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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年5月27日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 マリ共和国

1-2.案件名

 「バマコ中央魚市場建設計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は,首都バマコ市ニジェール川南岸地域に鮮魚卸売市場(荷捌場等の建設,製氷機,貯氷庫等の調達)の整備を行うことによって,同地域及び近隣州での衛生的かつ安定的な食料確保を目的とするものである。また本計画は,第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)及び国連ミレニアム開発目標(MDGs)の目標達成に資するものである。供与限度額は10.27億円。
 マリは水産物の持続的利用支持国であり,水産分野において我が国と立場を同じくする等,我が国と良好な二国間関係を有している。本計画の実施により,更なる関係強化が期待される。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がマリ政府により実施される必要がある。

(イ)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(ロ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)マリ共和国では,国土の大部分が厳しい乾燥地帯にあり,農業生産も限定されるため,国民の所得水準も低水準にとどまっている。そのため同国の貧困削減戦略文書においては,1)政府機構の充実,ガバナンスの改善及び国民参加の促進,2)持続的な人的資源開発及び基礎社会福祉の供給改善,3)基礎インフラの整備及び生産力の開発を優先戦略として定めている。その具体化を図るために畜産・水産省の策定した「水産・養殖計画」では,水産業の役割として,食料確保,雇用創出,貧困対策等を掲げ,特に食料確保の観点から,養殖を含む水産の振興,水産物の品質・衛生改善,加工開発を重要課題としている。

(2)同国は,西アフリカ最大の内水漁業国であるが,鮮魚の生産地と消費地が離れている上,流通に必要な市場施設や製氷施設等の水産流通インフラの整備が不十分なため,鮮度低下による損耗が発生し,貴重な天然資源,栄養源を大きく損失させている状況である。

(3)また低所得者層の人口増が著しい首都バマコでは,住民への食料の安定供給が緊急の課題となっており,特に安価で衛生的なタンパク源の供給が急務となっているも,既存市場の取引量の増加に対し,衛生的かつ効率的な市場施設が整っていない。

2-2.効率性

(1)施設の規模は,鮮魚流通圏の人口割合に基づき計画し,また施設の配置は,人・魚の動きを十分に考慮したものとした。

(2)製氷機の能力は,場内での鮮魚保存目的の他に,近隣州から流通する魚の鮮度が確保されるよう漁獲物の荷捌,保管に必要な製氷量を含め設計した。

2-3.有効性

(1)本市場の建設により,バマコ市内南部地域の鮮魚流通が集約され,衛生的かつ効率的な卸売販売が可能となる。

(2)我が国とマリは,水産物の持続的利用支持国であり,水産分野における良好な二国間関係を有している。本計画は,第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)及び国連ミレニアム開発目標(MDGs)の目標達成に貢献するものであり,その外交的効果は大きい。本計画の実施により,両国の友好関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)マリ政府からの要請書

(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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