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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年4月26日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 ウガンダ共和国

1-2.案件名

 「中央ウガンダ医療施設改善計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は,ウガンダ中央部で地域保健医療サービスの拠点であるマサカ・ムベンデの両地域中核病院の施設の建設及び機材の整備を行うことで,同国の保健水準を向上させるものである。
 供与限度額は17億4,100万円であり,手術・検査棟,外来・救急棟等の建設を行うとともに,X線装置,外来処置・診断機材等の調達を行うものである。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がウガンダ共和国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備される医療施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)先方政府が医療・関係者の人件費等の予算確保を適切に行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ウガンダの保健状況は劣悪であり,乳児死亡率1000人中79人,妊産婦死亡率も10万人中550人(2005年)と,基本的な保健指標も非常に低い。特に貧困層の女性・子供等の社会的弱者に対する医療の普及が限定的であり,これらの改善は同国の緊急の課題である。また,人口増加率は年3.2%と高く,今後,医療の需要は更に増加するものと予想される。

(2)ウガンダ中央部で保健医療の中心的役割を果たしているマサカ地域中核病院は,重点整備病院として,人材・予算ともに整備が図られてきたものの,施設の老朽化と非効率性等が解消されておらず,十分機能が活用されていない。ムベンデ病院においても,2009年7月に県病院から地域中核病院に格上げされたものの,専門外来施設がなく,手術室,分娩室等の老朽化と共に,各診療施設の分散配置により効率的な医療サービスが提供されていない。

(3)このため,ウガンダ政府は,中央ウガンダ地域における地域の医療体制の整備を目的として,その拠点である上記二病院の施設及び機材の整備を計画し,我が国に無償資金協力を要請したものである。

2-2.効率性

(1)本計画を実施するにあたっては,対象病院にて機材・施設の運営・維持管理が適切に実施されることを目的に,技術支援,研修及び保守管理体制の策定に関する協力を行うなど,事業の効率的・効果的実施に努める。

(2)本計画の実施までに,両病院の既存施設の解体及び既存整備の盛替え工事が各病院によって行われることから,効率的な事業実施が可能である。

2-3.有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

(1)マサカ病院:手術室の増設により手術件数が増加し,診察室の整備により外来患者数が増加する。

(2)ムベンデ病院:産科部門の整備により分娩数及び外来患者数が増加する。

(3)両病院:老朽化し,また分散配置されている外来診療機能や中央診療機能を整備・集約することで効率化が図られ,医療機能が向上する。

(4)ウガンダはアフリカ東部の安定勢力であり,東アフリカ共同体(EAC)の参加国として,東アフリカ地域の経済活性化にも積極的に取り組んでいること等から,同国の貧困削減を支援することの外交的意義は大きい。また,我が国は,2008年5月のTICAD IVにおいてアフリカ向けODAの倍増を表明しており,本件は同方針の実現に資する。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ウガンダ共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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