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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年10月20日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 タンザニア連合共和国

1-2.案件名

 「マサシ-マンガッカ間道路整備計画(3/3)」

1-3.目的・事業内容

 本計画は、タンザニア南部で、要港のムトワラから内陸に伸びる「ムトワラ開発道路」に属し、マサシとマンガッカ間を結ぶ約55.1キロメートルの道路整備を行うものである。本計画は3期に分けて行うこととしており、今次第3期では、マサシ(始点)から32.6キロメートルまでの地点からマンガッカ(終点)までの約22.5キロメートルの区間の整備を行うものである。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がタンザニア国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備された道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)道路補修等、活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)タンザニア連合共和国政府では、国家開発計画である「貧困削減戦略」において、物資と人々の移動手段を向上させ、都市及び農村の交通を改善するため、幹線道路、地方道路の改修及び維持管理に高い優先度を掲げている。道路整備については、10ヶ年(2001~2011)の道路セクター開発計画を策定しており、全国を9の道路回廊区に区分し、各区毎に幹線道路と州道路の開発及び維持管理を行い、全ての州を幹線道路と州道路により連結する計画である。これらの道路回廊の整備は、農産物の消費地への安定供給を確保し、農村地域の経済成長を促進する役割も期待されている。

(2)タンザニア南部は、歴史的に開発の遅れている地域であるが、資源に恵まれており、経済開発のポテンシャルが高い地域である。タンザニア南部を通る「ムトワラ開発回廊」は、国際回廊計画のひとつとして優先的に経済開発が進められる地域に指定され、関連する4ヶ国(タンザニア、マラウイ、モザンビーク、ザンビア)が協調して開発を進めて行くことが確認されている。また、同地域の主要産物はカシューナッツであるが、産地と市場を結ぶ道路網の不備により、収穫物の半数が出荷できない状態にあり、早急な道路整備が必要とされている。

(3)このような状況の下、タンザニア政府は「ムトワラ開発回廊」の一部をなす本件計画に必要な資金につき、我が国に対して無償資金協力を要請してきたものである。

2-2.効率性

(1)「ムトワラ開発回廊」全体の重要性に鑑み、同回廊計画の他の箇所の整備については、アフリカ開発銀行を含め他ドナー等により支援の検討もしくは計画がされており、マサシ-マンガッカ区間のみならず、地域全体の開発効果があがるものとしている。

(2)本道路の維持管理については、道路の管理能力向上を主たる目的として、我が国は技術協力プロジェクト「道路メンテナンス監理能力支援」(2005年2月~2008年2月)を実施しており、本計画の効率性を高めている。

2-3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待されている。

(イ)通行車両の移動時間が短縮され(マサシ~マンガッカ間の通過時間が、現状の83分から42分に短縮)、農産物の輸送コストが低減される。

(ロ)道路整備により、当該道路の安全性が向上し、地域間物流の輸送量の増大に寄与する。

(2)タンザニアは、東南部アフリカの平和と安定を担う中核的な国の一つであり、かつ、天然資源等も豊富で経済発展の可能性を有する一方、一人当たりの国民所得(GNI)は低く、我が国はタンザニアを対アフリカ援助において重視する国の一つと位置づけている。特に、インフラの整備は、タンザニア国民一般の生活水準の向上及び産業発展を支えることから、国別援助計画において重点分野として掲げており、我が国が本計画により同区間の円滑かつ安定的な交通を確保することは、その外交的効果も大きく、両国の友好関係を強化するものである。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)タンザニア連合共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)第29回無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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