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国際協力「ちょっといい話」
各地で拾ったいい話(第五話)
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第五話 “島嶼国”沖縄から太平洋への発信 マングローブは宝物

 最近、太平洋の小さな島々が独立を達成した。そのような島国は人口も少なく、資源もなく、前途は多難である。従って先進諸国の支援が必要となってくる。
 沖縄はその昔、南海の島嶼国、琉球王国であった。優れた文化国家としての歴史を持つ、この“島国”沖縄は、太平洋の仲間の島国達に救いの手を差しのべようとしている。
 太平洋の島国を含む世界の開発途上国から多くの研修員を受け入れ、いろいろな分野での技術指導を行ってきているが、そのなかの一つに「マングローブの育成と管理」の技術指導がある。マングローブとは、海水と真水の混じり合うところに育つ植物群の総称である。

西表島について語ってみたい。

 この島はマングローブの宝庫である。島全体がマングローブに被われている感じがしないでもない。
 一体マングローブとはどんな植物なのか。まず大ざっぱにその特徴を述べてみよう。
 陸生植物は海水では枯れてしまうが、マングローブは真水でも海水でも育つ。海水を吸い上げ、真水の部分を吸収し、塩を吐き出してしまう能力を持つ。
 マングローブの育っているところには魚が寄ってくる。漁業が活性化する。マングローブは育ちが早い。海岸線の防砂林にもなるし、建築資材にも使える。大げさに言えば地球環境にもやさしい。
 西表島には琉球大学の研究所がある。そこにはNGOとしての〔国際マングローブ生態系協会〕と言う団体が置かれている。このNGOは県および、国際協力事業団(JICA)と協力して途上国からの研修生に対して2カ月間の「マングローブの持続可能の管理技術」のトレーニングコースを行ってきている。ちなみに沖縄本島の浦添市にあるJICA国際センターには、海外研修員が多数技術研修を受けているが、ここにいる研修員たちはホームシックにかからずに実りある成果を上げているという。なぜであろうか。何人かの研修員に聞いてみたところ、まず気候が自分の国に近いこと、宿舎の窓を開けた時に飛び込んでくる風景が自分の国の故郷に似ていること、それに何にもまして、沖縄の人々が親切であたたかいこと、などを理由に挙げている。
 とにかく、諸々の理由で沖縄は開発途上国への支援活動の拠点としてうってつけの県なのである。

南海の大都市、石垣の“国内貢献”

 ジェット空港を有する石垣市は、人口四万数千の、日本の最南端の「市」である。市内には近代的なホテルやビルが立ち並び、とても東京から南へ3000キロも離れた南海の地に来た感じがしない。
 ところで石垣は沖縄の米所として知られている。石垣島と西表島で県全体のほとんどの米を生産しているという。なるほど両島をまわってみると、緑豊かな肥えた大地を感じさせる。
 さて、平成6年、この年に大変ユニークかつ素晴らしい出来事が石垣島であった。ことの始まりは岩手県での冷害による稲の被害からであった。
 平成5年、岩手県は水稲の作況指数が30という、明治以来最悪の大冷害に見舞われた。そのため翌年使う種籾を確保することが最重要課題となった。ところで岩手県は、既に冷害に強い「岩手34号」を開発し、本格的栽培に取り組むはずになっていた。この34号は評判を呼んで多くの農家からの希望が殺到したが、その絶対量が少ない。そこで考えたのがどこかの南国に依頼して種子を繁殖してもらい、それを後にひきとるというアイデアである。候補地として東南アジアの諸国や台湾などが挙げられた。しかし、検疫や食糧管理法などがあり、そう簡単ではない。そこで思いついたのが国内で“南国”の条件を充たす地域であった。沖縄県である。それも国内でも有数の水稲二期作地として有名な石垣島であった。
 可能性について検討した結果、技術的に問題ないことが分かり、石垣市は快く引き受けたのである。平成6年1月、この島の水田の約5分の1に当る50ヘクタールの水田に約2トンの岩手34号がまかれた。そして多くの農家や団体の応援を受け、5月には何と116トンの種籾となって岩手に帰ってきたのである。石垣市をはじめとする沖縄県民の温かい友情は冷害で苦しんでいた岩手県人にやる気と勇気を与えたのである。
 そして9月にはこの岩手34号の米の登録名が公募され、16万通29万点の応募作が集まり、その中から「かけはし」が選ばれた。
 岩手と沖縄の友情を忘れないように、願いを込めて命名されたのであろう。
 沖縄は国内に友人を作り、そして外国にも友人を沢山作っている。
 海外からくる研修生がホームシックにならずにすむ沖縄、地方自治体の行う途上国支援の物理的かつ精神的支援をどう行うべきなのかを、われわれに自然な形で教えてくれるのである。心からの応援を送りたい。


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