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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年3月12日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 ナイジェリア連邦共和国

1-2.案件名

 「第二次小学校建設計画」

1-3.目的・事業内容

 ナイジェリア北部のカノ州における小学校30校に対して,287教室,272の衛生施設の建設,机・椅子・黒板等の教育用機材の供与を行うとともに,学校運営維持管理等に係る技術指導を行うことにより,カノ州における修学環境改善及び初等教育へのアクセス改善を図るものである。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(1)本計画は,既存校への増設を行う小規模案件であり,特段の否定的な環境社会影響は想定されず,JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響が最小限)に分類される。

(2)外部要因リスクとして以下に留意する必要がある。

(ア)建設資材市場における急激な価格変動が起こらないこと。
(イ)政情不安,暴動等が起こらないこと。
(ウ)大規模な自然災害が起こらないこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ナイジェリア政府は,2008年,国家開発計画「ビジョン2020」を発表し,2020年までにナイジェリアを世界の20大国の一つとすることを目標とした。教育分野においては,国民の潜在能力を発揮するため,現代的で活動的な教育システムを確立することとし,2015年までに男女とも国民の100%に初等教育,2020年までには前期中等教育を普及するとの目標を掲げている。

(2)同国北部カノ州の州基礎教育普及化委員会(SUBEB)の報告によると,同州の総就学率は89%であり,2007/2008年の小学校における生徒数は1,958,645人,公立小学校数は4,136校,教室数21,392教室となっている。1教室当たりの生徒数は大幅に定員を上回っており,1教室当たりの生徒数は91.6人と標準(1教室当たり40人)の2.3倍である。また,雨漏り,屋根や壁の損壊など劣悪な状態にある教室が多数を占めており,教室の増設,教育環境の整備・充実は急務となっている。

(3)このような中,ナイジェリア政府はカノ州における教室等の学校施設の整備を行うことにより,同地域における就学環境の改善を通じたコミュニティ開発を図ることを目的に本件を計画し,我が国に協力を要請してきたものである。

2-2.効率性

(1)対象州については,予算や教育計画にかかるコミットメント,教育指標,工事効率性,地域バランス及び工事監理面を考慮し,カノ州を選定した。

(2)本計画の現地業者を選定するに際しては,施工品質を確保するため一定の建設技術・施工技術を有した業者を選定できるよう,選定方法を工夫する。

2-3.有効性

(1)本件の実施により,以下のような成果が期待される。

(ア)カノ州における小学校30校(約21,600人の生徒が在学)において287教室が増設されることにより,既存の225教室に加え新たに287の安全で清潔な教室が確保される。また,教室数の増加により1教室当たりの生徒数が96人から約42人になり,過密度が緩和されて就学環境が改善される。
(イ)技術支援により,施設運営・維持管理体制が強化され,衛生的なトイレが整備されることにより,学校の衛生環境が改善される。

(2)本件は,TICAD IV横浜行動計画の「基礎教育へのアクセスと質の改善」及びMDGsの「初等教育の完全普及の達成」に寄与する支援であり,その外交的意義は大きく,両国の友好関係を強化するものとしても実施意義は大きい。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ナイジェリア政府からの要請書

(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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