外交政策

2015年NPT運用検討会議第2回準備委員会(概要と評価)

平成25年5月3日

 2013年4月22日より5月3日まで、ジュネーブの国連欧州本部において2015年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議第2回準備委員会が開催された。議長は、ルーマニアのフェルッツァ外務省政務局長が務め、我が国代表団としては、天野軍縮代表部大使(代表団長)、北野軍縮不拡散・科学部長他が出席した。
 
1.今次準備委の位置づけ

(1)2015年の次回運用検討会議に向けたプロセスの中では、昨年の第1回準備委員会において合意した議題に基づいて実質的議論を深め、運用検討会議への勧告をまとめる明年の第3回準備委員会につなげることが想定されていた。

(2)2010年の運用検討会議で開催が決まっていた中東非大量破壊兵器地帯設置に関する国際会議は、予定されていた2012年には開催されず、これに不満を有する中東諸国の対応が、運用検討プロセスにいかなる影響を及ぼすか注目されていた。

(3)我が国が豪州と共に主導する軍縮不拡散イニシアティブ(NPDI:地域横断的な非核兵器国10カ国のグループ)にとっては、2度目となる準備委員会であり、新たな作業文書や他グループとの会合を通じて認知度を高め、その活動への幅広い理解と支持を得る好機と期待された。
 
2.結果

(1)各国が全般的な方針を述べ合う一般討論、NGO代表が発言するセッションに続き、各国が実質事項(核軍縮、核兵器国による非核兵器国に対する安全の保証(NSA)、核不拡散、中東非大量破壊兵器地帯、北朝鮮を含む地域問題、原子力の平和的利用、運用検討プロセス改善)について議論を行った。

(2)最終日に、議長が自らの責任の下で議論の内容を総括した議長サマリーを配布し、閉幕した。

(3)次回第3回準備委員会は、議長をペルーのロマン・モレイ国連代表部大使とし、2014年4月28日から5月9日までニューヨークにおいて開催すること、また2015年の運用検討会議は4月27日から5月22日までニューヨークにおいて開催することが、それぞれ決定された。
 
3.我が国の対応

(1)会議においては、一般討論及び個別事項毎(核軍縮、安全の保証(NSA)、核不拡散、中東非大量破壊兵器地帯、地域問題、原子力の平和的利用、運用検討プロセス改善等)の演説を行った。また、32カ国の賛同国を代表し軍縮・不拡散教育に関する共同演説を実施した。

(2)NPDI諸国と共同で新たな作業文書を6本(包括的核実験禁止条約(CTBT)、非戦略核、核兵器の役割低減、輸出管理、非核兵器地帯、核兵器国への保障措置拡大)及び昨年提出したものから内容を改訂した軍縮不拡散教育に関する作業文書の計7本を今次準備委員会に提出した。また、NPDIと他グループとの対話会合のうち、5核兵器国との会合、非同盟諸国グループ(NAM)代表との会合を主導し、有意義な意見交換を実施した。

(3)軍縮代表部が事前に邦人記者に対し記者レク、天野大使が会議期間中に核兵器の人道的影響に関する共同演説(詳細は4.(3)参照)後のぶら下がり取材、会議後に記者ブリーフを行った。また、会議中の活動についてツイッターで発信するなど、積極的な広報に努めた(軍縮・不拡散教育に関する公式アカウント : DisarmamentJAPAN@global_forum)。
 
4.今次準備委における注目すべき点

(1)全体として、核軍縮、核不拡散、原子力の平和的利用の3本柱について淡々と議事が進行した。第2週の1日目、中東非大量破壊兵器地帯設置に関する議論の終了間際、エジプトが最後の発言者として発言を求め、本件に関する国際会議が未開催であることへの不満を表明するとともに、発言後準備委員会から退席するという場面もあったが、他に追随する国もなく、それ以上の波乱はなかった。ただし、同国際会議の開催をめぐり引き続き進展が見られない場合には、明年以降の運用検討プロセスに何らかの否定的影響が及ぶことも排除されない。

(2)北朝鮮の核・ミサイル問題に関し、多くの国が国際社会の平和と安定に対する脅威として懸念を表明し、北朝鮮によるミサイル発射及び本年2月の核実験実施を安保理決議違反として強く非難し、核計画の廃棄等を含む安保理決議・六者会合共同声明の遵守を求める等の発言を行った。こうした発言は議長サマリーにも反映された。

(3)南アフリカが代表して行った核兵器の人道的影響についての共同演説に、発言の時点で74カ国が賛同するなど、この問題に対する関心の高まりがうかがわれた。我が国は、自らの置かれた安全保障環境を念頭に、南アフリカの発言における表現ぶりにつきぎりぎりまで修文協議を行ったが、協議が整わなかったため、賛同を見送るとの決定を行った。一方、我が国は核軍縮に関する演説の中で(ア)我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器使用の影響に関してはどの国よりも実態を知っていること、(イ)核兵器の使用が直後の被害のみならず、社会経済や将来世代にわたって耐え難い損害をもたらす点など、南アフリカの発言の基本的な考え方は支持できること、(ウ)今後とも同様のテーマの演説に参加する可能性を真剣に探っていくこと、について言及した。

(4)NPDIは、作業文書の提出を通じて「核兵器の役割低減」「非戦略核」「核兵器国への保障措置拡大」といった新たな分野にも意欲的に取り組み、その活動に対する認知度をますます高めている。また他グループとの対話会合、NGOブリーフィング、専門家を招いてのサイドイベント等を積極的に実施し、NPT運用検討プロセスの中での存在感を着実に増している。NPDIの作業文書の趣旨は概ね議長サマリーに反映され、メンバー国以外からも賛同国が現れた作業文書もあった。
 
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