評価年月日 平成21年4月6日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲
1.案件名1-1.供与国名タンザニア連合共和国 1-2.案件名「ムワンザ州及びマラ州給水計画」 1-3.目的・事業内容本計画は、タンザニア北部のムワンザ州及びマラ州の44村落において、安全な水質の水を安定して供給するために下記の通り地下水給水施設を整備し、給水人口が向上することを目標とするものである。供与限度額は10.22億円である。 (1)177箇所の新規井戸の掘削、182箇所のハンドポンプの設置。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がタンザニア政府により実施される必要がある。 (イ)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)ムワンザ州、マラ州の二州では急速に人口が増加しており、給水率は各々全国平均を下回る51%、45%となっている。加えて、地下水給水施設の多くは非衛生的な手掘り井戸や浅井戸で、湖水等を利用する既存の管路給水施設も、その大部分が1970年代以前に建設されたものであり、老朽化が顕著である。このため、非衛生的な水源の利用による水因性疾患の蔓延や、児童及び女性を中心とする遠方への水くみ労働負担が大きな問題となっており、給水施設の整備が緊急に必要とされている。 (2)タンザニア政府は経済回復計画の中で、基礎生活分野改善のため、安全な飲料水を安定的に確保することを重点優先分野としている。また、貧困削減戦略においても、住民への安全な水の供給は、重要政策課題に掲げられている。 2-2.効率性(1)計画給水人口の推定を行うとともに、本計画で対象とする村落において、収入調査等を行い、施設の維持管理の可能性を確認して対象地域の絞り込みを行った。 (2)施設の整備と併せて技術支援(ソフトコンポーネント)が実施されることで、両州の地方自治体及び住民による施設運営・維持管理能力が向上し、効率的な事業運営が期待される。 2-3.有効性(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。 (イ)ハンドポンプ井戸施設、湧水保護施設の建設等により、計画対象44村落において安全な水へアクセスできる人口が約9,400人から約55,000人になることが見込まれる。 (ロ)整備される給水施設を運営・維持管理するための水・衛生利用者組合が182設立されることにより、適切かつ持続的な運営・維持管理が実施される。 (ハ)ソフトコンポーネントによって、ハンドポンプ井戸施設の運営・維持管理体制が上記44村落において整備される。 (2)タンザニア政府は、長期開発戦略「タンザニア開発ビジョン2025」を掲げ、その具体策として、「成長と貧困削減のための国家戦略」を策定した。その中でも、安全な水の給水は貧困削減、経済・社会開発上も重要な役割を果たすとして、「2025年までに全国民が居住地から400メートル以内に安全で衛生的な水を得ること」を目標として掲げている。 (3)タンザニアの給水率は52%という低い水準にある。タンザニア政府は、長期開発戦略 「タンザニア開発ビジョン2025」を掲げ、その具体策として、「成長と貧困削減のための国家戦略」を策定した。その中でも、安全な水の給水は貧困削減、経済・社会開発上も重要な役割を果たすとして、「2025年までに全国民が居住地から400メートル以内に安全で衛生的な水を得ること」を目標として掲げているが、かかる方針は我が国援助方針とも合致する。 (4)本計画の実施により、日本とタンザニアの二国間関係強化への効果が期待される。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)タンザニア連合共和国政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書 (3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |