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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年4月21日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 コンゴ民主共和国

1-2.案件名

 「キンシャサ市ポワ・ルー通り補修及び改修計画(第二次)」

1-3.目的・事業内容

 首都キンシャサの交通機能回復のため,市内幹線道路であり,地方とも連携するポワ・ルー通り約12キロメートルを補修及び改修する(供与限度額は33.52億円。)。(道路拡幅,舗装修復,道路排水施設整備等。なお,本計画では,十四番通りから終点の中央駅まで約8.0キロメートルの区間の道路改修を行う。)

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 JICA環境社会配慮ガイドラインに沿った調査を実施するとともに,事業の実施段階においても,先方実施機関たるインフラ・公共事業・復興省担当部局との綿密な連絡調整を行う。コンゴ民主共和国では輸送に使用可能な港が不在であり,事実上の内陸国として国際的な経済危機後の物価上昇の影響を大きく受けていることから,調達コストの変動に留意する。また,紛争後国として安全管理体制を十分に確保する。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)コンゴ民主共和国においては長年の内戦の影響により,道路の経済社会施設の維持管理が行われず,主要幹線道路においても劣化が進行し,渋滞の深刻化によって首都でもその機能を低下させている。

(2)コンゴ(民)政府は開発の「重点5分野」の中にインフラ整備を位置付け,貧困削減戦略文書(PRSP)および優先行動計画においても,運輸・交通分野を優先課題に挙げている。特に,キンシャサ市内道路改修は,社会の安定化,経済活動の再活性化,首都機能の回復を図るため,コンゴ(民)にとって緊急の課題である。

(3)ポワ・ルー(Poids Lourds)通りは,空港とキンシャサ市内を結ぶ主要な連絡道路2本のうちの1つであるとともに,西のバ・コンゴ州と,東のバンドゥンドゥ州を結ぶ幹線道路でもあり,沿道に位置する運輸業,製造業のための産業道路である。同区間は,現在路面の損傷が著しく,交通車輌が多くの穴を避けて蛇行するため,深刻な渋滞が生じており,特に雨期においては通常の通行がほとんど不可能な状態であり,早期の修復・改修実施が不可欠である。

2-2.効率性

 これまでの他機関・他ドナーによる協力事業を十分に踏まえ,州間・市内幹線道路としての機能を早期に発現させるために,キンシャサ市内の重要区間として,必要性・緊急性の高い区間に計画対象を絞るなど,事業の効率性を確保している。

2-3.有効性

(1)本計画の実施により,以下のような成果が期待できる。

(イ)道路舗装の修復や道路幅の拡幅により,キンシャサ市内ポワ・ルー通りの走行性が改善され,平均時速が現在の約8キロメートルから約30キロメートルに向上し,現状の交通容量約550台/時間/車線が1,800台/時間/車線に増加する。
(ロ)雨期の降水量に耐えうる排水側溝が整備され,道路が冠水せず円滑な走行が確保される。
(ハ)キンシャサ市の道路網改善により,首都機能が回復し,経済活動が活性化する。

(2)2008年1月に派遣された我が方総理特使に対して要請があって以来,コンゴ民・カビラ大統領より累次の早期着工の要請のある案件であり,全区間の早期完工・供用に向け,我が国が引き続き支援を実施することは,外交上も意義が大きい。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)JICAの基本設計調査報告書

(2)無償資金協力適正会議無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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