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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年4月20日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 エチオピア連邦民主共和国

1-2.案件名

 「ティグライ州地方給水計画」

1-3.目的・事業内容

 エチオピアの給水率は35%と低い水準にあるが,同国北部のティグライ州内の給水率は33%と更に低い水準にある。本計画では,ティグライ州内10郡において,給水施設の新設(ハンドポンプ付き井戸82カ所,動力ポンプ給水施設9カ所)及び改修,並びに井戸改修用機材等の供与を行い,対象住民の給水環境を改善する。
供与限度額は12.64億円である。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がエチオピア政府により実施される必要がある。

(1)本計画により新設,改修される給水施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ティグライ州の給水率は33%と,全般的に給水率の低いエチオピアでも低水準に留まっている。地域内の河川のほとんどが6月~9月の雨期のみに水が流れる季節河川であり,また近年は干ばつの被害も深刻で,全域で慢性的な水不足となっている。

(2)エチオピアでは,1994年から始まった地方分権化政策により,給水事業は各州政府に移管されており,近年では更に郡の水利事務所への移管が進められている。しかし,地方自治体では水資源管理の資金・人材ともに不足しているため,多くの既存の給水施設では,老朽化や維持管理の不備が見られる。

(3)本計画の対象地域である10郡では,ティグライ州でも特に給水率が低く,地質上地下水開発が技術的に難しいため,我が国の高い技術を活かした給水施設整備が求められている。

2-2.効率性

 以下の措置を取ることを通じ,本件計画の効率的,効果的実施に努める。

(1)エチオピア政府,ティグライ州政府等と十分に調整した上で,住民主体の運営維持管理が適切に実施されることを目的に,技術支援及び啓発活動を行う。

(2)我が国が実施している水分野の人材育成を目的とした技術協力プロジェクトと連携させることにより,本件計画との相乗効果を発揮させる。

2-3.有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

(1)対象地域の給水施設の整備により,給水率が改善し(33%:2006年→38%:2015年),住民への安全で安定した水の供給が可能となるため,衛生状況が改善され,水因性疾患率が低下することが期待される。また,女性や子供の水汲み労働が軽減されることも期待される。

(2)エチオピアはサハラ以南アフリカで第二の人口を有するアフリカの大国の一つであり,アフリカ連合(AU)本部の所在地であり,アフリカ域内外交の中心地である。本計画は,このようなエチオピアとの関係強化に資するものである。

(3)我が国は2008年5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)で,アフリカ諸国における安全な水の供給を重点分野として支援していくことを表明している。本計画はTICAD IVフォローアップの一環として実施するものであるため,その外交的効果は大きい。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)エチオピア政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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