評価年月日 平成22年4月9日
評価責任者:国別開発協力第一課長 清水 茂夫
1.案件名1-1.供与国名トンガ王国 1-2.案件名「バイオラ病院改善整備計画(第2次)」 1-3.目的・事業内容本計画は,トンガにおける最大の病院であるバイオラ病院の新築及び改修と,医療機材の調達を行うことによって,同国の第三次最終搬送病院としての高度医療,首都ヌクアロファ市があるトンガタプ島住民への第二次医療と,災害時の医療支援の提供拠点を整備することを目的としている。供与限度額は19億2,200万円であり,外来棟(救急,管理部門含む),歯科棟,看護学校棟等の建設と関連する機材の調達を行う。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がトンガ国政府により実施される必要がある。 (1)本計画により整備された病院及び供与された機材の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 (2)関連活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)バイオラ病院は首都ヌクアロファ市に所在するトンガ最大の病院であるが,病院施設・機材の老朽化,来院患者の増加などによって手術室等が不足し,入院患者に十分な対応が提供困難等の病院機能に関する問題が発生している。また,手術室と滅菌室の仕切りが不十分なことによる院内感染の危険,中央滅菌室の機材の劣化,多発するX線撮影装置の故障による診断への支障,汚水処理槽の処理能力の不足等,安全面,環境面の問題も起きている。 (2)このため,トンガ政府は,同国の医療で重要な役割を果たすバイオラ病院全体を改善整備する計画を策定した。その第一段階として,2004年には我が国の無償資金協力により中央診療棟,産科病棟,外科病棟,浄化槽と関連機材の整備が行われ,また,世界銀行の支援により内科病棟,小児病棟,精神科病棟などが建設された。同整備計画の最終段階として,残る外来・救急・管理部門などの新築,改修と関連機材整備について,トンガ政府は我が国に無償資金協力を要請した。 2-2.効率性(1)病院施設の配置は,医療活動と患者・スタッフ,物流の動線,移動に極力影響を及ぼさない計画としている。特に外来棟救急部門については,重症患者は手術室,ICUに搬送するための専用連絡通路を経由し最短距離となる計画に配慮している。 (2)施設規模については,現在及び過去の診療実績,診察数の増加をもとに所用室数を算定し,既存施設の現状とトンガ国の人々の標準的な体型,生活習慣を勘案した計画とする。 2-3.有効性(1)トンガの医療施設の中心であるバイオラ病院の外来・救急部門の機能が回復し,一般外来診察数(年間約66,000人),専門外来診察数等がそれぞれ増加するとともに,医療内容の質が改善し,首都所在のトンガタプ島の第二次搬送病院としての機能が整備され,住民約7万人の医療水準が向上する。また,トンガの第三次医療施設として,約10万人の国民の医療水準が向上する。 (2)昨年5月,第5回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議(第5回太平洋・島サミット)が開催された。我が国は,これまで一貫してトンガを含む太平洋島嶼国の良きパートナーとして,同地域に対する支援を行ってきている。本計画は,医療施設の整備としてトンガから強い要請があったものであり,我が国との二国間関係促進にも貢献するものである。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)トンガ国政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書 (3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |