評価年月日 平成22年4月23日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹
1.案件名(1)供与国名ブルンジ共和国 (2)案件名「ブジュンブラ市内交通網整備計画」 (3)目的・事業内容本計画では,ブルンジの首都ブジュンブラ市内道路約4.4キロメートル(歩道,道路照明,バス停の設置等を含む)及びロータリー交差点の整備等を行う。供与限度額は27億円であり,ブジュンブラ市内の安全でスムーズな交通を推進するとともに,渋滞緩和により輸送コストを削減し,同国の社会経済活動の活性化を図ることを目的とする。 (4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点外部要因リスクとして,国内の政情,治安が悪化しないことのほか,以下の事項がブルンジ政府により実施される必要がある。 ア.本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 イ.活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。 |
2.無償資金協力の必要性(1)必要性ア.1993年から10年以上にわたって続いた内戦及び1996年以降の周辺諸国からの経済制裁により,同国では経済活動が停滞し,運輸交通網は未整備で維持管理がされておらず,首都ブジュンブラ市においても道路は劣悪な状況にある。経済の回復に伴い,ブジュンブラ市内を走行する自動車数は年間平均10%程度の伸びを示しているが,道路整備は慢性的な資金不足により遅れており,同市の迂回道路が未整備であること等から,市内中心部に交通渋滞が発生している(混雑時の走行速度は約5キロメートル/時)。また,道路排水整備の遅れから局所的に道路が冠水し,車両の通行不可,道路の破損が起こっている他,歩道及び照明施設が未整備であり,交通事故発生の要因となっている。 イ.このような状況の中,ブルンジ政府は貧困削減戦略の優先課題として「持続的で公平な経済成長の振興」を掲げ,同国の社会経済活動活性化のために交通網整備を急務としており,ブジュンブラ市内の環状線及び物資流通基幹である南北幹線道路及び付属施設の整備等を行う本案件が要請された。本件の対象道路は,ブジュンブラ市内の渋滞緩和に必須である環状線の未整備区間及びブルンジの経済活動の要であるブジュンブラ港に隣接し,物資流通の基盤となる国際南北幹線道路(環状線の一部も担う)であり,同国の社会経済活動の活性化,国際物流の活性化,ひいては住民への平和の配当への貢献の観点から,早期の整備が不可欠である。 ウ.我が国は「基礎生活環境改善」及び「平和の定着」をブルンジに対する援助重点分野とし,インフラの整備を保健分野と共に基礎生活環境改善の優先事業としている。また,ブルンジは紛争終了後の国であり,その安定・発展は不安定な大湖地域全体の安定・発展に資するものであり,同国の復興・発展を支える道路網を整備することは,平和の構築の点からも意義が大きい。 (2)効率性ア.本件は2008年に実施された緊急開発調査「ブジュンブラ市都市交通改善計画調査」の調査結果に基づき要請されたものであるが,必要最小限のコストで最大の効果が発揮できるよう,ブルンジ側の要請から更に必要性・緊急性の高い区間に計画対象を限定する等,事業の効率化を図っている。 イ.地質・地形状況,対象道路の位置付け,交通安全の確保,工費の低減,施工性等を総合的に検討し,最適な道路舗装構造,付帯施設等を決定した。 (3)有効性ア.本件の実施により,以下のような成果が期待される。 (ア)対象道路の通行時間が約2分の1~5分の1に短縮されるとともに,市内中心部へ接続する主要4路線の交通量が1日約9,300台減少し,市内の交通渋滞が緩和される。また,道路排水整備によって対象道路周辺の雨水の滞水期間,頻度が50%程度改善される。 (イ)歩道の整備によって歩行者の安全が確保され,主要交差点への道路照明設置によって夜間交通の安全が保たれる。 (ウ)連結する国際南北幹線道路の整備による隣国ルワンダやタンザニアとの国際物流の活性化,救急車両の走行時間短縮による救急救命の改善,交通の円滑化および渋滞緩和による車両排出CO2の削減,走行条件の向上による車両耐用年数の増加等が期待される。 イ.本件は,我が国が第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)で掲げた対アフリカ重点支援分野の一つであるインフラ分野における支援である他,内戦後のブルンジの平和と安定に資する「平和の構築」への支援であるところ,その外交的効果は大きい。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)ブルンジ政府からの要請書 (2)JICA基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能) (3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |