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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年6月30日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 マラウイ共和国

1-2.案件名

 「中等学校改善計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は,マラウイ南部州及び中央州西部のコミュニティ中等学校6校において施設及び機材を改善し,計画対象地域の就学人数を倍増させるとともに,教育環境の改善を図るものである。供与額は11億9,800万円であり,一般教室,理科実験室,図書室等及び女子学生寮(寮は農村部の4校のみ)の施設及び教育用家具,理科実験器具等の機材の整備を行うものである。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がマラウイ共和国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備される教育施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)先方政府が本計画により増員される教職員の人件費等の予算確保を適切に行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)マラウイ政府は,教育の普及をその開発重点分野とし,「国家教育セクター計画(2008-2017)」において,中等教育の就学者増加,公平性の担保,教育施設の改善,効率的な利用促進を優先課題として掲げている。また,1994年に初等教育を無償化して以来,順調に就学者数が増加し,2008年には300万人を超過した。初等教育修了児童の増加に伴い,中等教育就学者数も急増し,政府は地域社会が建設した成人教育施設をコミュニティ中学校に格上げする等,教育事情に対応してきたが,依然として就学者数の増加に施設整備が追い付かず,その不足が深刻な問題となっている。

(2)また,公立中学校の80%を占めるコミュニティ中等学校では,一般教室の不足に加え,理科実験室や図書室など中等学校として必要な施設が不足し,十分な教育環境が整備されていない。

(3)このため,マラウイ政府は,教育環境整備の遅れているコミュニティ中等学校の整備に必要な資金につき,我が国に無償資金協力を要請したものである。

2-2.効率性

(1)本計画を実施するに当たっては,中等教育レベルとしての学校運営・カリキュラム実施に最低限必要な施設及び機材の整備を行い,事業の効率的・効果的実施に努める。

(2)設計に当たっては,マラウイにおける他ドナー(世界銀行及びアフリカ開発銀行)による中等学校施設標準プランに準拠した計画を基本としながらも,利用実態に基づく面積規模の適正化や自然通風に配慮した換気機能の向上に留意し,事業実施の効率化を図る。

2-3.有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

(1)教室の増設により,生徒収容能力が約2倍(1,113名→2,153名)となり,1,040名の児童が新たに中等学校に就学可能となる。

(2)理科実験室,図書室等が新たに整備されることで,教育環境が改善され,正規カリキュラムに沿った授業の実施が可能となる。

(3)マラウイは,1993年に複数政党制に移行して以降,安定した民主国家であり,我が国との関係も良好である。教育分野での社会開発を図る本案件は同国の一層の安定,更には二国間関係の強化に寄与し,実施の意義は大きい。また,我が国はTICAD IVにおいて小中学校の建設支援を表明しており,本件は同方針の実現に資する。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)マラウイ共和国政府からの要請書

(2)JICAの概略設計調査報告書

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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