評価年月日 平成22年4月21日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹
1.案件名1-1.供与国名コンゴ民主共和国 1-2.案件名「ンガリエマ浄水場拡張計画」 1-3.目的・事業内容首都キンシャサの機能回復のため,老朽化により水供給能力が非常に不安定となり断水・給水圧低下が頻発しているンガリエマ浄水場の機能を向上させるべく,拡張計画を実施するもの(供与限度額は36.33億円)。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点我が国は,JICA環境社会配慮ガイドラインに沿った調査を実施しており,本件は用地拡張を伴わないものの,引き続きコンゴ(民)側の実施機関たるエネルギー省水道公社との綿密な連絡調整を行う。コンゴ民主共和国では,輸送に使用可能な港が不在であり,事実上の内陸国として国際的な経済危機後の物価上昇の影響を大きく受けていることから,物資調達のコストの変動に留意する。また,紛争後国として安全管理体制を十分に確保する。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)コンゴ民主共和国においては長年の内戦の影響により,経済社会施設整備が行われず,施設の老朽化と相まって,都市部の給水能力が大幅に不足しており,特に人口800万人を擁する首都キンシャサにおいては,内戦終結後の急激な人口増加と相まって,首都機能の大幅な低下が問題となっている。 (2)コンゴ(民)政府は開発の「重点5分野」の中に水とエネルギーの供給改善を位置付け,貧困削減 戦略文書(PRSP)および優先行動計画においても,水と衛生分野の「供給の改善と強化」を優先課題に挙げている。特に,キンシャサ市内の水供給改善は,社会の安定化,経済活動の再活性化,首都機能の回復を図るため,コンゴ(民)にとって緊急の課題である。 (3)ンガリエマ浄水場は首都の主要4浄水場の1つとして,1952年の建設以降,内戦期間においても,住民約92万人に給水を行ってきたが,給水区域内人口の急増により,断水・給水圧低下が頻発しているため,現在の諸施設の機能回復に加え,早期の機能向上が不可欠である。 2-2.効率性首都の主要浄水場としての機能を早期に回復させるために,これまでの他機関・他ドナーによる協力事業を十分に踏まえるとともに,拡張整備対象となる施設・機材を必要性・緊急性の高い部分とするなど,事業の効率化を図っている。 2-3.有効性(1)本計画の実施により,以下のような成果が期待できる。 (イ)浄水量を約8万立方メートル/日から約11万立方メートル/日へ増加させ,1人当たり日給水量を現行の56.5リットルから77.7リットルへ,21.2リットル増加させる(リットル/人/日)。 (2)我が国は,第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)において,アフリカにおける水開発を重点的な支援分野に位置付け,「650万人に安全な飲料水を提供」等の支援策を表明しており,本案件はその達成に大きく貢献する。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)JICAの基本設計調査報告書 (2)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。) |