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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年5月21日
評価責任者:国別開発協力第一課長 清水 茂夫

1.案件名

1-1.供与国名

 ラオス人民民主共和国

1-2.案件名

 「チャンパサック県及びサバナケット県学校環境改善計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は,学校環境の改善を目的とし,ラオスの南部に位置するチャンパサック県及びサバナケット県の小学校及び中学校の合計約91校に対して,404の教室(小学校:61校261教室,中学校:30校143教室)等を新増設し,机,椅子等を供与するものであり,供与額は10.18億円である。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がラオス人民民主共和国政府,県教育局により実施される必要がある。

(1)対象各校におけるトイレ建設に必要な水源の確保。

(2)対象各校において教員の増員が必要となる場合の,不足教員の確保。

(3)生徒数増加に伴う教科書,備品等の確保。

(4)本計画により建設される教室等の施設及び供与される机等の機材の,適切,かつ,継続的な維持管理。

(5)土地使用権証書及び不発弾探査・除去証明書の取得。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ラオスの国家計画「第6次国家社会経済開発計画(2006~2010)(NSEDP)」では,教育をその重点分野として位置づけ,「教育改革を通じた人材開発の質的・量的改善」を目標として掲げている。

(2)学校数の着実な増加により,初等教育就学率も86.4%に向上する(2006年)など,一定の成果は見られるが,全学校数のうち約54%は5年間の義務教育を提供できない「不完全校」であることや,また,通学可能な範囲に小学校がない村が依然として20%程度存在するとなどの課題が存在している。

(3)また,ラオス教育省は,これまで11(5-3-3)年制であった一般教育課程を,12(5-4-3)年制へ移行中であり,中学校の年限が3年から4年となるため,教室の増設が急務である。

(4)チャンパサック県及びサバナケット県では,生徒数の増加に伴い,校舎,教室数などの不足が著しく,教室の過密状況が学習の継続を困難にしている。既存の校舎自体も,同地域では50~60%の学校で老朽化も目立ち,学習環境が劣悪なため,建て替えが必要な状況である。

(5)このような状況の下,ラオス政府は,チャンパサック県及びサバナケット県の小学校及び中学校の学校環境改善に必要な資金につき,我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

2-2.効率性

(1)要請された150校のうち,現地調査を踏まえ,1)教室整備の必要性が認められない,2)工事のための輸送・交通等に問題がある,3)移転に問題がある,4)建設敷地に問題がある,5)ラオス側の優先度が低い学校を除き,整備対象91校を選定した。なお,このうち中学校3校が新設校,他は既存の学校施設の増設である。

(2)要請事項には井戸の建設も含まれていたが,ラオスでは一般にコミュニティが水源を確保することとなっていることから,ラオス側負担とした。

(3)要請事項には連絡道路の敷設も含まれていたが,上記(1)2)の観点から同道路が必要な学校は対象外とした。

2-3.有効性

(1)ラオス南部のチャンパサック県及びサバナケット県の小学校及び中学校において,
(ア)安全で清潔な教室・トイレ等を建設することにより,新たに14,100人の生徒の就学環境・衛生環境が改善する。
(イ)机・椅子等教室設備を供与することにより,就学環境が改善する。

(2)就学率の増加,中途退学率及び留年率の低下のほか,コミュニティの学校教育への参加意識の向上が期待される。

(3)1955年の外交関係樹立以降,我が国はラオスと友好関係を築いてきており,加えて,昨年11月の日メコン首脳会議においてメコン地域への一層の協力を表明している。教育分野を重点分野と定めているラオスに対し,初等教育を支援する本件の外交的意義は大きく,日本とラオスの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ラオス人民民主共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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