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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成22年2月25日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 セネガル共和国

1-2.案件名

 「タンバクンダ州給水施設整備計画」

1-3.目的・事業内容

 セネガルにおける安全な水へのアクセス率は、全国平均で72%であるのに対し、セネガル南東部に位置する貧困人口の多いタンバクンダ州及び周辺州における安全な水へのアクセス率は、約30%程度にとどまっている。その主要な原因の一つに、既存の給水施設の老朽化による機材故障及び機能故障が挙げられている。本計画は、タンバクンダ州及びその周辺州(マタム州、ティエス州、ルーガ州)における19か所の既存給水施設の改修・拡張及び住民主体の維持管理体制の構築を支援する技術指導等を行うものである。供与額は13億円であり、タンバクンダ州等の住民約11万人に安全な水を供給し、同地域への安全な水のアクセス率を約8.8%向上させ、衛生環境の改善、地方の貧困に寄与することを目的とする。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(1)本案件は、小規模な給水施設の整備を主たる内容としており、特段の環境社会影響は想定されないところ、JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響がない)に分類される。

(2)以下の事項がセネガル政府により実施される必要がある。

(イ)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(ロ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)セネガルのUNDP人間開発指数は、182ヶ国中166位であり、保健の各指標では西アフリカ諸国の中でも低い水準にあり、特に地方村落部の社会施設の整備・公共福祉の普及は、同国の重要な課題の一つである。

(2)このためセネガル政府は、保健衛生の向上、また貧困削減の観点から安全な水の供給を重要な開発課題として位置づけ、国家の開発方針である「貧困削減戦略文書」の中で、地方村落の給水率を2015年までに82%にまで引き上げる目標を掲げている。

(3)現在、セネガルにおける安全な水の供給率(全国平均)は72%であるのに対し、本件計画対象サイトのタンバクンダ州及びその周辺州の安全な水の給水率は約30%にとどまっている。その主要な要因の一つに、既存の給水施設の老朽化による機材故障及び機能停止が挙げられており、それら給水施設を早急に改修し、安全で安定した水を供給する必要がある。

2-2.効率性

(1)既存の給水施設を最大限に活用することを基本としてコスト削減に努めるととともに、維持管理費の低減を考慮する計画とした。

(2)技術支援として、1)セネガル政府当局(地方水利局)による管理体制強化、2)住民による給水施設運営維持管理体制整備にかかる支援を予定しており、効果的な事業運営が期待できる。

2-3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。

(イ)タンバクンダ州及びその周辺州の住民約11万人に対し、安全な水を供給し、周辺地域の給水率が約8.8%向上する(目標計画年2014年時点)。

(ロ)飲料水の水質改善による乳幼児死亡率、水因性疾患の罹患率の低下、婦女子の水汲み労働の軽減による社会進出や労働力創出、子供の学習時間の増加等が期待でき、貧困削減に寄与する。

(ハ)住民による給水施設運営維持管理体制を整備し、安全な水の安定的確保を支援する。

(2)セネガルは、西アフリカの中心国であり、セネガルへの支援は二国間の緊密な友好・協力関係を深化させるだけでなく、西アフリカ地域全体の安定と発展に貢献するものである。我が国は、2008年5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)において、水分野での協力を重点分野として支援していくことを表明しており、本計画はTICAD IV及びMDGsの目標達成に貢献するものであり、その外交的効果は大きい。本計画の実施により、両国の友好関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)セネガル政府からの要請書

(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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