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外務大臣演説
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中曽根外務大臣演説
中曽根外務大臣政策演説
ゼロへの条件―世界的核軍縮のための「11の指標」
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平成21年4月27日

3.原子力の平和利用を志す国のための措置

 ただ今述べたような世界で核軍縮・不拡散の努力を進めていくとともに、原子力の平和的利用も推進していかなければなりません。特に、近年、エネルギー安全保障や地球温暖化問題への対処の観点から、原子力発電の新規導入や拡大に関心を示す国が増加しています。その際、重要なことは、核不拡散、核テロリズムの防止、そして原子力安全の確保であることは言うまでもありません。これが第三の柱であり、3つの指標を申し上げます。

(民生用原子力のための国際協力)

 第一に、民生用原子力のための国際協力です。我が国のイニシャティブとして、核不拡散のためのIAEA保障措置(safeguards)、原子力安全(nuclear safety)、核セキュリティー(nuclear security)、これらの英語の頭文字を使って「3S」と称し、この「3S」の重要性を国際的に共通の理解とすべく努めています。我が国として、原発導入国に対して、3Sを確保した適切な原子力発電の国際展開を一層支援していく考えです。特にアジアの原発新規導入国について、3Sのための人材育成、キャパシティー・ビルディング等の支援を行ってきており、本年秋にも、IAEAと協力して、アジアの、特に、新規原発導入国を対象とした核セキュリティーに関する国際会議を東京で開催する予定です。これは、我が国が、2006年に核セキュリティーにテーマを絞った初めての国際会議を東京で開催し、高い評価を受けたことを受け、第二回目の会合を開催するものです。
 また、我が国は、各国の核燃料供給能力をIAEAに登録するシステムの創設を提案するなど、核燃料供給保証に関する国際的な議論に積極的に貢献しています。

(IAEA保障措置)

 第二に、IAEA保障措置です。我が国は、原子力の平和的利用を行うすべての国が、最高レベルのIAEA保障措置、具体的には、NPTに基づく包括的保障措置協定及びモデル追加議定書を実施し、各国の活動をより透明化することが重要と考え、これらの普遍化を推進しています。我が国は、IAEAセミナーやアジア不拡散協議を含む様々な機会に、IAEA保障措置の実施に関連する知見・経験を他国と共有してきました。こうした努力を今後とも行っていきます。

(核テロリズム防止)

 第三に、核セキュリティーです。先に述べたように、核テロリズムの脅威にも対抗する必要があります。その防止のためには、原子力発電関連施設のみならず、すべての核物質や放射性物質の管理を強化することが不可欠です。我が国は、オバマ大統領が核物質管理に関する新たな国際的取組の構築と「核セキュリティーに関する世界サミット」の開催を提案したことを歓迎します。我が国は、この世界サミットの成功に向け、米国と協力して貢献していく考えです。

 我が国は、以上申し上げたような、世界的核軍縮のための「11の指標」の実現を目指して、積極的に行動してまいります。特に、来年開催される2010年NPT運用検討会議でもこの指標を提案し、同会議の成功に向けて最良の環境を醸成していく考えです。また、冒頭で触れました「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」、これは、川口順子元外務大臣とエバンス元オーストラリア外務大臣が共同議長を務めておられますが、同委員会が、本年秋の広島での最終会合において、核兵器なき世界にたどり着くための現実的かつ行動志向型の提言を取りまとめることを期待します。我が国としては、同委員会に対して最大限の支援を継続していきたいと考えます。

 昨年ヒットしたある映画で、核実験の爆風に巻き込まれた有名な主人公が冷蔵庫に隠れて難を逃れるシーンがありました。私は、この映画の核兵器の爆発についての認識の甘さに驚きました。核兵器の爆発は、一瞬にして全てのものを吹き飛ばすのです。このような甘い認識が国際的に広まることに不安を感じました。

 核兵器がもたらしうる惨禍について、客観的事実をもって、世界や将来の世代に伝えられるのは我が国だけです。我が国は、「国連軍縮フェローシップ」により、これまで650名を超える各国の外交官達を広島・長崎に招待し、このプログラムの経験者の多くが、各国政府の核軍縮・不拡散政策を推進する枢要なポストに就くようになっています。我が国には、様々な政治的立場やイデオロギーを越えて、1945年8月にこの2都市で起こった原爆投下による惨劇を、事実として全世界の人々に伝える使命があると信じます。

 人類が、戦争の20世紀を経て、新たな世紀を迎えてから、10年が経とうとしています。私達の子孫が核兵器のない世界を享受できるかどうかは、正に、我々のこの問題に対する現在の取組如何に大きくかかっています。我が国は、世界の核軍縮・不拡散のための国際的努力を糾合すべく、来年の早い時期を目途に、世界的核軍縮を推進する国際社会の一致した行動を生み出すことを目的として、国際会議を主催したいと思います。私は、とりあえずこの会議を「2010年核軍縮会議」と呼びたいと思います。そして、同会議が、先に私が提案した「11の指標」と相俟って、2010年NPT運用検討会議の成功、さらには、核軍縮に向けての大きな一歩につながってくれれば、被爆国の外務大臣としてこれ以上の喜びはございません。

 御静聴ありがとうございました。

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