の公務員を中心にしたものであって、それにプラスして外務公務員に関して特例的な問題について人事院と同じように、一定の独立性を持って意見を述べる、これが外人審であります。しかし、今までそういうことで運用されてきたかどうかというと、甚だ疑問があるということで、もう一度運用を見直し、本来の役割をきちんと果たすようにしたということでございます。そういう観点を踏まえて、今回新たに4名の新委員に参加していただくことになりました。任期が満了して空席であったものを、4名を新たに任命したということでございます。犬飼委員、大村委員、西村委員、広瀬委員ということで、それぞれの専門家を任命させていただいたところでございます。詳しくは担当のところにお聞きいただきたいと思います。
【NHK 禰津記者】クリントン国務長官の来日の件でお伺いしたいのですけれども、先ほどメインは北朝鮮問題で。
【大臣】北朝鮮とは私(大臣)は言っておりません。
【NHK 禰津記者】韓国の沈没船の対応とイランの核問題で、普天間問題についても意見交換はされるということですけれども、普天間問題に関しては、5月末まで2週間を切りましたが、大臣として、今回のクリントン国務長官との会談で、政府の案にどのような理解を求めようとしているのか、更に進んで何らかの一定の合意というものを目指そうとされているのか、その辺についてお考えをお聞かせください。
【大臣】普天間問題については、日米間で今、各レベルにおいて協議、意見交換を行っておりますので、中身はもちろん、いろいろと協議をしなければならない点もありますが、話し合いそのものは順調にといいますか、少なくとも動いていますので、いきなりトップ同士で、つまり、私(大臣)とクリントン国務長官が何かを決めなければいけないということではないと思っております。
【NHK 禰津記者】今、政府の中で詰めている最終の普天間の移設案について、理解を求めるということではどうでしょうか。
【大臣】ですから、日米、いろいろなレベルで議論を行っているところですので、当然中身はクリントン国務長官にも上がっていると思いますし、トップ同士で何か交渉するという局面にはないと私(大臣)は認識をしております。
【琉球新報 滝本記者】今の普天間の件に関して、トップ同士で議論しなければならないという局面というのは、どういうことを大臣は想定されておられるのですか。今は事務方なり、いろいろな段階で詰めているところだということは、最終的にはそれがトップに上がってきて、トップで議論しなければいけないということになるのでしょうか。それとも、もうサインするというだけで合意ということになる形になるのでしょうか。
【大臣】それは分かりません。ただ、今、何か具体的にトップ同士でやらないと物事が動かないとか、そういう事態ではないということです。実際、来られたときに、どういう状況になっているかは、まだ日がありますから。断言はできませんけれども、現時点ではそういうことです。
【フリーランス 小山氏】米側は、徳之島でもいいと言っている訳ですか。
【大臣】中身については、私(大臣)は申し上げません。
【フリーランス 小山氏】米側は徳之島は困ると私は聞いています。海兵隊というのは、いろいろな部門があって、艦船部隊、航空部隊、歩兵部隊、砲兵部隊、兵站部隊、これが一緒に動かないと機能しないということです。そのうちの1つの部門を徳之島に持っていってしまったら、海兵隊は機能できなくなるということなのですが、この点はいかがでしょうか。
【大臣】いろいろなことを報じられておりますけれども、日米間で行っている具体的な内容を申し上げることは控えたいと思います。
【NHK 別府記者】クリントン国務長官の訪日は、今、政府が行っている5月決着に向けた努力の中で、どのように位置づけられるのか。つまり、5月決着という努力の中でいいタイミングの訪日だと見ているのか。また、その決着ということを米国との間で、どういう形でもって決着をイメージしていったらいいのか教えてください。
【大臣】普天間のために来るのではありません。それははっきり申し上げておきたいと思います。もちろん、来られる以上、普天間の話にもなると思いますが、より重要な案件があるから、日本に寄るということであります。より重要な案件とは何かというのは、先ほど申し上げたところであります。
【NHK 別府記者】日米間の決着のイメージについて、理解を全くできていないので、どういうものをイメージしたらいいのかお願いできますか。
【大臣】それは、5月末も間もなくですので、今、具体的中身を私(大臣)が申し上げることはございません。各閣僚がそれぞれ一生懸命に努力をしているところでありますので、中身はずっと私(大臣)は申し上げてきておりませんので。
【テレビ朝日 吉野記者】今までの質問と重複するかもしれないのですけれども、5月末の決着が見えている中で、日本の外務大臣と米国の国務長官が会われるという位置づけで、何らかの5月末に向けた結論を政府がする中で、現時点において両外相が会って、特にトップ同士で決めることがないという状況がよくわからないのですが、どう捉えたらいいですか。5月末決着に向けて、両大臣が合意する必要がないような合意が出てくるということなのでしょうか。
【大臣】そういうことは全く申し上げておりません。特に何か交渉をするという局面には、現時点ではないということです。それは各レベルにおいて交渉といいますか、議論してもらえればいいということであります。最終的に何か論点が残って、これはどうしてもハイレベルで決着をつけなければいけないということであれば、それは必要になりますが、まだ来られるタイミングでは、そういうことにはなっていないだろうということであります。
【NHK 禰津記者】今週、東京では日米の実務者の課長級の協議をやっているかと思いまして、この後、審議官級の協議もやるかと思うのですけれども、今回、審議官級の協議で、話をしていることをクリントン国務長官との間で、例えばいくつか合意をするとか、そういったことではないということでよろしいのでしょうか。
【大臣】まだそういうタイミングではないということです。それに合わせて来る訳ではありませんので、そこは頭の構造を変えてもらった方がいいと思います。
【マガジンX 島田記者】クリントン国務長官の訪日に関して、イランの問題もと仰っていましたけれども、先日のイランのウラン燃料の交換に関して、トルコと確かもう一国が合意して行うという報道を拝見したのですが、こういうことに関しては、何かコメントが出るということはあるのでしょうか。
【大臣】トルコとブラジルですね。まず、今回合意したとされる案は、私(大臣)が確認している限り、日本がかねて類似の提案をしたこともありますので、私(大臣)はブラジルと、そしてトルコの努力をまず多としたいと思います。ただ、この間も20%濃縮に向けて、イランが着々と濃縮活動を続けてまいりましたし、今回、このことで海外に一部出したとしても、20%に向けての濃縮活動は止めないという前提で言われているようであります。もしそうだとすると、これは制裁に関して、今、議論が国際的な場で行われておりますけれども、そのことに何か影響を及ぼすものではないということであります。20%濃縮というのは、IAEAの提言に対して違反行為でありますから、そういう意味で、イランの濃縮活動を止めるということのために、将来は核を持つということがないために、今、制裁の議論をしている訳で、そのことに直接影響を及ぼすものではないと考えております。
【NHK 梶原記者】これまでの普天間問題なのですけれども、大臣は、5月末までに、米国との間で米国の理解を得るという言い方をされていたと思うのですが、理解を得たかどうかというのは、我々はどのように確認すればいいのか、どういう形をイメージされているのでしょうか。
【大臣】それは、何らかの成果物が日米間で共有できたときには、理解を得たということになるのでしょうね。
【NHK 梶原記者】今回のクリントン国務長官の来日で、そこを確認するということにはならないのでしょうか。
【大臣】まだ、なりません。
【フリーランス 岩上氏】クリントン国務長官との話し合いですけれども、イランなどの主要な議題というものが日米同盟の深化、これは関連してお話し合いをされるのでしょうか。また、日米同盟の深化の問題は、今回の会談でお話し合いされることはあり得るのでしょうか。
【大臣】日米同盟の深化ということは、日米安保50周年ということで、さまざまな議論を事務レベルで行っておりますが、そのこと自身が話し合われるかというと、話し合われないと断定する必要もないとは思いますが、主要なテーマではございません。しかし、イランの問題にしても、韓国の艦船の沈没事案に関しても、これをやはり日米で、或いは艦船の沈没の事件は、日米韓でどのようにしてお互い協力をしながら、この問題に対処していくかということでありますから、まさしく日米同盟そのものが問われているという事案だと思っております。イランも同じであります。やはり同盟国として、イランが核を持つのではないかという疑惑に対して、国際社会が協力をして対応していくということです。その中にあって日米が同一歩調を取るということであります。
【共同通信 西野記者】日米外相会談について戻らせていただきます。頭の構造を切り替えたつもりで質問いたします。韓国の沈没船問題、それからイランの核問題というのが、おそらく米国が非常に今関心を持っているということで、そのような話をするということはわかりました。一方で5月末ということで、普天間問題の何らかの決着というものを閣内で一生懸命追求するということになっている訳ですので、普天間問題を取り扱うとすれば、どういったようなことをクリントン国務長官とやっていきたいのかという、あまり話すことがないというのではなくて、何か合意することがないのではなくて、今回の会談でどのようなことを大臣として目指されるのかということをお話し下さい。
【大臣】それはですから、現状についての説明といいますか、お互い理解しているはずですから、確認といいますか、それから方向性について、見通しを述べるということになるだろうと思います。
【香港フェニックステレビ リー記者】先ほどの中国人観光ビザの緩和に関してですが、大臣が「具体的な基準に関しては言及できません」とお話があったのですけれども、中国では日本への観光に関心を持つ人は非常に多いと思うのですけれども、以前の25万元から具体的にどのように範囲が拡大したのか、或いはその具体的な条件を、もしお話しできれば、お願いいたします。
【大臣】人数というのは結果論ですので、何人とまず決めた上で査証を発行する訳ではありませんので、そういう意味ではなかなか申し上げにくい訳でありますが、個人観光の対象者という意味では、従来と比べて10倍くらい、1600万世帯くらいが対象になると考えております。そういう意味では、そのまま皆さんが来ていただければ10倍ということになる訳ですけれども、我々はそのくらいのことを期待しているところでございます。
【香港フェニックステレビ リー記者】中国には、日本に行きたい人はたくさんいると思いますけれども、この機会に大臣から何かメッセージがあれば、お願いいたします。
【大臣】「どんどん来てください。お待ちしております」と伝えていただきたいと思います。香港の方は日本に今まで随分来ていただいているはずですが、是非、中国の皆さんに同じくらい来ていただくと大変ありがたいと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読いたします。先ほどの中国人向け観光ビザに関してですが、先ほど10倍というお話が大臣から出ましたが、外務省として中国にあるすべての在外公館で対応するとしましても、緩和となりますと手続事務に携わる職員の増員は不可欠のような気がするのですけれども、どのくらいの増員、或いは増員の見通しはございますでしょうか。
【大臣】それは外務省の中の話ですので、そのことを申し上げることはないのですけれども、いろいろな工夫をいたしまして、増員もいたします。それから、手続の中で必ずしも権限を持った外務省職員でなければできないことと、機械的なことがありますので、一部そういったものを外部に出すということで、より効率化して対応したいと思います。ただ、一遍に10倍になると果たして対応できるかというと、そこは疑問がない訳ではありませんが、必要があればしっかりと人員を強化して、どんどん日本に来ていただきたいと思います。もちろん、受け入れ側の体制も重要なことで、ある程度の人数の方が来られ、しかも個人客という形で来られる訳ですから、いろいろな案内とか、そういったことも含めて、気持ちよく日本で観光していただけるような、そういう体制作り、これは観光庁の方でしっかりと対応していると思いますが、そういったことも同時に必要なことだと思います。
【共同通信 西野記者】大臣はこの関連の報道に対してご不満があったみたいですけれども。
【大臣】報道というより、それは情報提供した方が悪いので、別に報道した方に文句を言っている訳ではありません。
【共同通信 西野記者】それはどうもありがとうございます。その上で、いろいろとあったとは思いますけれども、在外公館の関係とかビザの発給というのは外務省の権限ですが、このように中国の旅行者の方々に門戸を開いていくというのは、政府全体の方針として、そのような意思が観光立国本部で決まって、それを受けて外務省が外務省の仕事として、こうするということを発表されたという理解でよろしいですか。
【大臣】基本方針は、政府全体として確認されております。それに基づいて、具体的に何がネックになっているかという中で、ビザの問題が多少ありましたので、ここは外務省としてしっかり対応しようということです。
【共同通信 西野記者】その数字も出たのですけれども、いつごろからどうなるということになるのでしょうか。例えば、中で規則を変えたりするようなことがあると思うのですけれども、大臣が言及されたことはいつから実施されるという見通しなのでしょうか。
【大臣】人の問題は多少時間を要しますが、そんなに1年も2年も先と考えている訳ではありません。
【読売新聞 川崎記者】このビザの緩和策の論点の一つとしまして、国土交通省の外客誘致ワーキングチームでは、この世帯主本人だけでなくて、世帯主が要件を満たす方であれば、ご家族が単独で日本に来ることについても緩和しようということが大きな論点であったようですが、そのことについてはどうなりましたでしょうか。
【大臣】具体的なことは担当のところに聞いていただければと思いますが、本人の家族については、本人に同行する場合でなくても、個人観光のためのビザを発給することとしております。
【読売新聞 川崎記者】そういたしますと、先ほど対象が1600万世帯と大臣はご説明されたのですが、実際の人数としては、当然その各家族の人数をかけるとなると、対象人数としてはもっと多いという理解でよろしいでしょうか。
【大臣】もちろん、そうです。常に家族全員が来られる訳ではありませんけれども、対象としては一世帯3人だとすれば、その3倍ということになる訳です。
【香港フェニックステレビ リー記者】一部の省庁では今回のビザ緩和に関して、反対や慎重のご意見もあったようですけれども、昨年から対応していますが、なぜ1年の間、すぐにこういった大幅の緩和策を取ったのでしょうか。その理由をお聞かせください。
【大臣】いろいろな心配はない訳ではありませんでした。日本に入国された方が途中で行方不明になるとか、過去にはそういう事案もありましたので。しかし、実績を見ると、そういうことは、ほとんど心配するに当たらないということで、1年間の実績を見た上で判断をしたということであります。
【日本経済新聞 山本記者】このビザの緩和が、日中関係に与える影響というのを、どのように考えていらっしゃるかというのと、中国では中間層が猛烈に拡大しておりますけれども、将来的な広がりというのをどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
【大臣】現実に日本に来ていただいて日本を見ていただければ、私(大臣)はそのうちのかなりの方が日本に対してファンになっていただける、理解が進むのではないかと期待をしております。今後のことは、今回、かなり思い切った措置を取りましたが、それで効果があれば、更に一歩進めるということも当然考えられると思います。一挙にやり過ぎると弊害が出る可能性もありますので、一歩一歩ですけれども、そのスピード感はかなり早く、今回も1年で大幅に拡大した訳ですが、状況が許せば、そういったことも考えていきたいと思っております。
【北海道新聞 島田記者】ビザなし渡航についてお願いします。先日、第一陣が戻ってきましたけれども、ロシア入国の際にロシア側が主張している入港申請書を求められましたが、外務省としては、それはそういう証明書は認めておりませんが、ロシア側が求めた紙に対して船長が署名記入したことについては、やはり不適切だという見解を出したと思います。それに関連して第二陣以降、そういう形で船長にその場で署名記入の判断を求めるのは酷ではないかと思いますけれども、その点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
【大臣】いわゆる入港申請書という形では、ロシアから求められておりませんし、提出もしていないというのが外務省の理解であります。ただ、今回、ロシア側の文書に記載する形で一定の船舶に関する技術的な情報を提出したことは、無用な誤解を与えかねないということで、今後は我が方作成の文書によって情報提供をするよう指示したところであります。
【北海道新聞 島田記者】先ほど大臣は、日本側が書いた紙をこれから提出することにするというお話がありましたけれども、それはロシア側とは合意済みというか、あちら側の了解というか、そのくらいの話し合いは付いているのでしょうか。
【大臣】今回、何か具体的にこれを出してくれということではなかったと、何か一定のフォームがあってということではなかったと理解していますので、何かそれでトラブルになるというようには考えていないのですが。
【北海道新聞 島田記者】船会社とか実施団体側から話を聞いたのですけれども、今までも入管とか検疫とか税関等では船長が署名を書いたり、必要書類を出しているということですけれども、そこら辺で実施団体の方から見ると、少しグレーゾーンが多くて、少し分かりにくいというところがあるみたいなのですけれども、そこら辺を明確に線引きしたりとか、そういうお考えなどはありますでしょうか。
【大臣】ですから、相手方のフォームに書き込むようなことはしないということですから、私(大臣)はかなり明確な基準になっていると思いますが。
【フリーランス 小山氏】先ほど中国の船の危険行為について言及されましたけれども、これが最近かなり起きているということですが、これと日米間の普天間の交渉が上手くいっていないという両者の間には関係はないというようにご覧になっているのでしょうか。
【大臣】基本的にそれが関係があるという具体的な証拠は何もありません。ですから、私(大臣)は国会でも申し上げたのですが、最近、何かあると「中国が」という中国原因説みたいなことが少し過ぎるのではないかと思っております。もちろん、いろいろな議論はあっていいと思いますが、先般、非常にその典型的なのは、上海万博に日本の国旗を掲揚していないということに対して、野党議員から「そんなことは初めてだ」と、「日本だけだ」と、それはいくつかの新聞が報じた訳ですけれども、「中国にやはり遠慮しているのだろう」と報じた新聞もありました。私(大臣)は、一つ一つ申し上げたのですけれども、今までの自民党政権時代の万博においても、日の丸を掲揚していないと、それから日本だけではなくて米国を含めて、国旗を掲揚していない国は他にもたくさんあるということです。ですから、事実関係が全然根拠なく、質問者が質問した訳です。そのことはきちんと反論いたしました。従って、そういう事実関係が違いますから、報道も私(大臣)は根拠がないのではないかと憶測で言っているのではないかということであります。私(大臣)は、そういう話が少し多過ぎるのではないかという感じがしない訳ではありません。ただ、今の国旗の件に関して言えば、私(大臣)は日本館が日本の国旗を掲げないというのは、私(大臣)個人の意見を聞かれれば、それは掲げた方がいいと思いますし、そういうことを国会でも申し上げて、政府としても検討を行って、これは政府が決める話ではないのですけれども、政府としては掲げた方が妥当であると申し上げて、日本館として判断して、掲げることになったということであります。
【琉球新報 滝本記者】今の質問と少し関連しているかもしれませんが、普天間の海兵隊の存在についてですけれども、海兵隊が沖縄から引いてしまうと、よく中国が攻めてくるのではないかという議論があります。議論という程の議論でもないと思うのですが、そういう日中関係という中で、中国脅威論というように、中国が脅威なのかどうかということの議論がまた別にあると思うのですが、中国の最近の軍事力の増強という問題点が、そこの透明性がないということが指摘されることは、日本も米国もそうであると思うのですけれども、ただ、中国が攻めてくるのだという場合にどうするのか、中国が攻めてくるかもしれないから海兵隊を引くことはできないという論があることについて、その中身については、大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】攻めてくるということの意味がよくわかりませんし、特定国を名指しすることは、なるべく避けた方がいいと思います。ただ、中国の海軍力の増強というのは、これは明らかにある訳で、そういう中で最近のいろいろ指摘されたようなことも起きてきている訳ですから、日本を取り巻く安全保障環境というものは決して甘くはないということは、私(大臣)は国民の皆さんにしっかり理解していただきたいと思います。或いは、どこが行ったかということはわかりませんけれども、韓国で軍艦が、これも事故の究明や調査の結
果を待たなければいけませんが、場合によっては攻撃を受け、そして46名の人命が失われている訳であります。そういったことが日本周辺で起きているということをきちんと踏まえて、やはり日本の自衛隊というのは、攻撃能力は持ちませんから、自衛隊の今の力だけで日本の平和が、或いは安全が維持できるのか、守られ得るのかというと、それはそうではないと、私(大臣)はそのように言うべきだと思います。従って、米軍の存在というものは日本の安全のために非常に重要であると考えております。
【琉球新報 滝本記者】前回もお伺いしましたが、沖縄の嘉手納基地の方で、岩国基地から飛来しているホーネットがクラスター爆弾と思われる武器を搭載して離陸し、カラで帰還ということがあります。昨日も本日も同じ形式の爆弾を搭載して、帰還時にはその爆弾はなかったということですが、米側からは、運用上の理由で詳細については回答がこなかったということですが、日本としてはクラスター爆弾の使用禁止という条約を批准しているという中で、米国は(条約を)批准していないから使用しないという義務はない証ですが、日本国内、日本の領土で使用しているという疑いがある中で、これに対して外務省としては、「運用だから答えられない」という米側に、「はい、そうですか」だけで終わることでいいのかどうかということが、地元としても抗議決議も嘉手納町議会の方で出ております。その部分で一歩更に踏み込んだ対応が外務省に求められるのではないかと思いますが、その点についてお伺いします。
【大臣】仰るように条約上、米国は加盟しておりませんので、米国自身が使用することについては可能ではあります。しかし、今回は使用した訳ではなく、訓練ですので、実際にそれを戦場で使用したということではありませんので、物事を分けて考えるべきだと思います。ただ、訓練とはいえ、我が国はクラスター爆弾については使用しないことを決めておりますし、これだけ沖縄の負担軽減ということが議論になっている最中に、仮にクラスターの訓練を行ったとすれば、私(大臣)は今の沖縄の人々の気持ちというものを十分理解していないのではないかと思います。事実関係をはっきり確認できませんので、断定的なことは申し上げられませんが、もう少しセンシティブティというか、そういうものを持ってやってもらいたいという気持ちはあります。
【共同通信 斎藤記者】中国の軍事力というくくりでお伺いします。大臣は15日に韓国の慶州で行われた日中外相会談の後のホテルの中でのぶら下がりで、このように述べられています。「胡錦濤国家主席の核セキュリティ・サミットのスピーチは良かったです。しかし、5つの核保有国の中で、中国だけが、ただ唯一増やしている。核兵器の削減、またはこれ以上増やさないことを約束してほしいという趣旨のことを申し上げた」とこのように私たち記者団に仰られました。ここでお伺いします。中国だけが唯一核兵器を増やしていると断定できるだけの客観的事実を確認されているのかどうかという点です。いろいろとインテリジェンスやシンクタンクの分析などに、そういう話があることを私も存じ上げておりますが、中国政府が公式にそれを認めたことがあるのかどうかという点については、私も若干はっきりしません。国際社会は中国の核政策について不透明だと指摘はしていますが、「増やしている」という客観的な事実関係を、もしお持ちであれば、ご指摘願いたいと思います。
【大臣】中身といいますか、そういうことを申し上げるべきではないと思います。ただ、中国が「増やしていない」という声を、私(大臣)は聞いたことがありませんし、中国側も私(大臣)とのやりとりの中で、いろいろなことを述べられた訳ですが、中国が増やしてないという発言はありません。
【共同通信 斎藤記者】今、「個別具体的なケースについては申し上げない」というように私は受け取りました。それがインテリジェンス関係であれば、それは当然のことだと私も理解します。そこで確認したいのは、公にはできないけれども、岡田大臣なりに間違いなく増やしているというようなデータなり情報分析というのはあると理解してよろしいでしょうか。つまり、確信していると理解してよろしいでしょうか。
【大臣】そのことも含めて、私(大臣)は申し上げるべきではないと思います。ただ、私(大臣)が指摘したことに対して、それが「間違っている」と、「増やしている事実はない」といった指摘は中国側からはありません。
【大臣】それから、先ほどの(共同通信社の)斎藤さんの話に関して、中国外交部のスポークスマンがいろいろ述べられた訳でありますが、無責任な発言であるとか、事実を尊重してないとかそういったことについては、これは根拠のないものであると申し上げておきたいと思います。本来このような核軍縮の問題については、冷静かつ真摯な議論が必要であり、これからもそういったことをしっかり行っていきたいと考えております。
【マガジンX 島田記者】口蹄疫に関してなのですけれども、今月7日に口蹄疫のウィルスが韓国香港系ではないかという報道があったのですけれども、その昨年9月に韓国の輸入を再開して今年の1月にまた禁止しましたけれども、外務省として海外の伝染病等に対して、貿易の観点から役割というものがあるのでしょうか。
【大臣】それはどこから来たかということはわかりませんが、重要なことは、発見されたときに、今まさしく政府と宮崎県が行っていることですが、それが広がらないように最善の努力をするということだと思います。
【NHK 禰津記者】日米外相会談で主要テーマになるのが韓国の哨戒艦沈没ということですが、20日にも韓国の方で調査結果が発表される見通しになっていますけれども、調査結果を受けて政府として、または外務省としてどのような対応を考えていらっしゃるのかということと、クリントン米国務長官との間で「日米韓の連携」というものを今後どのように話し合っていくのかと、例えば国連安保理の話なども、韓国政府内で検討中であるようなのですが、その辺りについて見通しをお伺いできますでしょうか。
【大臣】まだ、調査結果がでておりませんので、あまり仮定に基づいて議論をしない方がいいと思います。ただ、当事者同士では日韓、日米、或いは米韓、「こういう場合にはこうだ」ということはお互い意志疎通をしっかりしておかなければいけないと思います。いずれにしても、46人の人命が失われていると、それがもし事故ではないということになれば非常に深刻な事態だと思っております。我が国としても、国民の生命と財産を守るという観点から最善の対応を図っていかなければいけないと思います。
【共同通信 斎藤記者】韓国の哨戒艦沈没の関連です。私たち記者はある程度いろいろ取材をしていますで、この沈没の持っている意味、或いは、また今後どうなるという見通しを持って取材している訳ですが、翻って一般国民から見れば、本当の一般の人たちから見れば、確かに韓国で船が沈んで46人の方が亡くなったことについては痛ましいことだと思うと思いますが、なぜ、今、このように緊張感を持って政府が韓国や米国と協議をして、そして、場合によれば大きな判断をしなければならない局面がくるやに報道の方に伝わってくるのかどうか、その点についてはストンと落ちていない部分もあるかもしれないと、私はそのように理解をしております。改めてこの場で、なぜ韓国の哨戒艦沈没というものが重大事案であり、なぜ、我が国として全力で韓国を支援し、そして米国と連携していく必要があるのか、若干大局的といいますか、全体的な目線でご見解をお伺いできれば幸いです。
【大臣】これから発表される調査ですが、我が国自身としてもきちんと検証をして、そして納得しなければならないということを、まず前提として申し上げておきたいと思います。その上でその調査が客観的に事実というように考えていいという調査結果が出たといたしますと、その内容によっては大変なことだということです。つまり、事故とか、そういったことではなくて、人為的なものであるとなりますと、現実に韓国の軍の船が沈み、46名の方が亡くなりました。もし仮に、何者かがそれに関与しているとなると、そのことの深刻さといいますか、それは少し考えていただければ分かることだと思います。なぜ起こったかということも明確ではありませんが、しかし、同じことが繰り返される可能性はないとは言えない訳です。それが我が国ということも、絶対にないと断言できないと思います。そういう状況の中で、それはきちんとした対応が求められるということです。そういうことにならないように、しっかりとした対応が求められるということであります。
【ブルームバーグニュース 坂巻記者】日中関係ですが、自衛隊の艦船への中国のヘリコプターの接近や核兵器の問題、いろいろ懸案がある中で今回の温家宝氏の訪日によって大臣としては、どのような成果を期待なさっていますか。
【大臣】日中関係の基本は非常に良いし、お互い日中両国の関係は深まっていると思います。今お上げになったような話を私(大臣)は外相会談でも取り上げたのですが、そういった目の前にある懸案を一つ一つきちんと解決していこうということです。そのことによって、より日中関係の深まりというものを作っていこうと、目の前のものを先送りせずに解決していこうというのが私(大臣)の基本的なスタンスです。基本的には、外相レベルでそういったことをしっかりやっていくべきです。首脳レベルは、もちろん懸案事項について議論することも大事ですが、より未来志向で、どのような協力がお互いにできるかということを中心に議論していただければいいのではないかと思っているところです。
(1)第3回日豪外務・防衛閣僚協議の開催について
【岡田大臣】それでは、私(大臣)の方から1点だけ。5月19日(水曜日)、第3回日豪外務・防衛閣僚会議、2+2が東京で開催されます。また、これに先立ち、日豪外相会談も予定をされております。2+2には、言うまでもなく日本側から北澤防衛大臣と私(大臣)が、豪州側からはフォークナー国防相とスミス外相が出席する予定であります
今回の協議では、日豪間の安全保障上の協力、核軍縮・不拡散、地域的枠組みあるいは現下の地域情勢などについて議論を行いたいと考えております。この協議を通じて、日豪両国の戦略的パートナーシップを一層強化させていきたいと考えているところです。
【日経新聞 山本記者】韓国の哨戒艦の沈没問題についてお伺いします。韓国政府は近く調査結果を公表する見通しですが、韓国内等で北朝鮮の関与を疑う声も高まっております。この問題に関して、週末の日中韓外相会議の中で、もしくはバイの会談の中で意見交換すると思いますけれども、日米の間では、政治レベルでどのような意見交換がなされているのでしょうか。そして、今後、どのように連携を図っていくお考えでしょうか。
【大臣】まず、韓国の船の沈没の問題について、現在、ご指摘のように韓国政府を中心にいくつかの国の協力を得て調査を行っているところであります。調査結果は間もなく出るだろうと思いますけれども、いつ出るかということは明確には決まっておりません。その調査結果が出るまであまり一定の予断といいますか、そういうものを持って議論しない方がいいと考えてはおります。ただ、事態が事態だけに、これは非常に深刻な事態であります。多くの方がお亡くなりになったわけであります。そして、どうも事故ではないらしいということも言われております。したがって、日本としては、韓国とともに、もちろん、韓国というのは隣国であり日本にとって非常に重要なパートナーでありますので、この問題について意思疎通をよくして、そして対応を図っていきたい、バックアップもしていかなければいけないと思っております。
ご質問にお答えしますと、日韓のバイの外相会談でこの問題を取り上げるかということについては、事前にこれを言い出しますと、先ほども国会でいろいろ聞かれたのですが、この件以外のことですが、これは取り上げるのか、これは取り上げるのかと聞かれてしまいますと、これは全部お話をせざるを得なくなりますので、この場ではお話し申し上げませんが、話した結果については、事後的に国民の皆さんに対して説明をしたいと思います。
日米間もこの件については緊密に連絡・連携を取り合っているところであります。ですから、米国と韓国と日本と、その3か国がきちんと連携をとってこの問題に対応していかなければいけないと考えているところでありますし、現にそういうようにしているということであります。
【テレビ朝日 山本記者】それに関連して、週末の日中韓の協議で韓国側の調査結果はまだ出ていませんけれども、3か国でこの問題について、何らかのメッセージを出すという考えはおありでしょうか。
【大臣】調査結果が出る前に一定の予断を持って物事を言うことは避けるべきだと考えております。もちろん、亡くなった方に対して哀悼の意は、既に総理からも私(大臣)からも述べているところでありますが、そういったことについては、当然改めて私(大臣)は韓国国民に対して、犠牲になられた方々のご家族に対して、哀悼の意は述べたいと思いますが、一定の仮定に基づくそういったメッセージというものは、私(大臣)は慎重に避けるべきだと考えております。
【共同通信 斎藤記者】大臣は先日の会見で、六者協議との絡みの中で、「もちろん、予断を持ってはいけないけれども、調査結果の内容によっては六者協議どころではなくなる」と、このように間違いなく仰っております。このスタンス、結果はまだ出ていませんけれども、結果次第によっては六者協議どころではなくなると、すなわち、まずは真相究明が大事だというスタンスについては、現在も変わりないでしょうか。
【大臣】そこは全く変わっておりません。前回、私(大臣)が発言したことも変わっておりません。
【北海道新聞 島田記者】今朝、ビザなし交流の第一陣が国後島に向けて出発しましたが、その中でロシア側がロシア運輸省の入港申請書の提出を求めているという情報があります。その点、外務省として確認しているかという点をまず教えてください。それと、入港が14時の予定なのですけれども、無事に入港、上陸しているかという点を確認させてください。
【大臣】そういう事実は確認をしておりません。いずれにしても、(北方四島が)ロシア政府の下にあるということを前提にしたさまざまなことについては、日本側として協力するということにはなりません。
【北海道新聞 島田記者】ビザなし渡航の関係ですけれども、先日、外務省側が同行記者に対して、ビデオカメラでの動画撮影の禁止とか、自由なインタビューとかの独自取材の自粛を呼びかけておりますけれども、この点に関して、今後再考とか見直す考えがあるかという点を教えてください。
【大臣】これは、外務省側が見直すか見直さないかというよりは、そういう事実の前で記者の皆さんがどう判断するかという問題でもあると思います。そもそも四島交流の枠組み上、同行記者の取材活動が了解されているわけではございません。そして、そういう中で特にロシア側は、動画の撮影を問題視しているということでございます。
不測の事態回避、或いは四島交流の円滑な実施のために、記者の活動は一般団員と同様の活動に留める必要があると判断しております。もし、そうでないということで活動する記者が来られた場合に、それは当然そのことによって四島交流そのものが困難になるという事態も想定し得ることで、そういう意味で我々は申し上げているわけでございます。
【共同通信 西野記者】同じ関係なのですけれども、他方、理屈は理屈としてあるかもしれませんけれども、北方領土の日本への帰属をめぐっていろいろと見解の相違がある中で、自由な取材活動というのは、これまでは事実上認められてきたということがあり、それが今回制限されていると、ロシア側に押し込まれているということです。記者と外務省の間の関係ということではなくて、日本全体としてロシア側から押し込まれているといった認識は大臣にはないのでしょうか。
【大臣】もともと取材活動について、これが了解されていたわけではないということであります。自由な取材活動が認められるべきだというご趣旨は理解し得るところでありますが、しかし、今は実効支配をしているのはロシアであります。そういう下で自由な取材活動を行った結果、四島交流そのものが妨げられるということは避けるべきだと、私(大臣)は考えております。
【フリーランス 岩上氏】13日に北マリアナの知事とグアムの知事が日本に来日して、鳩山首相にお会いするという段取りになっていたそうなのですが、それが直前で官邸の方がお断りして、外務省の武正副大臣がお会いするという運びになって、結局、面会そのものがキャンセルになってしまった、もしくは延期なのかわかりませんが、そういうことがあったそうです。海兵隊の移転先であるグアム及び北マリアナの両知事が、その問題を含めて首相にお会いするという話だったのに、これは少し無礼なのではないかという批判も上がっておりますが、これはどういう経緯で官邸が断り、外務省の方が出てきて話をするということになったのか、その点をご説明いただけないでしょうか。
【大臣】官邸がどういう対応だったのかということは、私(大臣)は承知しておりません。そもそも一旦会うというお約束をされたのか、それとも条件付きだったのか、現実はどうだったのかということは全く承知しておりませんので、コメントは控えさせていただきたいと思います。外務省に関して言えば、私(大臣)は、知事でありますので、副大臣に応対してもらおうと思って、武正副大臣にお願いをしたところでございます。
【フリーランス 岩上氏】1点確認なのですけれども、鳩山総理自身はお会いする気であったというご希望を持っていたのだけれども、官邸側がそれをお断りしたと聞いております。これはいかがなのでしょうか。
【大臣】私(大臣)は全く存じ上げておりませんので、そもそも総理が会う予定があったかどうかということについても、私(大臣)は承知しておりません。それは是非、官邸の方にご確認いただきたいと思いま
す。
【琉球新報 滝本記者】グアムと北マリアナ両知事の件に関連して、民主党の川内議員が現地に沖縄基地問題議員懇談会で行かれて、両知事の総理あての親書を受けてこられて、官邸に手渡しされていますけれども、まだその内容はつまびらかにはされていませんけれども、概要としては、海兵隊が来るということについてはウエルカムだよということとか、基本的に8,000名のグアムの移転ということ、プラスαがあってもウエルカムという趣旨と私は少なくとも理解しているのですけれども、まず大臣として、親書の内容とかいうことについて把握されていらっしゃるか、あるいは親書の中身について、大臣としてはどのようにお考えかということです。
【大臣】そういった親書があるのであれば、私(大臣)のところにコピーが届くだろうと思いますが、現時点ではまだ見ておりません。
【ドイツテレビ 西里記者】北マリアナ政府は随分早々とウエルカムという議決などをしたと聞いておりますが、日本のメディアも余り反応も鈍かったし、日本国政府としてもどのようにその点については判断されているわけなのでしょうか。アメリカの賛成が得られないということなのでしょうか。国外であるとか、沖縄の負担を減らすとか、そういうものに一応当てはまる場所だと思うのですけれども、どういうわけでその話が進まないのでしょうか。
【大臣】まず、この普天間の移転の問題ですけれども、これはどこでもいいというものではございません。日本における米軍の抑止力、そのことが維持されるということが前提の議論であります。ですから、既に決定されている8,000名のグアムの移転ということについては、これは司令部機能を中心に移転するということで、日本政府としてはそのことは納得をしているわけでありますけれども、それ以上についてグアムに移すとか、私(大臣)はたしかグアムの知事は8,000名以上は無理だということをかつて言われていたのではないかと思うのですけれども、いずれにしても8,000名以上について、グアムやその近隣の北マリアナとか、そういったところに移転をするということは、私(大臣)は抑止力維持の点から問題があると考えております。
【フリーランス 岩上氏】今、グアムの知事が8,000名以上は無理だと言っているのではないかと記憶しているというお話でしたが、先立って議員懇談会のメンバーがサイパン、テニアンの視察に行って帰られたときの帰国報告で、8,000名だから無理とかいうことではなく、インフラが未整備であるということでした。インフラの整備ができれば、そのキャパシティーは十分あるのだというようなことをお話しなさっていたというご報告でした。そうしたことも含めて、まだコミュニケーションが不十分なのではないかなという印象を受けたのですけれども、この点はいかがでしょうか。
【大臣】いずれにしろ、抑止力の観点というものはあるわけであります。もちろん、それに加えて、私(大臣)の理解している限りは、それはグアム全体の人口の対比において、8,000名が限度であると知事は言っておられたと私(大臣)は記憶しております。別にインフラの問題だけではなくて、狭い地域にそれだけの多くの、8,000名だけではなくても今、既に米軍は存在するわけですから、それだけのボリュームのものが来るということについて、それは限界があると知事は言われていたと理解しております。ただ、最近どう言っておられるかということは、私(大臣)は承知しておりません。
【琉球新報 滝本記者】いつも毎回、抑止力のことでお伺いしますが、そもそも大臣の中での抑止力というものの定義はどのようにお考えかというのを、まず定義していただきたいと思います。
【大臣】抑止力というのは、ここで何回も言ったような気がしますが、攻撃をしたときに、その相手国から反撃を受けて、それと同じ、あるいはそれ以上の損害を受けるということが予想されることから、その相手国に対する攻撃を控えると、これが基本的な抑止の考え方であると思います。
【琉球新報 滝本記者】ということは、相手がどう考えるかということをこちらが推測するということになるわけだと思うのですが、では、具体的にどこがということはなかなか言わない方がいいということは常に仰っていらっしゃいますが、当然いくつかの想定の部分があって、その想定のあちら側がこの持っている軍事力なり、いわゆる抑止力の見積りがどういうものなのかということを、こちら側で相手がどのように見積もっているということを計算した上で、だから抑止力が保たれている、あるいは保たれていないという議論が成り立つのかなと思うのですけれども、その部分で海兵隊がどういう相手に対して、どういう脅威というか、相手が攻撃をすれば反撃を食らうなと思っているのだということが、海兵隊がどういう機能として相手が見積もっているのだと大臣は思っていらっしゃいますか。
【大臣】相手がというか、どの国がどのように海兵隊を見積もっているかということは、それは想像の域を出ないわけであります。ただ、海兵隊自身、非常に即応力がありますし、打撃力も持っておりますので、非常に強力な存在であると一般には認識されていると思います。
【フリーランス 岩上氏】海兵隊の抑止力について御質問させていただきます。防衛省防衛研究所の特別研究員である柳沢協二さんという専門家の方が、今年に入って「朝日新聞」と「毎日新聞」、「毎日新聞」の方は森本敏さんとの対談だったと記憶していますけれども、朝日新聞の方は寄稿だったと思いますが、専門家の立場から、この海兵隊の抑止力についてお書きになられていて、「海兵隊というものは世界中どこへでも動いていける部隊であって、どこに位置するかというのは軍事的な合理性の問題ではなく、政治が決めることであって、沖縄にある、グアムにあるということは重要な問題ではない。それは政治が決めることである」ということを主張されたりとか、あるいは「即応性というようなことでも、島嶼部については即座に海兵隊を出動して、反撃のために第1撃を最初に加えるという展開はあり得ない、まず考えられない」ということです。それは前回も質問させていただきましたけれども、そこには書いてありませんでしたが、恐らくは日米同盟の変革と再編の中に、島嶼部の防衛は第一義的に自衛隊がやることという取り極めがあって、そのときに大臣も先立って、「第一義的には自衛隊が応ずる」ということを仰られていました。
ということは、即応ということは少なくとも起きたらすぐ挑みかかるというような、部隊として海兵隊が動くということは絶対にあり得ないわけですから、どこに位置していてもいいとは言いませんけれども、最前線に近いところに位置する必要性が考えられない。この抑止力ということの説明が非常にあいまいで、あいまいな抑止力のまま説明されているのではないか。もう少し軍事的な合理性、あるいは政治的な理由でここに置くんだということの説明をするべきではないかという御提案でした。
その点を含めて、もう一度、その抑止力の中身というものを区分けして教えていただきたいと思います。
【大臣】柳沢さんは私(大臣)も15年来の友人でありますので、彼がそういう考え方を持っているというのは最近まで私(大臣)は知りませんでした。もし、そういう考え方を持っておられるのであれば、政府の中で安全保障問題担当の内閣官房副長官補ということで長くおられたわけで、もちろん、防衛省でも重職をこなしてこられたわけですから、そのときに是非、議論すべきだったのではないかと思うわけであります。
しかし、私(大臣)の尊敬する柳沢さんがそういう議論を展開しているということは、抑止力についていろんな意見があるんだということを表していると思います。今日も随分、自民党の議員から、抑止力は自明ではないかという趣旨の質問を受けましたので、そのとき、私(大臣)は柳沢さんのことを持ち出して、そういう議論もあるんだと、私(大臣)は支持しないけれども、そういう議論もある。つまり、だれが見ても明々白々の議論ではなくて、そこはさまざまな議論もあるんだということを、むしろ私から申し上げたところであります。
そこで、島嶼部というのは一つの例でありますが、今の自衛隊でどこまでできるかということは問題があるのではないかと思います。だからこそ防衛大綱の中で、もっと自衛隊の能力を高めるべきだという議論が、恐らくこれから年末にかけて出てくるんだろうと思います。自衛隊が対処できなければ、それは海兵隊が代わって行うということは当然考えられ、手をこまねいてほうっておくというわけにはいかないわけであります。
グアムとかサイパンということになりますと、少し距離的に離れます。これだけ北朝鮮の問題もあり、あるいは周辺国の軍事能力が高まっているという中で、やはり沖縄に海兵隊を置いておくということは、私(大臣)は日本の安全にとって非常に重要なことではないか。そういうふうに私(大臣)としては思っているところです。
【共同通信 比嘉記者】大臣は、抑止力の質問のところですけれども、沖縄に海兵隊を置くことは、日本の安全にとって非常に重要ではないかと仰いましたが、これは、大臣個人のお考えということなのでしょうか、それとも政府としてそのような結論を得ているということなのでしょうか。
【大臣】私(大臣)はずっと日本に置くことが必要であるということは一貫して申し上げてまいりました。やはり、沖縄の負担軽減ということを議論しているわけですから、抑止力として必要であるとしても、最初から沖縄だと言うことは避けたいと思ったので、日本にとって必要であるということを申し上げてきたところでございます。現実に沖縄以外、まとまって訓練地も含めて、それを移設するということは、今、そういう具体的な動きがあるわけではない以上、そのことは5月末までにというのは困難なことであると思うわけであります。そういったことも含めての話でありますが、沖縄に海兵隊の存在というものは、日本にとって、日本の安全のためにも必要であると申し上げておきたいと思います。
【週刊金曜日 伊田記者】先ほど大臣の方からも、5月末の決着が困難であると。
【大臣】いや、沖縄以外のところにということです。
【週刊金曜日 伊田記者】一連の報道で5月末困難ということで、日米関係の信頼関係が揺らぐとか、さまざまな報道が出ておりますけれども、前政権下、自民党政権下でも、場所は決まっても14年間動かなかった問題でありますし、このことによって私自身は、普天間飛行場の早期返還、移設が遅れている問題1点において、日米関係全体への影響というのが、私の方はちょっと腑に落ちないような面もあるのですが、大臣の方としてオバマ大統領が日米関係全体の中で一番重視されていることについてはどういうようにお考えでしょうか。
【大臣】オバマ大統領がどういうようにお感じなのかというのは、私(大臣)はわかりませんが、今までクリントン国務長官を始め、米側の外交当局と議論をしてまいりまして、やはり日米同盟そのものが非常に重要であると、いうように考えていると思います。グローバルな問題、北朝鮮、イラン、あるいは温暖化の問題とか、さまざまな問題についての対応、それからアジア太平洋地域における問題、そういうことも含めて日米同盟というものがあるからこそ、地域の安定が保たれているし、米国もそのことによって利益を得ている、裨益しているというように当然、米国も考えているということは、私(大臣)は確信を持っております。
ただ、だからといって、この普天間の問題について先送りしていいということではなくて、この問題の問題として、きちんと答えを出していく必要があると考えているところであります。
【週刊金曜日 伊田記者】ということは、米国の方としても普天間飛行場の問題で、日米同盟全体が揺らぐようなことがあっては、逆に地域の安定、米国にとってもメリットがなくなる、そこで交渉の余地があると、さまざまな条件があると思いますけれども、日本の主張、米国の主張を組み合わせる中で、現行案だけに限らず、交渉の余地があるという理解でよろしいでしょうか。
【大臣】これは、ちょっと言い方が難しいのですが、日米同盟というのは、日本にとっても米国にとっても必要であるという中で、しっかりとした議論というのが行われてきたし、今後もそういう議論を行わなければならないと思います。同時に、日本を取り巻く環境、先ほど中国の海軍の話が出ましたけれども、中国の軍事的な能力の高まりということは、これは明らかであります。或いは北朝鮮がミサイル実験を繰り返し、核実験まで行ったということも事実であります。そういう周辺の環境の中で、やはり日本自身の安全と同時に米国にとっても、この地域で責任を果たしていくために、やはり日米同盟をしっかり運営していかなければいけないという思いは非常に強く米国も持っていると私(大臣)は実感をしております。
【フリーランス 上出氏】関連ですが、「抑止力」のお話を聞いていますと、素朴で、国会でもいろいろ議論されている問題ではありますけれども、新政権として、自民党政権、自公政権と何が違うのだということで考えると、岡田外相のご説明では、より米国への思いを、配慮といいますか、してしまっているようにも聞き取れなくはないのです。
逆に、米軍があるために、この極東の緊張を高めているという議論も国会なんかでもあると思うのですけれども、中国や北朝鮮に刺激するという議論も一方であるわけです。国民にとって本当に「抑止力とは何か」ということを、どういう形で議論してきたかというと、マスコミを含めてですけれども、根本的にはあまりやられていないのではないかという中で、今の沖縄の普天間の問題がいろいろ迷走しているということです。
そういうことを考えると、どういうところで国民に向けて、そういう抑止力の大切さを深いところで考えてもらおうと、先ほど岡田大臣自身のことなのか、政府全体のことなのかという点もありますので、それも含めてご説明いただきたいと思います。
【大臣】少なくともこの問題を担当している5閣僚の間で認識は共有されていると思います。「米軍がいるから緊張が高まる」という議論は、私(大臣)はあまり聞いたことがないのですが、中にはそういう人もいらっしゃるかもしれませんが、我々はそういう考え方には立っておりません。やはり「日本自身の、日本国民の命をしっかりと守っていく、安全を確保する」ということは政府の最大の責任の一つであります。それが専守防衛という自衛隊だけではできないことは明らかでありますので、米軍の力を借りながらそういったものをしっかりと確保していく、これは、私(大臣)は政治にとって最も重要な役割の一つではないかと思います。その基本的な考え方において、つまり、「日米同盟が重要である」ということ、或いは「日米安保が必要である」という点において、前政権と比べて、民主党がどこが違っているのかという問いだとすると、そこの部分については同じだとお考えいただいていいと思います。
【ドイツテレビ 西里記者】「海兵隊の抑止力」というお言葉を使われていますが、日本全体、沖縄に米軍の基地があるということは、もちろん抑止力になっていると思いますが、海兵隊というのは「陸戦部隊」というように理解しておりますので、その「抑止力」という意味は、先ほどの説明ですと、「攻撃してきた国に対して反撃に出て行く」という仰り方だったのですが、逆に「攻撃してきたところと沖縄で戦う」ということも含めて仰っておられるのでしょうか。もう一つ、世界一危険な空港と言われている普天間を解消するという当面の問題が14年間放置されているという中で、海兵隊だけの問題を抑止力として討論するのは少しフォーカスがずれているのではないかと感じがします。岡田外相は「嘉手納の方に統合させる」というような案を提案されたと伺っていますが、そういう形で新しい空港を建てずに維持するというような方向はもう撤回されてしまわれたのでしょうか。
【大臣】「沖縄で戦うのか」と言いますか、侵略を受ければ沖縄であっても、東京であってもどこであっても、その侵略に対してそれを止めるということは当然行わなければならない。「侵略されっぱなし」という訳にはいかないと私(大臣)は思います。それから、嘉手納統合の問題を私(大臣)はそれを検証すべきだと申し上げたことがあります。検証作業は日米で行いました。その結果として、今、私(大臣)は嘉手納統合ということについて、特にこれが具体的な案として最適であるとは思っておりません。
【フリーランス 岩上氏】柳沢さんのお言葉を引いてご質問させていただいた続きになります。官房副長官補だった時代の話ですが、柳沢さん自身が先ほど引いた記事の中でコーストガードを出すか出すまいか、中国の艦船が領海侵犯したのかどうか、おそらくそういうケースだったと思うのですが、非常に緊張した事態が自分が官房副長補官だった時代にもあったと。その時に米軍が出てくれるかどうかということに関しては、果たして出てくれるかどうかに関しては非常に不安だった。つまり本当に政府の中枢にいて重大な責務を負っているときに「現実には米軍が頼りになるかどうかということに関しては疑問である」ということをご発言になっております。ということは、やはり非常に生々しい重大な証言であり、これは米軍がいざという時に頼りになるかならないかというのは同盟を結んでるからというだけでは保証されるものではないだろうと思います。連休の前と連休の後で大臣に「自主防衛をするべきではないか」、或いは「米軍がどこまで頼りになるか」という似たような質問させていただいた時に、連休前の時には「自主防衛となるとコストかかりすぎる。GDP2~3%いってしまうのではないか」と自主防衛の努力というものに対して、やや否定的なご回答でした。そして連休の後にリフレッシュされたかどうかわかりませんが、今度は「第一義的に自衛隊が守るのである」と、むしろ自主防衛の努力に対して前向きなご発言だったと思います。このあたり少しニュアンスやトーンだけの問題かもしれませんが、先ほどの尊敬される柳沢さんのお言葉というものも受けた上で、リアルな防衛の現実というもののお考えを聞かせていただければと思います。
【大臣】まず、柳沢さんが仰るような意味で仰ったのかということは、私(大臣)は確認できていませんので、コメントいたしません。ただ、同盟というのは紙に書いたものだけではなくて、その実効性を高めるために双方の不断の努力を要するということは間違いないことだと思います。そして私(大臣)は一義的に日本を守るのはやはり自衛隊がそれに当たると思います。もちろん日米共同対処ということもありますが、盾と矛、盾の部分は自衛隊が、矛の部分は米軍がという、一応そういう整理です。もし自主防衛で全部まかなうということになりますと、前回も申し上げた一つはコストの問題というのが当然あります。NATOという集団安全保障の枠組みに入っている国ですら、GDPの2%、3%、或いはそれ以上を費やしているというのが通常です。もう一つは、自主防衛でいくということであれば憲法を変えて、そして「攻撃能力」というものを持つということを明確にしなくては、今の憲法の下でそこまでというのは、私(大臣)は非常に憲法九条の解釈としては無理があると思っています。
【フリーランス 岩上氏】最後のところだけ確認したいのですが、想定しているのは例えば、尖閣諸島に中国の海軍が侵略するような事態があった場合、それが米軍の抑止力といわれる海兵隊を使うのではなくて、日本の自衛隊がそれを守ることができるかどうかということだろうと思います。この場合、仮に明白な侵略があった場合それを守るというのは、これは憲法上で許される自衛権の発動ではないのでしょうか。それともこれは憲法上否定されている交戦権の問題に引っかかるのでしょうか。
【大臣】日本が侵略を受けた場合に、その侵略を止めるということは今の憲法上認められています。それは国家としての自衛権として認められることだと思います。しかし、外に出て相手を叩くということになると、それは憲法上の疑義というものが出てきます。全てだめかどうかというのは、今まで国会でもさまざまな議論が行われてきたところですので、そのことを細かくは申し上げません。しかし、普通の国がやっている攻撃能力を持ち、そして相手に対して攻撃を加えるということに関しては、やはり憲法上の制約があるということは言えると思います。
【琉球新報 滝本記者】前回も外来機の飛来についてお伺いしましたが、嘉手納基地の方に、岩国基地から海兵隊のホーネットという戦闘機が20数機飛来して訓練している訳ですが、その中の1機がクラスター爆弾と思われる武器を装着して嘉手納基地を離陸して、その同型機が帰還したときにその武器がなくなっていて、どこかに投下したと思われるという状況ですが、そのことについて外務省の皆さんの方では米側に照会をされているやに聞いていたのですが、米側から回答があったのか、或いはそれに対する対応はいかがでしょうか。
【大臣】ご指摘の件は、先程国会でも議論になりました。我々が米側に確認をしたところ、米軍は「日米安全保障条約の目的の達成のために必要な訓練を定期的に行っているが、訓練内容、使用弾種、訓練実施場所などの詳細については運用上の理由から明らかにできない」との答えがあったところです。
【フリーランス 岩上氏】昨日、衆議院で来日したジョージ・パッカードさんが民主党の議員を前にして講演を行いました。この内容は、それに先だってフォーリン・アフェアーズに書かれた論文「日米安保50周年」という中で、「現在の日米関係の非常にギクシャクした関係というのは、第一に米国の軍部がかなりごり押しのやり方で普天間の問題を悪化させていることにある」というように、むしろ米側の方の落ち度を批判して、「この問題は日米関係の中で非常に小さな問題で、このようにギクシャクするべき問題ではない。むしろ米軍は段階的に基地を縮小するべきである」とか、「日本側の言い分をもっと聞くべきである」、更には「沖縄という領土を血をもって奪い取った封建領土のように米軍部が思いなしていることがけしからん」というような、非常にリベラルな立場で講演されたと聞いております。この後、防衛省の方にも行って学会か何かで講演もするそうです。この時期、このタイミングで来日されて、こういうメッセージを送られるということは非常に何か意味があることではないかと思いますが、こうした米国のエスタブリッシュメントにある学者の発言について、大臣はどうお考えになるか、お聞かせ下さい。
【大臣】ジョージ・パッカード氏はライシャワー大使の伝記を書かれた方だと記憶をしております。私(大臣)は、あの本は非常に優れた、日米関係の認識を深める上で非常に重要な書物だと思っております。しかし、今政府の人間でない一個人がいろいろな見解を述べていただく、それは当然自由ですし、そういういろいろな意見が米国にもあるということの一つの表れであると思いますが、政府の立場として外務大臣がその一つ一つの発言についてコメントするということは控えるべきだと思っております。
【共同通信 斎藤記者】日中韓外相会議と並行して楊潔箎さんとの会談、日中外相会談も予定されると思います。それで、課題はいろいろあると思います。東シナ海、ガス田、食の安全、いろいろあると思いますが、これについても事前にはお答えしないということでしたので質問しない方がいいと思うのですけれども、会談をやられる以上は何をテーマに、何を抱負に臨むのか、ご意見を聞かせていただきたいと思います。
【大臣】これは国会でも聞かれて、既にそれは事前に言うことではないだろうと、事後にはこういうことについて話し合ったということは明らかにするわけですけれども、そういうことで、さまざまな重要な課題があることは事実でありますので、しっかりと時間の限り議論したいと思っております。
【共同通信 斎藤記者】会談と切り離して、日中の懸案ということでお伺いしたいのですが、東シナ海の例の中国海軍の艦艇10隻が航行した部分に限ってお伺いします。ヘリは含みません。この10隻が航行した場所はいずれも日本の領海に当たらないわけですから、公海とEEZ、EEZはどの船もそこを通行する権利があるということで、これは私も承知しております。一方で、そうした状況も踏まえてだと思うのですが、中国側は今後も、これは正常な訓練の一環であって、周辺国は慣れるべきだと言っております。私は、この発言は必ずしもヘリを指してはいないと思います。
これは繰り返しですけれども、公海、そして、EEZをこれからも通りますということではないかと思うのですが、今後、中国が今年、来年、再来年と同じような訓練を続けていく。頻度も上がる。ボリュームも上がる。これは我が国として、これは国際法上、問題がないということで、やはり受け入れることにならざるを得ないのでしょうか。これは法律的な部分だけではなくて、安全保障面、あるいは国民感情、いろいろ、ほかにも問題があると思います。この点についてお伺いしたいと思います。
【大臣】国民感情というものは感情の問題ですので、なかなか断定的に言うことは難しいわけですが、国際法上認め得るものは認めざるを得ないと思います。ただ、そういう場合もお互い連絡をよくした方がいいという議論はあり得ます。もし事前に通知をすべきだということであれば、日本側の訓練についても通知をするということになると思います。そこは双務性の問題で、どこまで、どうすべきかということは政府の中でもよく検討したいと思います。
もちろん、相手のある話ですから、こちらがいくら何を主張しても、それは国際法上の根拠がないということになると、最終的にはお互いが納得し合うという解決しかないわけでありますが、通ることそのものというよりは、やはり訓練に伴って、それが非常に何らかの手違いで緊張感が高まるような事態を招かないようにするためにどうしたらいいかということは、よく考えてみる必要がある問題だと思っております。
【朝日新聞 鵜飼記者】日中関係の現状をどのように見ていらっしゃるかというのをお伺いしたいのですけれども、民主党政権になって、中国側からは関係がもっと進むのではないかという期待感が当初はあったかと思うのですが、最近では東シナ海の話とかいろいろ問題も出ていますし、ガス田の協議も局長級に格上げになったとはいえ、なかなか進んでいないという現状があるかと思うのですけれども、今、外相の立場から見られて、日中関係というものは順調に進んでいるのか、少し停滞しているのか、その辺りをどういうふうに見ていらっしゃるか、お話をお伺いできますか。
【大臣】基本的には、日中関係は、両国首脳の交流も含めて、私(大臣)は深まっていると思います。だからこそ中国の首相も日本に来られるわけで、一時はそういう首脳間の交流すらないという時代もあったわけであります。そう昔の話ではございません。ただ、そういう中で懸案事項というものはいくつかあります。そういうことについて、一つひとつしっかりと議論をし、そして、お互い乗り越えていくということが重要ではないかと思っているところであります。
したがって、外務大臣としては、今、いい関係が継続しているとか、関係が深まっているということに甘んじるのではなくて、将来のさらなる両国関係の深まり、そのために、今ある問題について一つひとつきちんと解決をしていくという姿勢で臨みたいと思っているところです。
【NHK 別府記者】ワシントンでやった普天間関連の実務者レベルでの意見交換なのですが、結果等、大臣の受け止めで想定の範囲内だったとか満足いくものだったとか、また、今回の(結果)を受けて、今後どういうような進め方を考えていらっしゃるのか、お願いします。
【大臣】なかなか個別の話はしないということになっておりますので、余り申し上げることはございません。ただ、今回は普天間の問題を中心に意見交換をしたということは事実であります。非常に困難な課題ですから、簡単に結論が得られるものではありませんが、話し合いとしては非常にしっかりとした話し合いが行われたし、進んでいると考えております。今後、また、そういった話し合いというものは、これからも必要であると考えているところです。
【時事通信 高橋記者】個別のお話はなかなか申し上げにくいというお立場は理解しているのですけれども、日本政府の立場として鳩山総理が沖縄に引き続き負担をお願いするという点と、それから、徳之島に普天間の機能の一部をお願いしたいと、この2つの大きな方針ということは、日本国民に向かって公に総理自らの口から仰っているわけなのですけれども、この2点について、それぞれ進展があったというご認識なのでしょうか。
【大臣】まさしく個別の中身は申し上げるつもりはございません。相手方との関係もございます。しかし、総理が述べられたことは、当然その現場で問題提起もされております。それから、そういうことについて、むしろ実務者間で議論する話と、それから外交ルートで基本的にはルース駐日米大使と私(大臣)の間で議論することと両方あるということでございます。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読致します。宮崎県で拡大している口蹄疫の感染などによって処分する豚や牛が8万頭を超えています。さまざまな情報がネット上を駆け巡りまして,不安もかなり広がっております。農林水産省は,感染の有る無しに関わらず,全ての牛肉の輸出停止を決定したとの報道がありまして,このまま国内はもとより海外での風評が拡大されるとの指摘もございます。こうした点におきまして,外務省として海外に対して何らかの対応を考えていらっしゃいますでしょうか。
【大臣】何らかの何ですか。
【ニコニコ動画 七尾記者】例えば,風評リスクを防ぐため,海外へのアプローチなど考えてらっしゃいますでしょうか。
【大臣】私(大臣)のレベルまで,まだそういった話はあがってきておりません。口蹄疫というのは,そう珍しいことでは必ずしもない,世界で見れば,そういったことは起こっているわけであります。いずれにしても,早く被害の拡大を食い止める,そのために迅速に行動しなければいけないと思っております。宮崎県と,そして政府が協力して行っていかなければいけないというように思っております。
【フリーランス 畠山氏】アフガニスタンで行方不明になっているフリージャーナリストの常岡浩介さんの件でお尋ねします。連絡が取れなくなって1ヶ月半が経つわけですけれども,この間,安全を確保するために刑務所に入れられているとか,身柄を拘束していると名乗るグループが出ているなど,さまざまな情報が流れております。現時点で,外務省として常岡さんの安否,所在などについて確認はできているのでしょうか。
【大臣】この問題については,従来から一貫して申し述べておりますが,その具体的な内容についてコメントは差し控えたいと思っております。
【日経新聞 山内記者】大臣のカウンターパートである、クリントン米国務長官が今月の24日と25日に北京で米中戦略対話のために訪中する予定と聞いております。この後に、日本に寄って大臣と幅広い課題について話し合ったりする予定はあるのでしょうか。それとも、検討はされているのでしょうか。
【大臣】現在、そのような予定が何か決まっているということはありません。
【共同通信 斎藤記者】日韓会談の絡みでお伺いします。日韓会談の見通しについてはお伺いしません。日韓関係の全体を見た場合、政権発足当時から現在まで、いろいろなことがありましたが、トータルとして前進しているのかどうか、具体的に言えば首脳間の信頼関係、或いは経済連携交渉、そして領土問題、竹島もあります。いろいろプラスの面、マイナスの面がありますが、総じてここまで、どのような進展を遂げているのか、総括的なご見解をお伺いしたいと思います。
【大臣】日韓関係は鳩山政権になって、私(大臣)は首脳間の信頼関係も含めて、深まっていると考えております。そういう中で、今、経済の問題と言われましたが、日韓でFTA、これはかなり長い間中断しております。それを何とかもう一度再開したいと考えておりまして、さまざまな努力を行っているところです。全体として、そういうことで日韓関係は深まっていると思います。ただ、今年は日韓併合100年という非常にセンシティブな年でありますので、より両国関係を深めるために慎重、かつ従来以上の努力が求められる年であろうと考えております。
【時事通信 高橋記者】時事通信が7日から10日にかけて実施しました世論調査の結果で、「鳩山内閣を支持する」が19.1%、「支持しない」が64.1%という数字がでました。政権発足して初めて2割を切りまして、俗に2割を切ると危険水域に入ったなどと、従来からもよく言われますが、率直な受け止めをお願いします。
【大臣】大分ずっと下がってきましたので、下がることは予想しておりましたが、少しショックを受けているところです。いろいろな鳩山政権として取り組んできた、前向きのことがあまり伝わっていないと思っておりまして、その点について、それぞれ政府としてしっかりと伝える努力というものが求められています。そろそろ、底を打って反転していくことを期待したいと思います。
【フリーランス 安積氏】今朝の閣議後の記者会見で、仙谷大臣と前原大臣がそれぞれ「小沢幹事長の政治倫理審査会は公開すべきだ」という発言がありました。大臣はいかがお考えでしょうか。
【大臣】私の理解では、政治倫理審査会ということについて、小沢幹事長がそこに出るということを明確に言われたかどうか、私(大臣)は確認しておりません。報道はいろいろありますが。そういう段階で更にその先の話というのは、コメントは控えた方がいいと思います。
【共同通信 西野記者】普天間問題に絡んでなのですが、鳩山総理が23日にも沖縄を再訪されて、また沖縄の関係者の方と会談なさるというお考えがあると聞いています。このような形で5月末の決着に向けて動きが出ている中で、沖縄の理解を得ていくということについて、どのような見通しを大臣としては持っておられるでしょうか。
【岡田大臣】23日という日程が決まったものかどうかというのは私(大臣)は承知しておりません。そういう話が記者の皆さんの間で出ているということは、官房長官の記者会見でも指摘はありますが、官房長官ご自身がそういうようには言っておられないと思います。いずれにしても、「5月末までに」ということで進めておりますので、総理も言っておられますが、その5月末までに関係方面のご理解を得られるように、各閣僚が力を合わせて努力をしなければならないと思います。
【共同通信 西野記者】最後のところの各閣僚が努力していかなければならないというお立場は理解するのですが、一方で、福島大臣は「辺野古に造らせないことに全力で頑張りたい」という発言をされています。やはり閣内で「5月末に向けて一致している」と客観的にみると言い難いような状況と思えるのですが、こういう閣内の動きについてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】次第に5月末が近づいてきておりますので、どこかで関係閣僚会議といいますか、基本政策委員会ですか、これを開催しなければならないと思います。
本日も本会議場で総理が横におられましたので、「亀井先生、福島先生に対して丁寧に説明された方がいいのではないか」ということを申し上げたところです。ただ、「いろいろ総理始め、各閣僚が努力しているときに、あからさまに外に向かって言うのはいかがなものか」ということは、私(大臣)がときどき閣僚懇談会で福島さんに対しては申し上げているところです。
【時事通信 水島記者】普天間問題で引き続きなのですが、決着の定義について、総理は昨日、「地元も米国も連立与党もこの方向で行こうではないかというものが決着なのだ」と仰いましたが、日米間の交渉ということで言うと、方向性ということであっても日米合意をつくるということはあり得るのでしょうか。
【大臣】総理がそういうように仰ったとすれば、それがまさしく答えであります。閣僚としては総理の基本的なお考えに基づいて進めておりますので、それ以上のことを特に付け加えることはございません。
【琉球新報 滝本記者】「抑止力」についてですが、岡田大臣は昨日の沖縄・北方対策特別委員会で、沖縄になければならないかどうか、ということについての議論でお話しをされました。前回もお伺いしましたが、沖縄に必ずしもなければならないのかということについてはどのようにお考えなのかというのを改めてもう一度ご確認したいのですが。
【大臣】「抑止力」ということを考えたときに、私(大臣)は基本的に日本に海兵隊が必要だと申し上げております。なぜそういう言い方をしているかということは、ここでも以前に申し上げたことがあると思いますが、つまり沖縄の海兵隊による負担を軽減するという議論をしているときに、沖縄になければならないと言ってしまいますと、それは負担の軽減にならないからであります。
ただ、沖縄の海兵隊全部を沖縄以外に持っていく、つまり日本の中のどこかに持っていくということは極めて困難であります。かつ、沖縄という地理的特性ということもありますので、「負担の軽減を極力図りつつ、しかし、一定規模のものは沖縄に海兵隊が必要である」と言うべきだと思います。
【琉球新報 滝本記者】今のお話をお伺いした上で、沖縄以外の日本のどこかに持っていくのは極めて困難だと。
【大臣】丸ごとね。
【琉球新報 滝本記者】丸ごとということ。これは政治的に受け入れるところがないからだということだと思うのですが、それを前提として、今回のそれこそ米軍再編ではなくて、鳩山政権での県外移設ということを検討する中で、丸ごと日本の他の部分に持っていくというのは困難だというのは、自公政権でもこれまでもずっとそうだったということは、小泉総理がされていたときもそういうお話で、「総論賛成、各論反対」というような言い方であったと思うのですけれども、そういう意味ではなかなか困難だというのは事前からわかっていたはずなのですが、鳩山政権下で沖縄以外の日本のどこかに具体的に持っていこうということを、地元がなかなか受け入れるのが難しいからだというのはわかりますが、打診なり、実際にアクションとしてどういうようなことを起こされたのかというのをお伺いしたいのですが。
【大臣】丸ごと持っていくのは困難だという意味は二つあって、それこそ丸ごと受け入れるところがないということと、もう一つは訓練地というのを切り離して、訓練地以外の機能、つまり飛行場の機能だけ持っていくということは、米国がそれでは運用上の効率性が極めて悪くなるということを改めて主張したということであります。
【琉球新報 滝本記者】普天間問題とは関係なくですが、沖縄の基地負担軽減という文脈の中で、嘉手納飛行場の騒音の問題もあり、現在ある嘉手納飛行場の問題自体があると思うのですが、その中でも昨今また外来機が飛んで来ているという中で、地元もずっと反対の決議をしたりという形があるわけなのですけれども、鳩山政権で沖縄負担軽減という文脈は普天間の単なる移設だけではなくて、沖縄全体の基地負担の軽減ということで掲げておられると思うのです。そういう意味で、その中で外来機がまだ入ってくると、なかなか地元の「NO」だということについて、なかなか一定の答えもないというリアクションが、目に見える成果がないということについてどのようにお考えかをお伺いしたいと思います。
【大臣】私(大臣)が嘉手納に行ったときに確認した話では、嘉手納そのものにいる飛行機は時間を一応守って、夜間、或いは早朝の離着陸を控えている。しかし、外来機といいますか、ほかから飛んでくる飛行機がそういう時間帯も含めてあるという話があったと思います。
沖縄負担軽減という中で、この嘉手納の騒音をいかに減らしていくかということも重要なテーマでありますので、もちろんそれだけに限りませんけれども、そういった問題についてもしっかりと日米間で議論していかなければいけないと思っています。
【琉球新報 滝本記者】今の問題に関連してですが、先ほど申し上げたように、地元の自治体の議会等は、今でも負担が大きいのに更に外来機が入ってきて騒音が増えることについてどうだということで、外来機の飛来移駐をやめてくれという決議をしたりする訳です。
そういう決議をやはり現地の司令官なり嘉手納の司令官なりに抗議文を手交しに行こうとするのですが、と地の米軍の責任者になりますが、嘉手納の空軍の司令官が応対を受け付けないというような状態があるようです。その部分はこれまでもずっとそういう決議なり、そういうことが手交されたりしているのですけれども、なぜそういうふうにそもそも手交の受付けがなされないのかという理由自体、自治体も地元もわからない状態ですが、そういう事態についてお聞き及びか、その事態について、どういうふうに対処されるお考えがあるかお伺いしたいのですが。
【大臣】受け付けないかどうかは、私(大臣)は承知しておりません。ただ、私(大臣)が嘉手納に行ったときの話ぶりから見ると、恐らくそれは基地の責任者、司令の権限を超える話なのだろうと思います。つまり嘉手納空港に外来機がやってくるということは、彼の決定できる話ではないということで、よりハイレベルで議論をしなければならない。そういう意味では、やはり日米両国間政府で議論をしなければいけないテーマではないかと思います。
【マガジンX 島田記者】基地負担の件で、例えば普天間にしても設立当初はその周辺に住民はほとんどいなかったと私は記憶しているのですが、それが時間が経つごとに経済圏として成立していってしまったということがあると思いますが、基地が仮に無人の島とかにできたとしても、その後、経済圏が発達した上で更に住民が増えてくるという可能性もないわけではないですが、基地をそういう安全なところに移転した後のまちづくりの構想とかは考えているのでしょうか。
【大臣】普天間の場合には基地が後からできた形で、人が住んでいなかったわけではないと私(大臣)は認識をしております。学校なども当初からあったと、後からできたものもあるかもしれませんが、かなり早い段階から学校はあったということであります。ですから、今仰ったようなことを考えると、やはり人の住みそうな場所にはなるべく造らないという発想になってくるのだと思います。現行案はそういう発想でできていると思いますが、それ以上のことは、今はコメントを差し控えた方がいいと思います。
【世界日報 山本記者】抑止力の関係でご確認させていただきたいのですが、先日鳩山総理が沖縄に行かれまして、「海兵隊の抑止力が理解できるようになった」という発言がございまして、これは若干失望をかっているようなところもあるのではないかと思うのですが、それとまた関連で先日の金曜日の記者会見で抑止力については岡田外相と首相は「いろいろ議論してきた経緯があった」と仰っておられたのですが、そういう議論の中での抑止力の議論と、首相の今回の沖縄での「抑止力が理解できた」ということとの、その辺りの整合性がよく分からないものですから、どういう経緯でそういう理解に進んでいったのか、分かりますでしょうか。
【大臣】鳩山総理がどういう人かというのが分からないと、そういう仰り方をよくされる方です。先日、前原大臣も「総理が抑止力について、今まで考えてなかったということはあり得ない」と国会でも答弁されていました、私(大臣)もそう思います。ただ、非常に謙虚な方ですから、そういう時に少しへりくだって謙虚に仰っているということだと私(大臣)は思っております。
【琉球新報 滝本記者】先程私がお伺いした中で私自身として、大臣からお答えいただいていないつもりですが、「何故、沖縄でなければならないのか」ということでの、沖縄の外に持っていけるのかどうかという議論が、具体的に打診して断られたり、難しかったということが実際にどのように検討したのかということについての、具体的な部分をお伺いしたいのですが。
【大臣】基地の中で訓練地を離すということは非常に難しいということは一つあると思います。日米の話し合いですから、あまり具体的に申し上げられませんが、それが一つあると思います、セット論です。それから、もう一つはセットを丸ごとどこかへ持っていけばいいじゃないかということですが、それに適切なところというのは残念ながら出てこなかったということです。それはやはり一定の設備も要りますし、訓練地も必要です。そういったところについて、具体的なものはなかったということです。
【琉球新報 滝本記者】それは具体的に自治体に打診されたというような行為があったのか、それとも政府内で諸条件を考えたら当てはまるところがなかったという、つまり机上で考えられた、それはどちらでしょうか。
【大臣】基本的には官房長官をヘッドにする検討委員会の中でいろいろ当たって来られた訳で、その中でどういうやり方をしたかということは私(大臣)は承知をしておりません。
【共同通信 斎藤記者】日中韓外相会議の関係です。近く韓国で日中韓外相会議が行われますが、現在北東アジアが抱えている諸問題はいろいろあると思います。日本政府として、外相として日中韓首脳会談でどのような成果を期待するのか、どのような日本の立場を主張されるのか、ご見解をお伺いします。
【大臣】日中韓外相会議というのは、その2週間後に開かれる日中韓首脳会談の議論の整理をするというものです。日中韓で例えば経済、将来の共同体を目指しての3か国のFTAの議論でありますとか、もちろん3国間共通の安全保障の問題でありますとか、そういったことについて議論します。併せて日本の場合であれば日中、日韓それぞれ外相会談を行うといったことで、議論すべきことはたくさんあります。3国間もありますが、日中、日韓間でも相当議論しなければいけないと思っております。
【マガジンX 島田記者】将来の日中韓の共同体という想定に関してですが、今、欧州の共同、EUがかなりギリシャの問題で危うくなっていますけれども、それでも経済共同体、もしくはそれに準ずるようなアジアの共同体というのは必要だとお考えでしょうか。
【大臣】EUのようなレベルまでいくことをすぐ考えているわけではありません。政治体制も違いますから。主権の制限に大きくつながるような、例えば通貨の統合といったことには、私(大臣)は相当距離があると思っています。
【週刊金曜日 伊田記者】歴史認識の方に振るのですけれども、今年は韓国併合100年ということで、昨日10日に日韓知識人共同声明というのが出ました。東大名誉教授の和田春樹さんなんかも呼びかけ人の一人なのですが、その共同声明の中で、「韓国併合に至る過程が不義不当であると同様に、韓国併合条約も不義不当である」という共同声明が出ています。
説明としては共同声明の中にあるのですけれども、「日本政府は併合条約案は対等な立場で、また、自由意志で結ばれたものであり、締結時より効力を発生し、」等、あとは省略します。過程を検討すると、やはり韓国側が今まで主張していたとおり、韓国の併合条約自体も不義不当であると判断するのが妥当だという共同声明を出されています。
この声明には、日韓歴史共同研究委員会の第1回の日本側の座長を務められました、三谷太一郎さんも署名されています。そういった意味で今年は日韓併合100年なのですけれども、いきなり結論は出せないと思いますが、政府の今までの見解を見直されるよう検討されるというお気持ちはございますでしょうか。
【大臣】この点は日韓基本条約第2条で、日韓両国政府が認めたものとして1910年8月22日以前に、大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認されるとしております。これが両国政府の考え方であります。
【共同通信 斎藤記者】日中韓外相会議で議題に上りそうな1つの案件として、韓国の哨戒艦の沈没事案があるかと思います。この件に関連して岡田大臣は前回の記者会見で、もちろんまだ韓国政府は正式な発表をしていないということを踏まえた上で、いわゆる北朝鮮関与説、今、韓国の中で非常に取りざたされているのですが、この件については一言、前回の記者会見で「理解できる」と大臣は仰られたと記憶しております。
【大臣】「理解をする」と言いましたかね。
【共同通信 斎藤記者】理解という言葉、「理解はできる」と仰いました。「北朝鮮関与説」というのは私が質問の中で使った言葉であって、大臣は北朝鮮関与説とは仰っておりません。質問を受けている中で、「韓国国内の動きについては反応自体は理解できる」と仰っています。これは間違いありません。ご記憶にないとなると、この後の質問の振り方が非常に難しいのですが、まさに「理解できる」と仰られた背景には、岡田さんご自身もこれまでの種々の情報、分析を踏まえた上で沈没問題についてある種の見方というものがあるのかどうか、この点をちょっと確認したいと思いました。そして、そうしたことを日中韓外相会議の席上で様々な意見交換するのかどうか、その点も併せてお願いします。
【大臣】この問題は非常に重要な問題です。多くの方が亡くなったわけですし、そして事故ではないという見通しが非常に強いわけですから、非常に重要な問題で、日中韓外相会議でも議論になると思います。ただ、日中韓の外相会議をやるタイミングではまだ正式な結論は恐らく出ていないというタイミングでの議論になると思いますので、今、韓国を中心に米国とかスウェーデンとか、幾つかの国の人々が入って調査を行っておりますので、基本的にはその正式な結果をきちんと見極めた上で議論すべきで、それまでは決定的なことは言うべきでないと思っています。
【フリーランス 上出氏】日米関係について関連があると思います。実は今日、金融庁の亀井大臣のいわゆる第2記者会見に参加しまして、そのまま言うと露骨なので言いませんが、その中で日米関係全体のことを考えて、「外務省はアメリカの外局に成り下がっている」とのことでした。もっと厳しいことを言ったのですけれども、そういうことも含めて、普天間の問題とかいろいろな問題を言っておられましたが、大臣としてそういうご認識、実際に亀井大臣がどう話されていたかも含めて、ご説明できる範囲で、そういう問題について、外務省の役割ということについて、どうご認識されているでしょうか。
【大臣】本日、閣議の前に、亀井大臣とは隣同士ですので、普天間の問題を少しお話ししたのですけれども、どうせ言うなら私(大臣)に直接言っていただければいいのにと思いますけれども。
【フリーランス 上出氏】そういうことでお話をされたことはないですか。
【大臣】本日は普天間の話をした訳ですが、「外務省が米国の言いなり」とか、そういう発言は全くありませんでした。そう言われれば、私(大臣)は当然説明したと思いますけれども、余りそういう固定観念で見ない方がいいのではないでしょうか。言いなりなら、こんなにもめていないです。
【フリーランス 岩上氏】今の上出さんの質問に関連して、ご質問させていただきます。上出さんが奥ゆかしく、詳しく説明されなかったのですけれども、私も亀井大臣の会見に出てまいりました。正確に申し上げますと、郵政改革の一連の作業に際して、大塚副大臣に対して外務省から随分圧力がかかったと。条約局の局長までいらして、「このままだと日米関係が大変なことになってしまう。具体的には現在、郵政改革を進めている、その方向に進んでいくと、外資を含めた民業圧迫になる」という形で、外務省側からいろいろな幹部の方々が何度もいらして、郵政改革を思いとどまるようにという圧力があったということで、それに対して亀井大臣は非常に憤慨されて、「どこの国の外務省だよ。国務省の言ってみれば支店のようなものではないか。米国の国益と外資の利益を代弁しているのではないか」というようなニュアンスの強い言葉で怒りを表明されていて、「断固としてそれはCIAに暗殺されるまでははねのける」みたいなことを仰っていたのですが、具体的にはこういう言葉です。とはいえ、インターネットの方も入っていて、フリーにアクセスできる、中継できる場で、この懸念というものを強く表明されていたので、外務省の幹部、条約局長というところまではっきり仰っていましたので、こうした高官が実際に郵政改革に対してマイナスの働きかけといいますか、否定的な働きかけをされたかどうか、それを含めて、またそれについて大臣としてどうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
【大臣】まず郵政改革法案に関して、私(大臣)が、今からもう2か月近く前になりますが、これはきちっとフォローするようにと命じまして、吉良政務官、或いは経済局や条約局でずっと法案に関して協議を行ってまいりました。そして、かなり私たちの意見が入ったところもありますが、最終の場面で、やはり内国民待遇がきちんと確保されないとWTOに提訴されかねないということで、是非、そういったことも念頭に置いて、きちんと根拠になる条文を置いてもらいたいと私(大臣)は申し上げました。そして、具体的説明は吉良政務官と経済局長と条約局長にしてもらった訳です。結果として、少しですが、条文は変わりました。
そして、私(大臣)はおりませんでしたけれども、4月30日の閣議でこれが決まったわけです。その直前にそういう形で意見交換をさせていただいて、条文に多少修正を加える形で円満に纏まったということです。
それが入ったから、それでは、WTOに提訴されるということが100%ないかといえば、そういうことは断言できませんが、仮に提訴ということになったとしても、こちらとしてはきちんと対応しているという抗弁をすることができるだけの根拠は置くことができたのではないかと思っております。これは米国がどうのこうのという話ではなくて、国際的な貿易・通商のルールの話です。
【フリーランス 岩上氏】引き続き関連で、今のくだりを確認させていただきたいのですが、変更された条文というものは、どの箇所でどのように変えられたのか、ご記憶の範囲で教えていただきたいということ、それから、米国がどうのこうのという訳ではないと仰いましたが、この外務省の姿勢の背景に米国側からの圧力とか、或いは申し入れとか、働きかけとか、そういったものがあったかどうかという点について、米国の官、民ということの両方ですけれども、その点にも言及していただければと思います。
【大臣】米国から意見というものは来ております。でも、これは米国だけではなくてEUからも来ておりますので、やはり内国民待遇、内外無差別、つまり日本の企業だけを特別扱いしないという大原則はきちんと確保していかないと、それはまさしく日本が非常に保護主義的なことをやっているということで、提訴の対象になりますので、それは常識の問題としてきちんと対応しなければならないというのは当然のことだと思っております。別に米国から聞かれたということではなくて、それは貿易立国としての日本として国際ルールに反するようなことをやるわけにはいかないということであります。
条文は記憶しておりませんけれども、非常に技術的な書き方です。しかし、いざというときにはこういった規定が置いてあって、そういう差別的扱いはしないということが言えるような形になっております。
【週刊金曜日 伊田記者】外交報償費、いわゆる外交機密費の使途についてお伺いします。
先般、野中広務元官房長官が、自分が官房長官時代に報償費を政治評論家に、名簿に従って配っていたという発言がありました。それで外交報償費なのですけれども、例えば広い意味で、そういう外交の基本環境を整えるために国内世論、特に間違った世論形成があれば問題なので、国内マスコミの人々に正しい理解をしていただくといった目的で外交機密費を使われるというのは適正な使途に当たると大臣はお考えでしょうか。
【大臣】適正かどうかは別にして、外交機密費は幾つか用途があると私(大臣)は思いますが、通常では取り得ない情報を取るために使うというのは、私(大臣)は外交機密費として認められる使い方であると思います。通常では取れない情報を取るために使うというときに、その相手がマスコミ、メディア関係者であるということもあり得ることだと思います。ただ、一般的に懇親を深めたりということのために機密費を使うということは私(大臣)は適切ではないと判断をしておりますし、その旨、私(大臣)が大臣になってから省内に徹底をしているところであります。
【共同通信 斎藤記者】東シナ海の関係でお伺いします。前回の記者会見でもお伺いしましたが、一つは中国の艦船の航行問題。もう一つは、中国の国家海洋局の調査船による追尾問題、いろいろありまして、大臣の方から、先方には抗議するとともに、いわゆる対話のメカニズムと言ったらいいんでしょうか、今後、再発防止、あるいは不測の事態発生を防ぐための何らかの枠組みをつくる必要があるという話があったやに記憶しております。その関連でお伺いしたいのですが、もちろん、そうしたことは非常に大事だと思うんですが、一方で本日、程永華駐日大使が都内で講演をされまして、私も見に行きましたが、程永華大使も対話の重要性は言及されていました。ところが問題は、やはり原則部分が非常に日中間で大きく食い違っていまして、お察しがつくと思いますけれども、日中中間線をまたいで海洋調査船がやってきたことはおかしいではないかというこちら側の指摘に対して、そもそも中国は日中中間線を認めていないということで、そういう議論は成り立たないという趣旨だったと思います。それはそれで中国の理屈だったと思います。問題は、この状況が放置されていくと、また同じことが繰り返される。すなわち海洋調査船が、我が方の主張からすれば、日中中間線を越えてやってくる。そして、また、中国の艦隊が日本近海を航行する。これは公海だから問題がないと、そして、日本の自衛艦がまたそれを追尾するという状況は、今後も生まれかねないわけで、そうした状況を何らかの形で、とにかくそうしたことが起きないような何らかの対応策というのは考えられるのかどうか。もちろん対話は大事です。また、そういった対話と同時に、何かほかにできることがあるのかどうか、ここで何か大臣、アイディアがございましたら、お伺いしたいと思います。同時に日中外相会談が今度ございます。そこで、もし何か取り上げるとすればどのように取り上げたいのか抱負もお願いいたします。
【大臣】少し厳密にきちんと議論した方がいいと思います。今仰った中で、別に日本の排他的経済水域であっても、中国の艦船が、これは軍も含めて、そこに入ってくることは、国際法上何の問題もありません。そのことが問題だと今仰ったので、それは違います。その上で、お互いの主張が重なり合う部分など、これをどういうように対応していくのかというのは非常に難しい問題ですが、そういったことについても知恵を出し合っていかなければいけない問題だと、もちろん、根本解決は中間線なのか、大陸棚延長なのか、そこの決着がつくということが根本問題ですが、それが簡単に決着がつかないで時間がかかるとすると、やはり知恵を出して暫定的な期間、決着がつくまでの期間にどのようにしていくかということについて知恵を出していかなければいけないのだろうと思います。いずれにしても、そこまで詰めた議論になるかどうかは別にして、日中外相会談において、いろんなことが続きましたので、そういったことについて、再発が、何度もこういうことが繰り返されないように、議論はしてみたいと思っております。
【共同通信 斎藤記者】今の関連ですが、まさに大臣が、艦船が日本近海を航行したこと、排他的経済水域の中を航行したことについては、これは国際法上何の問題もないと、全くそのとおりだと思いますが、今日、その点について、程永華大使は、このような言い方をしておりました。「これは、正常で通常の訓練の一環である」と、これが一つです。二つ目は、「我が国の艦船に付きまとったのは日本一国である」と、つまり「他の隣国、東シナ海にはいろんな国が面しているが、我が国の艦船に付きまとったのは日本だけだった。他の国もあるけれども来ていない。したがって、そうしたことが起きると、やはり相互信頼を損なうということを、私は心配をしている」と仰いました。法律的なことは言っていないです。趣旨としては恐らくあなただけやったと、これは日中関係を損なうのではないかと、いわゆる道義的な問題を差しての発言だと思います。道義的な部分に照らして、今回の自衛隊の行動が何か相手を刺激するような行動だったのかどうかという観点からいかがでしょうか。
【大臣】一国だけだったのかどうか、私(大臣)は確認しておりませんのでわかりません。いずれにしても、公海上を、あるいは排他的経済水域を含めて船が航行することは自由なのですから、訓練をしているときにそれを近くで見ると、ウオッチするということは、これは法律上何の問題もないわけであります。そういったことは一般に行われていることであります。問題なのはやはり、それが危険を感じるほど接近をするということであって、それが今回の中国側のヘリコプターの近接ということでありますので、もちろん、ヘリコプターはそんなに近づいていないという声も中国側にはあるようですけれども、その辺の事実関係の問題というのは、私(大臣)は日本の言うことを前提に議論しておりますけれども、やはり常識的なルールというのはあるのだと。それは日本や、日米が訓練しているときに、中国の艦船が近くでそれを注視するというのはだめだということではないし、それを禁じる理由はないわけでありまして、しかし、危険を感じるほど近づくということになると、それはやはりまずいということだと思います。そういうことをもう少し冷静に議論できるようになればいいなと思っています。
【共同通信 西野記者】先ほどの私の質問に戻るのですけれども、閣僚懇の中で、福島大臣に余り表に向かって言うものではないという問題提起をされているということなのですけれども、今日の閣僚懇でもされたのですか。
【大臣】今日はしていません。それから、閣僚懇で言ったことをしゃべってはいけないのを忘れていました。過去のことですから。
【共同通信 西野記者】それから、日米間で話をするのは、当然の時期になっているというように思います。5月末に決着していこうということで、また、12日にワシントンで実務者協議があると聞いています。中身の話になるので、なかなか発言しにくいのはわかるのですが、やはり実務者協議を行っているということをきちんと国民にはっきり出していただければという気がするのですけれども、12日に実務者協議を行うのか、どういうところが焦点になるのか、どんな形で外務省の方々に指示をしているのか、差し支えない範囲でお願いします。
【大臣】なかなか中身はお話しできません。ただ、前回申し上げたように、前回は日米安保50周年ということで、ここで申し上げたのか、国会で申し上げたのか忘れましたが、安保50年ということで議論をすると、しかし、その際にも普天間の問題は当然議論にはなると申し上げました。今回は、どちらかというと普天間の問題を中心に議論すると申し上げておきたいと思います。ルース駐日米大使と私(大臣)の間で基本的な考え方の整理をしてまいりましたので、しかし、まだ具体的なところで幾つか詰めなければいけないということがあり、そういったことについて、実務者で技術的な観点を含めて議論してもらうということであります。
【NHK 別府記者】実務者協議は技術的な問題を詰めるということで、交渉すると、つまり、日本側か、米国側から何かを勝ち取ってくるという具体的なマンデートをもらって米国と交渉しているものではないという理解なのですか。
【大臣】まず、実務者協議という表現は使わないのです。実務者が集まって議論すると。そういう会議みたいなものが決まったメンバーであるわけではございません。それから交渉ということの意味ですけれども、技術的な説明だけではなくて、幾つかの点について議論するということになります。そこで最初に決めることになるのか、それぞれ持ち帰って、また大使との間でやることになるのか、その辺は物事の詰まり具合だと思います。
【時事通信 水島記者】先程のNHKの別府さんの質問への大臣の答えの確認ですが、ワシントンで実務者での話し合いの中身というか、成り行きですが、お答えでは最終的に決めるのか、持ち帰って大使とやるのか、物事の詰まり具合いだということですが、米国の出方次第では大筋合意のようなものに至る可能性もあるというように受け止めてよろしいのでしょうか。
【大臣】今週は、そこまでは難しいかなと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読します。若干意見に近いのですが、こういうメールが来ました。「普天間基地の問題ですが、民主党だけの問題ではないと思います。党を超えて、日本全体で話し合えないでしょうか。北海道から沖縄まで、知事もしくは代表者などを決めて、どこに移転するかなど話し合えないのでしょうか。その結果が日本国全体の民意だと思います」というメールでした。手詰まり感がある報道がある中で、みんなで考えよう、沖縄だけではなく分担しようという機運が高まってきているのも事実だと思いますが、こういった意見についてどう思われますでしょうか。
【大臣】具体的には今までも知事会などでも議題になったりしました。ただ仰るように日本全体で普天間基地移転の問題をきっかけに、抑止力とは何か、何のために米軍は日本にいるのかとか、そういう議論が国民の中で少し高まりが見られることは、私(大臣)は非常にいいことだと思います。国会でも申し上げているわけですが、日本を取り巻く環境、朝鮮半島情勢とか中国をはじめとする周辺国の海軍力を中心とした増強、そういう中で、先程来議論になっておりますいくつかの自衛隊との接点といいますか、ヘリコプターが危険なところまで近づいてきたということも起きているわけで、日本自身で日本を守るということがどこまでできるのか。もちろん防御的なことは自衛隊は大変高い能力を持っているのですが、相手を攻撃することはできません。専守防衛であります。攻撃するところは米国が担っているわけですが、これなしで防御だけで国民の命が守れるのかというと、私(大臣)はそれは無理だと思います。そういう意味で米軍の抑止力に期待せざるを得ない。これはもちろん日本だけではなく、米軍は日本のためだけにいるのではなく、この地域の平和と安定のためにいるということを前提にして、しかし同時に戦後の色々な流れのなかで、沖縄にあまりにも過度に負担が偏っています。それを何とか国全体で分かち合っていかなくてはならない。そういうことについて国民の皆さんがそれぞれお考えいただき、普天間移転の問題はその象徴的な出来事でありますが、そのことについて関心を持っていただければ非常にありがたいと思います。併せて鳩山総理が沖縄の負担を何とか軽減するために、今、苦しまれながら努力しておられることも是非ご理解いただきたいと思います。
【フリーランス 岩上氏】抑止力関連でご質問させていただきたいと思います。海兵隊の戦力というものは、抑止力になりうるということはたびたびお話しいただいてきたと思います。2009年に中曽根前外務大臣が「尖閣諸島は中国の脅威にさらされたときには、日米安保の対象になる」と仰られまして、麻生政権としても「これは日米安保の対象である」と答弁もされていると思います。ここで一点の確認ですが、実際に尖閣諸島に対して、もし中国が侵略してきたとき、海兵隊が出動するのかということに関して、2005年の日米同盟変革と再編の文書の中で明白に、「島嶼部については日本側の負担である。日本側が分担する。島嶼部の防衛は第一義的に自衛隊がやるものであって、米軍は出動しない」ということが明記されています。この点、やや矛盾を感じるところであるのですけれども、実際、現実性の行動、軍事行動となった場面では果たしてこの日米安保の前政権の回答が正しいのか、それとも日米同盟変革と再編に書かれている島嶼部の防衛は第一義的に自衛隊が出動して行うのが優先されるのか、どちらが正しいのでしょうか。
【大臣】どちらも正しいと思います。ですが一義的に日本を守るのは当然日本人です。自衛隊です。日本を守ることまで米軍に依存するということではありません。ただ、自衛隊の手に負えないということになれば、米軍の力を借りることもあるということであって、一義的には日本を守る役割は日本自身が行うのは当然のことだと思います。
【フリーランス 岩上氏】仮に中国軍が尖閣諸島に攻め入るというようなことがあった場合、自衛隊が出動し、手に負えなくなった場合、海兵隊が後から加わるという形になるのでしょうか。
【大臣】あまり生の議論をしないほうがいいと思います。想像の世界ですので、どこの国がということは言いませんが、しかし日本は沢山の島嶼部を抱えておりますので、今の自衛隊の能力でそれが十分に守れるのかどうか、もっと島嶼部を守るための能力をしっかり身につけるべきではないかというのを今議論している防衛大綱を作る中で、まだ政治レベルでは議論していないのですが、学者の先生に議論していただいている段階ですが、一つの議論すべきテーマであることは間違いないと思います。
【フリーランス 岩上氏】4月末にAFPが伝えた話ですが、アフリカのジブチに日本の海上自衛隊の基地が建設されるという話が伝えられました。その記事の中ではその海上自衛隊の二等海佐はインタビューに答えているというように伝えているのですが、これは戦後初の海外の基地であるというように伝えられているのですが、これはあまり国内で大きく報じられることがありません。どのようなものであるのか、そして、またどのような位置付けとか性格を持った施設であるのか、またそれが日本の戦略上どのような意味を持つのか、可能な限りお話しいただければと思います。
【大臣】今、海賊対策で船だけではなくて、飛行機も出している訳です。その飛行機を整備をするとか、そういうことが必要になります。そういうスペースを確保したということです。それを基地と言うかどうかは別にしてということです。今ももちろんそういうスペースはありますが、きちんとジブチ政府と契約を取り交わして、スペースを確保したということです。
【フリーランス 岩上氏】それは整備場程度のものなのでしょうか。それとも、軍事基地と呼ばれるような性格や規模、或いはそこそこの駐屯する人員とか、武器、装備といったものが整備場と言える程度のものなのか、それともやはり自衛隊の海外の基地と言われる性格を持つものなのか、その点についてもう少し明らかにしていただければと思います。
【大臣】いわゆる飛行場を持ってというような、そういう基地というイメージで考えていただかない方がいいと思います。各国それぞれ飛行機を持っていますから、そういったスペースを確保しているということです。確か自衛隊の飛行機は2機だったか、正確な数字は今出てこないのですが、10機も20機も行っている訳ではありません。船を出している、それを上から海賊船を見るために出している飛行機ですので、お考えのような基地というものではありません。
(1)南アフリカ及びタンザニアへの出張報告について
【岡田大臣】まず、私(大臣)自身のアフリカ出張の件ですが、28日から5月5日にかけて、南アフリカとタンザニアを訪問いたしました。内容はご案内のとおりでありますが、まず、南アというのは、日本が抱える、例えば安保理改革、或いは気候変動、そういった問題で非常に重要なポジションにあるということを改めて認識をいたしました。
安保理改革は、アフリカとどう対話していくかということが非常に重要であるということは、前回のG4の経緯を見ても明らかであります。そういう中でアフリカのリーダー国としての南アフリカ、アフリカは全体として常任理事国2つということを主張していますが、アフリカの中ではさまざまな話し合いもあるとも聞いております。アフリカと対話していく中で、南アというのはリーダー国として非常に重要な位置付けを持っていると思っております。
それから、気候変動については、メキシコで今年行われるCOP16に続いて、COP17は南アフリカで行われるということであります。最も気候変動の影響を受けるのがアフリカの国々でありますので、ここと如何に対話していくかということが1つの公的枠組みというものを作っていく上で非常に重要であると考えております。そういう意味でも、やはり南アとの対話ということは極めて重要であると考えております。
タンザニアで行われたTICADⅣにつきましては、私(大臣)は、これは年に1回のペースで開いておりますが、外務大臣が行くべき会議であると改めて思いました。アフリカを支援する集大成がTICADでありますので、1993年から始めて、今、TICADⅣというフレーズになっている訳ですけれども、やはり年に1回きちんとフォローアップして、進捗状況をお互い話し合うという極めて重要な会議であります。
閣僚だけでも、今回も30を超える国から閣僚が集まってくれました。こういう会議に外務大臣が出るということは、可能な限りそうするべきだと思った次第であります。併せて、9か国の外相、AU副委員長との個別会談もそれぞれ30分ほど時間をとって行いまして、これも短時間に非常に有益な意見交換ができたと考えております。
例えば、中国などは、外務大臣は1月に必ずアフリカを訪問すると、それに加えて国家主席や首相や、或いは副主席やいろんな方が入れかわり立ち代りアフリカを訪問しております。別にたくさん行くからいいということではありませんが、少なくとも外務大臣も年に1度はアフリカに行くということは、ある意味でルール化した方がいいのではないかと思った次第であります。
繰り返しになりますが、この気候変動の問題、常任理事国入りの問題でアフリカというのは極めて重要です。そのための話し合いを二国間会談でも、常に私(大臣)は、温暖化の問題と安保理改革の話を持ち出しましたので、ある意味では基礎工事のような、将来の布石を打つことにはなったのではないかと思っております。そのほか、現場もかなり見させていただいて、非常に有益な1週間だったと思っております。
(2)ミャンマー情勢について
【岡田大臣】2点目、ミャンマーでありますが、6日にNLD(国民民主連盟)の総選挙参加のための政党登録が行われなかったということで、自動的にNLDが解党ということになったことは非常に残念なことであります。我々の開かれた公正な選挙ということの実現に向けて、今後ともミャンマー政府に働きかけをしていきたいと、アウン・サン・スー・チー女史やNLDとの対話の促進というものを求めていきたいと思います。
米国のキャンベル国務次官補も近々ミャンマーを訪れると聞いておりまして、ここはよく連携をとりながら、最終的に開かれた公正な選挙と評価できるだけのものを求めて、周辺国とも協力し、米国とも意思疎通をよくしながら努力を続けていきたいと考えております。
(3)NPT運用検討会議について
【岡田大臣】NPT運用検討会議、福山副大臣に出ていただき、演説をしていただきました。今後、具体的な文書化に向けての交渉が始まってまいります。前回のような、何もまとまらないということではなくて、しっかりと文書化されるように、日本としても、今までも日豪のメッセージを出したり、いろいろ努力をしておりますが、まずは現場でしっかりと外務省の職員の皆さんに頑張っていただきたいと思っております。
なお、必要があれば、私(大臣)自身が現場に行くということも、必要に応じてそれは考えなければならないかもしれません。そういうことも含めて、とにかく日本として、きちんとまとまった成果が出るように、努力を注力したいと考えております。
【共同通信 斎藤記者】中国が東シナ海で活動を活発化させている一連の問題についてお伺いします。中国海軍の艦艇10隻が、先月、日本近海を航行して、その際、2度にわたってヘリが護衛艦に接近する問題が起きた訳ですが、これを受けて大臣は、中国側に懸念を表明したということは、私どもも認識しております。ところが、それから間もない今月3日、今度は国家海洋局の海洋調査船が海上保安庁の測量船を追跡し、海洋調査が一時中断するという事態になった訳です。これについても、大臣、そしてまた各政府関係者が中国に対して抗議をするという措置を取った訳ですが、中国側はそれに対して、「活動は完全に正当で合法だ」と反論していると聞いております。中国がこうした対応をとるのはどうしてなのか。そして、これをどう受け止めるべきなのか。そして、再発防止に向けて、どのような実効性ある措置が取れるとお考えでしょうか。お願いします。
【大臣】昨日も、私(大臣)は大使を呼んで厳重な抗議をした訳ですが、それに対して、その場で今、仰ったような答えは別にありませんでした。ですから、今、仰った答えを、私(大臣)は直接確認しておりません。これからどうするかということは、よく話し合うということが非常に重要だと思います。こういったことが繰り返されないために、ハイレベルでしっかりと話をしていくということだと思います。
【共同通信 斎藤記者】関連でお伺いしますが、昨日の外務省の発表資料によれば、岡田大臣は、日本の主権的権利が損なわれた、妨害行為だということで抗議をされたと、このようにあったと思います。ここで分かり易く、大臣が仰られた「損なわれた主権的権利」というものはどういうものなのか。今回の件が日本の国益をどのような形で損なっているのか、できればかみ砕いて、分かり易くご説明いただきたいと思います。
【大臣】中間線の東側ですから、日本の主張する排他的経済水域の範囲の中で日本が調査を行うということに対して、それを妨害するということは、日本の主権に対する侵害と言われても仕方がないことだと、私(大臣)は思います。
【琉球新報 滝本記者】普天間の件で、4日、総理が沖縄に行かれて、いろいろと政府の考えということを示されまして、いろいろと地元で反対の声も受けられました。その中でやはり「抑止力」ということが昨今言われていますが、その部分で大臣の認識を確認したいと思います。総理は、海兵隊の抑止力について、政権を取られて勉強をされる中で以前の認識と変わってきたというお話でした。「パッケージとして、沖縄に存在している米軍全体の中での海兵隊の役割を考えたときに、連携し、抑止力が維持できるという思いに至った」と最後のぶら下がりで仰っられていました。以前、岡田大臣にお伺いしたとき、「海兵隊の抑止力というのは、必ずしも沖縄にはなくてもいいのかもしれない」と仰られたと記憶しています。総理は、沖縄になぜいなければいけないのかというと、沖縄の米軍の全体、海、空を併せて、それのトータルの軍事バランスとして必要であるから、沖縄に置かなければいけない。だから、沖縄から離せないのだと仰られるのですが、その部分、私が認識している岡田大臣の以前の海兵隊抑止力論と少しずれがあるのかなと思ったりもするのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】総理がどのように言われたのか、私(大臣)は詳細を承知しておりませんので、その解釈をここでするつもりはありません。私(大臣)が申し上げたのは、沖縄という言い方はしないと、「日本に」というように申し上げた訳で、それは沖縄の負担軽減のために、基地の移設を議論しているときに、何か沖縄になければいけないということをあまり言うべきではないという私(大臣)の判断の中で、少なくとも「日本に」と申し上げた訳で、沖縄になくていいと言った訳では必ずしもありません。
【フリーランス 大川氏】私は海洋技術並びに造船技術の現場を取材しておりまして、沖縄の普天間基地移設問題で、やはりいつかは米軍が撤退するかと思うので、メガフロートという方法で、日本の新技術、優秀な技術を使って、メガフロートで4,000m級の基地をつくり、朝鮮有事には佐世保に移動し、そして、台湾有事の場合は沖縄の方に戻るという、要するに米軍が撤退した後のことも考えて、メガフロートという技術で基地を構築するというお考えはありますでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。
【大臣】あまり個別の話はしない方がいいと思います。今、何か具体的なことを総理も含めて申し上げている訳ではありませんので、そういう中でメガフロートとかがいいとか悪いとか、そういう話は私(大臣)は避けるべきだと思います。
【毎日新聞 野口記者】選挙のとき、総理の「最低でも県外に」といった発言がありましたが、先日4日に沖縄に行ったときはそうではなくて、抑止力の観点から「海兵隊は沖縄に必要だ」という認識を総理が示されましたが、そういった総理の海兵隊の抑止力を認識したという発言について、そういった変化したことについての大臣の評価はいかがでしょうか。
【大臣】総理の発言を評価するほど私(大臣)は偉くないので、特にそれについてコメントは申し上げません。ただ、率直なところを総理が仰ったのだと思います。
【共同通信 井上記者】先ほどの沖縄の海兵隊の部分なのですが、「沖縄になくていいと言ったのではない」と仰いましたが、これは沖縄に海兵隊が必要だとお考えになっていると捉えてよろしいでしょうか。
【大臣】今、まさしく政府の中で議論をしているところですから、私(大臣)の個人的意見を言わない方がいいと思って、慎重に言葉を選んで申し上げているところであります。ただ、私(大臣)がこの場で以前に申し上げたときに、「県外というのはあり得ないと思う」ということを申し上げた。そこににじみ出ているものは、お感じいただいていることだと思います。
【琉球新報 滝本記者】今、大臣が仰られたことが少し理解できなかったのですが、県外というのは難しいと以前に仰られたことで大臣の言いたいお気持ちというのは察することができるだろうというように仰られたのですね。ごめんなさい、その確認ではないのですが、ということは、詳細は今、立ち入りは避けるというふうなお話でしたけれども、なぜ沖縄になければならないのかということの議論で、総理とのお話し合いの中で、外務省として抑止力、或いは海兵隊の存在意義等ということについて、意見交換もされて、総理に外務省としての、或いは大臣としてのお考えをお伝えになられたり、そういうディスカッションはされてこられたという理解でよろしいでしょうか。
【大臣】そういうディスカッションをずっとしております。
【琉球新報 滝本記者】抑止力についても。
【大臣】はい。
【フリーランス 上出氏】国民の立場から見ると、新政権は当然、米国と真正面から向き合って、自民党とは違うものを出してくれると思っていたと思うのです。ところが、残念ながら、鳩山総理は今更ながら、「抑止力について、私も認識が浅かった」ということを言っておられる。このことについて、本当にきちんとした形で、5月末と限らなくても、多くの国民、特に沖縄県民は、新政権として何かの新しいメリットを出してほしいと、まだ米国の言いなりで、そういう状況を何とか脱したいと思っているのですが、その辺のご認識は個別にはあまりということですが、岡田大臣の率直なご認識をお聞かせいただきたいと思います。
国民向けにです。
【大臣】米国の言いなりとは全く思っておりません。そして、沖縄の負担を軽減するために、この間、総理も大変な努力を傾けておられますし、今もそのために努力しているとお考えいただきたいと思います。
【毎日新聞 野口記者】総理と仲井真知事の会談の中で、負担軽減について、仲井真知事が事件や騒音の減少だったり、日米地位協定の見直しだったりをやってほしいということを求めて、総理は負担軽減についてパッケージで解決したいということを仰っておりました。今、日米で実務者協議をやっておりますが、これは普天間の移設先についての具体的な詰めをやっているのと同時に、こういった負担軽減、地位協定だったり、騒音とか事件、事故をどうやってなくすかという負担軽減についても実務者協議の中では並行して議論はしているのでしょうか。
【大臣】具体的なことは申し上げられませんが、そういったことも含めて議論をしております。
【NHK 梶原記者】閣議後の会見で、亀井大臣ですけれども、「辺野古の海に戻ってくるというのはあり得ないではないか」という話をされています。福島大臣についても、「県内移設には反対だ」という声で、個別のこういう案について閣内から反対の声が上がるということで、閣内が混乱しているという印象を与えかねないと思うのですけれども、こうした状況について大臣はどのようにご認識されておられますか。
【大臣】もう少し、沖縄、或いは米国との話し合いが進み、そして1つの案として概ねまとまったところで、そういった連立与党との話ということは当然必要になると思います。まだ、そういう前の段階と認識していただきたいと思います。
【共同通信 比嘉記者】負担軽減の話ですけれども、総理は昨日も5月末までに解決すると仰っているのですが、5月末の時点で、沖縄の県民に対してどのような負担軽減をするので、これで納得をしてほしいというような具体的に形が見えるような負担軽減の案というのが示されるのでしょうか。
【大臣】当然そういうものは示されるということでないと、県民の皆さんのご理解をいただけないと思います。
【琉球新報 滝本記者】私自身混乱していて、多分、行ったり来たりの質問で申し訳ありません。また抑止力なのですが、沖縄でなければいけないのか、沖縄でなくてもいいという議論について、結局、今、総理のお話では、昨日は沖縄に残すと、沖縄にも負担を引き続きお願いしたいと仰られました。戻ってくるということについて、最低でも県外ということを全部出せなかったということは、やはり総理のお考えとして今ある訳です。なぜ、総理が言われた全部県外に出すということができなかったのかということについては、軍事的に海兵隊が沖縄にいなければいけないのかということなのか、それとも政治的に沖縄の外に出すことができなかったのか、つまり外の受け入れるところを探すことができなかったということから来ることなのか、その辺についてはいかがでしょうか。
【大臣】私(大臣)はいずれもだと思います。やはり沖縄の場所的な有意性といいますか、そういうものはやはりあると考えます。同時に移すということになると訓練所も含めて、まとめて移すということになると、今、それを受け入れるという自治体は、残念ながらないということです。その両面があると思います。
【NHK 梶原記者】5月末の決着の件ですが、社民党ですけれども、今月末の決着というものにこだわれば、修正案かそれを僅かに変更した案で決着する可能性が高まるということで、今月末の決着というものにこだわるべきではないということで、政府与党内で働きかけを強めていくという方針のようですけれども、こうしたことについてどのようにお考えになりますか。
【大臣】ただ、総理は5月末と仰っている訳ですから、それは内閣としては5月末、これを目指してやるということだと思います。
【共同通信 井上記者】総理が15日にも再び沖縄を訪問されるということで、平野官房長官はその時点で、移設案について提案が当然あるということを仰ったのですが、そうすると、それまでに連立与党との合意、それと、米国とのある程度の合意というものをした上で、その案を15日にも沖縄にもっていかれるということになるのでしょうか。
【大臣】まず、15日ということは確認しておりません。再度行かれるということは聞いておりますが、日にちまでは、私(大臣)は確認しておりませんので、それを留保した上で、先ほど説明したとおりです。ですから、米国、そして沖縄を始め、地元、その見通しが立ったところで連立与党に諮るということを、先ほどご説明したとおりであります。
【毎日新聞 野口記者】今、官邸の方で徳之島の3町長が来て総理と会談しております。まだ、どういう結果になっているかというのは連絡が入っていないのですけれども、いずれの町長も移設には反対している状況なのですけれども、どういった会談を、今、大臣として期待しておられますか。
【大臣】ちょっと愚問じゃないですか。今やっているので、終わったところでわかる訳ですから、あまりここでコメントしない方がいいと思いますけど。
【毎日新聞 西岡記者】北朝鮮情勢についてご質問します。金正日総書記が胡錦濤国家主席と会談を開いて、その中で六者会合について、関係各国とともに六者会合再開に有利な条件を作り出していきたいと表明しました。この発言に対する評価並びに中朝首脳会談を受けた日本側の今後の対応、更に、北朝鮮外交に対する大臣ご自身のお考えを改めてお聞かせいただければと思います。
【大臣】1回で1問ということですので、1問だけお答えしたいと思いますが、確かに今仰ったようなことは明らかにされております。六者会合について言及があったということは、私(大臣)はよかったと思います。ただ、現実に今、六者会合について前に進める状況かと言えば、それはやはり眼下の問題、つまり、韓国船の問題が明確にならないと、なかなか進める状況ではないと、客観的にそのように認識しております。
【共同通信 斎藤記者】補足の質問になりますが、韓国艦船の沈没事故の調査結果がまだ出ていないという状況の下で金正日総書記が北京を訪問し、中朝首脳会談を開いたという文脈だと理解しております。韓国国内では、もちろん結果は出ていませんが、ご案内のとおりで、北朝鮮関与説、これは国会の議論で政府は認めていませんが、国会の議論、或いはメディアの報道、北朝鮮関与についていろいろと取りざたされている訳で、李明博政権もかなり厳しい決断を迫られるというような見方もある訳です。こうした中で、金正日総書記が北京に行ったと、このタイミングで中国が北朝鮮を受け入れるということが、六者協議、或いは北東アジアの平和と安全に、本当に寄与するのかどうか。あるいはこのタイミングで中朝会談を開くということが、タイミングとしてどうなのかと、その辺の見方について、もし何かございましたら、大臣の率直なご見解を聞きたいと思います。
【大臣】中朝でどういう話し合いが、この韓国船の沈没に関して行なわれたのか、或いはそもそも行われなかったのか、そこは分かりませんので、軽々にコメントすることは控えたいと思いますが、こういうタイミングですから、韓国の中にさまざまな声が上がっているということは承知しております。そして、私(大臣)として、そういう声が上がるということは理解できることだと思っております。
【時事通信 水島記者】先ほど、韓国船の問題が明確にならないと六者協議を進める状況ではないと仰いましたが、これは恐らく韓国政府も同様の認識だと思うのですけれども、日米韓でこういうような認識で一致していると理解してよろしいのでしょうか。
【大臣】どういうやりとりをしているかということは申し上げられませんが、間もなく結果が出るのだと思います。その結果如何によっては、六者協議の話どころではないということにもなると思いますので、そういう意味で申し上げたところでございます。
【読売新聞 川崎記者】本日の読売新聞の朝刊で経済に関する提言というのを掲載させていただきました。特に外務省関係のところで申し上げますと、原子力発電所や新幹線などの海外インフラの受注、激しい国際競争のためには、公的金融や貿易保険の活用を含めた官民一体の新たな通商戦略を作るべきだと、或いはアジア各国とのEPA交渉を急ぐべきであるとか、そのほか、外務省以外のところでも企業の国際競争力の強化のためには、法人の実効税率を20%台にすべきである、もしくは日本経済全体のこととしまして、デフレ脱却に公共投資というのが必要であると、コンクリートも必要であるという提言もさせていただいているのですが、これにつきまして大臣のご見解があれば、お伺いできればと思います。
【大臣】EPAは、インドとのEPAについては、かなり進展が見られると私(大臣)は思いますし、先般のEUとの関係もかなり外交力を使って個別に説明をした結果、必ずしも十分ではありませんが、将来の協定交渉につながることが可能なお膳立てはできたと思っております。政権が代わって大きく変わったことの1つは、EPA全体の進展状況だと私(大臣)は思います。今までの政権の中で滞っていた、いろいろな交渉が動き出しているということは言えると思います。そういった動きを更に加速化させていきたいと考えております。原子力発電所や、或いは水プロジェクトでありますとか、新幹線とか、この連休中も閣僚が先頭に立ってさまざまな動きがありました。私(大臣)も南アフリカで原子力協定の締結交渉に入るということについて合意をしたところであります。それから、地上波デジタル、日本・ブラジル方式について、南米にはかなり広がってまいりましたが、アフリカにもその可能性はないかということで、南アフリカとも話をしたところであります。そういったことを、もう少しシステム化してやっていくということは非常に重要で、内閣として体制を整えるべきだと考えております。ただ、少し気を付けなければいけないのは、官民一体はいいのですが、やはり民間がリスクをある程度取ってやっていくということでないと、全部政府が負う訳にはいきません。或いは韓国で60年間、UAEの原発について保障したという話も流れております。真意は私(大臣)には分かりませんが。ベトナムでは、ロシアは、潜水艦とのパッケージで売り込んだという説もあります。そういうことは、日本はできない訳ですし、最終的にあまり無理をし過ぎると、最終的には納税者の全部負担になってくる話でありますので、そこのけじめというものをどうやって付けていくのかということも併せて考えていかないと、そのときの政権にとっては、これはいい話であっても、20年、30年と長い目で見たときに、国民が大きな負担を背負うということになってはいけない訳ですので、そういったところのバランスを取りながらやっていかなければいけないと思います。国際的にも、あまりそういう売り込み合戦になって、その結果、安全性が損なわれたり、或いはダンピング合戦になってもいけないので、ある程度の私(大臣)はルールというものが求められるのではないかと思っているところであります。
【読売新聞 川崎記者】読売新聞の経済に関する提言の件ですが、非常に多岐に亘っていますので、全体として大臣にご覧頂けたかどうかということもありますが、大臣として提言は評価できる内容なのかどうかということについて、コメントがあればお聞かせ願えれば幸いです。
【大臣】内容は多岐に亘っておりますので、個別に言うのは適当ではないと思いますが、いろいろなメディアがそれぞれそういった具体的な提案をお出しになるということは素晴らしいことだと、評価できることだと思っています。メディア同士でお互い提言を出して、それぞれについて議論しあうということも、私(大臣)はいろいろな政策論を組み立てていく上で大いなるプラスになると思っております。同時に世論にいろいろなことを理解していただくにあたって、具体的な政策を提言されるということは読者には伝わりますから、私(大臣)は、日本の政策を理解してもらう上でも背景理解という意味で非常に有用なことであると思っております。
【ジャパンタイムス 伊藤記者】ハーグ条約についてお伺いします。5日、米国の議会に日本がハーグ条約に早期加盟すること等を求める決議案が提出されました。この受け止めをお伺いできますでしょうか。
【大臣】決議案が出たということは承知しておりますが、議会のことですから、それに直接コメントすることは致しませんが、日本としては現実に今ある問題について、各国の大使館と協力しながら、問題の解決に向けて努力を行っているところです。それから、ハーグ条約そのものについても、その締結の可能性を真剣に検討しているという状況です。
【ジャパンタイムス 伊藤記者】この問題は、米国の議会でもかなり話題になっている問題なのですが、大臣は、日米関係について、この問題が影響するとお考えでしょうか。
【大臣】非常にこの問題が重要であるということは、私(大臣)は認識しております。クリントン米国務長官からも何度か提起をされたこともあります。だからこそ、今、真剣に検討を行っているということです。
そして、日本の母親や父親からも、自分の子供が連れ去られたという話も聞いておりますので、そういう意味で両面、日本としてある訳で、私(大臣)としては、早くハーグ条約の締結に向けて検討を急ぐべきだと考えております。ただ、いろいろな日本の司法制度との関わりもあります。かなり根本的な議論が必要になってまいりますので、そういったことを法務省等と連携しながらしっかりと話し合いを進めていきたいと思っております。
【日経新聞 山内記者】密約問題に関連して、文書の破棄疑惑についてお伺いします。調査委員会の立ち上げから約1ヶ月が経ちます。東郷元条約局長が資料などを引き継いだ相手としては谷内前次官の他に、藤崎駐米大使の名前を挙げられていますが、この聞き取り調査が終わったのかどうか、状況についてお伺いできればと思います。
【大臣】個別のことを申し上げるべきではないと思います。と言っても、新聞にいろいろ出たりするので、困ってしまうのですが、必要な調査は現在精力的に行っているところです。
【日経新聞 山内記者】この調査の公表の目処について、改めてお伺いしたいのですが。
【大臣】これがなかなか難しくて、まだパズルが上手く合わない、つながってこない状態です。とはいえ、あまり時間をかける訳にはいきませんので、精力的に作業を行っているところです。
【共同通信 斎藤記者】東シナ海のガス田開発の件ですが、先日、局長級協議が北京で行われたと聞いております。予てから大臣がハイレベルで議論しようというような話の延長線上で行われた協議だと理解しております。現時点では、進捗状況ですが、なかなか難しいという話も聞いておりますが、大臣、率直に今の状況をどのように受け止められているのか、そして、今最大の課題が何でどうクリアすべきか、ご見解をお伺いしたいと思います。
【大臣】局長級協議が始まったばかりですので、しっかりと局長間で議論してもらいたいと思います。この問題はなかなか正しく報じていただけないことも多いのですが、2つの問題がある訳です。白樺(春暁)、これは日本企業が、中国が開発しているそれに対して出資をするという話で、共同開発ではありません。そこがよく混同されているのです。北部については共同開発ということです。この2つの話があって、それぞれについて進めていこうとすれば、具体的な手続きのためのルールが必要ですから、そういうことについて早く話し合えるようにしなければいけないということです。まだ、残念ながら、入口で議論している状況だということであります。ただ、首脳間で合意したことですから、是非、私(大臣)としては、早くこの問題を前に進めたいと思っております。中国の温家宝首相もお見えになる訳ですから、或いは日中韓の首脳会談の中でも、バイの会談も行われると思いますので、なるべくそれまでに方向付けをすべきではないかと思っているところであります。ただ、相手のある話ですので、今まで随分時間もかかっていますから、なかなか動かない部分があることも事実です。
【共同通信 斎藤記者】今の大臣のお話はよく分かるのですが、正確にいえば、中国国内法に基づいて、日本企業が白樺の開発への出資をすることを、中国が歓迎するという内容だったと思います。それを、我々日本側のメディアは、狭義の共同開発というか、広い意味で一緒に開発をするという意味で報道してきたというのが経緯ではないかと思います。中国側はこれを「協力開発」と呼んでいるようですが、そこはそんなにこちらとしては、敏感に反応してなかったということかと思います。今の話ですと、日本の世論の受け止めが、かなり協議に影を投げかけているということでした。つまり、日本側の報道が、日本側の世論が、日本側の我々メディアの報道ぶり、理解の仕方が、巡り巡って中国側の世論に何らかの影響を与えて、そうした一連の状況がその協議の進展にマイナスな影響を与えているというような理解を中国側がしている、或いは、懸念しているということなのでしょうか。
【大臣】そこまで詳しく中国側が説明している訳ではないので、あまり想像でものを言わない方がいいと思います。ただ、やはり首脳間の合意の中で、「共同開発」と「出資」というものは明確に書き分けられているので、私(大臣)は、それを大きく括って「共同開発」だというのは、乱暴な言い方で、正確にきちんと国民に伝えるべきだと思っています。私(大臣)はここで言うのは3回目か4回目になると思いますが、2つがあるということを常に申し上げている訳であります。そういうことを報道していただければ、有り難いと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】ルイジアナ州で起きたメキシコ湾での原油流出事故についてお伺いします。原油が流出した海域は東京都の面積の5倍近くに達しているとも報じられ、同様のケースでは史上最悪の被害となる可能性があるとも言われております。オバマ米大統領は声明で「責任はBPにあり、対策の費用もBPが払う」と述べられてはいますが、外交面から環境の復元など、そういったことを見据えた技術協力の申し出などを行うお考えやご予定等はございますでしょうか。
【大臣】現在、具体的なことは特に考えておりません。まずは(流出を)止めなければいけないですね。そこのところは今、企業と米国政府が全力を挙げて取り組んでいます。オバマ大統領も現場まで行かれて演説もされている訳なので、そこは日本としては見守っているということだと思います。しかし、同時に何か日本で出来ることがあれば、例えば資材の供与等、或いはそういった技術が特に日本が優れているかどうか別にして、何かできることがあれば日本として支援したいという思いはあります。今のところ具体的な動きにはなっておりません。何れにしても、非常に大きな災害で、こういうことがアラスカのタンカー座礁以来で規模はそれよりもかなり大きいということで、海洋開発というのもかなり拡がってきましたので、そういったことについて、二重三重のロックをかけるということが必要なのではないか思います。そういう話し合いが国際的にも行われるべきではないかと私(大臣)は感じております。
【読売新聞 川崎記者】ミャンマーの件ですが、NLD(国民民主連盟)の解党が決まってしまったという状況の中で、大臣が仰った「開かれた公正な選挙に向けて今後とも働きかける」というのは具体的にどのような働きかけが可能であるのか、日本政府として何ができるのか、そこの辺りをもう少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。
【大臣】これは非常に悩ましいところです。そう打つ手がたくさんある訳ではないと、省内でも様々な議論をしておりますが、しかし、NLD(国民民主連盟)が解党したとしても、新たな政党ができるかもしれません。そういう動きも一部あるというようにも聞いております。それから、NLD(国民民主連盟)以外にその他の政党もない訳ではないという中で、ミャンマー政府には「今のままでは公正で開かれた選挙とはとても言えない」ということを我々は強調している訳ですが、考え方を変えるといいますか、開かれた公正な選挙が実現できるように、ミャンマー政府がそういう認識を持つように、様々に働きかけていくことだと思っております。ASEANの国々にもそれぞれ外交ルートで考え方を聞いたり、情報収集はかなり今進めております。キャンベル米国務次官補とも意見交換をして、なるべく共同歩調で前に進めていきたいと思っているところです。画期的な手がある訳ではないので、今のミャンマー政府が考え方を変えることを働きかけていくということが、唯一の道だろうと思います。
【読売新聞 川崎記者】補足ですが、このNLD解党を決めたことの一つに、代表である、アウン・サン・スー・チーさんの決断があったということだと思いますが、アウン・サン・スー・チーさんがこの総選挙に参加できるのかどうかが非常に不透明な状況にあると思いますが、逆にミャンマー政府だけではなくてアウン・サン・スー・チーさん側の方にも、何らかの形で、例えば新しい政党を作るなり何なりして総選挙に参加しても良いじゃないか等、そのような働きかけなどは考えられるのかどうかということについてお聞きします。
【大臣】我々が確認したところによると、アウン・サン・スー・チー女史は今のままでは選挙に参加できないというようにミャンマー政府は言っている訳です。もちろん選挙の時期によって変わる可能性はあります。我々としては、そういうことも含めてミャンマー政府に働きかけをしなければならないと思っておりますし、ご質問にお答えしますと、アウン・サン・スー・チー女史、或いはNLD側にも選挙に何らかの形で参加をしていくということについて、我々としての見解を伝えたいというように思っております。
【フリーランス 上出氏】20年前に私はアウン・サン・スー・チー女史が勝利した時の取材をした立場からですが、日本はこれまで、建設的関与ということを言っておられまして、米国とは違う立場をとった。今回は歩調を合わせてやっていくということですが、内政干渉という問題があるかと思います、軍事政権のやっていることに対しては世界的に怒りが起きているのですが、その辺りのアウン・サン・スー・チーさんへの具体的な働きかけも含めて、日本政府としてどこまでができることなのか、岡田大臣ご自身の認識としてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】先ず、米国との関係ですが、米国の政策はオバマ政権になって変わった訳です。関与政策というように、従来のようなとにかく制裁一辺倒ではなくて、関与していこうということになり、だからこそ、キャンベル米国務次官補がミャンマーを訪問した訳です。つまり、その結果として米国と日本の政策は、ほぼ同じ歩調がとれるようになったということです。どこまでできるかということは、もちろん主権国家でありますので、限界はありますが、我々は経済援助をしないとか、或いは本来する気はあるのだけれども簡単に再開できない等、そういったことはできますし、加えて公平公正な選挙というものがないと、国際社会として受け入れができなくなるというようなことは、説得するということですが、そういうことは当然可能になると思います。私(大臣)も外相と1月にFEALACで日本にお見えになった時に議論したときには、大分前向きの印象を受けました。日本でASEAN首脳会議が行われた時の相手側首相との会見はかなり堅かったのですが、1月の外相会談はかなりお互い理解しあえたと思っておりましたので、今回のこの決定はたいへん残念に思っております。ただ、話し合いの余地が全くない訳ではないと思っております。
【時事通信 水島記者】スーダンPKOについてお伺いします。外務、防衛と内閣府で調査団を送ることになるようですが、実際に部隊を派遣する可能性についてと、今こういうことを検討する意義について大臣のお考えをお願いします。
【大臣】担当者が7日から出張予定ということですが、あまり発表しないことになっていたのに、どうしてこういうことが出てしまうのか分からないのですが、現地をよく調査をして、どういうニーズがあるのかということの把握をするという目的で行く訳です。その報告を聞いて、政府としてどうすべきかということを判断していきたいと思います。一般論として言えば、PKO活動については積極的に関わっていくべきだと思っております。候補はこれだけではありません。他にもいくつかありますので、その中で日本が行くのにどこが相応しいかということを判断していきたいと思っているところです。