広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年4月23日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 タンザニア連合共和国

1-2.案件名

 「ニューバガモヨ道路拡幅計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は,ダルエスサラーム中心部(ムウェンゲ交差点)から北部郊外(テゲタ)に延びる約12.9キロメートルの「ニューバガモヨ道路」及び橋梁の拡幅・整備を行うものであり,供与限度額は48億7,300万円である。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がタンザニア国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備された道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)道路補修等,活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)タンザニア政府は,国家開発計画である「貧困削減戦略」において,運輸,交通状況の改善を重点分野の一つとし,幹線道路,地方道路の改修及び維持管理に高い優先度を置いている。タンザニア政府は,2003年に策定した「国家運輸政策」の中期投資計画として,2007年に「10ヵ年の運輸セクター投資戦略計画」を策定した。同計画において,ダルエスサラーム市内主要道路の拡張計画は,タンザニア国の貧困削減のみならず,民間企業の振興も含めた経済発展を支えるものとして重要視されている。

(2)タンザニア第一の都市であるダルエスサラーム市は,同国の経済・流通の中心地であり,「ニューバガモヨ道路」は,同市中心から放射線状に走る4つの主要幹線道路の一つである。しかしながら,同道路は市内の主要幹線道路の中で唯一の片側一車線道路であり,同市の人口及び車両交通の増加に伴い,交通渋滞が年々深刻化している。さらに,雨期には,道路排水管の排水不良により道路が冠水することも渋滞の要因となっており,同市の社会・経済開発及び投資促進の重大な制約要因となっている。このため,ニューバガモヨ道路の拡幅・整備は,上述の投資戦略計画の緊急の課題となっている。このような状況の下,タンザニア政府は「ニューバガモヨ道路」の拡幅・整備に必要な資金につき,我が国に対して無償資金協力を要請してきたものである。

(3)我が国は,タンザニアを対アフリカ援助において重視する国の一つと位置づけ,中でも,インフラ整備は,同国支援の中心分野となっている。特にダルエスサラーム市は上述のとおり,タンザニアの経済・流通の中心地であり,その主要幹線道路の改善は全国に与える波及効果も大きく,本事業実施の意義は高い。

2-2.効率性

 本道路の維持管理については,道路の管理能力向上を主たる目的として,我が国は技術協力プロジェクト「道路メンテナンス監理能力支援」を実施しており,本計画の効率性向上を図っている。

2-3.有効性

(1)本件の実施により,以下のような成果が期待されている。

(イ)通行車両の移動時間が短縮する(通勤・通学のピーク時における現在の平均時速6.5キロメートルが,同約40キロメートルに改善する)。
(ロ)交通容量が増加する(現状の交通容量約825台/時間/車線が,同1,740台/時間/車線に増加する)。
(ハ)移動時間の短縮により,輸送コストが低減し,同市における経済発展及び投資促進に資する。また,大気汚染の緩和に寄与する。
(ニ)円滑な走行の確保により,一般市民の都市交通の利便性及び安全性が向上する。
(ホ)我が国は,第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)において,アフリカにおけるインフラ整備を重点的な支援分野として表明しており,本案件はその達成に貢献する。

(2)タンザニアは,東南部アフリカの平和と安定を担う中核国の一つであり,かつ,天然資源等も豊富で経済発展の可能性を有する一方,一人当たりGNIは低く,我が国はタンザニアを対アフリカ援助において重視する国の一つと位置づけている。
 特に,インフラ整備は,タンザニア国民一般の生活水準の向上及び産業発展の基盤となるものであり必要不可欠であるため,国別援助計画において重点分野と位置づけており,地域的な基幹インフラを整備する本計画を実施する外交的意義は高い。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)タンザニア連合共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)平成22年度第1回無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



このページのトップへ戻る
目次へ戻る