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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成22年2月25日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 ルワンダ共和国

1-2.案件名

 「第二次地方給水計画」

1-3.目的・事業内容

 ルワンダの中でも特に給水率の低い東部県ンゴマ郡およびキレへ郡の11地区を対象に、配管系給水施設(公共水栓式)7カ所の建設及び改修・拡張と施設の運営維持管理体制の構築を支援する技術指導等を行う。供与限度額は14.35億円であり、対象地域の住民に安全な水を供給し、給水率向上に寄与することを目的とする。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(1)本計画は、小規模な給水施設の整備が中心であり、特段の否定的な環境社会影響は想定されず、JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響が最小限)に分類される。

(2)外部要因リスクとして、国内の政情、治安が悪化しないこと、また水源の利用可能量が減少しないことのほか、以下の事項がルワンダ政府により実施される必要がある。

 (イ)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

 (ロ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ルワンダでは、内戦終結後、難民帰還や元戦闘員の急増により限られた土地の有効利用が大きな課題となっており、ルワンダ政府は全国で集住化政策を実施している。しかし、電力不足、衛生状態悪化等、生活環境の未整備が課題となっており、特に安全な水の供給は急務となっている。ルワンダは、丘陵地が多いが、人々は集住化政策によって丘の頂部分に居住し、水源を主に湧水、湖沼、河川に頼っており、水の運搬には急坂を上下する必要があり、その時間の長さは、開発の阻害要因となっている。また、水質も汚染されている場合が多く、水因性疾患蔓延の原因となっている。

(2)このため、ルワンダ政府は、2000年に国家開発計画(VISION 2020)を策定し、2020年までに全住民への安全な水の供給を目標とし、また、経済開発・貧困削減戦略(EDPRS、2008~2012年)では、2012年までに、給水率を64%から86%へ増加させることを目標としている。

(3)しかしながら、同国の財政状況は厳しく、給水施設の整備は進んでいない状況であり、特に給水率の低い東部県ンゴマ郡、キレヘ郡の11地区を対象として、配管系給水施設(公共水栓式)7カ所の建設及び改修・拡張と、施設の運営維持管理体制の構築を支援する技術指導等を行う資金につき、我が国に無償資金協力を要請してきたものである。

(4)我が国は、地方開発を同国支援の重点分野としており、給水施設の整備と維持管理の強化はその中心分野の一つである。特に本件対象地域の給水率は、41.6%と、全国平均である約64%をかなり下回っており、給水率向上の意義は高い。

2-2.効率性

(1)給水施設の維持管理費の低減を考慮しつつ、安全且つ安定した水供給を実現 できる最適な施設を選定した。また、対象地7カ所中4カ所においては、既存施設の利用可能箇所を有効利用することを基本とし、改修及び一部拡張することとした。

(2)技術支援として、1)給水施設管理組織に対する郡の管理体制強化、2)給水施設管理組織の給水施設運営・維持管理能力の向上、に係る技術支援を予定しており、効果的な事業運営が期待できる。

2-3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。

 (イ)対象地域の住民約5.5万人に対し、新たに安全な水を供給し、給水率が41.6%から57.4%に向上する。

 (ロ)飲料水の水質改善による乳幼児死亡率、水因性疾患の罹患率の低下、水汲み労働の軽減による婦女子の社会進出や労働力創出、子供の学習時間の増加等が期待できる。

 (ハ)郡による施設維持管理組織の管理体制の強化等を支援することにより、給水施設の運営・維持管理体制が構築される。

(2)本件は、我が国が第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)で掲げた対アフリカ重点支援分野の一つである水と衛生分野における支援であり、その外交的効果は大きい。また、2010年1月に在ルワンダ日本国大使館が開館しており、本件の実施により、両国の友好関係強化が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ルワンダ政府からの要請書

(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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