(1)佐世保市訪問
【岡田大臣】私(大臣)から何点か申し上げたいと思います。
まず、先週の土曜日に佐世保市を訪問いたしました。佐世保市では、市長、市議会議長とお会いをし、例の密約の問題の経緯など説明するとともに、今日まで非常に不誠実な説明を政府は行ってきたということに対して、おわびを申し上げたところであります。
本日の閣議の後の懇談会の場を利用いたしまして、詳細は省きますが、私(大臣)の方で2週間前には横須賀を、そして今回は佐世保を訪れたこと、3月9日の外務省或いは有識者による調査結果について、特に米軍艦船が前方展開しているこの両市においては、関心と心配を招いたといったことで説明に行ったということをお話しさせていただきました。
その際、米軍基地を受け入れていることから生ずるさまざまな負担について、これは外務省だけではなくて政府全体として十分理解してもらいたいというお話が両市長からありましたので、具体的なことは省略したいと思いますが、各省にわたるさまざまな要望が出ていたということを、もう少し具体的に各閣僚にその場を利用してお願いをしたところでございます。
横須賀や佐世保が置かれている状況には、重要な米国施設区域を抱えるという特別な事情があるということも事実なので、できるだけこのような事実にもご配慮いただきたいということで、各大臣にお願いを申し上げたところであります。
(2)ゴールデンウィーク中の海外出張について
【大臣】2番目ですが、私(大臣)自身の連休中の海外出張につきまして、既に国会などでは盛んに取り上げられておりますが、4月28日(水)、明日の夜から5月5日にかけて、実質7日間、形式的には8日間ということになりますが、南アフリカ及びタンザニアを訪問するということにしております。
南アフリカはアフリカの大国であり、近年、G20のメンバーとして、国際社会の重要な役割を果たしつつあるということでございます。南アフリカとの間では、さまざまなレベルでありますが、二国間対話ということも毎年行ってきておりまして、今回、私(大臣)が行くことで二国間対話もあわせて行いたいと考えているところであります。
タンザニアでは、第2回TICAD閣僚級フォローアップ会合に出席し、共同議長を務めます。新政権の下での初めてのTICAD会合であり、我が国としてTICADⅣの公約を確実に履行していくとの決意を表明する考えであります。また、アフリカの経済成長、MDGsの達成、気候変動などについて議論し、来月以降開催されるG8、G20などの重要国際会議に向けて、議論の成果をアフリカの声としてとりまとめ、力強いメッセージを発信していきたいと考えております。
会議の合間を縫って、アフリカのできるだけ多くの外相たちと二国間会談を行い、またODA、アフリカ支援の現場にも行き、しっかりと視察も行いたいと思っているところでございます。
そして、政務レベル全体でのゴールデンウィークの出張についても、申し上げておきたいと思います。気候変動問題、安保理改革といったテーマについて働きかけを行うということで、武正副大臣がカリブ、中南米諸国に、西村政務官がもう既に出発をしておりますが、ブータン及び太平洋島嶼国を訪問いたします。 なお、武正副大臣は、コスタリカでは大統領就任式に出席をし、西村政務官はブータンで開催される南アジア地域協力連合の首脳会議に出席するということであります。なかなかふだん政務レベルで行くことがかなわないといった所を集中的に、今回中米・カリブを武正副大臣が、そして南アジア、特にブータンで首脳、外務大臣が集まりますので、ブータン及び太平洋の島嶼諸国を西村政務官がということで手分けをして行います。
福山副大臣は中国と米国を訪問し、特に今、中国は上海万博の関連式典でありますが、米国ではNPT運用検討会議に出席の予定であります。
吉良大臣政務官はもう十分に南米などに行っておりますので、今回は危機管理の観点から国内で他の三役の留守を守っていただくということにいたしました。
このゴールデンウィーク、内閣官房の方針もありまして、海外に行かれる予定の閣僚、政務三役に対して、戦略的な見地から、気候変動問題での連携強化や資源エネルギー分野での開発協力、インフラ分野への日本企業の投資促進などのテーマについて、各大臣に、あるいは政務三役にそれぞれの訪問国で効果的な働きかけを行っていただくよう依頼し、必要な情報提供などしかるべくインプットを行ってまいる所存でございます。
(3)経済連携協定に関する打ち合わせについて
【大臣】包括的な経済連携協定に関する打ち合わせであります。今日、閣議の前に関係大臣が集まりました。仙谷国家戦略担当大臣、外務大臣、財務大臣、農水大臣、経産大臣ということで意見交換を行ったところであります。
今後、仙谷大臣の方でも発表されたわけでありますが、経済連携協定については国家戦略として展開するという位置づけの下で、内閣の重要政策として政府一体となって取り組む必要がある。そういう観点から、本件に関する内閣官房としての総合調整については、仙谷大臣にお願いすることにいたしました。これは鳩山総理の発言です。
対外関係については、私(大臣)を中心に仙谷大臣を含む関係各大臣が従来どおり協力して取組んでいただくということにしたところでございます。仙谷大臣とは協力をしながら、経済連携協定について力強い歩みをスタートさせたいと思っているところでございます。
なお、具体的な個々の現状についてもいろいろ意見交換を行いましたが、特に日韓、日・EUなどについては、明日、日・EU首脳会議も行われます。そこで何とか前に進めたいと思っているところでございます。日韓については、来月半ばに日中韓の外相会談、後半に日中韓の首脳会談が予定されております。その折に、日韓間で外相レベル、或いは首脳レベルで日韓FTAについて少しでも前進ができるようにしっかりと議論したいということで、今日もいろいろ意見交換を行ったところでございます。
【テレビ東京 柳川記者】先ほど検察審査会が小沢幹事長のことを起訴相当ということで議決いたしましたが、これについての大臣の受け止めをお願いいたします。
【大臣】これは検察審査会の判断ですので、私(大臣)はそれに対して何か具体的なコメントをすることは避けたいと、検察審査会としてのご判断が示されたということだと思います。それに特にコメントはいたしません。
【フリーランス 小山氏】小沢幹事長はこの間、600人の方を連れて訪中されました。しかし、この10年間、ワシントンに1度も行っていないわけです。これはバランス感覚が欠如しているのではないかと思うのですが。
【大臣】小沢幹事長がワシントンに行かれたかどうかということは、私(大臣)は存じませんけれども、いずれにしてもそれは小沢幹事長のことですから、私(大臣)が何かコメントすることではないと思います。
【読売新聞 川崎記者】先ほど大臣は、検察審査会の判断なので、それに関してはコメントをしないということですが、検察審査会の判断そのものではなくて、この判断が政権運営全体に与える影響については、所感、ご感想はございますでしょうか。あればお聞かせください。
【大臣】まず、検察審査会の今回の判断ですが、それは小沢幹事長ご本人がコメントされるべきことで、私(大臣)がコメントすることではないと思います。これがどういう影響を及ぼすかということはいろいろな議論があり得ると思いますけれども、起訴相当ということが2回なされれば、それは実際の法的効果が発生するわけですが、まだ1度ということでありますので、今の段階で何か影響を及ぼすとは、私(大臣)は必ずしも受け止めておりません。それ以上のコメントは控えたいと思います。
【琉球新報 滝本記者】抑止力に関して、本日の委員会で大臣は、テニアン、サイパンの議会でも誘致決議があったということに関連しての山内徳信議員の質問に対して、「『国外に』ということについては軽々には言えない。米軍の存在は国民の生命と財産を守っている。日本に基地は必要だ。どこに置くのが一番いいのかを議論している」と仰られましたけれども、以前からの抑止力の議論で、海兵隊の抑止力ということについてはどのように機能しているのかということについて、海兵隊についてはどういうようにお考えになっておられるのでしょうか。
【大臣】海兵隊というのは最も即応力があるというか、佐世保でも揚陸艦「エセックス」の中を視察する機会もありましたが、一つはさまざまな災害時、例えばインドネシアでの津波のときにも、或いは台湾とか、さまざまな災害時に海兵隊は現場に行き、そこで活動を行っております。物資の支援、或いは揚陸艦の中にある病院施設を利用して、患者の手当も行うことができるということで、この東アジア地域といいますか、西太平洋といいますか、そういった地域において、この海兵隊があることがそういった緊急時における役割を果たしているということは、一つ言えると思います。
もう一つは、海兵隊が日本にいるということがさまざまな紛争が生じることに対して、抑止しているということが言えると思います。勿論、自衛隊というのもありますけれども、自衛隊というのは限られた範囲で、しかも能力的にも限られた能力に憲法上なっているわけですから、それを補完するものとして、海兵隊というものが現時点において、私(大臣)は日本の国民の生命と財産を守るために、あるいは地域の安定のために必要であると考えております。
【琉球新報 滝本記者】関連してですが、今、海兵隊で大臣のおっしゃられた内容というのは、外に出る能力のような即応体制という形だと思うのですが、それがなぜ日本の防衛という、東アジアの安定ということにもなるのでしょうけれども、日本にいなければいけないのかということ。つまり日本にいるとこういう役割があるということは理解しますけれども、逆になぜ日本にいなければいけないのかということのご説明としては、どういうようにお考えですか。
【大臣】グアムに移転したらどうかとか、あるいはサイパンにという議論があることは承知していますけれども、それはかなり遠くなるということは事実だと思います。
【フリーランス 岩上氏】今の抑止力関連の議論に関して、関連の質問をさせていただきます。米側はグアムへ戦力を集結したいという意向を持っていると一部伝えられています。先週、宜野湾市の伊波市長が東京に上京されて講演会がありまして、非常に詳しく、今までの研究及び最新の情報も加えた講演をされたのですけれども、それを拝聴していまして、米側の司令官の直接のインタビューも含めて、グアムに移転すべき理由として2つあります。
1つは、合同演習が日本国内にあった場合にはできない。少なくとも主要同盟国、韓国、日本、タイ、フィリピン、オーストラリア、米国の合同演習は、日本国内においては他国の軍隊が入ることを許容しないのでできない、しづらい。そこで中心点をグアムに移転させる。
あと日本の沖縄においては、環境問題や人権問題等々の制約が非常に増えたとので、思い切った演習ができない、しづらい。こういうことで中心をグアムに持っていって、ローテーション基地だけ沖縄にあるような状態の方が望ましいということをおっしゃっていました。
これについて、大臣は海兵隊が日本にあることが望ましいとおっしゃっていますけれども、それはローテーション基地のことを指していいのか、それとも主力がそのまま駐屯することを指しているのか。また、米側の見解についてどういう思われるのか、お聞かせいただきたいと思います。
【大臣】8,000人のグアムの移転の中で司令部機能、それに付随するものがグアムに移転することは事実であります。ただ、伊波市長はいろいろと言われますが、それは米側は正式に認めていません。伊波市長が会われた方がそのように仰ったという説明だと思いますけれども、正式に認めているものではありません。
そもそも伊波市長は沖縄にいる海兵隊全体をグアムに移すということが米国政府の方針であるかのごときに言われるわけですが、それは根拠のあることではないと私(大臣)は思いますし、そもそもグアム自身が全員が来るということは無理だと、8,000人が限界だということを明確に言われているわけですから、私(大臣)は理解に苦しむところであります。
合同演習がグアムにおいてやりやすいという面はあるかもしれません。ですから、グアムで行っているということです。そのことが沖縄の海兵隊を否定することにはならないと思います。
【週刊金曜日 伊田記者】仮に今後、普天間を早期返還して、代替施設を求めないというような意向が示された場合、岡田大臣の方としては、海兵隊が日本にいてもらわないと困るんだというような要望をされるという理解でよろしいでしょうか。
【大臣】これは私(大臣)だけではなくて、日本政府としてはそういう考え方だと思っております。
【ビデオニュース 神保記者】逆に米国との交渉の中で、先ほど説明のあった伊波市長の主張しているような、グアムに全部移すということではないのだというような説明というのは、大臣は受けておられますか。つまり海兵隊をグアムに全部移すのではないのだと、これこれこれだけ残すために必要なのだというような説明を、米国からは受けておられるのでしょうか。
【大臣】日米合意案というのは、そういうことを前提につくられているということであります。
【ビデオニュース 神保記者】それは現時点でも変わっていないということですか。
【大臣】我々は日米合意案を前提にしているわけではありませんが、米国側のそういうスタンスは変わっていないということであります。
【毎日新聞 野口記者】今日の午前中の委員会の中で、キャンベル次官補のインタビューで、日本側から真剣な検討があったというような報道について、大臣は事実ではないというような答弁をしておりましたが、これから日米で交渉するに当たって、日本側から提案がない中で大臣が1週間外遊してしまって、事務方でもなかなか協議が進められないと思うのですけれども、日本側からの提案というのは、いつどういった段階で行うのか。それとも日本側から提案をされているのではなくて、米国側から既に辺野古の修正案に近いようなものが提案されているのかどうか。
【大臣】想像でものを言われない方がいいと思いますけれども、基本的にここは記者会見の場ですから、やはり根拠のあることで議論をした方がいいと思います。今いろいろな意見のやり取りを行っていますけれども、報じられたようなことはございません。
【時事通信 高橋記者】現行計画、あるいは現行計画の修正に関してお聞きしたいと思いますが、米国側は現行案が好ましいということを今まで言ってきていると同時に、この間のゲイツ長官との会談でも、地元との合意が重要だということも同時に米国側は言っているわけですが、その地元に関しては名護の稲嶺市長は日曜日の集会で、辺野古の陸にも海にも新しい基地はつくらせないという意思表示をはっきりおっしゃっております。現行計画の修正案を押し切るということは、地元の合意を求める米国側の意向と名護市の意向と二重に反することになると思うのですけれども、それでも日本政府は名護の修正案は選択肢として残すのでしょうか。
【大臣】いろいろな議論がありますけれども、それは途中の経過でありますので、最終的には地元が受入れ可能なものということにはなると。そうでなければならないとは思っております。具体的にそれはどこであるかということは、今、申し上げるつもりはございません。
【共同通信 井上記者】本日、キャンベル次官補が来日され、国務省の方では普天間問題についても協議すると発表していまして、ワシントンでは審議官級協議があり、そこでも普天間問題が話し合われたようですけれども、今後の普天間問題をめぐる日米協議のスケジュール感、5月末まで余り期間がありませんが、本日、鳩山総理は政府内の政府案に関する最終的な詰めを行いたいとおっしゃっていますが、対米交渉でのペースについて、どういうスケジュール感を持っていらっしゃるかを教えてください。
【大臣】まず、キャンベル次官補が来るというのは、本来これは普天間の問題で来るのではなくて、日米安保50年に関連してさまざまな議論を行うということが中心であります。恐らく、それ以外にイランの問題とかミャンマーの問題もあるのではないかと予想しておりますけれども、そういう中でこの普天間の問題というのは、話題にはなるだろうと私(大臣)は思いますが、彼のレベルでどのくらいの新しい話があるのかということについては、私(大臣)は必ずしもそれがメインになるとは認識をしておりません。
国内の問題も関係閣僚が集まり、さまざまな意見交換を断続的に行ったり、あるいは個別にやったりしているところであります。5月末まで余り時間がない中で、しっかりと対応していく必要がある。具体的なスケジュールについては、申し上げるべきではないと思っております。
【フリーランス 上出氏】今、日米安保50年という話が出ました。今更ながらの質問かもしれませんが、今回の迷走とも言われているような事態の根本的な日米安保が一体どうあるべきなのか。本当に根本的に見直して、そこから議論を始めるということが、本当は新政権になったときのプロセスとして、当然あるだろうなと思われたのですが、何回か前の記者会見で岡田大臣は、「日本人は米国の抑止力に頼っているという世論だ」という前提で話されたと思ったのですが、要するにいつの時点かになった場合、そういう根本的に話し合う機会があるのか。それとも、このようになし崩しに普天間で迷走してしまうというような、こういう事態は大変悲しいことだと思います。やはり国民の合意というか、きちんと根本的に日米安保がどうして必要なのかという辺りは、どういう形になるかわかりませんが、そういう議論が必要だと思いますが、それがないまま来てしまったということに対して、どう思われますでしょうか。
【大臣】それを話すなら、まず国内で話さなければいけません。日本が自ら自立して自分の力で国を守っていくのか、そのために防御力を或いは軍事力をどのように持つのか、もし選択をするならそういう議論を、まず、国内で行わなければなりません。私(大臣)はそういう必要はないと、日米同盟の中でやっていくべきだと、一部は米国の抑止力に依存しながら。しかし、それは一方的な依存ではなくて、日米同盟というのは、私(大臣)は双方向性だと思っておりますので、そういう形でやっていく。それは議論の前提だと考えております。日本の中で、日米安保を離れて自立してやっていくべきだという議論がそうたくさんあるとは思っておりませんし、我々も選挙でそういうことは訴えておりません。したがって、日米同盟ということを前提にしながら議論を日米間で、日米同盟を深めるための議論を、今、並行して行っているところであります。
【共同通信 西野記者】普天間問題に関して、閣僚間、或いは総理も含めて断続的に協議しているということですが、5月末決着ということに関して、かなり時間的な、もう時間がないという危機感というものは、閣僚の中で共有されているのでしょうか。
【大臣】基本的に共有していると考えております。ですから、真剣に、ここ1、2か月、必要な範囲で個別にやったり、会ったりしながら、お互いの共通認識を持って対応しているということであります。
【フリーランス 岩上氏】海兵隊の抑止力の問題にちょっと戻させてご質問させていただきたいと思うのですけれども、先ほど海兵隊の抑止力はどうして必要なのか、どのように機能するのかという滝本さんの質問に大臣はお答えになりましたが、ややあいまいな感じがまだいたします。もう少し具体的にお聞きしたいのですが、やはり尖閣諸島、或いは南西諸島に対する中国の脅威という問題があります。現実に抑止力と言ったときに、核戦力における抑止力と通常兵器の通常紛争における抑止力とあると思うのですけれども、核の問題はこの場合は関係ないと思いますが、海兵隊ということになると、これは島嶼防衛の話になってくるとすると、尖閣に仮に中国の間で領有をめぐって紛争になったときに、米軍は海兵隊を出して、そして日本側について中国側の戦力を追い払うという行動に具体的に出てくれるという保証はあるというようにお考えでしょうか。
【大臣】具体的なことをお話しすべきではないと、私(大臣)は思います。しかし、海兵隊の存在というのが、例えば、いざ何か有事の時に邦人の救出等、そういったことも含めて、海兵隊に依存する部分というのは、私(大臣)はあると思います。そもそも今言ったような海兵隊の存在がさまざまな紛争を抑止しているという事実は、これは、私(大臣)は多くの方がお認めになることではないかと思います。特に朝鮮半島情勢とか、或いは中国を始めとするアジアの国々の軍事力の強化ということを考えたときに、それを現在の自衛隊だけで適正に対応できるかというと、それは限界があるということは多くの方がそう思っておられるのではないかと思います。
【フリーランス 岩上氏】関連してご質問させていただきます。そうしますと、直接的な安保になるのか、それとも間接的な抑止力ということになるのかという問題が残ります。以前にここで、日米安保と日米同盟というのは違うというお話、それで大臣が私は日米同盟という言葉をきちんと使っているのだと仰られて、では、安保と同盟の定義について、それはどうなのかということを少ししつこく質問させていただいたことがありました。この問題は、安保と同盟の問題につながってくると思います。直接的な抑止力ということだったら日米安保の範囲内で、もし、中国なり他国が日本の領土、領海に侵略してくることがあったら、それを出して、米国は出動してくれるという保証が日米安保になるのでしょうけれども、そうではないというのであれば、また詳しく国民にちゃんとご説明いただきたいのですが、日米同盟ということになると、米国の国際戦略、例えばはるか遠くの中東で米国が出動するに際して、日本側がそれに協力することということになっているわけで、直接的な日本に対する防衛ではない。もし、日米同盟が必要ということであれば、海兵隊は、本来、例えば日本を直接守ることではないけれども、例えば中東等に出撃するに際して基地を提供する。その見返りとして日本を守るであろうという話になるのだろうと思うのですが、この直接か間接かという話、非常に、今、混同して使われているように思われます。整理してご説明していただけるとありがたいと思います。
【大臣】議論の前提がよくわかりませんが、日米安保というのは日本を守るためだというのは違うと思います。日米安保条約そのものを見ても、日本及び極東ということが範囲になっておりまして、日本だけではありません。そして、日米同盟と日米安保の違いというのは、私(大臣)が整理しておりますのは、やはり安全保障に関してのものは日米安保でありまして、日米同盟ということになりますともう少し幅広くなるということです。例えば地球温暖化問題の対応とか、外交とか、ミャンマーの民主化とか、そういうものも含めて同盟ということの中で対応していくということだと思っております。
【琉球新報 滝本記者】先ほど大臣がお答えされた中で、海兵隊の存在というのは、例えば、いざ有事の時に邦人救出ということも依存することもあろうかと思うと仰っられたのですが、これはどこの邦人を救出する、具体的にどこというのがそもそも議論ではないというお話でしたけれども、日本国内の邦人ではなくて、日本国外の邦人を救出するということもというイメージなのでしょうか。
【大臣】それもあると思います。周辺事態の場合です。
【琉球新報 滝本記者】その場合、それは海兵隊が出るのですか。日本の周辺事態法による、日本が出ていくということではなくて。
【大臣】それはいずれもあり得るということです。日本の自衛隊は周辺事態法という法律の枠の中でしか行動ができません。しかし、それでカバーできない場合というのはあるというように思います。いろんなハード・ソフトを考えても日本では対応できない場合というのはあると思います。
【琉球新報 滝本記者】それは期待できるのですか。
【大臣】それは同盟だと思います。
【NHK 梶原記者】これまで普天間問題について、ゼロベースで検討されているということでしたけれども、今の段階でこれまでの現行案、あるいは修正案というものがあるかどうかわかりませんけれども、これもゼロベースの中に入っているのか。
あと、これまで政府内で検討されている案というのは、現行案よりも実現可能性が高いというようにされていましたけれども、この説明は変わりないのでしょうか。
【大臣】説明は変わりありません。具体的なことは申し上げません。
【共同通信 西野記者】先ほどのスピード感の話の続きなのですが、大臣は、明日から外遊なさって、5日に戻ってこられると。その後は土日もあるのですけれども、戻っておいでになれば、本格的な詰めの協議が断続的にどんどん進んでいくと、日米間で普天間問題に関する協議が加速化していくと見ていてもいいのでしょうか。
【大臣】それはこれからのことですから、私(大臣)が何か具体的なことを申し上げるべきではないと思います。ただ、私(大臣)が日本にいなくてもきちんと対応できるだけの準備は大臣として行っております。
【共同通信 西野記者】そういった指示を担当者にしているということですか。
【大臣】具体的なことは申し上げません。
【朝日新聞 鵜飼記者】普天間の移設先なのですけれども、大臣が就任直後に、現行計画の検証を始められたときに、現行計画にかかる公費の高さの問題というのが指摘されていたと思います。4,000億円かかるというのを問題視されていたと思いますけれども、今回ゼロベースで検討されているという中で、現行計画以上のお金のかかるような案というのは、検討の対象になり得るのでしょうか。
【大臣】現行計画が一体幾らでできるのかということを私(大臣)は問題にしたと思います。言われているような金額には収まらないのではないかということを申し上げたと思います。いずれにしても、もちろん、必要以上の公費をかけるというのは、国民の税金ですから、それは避けるべきだと思います。
しかし、同時に普天間の危険性の除去ということが大きな国の目的であるということであれば、国民の皆さんの納得していただく範囲で税金を使わせていただくということはやむを得ないと思います。
【フリーランス 小山氏】報道されているような事実はないと仰いましたけれども、いろんな報道がなされておりますが、どちらの報道を指しているのでしょうか。ワシントン・ポストの報道でございますか、ポストは、確かに間違っている点はありましたけれども、合っている点もあるわけで、それを一緒くたにして間違っていると、事実はないとおっしゃると、ちょっと誤解を生じると思うのですが、報道されているような事実はないというのは、辺野古には行かないと、移転しないという意味で仰っているのですか。
【大臣】ワシントン・ポストといっても幾つか記事がありますので、これはどうかと聞いていただければ、私(大臣)は返事をいたします。
【フリーランス 小山氏】この間、辺野古のことを書いた記事です。問題になった、辺野古の前の案の方に戻るという記事です。
【大臣】あの記事全体に対しての私(大臣)の評価は、事実ではないということであります。それ以上のことは申し上げません。
【週刊金曜日 伊田記者】キャンベル次官補の話に戻させてください。米国が今一番重視されているのはテロとの戦いだと思いますが、この点についても話が出るのかどうか。それから、先ほど大臣はイランの問題も出るだろうと言われたのですけれども、これは日本の対イラン政策についても変更があり得るということでしょうか。
【大臣】テロとの戦いという言葉を、今のオバマ政権が使っているかどうかということは、私(大臣)は必ずしもはっきりいたしません。少なくとも日米関係、私(大臣)もこの間、国務長官、或いは国防長官と何度か議論してまいりましたが、テロとの戦いという単語で議論したことはございません。それが今回話題になるというようには、私(大臣)は予想しておりません。いずれにしても、私(大臣)が出るわけではありませんので、会談は局長クラスで行いますので、それ以上私(大臣)自身は把握をしておりません。それから、イランの問題は、もちろん、私(大臣)が前回ニューヨークに行った折にも、ライス大使との間でも議論になったわけで、これは引き続き米国の大きな関心事項であるというに思っております。
【読売新聞 石川記者】ちょっと重複してしまって申し訳ないのですが、スケジュール感についてなのですけれども、5月末まで時間がないと大臣ご自身も仰っておりますが、8日間アフリカに訪問されて、40日余りしかない中で、8日間いらっしゃらないというのは、影響が大きいのではないかと思うのですけれども、その影響についてどうお考えでしょうか。
【大臣】正確にはほぼ7日間です。明日の夜に発ちますので。いずれにしても、それは支障が出ないようにきちんと私(大臣)としては対応しております。もちろん、必要があれば、現場と連絡を取るということにしたいと思います。
【NHK 別府記者】本日、国会でもキャンベル次官補の発言の話がありましたが、報道ベースに対する発言ではありますが、「日本側の行動に勇気づけられてる」等、いろいろ論評をしているのですが、逆に大臣から見て、米側の姿勢に勇気づけられるというように感じられる場面というのは出てきておりますでしょうか。
【大臣】それにはコメントしませんが、私(大臣)はキャンベル次官補の発言というものは理解に苦しみます。適切な発言ではないと思っております。
【共同通信 井上記者】今仰った、キャンベル次官補の発言が適切でないと、理解できないというのはどの部分について、そう仰っているのでしょうか。
【大臣】どの部分というのは申し上げません。今回報道された朝日新聞とのインタビューについて、私(大臣)はコメントをいたしました。
【共同通信 井上記者】それは、日本政府から提案があったと、そういう部分について仰っているのでしょうか。
【大臣】どの部分というのは申し上げません。
【琉球新聞 滝本記者】キャンベル次官補の発言についてですが、米側に、「報道でキャンベル次官補の発言がこのように出ているけれども、どういうことなのか」と真意をただすというか、どのような発言でこうなったのかという照会をかけられていらっしゃるのでしょうか。それで回答はきているのでしょうか。
【大臣】日本に来られますから、その時に確認すればいいと思います。
【時事通信 高橋記者】先週の土曜日の鳩山総理の現行計画について、「自然への冒涜である」という発言についてお伺いします。この発言は非常に重いと思います。これほどはっきり現行案について否定的なことを仰ったのは、強いトーンで仰ったのも初めてだと思いますが、この考え方は、本日の国会でも今浮上している「杭打ち桟橋方式」というものも議論されていましたが、単に埋め立てを否定するということなのか、それとも、そういう埋め立てであろうと他の方式であろうと、大規模な自然破壊につながるものはやらないという鳩山政権の方針を示したものなのか、「自然への冒涜」につながるものはやらない方向で臨むということなのでしょうか。その辺りを確認したいと思います。
【大臣】これは、総理がご発言になったものですので、私(大臣)が中身を説明する立場にありません。必要があれば総理にお聞きいただきたいと思います。
【朝日新聞 鵜飼記者】キャンベル次官補のインタビューは弊社のインタビューですので、もう少しお聞きしたいのですが、大臣の仰っている「理解に苦しむ」というのは、事実と違うことを仰っているので理解に苦しむということなのか、このタイミングでこういう発言をされて交渉に何らかのインパクトがあるという意味で表に出されたことに対しての理解に苦しむということなのか、どのような趣旨の理解に苦しむという
意味でしょうか。
【大臣】説明はいたしません。
【フリーランス 上出氏】基本的な問題にたち戻りますが、岩上さんが仰ったこと、たいへん重要だと思います。既にお答えになられているかもしれませんが、多くの識者が1996年の日米共同宣言で日米安保は変質したということを言われております。米国の世界戦略にしたがって自由に行動できるようになったという解釈もあります、米国のためなら、どうして沖縄にいるのだということが、今回の沖縄や徳之島でのそういう背景にもあると思いますが、変質ということについて、今改めて岡田大臣はどのような認識でございますか。
【大臣】この問題はこの折りに、私(大臣)も国会で何度か質問をしておりますので、ご覧いただければと思います。ただ基本的には現状を追認したというように思います。日米安保条約というのは、基地の提供と日本及び極東を対象にするということですが、そういった日米安保条約に基づいて基地の提供を受けている米軍ですが、その米軍の行動範囲ということまでも規定したものではありません。日本にいる米軍が、必ずしも日米安保条約に基づくことのみしかできないということではありません。そういったことを追認したと私(大臣)は受け止めております。
【共同通信 井上記者】二点お伺いします。普天間で実務者協議ですが、総理が本日、明確に「実務者協議はまだ始まっていない」と仰ったのですが、そうすると5月末までの決着の期限までに実務者協議というものが始まるのかどうか。もう一点は同盟深化協議について、上半期に中間報告をやって、2+2をやりたいというお話でしたが、その目標は変わっていないのか、見通しがどうかということについてお聞かせ下さい。
【大臣】実務者協議なるものが何かということもあるかと思います。いろいろなレベルでさまざまな意見交換ということはあり得る話ですので、何か実務者というのを作って、そこでのみ議論していくということではないと思います。いろいろなレベルがありますので、それぞれで分担して議論していくということではないかと思っております。それ以上のことは少しご容赦いただきたいと思います。同盟深化についての議論は現在やっている訳です。今、ワシントンに外務省の職員も行っています。閣僚レベルというのは、普天間問題の方向性がきちんと定まらないと、閣僚同士で集まって同盟深化の話だけするという訳にはいかないだろうと思います。なるべく早く行いたいと思いますが、物事には優先順位があって、今、実務レベルで同盟深化の議論はやっている訳ですが、閣僚レベルということになれば、目の前の問題についてのきちんとした答えを出すということが必要だと思います。
【共同通信 西野記者】本日、院内で次官等も一緒に総理とお会いになったと思いますが、その中でも普天間の問題について「5月末に向けて頑張っていこう」ということを確認されたと理解してよろしいでしょうか。
【大臣】中身はお話できません。ただ、私(大臣)もしばらく日本を空けますので、いろいろな打ち合わせを行ったと理解していただければと思います。
【週刊金曜日 伊田記者】普天間に関係して、沖縄県民の感情の問題についてお聞きしたいと思います。冒頭で佐世保を訪問されて、閣議後の懇談で横須賀、佐世保両市において関心と心配をしていることについて、閣僚の方々にお願いしたということですが、密約の問題でいえば沖縄も入る訳ですが、このタイミングで沖縄を訪問すると痛くもない腹を探られるといろいろあって行きづらいと思います。もちろん横須賀、佐世保を訪れたのは重要なことだと思いますが、ここで沖縄の方々について言及がなかったことについて、沖縄の人々の受け止めは複雑だと思いますが、改めてご発言があればお聞かせ下さい。
【大臣】現在、これだけ普天間の移設の問題が議論になっておりますので、(沖縄に)行けばそういう話に当然なる訳です。12月までは私(大臣)は行くことは厭わなかったのですが、役割分担をしてやっていこうということになりましたので、残念ながら、今回は控えさせていただいたということであります。
【琉球新報 滝本記者】米艦船が入るところということで、横須賀、佐世保に行かれた訳ですが、当然ご存知のように「ホワイト・ビーチ」が沖縄にある訳で、そこのうるま市という地元に対しては、今のタイミングでということは避けたというお話ですが、今のタイミングということは別にして、うるま市にもご説明に行かれるというお考えはおありでしょうか。
【大臣】そういうご要望があれば、一段落すれば私(大臣)は是非伺いたいと思っております。
【共同通信 齋藤記者】朝鮮半島情勢でお伺いします。ご案内の通り、韓国で25日に韓国軍と民間専門家の合同調査団が韓国艦船の沈没問題について、まだ最終結果は出ていませんが、外部爆発が沈没の原因ではないかと判断されるという見方を示して、韓国、または韓国の外、日本でも大きく報道されているという現状だと思います。韓国国内では、もちろん結果は出ていないのですが、北朝鮮関与説等も専門家とか、メディアの間で取り沙汰されています。北朝鮮に対する世論が韓国国内では若干硬化しているとの見方も出ているようです。一方、日本製はこれまで、拉致、核ミサイル、包括的な解決に向けて、米国、韓国の日米韓でしっかり結束をして六者協議での解決を目指し、北朝鮮に復帰を申し入れてきたという流れがある訳ですが、今回の艦船沈没が日本の基本的姿勢、また日米韓の連携に何らかの影響を与える可能性があるのか、また、大臣として、この問題をどのように受け止め、対処していこうとお考えでしょうか。
【大臣】多くの方が亡くなられた訳ですから、そのことに対して、大きな関心を持って我が国としてもこの問題を注視しているところであります。現時点では、現場の調査結果について発表がなされたということでありますが、韓国政府としては、引き続き詳細な調査を行うということでありますので、我々としては、そういった結果が出ることを見守るというのが日本政府の考え方であります。まだ結論が当事国から出た訳ではありませんから。
【読売新聞 宮井記者】中国ヘリコプターの接近について質問をします。ヘリコプターの単独行動で軍のコントロールが及んでいない可能性が報じられていますけれども、そういうことが事実だとすると、今後も同様の事態が繰り返される可能性があります。既に日本政府としては、抗議をしていますが、納得がいくような返事が返ってきていない状況で、この問題について、大臣はどのように対処される方針ですか。
【大臣】一部報道されたようなことは確認されていないと私(大臣)は承知しております。ですから、そのことについてはコメント致しません。ヘリコプターが制止を振り切って近づいたという報道ですが、確認をしておりません。いずれにしても、今回のことは我々は抗議をした訳ですが、相手方の中国側から適切な答えは返ってきていない訳で、こういうことが繰り返されることがないように、どのように対応すべきか、よく話し合っていく必要があると、抗議とあわせて日中両国政府間で今回のことが繰り返されないためにどうすべきかということを話し合っていく必要があると思っております。
【朝日新聞 鵜飼記者】アフリカ訪問についてお伺いしたいのですが、自民党政権下でもTICADを始められたり、アフリカ外交に力を入れていたと思いますが、今回、民主党政権になってTICADの初めての会合ということもありますが、新たに変えていくところ、こういうところを強化していきたいと思われているところ、そういったことがあれば教えて頂きたいのですが。
【大臣】これは日本の総合力が問われていると思います。日本の援助、支援というのはアフリカに非常に評価されていると思います。いろいろな国がアフリカに注目しておりますけれども、日本の支援に対する評価は高い。それが約束通りきちんと行われるのか、そういう議論もあります。そういったことに対して、力強く発信していきたいと思いますし、日本らしい援助、やはり現場にしっかり足場を築いてやっていく援助ということも大変重要なことだと思っております。今回、TICADの前に南アフリカにまいりますが、このときにはJICAの緒方理事長も南アフリカにおられますので、日・南ア間の議論に彼女にもお出ましを頂こうかなと思っております。それから、TICADⅣのフォローアップ会議では、議論をする中で、現地に工場を持ち、そして雇用も作り出しておられる住友化学の米倉さんに来て頂いて、日本の産業界としてのアフリカ支援のあり方ということも御議論頂こうと思っているところであります。
【中国新聞 岡田記者】来週からNPT運用検討会議が始まりますが、現時点で大臣として、具体的にどういった成果を期待されているか、あるいは見通しについてお聞かせください。
【大臣】まず成果は意味のある文書がきちんとまとまることです。前回はまとまっておりませんので、2回連続でまとまらないということはあってはならないことであります。ただ、会議そのものはかなり厳しいものになるだろうと思っておりまして、決して楽観はしておりません。福山副大臣に最初行っていただいて、日本の考え方をスピーチしていただきますが、非常に長い会議ですので、もし閣僚レベルが必要だということになれば、私(大臣)も全体の長い会議の中の重要なタイミングで訪米するということも考えていないわけではありません。現在のところは具体的な計画はありませんが、状況を見て必要があれば、そういったことも考えなければいけないかなと思っております。
【フリーランス 島田氏】世界銀行の投票権比率ですが、今回、新興国、途上国の比率を上げるために、欧州や日本の比率がかなり下げられました。これに関し、世界の経済が回復していない中で、日本の存在感というのは変わってくると思いますか。
【大臣】もちろん出資比率という意味では下がるということかもしれませんが、世界の経済の現状を現すということも大事ですし、新興国がしっかりと貢献する側にも回るということは非常に重要なことでありますので、そのこと自身を否定的に考える必要はないと思います。世界を動かしていくプレイヤーとして新興国にも参加してもらうということは私(大臣)は意味のあることだと思います。
【読売新聞 川崎記者】今日の国会でも出ましたが、ワシントンでの核安全サミットの際の、日米の非公式での首脳会談の際に、メモをとる要員を入れなかったということなのですが、このような非常に重要な節目である会談でメモをとる要員を入れなかったことは不適切だったのではないかという問いが1点。実際にメモは作成されたのか、あるいはされていないのか。いずれにしても正確なメモを残さないということは後々の外交を検証するためにも非常に不適切だったのではないかと思われますが、大臣のご見解をお伺いします。
【大臣】こういう会合でテタテ(2人だけ)でやるということは、決して珍しいことではありません。基本的には首脳間で1対1でやるということでありますが、通訳が必要なときは通訳のみ双方から入ってやるということです。そのことは珍しいことではありません。したがって、今回の場は食事の場ですし、通訳だけは入りましたけれども、ノートテーカーといいますか、メモをとる人が特別に入ったということはありません。メモを作ったかどうかということについては、その場で作るということはなかったのですが、それ以外にメモを作ったかどうかということについてはコメントを差し控えたいと思います。
【共同通信 斉藤記者】先ほどの朝鮮半島情勢について補足して聞きたかったのですが、韓国で(艦船の)沈没があり、様々な見方が出て、北東アジアの安全について懸念が高まっているという状況の中で、引き続き六者協議を日本として粘り強く求めていくのかどうか。日米韓のいずれも対北朝鮮制裁を履行しているのですが、北朝鮮側は制裁解除を求めてきているわけですが、こういう状況の中でどういうような前提条件が満たされれば、そうしたことが可能になるのか、この辺の見通しも含めてお聞かせいただければと思います。
【大臣】今回の事件といいますか、事故といいますか、そのこと自身も調査対象だと思いますが、これはまだ決定的な結果というものが韓国政府によって示されておりませんので、特定の仮定に基づく議論というのは差し控えるべきだと思っております。そのことと切り離して、北朝鮮とのこれからの交渉でありますけれども、これは我々は無条件に六者会合に復帰することと申し上げているわけです。何らかの条件をつけることは認められないということであります。同時に拉致の問題については、福田政権のおりに、日朝間の合意があります。再調査を北朝鮮が行うということで、その際には一定の範囲で制裁に若干の措置を講ずるという日朝間の合意があります。その合意は現在でも有効であります。
(1)佐世保市訪問について
【岡田大臣】私(大臣)からは3点。まず明日、佐世保を訪問することにいたしました。2週間前の横須賀に続いて、朝長則男佐世保市長と意見交換、特に密約の解明の中でさまざまな不安感を佐世保市民の皆さんに与えておりますので、そのご説明をしっかりとしてきたいと思っております。同時に佐世保海軍施設、米軍の海軍施設の視察を行う予定でございます。
(2)ホンジュラス共和国政府承認について
【大臣】本日の閣議でホンジュラス共和国新政府との関係について発言をいたしました。ホンジュラス共和国においては、2009年6月にクーデターが発生しましたが、民主化プロセスを経て、2009年11月29日に実施された大統領選挙の結果、ポルフィリオ・ロボ大統領が選出されました。
我が国はこれまでホンジュラス共和国における情勢の推移を注視してきました。今般、在ホンジュラス日本大使館を通じ、同国外務省に対し、4月23日付書簡をもって、新大統領及び新外務大臣の就任に祝意を表し、「日本と同国の友好関係の継続を通報することとします」ということで発言をいたしました。
(3)文書不開示決定処分取消等請求事件の控訴について
【大臣】昨日、既に発表した訳ですが、文書不開示決定処分取消等請求事件の控訴についてということであります。前回ここでもご説明をいたしましたが、外務省としては、この密約問題に関する調査の過程で、関係者からの聞き取りを含む調査を行ったわけで、省内の徹底的な調査も行いましたが、該当文書は外務省の保有する文書からは発見されなかった。そういった徹底的な調査を行ったことを説明しようとしたわけですが、その機会が与えられないまま口頭弁論は終結され、徹底調査の結果を踏まえることなく、判決は言い渡されたということであります。加えて、「持っていないものを開示しろ」と言われても、それは開示することはできませんので、控訴することとしたものであります。これは政府として、外務省も含めて、控訴ということであります。
しかし、私(大臣)を委員長といたします、外交文書の欠落問題に関する調査委員会において、この当該文書を含む、いわゆる密約に関わる外交文書の欠落問題については、改めて関係者の聞き取りも含めて、調査を行っているところでありますので、その結果というのは、今後の裁判の中で反映されてくるということになります。
我々としては、原告の皆さんと目指している方向は基本的には同じと思っておりますけれども、あの判決に対しては控訴することが妥当であるといいますか、ないものは示せませんので、それを控訴するということを政府として決定したところであります。
【共同通信 西野記者】今、大臣は、原告の皆さんと目指している方向は基本的に同じだと言われましたけれども、もう少し具体的に説明していただけないでしょうか。
【大臣】文書をきちんと開示をすると、例外を除いて解除していくということの必要性、そのことは、我々も強くそのことを考えておりますから、そして、それに当たってはきちんと調査をして、それがあるか、ないかということを確認する。真実を明らかにするということは、同じであります。
【フリーランス 上出氏】今、まさにおっしゃられたとおり総務大臣も知る権利とか、表現の自由に関わる大臣としての見解は、原告と目指す方向は同じということです。実は、先日、西山さんともお話をする機会がありまして、まさか民主党を否定するような、自分が自分を否定するような控訴はしないだろうというようなことを言っておりました。今回、確かに、裁判の技術的にはこういった控訴というのは、お立場上あり得るかと思うのですが、国民に対しては、一種のせっかくの歴史的な判決を無くするかもしれないというような、民主党の精神からいって、少し矛盾するのではないか、この辺のメッセージがございません。岡田大臣の認識の範囲でいいのですが、例えば鳩山首相は、今回の控訴についてどういう反応やご意見を持っているのか。大臣自身のご意見も含めてご説明いただければと思います。
【大臣】総理のご意見は、私(大臣)は伺っておりません。ただ、これは誰が見ても、ないものを出せという判決ですから、それを受け入れるということは、出さなければいけません。だから、あるということであれば、それでいい訳ですけれども、ないものを出すということはあり得ない訳で、少し法律のわかった人であれば、これは控訴以外の選択肢はないということは、誰もがわかることだと私(大臣)は思います。
【フリーランス 上杉氏】明日の佐世保訪問についてお伺いしますが、その中で、米海軍の視察、また佐世保市長との会談の中で、普天間問題についての話し合いはあるという了解でよろしいのでしょうか。
【大臣】普天間問題についての話し合いはございません。私(大臣)からする予定はございません。普天間ではありませんが、海兵隊の揚陸艦が佐世保にはあります。それは、できれば少し視察はしたいと思っております。
【毎日新聞 野口記者】普天間の問題に関してですが、来週米国のキャンベル次官補が来日します。米側は、日本側の提案が正式な提案ではないという認識を示しているのですが、キャンベル次官補の来日を機に、実務者協議に入れるような、そういった環境に入っているかどうかという認識はいかがでしょうか。
【大臣】少し私(大臣)は報道に違和感を持って見たのですが、もちろんキャンベル次官補は、当事者ではありますが、来日する理由がこの問題でということでは必ずしもありませんので、そこで話題になるかどうかというのはわかりません。今のご質問はその更に先を行く話ですので、少し先読みをし過ぎているのではないかと思います。
【琉球新報 仲井間記者】普天間問題に関して、日曜日に沖縄で開かれる基地の県内移設に反対する県民大会に仲井真知事も出席することを決めましたが、その受け止めをお聞かせください。
【大臣】知事がお決めになったという話は、私(大臣)は承知をしておりません。それは知事ご自身がそう仰ったのですか。
【琉球新報 仲井間記者】本日の知事の会見で。
【大臣】それは、私(大臣)は初めて聞きました。
【琉球新報 仲井間記者】会見で表明したということなのですが、今、知ったという形になると思うのですけれども、それを知っていかがでしょうか。
【大臣】それは知事のご判断ですから、私(大臣)が何か言うべき話ではないかと思います。
【共同通信 比嘉記者】知事の大会の出席ですけれども、知事が大会に出席するということと、県民大会が明日開かれるということは、今後、日米交渉にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。
【大臣】県民大会がどのような県民大会になるのかというのは、現段階では予想できませんので、なかなかコメントは難しいのですけれども、ただ、いずれにしても、それは沖縄県民の皆さんの民意が示されたということです。それはその集会の規模とか内容によって変わりますから、それは全体ではないかもしれません。しかし、一つの民意が示されたということですから、そのことは重く受けとめていかなければいけないと思います。
【マガジンX 島田氏】本日から事業仕分けが始まりまして、つい先ほどまで、JICAの仕分けが行われていたのですが、その一般傍聴席に、外務省の職員が何人かいらっしゃっていまして、「一般席には入らないでください」と注意されて出されていたのですけれども、外務省の職員が一般席に来たというのは、これは職務で来ているのでしょうか。
【大臣】それは私(大臣)にはわかりません。ただ、どういう議論があったか把握するというのは大事なことだと思いますから、何らかの形で、一般席がいいかどうかは別にして、職員が参加しているということは別に不思議でも何でもないと思います。
【NHK 禰津記者】昨夜から、タイの首都バンコクで連続して爆発が起きておりまして、けが人なども出ているようですが、その最新状況についてお伺いしたいのと、タイの反政府デモ隊との騒乱が2週間くらい続いておりますが、日本政府としてどのような対応をタイ政府に求めているのか、それについてお伺いできますか。
【大臣】事実関係は、もし必要であれば、事務方から説明をさせます。日本人もけがをしたということですから、今後ともこういった混乱が長引き、そして邦人の安全に影響が出ないように、外務省としては万全を期していきたいと思います。また、こういう混乱が続くということは、タイの経済にも影響を及ぼす訳で、よく当事者が努力をして頂きたいと思います。
【NHK 禰津記者】今、大臣は「日本人もけがをした」と仰いましたが、それはけが人が出ているという情報が入っているということなのでしょうか。
【大臣】鼻を少しけがをされたと聞きました。
【NHK 禰津記者】1名ですか。
【大臣】はい。
【共同通信 斉藤記者】中国海軍の艦船ヘリコプターが自衛艦に接近した問題についてお伺いします。本日の北澤防衛大臣の記者会見の発言によると、中国側は外交ルートを通じて、「日本側の警戒監視活動に対し、必要な防衛措置を取った」と説明したという話だそうです。中国側が言うように、日本側の監視活動に何らかの瑕疵、或いは向こう側があのような行動に出るような何らかの理由があったのかどうか、これについて大臣のご所見をお伺いするとともに、こうした中国側の回答に基本的には同意する、理解を示すのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
【大臣】日本側は、必要な監視といいますか、観察といいますか、そういう行為を行っていたことは事実ですが、それは別に危険なことでもなければ、法に違反することでもありません。そのことに対して、非常に危険な接近を行ったということは、やはり問題があると考えて、日本としては抗議をしている訳です。今回、中国側からの説明を聞きましたけれども、我々としては必ずしもそのことに納得をしておりませんので、より意見交換をしっかりと行っていかなければならないと思います。
【読売新聞 石川記者】今の中国軍のヘリの件と、韓国の竹島周辺の海洋調査の件なのですが、日本政府としては、両国に対して抗議をされていると思うのですが、東アジアの両国については、特に鳩山政権は慎重な配慮をしてきていると思うのですが、この時期にこうした件が、両国に起こっているという背景について、どうお考えでしょうか。
【大臣】特に背景について、これは推測しかできない訳でありますが、何か特別のことがあるとは考えておりません。それから、「鳩山政権は慎重な・・・」と仰いましたが、従来から、例えば竹島に関する政府の対応ぶりというのは、基本的に鳩山政権になって変わっているとは考えておりません。少し考え過ぎだと思います。
【朝日新聞 高橋記者】大臣のゴールデンウィーク中の外遊について、昨日の委員会でも、「日米交渉をやっている中で、そのようなことが適切なのか」という指摘がありましたが、それに対する大臣の回答と、日米交渉がストップするという懸念に対しての大臣のご見解をお願いします。
【大臣】それは総合的に判断している訳です。まず、アフリカに行くということ自身が何か非常に軽いことのように見られる質問でありましたので、私(大臣)は少し強く反論させていただきました。TICAD IVのフォローアップ会議、おそらく20数名の外務大臣、開発大臣が集まる会議になると思います。そのことを非常に軽く言うような発想自身、私(大臣)は強く抗議をしたいと思います。非常に重要な会議です。その上で日米の普天間についての問題が、今後どのような展開になるかということは、まだ分かりませんが、もちろん全体判断の中で必要があれば、途中で帰国する等そういうことは、その状況において判断することはあるかもしれません。しかし、「まあ、アフリカだから(行かなくても)いい」というような発想は、私(大臣)は断じて受け入れる訳にはいきません。
【共同通信 西野記者】国民新党の下地国対委員長が、同じような形で官邸に申し入れをしたと、ご本人は言っておられました。大臣の外遊については、国会の了承が必要だと思いますが、TICADに行くことは正式に決定されていることなのでしょうか、まだ、政府内、国会等の調整が終わっていない、その過程の状況なのでしょうか。
【大臣】まだ調整中です。
【共同通信 斎藤記者】国会と離れて、アフリカへの各国の関心、例えば中国、韓国、EU、非常にアフリカへの関心が高まっていると思います。中国のアフリカでのいろいろな形での経済協力援助、資源外交が背景にあるかも知れませんが活発になっております。そういった中で日本もアフリカを注視していく、関心を寄せていくのは当然のことだと思います。各国が入って行く中で、日本の対アフリカ戦略はどのようなところに特長があり、どういうところにアフリカにとってのメリットがあり、そしてまた日本にとってのメリットがあるのか、この点について、特にTICADのあり方を踏まえて、ご説明いただきたいと思います。
【大臣】いろいろな考え方があると思いますが、日本は横浜でTICADを開催し、そこでアフリカに対する援助についての基本的な約束をした訳です。それは資源外交等の観点というよりは、まず、MDGsへ、いかに貢献していくかということを日本として約束をしたということです。いろいろな国の援助の方法があると思いますが、日本の利害得失というものを越えて、必要なものはしっかりとやっていくといった視点については、アフリカは非常に評価をしていると思います。そのことに加えて資源の確保とか、アフリカの経済成長への貢献というものもある訳ですが、例えば母子の健康や子どもの教育に力を入れている日本の姿勢というのは、幅広くアフリカの中で受け入れられ、評価されていると私(大臣)は思います。
【マガジンX 島田記者】上海万博でテーマソングが日本の歌手の歌を流用しているのではないかという疑いが出ていますが、過去に中国では色々と知的財産について盗作疑惑というのがありましたけれども、外務省として抗議するとか、中国政府に対して何か申し入れをするということはあるのでしょうか。知財担当官が各在外公館に配置されていると伺っているのですが、どういう活動をしているのかということを含めてお伺いしたいと思います。
【大臣】私(大臣)は今回の万博の件は、詳細は承知しておりませんが、本来の模倣される原著作者に対して、その歌を採用しますと中国側が判断したと理解しているのですが、非常にその判断は速かったし、ある意味では著作権を尊重するという姿勢を示したということです。ある意味では、自らの非を認めた上で原著作者を保護する、著作権を保護するという姿勢を示したという意味では、著作権保護の重要さをしっかりと世界に伝えたことになるのではないかと個人的には思って記事を見ておりました。たしかに中国の中ではまだまだ知的所有権の侵害というものはあります。そういうものに対して、外交レベルでもそういったことは指摘をしておりますし、たくさんありますからなかなか限界はありますが、事案が見つかれば取り上げていきます。中国政府の方も、最近はかなりそういったことについて自ら守るべきものが増えてきたということもあると思いますが、真剣に取り組むようになりつつあると私(大臣)は認識しております。
(1)国連安全保障理事会公開討論について
【岡田大臣】私(大臣)からは、出張報告を改めて申し上げるまでもないかとは思いますが、16日、国連安保理において「紛争の平和構築」に関する公開討論を開催いたしました。安保理メンバーであるボスニア・ヘルツェゴビナの外務大臣ほか、アフガニスタン、東ティモール、シエラレオネといった関係国の閣僚にもご参加いただき、興味深い議論を行うことができたと思います。これを1つのきっかけに、平和構築に関する国連の中での議論に弾みがつくことを期待したいと思います。
それから、今日の国会でもご指摘をいただきましたが、こういう国際会議の場に政治レベルが直接参加することも、日本の存在感を示すという意味では、非常によかったのではないかと思っております。
【フリーランス 岩上氏】外遊の記者団には詳しい内容を既にご説明されていると思いますけれども、中継もありますので、一般国民に向かって、今回外遊をして、向こうで行われた討論の内容等を大臣の口から少し詳しく説明していただけるとありがたいと思っています。よろしくお願いします。
【大臣】基本的には、既に時間も経っておりますので、余り長々と言うつもりはございませんが、紛争に陥った国が、その後、一旦平和が訪れながら、再度紛争状態に戻るということがかなり多いという現実の中で、そうならないためにどうすべきかというのが平和構築の話であります。PKOなどで平和維持活動を行い、そして選挙などがあって、そこで物事が終わるのではなくて、やはりその後、開発といいますか、特に若者を中心に働く場というのができる、そして、社会全体が例えば法の支配とか、治安維持機能とかいったものがきちんとできることによって、紛争の再発を防ぐということを切れ目なく、1つのパッケージとして考えていくべきだということであります。
東ティモールやシエラレオネ、あるいはボスニア・ヘルツェゴビナといった国々からは、それぞれの体験に基づいてお話が伺えました。この平和構築の問題というのは、日本にとっても、今までさまざまな議論もリードしてまいりましたし、これからしっかりと更に取り組んでいかなければいけない、或いは日本が期待されている分野であると思います。日本には、カンボジアという1つの成功体験もあるわけですので、単に平和を維持するだけではなくて、平和をつくり出すという意味での平和構築について、更に議論を重ねるとともに、日本が率先してリードしていくことを是非目指したいと考えております。
これはPKOの話だけではありません。PKOというのはスタートであって、全体の話でありますので、若干報道の中で誤解している部分があったかと思いますが、PKOだけではありません。
【マガジンX 島田記者】日曜日にポーランドの大統領の追悼ミサが東京で行われていましたけれども、そこで一等書記官のラディック氏に話を聞いたところ、日本の政府筋の人はだれ一人来なかったということを伺ったのですが、それはなぜなのかということと、そうなると鳩山総理の言う友愛外交というのはどういうことなのかということにひどく疑問を持ってしまったのですが、お答えいただければと思います。
【大臣】日曜日、私(大臣)はいなかったのですけれども、ご案内をどの範囲でいただいたのかということは、承知はしておりません。私(大臣)自身、ご案内をいただいたという記憶は余りないのですが、いずれにしろ、(日本に)いないということで、日曜日の夕方に帰国しましたので、私(大臣)自身は出席しておりません。
もちろん、ポーランドへ江田議長に行っていただくということで話を進めていたわけですが、ご案内の飛行機が飛ばない状況の中で、それはできなかったということであります。
【マガジンX 島田記者】書記官によると、木曜日にはミサを行うという連絡を国内の報道機関等々にも各方面にも行ったと伺ったのですが、その後、大臣が帰国されてから、実はこういうことがあったというご報告が来たとか、実はこういうミサがあったというご報告があった等、連絡はありましたでしょうか。
【大臣】特に聞いておりません。
【共同通信 斎藤記者】中国艦船が沖縄近海を航行した問題についてお伺いします。
中国艦船が沖縄本島近海を航行し、この中でヘリが自衛艦に接近したということは、これまでに明らかになって、報道もされておりますが、これに加えて一部の報道及び長島防衛政務官が本日午前の参議院外務防衛委員会で、「中国艦船は沖ノ鳥島の西方海域で引き続き活動しており、自衛隊の艦艇や航空機で必要な警戒監視体制を継続している」と答弁されました。
この件について、防衛省の方から外務省に連絡はあったかどうか。また、この件について、中国側に事実関係の照会を行う予定があるかどうかについて、ご説明をお願いします。
【大臣】その件は、私(大臣)のところまで上がってきておりません。ただ、軍艦であれ、艦船が領海も含めて航行するということ自身は、国際法上認められたことでありますので、そのこと自身を何か国際法違反であるかのように言うというのは、違っているということだと思います。
もちろん、そういった中国の艦船、軍艦について、日本としてそれをしっかりと注視をするということは重要なことだと考えております。
【共同通信 斎藤記者】今の関連になりますが、これとは別に、中国海軍の駆逐艦が13日の午後3時ごろ、海上自衛隊のP-3C哨戒機に速射砲の照準を向けるという行動をとったということについて、政府は外交ルートを通じて事実関係の照会を行っているとの報道もあります。この事実関係についてお伺いしたいと思います。
【大臣】その報道は、私(大臣)は承知しておりません。
【共同通信 斎藤記者】報道は承知していないとわかりました。実際に外務省として、そうした報道に接しておられるか、また、そういうやりとりを外交ルートでやっているかどうかについてはいかがでしょうか。
【大臣】こういったことの詳細はコメントしないというのが、私(大臣)の考え方であります。
【NHK 別府記者】直接関係しないのですが、先月、艦載ヘリが日本の船に近づいたということで、外交ルートを通じて事実関係の確認を求めたと思うのですが、その後、中国側からの反応等はありましたでしょうか。どのようなものだったでしょうか。
【大臣】この件に関しては、そのこと自身が危険な行為であるということで、中国の艦船搭載ヘリによる安全航行上、危険な近接飛行が確認されたということで、我が国政府としては、我が国周辺海域における中国艦船の動向を含め、中国の動向について、引き続き注意していく考えであります。そして、外交上、そのことについて、我が方の認識に基づいて申し入れを行ったところであります。
【NHK 別府記者】それに対する中国側からの反応は、今のところはありますか。
【大臣】そういった詳細は明らかにしないというのが、こういった場合の一般的な考え方であります。
【週間金曜日 伊田記者】普天間問題についてお聞きします。先日、鈴木宗男衆議院外務委員長、亀井静香国民新党代表にお話を伺ったのですけれども、お二方とも5月末決着ということにかなり自信を持たれているようでした。鈴木外務委員長は鳩山首相並びに岡田外相とも連絡を取り合っているとおっしゃられていたのですけれども、岡田大臣自身としては、この5月末決着ということに対して、どういうような思いでいらっしゃるかということをお聞かせください。
【大臣】政府として5月末までに決着をするという方針で現在、努力を行っているところであります。
【共通通信 西野記者】北澤防衛大臣が参院の外交防衛委員会で、政府としての考え方は一緒だと言いつつも、交渉当事者の一人として、なかなか相手もあることであり難しい、5月いっぱいというのは難しいのではないかという認識を示されていました。この件についてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】私(大臣)は北澤大臣の発言を聞いて、そういうふうに認識しておりません。そして、総理のご認識の下で我々は今、行動しているわけで、その内閣の中に違いはございません。
【フリーランス 小山氏】何も進んでいないではないかとオバマ大統領が鳩山首相に言ったと読売新聞は伝えております。徳之島の住民があれだけ強く反対をしている以上、別の候補地を大至急探さなければならないのではないでしょうか。既にもう別の候補地は決まっているのでしょうか。
【大臣】まだ政府の案が何かということも明らかにしておりませんので、具体的なことについてはお答えできません。ただ、読売新聞で報道されましたが、我々はそういうふうに認識をしておりません。
【朝日新聞 鶴岡記者】今のに関連して、大統領の発言につきまして、大臣は午前中の国会答弁で、私(大臣)の確認した限りはございませんと否定をされましたけれども、大臣は外務省の中でどういう確認をされたのかということと、そうでないならば大統領はどういう発言をしたのかをご紹介願います。
【大臣】まず大統領の発言については言わないということは、総理ご自身が述べられているところであります。それが通常の外交上のルールかと思います。私(大臣)が確認したのは、具体的にあまり中身を言うべきではないと思いますけれども、大統領の発言を直接フォローした人間から確認を行ったところであります。
【時事通信 水島記者】本日、官邸の滝野官房副長官が徳之島の3町長に普天間移設に関して連絡を取られて、官房長官と会ってほしいという要請をされたそうです。一つの節目かと思うのですけれども、こういう節目を迎えて米国との交渉ですけれども、大臣としては今までのようなやり方で進んでいくということになるのか、それとも少し交渉のやり方が変わってくるのか、先行きの見通しについてお聞かせください。
【大臣】まず、副官房長官がどういったことを今日行われたのかということは、私(大臣)は承知をしておりません。それから、我々の共通の認識に基づいて、一定の幅を持って地元と米国と同時並行的に話を進めていくという基本方針は変わりません。
【琉球新報 仲井間記者】在沖米海兵隊の定数について、1万8,000人ということで、川内博史議員が根拠に疑問があるということで、先週、武正副大臣に要請というか申し入れをされていたと思います。その席で武正副大臣は確認しますとお答えになったということなのですが、その後、外務省として、どのように対応されていますでしょうか。
【大臣】まだ武正副大臣から、その結果について報告を受けておりません。
【西日本新聞 齋田記者】ちょっと順番が前後するかもしれませんが、先週、徳之島で1万5,000人の住民の方が集まって、移設案と言われるものについて反対の集会がありました。それについてのご所見をお願いいたします。
【大臣】これは国会でも申し上げましたが、やはりそれだけの人数の方が集まられたということは、重く受け止めなければならないと思っております。ただ、徳之島そのものについて、我々が具体的に政府として、徳之島に移設をするとか、そういったことを決めたわけではありませんので、それ以上のことは非常にコメントしにくいと思います。
【日経新聞 山内記者】先ほど大臣は委員会で地元の理解について、「地元の理解がもらえないということで済むことではない。何が何でも理解を求めないといけない」と発言されたと記憶しています。これについては、地元の理解を得るためには5月末を過ぎても、その努力は続けるべきだと考えられていますか。
【大臣】それは5月末までにまとまらないという前提の議論ですから、そういう仮定にはお答えできません。
【沖縄タイムズ 銘苅記者】本紙の報道で先週末に世論調査を県内でやったのですけれども、「県外・国外」を求める意見が年代や支持政党を問わず9割を占めるという結果になりました。半年前に調査したときには6割にとどまっていたのですけれども、県民大会も開かれるということで、県内世論がかなり県内は反対だというのが高まっているのですが、今後5月末に向けて、政府としてどういうことがポイントになって交渉というか、議論していくべきかとお考えになるかをお聞かせください。
【大臣】ちょっと質問の趣旨がよくわからないのですけれども、沖縄県内で「県外・国外」という考えられる方が増えたということと、後の質問の部分がよく結び付かないのですが。
【沖縄タイムズ 銘苅記者】数字の受け止めをまずお聞きしたいのと、今後どういうことがポイントになっていくか。それを踏まえて、移設先をどう決めていくかという考えをお聞かせください。
【大臣】数字は一つの調査として結果が出ているわけですから、そのことは真摯に受け止めなければいけないと思います。今後のことはいつも申し上げているとおりであります。政府として5月末までに結論を得るために最大限の努力をしていきたいと考えております。
【フリーランス 岩上氏】先日、質問させていただいた件に関連いたします。後ろの琉球新報の方からも出ました、沖縄の海兵隊の総数、1万8,000人とずっと言われてきた件、これがどうも精査すると違うのではないかという疑問が、川内議員から提示されております。それについて、先ほどこの質問をしようと思ったのですが、武正副大臣の報告を、まだ受けていないということで、受けていないのは了解しましたが、今の時点で大臣はこの問題について、1万8,000人の定員に疑問がある、実質はもっと少ないのではないかというこの問題についてどのようなお考えでいるのかお聞かせいただきたいと思います。
【大臣】まず、事実関係をきちんと把握することが先だと思います。
【フリーランス 岩上氏】先日、川内議員にお会いして、詳しくお話しを伺わせていただきました。資料等も見せていただきながら、お話を伺ったのですけれども、その際、岩国にあるヘリの部隊について外務省を通じて照会したことがあると、要するにすべての日本における部隊が、どこに何という部隊がどれだけ存在するかというものを一つひとつ丁寧に調査して確認されているわけですけれども、そのうちの1つとして、岩国のヘリ部隊がどのくらい存在するのか、これを外務省を通じて、藤崎大使を通じて照会をし、その答えが返ってきた。ところが、この答えが大臣を含めた政務三役のご判断で、日米関係に何らかの支障が出る可能性があるとのことで開示しないとなった。どういうことで、岩国のヘリ部隊の実態というものが川内議員に開示できないということになったのか、その辺りをお聞かせ願いたいと思います。
【大臣】ご質問の前提になっている事実そのものが、私(大臣)には理解できません。そのように川内議員が言っているとしても、私(大臣)にはそういう記憶は全くございません。
【フリーランス 岩上氏】そのやりとりがということですか。
【大臣】政務三役が開示をしないことにしたということは、私(大臣)は全く承知しておりません。
【フリーランス 小山氏】オバマ大統領は、きちんと最後まで実現できるのかと言ったというように、読売新聞には報じられておりますけれども、これもそのようには認識されていないわけですか。
【大臣】個々の中身について申し上げるべきではないと思います。ただ、読売新聞は英文を付けて報道しました。そういう英語は使われていなかったと私(大臣)は理解をしております。
【NHK 梶原記者】先ほど大臣はまだ政府案は決まっていないという話だったのですけれども、近く政府案を決定するというような段取りになるのでしょうか、段取りでおっしゃられる範囲でご紹介願いたいのですが。
【大臣】それは決まったときには決まったということですので、あまり事前に言わない方がいいと思います。
【毎日新聞 吉永記者】先ほど滝野官房副長官の話ですけれども、官房長官に会ってくれと要請して、現地の徳之島の3町長が断わったと記者会見をしているのですけれども、まず1点、そのことについてどのように受けとめていらっしゃるか。2つ目は、なぜこのタイミングでこういうことがあったのか。3つ目が、今後の交渉にどのような影響を与えるかということについてお考えを聞かせていただければと思います。
【大臣】その事実について政府側から何か具体的なことを言われているのであればともかく、私(大臣)はそのことは把握しておりませんので、仮定の質問には、現時点ではお答えしかねます。
【フリーランス 上出氏】私の周りにいる人間、それから外国人から、どうしてあんなに5月末にこだわって振り回されているのだと、なぜ5月末なのだということが出ております。改めての質問になりますが、大臣の認識でもし国民にメッセージを分かり易くポイントを、5月末にならなければならないのはどうしてでしょうか。もう一度聞かせてください。
【大臣】私(大臣)の理解では、12月の段階で半年後ということで、5月末という数字が出てきたと思います。同時に、米国の予算ということを考えると、その辺が限界であるという理解もあったと思います。
【共同通信 西野記者】政府案はまだ明らかになっていないということなのですけれども、一方で、5月末に決着させるということになれば、やはり時間が非常に限られてきているということ。それから、やはり物事は内容の整合性が取れているということもありますけれども、物事を出すタイミングというのは非常に重要だと思います。まず、名護市長選があり、それから徳之島では反対集会があり、沖縄では25日には反対集会があると、タイミングを逸しているのではないか、或いはタイミングの設定の仕方が非常にまずいのではないかという見え方をしてしまう気がします。国民が何で振り回されているように見えるのかとか、そこら辺にあると思うのですけれども、大臣のお考えはどうですか。
【大臣】総合的に判断して、そしてしっかりとしたものを政府の案としてまとめようと、このように考えた結果、こうなっているということであります。
【マガジンX 島田記者】今更の質問で申し訳ないのですけれども、地元の理解ということの定義はどういうことでしょうか。例えば自治体の長が了承したらいいのか、住民の何割が承知したらいいのかとかということをお伺いできればと思います。
【大臣】地元の理解は地元の理解、そのことを具体的に定義することは非常に難しいと思います。地元のご理解をいただけるかどうかということがポイントです。
【マガジンX 島田記者】数値的な何か目標があるというわけではないということですか。
【大臣】理解というのは何%が理解かというのは、なかなか一般論としては言えないと思います。
【NHK 別府記者】5月末は置いておいて、米国とのディールなのですが、どういうものを目指されているのかというイメージが少し分からなくなっているのですが、合意文書なのか、大臣がコミュニケを出すのか、何をもって米国とディールができたということを目指されているのでしょうか。
【大臣】交渉の中身は申し上げないことになっておりますので、どういう聞かれ方をしても私(大臣)はお答えしませんので。
【NHK 梶原記者】政府案の決定についてですけれども、時期はさておき、どういう形態を取るのでしょうか。基本政策閣僚委員会など経て決定ということになるのか、その辺りはどうでしょうか。
【大臣】いつか私(大臣)が申し上げたと思いますが、正式な政府案というのは、閣議決定をもって政府案になるということであります。
【フリーランス 岩上氏】普天間の問題は、あくまで単独のこの問題だけで米国と交渉し解決するようになるのか、それとも他の案件と絡めて取引のようなことが行われる可能性はあるのでしょうか。一説では牛肉の輸入の問題に絡めて、他方で、米国の牛肉の輸入の緩和の措置が行われ、その取引として普天間の問題として、何らかのアメリカ側の譲歩を得ることができるというような、やや分野の違うものも含めた対米関係の交渉問題が絡められるという可能性があるということを聞いたことがあります。略して、ふざけてなのかよくわかりませんが「ビーフテンマ」と言われているのですけれども、こういった可能性というのは実際問題としてあり得るのでしょうか。
【大臣】今言われたことは、質問者は、そういうことがあり得るという前提で質問しておられるわけですか。
【フリーランス 岩上氏】あり得るのかどうかわからないので、そういうものが現実として本当にあり得るのでしょうかというご質問です。
【大臣】ある程度の蓋然性があって、確信を持ってから質問された方がいいと思います。無限の可能性のあることについていちいちコメントすることはできません。ただ、お答えするとしたら、それはありません。
【NHK 梶原記者】本日、北澤防衛大臣なのですけれども、閣議後の会見で、「仮に徳之島でお願いすることになれば、今の状況ではなかなか厳しいものがある」と述べまして、地元側の理解を得るのは厳しいという認識を示したのですけれども、これについて大臣は同様の認識をお持ちでしょうか。
【大臣】何度も言いますけれども、あれだけ多くの方が集会に集まったということは重く受けとめなければならないと思います。ただ、政府の案が提示されたわけではありませんので、どういった形でということがわからない中で、不安が非常に強まっているという面もあるのかなと思っております。
【フリーランス 岩上氏】2か月くらい前ですけれども、社民党の阿部知子議員にお話を伺いました。この問題を社民党において担当していらっしゃいます。長崎案を主張されておりまして、その立場で長崎案というのは非常に意味があるというご主張ではあったのですけれども、仮に長崎で反対運動が起きたら、そうしたら長崎で反対ということで、徳之島も含めていろいろなところで反対運動が起きていく可能性があるでしょう。沖縄も本島もどこも、そうすると、転々と候補地が挙がり、そして反対運動によってつぶされていくという経緯をたどった挙げ句、結局、国内では沖縄県内であろうが、沖縄県以外の他のところであろうが、国内では無理なのだという結論に達することになるであろうと。ですから、そのときには、必然的にグアムなり何なり、つまりは国外という案が再浮上してくることになるであろうという見通しを語られていました。今、非常に、国民が迷走しているとか、いろいろな言い方で言っているこのプロセスというのは、日本中のどこも米国の海兵隊を受け入れる意思はないと、どこの自治体も、どこの地元も受け入れたくないということを明示して、それを明らかにして、やはりグアムですね、やはり国外ですね、ということを明らかにするというプロセスなのでしょうか。最終的にはそこに行き着くということなのでしょうか。
【大臣】そういうことは全く考えておりません。在日米軍が日本自身の安全、それから、この地域の平和と安定、そういったことに果たしている役割、そのことを考えれば、日本の外にということは、私(大臣)は考えられないことだと思っております。
これは、国民の皆さんにも是非ご理解いただきたいと思いますが、確かに米軍基地が来るということはいろいろな負担が伴うことであります。しかし、同時に日本の現在の平和や安全というものは何によって確保されているかということも是非お考えいただきたいと思います。その根本の議論を忘れてしまっては、やはり議論は迷走してしまうと思います。
【共同通信 西野記者】民主党の鹿児島県連の川内博史代議士は、反対であるという申入れをされていますし、新聞のインタビューにも答えられています。その中で手順の問題を言っておられるのですけれども、やはり、ああいうふうに自分のところに来るということになったら反対するということが続いてくると、今の岩上さんの質問のようなことがあり得るということです。民主党は与党であり、ほとんどの選挙区で議員さんがいるわけです。どこに行こうと国内であれば、民主党の国会議員の先生は説明責任を問われることになります。そういった意味で言うと、今の覚悟というのは民主党の人たち一人ひとりが持たなければいけないということと理解してよろしいのですか。
【大臣】そのとおりだと思います。
【NHK 梶原記者】本日の参議院の外交防衛委員会で大臣が地元の理解を得るというのを何が何でもやるのだという発言がありましたけれども、これについて改めて説明していただきたいと思います。つまり、最初に反対ということであれば、それでその候補地はあきらめるというのではなくて、粘り強く説得していくのだということなのか、その辺りを説明していただけますでしょうか。
【大臣】それは今の日米合意案も同じです。必ずしも地元が賛成したわけではありません。もろ手を挙げて受け入れたわけではありません。さまざまな経緯を経て、そして一旦は合意に至ったということであります。
【フリーランス 岩上氏】先ほどの私の質問にお答えいただいた大臣の見解に関連して、お聞きしたいと思います。先ほど大臣は明確に、日本の外にというのは考えられないとおっしゃいました。ということは日本の国内、沖縄県、本土を含み、日本の国内どこかに移転先がつくられるということは、政府の腹案としてあるということなのでしょうか。確認です。
【大臣】腹案という意味がよくわかりませんが、政府としてはしっかりと普天間基地の移設先を決定するということを申し上げているわけです。
【フリーランス 岩上氏】国内でですか。
【大臣】国内です。
【時事通信 鈴木記者】EUとのEPAなのですけれども、昨日、日・EUビジネス・ラウンドテーブルで非関税分野も含めて、政府として頑張って取り組んでいくということをおっしゃいましたけれども、改めて来週の定期首脳協議に向けて、交渉開始に向けた意欲と見通しといいますか、そういったものを教えてください。
【大臣】日・EU経済連携協定の前段階としての共同研究の立ち上げということを、日・EU首脳会議のときに実現したいということで今、外交的な努力を行っているところであります。現時点で見通しはどうかと問われれば、まだ現在は見通しは立っていないと、賛成する国もあれば反対する国もあるという状況だと思います。ただ、日本とEUが1つの市場としてつながれば、それは双方にとって大きく裨益するわけで、いろいろな議論がありますけれども、EU側にメリットがあまりないのではないかという話もありますが、それはそうではなくて、大きなマーケットになればなるほど双方に裨益するということで、それが経済連協定でありますので、あまり個別の、例えば自動車や薄型テレビに影響があるとか、そういうことではなくて、もう少し大きな目でとらえていただきたいと思います。もちろん、日本側も非関税障壁始め、さまざまな指摘をされております。中には指摘についてこちらとしても反論したいものもありますけれども、お互いしっかり歩み寄って、是非この共同研究を立ち上げたいと思っております。政権が変わって方針が変わったのだと、経済連携協定はEUだけではなくて豪州とか韓国とか、非常に時間がかかって途中で韓国のようにテーブルから一旦下されてしまったものもあるわけですが、政権が変わったことによって基本的なスタンスが変わったのだということを今、ご理解をいただくために努力をしているところであります。
【共同通信 村上記者】先ほど仰いました日・EU EPAに関しては、非関税障壁の部分が非常に大きな問題になっているのですけれども、関連する省庁、例えば国土交通省であるとか、厚生労働省、総務省等との協議はもう既に行われていて、何らかの非関税障壁の部分の規制緩和が行われる可能性があると、認識してよろしいのでしょうか。
【大臣】非関税障壁という中でも、一つひとつきちんと押さえていかなければならないと思います。例えば、鉄道車両についてEU側から意見が出ております。しかし、EUの中にも国によっては国営鉄道などでは、そもそもそういう対象になっていないものも見られるわけです。そういうことを一つひとつきちんと詰めながら、お互い開いていくという基本方針の下で努力をしていくということだと思っております。
関係閣僚とも話はしておりますし、恐らくこの経済連携協定は国内調整というのが必要になりますので、それは恐らく仙谷大臣のところで中心になって、そういう調整をやっていくことになるのだと思っております。今まで外務省が少しやり過ぎていた部分があるかもしれませんので、仙谷大臣の力を得て、是非国内調整を進めていきたいと思います。
【毎日新聞 野口記者】密約の関連文書がなくなったと指摘されている問題で、大臣を本部長とされている調査委員会ができて、間もなく2週間が経つと思いますが、調査の聞き取り状況はどの程度進んでいるのか、最終的な目途はどれぐらいになるのか、谷内元次官についても(聞き取り調査が)終わっているのか、分かる範囲でお願いします。
【大臣】具体的なことは申し上げません。最終的な報告書に記載したものが結論でありますので、途中の経過は申し上げません。ただ、着々と活動は進んでいることは申し上げておきたいと思います。
【共同通信 比嘉記者】情報公開対策本部についてお伺いします。初回以降公開になっていないのですが、今、どのような事を議論されていて、どのような目途がついているか、最終的な報告がまとまるのはいつ頃かというのを、もう一度改めてお願いします。
【大臣】報告書はそう先のことではありません。そして、「省内の文書の管理体制のあり方」というのが一つです。それから、30年を経過したものがたくさんありますので、原則公開という考え方に立ってそれをどのような形で出していくか、どれから公開していくか、どれから手をつけていくかというような議論を行っているところです。それをやっていくことに際して、人手がないとできませんので、どのような体制でやっていくかということの議論を具体的に行っているところです。
【朝日新聞 五十嵐記者】先程、NGOの方々が主催した「世界一大きな授業」という世界の子どもたちに教育を与えようという活動、その授業に参加されましたけれども、その感想と、大臣が出られた後に、日本のODAは基礎教育分野の額の割合がすごく少ないという指摘をされていたのですが、そのような指摘にどのようにお答えになられますか。
【大臣】基礎教育に(ODAが)少ないというのは、おそらく円借款等も含めたトータルで見る結果、そうなっているのだろうと思います。無償資金協力等でみると、必ずしもそうではないのではないかという感じがします。これは、政府だけではなくNGO、或いは民間の企業等、いろいろな形で、例えば小学校建設、或いは機器を送ったり等、日本の中でもたくさん活動しておりますので、政府だけで考える必要は必ずしもないと思います。オールジャパンでどのような活動をしているかということではないかと思います。ただ、ご指摘のように教育というのは最も基本になる部分ですので、MDGsと言われる中でも、教育のところにしっかり力を入れていく、子どもに関わる部分で健康と並んで教育ということは非常に重要だと思っております。先般、ハイチに行きました時も、ハイチでも学校はありますが、初等教育も受けていない子どもが非常に多いということを聞きまして、そこからしっかりと取り組んでいかないと、なかなか国造りというのはうまくいかないのだろうと思ったところです。
【朝日新聞 五十嵐記者】感想は如何でしょうか。
【大臣】難しい質問があたらないように祈っておりました。
【共同通信 斎藤記者】外務省は今月16日に韓国の政府系機関の海洋研究院が竹島周辺での地質調査を始めたという発表を受けて、福山副大臣が駐日大使に抗議したという発表だったと記憶しております。この後、実際に韓国側は地質調査について止めるという姿勢を示したのかどうか、また、そして地質調査を止めない場合には如何なる対応をとるべきなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
【大臣】その後、韓国側がどのような反応をしているかというのは、特に新しい話がある訳ではありません。状況については、よく把握していきたいと思っております。
【共同通信 斎藤記者】その関連ですが、今度は韓国の国会議長がホームページ上で明らかにしているのですが、ご本人が18日に竹島を直接訪問したとのことです。この件について、確認されているかどうか、そして、外務省としてどう対応するのか、この点についてお伺いします。
【大臣】そういった報道があることは承知をしております。
【共同通信 斎藤記者】それに対する対応は如何でしょうか。
【大臣】ここはやや微妙な問題を含むのは、国会でありますので、それにどう言うべきかというのは、なかなか難しいところがあります。ただ、日本の主張は「竹島は日本の領土である」ということであります。
【共同通信 斎藤記者】今、細々と一つ一つのファクトをお伺いしましたが、大局に立つと言いますか、全体についてお伺いします。日本政府として、竹島問題について、これまでいろいろ国会答弁もありましたし、大臣の答弁についても基本的に話の中身は承知しているつもりです、この答弁はともかくとして、今後、日本政府として、竹島問題をどのように、どのくらいのスパンで、どういう形で解決していくのか、大所高所から今の大臣のご見解をお伺いできればと思います。
【大臣】日本のスタンスは明確です。ただ、実効支配をするには至っていないということです。したがって、今後も両国間でしっかりと話し合いをしていかなければならないと思っております。
【フリーランス 安積氏】ロサンゼルス郊外の大型サウナの施設経営者が高速道路沿いに1月15日に「竹島は韓国の領土だ」という看板広告を出しました。これについて、日本総領事館は4月5日付で抗議文を出したところ、広告主の方は(広告を)5月末まで延長と、それと4月13日に韓国総領事館の方が断固たる対応を表明して、4月16日に日本総領事館の前で韓国人による糾弾大会というのが行われております。こういう状態は広告が撤去される5月末まで続くと想定されますが、日本国政府としまして、これについてどのようにお考えでしょうか。現地の日系人の方ではかなり危機感を持っておりまして、私の方で現地の日系人のメールを入手したところ、身体的な危機感、それから精神的な危機感といったものの危機感が非常に高いことをお伝えしておきます。
【大臣】「危機感」ということの意味がよく分かりませんが、外務大臣として、個別具体的な対応のいちいちについて、コメントするのは控えたいと思います。ただ、竹島は日本の領土であります。
【週刊金曜日 伊田記者】日本国政府の立場を強く主張していくには、国民の理解が大事だと思います。聞いたところ、韓国では幼稚園児から皆が竹島(独島)を知っています。というのは、毎日、テレビで天気予報をやるらしく、そういうのに接して育っていくと「独島は韓国領土である」というのは最初から刷り込まれると思います。それに対して、日本政府の方が日本国政府の主張を国民に広く周知徹底する方策が、北方領土と比べて少し弱いのではないかと思いますけれども、今後の取り組みについて、どのようなお考えを持っているかをお聞かせ下さい。
【大臣】日本の教科書にも竹島を始め領土問題については、触れられていることが一般的だと考えております。
【フリーランス 安積氏】大臣は衆議院外務委員会で竹島の状態について、「不法占拠という言葉は使わない」と仰った訳ですが、今後、竹島について、外相会談等で俎上に上がった場合に、どういった表現をお使いになるおつもりでしょうか。
【大臣】これは何度も申し上げておりますが、竹島についてだけではありません。北方領土についても同じであります。そういった表現を用いないことを交渉当事者として、私(大臣)自身考えております。交渉をまとめていくという立場を考えた時に、必要以上にお互い刺激しあうということは避ける。これは国益を考えての私(大臣)の判断であります。どのように言うかというと「竹島は日本の領土である。しかし、今は実効支配していない」と、そのことは国会でも何度も申し上げている通りであります。
【共同通信 斉藤記者】本日こちらにこういうパンフレットを持ってきました。大臣もおそらく目を通されていると思いますが、「竹島問題を理解するための10のポイント」とありまして、非常に読みやすく分かり易い内容になっています。この中身には過去の歴史的経緯から、そして国際法に基づかないで韓国が竹島を不法占拠しているとの結論もきちんと明記されています。こうした外務省の、政府の基本的な認識を示したこういう発行物、こうしたものをどんどん国民にアピールしていく必要があるのかどうか、国民にしっかりとこうした中身を受け入れてもらいたいというお気持ちはありますでしょうか。
【大臣】外務省としてそう思うからこそ、そういう資料を作っている訳であります。
【共同通信 斉藤記者】どんどん拡大していくという、積極的にアピールしていくというお気持ちだと受け止めてよろしいでしょうか。
【大臣】基本的に、何故そのような質問が出るのかよく分かりません。
【共同通信 西野記者】何故(その質問が)出るのかというと、刷ってから刷り増ししてなくて配る余部が殆どなくなっているという状況だからです。外務省の広報体制について、戦略性があったのかどうかということについても、いろいろなところで検討されていると思うのですが、メリハリつけてこういったことについて、伸ばすべきところは伸ばすというような姿勢で仕分けにも臨んでいくというお考えでよろしいのでしょうか。
【大臣】これだけ言われてもよく分かりませんが、必要なものはきちんと予算をつけてやっていくというのは当然のことです。
【フリーランス 岩上氏】村田良平元駐米大使、元次官がお亡くなりになりまして、遺書だと本人が位置づけた本が出来上がったようです。まだ一般には売られていないようですけれども、村田氏が生前にご自身でこの人に献本したいというところにまず配布されていて、それを読んだ方からその内容を聞かせて頂いたのですが、非常に踏み込んだ内容になっているそうで、今まで言えなかったことを主張されているということです。その中に、米軍に対する思いやり予算というのが、駐留経費の80%を占めるような状態というのはいくらなんでもひどすぎると、ドイツだと20%だと、この数値は若干間違いがあるかもしれませんが、いずれにしても、ドイツに比べると日本は、はるかに高い駐留経費を負担しており、米軍に対して思いやり予算を支払っているということです。こういう状態を、同じ同盟国と言いながら、日本はあまりにも過重な負担であって、これを軽減していく、いわば不平等条約を改正した明治の人達の苦労と同じような苦労をこれから重ねなければいけないのではないか、つまり、米国のいいなりになっている状態から、独立性を高めて自主的にやっていく外交というものが確立されなければいけないのではないか、というようなことを書かれているそうです。日本が自主防衛の比重を高めていくことも全部含めて、それこそ対極の話ではあるのですけれども、先程の普天間の話で「国内にはなくてはならない」と仰っていましたが、そうではなくて、例え
ば米軍が退去しても、その空隙を自分達の防衛努力で埋めるということも含めて、日本は自主的な路線を採っていくということは考えられないのかと思います。こういったことについて、大所高所の話ですが、改めてお聞きしたいと思います。
【大臣】まず今のお話の中で、思いやり予算と日本が負担する駐留軍経費というものを混同してお話になられていたので、これはきちんと分けてお話になった方がいいと思います。そして、全体としての日本の負担が他の国と比べて多いというのは一般論としてそいういうことが言えると思います。しかし、もしそれを今のご指摘のように、日本自身の努力でやっていく、自主防衛ということですが、ということになれば、当然、今の日本を取りまく国際環境を見たときに、かなりの軍事費が必要になります。例えば、GDPで現在1%を切る状態から、国際的に見れば2% 、3%、或いはそれ以上が必要になってくる。それだけのものを負担する覚悟が国民にあるのかどうか、或いは、そういうことになると、今、盾と矛ということで機能を分けていますけれども、自衛隊がそういう攻撃的能力も持つということは、日本人の中でどれだけ賛同が得られるかというと、私(大臣)はそういうことに賛同が得られるとは思いません。したがって、現在のように、在日米軍に一定の役割をお願いする、お互い役割分担をするということしか答えはないのだろうと、私(大臣)は思っております。
【フリーランス 岩上氏】「在日米軍に頼るしかないだろう」というのが結論であるということですが、それは、現時点、或いは近未来においての話なのか、それとも中長期を見渡しても、日本は米軍に依存していかなければいけないとお考えなのかということと、それからその根本的なお考えというのは、鳩山首相が首相になられてから、一旦引っ込める、或いは先々のこととして延ばすというように仰いましたけれども、元々の持論としては、「米軍の駐留なき安保」という論を掲げておられまして、米軍には基本的にはそのプレゼンスをどんどん下げていってもらって、日本自身が自主的にやっていく、そして、友好的な安保条約だけが残っていくというようなことだったと思うのですが、そのお考えとかなり違うというか、真っ向から対立するようなお考えではないかなと思いました。この2点をお尋ね申し上げたいと思います。
【大臣】「依存」という言葉は、「一方的依存」というニュアンスがありますが、「相互依存」ということで、日本にある基地に米軍がいることによって、この地域全体、或いは米国にとってもメリットがあり、お互いが依存しながら、現在の形が出来ているというように考えるべきだと思っております。「駐留なき安保」については、鳩山総理の従来の考え方というのは、私(大臣)も承知しておりますが、今から10年ほど前に、今の民主党になったときに、私(大臣)が責任者になって、当時の鳩山さん、菅さん、横路さんに入ってもらって、民主党の安全保障政策というものを作りました。ご覧いただいている方も多いと思いますが、そういう議論の中で、「駐留なき安保」という考え方は、完全にその時点で消えております。
(1)日・EU(欧州連合)定期首脳協議について
【岡田大臣】日・EU(欧州連合)定期首脳協議について、4月28日(水曜日)、第19回日・EU定期首脳協議が東京において開催されます。協議には、日本側は鳩山総理が、EU側はファン=ロンパイ欧州理事会議長、バローゾ欧州委員長が出席する予定です。この協議は、リスボン条約発効後の新体制になって初めての日・EU定期首脳協議であり、基本的価値を共有し、国際社会の諸課題の解決を主導すべき日・EU双方の首脳が、政治・経済関係、気候変動や核軍縮を含めた諸課題について、幅広く意見交換を行う予定です。
(2)いわゆる「密約」問題に関する調査について
【大臣】第2点ですが、本日の閣議において、「密約」問題に関連する質問主意書に対する答弁書について、閣議決定いたしました。
一件は、いわゆる砂川事件に関する地裁判決に係る日米間のやり取りに関する関連文書の存否についてです。本日閣議決定した答弁書で答弁しているとおり、今回のいわゆる「密約」問題に関する調査において徹底的な調査を行うまで関連文書が発見されず、これまで本件に係る情報公開請求に対し不存在と回答してきたことは、遺憾であると考えています。その旨を答弁書の中で記載したところです。
他の二件は、1960年の日米安保条約改定時における核持込み及び1972年の沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに関する「密約」に関して、前政権時に作成された答弁書に関する、元総理大臣や元外務大臣等の責任についての質問です。この件については、これらの方々ご自身が自らの意思で説明されることはともかく、これらの方々に対し、政府として何らかの対応をとる必要があるとは考えていませんというように答弁したところです。
(3)ニューヨーク訪問について
【大臣】3点目は私(大臣)のニューヨーク訪問について、4月15日(木曜日)から18日(日曜日)まで、米国ニューヨークを訪問します。15日の夜からということですが、16日(金曜日)午前(現地時間)に開催される「紛争後の平和構築」をテーマとする国連安全保障理事会(安保理)公開討論において、議長を務めることになりました。この公開討論には、潘基文国連事務総長、ザルマイ・ラスール・アフガニスタン外相等が出席する予定です。また、ザルマイ・ラスール・アフガニスタン外相、スヴェン・アルカライ・ボスニア・ヘルツェゴビナ外相、その他の皆さんとの会談も行う予定です。
【NHK 禰津記者】大臣が3点目に仰られました国連安保理の出席ですけれども、改めて日本の外務大臣として出席するのは初めてということですが、その狙いと意義について、また会談にはアフガニスタンの外相も出席されるということですけれども、これまで日本がアフガニスタンに行ってきた民生支援等の経験をどのように生かして、こういう議論をやっていきたいのか、その辺りをお伺いできますでしょうか。
【大臣】ご存じのとおり、安保理の理事国は順番に月交代で議長を務めることになっておりまして、多くの安保理議長国は自国の推進する外交テーマについて、閣僚が議長を務める安保理テーマ別公開討論を行っております。我が国としては、外務大臣が議長を務める安保理テーマ別公開討論は初めてであります。非常に重要なテーマである平和構築の問題について、まさにアフガニスタンは現に行っている途上にある訳でありますが、ボスニア・ヘルツェゴビナその他、紛争に関わった国々の関係者の意見も踏まえながら、より良い紛争後の平和構築のあり方について議論したいと考えております。
【フリーランス 上出氏】「密約」問題の判決についてです。この判決は、3大紙も1面で取り上げられ、国民にとっては、有意義な歴史的な判決だと私は思います。原告の一人も政府の嘘を正すのはメディアの責任であると言っております。ここには国民は参加できません。聞くことができない国民の立場から質問させて頂きます。この判決は、本来、国民の知る権利や情報開示にとって、画期的な判決であり、これは本来であれば、民主党が財産として、これからいろいろな問題に対応していくひとつの手がかりになると思います。他方、金曜日の発言で控訴の可能性もあるという、外務官僚に取り込まれたような発言を聞いて、正直、私はがっかりしました。本来、国民と共有して、画期的な判決を有効に使っていく、前向きに使っていくという考えはございませんでしょうか。
【大臣】私(大臣)は、この判決について、就任以来行われた徹底的な調査の結果というものが判決文の中には盛り込まれておりません。外務省として、国側からは、10月に行われた第3回口頭弁論以降、外務省において調査中である旨説明を行ってまいりました。特に12月1日に行われた第4回口頭弁論においては、有識者委員会が検証中であり、調査結果の公表後、主張を立証したい旨説明いたしましたが、裁判長から、裁判所としては調査結果を待つ気はないとして、これまでの主張を踏まえて、最終準備書面を提出するよう指示があり、本年2月11日に口頭弁論の終結が決定されたものであります。私(大臣)は、財務省も調査を徹底されたと思いますが、今までにない体制で徹底的に調査したにもかかわらず、このことの結果を踏まえずに判決が出されたということに対し、なぜそうなったのかということ、疑問を禁じ得ない訳であります。ですから、原告の皆さんの情報公開にかける思いというものは、私(大臣)も共有できる部分はかなりありますが、これだけ徹底した調査の結果について織り込まずに判決を出すということに対しては、私(大臣)も少し法律を学んだ者ですが、なぜこうなったのだろうかという気がしてならないところです。そして、判決文は、文書の公開を命ずるものであります。徹底的に調査をして、(文書が)ないことを確信しております。ないものについて、公開を求められても、それは答を見いだせない訳であります。今後、この判決をどうするかということは政府の中で議論したいと思いますが、この判決を受け入れるということは、ないものを出すということになって、それは不可能を強いられることになるということであります。
【フリーランス 岩上氏】先日の判決及びその記者会見があったのが金曜日。土曜日に横須賀に行かれまして、その時にもご質問させて頂きました。その当日、土曜日の夕方、判決を受けての報告会を兼ねた、西山太吉元毎日新聞記者の講演会がありまして、講演会、並びにその後の懇親会の場でも、西山さんと夜中近くまで話し込み、いろいろなお話を伺いました。ニコニコ動画の七尾さんの真似をする訳では決してないのですが、この場に来れない西山さんに代わって、岡田大臣にお聞きしたいことがあります。西山さんのお考えでは、「今回、岡田外相は最初に有識者委員会という場所を設置したが、その中身に立ち入って指揮を行わなかった。これは失敗ではないか。つまり、調査の陣頭指揮に立たなかったことによって、外務官僚及びその外務官僚と非常に親しい関係にある学者たちの思惑どおりになってしまったのではないか。これに対して、菅財務大臣は、同じく密約問題に関して調査を行っているが、陣頭指揮を取っている。直接、官僚に政務三役として命令を下し、調査の逐一に命令を下して、むしろ、政府が今まで駄目だったのだったら駄目だったということを明確にする形で調査を行っており、この対比は著しいものである」ということでした。言葉はもう少し激しいものでしたが、今、柔らかくしてお伝えしています。これについて、お答いただけないでしょうか。
【大臣】財務省の調査については、私(大臣)はコメントする立場にございません。ただ、何も出てこなかったというのは事実であります。我々の調査の結果、たくさんの文書が公開されました。その中にはその後、3月9日に出したものが、最近になって発表されたと新聞の1面トップを飾るような文書もかなり含まれているということです。それはやはり、今まで例にない探し方をしたからでありまして、専従の15人の職員が徹底的に外務省内全体を探したということであります。私(大臣)も逐次報告を受けておりましたので、別に指示をしなかった訳ではございません。そもそも法律に基づいて事務次官に指示をした訳であります。これは罰則担保です。そういう中で、これだけのものが出てきたということです。私(大臣)は今までに見られなかった徹底的な調査であり、その結果について、何か問題があるというのはよく理解できないところであります。これは国民の皆さんに申し上げたいと思いますが、外務省は徹底的に調査をいたしました。一人ひとりの職員も本気になってやった訳で、そしてその結果として、かなりの文書が出てきた訳ですから、もちろん不足しているものはあります。それがなぜなかったのかという議論は残りますが、しかし、今までにない文書が出てきて、それをホームページで全部出しているという、今までに全く政府としては見られなかったことをやっておりますので、そのことについて、正当に評価をしていただきたい。国民の皆様にお願いしたいと思います。
【フリーランス 岩上氏】同じく西山さんとお話した上でのご質問とさせていただきます。今回の判決の中で、おそらく大臣は精査してお読みになられたと思います。確かに政権交代してから、調査を大臣が徹底して行われたというところは、評価するにしても、この判決そのものが、今までのこれまでの政府のあり方に対して、国民の知る権利をないがしろにしてきた。その情報を公開するという意義というものを謳ったものであって、これは、民主党政権全体、岡田大臣だけではなくて、民主党政権、或いは民主党が高く旗を掲げていたものに反するものではないと、おそらくこの判決のどこにも不服はないのではないかと西山さんは仰っておりました。最後は、今言ったような手続き論はあるかもしれませんが、この判決を否定して控訴することがあったならば、民主党政権は崩壊するであろうというところまで仰っていましたが、こうしたご意見に対してどのようにお考えになりますでしょうか。
【大臣】いろいろな意見はあるのだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、外務省における9月以降の徹底した調査について、それを盛り込まずに判断をしているというのは何故なのか、私(大臣)は率直に疑問に思います。それをきちんと評価した上で、それでも足りないということならば、議論はあるでしょうけれども、そういった今までにない調査について、それを全く横において、結論先にありきというようになっていることについては、私(大臣)は外務大臣としてだけではなくて、少し法律を学んだ者として、疑問に思っております。
【週刊金曜日 伊田記者】本日決定された質問主意書でこういう文面があります。「元毎日新聞記者の西山太吉氏は、当時密約の存在を明らかにしようとし、政府から情報を取ろうとした結果、職を追われ、大きな社会的打撃を被っている。右につき、岡田大臣としてはどのような見解を有しているか」という質問に対して、本日決定された答弁書が事実関係だけに終わっているような気がします。具体的には「ご指摘の西山氏については、沖縄返還交渉を巡る取材にあたって、国家公務員による秘密漏示をそそのかし、その取材行為が正当な取材活動の範囲を逸脱するものであるとして、有罪とされ、判決が確定して現在に至っていると承知している」ということでした。これは事実関係だけに絞っているような気がするのですけれども、大臣個人として、西山さんに対する思いとかそういうものがありましたら、教えてください。
【大臣】前も申し上げましたが、記者として能力をお持ちでありながら、この事件をきっかけに第一線を退かれたことは、これは惜しいことだと思います。ただ、同時に、最高裁判決で指摘をされたような取材方法についての妥当性ということの議論は残ると思います。ここは、最高裁の判決として確定している訳であります。それ以外のところは、私(大臣)は、西山さんには西山さんのお考えがあるのだと思いますが、どうして外務省で行った徹底的な調査というものをコメントされないのか、少し分かりません。それから、先ほど、私(大臣)がその調査にあたって、全然任せきりだったということでしたが、それはとんでもない事実誤認であります。
【フリーランス 上出氏】今のに関連してですが、そういう訴訟指揮のお立場は分かるのですが、それだけで国民にメッセージをすることはあまりにも寂しいのではないでしょうか。本来、民主党が求めていた方向と判決は同じです。どこかで誰かが前向きなメッセージを出してくれることを期待しているのですが、枝野さんが少しそのようなことを言っていますが、この判決の意義等について、鳩山首相を含めて民主党としての「官主導から政府主導に」ということにも一致する判決に対し、どこかでメッセージを出してほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
【大臣】ですから、ここの判決にいろいろと書かれていますが、有識者による調査というのは、聞き取りも含めてかなりやった訳です。今までにないことをやっている訳で、そういう意味で、判決が言っていることと方向は一緒なのですが、しかし、我々は当事者ですから、国ですから、国として考えたときに、「どうしてこのような判決になるのだろうか」と、まさしく判決が言っているような様々なことをやった結果ということについて、視野の外において判決文が書かれているということについて、釈然としないと思っております。もちろん、原告の皆さんの多くが情報公開を更に進めなければいけないという思いでやっておられることは、私(大臣)は理解しておりますし、その思いというのは、共有しておりますけれども、この判決そのものについては、どうも釈然としないというところです。
【東京新聞 佐藤記者】今、「文書がなぜなくなったのかという議論は残る」と仰いまましたけれども、裁判で指摘された文書がなぜなかったかということについて、追加的に調査されるお考えはおありますでしょうか。
【大臣】それは随分昔の話でありまして、そのことについて、まず、なかったということは事実であります。そのことについて、判決は「ある」という前提で出せと言っておられる訳ですから、今のご質問の趣旨がよく分かりませんが、判決は「ある」と言っている訳ですから、それに対して、我々は「ない」と言うしかないということであります。
【週刊金曜日 伊田記者】外交文書の欠落問題に対する調査委員会で、藤崎大使だけでなく、谷内氏を調査対象に含める考えはあるかという質問に対して、報告書及び参考人に対する質疑等を精査した上で関係者からの聞き取り等を実施し、速やかに公表したいと考えているというように、谷内氏を含めるかについて明言を避けているのですが、この点については如何でしょうか。
【大臣】調査結果は調査が終わり次第速やかに発表したいと思いますが、どの範囲で調査を行うかということは事前には申し上げません。
【朝日新聞 鶴岡記者】冒頭ご発言の砂川事件について伺います。既に米国の公文書等では、最高裁に飛び越えて上告する、いわゆる跳躍上告について大使から圧力があったと指摘されていますが、今外務省としてはこの上告の圧力があったということまでは認めていないのでしょうか。
【大臣】この件も、今回の密約調査の中で資料が出てきた話です。そして、それは資料をご覧いただければ分かりますように、大使と外務大臣だったと思いますが、その意見交換が行われているということですが、その中身については、そういった仰るような趣旨のものではなかったということはお読みいただければお分かり頂けるのではないかと思います。外務省には、それ以外の資料はございません。大使が最高裁長官と会ったのではないかと言われている訳ですが、もちろん外務省にはそういう資料は存在しえない訳ですので、もしあるとしたら、まさしくそれは法務省なり最高裁ということになるのであろうと思います。
【琉球新報 仲井間記者】本日の委員会でもやり取りがあったと思いますが、裁判権放棄に関する文書も一連の密約の調査の中で出てきたということですが、これは密約と指摘する声もありますが、大臣はどのように受け止めているかということと、このような文書が見つかったということ、このような日米間での合意と言うか協議があったことについて、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。
【大臣】この文書も今回の密約調査の中で出てきたものです。これだけたくさんのものが出てきたということの一例だと思います。そういうものを全部横においた判決に、未だに私(大臣)は納得できない訳ですが、それはともかくとして、本日国会でも申し上げましたように、そのものが出てきたのではなく、言われていたその文書に言及した、そういう文書が出てきたということです。そういった文書が出てまいりましたので、そういった文書そのものがあるのではないかということは、推定されうる訳ですが、実際にそういうものがあったのかどうかということは、現時点では分かりません。本日の国会でも議論になりましたが、今後30年超の資料について原則公開ということで、どんどん出して参ります。ただ数多くの資料がありますから、どれから優先順位をつけて公開していくかということ、多数の人員を要します。そういった体制を作らなければなりません。そういう体制を組んだ上で、何から公開していくかということについて考える際に今回のことというのは、当時の地位協定や行政協定についての関連文書を優先順位をおいて公開していくということの一つの根拠になるのかなと思っております。ただ、他にもこれこそ早く公開すべきだという声はたくさんありますので、優先順位をどうするかということについても、私(大臣)が本部長を務めます省内に作った会議で考えていきたいと思っております。
【フリーランス 岩上氏】「ない」と仰られている文書が本当に「ない」ことを証明するのは、「たいへん難しい」というのは大臣の仰るとおりだろうと思います。いわゆる、「ないものをない」と証明するというのは、悪魔の証明等と言われる範疇に入るのだろうと思いますが、しかし、「ない」というものを証明するのではなく、「あったけれどもなくなってしまった。なくなったのは廃棄したからだ。組織的にいつ誰が廃棄したから、廃棄したからなくなってしまった。したがって今存在しない」ということを証明することは可能であって、つまりは文書の組織的な廃棄、これは非常に犯罪的なことであろうと思いますが、外務官僚が行ったことを明確にして、その責任の所在を明らかにすることはできるのではないかと思います。裁判所の趣旨まで私がくみ上げるのではないのですが、そういったことを明確にするということを求めているのではなかろうかというようにも思いますし、国民はそういうことを望んでいるだろうと思うのですが、大臣のお考えをお聞かせ下さい。
【大臣】これが果たしてあったのか、なかったのかということも議論になる問題です。米国には確かにサインをしたものがあって、吉野文六さんがこれは確かに自分がサインをしたとお認めになりました。それが一部だったのか、二部作ってお互いシェアしたのかということははっきりしない訳です。米国にとって有利な文書ですから、米国が吉野さんにサインをさせて自分たちが確保したという場合もありうるし、或いは二部作ってお互いシェアしたということも考えられます。しかし、そのこともはっきりしない訳ですから、それがあったという前提で考えるというのは、一つの仮定をおくということになると思います。いずれにしてもはっきりしていることは、今外務省の中には「ない」ということです。先程も申し上げましたが、15人の職員が誠心誠意、必死になって探して出てこない訳ですから、私(大臣)はその探した職員を信用しておりますし、彼らが本気でやったということをよく分かっておりますので、自信を持って「ない」ということは申し上げられます。
【週刊金曜日 伊田記者】密約問題に関して、「なかった」という答弁、質問主意書を前政権は繰り返してきました。閣僚は国民に対して真実を述べるというのはある意味業務だと思います、外務官僚がそういうものがないということで業務妨害、偽計業務妨害にあたるのではないかという見方について如何でしょうか。
【大臣】今回、きちんと徹底的に探した結果出てきたものについて、当時探したけれども出てこなかったというのは、私(大臣)は、それを分かっていて隠したということとは質が違うと思いますので、仰るような組み立て方は無理があるのではないかと思います。
【北海道新聞 島田記者】この会見の後にロシアの大統領府長官と会談されると思うのですけれども、その点について質問させてもらいます。大臣から会談の中でテーマにしたい話題があるかということがまず1点と、その中で北方領土問題などに触れるお考えはあるかという、この2点についてお願いします。
【大臣】領土問題についても議論になるかと思いますが、私(大臣)がモスクワお会いしたときも議論になっております。同時にこれは日露間全般について、車の両輪、経済と政治、全体について意見交換をしたいと思っております。
【共通通信 斎藤記者】ワシントンで総理が中国の胡錦涛国家主席と会談をしました。この中身について、ある程度報告を受けているということを前提にお伺いしたいのですが、東シナ海ガス田問題で、総理は中国側に対して速やかに共同開発の前提として必要な条約締結に向けた交渉を急ぐべきだという認識を伝えたと聞いております。説明では、かなり強く求めたとも聞いております。これに対して胡錦濤主席は、一定程度理解を示しながらも、依然として環境づくりが必要だという趣旨のことを発言したと言われています。このやりとり、これまでの日中間の東シナ海ガス田協議の枠にとどまるやりとりだったのか、それともある程度、今までの外相会談等々で積み上げてきた議論からもう一歩先に進むような成果があったのかどうか、この点について大臣のご意見をお伺いしたいと思います。
【大臣】私(大臣)はまだ詳しく報告を受けておりませんので、なかなかお答えは難しいのですが、首脳間でこの問題の重要性というのを相互に認識し合ったということは非常によかったと思います。個別具体的といいますか、中身の話は外務大臣レベルで更に行っていくことではないかと思っております。
【共通通信 斎藤記者】中国関連でお伺いします。先ほど防衛省は、公海上の話なのですが、中国の艦船が沖縄本島と宮古島の間を航行していたという発表をしました。事実関係について、今後外交ルートを通じて確認する考えがあるかどうか、あるいはしたかどうか。それと今回の航行について、国際法上あるいは何らかの二国間の規定等々に照らして問題があるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
【大臣】事実関係をもう一回教えていただけますか。
【共通通信 斎藤記者】それでは、正確に申し上げます。統幕が本日、次のように発表しました。4月10日午後8時ごろ、海上自衛隊の「すずなみ」が沖縄本島の西南西約140キロメートルの南西諸島を東シナ海から太平洋に向けて進む中国海軍の艦船、合計10隻を確認した。これらの艦艇は、4月11日、沖縄南方海域において洋上補給を行ったことが確認されている。これは統幕の発表資料です。これについての所見をお伺いしたいと思います。
【大臣】それだけでは領海を通過したのかどうかという基本的なこともよくわかりませんから、コメントはできません。事実関係をよく確認した上でコメントしたいと思います。
【日経新聞 山内記者】防衛省側が会見で、外務省外交ルートを通じて事実関係を確認したとしていますが、大臣の方は把握されていますでしょうか。
【大臣】私(大臣)はまだ把握しておりません。
【テレビ朝日 吉野記者】今の案件ですが、防衛省が発表した事実というのは、沖縄と宮古島の間を艦船10隻が通過したということです。それらが通過するときに、日本の船の近くを、距離にして90メートル、高さ30メートルのところを中国側のヘリコプターが通過し、船にとってみるとその距離は非常に近かったということでした。これについて外交当局を通じて中国側と確認しているということですが、その事実関係についてお伺いします。
【大臣】私(大臣)はまだ把握しておりません。事実関係を確認するということであれば、大臣まで上がってこないということも当然あると思います。
【NHK 別府記者】普天間問題についてですが、鳩山総理大臣とオバマ大統領が非公式に意見交換をした件で、総理の方から5月決着について協力を求めたというお話を総理がされていますが、どのような報告がどれぐらい詳細に入っているかわかりませんが、この非公式な意見交換について大臣から見て満足いく結果だったと受け止めていますか。
【大臣】満足いくかどうかということの価値判断、基準は何かということにもよるのですが、皆さんから見てどうかということはあると思います。私(大臣)は以前から、ここで突っ込んだ議論にはならないが、触れることにはなるだろうということを申し上げておりました。そういうラインに沿って総理は言われたと考えております。
【フリーランス 小山氏】テレビなどを見ていると、大臣と米国大使が基地の選定に当たっているというような印象を受けるのですが、通常こういう場合は、米側は大使でなくて在沖縄米海兵隊司令官とその制服組、日本側からは防衛省の内局と制服組。特に専門家のパイロットを入れて交渉しないと、選定が技術的に非常に細かい問題が多くありますので、例えばオスプリーのヘリコプターの駐機場は直径何メートル以上なければならないかとか、タンクの貯蔵場とかいろいろと専門家でないと分からないことはうんとある訳です。ですから、大変失礼な言い方ですが、大臣と米国大使では、オスプリーのヘリコプターは見たことがないと思うのですが、そういうお二方が幾ら協議をやってもいい結果は出てこないと思うのですが。
【大臣】ですから、それは具体的なことは持ち帰って、ルース駐日大使も相談をしながら答えを持ち帰ってくるといったことで、今、進んでおります。
【日本テレビ 山見記者】岡田大臣とルース駐日大使が金曜日に会談を行ったということでしたけれども、今、現時点で普天間の交渉がやや滞っているような印象を受けますが、大臣のお立場から、この問題で米側に対してアプローチとして日本側は何が足りないのか、沖縄側に対してまだ何ができていないのか、移設先の地元に対しても何ができていないのか、この辺についてご意見をください。
【大臣】非常に漠然としたご質問ですから、答えるのが簡単ではないと思いますが、日米間、地元、それぞれについて働きかけを行っているということであります。
【フリーランス 小山氏】辺野古の住民は米国の基地建設を支持しているわけですけれども、それに対して大臣が反対している理由というのはどういうことなのでしょうか。
【大臣】個別のことについては、私(大臣)は申し上げません。今仰ったことも事実かどうかということも議論のわかれるところだと思います。
【フリーランス 小山氏】少なくとも米側はそういう認識をしております。それが間違いでしたら大臣の方が米側にご説明されるといいと思うのですが。
【大臣】私(大臣)が反対しているかどうかということも含めて、私(大臣)はコメントをいたしません。今、政府として全体で取り組んでいる、関係5閣僚で取り組んでいるということだけ申し上げておきたいと思います。
【週刊金曜日 伊田記者】普天間移設問題で金曜日、土曜日と私は沖縄に行ってまいりました。こちらで予想してした以上に沖縄の県民の怒りといいますか、失望が高まっているように感じました。やはり沖縄県民の感情を重視する必要があると思うのですが、大臣は沖縄大使からどのぐらいの頻度でそういった県民感情について、報告を受けていますか。その報告についてどのようなご感想をお持ちになられていますか。
【大臣】沖縄大使は必要に応じて連絡を取っておりますけれども、毎日のように報告が来るということではございません。沖縄の方々の感情というものは非常に重要だと思いますので、沖縄負担軽減という鳩山総理の思いがしっかりと伝わるように、更に努力をしていかなければいけないと思っています。
【琉球新報 仲井間記者】普天間の件に関して、本日のお昼に社民党と国民新党が協議をもって、これから日本政府と米国の交渉が本格化することを受けて、社民党と国民新党として在京米国大使館に行って、日本との交渉に臨む際の米側の考え方の説明を求めていこうと合意したようなのですが、連立を組むこの2党がこのような独自のというか、米側へのアプローチをされることを、大臣としてはどのように受け止めていますでしょうか。
【大臣】それぞれ政党ですから、それが政党としての正式な意思決定であれば、そういうこともやむを得ないと私(大臣)は思います。
【共同通信 西野記者】日本でいうと本日の午前中の日米の非公式な会談、意見交換では、突っ込んだ議論にはならないと言われているのは事実だと思うのですが、ただ、もう4月になり、5月末までということになると、突っ込んだ意見交換をしなければならない時期でもあり、地元に対してもいろいろな説明をしなければいけないのではないかという判断も、いろいろなところで出てきていると思います。対米交渉の窓口は、今、ルース駐日大使とやっているということですが、大臣は時間の感覚についてはどのようにお考えで、その認識に基づいてどのように進めていこうと考えていますか。
【大臣】なるべく急いだ方がいいとは思っております。ですから、金曜日に会いましたし、かなり頻繁に今までもやっております。これからも同様であります。
【フリーランス 岩上氏】普天間関連でご質問させていただきます。18、000人の海兵隊員が沖縄に駐留しているというこの数字は、本当に正しいのかという質問主意書が鈴木宗男さんから3月の時点で出されておりまして、4月2日に政府から回答がありました。これは平成18年に額賀長官の時代に政府が回答したものであるということを、この18、000人の根拠としております。これに対して4月8日、これは毎日新聞ですけれども、エルドリッジ次長が沖縄等米軍基地問題議員懇談会の川内議員とお会いした際に、この数字の根拠を質したところ、「それは米側が出した数字ではなくて日本側が言い出した数字であって、我々の責任ではない」ということです。つまり、米側が言っているこの政府統計書の中には一部そういう説明があったとあるくだりをエルドリッジ次長自身が否定しているという展開になっているようです。これは沖縄等米軍基地問題議員懇談会のメンバーから直接お話を伺って確認も取りました。18、000人という数字が合っていないということであれば、これは常駐とローテーションで回っている数字もありますし、正確な数字を把握しない限り移転のプログラムといいますか、ロードマップというのは正しいものを描くことができないのではないか。この点を把握してからもう一度きちんとした交渉をするべきではないか。これも懇談会の主張に重なるところではありますけれども、こうした疑問提示について、お考えとご説明をお願いしたいと思います。
【大臣】今のお話は、どういう会話が日米間でなされたのかということは伝聞でありますので、私(大臣)はそのことについて直接把握はしておりません。ただ、勿論18、000人というのは現有の人数ではなく、枠としての人数であることは間違いありません。その時々によって、他のところにたくさん行っていれば、現在はそんなにいないということは当然あり得る訳ですが、言わば定員のような形で最大限これだけというのが、18、000という数字だと私(大臣)は理解しております。それがもしそうではないという疑いがあるのであれば、それは確認をする必要があると思っております。川内議員は武正副大臣とたしか会う予定になっていると思いますので、その様子もよく武正副大臣から聞いてもらいたいと思っています。
【共同通信 西野記者】先ほどお伺いしたことと関連しますけれども、なるべく急がなければならないといったご認識だったと思います。大臣がルース駐日大使に幾つかお願いをしたこともあるということですが、具体的なことは別として、どのようなことについて日本側から米側に投げているのかというのは、言える部分はありますか。
【大臣】話の中身は言わないことになっています。これは約束です。
【NHK 別府記者】先ほどの関連なのですが、今日の鳩山総理とオバマ大統領の非公式の意見交換ですが、日本側としては5月末決着に向けての協力をお願いするやりとり。それに対しての米国側の反応が、日本のお願いが伝わったなと感じられるものだったのか。つまり、働きかけは成功だったかどうかと受け止めていらっしゃるかどうか教えてください。
【大臣】それは総理が、オバマ大統領がどう言ったかということは言わないと仰っていますので、私(大臣)からコメントすることはございません。
【朝日新聞 五十嵐記者】大臣が冒頭仰った、日・EU定期首脳協議についてお伺いします。大臣は先日の国会の答弁で、日・EUのEPAについて前進させたいということで、今度の協議で政府間の共同研究を立ち上げたいと仰いました。ただ一方で、EU側は日本とのEPAに余りうまみがないということで、余り積極的ではないと理解しています。そうした状況の中で、共同研究は実際合意できそうかという見通しと、あとはそういったEU側の消極的な姿勢を積極的にするために、日本としてどのような戦略があるかということについてお伺いしたいと思います。
【大臣】共同研究を今回立ち上げることができるかどうかというのは、我々はそうしたいと思いますが、相手のあることですから、率直に言ってわかりません。勿論、彼らが主張していること、例えば非関税障壁の問題でありますとか、そういったことについて、日本側としてどういう提案ができるかということも、いろいろと準備をしているところであります。なお、今、外交努力を行っているところでありまして、共同研究の立ち上げに向けて、EU側に働きかけを行っているところであります。
【ニコニコ動画 七尾】視聴者の質問を代読いたします。先月のことになるのですが、NPRについてです。先月29日、米国防総省にて大臣が、ミラ副次官からNPRについての説明を1時間にわたって受けたとの報道がございました。この背景にあるのは、これまで核の傘に守られてきた日本が、トマホークの廃棄を含めた米国の新方針によって抱くであろう不安に対して配慮したとの理解でよろしいでしょうか。つまり、これは米国政府が議会に出す国内向けの文書を他国に事前に示すのは異例との報道もありまして、このいきさつについて教えていただければと思います。
【大臣】会談の中身については、私(大臣)から詳しく申し上げる立場にはございません。さまざまな議論をしております。その中には、「消極的安全保証」とか、あるいは「唯一目的」とか、そういったことについての意見交換ということも含まれております。
【NHK 禰津記者】鳩山政権の内閣支持率についてお伺いしたいのですけれども、各社の世論調査では、政権発足当初7割以上あったものが、今月では2~3割台にまで低迷しておりますけれども、これについて、普天間基地の移設問題がなかなか決着しないことや、政治とカネの問題などが絡んでいるのではないかという指摘もありますが、大臣のお受け止めとしてどのように認識されているのか、お伺いできますでしょうか。
【大臣】国民の皆様のそういう厳しいご意見というものは、謙虚に耳を傾けなければならないと思います。大事なことは、各大臣がそれぞれの職責をしっかりと果たすということだと私(大臣)は思っております。
【時事通信 鈴木記者】先ほどの中国の解振華さんとの意見交換なのですけれども、意見が一致した点、なかなかすれ違ってしまった点、COP16に向けて、もし展望のようなものが開けましたということがあったら、その内容をお願いします。
【大臣】何度も議論をしている人ですから、率直に意見交換を行いました。その中身についてお話するのは適当ではないと思います。これから福山副大臣とも食事をはさんで、杉山審議官ともお話をいたしますので、その皮切りとして、昨年のCOP15も含めて、やや率直に意見を申し上げさせていただきました。
【ロイター通信 イザベル記者】この間のバンコクでの事件について、何かタイ政府などから新しい情報は入っていますでしょうか。
【大臣】まず、村本博之さんがお亡くなりになったことに対して、心からご冥福をお祈りしたいと思います。そして、村本さんのご家族は、4月11日にバンコクへ渡航されて、12日の午前にご遺体との対面を済まされた後、同日深夜、バンコクを出発し、本13日の午前にご帰国されたと聞いております。また、村本氏のご遺体は、12日午前、タイ政府による司法解剖が行われた後、本日午前、バンコクを出発して、本日の午後、日本に到着する予定であると承知しております。外務省としては、在タイ日本国大使館を通じ、現地当局からの情報収集に努めるとともに、ご家族への連絡やバンコク滞在中の支援を含め、邦人保護の観点から、必要かつ可能な支援を行ったところであります。今後、警察も必要な捜査を行うと承知をしております。具体的な捜査内容等、詳細については承知しておりませんが、タイ政府に対しても、事実関係の解明を、タイ政府はそれに努めるということを表明しておりますが、しっかりと事実関係の解明をタイ政府が行うよう、外務省としても関心をもって見守りたいと思います。外交的な努力をしたいと思っています。
【フリーランス 大川氏】このたび、ニューヨークでアフガニスタン、ボスニア・ヘルツェゴビナの紛争後の平和構築のお話をされるということなのですが、前回お話しました国境なき医師団に続く国境なき病院ということで、大臣は非常に税金がかかってしまうのではないかというご懸念があったのですが、私はちゃんと新潟の地震のときの現場も行っているのですが、Ro-Ro船などを改造するだけで非常に安く改造でき、なおかつ、いざというときに飛行機の離発着もできる改造ができると造船技術者の方からもお伺いしておりますし、財団からも寄附を募ることもできますので、税金の問題もクリアーになるかと思います。今、イラクのお医者さんが日本に来て医療を学んでいるのですが、病院船が平時の間は紛争地域であったり、紛争後の構築場所に行けば、お医者さんが何人もどどっと来て研修を受けたりとか、技術を学ぶことが病院船の中では可能だと思います。日本の技術をもってすれば、大臣は船が行くのに時間がかかるとおっしゃったのですが、ヨーロッパでは確かに病院船があって、機動力は落ちています。ですが、日本の技術をもってすれば、高速艇とか、そういったご提案を日本から発信されるお気持ちはありますでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。
【大臣】ひとつのご提案ですから、少し外務省の中でも議論をしてみてもいいと思いますが、私(大臣)は余り積極的には残念ながらなれません。
(1)第1次戦略兵器削減条約の後継条約の署名について
【岡田大臣】まず、第1次戦略兵器削減条約の後継条約の署名について、昨日8日ですが、オバマ大統領とメドベージェフ大統領の間で、プラハにおいて、第1次戦略兵器削減条約の後継条約に署名をいたしました。
両国が進めていた交渉の結果として、核弾頭と運搬手段の削減の水準に合意したことなど、重要な進展があったことを我が国としても評価をいたします。
核兵器不拡散条約NPT第6条の核軍縮義務に従ったこの条約が、5月のNPT運用検討会議に先立ち署名されたことは、同会議に向けた重要な貢献であり、我が国として高く評価するところであります。
両国による同条約の早期批准を期待するとともに、その他の核兵器保有国も参加した世界的な核軍縮の進展及び目標である「核兵器のない世界」に向けて、国際社会の中でリーダーシップが発揮されることを期待しているところでございます。
(2)キルギス情勢について
【大臣】2番目は、キルギス情勢です。本日の国会でも既に述べたところでありますが、4月7日、首都ビシュケクにおいて、野党勢力など反政府デモ隊と治安部隊の間で衝突があり、これまでに70名以上の犠牲者、1000名を超える負傷者が発生しております。このことについて、憂慮の念を持って、事態の推移を注視しています。
現地には、約130名の邦人が長期滞在しておりますが、現在までのところ、邦人被害の情報はありません。これまでキルギス在住の邦人等に対し、治安情勢、安全対策に関する情報を提供するとともに、治安悪化に備えた注意喚起を行ってきています。引き続き、外務省として、邦人保護と情報収集に遺漏なきを期するために、現地に緊急対策本部、そして外務省連絡室を設置し、万全な対応を行っているところであります。
8日には、野党側党首が臨時政府を発足させたと承知をしておりますが、他方でバキーエフ大統領は辞任を拒否する声明を出しており、事態の今後の推移は予断を許さず、すべての当事者が対話を通じて平和的な問題解決に当たり、一刻も早く事態が収集されることを期待しております。
(3)ハイチ地震・チリ地震を受けた大規模自然災害等に対する危機管理体制の在り方について
【大臣】3番目に、資料をお配りしておりますが、ハイチ地震、チリ地震を受けた大規模自然災害等に対する危機管理体制の在り方であります。両地震を受け、体制面での整備について議論をしてまいりましたが、その結果がまとまりましたので、報告したいと考えております。
まず、改善点としては、今までは本省における危機管理体制として、特に初動については、各担当部局長が主導して対応に当たっておりました。ハイチとか、或いはチリということになると中南米局長ということになる訳であります。今後は、危機管理担当審議官が中心となって、初動体制をより迅速に行う体制の整備をいたしました。
それぞれの担当局、担当課ということになりますと、今回はハイチ、チリと同じ担当部局でありましたので、明らかに最初のハイチよりも2回目のチリの方が対応は早かった。やはり、初めてということになると、経験の蓄積という意味では十分ではない訳で、今後ともどこで、例えばアジアで、アフリカで、どこでそういった大規模災害が起こるかわからない訳であります。そういう意味で、危機管理担当審議官のところにさまざまな経験の蓄積を持って、そこがまず初動体制においては主導するということにしたところであります。内閣における危機管理官と同じような発想だとお考えいただければいいのではないかと思います。
また、政務三役も参加をして、事案発生直後の第一報を得た後に対応を協議する対策会議を導入しました。更に、緊急対策本部の設置基準、つまり事案によっては対策本部を設置する。そして、体制を明確化し、国連安全局との緊密な連絡を図ることで、治安情報の入手ルートを多角化したほか、在外公館における通信体制についても充実させることとしました。これはハイチにおいて、電話が電池切れになったりとか、具体的に幾つかの問題が発生いたしましたので、そういったことについて、通信体制そのものも、予算を伴う話ではありますが、より充実させるということについても決めたところであります。
次に、緊急援助隊等の迅速な派遣を実現するために、原則災害発生後、24時間以内に準備チームを派遣する。派遣準備段階の関係省庁との連携を強化する。移動手段を多様化する。例えばチャーターとか、そういったことも含める。それから、医療機能について拡充する。NGOと連携強化するということについて、JICAや関係省庁と既に協議を行っておりますし、なお、詰めを要するところについては、協議をしていきたいと考えているところでございます。
今後の検討課題として、自衛隊部隊のさらなる活用。基本的には、国際的な、一般的なルールとしては、他で対応できないときに軍が出るという基本的な原則がありますが、そのことは当然であります。しかし、医療部隊など、場所によっては最初から自衛隊の医療部隊を出していくということも考えなければいけない場合もあるのではないかと思っております。
それから、危険な地域に派遣する際の隊員の安全確保の在り方は、附帯決議など、安全確保が最優先ということになっております。もちろん、安全確保は最優先ですが、そのことにあまりにも縛られ過ぎることによって、出すことに対して躊躇するということがない訳ではないということでございます。
それから、被災地での他国チーム、NGOとの協力の拡充。それから、緊急援助隊活動の指揮命令権の整理。それぞれの省庁なり、或いは自治体なりが派遣する人の指揮命令権を持ったまま、それを束ねる形で緊急援助隊が出るということになっております。それで何か問題がないのかどうかということについても、少し議論が要るのではないか。今まで別に問題は発生しておりませんが、しかし、指揮命令権というのは、特に修羅場ですから、もう少し整理をした方がいいのではないかとも思っているところであります。
それから、ハイチ、チリとありますが、チリに関して、経験もあったということもあって、国際支援に対するチリ政府の意向がなかなか明らかにならない点で、困難性があった訳ですけれども、しかし、そういう中で適切に対応できたと考えております。緊急援助隊の医療チームに関しては、派遣迅速性を重視し、まず先発隊を派遣いたしましたが、その後、チリ政府の方針によって、後発隊の派遣は見送ることにしたことは皆さんもご存じのとおりであります。
実は、こういう情報は出した方がいいと判断して申し上げますが、そのときチャーター機のキャンセル料というのが発生しております。直前まで出すつもりでおりましたので、チャーター機を準備しておりまして、当日キャンセルということになりまして、約1800万円のキャンセル料が発生しております。もう少し賢明な判断ができなかったかというご批判もあるかと思いますが、そういったリスクも持った上で、なるべく早く出すということを考えていくということ。それが今回は残念な結果になったということだと考えております。そういうことがだめだということであれば、やはり出すことについて、より状況を見極めて出すことになる訳で、こういったことが今後もあり得るということは是非ご理解をいただきたいと考えております。ある程度こういった空振りになるという覚悟を持って派遣を決定したということでございます。
(4)横須賀市訪問について
【大臣】私(大臣)は明日、横須賀市を訪問いたします。横須賀市では、吉田市長と意見交換をするとともに、横須賀海軍施設、米軍ですが、その視察を行う予定でございます。
(5)沖縄返還に関わる情報公開に関する不開示決定取消訴訟について
【大臣】先ほど判決が出た沖縄返還に関わる情報公開に関する不開示決定取消訴訟でありますが、結果は少し意外な感がいたしますが、国側が敗訴ということになりました。もう少し判決文などは精査をしなければならないと思いますが、この裁判において、国側としてどこまで主張したかというのは、私(大臣)も必ずしも明確に把握している訳ではありませんが、去年の政権交代後、私(大臣)が就任し、その当日に法的な裏付けをもって事務次官に対して命令を発し、そして徹底的に調査を行ったということが十分反映されていないのではないかと思います。これはもう少し判決文をよく見てみなければいけませんが、少なくとも当方よりそういう申し立てを行わなかったという話もあります。その辺、私(大臣)はよく分かりません。いずれにしても、今、外務省にそういうものはないということは、調査の結果、明確でありまして、そのことに対して、それ以外のことはないということは申し上げておきたいと思います。よく判決文の趣旨を検討してみたいと思います。
(6)2010年のJPO派遣候補者選抜試験について
【大臣】最後ですが、2010年のJPO派遣候補者選抜試験についてご連絡をしたいと思います。国際機関における邦人職員増強の一環として、JPO派遣制度を実施しておりますが、JPO派遣制度というのは、将来、国際機関の正規職員を目指す若手の邦人をJPO(Junior Professional Officer)として、原則2年間国際機関に派遣し、国際機関の正規職員となるために必要な知識や経験を積む機会を提供するものであります。本日から6月9日までの間、2010年度JPO派遣候補者選考試験の募集を行います。書類審査及び面接審査を通じて、国際公務員になるために必要な専門性と経歴を持っている方を選抜するものであります。合格者はJPOとして、UNDPやUNICEFやUNHCRを始めとする、さまざまな国際機関に派遣されます。外務省としては、本制度を通じて、より多くの日本人の方が国際機関で活躍されるよう支援をしてまいるところでございます。
ちなみに、2009年度は510名が応募をし、34名が合格ということでございます。35歳以下の日本国籍を有する者というのが条件でございますので、皆さんの中でも意欲のある方は是非受験をしていただいたらどうかと思います。
【毎日新聞 野口記者】密約の情報公開の訴訟についてなのですが、今回、判決は国側に開示を命令するというような内容になっておりますけれども、外務省の調査で問題になっていた吉野局長とスナイダー公使の文書は見つからなかったという結論になっていますけれども、それについても改めて「不存在」ということにする場合には、外務省として、存在しないというときは、なぜ存在しないのかというのを説明しなければならないと思いますが、その辺り、どういった対応を考えていらっしゃいますか。
【大臣】まだ、判決の結果をよく精査しておりませんで、そういう段階でコメントすることには慎重でありたいというように思います。よく中身を見た上で判断したいと思いますが、ただ、私(大臣)が今聞きましたところでは、今回改めて徹底的に調査をしたということを、当方から裁判において申立てをしていないという少し信じられないような話もございますので、そこのところは、裁判の中身についても、こちらの進め方も含めて精査してみたいと思います。ただ、(文書は)ございません。それは調査の結果、(文書は)ありませんので、ないものをどう説明するかというのはなかなか難しいことだと思います。
【ビデオニュース 神保記者】密約の件でフォローアップなのですけれども、判決の要旨しか手元にないのですが、要旨を見ると、不存在で、見つからなくなった理由を外務省側にきちんと調査をしろと、だからそこの部分の挙証責任、これこれこういう理由でないのだ、ということを外務省の方から説明をしなければならないという判決文になっているのですが、具体的には、歴代の事務次官、アメリカ局長、条約局長、アメリカ第一課の課長を始めとする同課在席者、外務省が本件、各文書を保有するに至ったと考えられる時期以降に、これらに関与した可能性のあるものに対し、逐一取扱い等について聴取することが求められると文書にあるのですが、これは、大臣は精査してからというように仰いましたけれども、このような調査というのを今後更に行う可能性というのはあるのでしょうか。
【大臣】まだ判決文についてよく精査しておりませんので、それが現実的なことを言っておられるのかどうか、現実的に可能なことを。随分昔の話でありますので、そのことも含めてよく検討しなければならないと思います。
【ビデオニュース 神保記者】調査の可能性は排除されないのでしょうか。
【大臣】現時点では何も申し上げません。
【琉球新報 滝本記者】今の件に関連してなのですけれども、大臣が仰られた中で、訴訟指揮として、なぜ主張されなかったのか。徹底調査したことを裁判で申立てなかったということがなぜなのかというのが、信じられないという話なのですけれども、そもそもこの裁判に当たって、大臣がどのような指揮でいくのかということについては、一切関与されていなかったということになるのでしょうか。
【大臣】この裁判は、実は裁判手続としては、確か1月か2月ですか、もっと早かったかもしましれません。事実上終っていました。それで判決が延びていたということですから、私(大臣)が就任してから何回公判が行われたのか、私(大臣)はあまり記憶がないのですが、多くは前政権の下で行われたことであって、私(大臣)自身が個別の裁判について、何かコメントすることはありませんし、それはそれぞれの司、司といいますか、弁護士もいる訳ですから、相談して進めていったものと思います。いずれにしても、これは地裁の判決ですから、これから更にどうするかということは、これをそのまま受け入れるということは、私(大臣)はないと思いますので、今後どうするか、よく検討してみたいと思います。
【フリーランス 岩上氏】今の問題に関連しまして、大臣のご説明を伺っておりますと、そうすると、裁判の訴訟の手続そのものは、ほぼ前政権の時代に終わっていて。
【大臣】今、そこまで断言していません。
【フリーランス 岩上氏】という可能性があって、今の現政権になって、密約問題の開示の命令を下されて、この問題の徹底的な追求、調査を行って報告を行ったということでした。開示を行ったという、言わばタイムラグが、裁判と実際の現政権での調査と、その発表とのタイムラグが判決へのずれ、それから大臣が、これは少し現実と違うのではないかという違和感もご表明されている訳ですけれども、その理由になるのでしょうか。
【大臣】よく判決を見ておりませんので、率直に申し上げて、分かりません。これからよく精査してみたいと思います。ただ、法に基づいて、行政組織法に基づいて命令を発して、そして調査をやったということが盛り込まれていないとすると、そういった主張をしなかった方にも問題があるというふうに言わざるを得ないと、私(大臣)は思います。そういう経緯もよく含めて検証してみたいと思います。
【共同通信 西野記者】判決を精査されるということなのですが、大臣のお言葉を聞いていると、このまま受け入れることはないという言及もありました。これは、もちろん、精査した上でということなのですが、控訴もあり得るという見方でよろしいのですか。
【大臣】よく精査してみたいと思いますが、その可能性は排除できないと思います。我々の納得のいく判決では必ずしもないということであります。
【共同通信 西野記者】一方で、大臣がこの判決に至るまで、外務省の中で、そういう主張していなかったと、きちんと主張していなかったことに、今、遺憾の意を表明されていると思うのですが、なぜそのようなことが起こっているのか、私たちも密約の取材をする際に、この訴訟と密約が今後どうなるのか、非常に関心を高く持っていたのです。
一方で、外務省の中で大臣がどのような訴訟指揮が行われているのか把握されていなかったというのは、逆にこちらとしてはどうしてかなと疑問を持ったりするのです。そこら辺が少し、大臣がこの判決にしても、やはり「外務大臣は」というところで命令が出ていて、その責任と裁判の中身と整理した上で話をしていただかないと、少し分かりにくいです。大臣が遺憾だと仰っていることは、外務省全体の話なので、大臣に返ってくる部分もあると思います。そこのところを少し整理してください。
【大臣】いずれにしても、私(大臣)は吉野さんの守秘義務を解くということはいたしましたが、個々の裁判における闘い方についてまで、関与、干渉するつもりはございませんので、ある意味では任せていたということであります。
【朝日新聞 鶴岡記者】今のに関連して伺います。外務省の調査結果は、恐らく11月20日の時点で出ていて、その後、年末年始の裁判では、恐らく有識者委員会の検証が終わるまでは公表しないがために、準備書面では多分、留保するとして明らかにしてこなかったと思うのですけれども、11月の時点で外務省の結果を発表して、事実を追加して申し立てていれば、こういうことにはならなかったような気がするのですが、つまり外務省の公開の在り方として、11月に結果が出たのに3月まで公開しなかったというところに問題があるような気がするのですけれども、いかがでしょうか。
【大臣】それは、有意識者委員会での結果も含めて公開するということでやっておりましたので、そういうやり方が、まずかったというようには思っておりません。
【毎日新聞 野口記者】11月に外務省の内部の結果が出ていて、そこの密約に関連している外務省の内部のチームと裁判を担当している担当者の間では連携が取れていなかったということでしょうか。当然、大臣もそれに関知していなかったので、関連させてしっかりと裁判でも主張するように指示もなかったと思うのですが。
【大臣】ですから、密約の検証といいますか、省の中でやっていたチームというのは独立しておりましたので、外に対してその結果については出さない。省内も含めて、そういう形でやっていたことは事実であります。それ以上のことは、私(大臣)は今、お答えしかねます。
【ビデオニュース 神保記者】大臣はこれまでずっと密約というものがないと歴代政権が言ってきた中で、大臣が外務大臣になられて、とにかく密約の存在を明らかにするための調査をやられて、この度、そういう調査をなされました。
一方でこの訴訟も、密約の存在というものをとにかく明らかにしたいがために、密約文書の開示ということをやったものだと、私は理解しております。ですので、両者が同じ方向に向かってこの密約という問題に取り組んできたと思っていたら、本日の大臣の発言は、この判決に非常に不満であるというか、両者の利害がバッティングしていくような印象があって、少し意外な感じがしたのですが、これは大枠としては、大臣の考えている方向と同じではないのですか。何に対して大臣がこの判決に対して、そこまで不満を持たれるのか、正直分からなかったのですが。
【大臣】調査を徹底したにもかかわらず、更に足りないというかのごとく判決ですから、それは自信を持ってないということを申し上げておきたいと思います。私(大臣)は裁判の中身について、政務である大臣があまり口出しをするべきではないという基本的考え方に基づいて、そういった守秘義務ということについてはオープンに、自由にしゃべっていただこうということで、吉野さんの守秘義務は解いた訳ですけれども、中身については関与しない方がいいと、基本的にそういう考え方でやってまいりました。
【琉球新報 滝本記者】確認なのですが、大臣はこの訴訟において、大臣が命じられた外務省内部の調査、或いは有識者委員会の調査結果、これが反映されるものだというように大臣自身は思っていらっしゃったのですか。
【大臣】少しよく分かりませんので、果たして反映されていないのかどうかも、もう一度きちんとを検証しないと分かりませんので、断定的なことは申し上げたくありませんが、その時点における最新の情報、或いは主張というものは、当然外務省としてしているだろうと、常識としてそう考えておりました。
【毎日新聞 吉永記者】裁判そのものという訳ではないのですが、外務省が公表した有識者委員会のものではなくて、外務省内部の調査チームの調査結果について伺いたいのですが、沖縄返還時の原状回復保障費の肩代わりに関する密約について、調査チームの報告書で、原状回復保障費の400万ドルとボイス・オブ・アメリカの移転費1600万ドルとともに、積み増して3億2000万ドルとすることで日米間で決着したとの経緯を明らかにしました。前政権はこの積み増し自体を認めていなかったと、当時の福田外相は積み増しを否定する国会答弁をしていたということです。岡田大臣は調査チームの報告のように3億ドルに計2000万ドルが積み増しされて、内訳に含まれていたと認識していたと理解してよろしいでしょうか。
【大臣】少しよく分からなかったので。たくさん言われると分からなくなりますから。
【読売新聞 吉永記者】要するに、調査チームの調査結果について、当時の肩代わり費用と言われた土地の原状回復費400万ドルに、更にボイス・オフ・アメリカの移転費の1600万ドル、これを日本政府が肩代わりしていたという調査結果です。大臣自身も3億ドルに2000万ドルが積み増しされていたと、それを日本政府が肩代わりしていたとご認識でしょうか。
【大臣】私(大臣)の印象を聞かれても、それは答えられません。調査結果が外務省の認識であります。
【琉球新報 滝本記者】まさに今の積み増しの関係で、原状回復費の400万ドルであろうが、1600万ドルを更に本来払うべきでないのに払ってというのが密約であるのかどうかということについては、そのまま3億2000万ドルを米国側に払ってあって、その内訳をどのように米国が使うかというのは、米国次第なので日本は関知しないということをこれまで国会答弁してきたと、その範囲を超えないものだったと。確か調査結果のときの会見で、外務省の考えというのは、今まで答弁してきた範囲内だから、密約ではないということでお話しされていたと思うのですけれども。
【大臣】密約の定義ですね。「広義の密約」というのが有識者の結論であります。
【琉球新報 滝本記者】その上での質問なのですが、今回、総額での部分ということではなくて、積み増して余分に払ったのだという認識で払ったという認識はあるのかということを確認したいのですが。
【大臣】ですから、それは報告書にある通りです。私(大臣)自身の考えというは特にありません。外務省の調査結果が私(大臣)の考えです。
【共同通信 西野記者】整理するという意味で、大臣が仰っていることは、当然主張すべきことを主張していなかったということは、非常におかしなことで。
【大臣】いや、その可能性があるということを言っている訳です。
【共同通信 西野記者】可能性があるということで、それでこのままでは受け入れることはできないと仰っているのですが、外務大臣の立場から考えたら、裁判で負けたということは、外務省側が言うべきことを言わなかったということであって、それで負けてしまったのですから、どのような理由で控訴するのかよく分からないのです。外務省サイドの中での話であって、訴訟の関係で言うと、向こうは開示しろと言って、こっちはないと言っていて、負けたということです。外務省の中でいろいろあることについて、それを理由に控訴の可能性を捨てきれないということは、何か少しストンと落ちないところがあるのですが。
【大臣】今の話であれば、私(大臣)も落ちません。ですから、控訴するという可能性があるというのと、それから新たな密約の解明調査を行ったことというのは、1対1にリンクした話ではありません。それは仰ったけれど、私(大臣)はそのように言っておりませんので、この裁判の結果については、私(大臣)は釈然としないところがあるということを申し上げている訳です。そして、その立証の仕方についても、それが常識にかなったものなのかどうかということも含めて、必ずしも釈然と致しませんので、控訴の可能性について検討をするということを申し上げている訳です。もちろん、中身をもう少しよく精査をしてみないと、先ほど判決が出たところですので、私(大臣)自身もあまり詳しく見ている訳ではありません。ただ、そのことと切り離して、では、外務省も十分主張したのかというと、そうではないかもしれないということです。それは中の話です。そのことについて遺憾であるということを申し上げている訳です。
【琉球新報 滝本記者】また整理させて頂きたいのですが、訴訟手続きの中で外務省が十分立証したのかということはどうなのかなということで、それは精査されるべきだということでもあって、十分したのかということについては、遺憾なのかどうなのかということは確認したいということがありましたけれども、それと切り離して、大臣は判決については残念だと仰られたのでしょうか。
【大臣】控訴の可能性があると申し上げました。
【琉球新報 滝本記者】ではなくて、判決自体の受け止めについてなのですが。
【大臣】控訴の可能性があるというように申し上げました。
【朝日新聞 鶴岡記者】確認させて頂きたいのですが、一審の事実認定はもう終わったので、裁判の基本ですが、控訴して何か新たな事実を追加すると、つまり申し立てを追加するということではないですか。
【大臣】もう少し判決を精査しないと分かりませんが、事実の問題というよりも、ここでないということの証明の仕方とか、どちらが証明すべきなのかとか、そういうことについて、必ずしも釈然としないものがあるということです。
【フリーランス 大川氏】大規模自然災害等危機管理体制のあり方と、並びに紛争地域の対策のあり方なのですが、私がイラクに行ったときにも、フセイン政権の戦争前だったので、子供達が劣化ウラン弾で苦しんでいるにも関わらず、国外には出せないと言われて、ならば「海岸地域のところに病院船等が来れば、それは大丈夫なのか」と言ったら、「それだったら大丈夫。国内だから」と言われました。何が言いたいかというと、病院船という考え方は外務省としてお持ちなのでしょうか。私はこれから国境なき医師団に続いてできるのは、国境なき病院だと考えておりますので、大臣のお考えをお聞かせ下さい。
【大臣】ひとつのアイデアだと思います。だた、コストもかかります。全体の災害支援ということを考えたときに、船は足が遅いですし、様々な限界もあります。普段何に使うかと、平時にどう使うかという問題もあります。そういった意味で税金の使い方として、優先順位をどのようにつけていくかという問題だと思います。
【フリーランス 大川氏】船が遅いと仰られておりますが、別に日本にある必要はありません。例えば、日本が各国の協力を得て、予算の問題も含めてですが、国連に提示しつつ、病院船を各地に置こうということです。特に地震が多い所に病院船を停泊すればいい訳であって、海洋国家の日本が中心になって、そういったアイデアを提案するのはいかがでしょうか。
【大臣】いろいろなアイデアがあるのはいいと思いますが、どこで地震が起こるかというのはなかなか分かりませんので、地震の起こりそうなところに、たくさん船を配置しておくというのは、若干、私(大臣)はどれだけ納税者の理解を得られるかという感じは致します。しかし、アイデアがいろいろ出るのは歓迎です。
【西日本新聞 斎田記者】先程、大臣がご紹介されましたが、チリの派遣の時に当日キャンセルで1800万円かかったというお話ですが、まさに税金の使い方という話で、この判断が妥当だったのかどうかというようなところは十分に精査もされるべきだし、逆に言うと大臣からもう少し丁寧に、どういう目的でやろうとしたのだけれども、結果としてこうなった、今後の課題はこうです、というような説明をして頂きたいと思います。
【大臣】チリの場合、地震発生の直後にバチェレ・チリ大統領から「現時点では外国からの緊急支援は必要ない」という発表がありました。しかし、そうは言っても大変な状況の中で何か行うべきではないかと、我々としてはそういう議論をしておりました。そういう中で、地震が起きたのは現地時間の2月27日の午前3時ですが、現地時間の28日の午後(日本時間3月1日午前)にバチェレ大統領は簡易病院及び、中長期的な病院の建設等の外国からの支援を要請ということがございました。また、在京チリ大使館からも野営病院を含む支援要請項目リストが送付されました。これを受けて我が国は、医療分野における支援ニーズがあると判断をし、日本時間3月1日に医療チームの派遣を決定し、同日中に3名、団長は外務省、それから医師、JICA職員からなる3名の先発隊を派遣したところです。ハイチの際にもなるべく近くまで(ということで)、チリは遠い国ですから、先発隊を派遣すると同時に近いところまで人員を進めておこうということで、本隊の派遣についても準備をしたということです。しかし、その後チリ政府より一般の初期治療などにあたる海外からの医療チームの受け入れは断っているという通報があり、チリ保健省の方から、「チリが支援を必要としているのは基本的には資材であって人ではない」という発言も外務省に対してなされ、これを受けて日本時間の2日後発隊の派遣を見送るという決定を行ったところです。
【読売新聞 川崎記者】先程、ご説明をいただきました危機管理体制のあり方についてお伺いします。それぞれ、1.2.3.4.と体制及び今後の検討課題等と列挙をされておりますが、それぞれいつからこの体制をやるのか、或いは検討課題となっているところについては、いつまでに結論を出すのかについてご説明下さい。
【大臣】体制の中で予算措置を伴うような、順次やっていかなければいけないことは、順次やっていくしかありません。ただ、本省の体制などについてはマニュアルを変えて、既にそういう体制に入っております。今後の検討課題については、関係省庁との協議が必要でありますので、順次そういった話し合いを行っているところです。中には法律改正を必要とするものもあるかもしれませんので、いつまでにということではありませんが、よく協議をしていきたいと思っているところです。
【読売新聞 川崎記者】今後の検討課題のところで、「既存の国会附帯決議、閣議決定の見直しも含めて検討」とある部分ですが、これは現在のPKO原則の見直しと一緒に絡んでいることなのでしょうか。
【大臣】ここに書いてあるとおりです。ですから、既存のこの緊急支援隊の法律を審議した際に、国会の附帯決議で隊員の安全に配慮するということが書いてあるということです。
【西日本新聞 斎田記者】先程、大臣は冒頭で「こういった空振りがあることも覚悟しなければいけない」というようなお話もありますが、とは言っても現実問題、何度も空振りをしていますと、大切な血税が失われるということなりますので、今後の課題というか、問題点として、どういうところを認識されていて、どういうところを今後改善していこうとお思いかを教えてください。
【大臣】それは、その時の情報をいかに取り、その確度、しかし、それをより慎重にするということになれば遅れてしまいますので、それはトップがその段階で判断するしかないと思っております。今回1800万円の空振りに伴う費用が発生したことは、ひとえに私(大臣)の責任であります。
【共同通信 西野記者】今後の検討課題について、改めてお伺いします。既存の国会附帯決議を見直す場合は、国会にこれを諮ってやらなければいけないし、閣議決定の見直しについては、閣議で諮らなければならない訳ですが、このことについては順次行っているという話ですが、実際に行われているのでしょうか、それとも今後行うというようなことは決めておられるのでしょうか。
【大臣】もう少し、常識で判断していただきたいのですが、国会附帯決議を変えるかどうかということを、まず議論するということです。結論が出て見直しの必要があるということになれば国会に諮るということになる訳で、今そういう議論を政府の中で行っているということです。
【共同通信 西野記者】政府の中で行っているということは、外務省の中でやっているのですか、それとも、外務省を越えてやっているのですか、ということです。
【大臣】まだ外務省の段階ですが、官房長官などには、こういう課題があるということは私(大臣)から説明してあります。
【NHK 梶原記者】来週、鳩山総理大臣がワシントンに行かれると思いますが、そこで日中首脳会談が調整されていると思います。そこでのテーマですが、本日、新たに3人の死刑の執行がありましたが、こういったこととか、或いはガス田の話、どういったことがテーマになってくるとお思いになっているのでしょう。
【大臣】確か、まだ正式に日中首脳会談の方は決まってない、そういう方向だという段階だと思います。ですから、限られた時間の中で何を議論すべきかということは、今後検討していきたいと思います。首脳間で議論するに適した問題とそうでない問題もあるのではないかと思っています。
【NHK 梶原記者】本日の死刑執行について取り上げられる可能性はあるのでしょうか。
【大臣】まだ具体的に検討しておりません。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。 昨日の北澤防衛大臣のご発言についての質問です。米軍普天間飛行場の移設問題に関連しまして、北澤大臣が「一般的に言えば、迷惑な施設としての米軍の駐留地を建設する」と発言されました。この発言は「一般的に言えば」という前置きはありましたが、国防のトップというお立場と、今この時期にという点を考えますと、この発言に関しまして外交面での影響等はいかがでしょうか。
【大臣】その発言は私(大臣)は憶えておりませんが、もし国会で発言されたのなら私(大臣)は隣にいたはずですが。
【ニコニコ動画 七尾記者】報道によりますと、参院の外交防衛委員会です。
【大臣】そうであれば、私(大臣)は隣にいたはずなのですが、あまり記憶しておりません。ですから、コメントは控えたいと思います。
【フリーランス 岩上氏】今朝の産経新聞の1面に「政府はホワイトビーチ案を断念した」という報道が大きく報じられました。この件に関しまして、これが事実であるかどうかということと、それから、そうなりますと「政府の腹案」と言われているものはホワイトビーチ案を含んでいると見なされていた訳ですが、それが変わってしまったのか、こうなると沖縄県内(の移設)は難しくなり、「現状固定」か、もしくは「県外・国外」を追及しなければいけないのか、この点について、今お話し頂けることをお話し頂ければと思います。
【大臣】5閣僚で共有している認識の中身について、お話しすることはございません。それから、産経新聞の1面については、国会でも申し上げましたが、私(大臣)も入った会議でそういったことを決めたという表現ですから、はっきり申し上げますが、全く事実に反しております。
【フリーランス 畠山氏】明日の横須賀訪問ですが、その狙いについて、今一度お願いします。
【大臣】ひとつは、在日米軍、特に海軍の主要たる場所である横須賀で状況を良く把握したいということと、もう一つは今回の密約調査の中でいろいろな議論が出て、横須賀市長からも何度かやり取りが外務省職員との間であり、武正副大臣のところにも副市長だったか記憶しておりませんが、もしかしたら市長かもしれませんが、お見え頂いて話し合いも行われているということであります。そういったことを踏まえて、私(大臣)が市長をお訪ねして、外務省の考え方をしっかり伝えたいと思っているところであります。
【読売新聞 石川記者】北朝鮮に対する制裁についてですが、本日、1年間延長することを決めましたけれども、この制裁が日朝関係の進展について、どれほど実効性があると見てらっしゃるかについて、教えて下さい。
【大臣】両面あると思いますが、事態は全く変わっておりませんので、それは当然、制裁は延長すると、それ以外のことはないと思います。
【毎日新聞 野口記者】来週、ワシントンで核セキュリティ・サミットがあります。日本政府としては、核の平和利用などで世界に貢献できる分野がいろいろあると思いますが、どういったことを日本政府として役割を果たしていきたいか、特に日米で「核なき世界」で歩調を合わせているので、その点でいろいろできると思いますが、いかがでしょうか。
【大臣】核セキュリティ・サミットは核軍縮や不拡散、不拡散は関係があるのですが、そういう分野についての、特にオバマ大統領の呼びかけによって行われるものであります。当然、日本としてもさまざまに貢献できることがあると思います。国際社会にとって、重要かつ非常に緊急の課題である核セキュリティ、核テロ対策について議論するということです。
【共同通信 西野記者】本日の死刑の関係について、改めて受け止めとコメントをお願いします。
【大臣】死刑の執行がなされたということで、大変残念に思っております。同じ日本人として、いかなる罪があったとしても死刑になるということについては、特に短期間に4名の方が死刑になったということですから、非常に残念な思いがあります。しかし、それはそれぞれの国の司法手続きを経て決まったことでありますので、残念な思いと同時に、冷静に対応しなければいけないことだと思っております。
(1)平成22年版外交青書の閣議配付について
【岡田大臣】私(大臣)からは3点です。まず1番目は今日の閣議において、平成22年版外交青書の閣議配付を行いました。内容につきましては、特に私からご説明せずとも、もう既にご連絡がいっていることだと思っております。
(2)ハイチの地震の緊急無償資金協力について
【大臣】2番目はハイチの地震の緊急無償資金協力についても本日の閣議で決定をいただきましたが、我が国政府はハイチに対する追加支援として2,260万ドル、約21億2,400万円を上限とする緊急無償資金協力を行うことといたしました。この追加支援は3月31日にニューヨークで開かれたハイチ支援国会合において私(大臣)から表明した総額1億ドルの支援に含まれるものでございます。我が国としては、国際機関と協力しつつ、シェルター、保健・医療分野において早急にこの支援の実施をする予定でございます。
(3)外交文書の欠落問題に関する調査委員会の設置について
【大臣】3番目ですが、「外交文書の欠落問題に関する調査委員会」の設置について、配付資料のとおり、本日、「外交文書の欠落問題に関する調査委員会」を設置いたしました。この委員会は、先般公表された、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会の報告書、或いは衆議院外務委員会の参考人招致などにおいて指摘された外交文書の欠落問題について、その事実関係を調査・確認するために設置したものでございます。
委員会のメンバーは4名で、私(大臣)、武正副大臣のほか、調査の専門性と客観性を担保するための外部委員として、東京大学の宇賀教授、筑波大学の波多野教授の2人に加わっていただきました。宇賀先生は行政法の専門家で、特に公文書管理や情報公開の分野における第一人者です。波多野先生は密約問題に関する有識者委員会のメンバーであり、外交文書の取扱いに非常に精通しておられます。
お二人には外務省参与となっていただき、守秘義務のある非常勤の国家公務員として委員会の業務に従事していただきます。今後はお二人の専門的知見をお借りしながら、有識者委員会の報告書、参考人招致の質疑などを精査した上で、関係者からの聞き取りなどを行い、速やかに調査結果を御報告したいと考えております。
【フリーランス 岩上氏】ただいま大臣からお話しいただきました「外交文書の欠落問題に関する調査委員会」について、これは先般の有識者委員会の報告の欠落部分を補うような形で行われるものではないかなと思うのですが、その辺の位置づけと、選考した有識者委員会との関係と、それから有識者委員会のメンバーがここに含まれていなくて、また別のメンバーを選定するという違いについて教えていただければと思います。
【大臣】有識者委員会というのは、外務省の調査をした「密約」に関する資料に基づいて、密約問題についての解明を行うということでございます。今回の委員会は、性格は全く異なります。有識者委員会においても指摘をされましたが、外交文書の欠落があるのではないかという指摘もございました。そういうことについて、事実関係を調査するということでございます。
【フリーランス 岩上氏】メンバーが重なってないことはどういうことでしょうか。
【大臣】それは全く違うものでございますので、波多野先生は共通ですけれども、こういう情報公開に関する専門家の宇賀先生に入っていただいたということでございます。
【NHK 別府記者】調査は、ないものを証明するというのは極めて難しいのではないかと想像するのですが、例えば文書を適切に廃棄したとしても、その廃棄簿の記録というのも、保存期間を過ぎている時代のものも対象として指摘されていると思うのですが、実際のところ個々人の聞き取りで得られる証言以外に頼れるきっかけとか、物証があるのか、それ以外に期待できるものというのはあるのでしょうか。
【大臣】基本的にはなかなか難しいことだと思います。そして、対象にするのは、現時点では東郷元局長の指摘されたファイルに関することであると基本的には考えております。
【東京新聞 佐藤記者】「速やかに」ということですけれども、具体的に調査の終了の目途はどのように考えておられますか。
【大臣】これはどの程度ヒアリングをしなければならないかということは、走りながら考えざるを得ないところありますので、具体的な目途と言われても、それはなかなか今、申し上げることは難しいと思います。半年とか1年ということはないと思っております。
【東京新聞 佐藤記者】外務委員会での指摘ですけれども、外務委員会としてはこの調査を見て、谷内さんなりの招致を考えたいということも委員長は言っておられるのですが、その辺の外務委員会の運びと今回の調査の関係について、そのスケジュール感を含めて、改めてお聞かせください。
【大臣】外務委員会は外務委員会の御判断としてお詰めになるんだと思いますが、本来これは外務省の中の問題でありますので、外務省できちんと調査するというのが必要なことだと考えております。
【朝日新聞 鵜飼記者】今も少しお話がありましたけれども、東郷さんの後任になられる谷内元外務次官ですが、谷内さんには当然聞き取りを行うという理解でよろしいのでしょうか。
【大臣】具体的なことは申し上げません。調査が終わった段階で発表したいと思っております。
【フリーランス 岩上氏】対象になるのは、東郷元局長の仰っていた紛失したファイルの件であると仰られました。聞き取りをする人物は非常に絞られてきて、東郷さん、もしくは谷内さん、その週辺の人物になるのだろうとは思いますが、こうした聞き取りは大臣自ら聞き取りをするということはあり得るのでしょうか。ご多忙だと思いますので、どなたか他の方が聞き取りをすることになるのでしょうか。
【大臣】だれに聞き取りをするかということは、私(大臣)は申し上げません。それから、委員会として聞き取りをするということでございますから、私(大臣)は委員会のメンバーであります。
【共同通信 斎藤記者】中国の死刑執行についてお伺いします。これまで日本政府は、事前通告の時点から、繰り返し懸念を表明してきたということですが、ここで実際に執行されたということになりました。今後、この死刑執行をした中国に対して何らかの対応を取るのか、また、今回の死刑執行について、どのように受け止められているのかという点についてお伺いします。
【大臣】何度も申し上げておりますように、基本的にどういう行為にどういう刑罰を科すかということは、その国の立法政策の問題であり、そして具体的な司法の問題であります。したがって、そのこと自身について何か異論を唱えている訳ではもともとございません。しかし、そういった死刑が行われるときに、今、言われているのは、合計4名ということでありますので、もしそういったことが短期間に行われるとすると、それは日本人の感覚からすると、かなり違和感を持つということになることについての懸念を伝えてきたということでございます。
今回、死刑執行ということがあったことは非常に残念なことだと思っております。
【共同通信 斎藤記者】確認ですが、そうすると、これまでは懸念をいろんな形で表明されてきました。例えばこの前、程永華駐日大使を呼ばれて、そこで日本の立場を説明されたと聞いております。今後はまた改めて、つまり3人の方の事前通告を受けていますが、執行はまだされていません。勿論、中国の司法権、主権に関わる話ですから、実際に執行停止を求めるような通告をするのは難しいというのは理解しております。そうした中で、改めて何らかの形でメッセージといいますか、立場を表明するようなことはあり得るのかどうか、この点について教えください。
【大臣】既に先日、大使を呼んで懸念を表明したところでございます。
【テレビ朝日 新堀記者】こうした日本人が海外で麻薬犯罪に関わるケースというのは後を経たないわけですけれども、そうした中でこういった厳しい処罰がある国があるということで、海外の邦人の安全を管轄する外務省として、国民に対して改めて注意喚起というか、メッセージというか、何かお願いできますでしょうか。
【大臣】その点については、前回も申し上げたところであります。麻薬犯罪は、我が国のみならず、国際社会にとって極めて重大な犯罪であります。そして、その対策のために死刑を含む非常に重い量刑を科している国が多いということについて、これは中国だけではありません。前回も申し上げましたが、シンガポール、その他多くの国が死刑を含む重罰を科しております。そのことについて十分に理解をし、今後、国民がこうした犯罪にかかわらない、あるいは巻き込まれることがないということを切に願っているところでございます。
【NHK 梶原記者】今回の死刑執行ですが、中国側では十分なデュー・プロセスが踏まれたという評価でよろしいのでしょうか。
【大臣】基本的にそれぞれの国の司法手続について、明確な反証といいますか、証拠がないときに、それについてコメントをすることはありません。これは日本も同じだと思います。
【NHK 梶原記者】立法政策とか処罰に関しては、なかなか私見の問題ですから言えないと思いますけれども、少なくとも司法の手続が適正であるかというのは、日本国としてしっかり検証していく必要があると思うのですが、今の段階で明確でないとすれば、ある程度調査というのを考えていらっしゃらないのでしょうか。
【大臣】この事案のうち、3人までは自ら犯罪の事実をお認めになったと聞いております。
【毎日新聞 吉永記者】確認ですけれども、今回の死刑執行を受けて、何らかのアクションは中国に対しては今回行っていないということなのでしょうか。それとも行ったなら、どういうことを、例えば懸念をもう一度伝えるなり、そういうことを何らかの形でしたのでしょうか。
【大臣】前回御出席いただいていれば当然おわかりだと思いますが、先週の金曜日に大使を呼んで、日本国民がそういったことについて、さまざまな気持ちを持つということについて、懸念を表明したところであります。
【読売新聞 川崎記者】先週、大使を呼んで、大臣自ら意思を既に伝えてあるということで、本日の執行にそれを踏まえて特に中国側に何かアクションを起こされることはしないという理解でよろしいでしょうか。
【大臣】私(大臣)は「残念なことである」と申し上げました。
【読売新聞 川崎記者】確認ですが、その申し上げたというのは、この会見の場で今、申されたという意味なのか、それとも中国政府に対して大臣のお言葉を外交ルートで伝えたということでしょうか。どちらでしょうか。
【大臣】私(大臣)としては、これ以上のことは私(大臣)はないと思いますが、大使を呼んで、日本国としての国民感情、その懸念を表明したところです。それは今回の死刑執行に関するものではなくて、その後、更に3人(の死刑執行を)行うという通告があって、私(大臣)は大使を呼んだ訳です。
【フリーランス 岩上氏】関連しまして、本当に言葉の正しい意味での確認ですけれども、「懸念」というのは何を指しての懸念になるのでしょうか。それぞれの国の司法制度を重んじるということで、中国に死刑制度があるということに対して抗議とか懸念を表明したわけではないとして、容疑事実に疑問があるのか。そうではないとすると、この場合、どの点について大臣として懸念を表明されたということになるのでしょうか。その死刑自体は仕方がないことではあるけれども、スピードとかそういうことでしょうか。その点をお聞かせいただきたいと思います。
【大臣】それはもう前回の話ですが、そのときに詳しく申し上げておりますが、こういった死刑が連続して行われるということになると、それは国民感情、いろいろな感情が日本国民の中に出てくるといったことについての懸念ということを表明した訳でございます。
【共同通信 斎藤記者】関連してお伺いします。今回の一連の死刑執行をめぐって、中国は1つは日本側に事前通告をしてきた。それから、今回、死刑執行がされた方について言えば、ご家族との面会があった。更には本日、新華社が執行された直後にその事実を発表した。いろいろと中国国内のほかの死刑執行と比べて、若干対応が違うような印象も受けます。この点、中国は日本への配慮、つまり今の日中関係の重要性にかんがみて、何らかの対応をしたという側面があるのかないのか、この点について大臣のご所見をお伺いしたいと思います。
【大臣】それは中国政府にお聞きいただかないと、私(大臣)が憶測でものを言うという立場にはございません。ただ、想像するに、懸念をされたということが背景にあるのかもしれないと想像をしております。
【毎日新聞 吉永記者】今回の懸念を伝えたにもかかわらず、死刑が執行されたということについて、日中関係に何らかの悪影響を及ぼすと大臣自身はお考えでしょうか。
【大臣】国民感情がこのことで何らかの影響を受けるということは、可能性としてはあると思います。そう思ったからこそ懸念を伝えたわけであります。
【フリーランス 岩上氏】先ほどの私の質問に関連しまして、言葉尻をとらえるような質問になってしまって大変恐縮なのですが、大臣は連続して執行することについて懸念を表明したと仰いましたが、そうしますと、懸念の表明のねらいは、連続して行うのではなく、時間をおいて執行するのであればよいということなのでしょうか。それとも、執行についての連続という間の問題ではなく、何か別のところで配慮してほしいということを相手に希望したということなのでしょうか。
【大臣】そういう具体的なことを言っているわけではありません。ですから、4名という死刑執行が短い期間にあるということであれば、それは国民感情に悪い影響を及ぼす可能性があるということで懸念を表明したということです。それ以上でもそれ以下でもございません。
【共同通信 斎藤記者】この中国の死刑問題をめぐっては、昨年の12月にイギリスのブラウン首相が自ら中国の対応を非難した経緯があります。まずこの点をご存じかどうか確認したいということです。それと、イギリスは死刑制度を既に廃止していると私は聞いております。その死刑制度を廃止した国だからこそ、イギリスの対応と日本の対応は異なってきているのかどうか、この辺はなかなかイギリス側にも話を聞かなくてはいけない部分かもしれませんが、外形的に見ると、イギリスの対応と日本の対応というのはやはり違いがあるように思われます。この辺の違いというのはやはり、両国の死刑制度の違いにあるのかどうか、この点についてのご所見をお伺いしたいと思います。
【大臣】まず、イギリス政府がそういったことについて、中国政府に対して述べたということは、ひとつは確かに死刑制度そのものを認めていないということはあると思います。死刑制度を認めていない国が、これは日本も含まれるわけですが、死刑制度をそのまま残している国に対して、死刑制度そのものが批判の対象になって、なくしたわけですから、これを残していることに対する批判。ましてや自国民が、死刑制度はないわけですから、自国においては死刑にはならないにもかかわらず、外国において死刑になるということがひとつです。
確か私(大臣)の記憶ではイギリスの場合には、精神的にそういう不安定な状況にあったということで、犯罪を犯したときの状況というものを考慮に入れるべきであるということもあったかと思っております。
【毎日新聞 野口記者】普天間飛行場の移設問題についてです。本日の衆議院の安保委員会でも取り上げられていましたが、太平洋軍の太平洋海兵隊のスタルダー司令官が、沖縄海兵隊の役割について、「北朝鮮が崩壊した場合の核の撤去が最重要な任務である」と発言したと毎日新聞が報じて、それについて長島政務官が承知していると、政府として認めました。海兵隊の役割はさまざまな役割があると思いますが、北朝鮮への対応ということが最大の任務となりますと、沖縄でなくても北朝鮮と地理的に近い西日本や九州でもいいのではないかという議論があると思いますが、その点は大臣、どうお考えでしょうか。
【大臣】まず、その発言を私(大臣)は確認をしておりません。それから、北朝鮮への対応というのは、一つの日本を取り巻く環境の中で、非常に重要なテーマだと思いますが、別にそれだけのためにということで必ずしも言ったものではないと私(大臣)は想像しております。
【朝日新聞 鶴岡記者】大臣は本日の同じ委員会で5月末までに政府の案を出すと答弁されましたけれども、基本政策閣僚委員会を開いて政府案を決定するのが5月末になるという段取りでお考えでしょうか。
【大臣】政府としての案を最終的に作ると、決定するというのが、5月末であるということは従来から答弁してきているところです。
【共同通信 井上記者】普天間に関連してですが、大臣は「今後米国と、これまでに現状を説明して、これを踏まえて今後実務的に詰めていく必要がある」と仰いまして、「ルース大使に伝えてから間がないので、今回の訪米については詳しい話にはならないだろうと、実際にならなかった」と仰っていますが、今後実務レベルの協議の見通し、いつごろから始まるのか、そういった点について、今の段階での見通しについてお聞かせください。
【大臣】それは適宜やっておりますけれども、具体的な内容については、お話しすることは避けたいと思います。
【琉球新報 滝本記者】普天間に関してなのですけれども、今月の25日に沖縄の方で、県民大会というのがありまして、県民が「県外、国外を」ということで、県内移設反対の意思表示という形の取組みが進んでいるところです。まず、この県民大会というものが開かれるということについて、やはり一つの民意の表れという形になると思うのですが、これをどのようにごご覧になっておられるかというのをまずお聞かせいただきたいのですが。
【大臣】それは沖縄県民の皆さんが、そういう県外、国外というご意見をお持ちの皆さんが集ってその意思を表明されるという大会であると認識をしております。
【琉球新報 滝本記者】引き続きまして、今、まさに仰られたのは、県外、国外を望んでいる方が参加するという仰られ方だったと思いますけれども、ただ、先般、沖縄県知事も上京されて平野官房長官、北澤防衛大臣とお会いになられたり、その際にも、やはり沖縄県内には県外移設等を求めるボルテージが上がってきているという県民世論の意思をお伝えになられたり、或いはご存じのように、県議会でも全会一致の県外移設要求、或いは県の市長会という組織でも県外移設要求など、それぞれさまざまな段階、レベルの県内の決議なりが、「県外」ということを求めてきています。更にそういう中で改めて民意というものを示す格好で県民大会というものが開かれなければならないというか、県民が開こうというような形にもっていくという気持ちになるというのはなぜなのか、大臣はどのようにご覧になられておられますか。
【大臣】それは難しいご質問です。やっておられる皆さんがどのようにお感じになっているかということですが、もちろん、はっきりと意思を表示したいという方々が、会を主催されて、そこに集われるということだと思っております。
【J-CASTニュース 野口記者】普天間について鳩山首相は腹案があると言って、岡田外相は、政府の中でコンセンサスがあると言っておりますけれども、実際に政府の中で腹案があるとしても、それが実際に米国にどのように受けとめられるのか。例えば、基地機能として、徳之島になるのではないかとか言われていますけれども、分散した場合とか、1か所になる場合とか、例えば米側の戦略として、うまく受けられない場合があると思うのですけれども、それに対してどうやって対処していくのか。
【大臣】本日初めての参加なので、初歩的な原点に戻った質問かと思いますが、国会などでも何度も答えておりますように、5閣僚の間で、共通の認識を持ち、そして、それを米国側、或いは地元と順次意見交換を行う中でより具体化していくというプロセスに現在あるとお考えいただければと思います。
【日経新聞 山内記者】先ほど大臣が5月末までに政府として案を最終的につくると、これは米国政府がのめる案という前提なのでしょうか。
【大臣】これは何度も申し上げていることですから、米国も理解をし、地元にも理解されるという案として政府が決定するということは、何度も申し上げているところであります。
【共同通信 比嘉記者】今の質問に関連しまして、5月末までに米国も理解し、地元にも理解されるということですが、具体的にどこという話ではないのですけれども、地元の理解というのはどのレベルで理解されれば、それは地元の理解を得たと大臣はお考えでしょうか。
【大臣】定量化することは非常に難しいです。ただ、最終的には政府の責任で決めるものと考えております。これは、基地の移転だけの問題ではなくて、例えば8,000人のグアムへの移転、その結果としての基地の返還、これは全体で1つの話でありますので、それは全体として理解していただくということが必要であると考えております。
【共同通信 井上記者】先ほどの質問に戻るのですが、米側と適宜やっていると仰ったのですが、これは、ルース大使に今の考え方を伝えて以降、米側からやりとりが始まっていると、米側から今の日本政府が伝えた考え方や案について、米国政府から何らかの反応があったととらえてもよろしいのでしょうか。
【大臣】詳細はお話ししません。
【琉球新報 滝本記者】先ほどの県民大会の件に戻りますけれども、「県外を希望する人たちが開催され、集うということになるんだろう」と仰られました。当然タイトルとしては県外移設を求める大会ということになっているわけなので、そこの県民大会が開かれるということを県民の民意としてどれくらい出ているのかということについては、大臣はどのようにご覧になっているのでしょうか。一部のそういう意見の方がそのように集まってやられるというだけのことだとお考えなんでしょうか。
【大臣】「だけのこと」という表現は、私(大臣)は全く使っておりませんので、そういった表現をされることは適切ではないと思います。基地を「県外に、国外に」と願う人たちが集まって集会をもたれるということだと思います。
【朝日新聞 高橋記者】本日のニューヨーク・タイムズでオバマ大統領が会見で『核なき世界』に向けて、「非核保有国に対してはNPTを順守しているということを前提に核兵器は使わない」ということを言われました。それについての大臣の受け止めをまず教えて下さい。
【大臣】私(大臣)はニューヨーク・タイムズの記事そのものは確認をしておりません。ですから、NPRがまもなく発表になりますので、それを踏まえてコメントしたいと思っております。今朝、国会でも申し上げましたが、クリントン米国務長官からNPRの中身についても説明を受けましたが、それは公表するまでは言わないという約束で説明を受けておりますので、若干の意見交換もいたしましたが、そういうことは実際に公表された上でコメントしたいと考えております。
【フリーランス 畠山記者】先週からアフガニスタンで行方不明になっている常岡浩介さんの件についてお伺いします。平野官房長官は記者会見で「誘拐されたことは承知している」と発言されました。岡田大臣は先週の会見で「コメントしません」というお言葉を4回繰り返されましたが、その状況は現在も変わっていないのでしょうか。
【大臣】アフガニスタンでの誘拐の疑いもある邦人の行方不明事案については承知をしております。
【フリーランス 畠山記者】承知をしていらっしゃるということですが、それ以上コメントされないというのは人道上の観点からと考えてよろしいのでしょうか。
【大臣】被害にあっている可能性のある方の安全に影響しうるということでコメントはいたしません。
【フリーランス 畠山記者】コメントされないという大臣のお考えは分かりましたが、各メディアがこのような疑いがあると報じた事実というのは残るのですが、この情報は外務省から漏れたものなのか、それともどこか他からも漏れたのか、大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】憶測でものを言うことは避けたいと思います。若干何名かの方が電子メディアを使ってその旨言われているということは承知をしております。
【ビデオニュース・ドットコム 竹内記者】砂川事件の関連についてです。砂川事件の時の日米間で行われた裁判についての会議記録が今まで不存在とされていたものが、先週の金曜日、4月2日に公開されたと報道されています。それについて、今まで不存在となっていたものが何故実際には存在していて、どこから見つかったのかという経緯を伺いたいのと、今まで不存在となっていたものが実際には文書があったとすると、有識者委員会での4つの密約についての調査や西山太吉さん等による沖縄返還についてのいわゆる密約の情報開示請求訴訟で国側が主張している文書が存在しないという主張の信頼性等にも影響を与えると思いますが、その点についても見解をお聞かせ下さい。
【大臣】今回、密約に関する徹底的な調査を行った結果として従来不存在としていたものが、そうではないということが明らかになったということです。
【毎日新聞 内藤記者】先月公表されました、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会の報告書の関連で一点教えて下さい。沖縄の返還協定では、日本から米国に支払う支払額は3億2000万ドルということで、その中に報告書では土地の原状回復費400万ドルとVOAの移転費1600万ドルを3億ドルに積みまして3億2000万ドルという経緯を明らかにしましたが、これまでの政権は積み増しを認めてきませんでした。岡田外務大臣はこの有識者委員会が報告したようにこの肩代わり、この積み増しが含まれていたというご認識であると理解してよろしいでしょうか。
【大臣】今回の調査委員会の報告書は今、手元にありませんが、そこにも書いてありますが、国会答弁等でも3億2000万ドルについて、それを何に使うかは米側に委ねられているという答弁も当時も行っておりますので、したがって原状回復費、本来米側が払うことになっているものについて、それを隠したというように言えるのかどうかというのは報告書もそこまで明確には言ってなかったと思います。したがって、「広義の密約」という表現をとっていたと思います。
【毎日新聞 内藤記者】そうすると、「広義の密約」という報告書のとおりのご認識ということでよろしいのでしょうか。
【大臣】この場でも何度かお話を申し上げましたが、有識者の皆さんが専門性に基づいて議論した結果「広義の密約」という結論を出されました。それについて外務省がそれが正しいとか間違っているとか、そういう立場にはございません。これからも、さまざまな議論があり得るのだろうと思います。現に第3の密約の沖縄の核再持ち込みに関する問題については、有識者委員会は「これは密約とは言えない」という結論ですが、それに対してさまざまな学者の先生方からも異論を述べられている訳で、そういう議論が行われることを私(大臣)は歓迎したいと思います。そういう議論を通じて、より真実と言いますか、考え方も含めて明らかになっていくということですので、外務省として何か断定をするということは避けた方がいいと考えております。外務省は事実関係だけはきちんと明らかにさせていただきましたので、後は解釈にあたる部分はそういう意味で外務省が一義的に決めるのではなくて、そういった議論の中で固まっていくということだと思います。現時点では有識者委員会の報告書、そこでは「広義の密約」というように位置づけているということです。
【世界日報社 山本記者】西山記者の関連で、3月12日の記者会見で大臣は「西山記者が有能で素晴らしい記者だったが、ジャーナリスト界から追放されるような形になった」というようなことを言われたという報道がありましたが、その時(会見時)私はいなかったものですから、どういう形で取材してもいいというようなニュアンスに受け取れられかねないかもしれませので、その辺りは大臣はどのようにその問題についてお考えなのかご所見をお聞きしたいと思います。
【大臣】取材の方法において問題があったということは同時に言えると思います。また、そういう判決も確定をしているということです。そのことは横において、ただ「記者として能力のある人、そういう方がメディアの世界から去らざるを得なかったということは惜しいことだ」と申し上げた訳です。
【フリーランス 大川氏】米国カリフォルニア州で6年に亘って連載をさせて頂いています。大臣はこの前もカナダに行かれたりしておりますが、歴代政権はいつもワシントンやニューヨークだけに行って、最大の日系社会であるカリフォルニア州は必ず無視されてお帰りになっています。私は何度も言っているのですが、やはり今回もトヨタの問題で声を上げるのも米国の日系社会であり、イラク戦争があったときも「イラク人を第一に差別するな」と一番最初に声を上げたのはカリフォルニアの日系社会でございます。是非とも北海道で「外務大臣と語る会」をやられるのであれば、カリフォルニア州でもそういったお考えはあるのかということをお伺いしたいと思います。
【大臣】カリフォルニア州も非常に関心はあるのですが、非常にタイトな日程の中で動かざるを得ませんので、具体的な案件がないとなかなか行く機会がないということで、どうしても会議とか、或いは政府の人間との会談ということが優先されるということであります。ただ、私(大臣)は1月13日にハワイでクリントン米国務長官と会談を行った際に、日系人の代表者の皆さんと懇談するという機会がございました。そこで様々なお話も聞かせて頂いたところであります。
【フリーランス 大川氏】シュワルツネッガー知事とかは、トヨタのプリウス等ハイブリッド車を優先レーンに走らせるとか、大変親日的なことをいろいろやって頂いています。日系社会の方がいつも仰っているのは、大臣並びに総理がご希望であれば、そういったセッティングをボランティアでしたいと仰っているのですが、もしそういうご要請があったら、会って会談されるということはお考えでしょうか。
【大臣】ですから、なかなか行く時間が取れないという根本的な問題がありますので、機会があれば是非西海岸の方にも行ってみたいという気持ちもありますが、先般もハイチに行ったときも、帰りはマイアミで一泊しましたので、マイアミにあるJICAの(緊急援助物資用)倉庫だけは見る機会があったのですが、それ以外には時間が取れませんでした。マイアミも非常に特徴のある都市ですので、これも少し時間をかけたいと思ったのですが、全くそういうことはできませんでした。そういう状況にあることを是非ご理解いただいて、機会があればということでお願いできればと思います。
【共同通信 井上記者】今朝のクリントン米国務長官との電話会談なのですが、これはまず一つ確認したいのは、先方から「NPRについて説明したい」ということで申し入れがあったのかどうかという点と、「内容について、公表するまで明かせない」ということですが、内容は聞かれているということで、今回のNPRによって、核抑止力とか、そういったことで日本への抑止力提供ということに影響はないのかどうか、その点についてどう見ていらっしゃるのか、お聞かせ下さい。
【大臣】電話はクリントン米国務長官の方から説明したいということで架かって参りました。おそらく日本だけではなくて、手分けして同盟国中心に連絡されているのだろうなと想像はいたします。中身は現時点ではお話できません。もちろん、全体を説明するだけの時間もありませんので、話していたのは15分か20分ぐらいだったかと思いますが、日程的なことについて長官からお話があり、私(大臣)が2、3質問をしたという形でございます。クリントン米国務長官からは「先般のG8外相会合で、私(大臣)が核に非常に関心を持っていることは分かっているので」というお話でした。
【共同通信 井上記者】核抑止力への影響があるかどうかについて、どう見られているかについて、お聞かせ頂けますか。
【大臣】ですから、中身については発表された時点でコメントしたいと思います。
【琉球新報 滝本記者】本日の外務委員会でもお話があったのですが、外務省沖縄事務所の米軍関係者が撮られた写真の写真展の件で、今朝の閣議決定された答弁書でもありましたけれども、予算は本省から出しているというようにあったのですが、写真展で賞を与える場面で、商品とか景品とかいうことについては、ポケットマネーで職員の方が買われて払われていたということについて、公できちんとするものであれば、ポケットマネーで使うことではなく、そういう景品の部分も含めて、きちんと公費処理をすればいいのではないかと思います。私費の部分でポケットマネーでそういうものを買われてやられるというのは、何かやましい部分があるのではないかという指摘もあったりするのですが、ポケットマネーで景品を買って賞として与えるということについて、如何ですか。
【大臣】先ほど国会でもご質問ありましたのでお答えいたしました。照屋先生の質問だったと思います。そういった写真展を開いて、沖縄の皆さんと米軍の関係者の皆さんとの交流を深めるということは、私(大臣)は意義があることだと思っております。従って、100万円と少しだったと思いますが、予算を使って、そういう一連の展示会といいますか、そういうものを行ったということであります。基本的にはそれで完結している訳ですが、賞だけではなくて景品もということで、気を利かせて外務省の職員が自らのポケットマネーでそういった景品を付けたということであります。そのことが何か問題であるとは考えておりません。
(1)ハイチ支援国会合及びG8外相会合について
【岡田大臣】三点申し上げます。一点目は出張の件ですが、今回3月31日にニューヨークで開催されたハイチ支援国会合に出席のため、ニューヨークにまいりましたが、そのことと加えてG8外相会談、そして米国のゲイツ長官とのバイの会談、クリントン米国務長官とのバイの会談などを行ってまいりました。
先ず、ハイチ支援国会合ですが、全体で59の国や国際機関から53億米ドルの支援表明が行われたということで、非常に良い会合だったと思います。私(大臣)からは仮設住宅の建設、感染症対策などを含む、プラス3000万ドル、総額1億ドルの支援を行うことを表明したところです。どこかの新聞が書いておりましたが、クリントンご夫妻の姿が非常に目立っていた会合で、どちらかが挨拶の中で言っておりましたが、「新婚旅行はハイチに行った」ということもあって、大変思い入れが深いということだったようで、非常に力を入れて会議の主催をしておられたと思います。
G8外相会談は、ニューヨークで夜に食事を取りながらということを(昨年)9月にいたしましたが、それに続いて今回1日半かけて様々な課題を議論するということでありました。議長声明、或いは外相会談の結果はもう既に紙になっておりますのでご覧いただいていると思いますが、どちらかというと少人数で自由に議論しようと、これはカナダ政府の方針もあったと思いますが、G8+EUですから、代表者は9人いる訳ですが、それに一人づつ付いて、日本の場合ですと佐々江外務審議官が付いて、全体18人で一つの机を囲んで議論をするということです。もちろん発言できるのはその内の代表者9人だけです。それぞれ外務大臣(の経験)が長い方もいらっしゃって、それぞれの経験に基づいて非常に興味深い意見のやりとりがありました。フランスのクシュネール外相などは、やはり国境なき医師団の創設者の一人ですから、その時の経験の方がむしろ饒舌になって話しておられたと思います。その中で私(大臣)からは核の問題で「『核なき世界』と言うために一歩踏み出す」、そういう表現をなんとか文書の中に盛り込めないかと、もう一つは「核の役割を低減する」ということを盛り込めないかということで、これは実務的にも徹夜のような状態で交渉してもらった訳ですが、なかなか難しいということで、私(大臣)が改めて提起をして、全体で写真撮影の前後合わせて60分くらい議論をいたしました。私(大臣)も5回か6回発言しましたが、最終的にはコンセンサス方式ということで、フランスの強い反対があり、それに他のEUの国々も最終的には荷担したということで、残念ながら今回は文書化はされなかったということです。ただ、非常に良い話し合いができましたので、核の軍縮の問題、不拡散の問題、特に今回は軍縮の問題ですが、引き続いて、こういったG8外相会合などの場で話し合いをしていけば、次第に議論が深まっていくのではないかと思います。
クシュネール仏外相には、この会議が終わった後、立ち話で「フランスの核政策についてよく勉強してウィークポイントもよく探し出して、次回は必ず論破するからな」と言っておきましたが、それぞれの国は核について、核を持っている国は論理と思い入れがありますから、そういったこともしっかり把握をしながら、更に議論を深めていきたいと思っております。
バイの会談はそれぞれ行いましたが、特に米国の関係でゲイツ長官と40分くらい意見交換を行いました。非常ににこやかに会談が行われました。中身は既にブリーフを行っておりますので、繰り返すことはいたしませんが、これからよく話し合っていこうということになりました。「また近々お会いしたいですね」とゲイツ長官が言われるので、私(大臣)が「6月が良い」と言いましたら、ゲイツ長官は「シンガポールで会うのか」と、シンガポールで防衛大臣会議を毎年やっていて、それだと思っていたので「いや、そうではなくて、5月末の後だ」と申しまして「そうか」ということで、「5月末に普天間問題をきちんと解決した上で6月にお会いしたい」というように申し上げておきました。もちろん、それまでにお会いすることもあるかもしれません。クリントン米国務長官とは、会議が始まる直前でしたので25分くらいですか、この普天間の問題もやりましたが、特にイランの問題、それからミャンマーの問題を中心に意見交換を行いました。なお、ジョーンズ補佐官とは、ジョーンズ補佐官がアフガニスタンに大統領とともに行かれたということで、ワシントンでほぼすれ違いのような状態になりましたので、改めてカナダで1時間程かけて、電話で会談をいたしました。会談の中身は普天間の問題も若干触れましたがが、ほとんどはイランの問題ということでありました。何れにしても、有意義な意見交換が行われたと考えております。
(2)国連安全保障理事会の議長国について
【大臣】次に、今月(4月)日本は国連安保理の議長国ということになります。したがって、イランの問題なども非常に責任が重くなる訳ですが、16日には日本が重視している平和構築の問題を取り上げて、テーマ別会合を開催したいと考えております。国会の了解が得られれば、私(大臣)がニューヨークに赴いて会合の議長を務めたいと考えております。今月、議長国の間に我が国からも要員を派遣しておりますスーダンの国連PKO(UNMIS)の任務の延長問題、或いは中東情勢などが取り上げられる他、先程言いましたイランの核問題が取り上げられる可能性があります。これら国際社会の重要問題に対して安保理がしっかりと対応していけるように議長国として指導力を発揮していくつもりです。
(3)中国での邦人に対する死刑の執行について
【大臣】三番目は、中国における邦人の麻薬密輸犯に対する死刑執行についてです。3月29日に麻薬密輸罪によって死刑が確定している赤野光信受刑者の刑執行の通報があり、また昨日4月1日には新たに武田輝夫受刑者、鵜飼博徳受刑者、森勝男受刑者、合計3名に対する刑の執行の通報がありました。我が国としては、これまで在中国日本国大使館などを通じ、中国外交当局に対して死刑執行に関する我が国の関心と懸念を表明してまいりましたが、3月29日の赤野受刑者に対する死刑執行の通報を受け、3月31日午後に在中国日本国大使館より中国外交部に対して懸念を表明したところです。しかしながら、更に3名に対する死刑執行の通報があったことを受け、本日午後、これからですが、程永華在京中国大使を外務省に招致し、私(大臣)から直接死刑執行に対する懸念を表明したいと考えております。
【NHK 禰津記者】アフガニスタンで日本人のフリージャーナリストが行方不明になっているとの話がありますが、誘拐されたという指摘もあるようですが、事実関係、あと外務省として、今どのような対応をとっているのかについて、お伺いします。
【大臣】特にコメントいたしません。
【NHK 禰津記者】行方不明になっているかどうかという点に関しても確認できないでしょうか。
【大臣】コメントいたしません。
【フリーランス 畠山氏】今、アフガニスタンで行方不明になっている常岡さんのことについて、「特にコメントいたしません」ということでしたが、その理由というのはどういったところにあるのでしょうか。
【大臣】今仰ったことの事実関係も含めて、コメントいたしません。
【フリーランス 上杉氏】アフガニスタンで何者かに拘束された常岡浩介さんですが、朝のフジテレビの報道によると、外務省も事実関係について調査しているとありますが、そのことに関しては事実かどうか、報道の事実かどうかという点に関してはいかがでしょうか。
【大臣】その点も含めて、コメントを差し控えたいと思います。
【共同通信 齋藤記者】改めて、今仰った「コメントしません」という理由についてお伺いしたいと思います。といいますのは、邦人の安否にかかる情報は確かに公表できないというケースが多いというのは我々も分かっております。したがって、邦人安否については、一切コメントできないという意味で仰られているのか、今回の件についてコメントできないのか、コメントできないと言われるバックグランドについて説明頂ければ有り難いです。
【大臣】それを説明することは、何らかの事実について発言することに繋がりかねませんので、そのことも含めて、コメントできません。
【毎日新聞 野口記者】普天間飛行場の移設問題についてです。ゲイツ長官との会談の後、大臣は記者団に対して、現行計画については非常に難しいということを述べておりました。これまで大臣は、現行計画については、ゼロベースなので現行計画も検討の対象になるという趣旨の発言をしておりましたが、ゼロベースだったものが現行計画が難しいという認識に至った変化について教えて頂けないでしょうか。
【大臣】あなたの書かれた記事も読みましたが、私(大臣)は、考え方は全く変えておりません。従来からゼロベースで、つまり検討対象に入っているということを申し上げて参りましたが、検討対象に入っているということと、しかしそこに困難さがあるということです。我々が今考えている案と比べて、より困難さがあるということは首尾一貫している訳ですから、何か意見が変わったということは全くありません。
【共同通信 西野記者】日本側が考えている方が、日米で合意した現行計画よりも実現可能性が高いということでしたが、鳩山総理も国会の中で「腹案」と称されて実現可能性が高いということでお話になっています。大臣がルース駐日米大使にお示しになった日本の考え方というのと、総理が腹案というように仰ったものは、大体同じものだと考えてよろしいのでしょうか。
【大臣】大体ではなくて同じです。
【共同通信 西野記者】全く同じものだと。
【大臣】はい。
【時事通信 高橋記者】ゲイツ国防長官との会談についてお伺いします。会談の後にペンタゴンが声明を出しまして、その会談の中身でゲイツ長官の発言の一端を紹介しておりまして、沖縄海兵隊という在沖海兵隊の重要性、その海兵隊が運用面でもオペレーションの上でも、政治的にも、「ポリティカリー」と書いていましたけれども、その両面で持続可能になるように日本政府はしっかりと力を尽くしてほしいというようなことをゲイツ長官は発言したと、公式に発表したペンタゴンの声明の中で書いております。
それから、日本政府のブリーフでは、運用面、政治面というような発言は我々には紹介はなかったのですけれども、なぜこの紹介はなかったかという点と、この発言に対して大臣の方からどのように反論といいますか、御主張をなさったのかということをお聞きしたいと思います。
【大臣】会談の中身をどこまでお話しするかというのはそれぞれの判断ですので、日本側から細かくは言っていないと理解いたしますが、ゲイツ長官は、運用面で抑止力を維持したままそれができるのかという意味で、当たり前のことを仰っていたと私(大臣)は理解しております。
もう一つは、政治面というのが地元の問題です。あと、日本の政治状況ということで仰ったのですが、私(大臣)からは、「それは日本政府が責任を持ってやる話なので、任せてもらいたい。政治状況まで御指摘いただかなくても、それは日本政府の中できちんとやります」と申し上げておきました。
【朝日新聞 鵜飼記者】今のお話に関連して、地元の理解とか了解を得るという作業ですけれども、これを今後どのように進められていくのでしょうか。今回、ルース駐日大使への説明を皮切りに米国に説明をされて、これから対米交渉というのも始まっていくのかと思いますけれども、それは並行して進んでいくのか、地元の方が先行して進んでいくのか、そういったタイムラインを少し御紹介いただけますでしょうか。
【大臣】どういう順番でどうやるかという話については、私(大臣)からこの場で申し上げることは控えたいと思います。しかし、最終的な姿としては地元の理解を得、そして米国と合意する中で初めて移転ということが可能になるということであります。
【時事通信 水島記者】今後の取り運びも含めてですけれども、本日の官房長官の午前の会見では、ちょうど岡田大臣も帰国されたので関係閣僚による関係閣僚会議というのでしょうか、本日中にもやる方向でやらなければいけないようなということを仰っておりますが、本日中にそのような機会を持たれるのでしょうか。
【大臣】それは官邸がお決めになることですけれども、官房長官がそう仰るのであればそういうことだと思います。
【NHK 禰津記者】大臣が訪米されているので、一方で北澤防衛大臣は沖縄の方に行かれまして、地元に説明を行っていますけれども、今後、北澤大臣や防衛省側とも今回の成果というものはどのように共有していって、どのように話し合っていくおつもりなんでしょうか。
【大臣】大臣間の連携は十分に情報交換を密に行っておりますので、「どのように」と言われても「いつものように」と言うしかないと思います。
【ニコニコ動画 七尾記者】海外同行取材をさせていただき、ありがとうございました。少し話が前後するかもしれないのですけれども、G8外相会合の共同記者会見の後、クリントン米国務長官が普天間基地の移設問題につきまして、「我々はなお現行案が望ましいと考えている」と語りましたが、その一方で、「日本政府から提案があれば考慮する用意がある」とも仰いました。この発言について、現地で大臣は、「解釈はいろいろできるから分からない」と仰ったのですけれども、時間を置きまして、今、改めて思い起こしてみて、クリントン国務長官の発言の真意についての解釈のほどはいかがでしょうか。
【大臣】長官の真意がここにあるなど、私(大臣)が言わない方がいいと思います。別に新しいことを言われたわけではなくて、現行案は最善であるというのは米国が一貫して言ってきていることです。しかし、では現行案でなければならないのかというと、それは聞く耳は持つということを仰いました。それは聞く耳を持つからこそ、ゲイツ米国防長官に我々の考え方というのを先週説明を行ったわけであります。
【共同通信 西野記者】クリントン国務長官、ゲイツ国防長官とお話をされたということで、今後は実務レベルでやっていくことになると思うのですけれども、その見通しのようなものというのは、今のところどうなっているのでしょうか。
【大臣】それは一生懸命やるしかないと思います。
【共同通信 西野記者】局長クラスでやるのでしょうか。それとももうちょっと下のクラスでやるのでしょうか。
【大臣】それは特に申し上げる必要はないのではないかと思います
【フリーランス 岩上氏】政府案、或いは腹案と言われるものが、もう既に決まっていらっしゃるんだろうとは思いますが、それについてはお尋ねいたしません。それとはまた別に、ホワイトビーチ案というものが浮上しているということが取りざたされておりますが、ホワイトビーチ案というものは、沖縄県民の理解を得られるプランになるとお考えでしょうか。今、沖縄県民はその県外移転というものを非常に強く希望していると伺っておりますけれども、確かに島の陸上部からは基地がなくなって、海上に行くということになるのでしょうが、これはいかがなものでしょうか。大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
【大臣】今の御質問は、特にコメントいたしません。
【読売新聞 川崎記者】日米合意の現行案について、非常に困難であるということを今回の会談でも大臣は仰られたと思いますが、それでは現時点で現行案というのは、なお選択肢に含まれるという認識は、大臣はまだ変わらないのかどうか。現行案はもうないということなのかどうか。大臣が仰るゼロベースの中には、現行案はなおまだ含まれているのかどうかについて、改めてお聞きします。
【大臣】先ほどお答えしたと思いますが、私は従来からゼロベースということを言っております。そこは変わっておりません。総体的に、今、政府案として考えているものと比べれば、困難さがあるということですが、総体的に困難さがあるということと、(現行案が)なくなったということは、全く次元の違う話であります。
【フリーランス 岩上氏】今、冒頭で大臣がお話頂いた点に関して、2点。同行の記者団にはブリーフィング等をされたと思いますが、以前もありましたが、ネットメディア等があります。大臣の口から直接、国民に向こうでの模様をできるだけ詳細に語っていただきたい。一点は、核政策を巡って、特にフランス側と非常に強くやりやったという内容について、できればもう少し詳細にお語り頂きたいということと、それから、今のゲイツ米国防長官との会談は、「ブリーフィングをしたということで割愛します」ということを先ほど仰られましたが、この内容について、繰り返しになるかもしれませんが、ダイレクトに国民に語っていただきたいと思います。
【大臣】核政策につきましては、先ほど言いました「核なき世界を目指す」ということと、それから「核の役割を低減する」ということです。いずれも、オバマ大統領のプラハ演説に出てくる話でありますが、そういった表現を成果物に盛り込むべきだということを申し上げました。それに対して、特にフランスのクシュネール外相からは、フランスの政策、自らは核の縮減ということは自発的にやってきているということですが、しかし、核の役割を低減するというのは、そういう考え方にはフランスは立っていないということです。例えば、核の役割を低減するということで、まず思い浮かぶのは、核を持っていない国に対する核使用をしないという「核の消極的安全保証」ですが、フランスは必ずしもそういう考え方に立っていない。通常兵器の攻撃に対しても自国の安全を確保するためには、核を使うということを排除していないということで、私(大臣)が言った「核の役割を低減する」という考え方とは相容れないということでありました。これは、外務大臣レベルで対応できることではなくて、国の大きな政策であるということで、絶対譲れないということです。昨年のG8サミットでの表現を基本的に踏襲してもらいたいということでありました。私(大臣)からは「この1年があったのだから、前進を示すべきだ」ということで、途中からは「議長声明でもいいから残してもらいたい」ということを申し上げましたが、フランスは非常に固いということでした。あと、どこの国が何を言ったかというのは、あまり言うべきではないと思いますが、私(大臣)の立場に立って、発言をしてくれた国もありましたが、やはりEUの中の協力と言いますか、最後はそういうことです。それから、コンセンサスの取れてないものは書かないということでありますので、一人でも強硬に反対するということになると、それは書かないということで今回は盛り込まれなかったということであります。ロシアも核の先制使用ということを否定しておりませんので、ロシアも賛成できないということであります。今回、ひとつは、そういう核の先制使用ということ、或いは核を持っていない国に対する核の使用ということを、必ずしも否定していない核保有国があるということですから、「消極的安全保証」ということを、より実効性を高めるためには、核を持っている国は皆そのことを認めないと、例えば安保理でそれを決議するとか、そういうところまで行かないと単な髏骭セで終わってしまう訳ですが、一つ一つそれぞれの国ときちんと議論していかないといけないということを改めて感じました。もう一つは、G8サミットというのは、核を持っている国と持っていない国がそれぞれいて、非常にユニークな構造になっておりますが、こういうところでしっかり議論していくことが全体の核軍縮を進める上で非常に有用ではないかと改めてそのことを感じた次第であります。これ以上やると、新たに来た日本の外務大臣は変人ではないかと思われてもいけませんので、全体の1日半の議論の中で1時間というのは相当な時間ですので、他にお互い激論になったという点もありませんでしたので、私(大臣)も途中で断念をしたということであります。
それから、ゲイツ国防長官との話というのは、多分、紙は出ているのではないかと思うのですが、あまり具体的な中身を言うべきではないとい思ますけれども、私(大臣)からは日本の考え方ということは、具体的には説明しておりません。これはクリントン国務長官に対してもそうです。それはルース駐日大使に説明したということで、中身の説明までは今回しないという方針で私(大臣)は挑みました。ただ、ゲイツ国防長官からは、実行可能性ということについて、若干の質問があったり、それから、会話の中で私(大臣)の方から、日米合意案が一番いいというのが米国政府の考え方だというのはよく分かっているけれども、しかし、実際に実現可能性ということを考えると、我々が提案した考え方の方が、より実現可能性が高いと考えているので、真剣に検討してもらいたいということを申し上げたところであります。
【北海道新聞 島田記者】昨日ですけれども、北方領土解決の新基本方針が正式決定したと思うのですが、それに対してロシアの外務省が、その中に「固有の領土」と明記していることに対して、ビザなし交流の中止とか、そういうことをほのめかしながらかなり反発しているようですけれども、その点に対しての大臣の御見解をお願いします。
【大臣】日本の政府の従来の考え方を述べたものでありますから、それをもって反発されるということについて、必ずしも理解は容易ではありません。そういったことは、従来、外相レベルでも伝えてきておりますので。
【TBS 樋口記者】冒頭に大臣が触れられた中国での日本人の死刑執行についてお聞きします。大臣はこの後、外務省に大使を呼んで、懸念を表明したいと考えていると仰いましたけれども、具体的にどういうことに対して懸念を表明されるのか。またその懸念というのは、死刑の執行を中止してほしいという要請とはまた違うということなのか、その点も含めてお願いします。
【大臣】この問題はなかなか難しい問題ではあります。それぞれの国に法律があり、そして司法制度があるわけですから、そういう中で死刑という判決を受けた。そのこと自身について、中止をしてくださいとか、そういうことを正面から言うわけにはなかなかいかない問題だと思います。
日本は、他の国から同じようなことを言われたら、それは司法の独立ですとか、日本の国内問題ですとか、そういう問題になるのだろうと思います。
ただ、先般、死刑執行について懸念の表明を行って、また、続けざまに3名ということでありますので、そのことについて日本政府として懸念を表明したいと考えておりますか。
その懸念というのは、こういう形で日本人が1人から3人、4名引き続いて死刑になるということが国内世論にも影響を及ぼしますし、あるいはこれだけ死刑があるということは、世論の中には、果たして適正に手続が行なわれているのだろうかという声もあります。そういった声があるということを懸念として伝えたいと思っております。
もう一つは、これは、むしろ国民の皆様に申し上げることですけれども、薬物犯罪に対して、特に東南アジア、或いはアジアでは最高刑を死刑としている国が非常に多いわけであります。中国だけではなくて、インドネシア、シンガポール、スリランカ、タイ、バングラディッシュ、マレーシア、そういった国々は、最高刑が死刑であります。そういったことは十分に承知をした上で行動していただきたいと思います。
もちろん、薬物犯罪そのものが日本でも当然これは犯罪になるということでありますが、量刑の面で、非常に重くしている国が多いということは十分に理解をしていただきたいと思います。
【ブルームバーグニュース 坂巻記者】本日行なわれましたヨルダンの外相との(会談の中身について、)特にエネルギー面での協力、例えば原子力協定に向けての話し合いが開始されるのかどうなのか、そこら辺を含めて、成果についてご説明ください。
【大臣】外相会談を先ほど行いまして、引き続いて国王を訪問して、30分ほど会談を行いまして、今、総理と国王が会談されているところだと思います。あるいはもう終ったかもしれません。そういう中で、特に二国間の関係、日本としてはヨルダンを非常に重要な国だと、中東和平に果たしている役割、そういったものを評価して、経済協力についても今までも累次行っていたところですが、そういうことについてのお話。
それから、今、お話に出ました原子力の問題は、原子力協定を結ぶということについて、それを急ぐということについて話し合いを行なったところであります。
【ロイター通信 オー記者】今、警察で聴取を受けているシー・シェパードのピーター・ベスーン氏が起訴とありましたが、これに関して、ニュージーランド政府とどのような外交的な懸念を持っていらっしゃるか、それをお願いします。
【大臣】今仰ったような報道はあるのですが、本件は司法当局の問題ですから、それに対して外務省として特にコメントすることはありません。
【週刊金曜日 伊田記者】密約問題についてお伺いします。大臣が積極的な姿勢を示されていることを評価するのですが、
【大臣】その割には記事が厳しいですね。
【週刊金曜日 伊田記者】評価しながら応援ということなのですけれども、外務官僚の方は本当に嫌がっているのではないかと思います。例えば現在発売中の『週刊ポスト』に、外務省の幹部のコメントとしまして、こういうコメントが載っています。「官邸は普天間の日米合意は総理自ら決着させて支持率アップにつなげたいし、小沢氏も訪米でマイナスイメージを返上したい。そうなってくると普天間の嘉手納統合という独自案でミスリードした岡田外相には日米密約の調査やハイチの大地震の被災者慰問という暇な仕事しか回って来ない」という外務省幹部のコメントが載っております。
日米密約の調査を暇な仕事というように外相は考えているのかどうか、それから、今後の取組みについて、もし明らかにしていただけることがあれば教えてください。
【大臣】普天間の問題について、私(大臣)が担当していないという前提での発言だと思いますが、それだけでその発言は外務省幹部の発言でないということははっきりわかると思います。
【週刊金曜日 伊田記者】密約についてはいかがでしょうか。
【大臣】そういう真偽が明らかでない発言には、コメントをするつもりはありません。
【共同通信 西野記者】本日午前中、外務委員会で密約に関する参考人質疑がありました。その中で大きく2つ出てきたのですが、1つは報告書の評価の問題。それから、もう1点は、文書破棄の問題というのが(外務委員会に)出てこられた有識者の方から出ました。
まず1点目から。沖縄への核再持ち込みの秘密合意に関して、我部教授は「密約中の密約だ」と言われました。それはいろいろ理屈があるのですが、さておいて、それから、新原さんは60年の核持ち込みについては、その60年当時から日本政府は明確な持ち込みという認識を持っていたというような形で話されました。
こういった論者の指摘を受けて、また何らかの調査をすることはあり得るのかということ、まず1点目はこれです。
【大臣】調査をする予定はありません。それは密約の定義による問題であります。そして、外務省には沖縄における核の再持ち込みに関する資料がありませんでした。ですから、これ以上の調査をしても答えは同じであります。
沖縄の核再持ち込みは当時から外務省が認識していたとかという話は、何を根拠に言われているのか、むしろ、それを明らかにしていただきたいと思います。若泉さんの本が出て、みんな、「えっ」とびっくりしたというのが現実ではないでしょうか。
【共同通信 西野記者】今の大臣の「何を根拠に」ということについて言えば、新原さんがおっしゃっていたのは、1958年のマッカーサー駐米大使の米側の公電に基づいて1960年の段階で知っていたという話でした。
【大臣】それは沖縄の話ですか。
【共同通信 西野記者】沖縄ではないです。
【大臣】さっき、沖縄と言ったでしょう。
【共同通信 西野記者】我部さんについては、沖縄の再持ち込みについて密約だと言い、新原さんは1960年の核持ち込みについて、これは認識があったと、2つあったということです。
【大臣】1960年のどの話ですか。
【共同通信 西野記者】4つの密約のうちの(1)についてです。
【大臣】はっきり言ってもらわないと混乱します。
【共同通信 西野記者】新原さんが言われたのは(1)について、我部さんが言われたのは(3)についてです。
【大臣】ですから、(3)は要するに密約の定義の問題で、それから、いろいろ議論は分かれ得るので、それは学者の皆さんの間で更に論争していただければいいと思います。外務省としては、あれが「密約があったか、なかったか」ということについては、何も触れていないわけです。そして、有識者は「密約ではなかった」ということですが、それに対するいろいろな議論はあるだろうということは、私(大臣)は当初から申し上げているわけであります。さまざまな観点から大いに論争していただければいいのではないかと思います。それから、第1の密約についての話ですが、共産党からもご意見をいただいていますが、本日も検証委員会のメンバーでもあった坂元委員が答弁されたと聞いていますが、基本的に情報としてはそれだけのものを持って、しかし、当初から密約があったということは言えないと申し上げて、検証の中で、報告書の中でそういうように結論付けているわけであります。米国の電報がすべて正しいという前提に立てば、違う結論もあるかもしれませんが、我々は必ずしもそういうことではないだろうということで総合的に判断したわけであります。ただ、当初から密約があったかどうかという話は、やがてそれがお互い認識が違うということが明らかになって、そして、そのことは省内的にも、それを前提で総理や外務大臣への説明に至るわけですから、タイミングの問題はあったとしても、数年間のずれがあるということに過ぎないわけであります。
【共同通信 西野記者】参考人質疑の件で、2点目です。坂元先生、それから、春名先生は文書破棄について、報告書と同じように、改めて強い遺憾の意を表明されて、やはり「外務省の信頼性を回復するためにも真剣な調査をするべきだ」ということを言われました。それから、谷内前事務次官の関係についても、東郷元条約局長の赤いファイルの話、これも取り上げられまして、谷内さんから話を聞きたいということが自民党の野党の方からも出てくるという状況です。
【大臣】どこから出たんですか。
【共同通信 西野記者】野党の方からです。
【大臣】「も」というのは。
【共同通信 西野記者】あと鈴木委員長もそういった方向で進めたいと言っておられました。
【大臣】ちょっと認識していませんでした。
【共同通信 西野記者】大臣は、少人数の調査委員会をつくって調べたいということでしたが、これは今後どのように進んでいくんでしょうか。
【大臣】ほぼメンバーは決まりましたので、メンバーについては来週の火曜日には御報告できると思います。
【共同通信 比嘉記者】先ほどおっしゃっていた文書破棄の話に戻りますが、少人数の委員会で、どのようなタイムスケジュールで結果を出してほしいと思われますか。
【大臣】そこは、私(大臣)も1週間おりませんでしたので、これから相談して、火曜日にはある程度はお話できるかと思います。ただ、文書廃棄についてもいろいろあるのですけれども、情報公開法施行前に大量に文書を意図的に廃棄したのではないかということに対しては、それは憶測でしかありませんので、どの役所もやはり情報公開に備えて資料を整理して、ファイリングすることは当然やっているわけなので、そのことについてまで私は、現在、調査の視野に入れているわけではありません。具体的な話をしっかりと調査したいと考えております。
【共同通信 比嘉記者】ということは、東郷さんの残された赤いファイルについてのみが調査の対象ということですか。
【大臣】そこまで特定するのはいかがかと思いますけれども、それはおいおい調査をやっていく中で調査の範囲は決まってくるので、今から決めてやるつもりはありません。
【フリーランス 上杉氏】先週の今日ですが、総理官邸で首相会見がオープン化しました。外務省に遅れること半年ですが、その翌日、総務省の行政管理が記者会見のオープン度合いについてランクづけをして、ここ外務省は「A」というランクづけ、総理の会見と並んで「A」になりましたが、その評価に対しての大臣の評価をお聞かせ願えますか。
【大臣】評価していただいたのはありがたいのですが、私は、なぜ総務省がランクづけするのかちょっと違和感を禁じ得ません。確かに行政監視という役割が総務省の中にあることは事実ですが、お役人が大臣の記者会見についてランクづけするのは、ちょっと私にはよくわかりません。政府として、きちんとした第三者を選定して、そこで何か言っていただくならわかるのですけれども、どういう基準でやったのかもよくわかりませんし、何で役人にそういうことで評価されなければいけいのか、よくわかりません。
【フリーランス 上杉氏】総理の会見についての御感想は。
【大臣】よかったと思います。これからも是非続けていただきたいと思います。
【ロイター通信 久保田記者】郵政民営化に関してお伺いしたいのですけれども、米国のルース大使とEUのリチャードソン大使から民営化に対する懸念を表明した手紙が、先月の初めに日本政府側に送られたというようにEUから聞いているんですけれども、大臣が受け取られた手紙の内容と、あとはその中に郵貯の預け入れ限度額を2000万円に上げることなどが、WTOの、多分これはサービス貿易に関するものだと思うんですけれども、協定や、G20の金融サミットの首脳声明に反するというように書いてあったのかという辺りをお聞かせください。
【大臣】手紙の中身はお話ししません。それは、むしろ発信した方が言われるのはいいと思いますが、受け取った側が言うべき話ではありません。
それから、外務省としては、例えば内国民待遇とか、つまり内外の事業者に差別的な取扱いがあってはいけないということ、つまり国際条約と整合性がある改革でなければならないということは、何度も郵政改革を担当しているところと意見のやりとりをしているところでありますので、最終的に法案の中にはそういうものが盛り込まれるものと考えているところです。
【ロイター通信 久保田記者】今後、ルース大使やリチャードソン大使に、この件について直接説明なさったりする御予定はありますか。
【大臣】それは法案が決まったところで、必要に応じて担当の役所が御説明されればいいのではないかと思います。
【朝日新聞 高橋記者】4月16日に国連で議長を務めて、平和構築についてのお話をなさりたいということですけれども、岡田大臣として「平和構築」、概念がかなり広いですけれども、特にこういうことについて話をしたいということはございますか。
【大臣】具体的に事例を取り上げて話をしたいと思うのですが、平和構築は非常に重要ですけれども、今、ただPKO、経済的な支援、或いはこれから新たな法制度、いろいろなことがパッチワーク的に考えられているので、全体を1つのものとしてとらえて、国際社会が関与しながら国家を再生させていくということについて、具体的な事例に即してお話をしていきたいと思っております。
ハイチなどもまさしくそういうことで、私も演説の中で申し上げたのですが、「地震前のハイチに戻したのでは意味がない」と、「病院や経済発展、教育とか、そういう国家の骨格になる部分をしっかりつくっていかなければいけない」と申し上げましたが、まさしくそういう視点で平和構築を論じていきたいと思います。