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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年6月28日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹

1.案件名

(1)供与国名

 ケニア共和国

(2)案件名

 「ナイロビ西部環状道路建設計画」

(3)目的・事業内容

 本計画は,ケニアの首都であるナイロビ市における交通渋滞の深刻化を解消するために,市内環状線の一部を担う未接続道路3路線の建設を行い,車両の通行時間を大幅に短縮するとともに住民の交通安全性の向上を目的とする事業であり,供与限度額は25億700万円である。

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がケニア政府により実施される必要がある。

 ア.本計画により供与された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
 イ.施設の維持管理等,活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア. ケニア政府は,2008年に長期開発計画である「Vision 2030」を策定し,生活水準の向上,国際的な競争力の強化及び安定的な経済成長の確保を2030年までに達成することを目標としている。同計画では,インフラ開発は各政策目標を支える基盤として位置づけられており,輸送の大部分を占める道路分野に関しては,道路整備,都市部の渋滞対策,過積載車両の増加への対策等を含む全般的な整備に取り組んでいる。

イ. 本件事業対象地の,ケニア国最大の都市かつ首都であるナイロビ市においては,国際幹線道路が市内中央部を縦貫し,一方では市内環状道路網が未整備であるなど道路網の非効率的な配置,人口の急増などにより,交通渋滞が深刻化しており,渋滞の解消,安全な交通の確保が急務となっている。

(2)効率性

 ナイロビ首都圏における道路整備事業については,世界銀行等の他の支援機関等により支援の検討もしくは計画がなされており,本件計画により,その対象区間のみならず地域全体の開発効果がもたらされるものと期待されている。

(3)有効性

ア. 本件の実施により,次のような成果が期待される。

(ア)分断されていた市内環状道路が繋がることにより,車輌の通行時間が大幅に短縮され,現在ピーク時で21~23分程度要している区間の移動時間が半減される。

(イ)歩道や自転車道が整備されることにより,多くの低所得者を含む歩行者・自転車利用者にとっても,安全な通行が可能となる。

(ウ)道路照明設備が整備されることにより,道路利用者の夜間安全性が大幅に改善される。

イ. ケニアは,ソマリア,スーダンなどの和平プロセスへの貢献に意欲的であり,地域内の交易拠点でもあることから,同国への支援は,アフリカにおける平和構築に資するとともに域内経済への波及効果も大きい。
 ケニア政府にとって,同国首都ナイロビ市内の道路網の整備は緊急課題であり,我が国として本件支援を実施する意義は大きい。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ケニア共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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